スペルカードルールによる擬似決闘が定着し、血生臭いトラブルが減ったかに見える幻想郷。しかし、ルールを守れない、守ろうとしない、守る必要の無い者達は何処にでもいる。妖怪の山において、白狼天狗はそういった輩と戦い続けていた。自然、妖怪でありながら人間並みの短い一生を終える者もある。そして今回の事件では現れた敵が敵だけに、前例のない犠牲を彼らにもたらした。生前の戦士達の遺影が飾られ、全哨戒天狗が整列していた。司令官がその前で、殉職者の所属と姓名を読み上げている。右横には家族、そして弔問客の席がある。守矢神社からは喪服姿の風祝・東風谷早苗が来ていた。もう一人は射命丸文だった。こちらも珍しく、和風の喪服を着ている。通常、白狼の葬式、しかも哨戒部隊のものに鴉天狗がまともな弔問などあり得ないだった。家族達のすすり泣きが聞こえる中、司令官の読み上げは続く。
「第八小隊旗下第五分隊所属、
訓練部隊の列で、誰かが鼻を啜りあげた。直立しながら涙を抑えきれず、拭い続ける者もいる。彼らの先頭に立つ椛の表情は窺い知れない。
「今回職務に準じた者全てに、紅牙勲章を授与する。無論訓練兵雷蔵にもだ。我々は今回多くの仲間を失ったが、同時に白狼の意地と不屈の力を受け継いだ。彼らは決して無駄死にしたのではない。もしこれから先も山を断りなく侵す者あれば、我らの牙が再び彼らを引き裂く。以上だ」
第一小隊隊長が号令をかける。
「総員、抜剣!」
哨戒部隊全員が儀礼用の長剣を抜く。
「構え、殉職者に敬礼!」
剣を眼前で直立させ、黙祷する。司令官は敬礼、来賓の二人も立ち上がり、早苗は祈りの姿勢を、文は黙祷を捧げている。そうして、葬儀の儀式は流れていった。
葬儀後、哨戒部隊本部、司令官執務室。椛は司令官に呼び出され、既に一時間が経っていた。壁の向こうからひっきり無しに怒声が聞こえてくるが、意味はよく分からない。やがて、司令が自ら扉を開けた。
「待たせたな、椛」
彼女が入ると、司令はうがいを始めた。洗面器に水を吐き出し、息を吐き出す。
「ちょっと喉が痛くなってな、お前もどうだ?」
「遠慮させていただきます」
「そうか。ならもう少し待って貰うぞ」
葉巻を取り出した司令は手早く点火準備を終え、マッチを擦る。紫煙が部屋を漂い始めた。
「これは人間どもにしか栽培出来ない特別な葉でな‥‥。なかなか手に入らんのだ」
「司令?」
「よせ。私だって脱線したい時があるんだよ。嫌な事を話さなくちゃならん時にはな」
椛の顔に憂色が広がった。耳が力無く垂れる。
「まず一つ。お前を軍法会議にかけると、鴉どもが伝えてきおった」
「そうですか‥‥」
「今回の事件、第一小隊は半壊、第八小隊は七割、訓練兵一名、重傷・軽傷多数。だが犠牲は全て白狼から出たものだ、鴉は何もしておらん! なのに私の頭越しに軍法会議だと?! 腐肉漁りの鴉が!」
「向こう側は何と?」
司令官より椛の方が落ち着いていた。
「鬼と勝手に交戦して被害を拡大させた全責任を問うと言っとる。お前たちが血気に流行って鬼を怒らせ、山中に被害が拡大したと」
「言いがかりです」
「私には分からん。もうすでに大天狗様が許可を出されたそうだ」
「期日は?」
「明日だ。九時に鴉地区治安部隊本部へ出頭せよとの事だ」
「了解しました」
無表情に敬礼する椛。司令官は机を叩いた。
「少しは悪態の一つもつかんか! この馬鹿者!!」
「不敬罪に当たります」
「時間さえ、時間さえあれば調査が出来る。だが大天狗様が」
「将棋でいえば、王手ですよ。逃げても最後は追い詰められます」
「そうなったら私なら将棋盤をひっくり返す!」
椛は吹きだしてしまった。司令官は口をへの字に曲げ、照れ隠しに頭をかく。
「無礼を承知で申し上げます。今の司令、可愛かったです」
「何とでも言え! とにかく、今日は大人しくしているんだぞ」
「退出許可を。頭を冷やす時間が必要です」
司令官は再び深刻な顔に戻った。
「しっかりと冷やしておけ。もう一つの知らせもロクなものじゃない」
部屋を出ようとしていた椛の足が止まった。
「訓練部隊の解散命令が出た。出所は同じく鴉だが、これにも大天狗様の後ろ盾がある。期限はまだわからん」
「失礼します」
執務室の扉が閉められた。椅子にへたり込んだ司令官は、机の上に落ちた葉巻の灰をじっと見つめていた。
十蔵はベッドの上でじっと考え込んでいた。
(俺にどうしろっての、あの鴉天狗は)
椛に告白しないと、殺す。無茶苦茶だが、文は少なくとも本気だった。自分の身体まで使って。そしてもう一つ恐ろしむべきか観念すべきか、ある厄介な思い出が彼を葛藤させていた。
(拘束されて犯されたといえば信じてくれるだろうか? いっその事介錯でもして貰うか)
悩む十蔵を、億が覗き込んだ。
「十蔵さん、食堂で誰か誘って花札でもやりやしょうや」
「なぁ、お前は女性に告白した事ってあるか?}
億は寂しげな笑いを浮かべた。
「ひでぇなぁ、この間雛様にフラれたばかりですぜ」
十蔵は呆れと尊敬の中間に位置する表情で億の顔を見た。
「神様に告白して成功すると思うお前は凄いよ」
「あっしは雛様一筋! 例え振り向いてくれなくともお友達のままでも構いやせん!」
不屈のポーズで力説する億。
「うん、お前はカッコいいが質問すべき相手では無かったな」
「何を仰いやす! さては教官と最近ご無沙汰で? だからあっしが羨ましいんで!」
「億、二段ベッドの上から飛び降りる準備はできてるか?」
「マンネリ! 新しい刺激が男と女を燃え上がらせる! そういう時は‥‥」
教官室の前で十蔵は服の襟を正した。そして、何度もノックしようとして、引っ込める。
(おい十蔵、お前最近人に流され過ぎじゃないか? 教官は仕方無いけど、鴉天狗に厄神様の追っかけ‥‥その上ここでノックして誰もいなかったらただの馬鹿だ、ああ俺は馬鹿だ、何をしてんだ俺)
心中で果てしなく呟く彼の横で、突然聞き覚えのある声がした。
「何をしている? 私に何か用か」
仰天した十蔵は、1mは飛びずさった。教官室の扉も、その前に立っている椛も離れて見える。
「き、き、き」
「猿の物まねはあまり好きじゃない」
「ち、違うのでありましてこれは」
「すまない、今は一人にしてくれ」
椛が部屋に入ろうと扉に手をかけた時。全力で突進してきた十蔵が、手の上からノブを掴む。
「何の真似だ?」
「自分がお開けします」
「退け、余計な事をするな」
「いえ、そう仰らずに」
椛は突然十蔵の胸ぐらを掴んだ。
(ほらこうなる。やっぱり無理)
そのまま引き寄せられた彼は、額同士がくっつけられる思わぬ事態に遭遇した。
「熱は無い、な。だが医務室へ行った方が」
突然十蔵は直立不動で敬礼した。
「教官殿! 極めて迅速かつ重大にして驚き桃の木山椒の木な」
「殿をつけるな言ったろう!」
苛立ちが爆発した椛の右ボディが、十蔵を捉えた。腹を押さえて苦しむ彼を尻目に、椛は部屋に入っていこうとする。男は力を振り絞って突進した。その鬼気迫る表情と行為に気付くや、椛は慌てて扉を閉めようとする。間に顔、半身、靴を滑り込ませ、椛は全力で扉を閉めようとする。
「何なんだ?! 命令だ、すぐに部屋、じゃなくて扉から離れろ」
「しょ、しょんな事言わりぇましても動きが」
「そうか」
椛がいきなり扉を放したため、室内へ文字通り飛び込む十蔵。
「大馬鹿が」
彼女は起き上がった彼の顔に、見覚えの無い縫い傷を見つけた。
「いつ、負傷した? 大丈夫か?」
「え? ああ、これですか、かっこいいでしょ? 自分でズバっと」
「もういい。三つ数える内に出ていけ。一つ」
「教官、ごめ、じゃなくて申し訳ありませんでした! 今のは無し!」
「二つ」
「自分と一緒に、人里に行って頂きたいのであります!!」
「みっ‥‥ん?」
人里、幻想郷で最も人間という弱き種族が集まる場所。そして、妖と人が交わる所。ここでは今、大量の出店、大道芸人、遊戯施設が大量に展開されていた。
「月に一度のハレ祭、というらしいです」
着流し姿の十蔵は、傍らで袖を掴んできて離さない女性に説明した。
「俺も人里は久しぶりだけど、こんな祭りなんですね。あの、教官?」
「うるさい」
十蔵はか細い声の相手をじっくりと上から下まで観察した。紅葉の色を下地に、様々な葉っぱをデザインした着物(尻尾の穴付き)をまとい、銀色の帯を締めた犬走椛を。
「何かまずい事でも?」
「あまりじろじろ見るな!」
「そう言われましても、着物姿といいますか私服姿は拝見した事がございませんので」
「当然だ! 哨戒部隊は常に制服姿が規律、忘れたのか?」
「では戻って着替えましょうか?」
椛は黙り込んだ。そして、縋り付く様に十蔵の袖を握りしめる。
「私は極秘任務と‥‥不安だから同行してくれと‥‥人里に、悪人が」
「悪人は自分です。嘘つきました」
十蔵はまた静かになった椛に内心冷や汗を流しながら、きっぱりと言い切った。
「自分はっ、きょう、いいえ! 犬走椛さんをデートに誘いたい一心でこんな事をしました! 以上です」
嫌なオーラを感じ、男は縮み上がった。骨の五・六本か気絶必死の打撃連、そしてその後の絶縁。
(これまでか。億、アドバイス活かせなったぜ。骨は拾ってくれよ)
力強く腕を巻き取られ、仰天する十蔵。
「もうしわ」
「いちいちうるさい! さあ行くぞ、お前の財布を空にしてやるからな。覚悟しろ」
男をずるずると祭りへ引きずっていく椛。その腕と腕は、しっかりと組み絡んでいた。
人里の大広場では様々な催しが開かれていた。七色の魔法使いが、畑を耕して世界を救う英雄の人形劇を演じ、プリズムリバー三姉妹と鳥獣伎楽の合同ライブが開かれ(二人はそこで大応援旗を振る知己を見た)、命蓮寺と神霊廟合同の肝試しではあまりのリアルさに椛が腰を抜かし、夜雀の屋台でヤツメウナギに舌鼓を打った。日が落ち二人は今、河童が設置したという巨大観覧車の前に立っていた。その手はいつの間にかごく自然に、しっかりと握り合っている。
「俺達にはあまり意味がありませんね、飛べば済むし」
「乗りたい」
「はい?」
「乗りたい」
「いえ、ですから飛ぶ」
「乗ーりーたーい!」
椛は林檎飴を片手に駄々をこね(普段の彼女を知る人が見たら、見てはいけない物を見てしまった様な気分になっただろう)、十蔵の顔を引きつらせた。
手に握った林檎飴を椛は大事そうに、少しずつ舌を出しながら舐めている。彼らを乗せたゴンドラが地上を離れて大分経つが、椛は一向に外を見ない。
「お、ありゃ蟲姫の空中ダンスか。恰好変えれば結構美人だな?」
十蔵は危険球を放ってみたが、椛は一向に興味を示さない。
(何でこれに乗りたがったんだろう?)
ゴンドラが頂点に達する頃。地上から花火が上がった。空中に巨大な光の曼陀羅が広がり、消えていく。椛も興味を持ったのか、窓に視線を向ける。彼女の光に照らされる横顔を見つめて、十蔵は思った。
(そういえば、ここって密室、だな)
誰も周囲にはいない。ほくそ笑む鴉天狗の事は頭から追い出して、十蔵は何気なく呟いた。
「もし俺が、教官の事を好きだって言ったら、どうします?」
椛はじろりと相手を見つめた。いきなり林檎飴をかじり、かじり、芯や種まで食い尽くした。残ったのは一本の串。その先端が、十蔵の顔を向く。
「知らん」
「?」
「お前にやる答えなど無い」
「これは、あくまで」
「腰抜けめ。自分が何をやらかしたか分かっているのか?」
十蔵の顔が凍りついた。
「やはり、ご存じなのですね」
「ああそうだ。お前みたいな馬鹿者はすぐボロを出す」
「仕方なかったんです。眠らされて、手足を拘束されて」
今度は椛がキョトンとした。
「い、今お前何を、何と言った?」
「何でもありません! 今の嘘、鬼が聞いたら殺害間違いなし! 真っ赤です!」
椛は相手の顔を見つめ、呟く。
「眠らせる‥‥拘束‥‥傷つける‥‥」
観念した十蔵は頭を下げた。
「射命丸文に、無理矢理! 申し訳ありません、教官!」
突然観覧車の窓が割れた。椛が弾幕で破壊したのだ。そのまま、彼女は飛び出してしまう。反射的に十蔵も飛び立ち、大騒ぎの地上を余所に椛を追った。
椛が降下した場所へ、十蔵も降り立った。そこは椛の私邸だった。祭りの前、彼女を迎えに行った時に一度訪れている。椛は、背中を向けて玄関前に立っていた。
「俺だって本意じゃありませんよ! 眠り薬に鎖で両手両足拘束、何も出来ません」
椛は答えない。
「隙を見せた自分が悪かったのなら、そう仰ってください!」
またしても返答は無かった。
「教官は何故いつも‥‥」
突然振り返った椛は、上段から頭突きを十蔵に食らわした。いきなりの攻撃に膝を屈する男一人。
「上白沢流の制裁だ! 貴様何処まで私を愚弄するか!!」
「そんな‥‥これでも精一杯しゃざ」
「お前は“好き”と告げる相手を、いつまで教官と呼ぶんだ!? 私の名前は犬走椛だ」
そのまま家の扉へ駆け去る椛。十蔵は瞬時に反応し、低空タックルを椛に見舞う。玄関口に倒れこんだ二人は、しばらく意味の無いレスリングを行っていた。数分後、二人は土まみれで大地に転がっていた。
「犬走さん」
「消えろ」
「犬走椛さん!」
「黙れ」
「犬走椛!!」
「聞こえんな」
「椛!!! 好きです!」
返答は無かった。しかし、椛は行動で返答した。十蔵に覆いかぶさり、唇を貪った。舌が絡み合い、微かに林檎飴の味がする唾液を送り込む。長い事キスをした二人が離れると、互いの間に糸が引かれる。
「こいつ、本当に手がかかる」
「受け入れてくれるんですか、汚れた俺を?」
「ああ、あの鴉か? 私はも気にしないぞ、何故なら」
満面の笑みで椛は宣言した。
「私はお前が大好きだ! そしてあんな鴉の痕跡など消し去ってやる位、お前を夢中にさせるからだ!」
行燈の薄い光の中。既に裸形となり正座している十蔵。その眼前で、椛は蠱惑的な笑みを浮かべながら着物の帯に手をかけた。ゆっくりと、焦らしながら帯が解かれていく。やがて帯が落ち、紅葉色の着物がゆっくりと開かれる。椛は下着代わりに、紅い襦袢を着けているだけだった。その姿のまま十蔵に手を差し伸べる。男はか細く、だが力強い手を握り立ち上がった。相手の身体を抱き寄せ、その温かさをしばらく楽しむ。椛は胸板にもたれながら、その鼓動をなぞる様に指を這わせた。甘えた声を出す。
「最後の一枚‥‥お前が脱がしてくれ」
男は黙って従った。紅い襦袢が落ち、椛は生まれたままの姿になった。そのまま彼女を世間でいうお姫様式という形で抱え上げる。
「こら、まだ夫婦ではないぞ?」
言葉とは逆に、慈愛に満ちた微笑みを浮かべる椛。布団にそっと美しい肢体を横たえた十蔵は、銀色の髪、柔らかいけもみみをしばらく弄んでいた。
「焦らしているつもりか? 時には強引に来て欲しいものだ」
椛は男の顔を掴み、自らの唇へと導いた。先刻よりももっと荒々しく、互いを食らいつくす様に唇を貪る。十蔵は唇を離すと、今度は椛の全身に吸い付き始めた。胸、その先端、腹、太腿。椛の表情が段々と悦楽を帯びていく。
「私を征服するつもりか?」
椛は十蔵の頭を撫でる。彼はキスの嵐を止め、当たり前の様に開かれた股間に顔を埋めていた。部屋に淫猥な水音が響き、椛が時々軽く体を震わせる。五度目の絶頂の後、ようやく十蔵は顔を上げる。椛は息を荒くしつつ身を起こした。
「随分とやってくれたな。次は私の番だ」
素早く体を入れ替えると、椛はまだ臨戦態勢に無い陰茎を掴み、躊躇なく咥えた。穂張り、吸い、舌で刺激する。みるみる内に大きくなったそれを、次は外部から手と口で交互に、時に同時にしごいた。止めとばかり、亀頭を唇で甘噛みする。十蔵はたまらず精を放った。その液体を、一滴残らず舐めとる椛。
「このままではつまらない」
巨乳が萎えかけた陰茎を包んだ。
「意外と、難しいな‥‥」
男は何も答えなかった。快楽の中蘇った自分の分身は、二度目の暴発を許さないと主張している。十蔵は椛の頭を撫で、目で合図した。
「ふふ、私におねだりをさせる程頑張れ」
足を自ら開いた椛の秘所に、唾液をたっぷりとまぶした十蔵の指が伸びる。丁寧に、微かに濡れぼそる陰唇を刺激しながら、ゆっくりと内部へ忍び込んでいく。指の先端を挿入しながら内部で少しずつそれを振動させる様に動かす。
椛が仔犬の様な声を上げ、身じろぎした。十蔵は唾液と愛液の混ざった指を陰核に持っていき、優しく愛撫する。十蔵はわざと皮を剥かず、クリトリスを弄び続けた。断続的な波に椛が飲まれ、少しずつ快感への海を漂い始めた時。十蔵は指を秘所から抜き、それを相手の口元へと持っていく。椛は飴を見つけた子供の様に指へしゃぶりついた。ひたすら、愛液の味を味わうのではなく、男の味を求めていた。十蔵は椛が一通り指を綺麗にし最後に一噛みするのを見て、彼女の首筋に口付けした。二人は互いに頷き合う。椛が大きく股を開いて横たわり、十蔵は少しずつ己をそこへ埋めていった。そして彼女を抱き上げる。互いの両手が背中を強く抱き、熱い鼓動と振動が同調する。既に言葉は要らなかった。相手の胸の鼓動を感じながら、十蔵は椛を貫き続けた。緩急を敢えて無視して突き続ける。椛も全力でピストンを受け止め、時に十蔵の唇を奪う。やがて二人は最初の絶頂に達した。自分から引き抜かれた一物にまたしゃぶりつく椛。
夜はまだ長かった。
椛は腕枕の上、まどろみの中薄目を開けていた。
「十蔵。言っておきたい事がある」
続く?