ハイスクールH&S with [Nioh2][Wild Heats] and more 作:「秀吉」
「先輩、明らかにやり過ぎでは」
「仕方ねぇだろ、お前ら長く喧嘩すんだし。そのせいで黄泉醜女まで出てきたじゃねぇか」
「あははは。でもこれ……ちょーっと購買に全部売るのは良くないかなぁ」
「そうですね。少しずつ小出しにした方がいいかと」
「……それだと塩漬けになりそうだな。奉納するって手もあるが?」
「奉納、ですか?」
「アイテムを「社」に奉納出来るんだよ。見返りもあるぞ。よく向こうの探索中に使わん武器とか奉納したもんだ」
「そうっスね。これなら……半分以上は奉納とやらをした方が良さそうだ」
「……うむ。ところで先輩、そろそろ俺たちも探索に行きたいのですが」
「おう、そうだな。俺ばかり愉しむのも良くないか」
「いや、愉しんでたんスか」
──ダンジョン探索中のとあるパーティーの会話──
「これは……」
紅華は、絶句する。
積み上げられた『成果』が、尋常ではなかったからだ。
最初のダンジョンダイブでは必ず『死ぬ』事になっているので、これが秀龍たちにとっては初の探索になる。
その筈なのに。
生きて帰れるだけでも快挙なのに、ドロップ品をこんなにも持ち込まれるとは思いもしなかった。
ゴブリンシリーズと呼ばれる文字通りゴブリンがドロップする武器は、基本的に購買で買える初心者用の武器と同じ程度の性能だ。
だが、それを『職人』である生徒が手を加えれば、見違えるような性能になる。
そんな武器が、十本以上積まれているではないか。
「さて、これでいいだろうか?」
気負いもなくそれらを紅華に渡すと言う秀龍。
「……あの。皆さんの取り分は……」
「ああ、分けてこれです」
カウンターの方を指差すと、叶馬がそこにドロップした武器や防具をドサドサと積み上げているではないか。
聞けば、質の良くなさそうな物や不要だと判断したアイテムは既に購買で売り払ったそうだ。
お陰で全員、不自由なく生活出来る『銭』を得ているのだとか。
部長である蜜柑は、その成果に驚きと共に素直に称賛しているが、副部長である凛子などは疑問に思っているのが紅華には分かった。……要するに、上級生のキャリーがあったと思っているのだ。
仮に本人たちが自力で入手したとしても、それは強い性欲を内に秘めているとも取れる。生産職の女子しかいない『
しかし、紅華の目には叶馬や誠一が性欲を我慢しているようには見えなかった。
明らかに発散したのが分かったのである。
そしてそれは、静香や麻依にも。
パートナー同士、ダンジョンでセックスを定期的にこなしながら探索したのだと思われる。
では、秀龍は?
「……」
紅華は驚いた。
この同い年の下級生は、性欲を抑え込んでいるのだ。
強い性衝動と増大した精力を意思の力で制御している。
同年代の男子と比べても図抜けた精神力だ。
こうして対峙している紅華が漸く分かるレベルで隠しており、性欲を完全にコントロールしている。
紅華は知っている。
強くなれば、男女関係なく性欲は増大すると。
自慰行為で治まる人間もいるが、大抵は異性とのセックスを求める。
彼女もそれは身を以て体験していた。
それなのに、この人は──
「お辛くありません?」
つい、そう訊いてしまう。
「……まあ、しんどいのはそうですが。貴女が相手をしてくれるのでしょう?」
そうだ。
確かに紅華は、ドロップしたアイテムを持ち込めば抱かれてもいいと言った。
それを違えるつもりはない。
「あのコたちを抱いたりしてへんようですが……」
「後輩のパートナーですよ」
建前ではなく本心でそう言う秀龍の言葉に、聞き耳を立てていた部員たちが驚いた顔をする。
「前に抱いたお人に操立ててるワケでも」
「ないですね。だから、貴女を抱きたいとも思ってますよ」
ストレートな口説き文句だ。
しかし紅華は悪い気はしなかった。
一般的な男子生徒ならば、「尻を出せ」や「お前、今日から俺の便所な」といった台詞が普通に出てくる。
無言で拐われて集団で犯される事も少なくない。
それなのに真っ当な口説き文句を、自分よりも背が高い男子に言われたのだ。
自分の癖に刺さるポイントがある男子に、磨かざるを得なかったとは言えど水準以上であると自負する自分の肢体の価値を認める言葉を贈られた。嬉しくない筈がない。
紅華は内心ときめいていた。
「……そ、それなら、今晩はうちも全力で御相手させて頂きますぅ」
「宜しくお願い致します」
お互いにお辞儀をしながら、セックスの約束を交わした。
『娼婦』であるが故に、何度も男に抱かれているのに、まるで生娘のような対応をしている自分に内心呆れてしまう。
こちらを注視していた凛子が、驚愕の表情でこっちを見ている。
凛子、お願いやから何も言うな。
視線を向けずにそう思う。
自分よりも二十センチ以上高い男子など稀で、しかもこの学園基準で紳士的な対応をされたのだ。男運が悪い自分たちなら簡単にときめいてしまっても仕方ないやろ。
そう言い訳を笑顔の裏で並べてしまう。
ふと、視線が秀龍の股間に移る。
(……あれ? 反応してへんな。生理現象もコントロールしとるんか?)
ズボンにテントが張っていない。
だが、数多くのチン◯を見て、舐めて、咥えて、挿入されてきた経験が囁く。
これは稀に見る逸品である、と。
百どころか千を越えるセックス経験から、ズボンの下にあるであろう陰茎の長さを推し量る。明らかに平均以上の太さと長さだ。ダンジョンダイブにおけるブースト具合を鑑みれば、「槍」と形容しても不足はないだろう。
それが、自分を貫く。
正直、愉しみではあった。
(……こりゃ、凛子に『色惚けしとる』って言われても否定でけへんなぁ)
紅華は、一年の頃に上級生たちに徹底的に開発されたせいで、太く長いペニスでなければ満足出来ない身体にされたのである。性格がクズの部員が多い倶楽部だったが、ペニスの質だけは高かった。更にそこに『娼婦』という職業の隷属し難さも相まって、実は今の紅華は、満足する程にセックスで乱れた事が少ない。
一対一でも乱交でも、紅華はどこか余裕があった。媚薬を盛られた事も何度もあるが、それでもだ。
如何に男の魂魄の強さがセックスする女に影響するとは言えども、物理的に腟内に余裕はあった。
事実、上級生や三次職の男に犯されても、乱れはするがどこか余裕があったのは事実だ。
勿論それを知る生徒はいない。
しかしそれに本能的に気付く男子もいないワケではなかった。
そういった男子は、彼女から離れていく。
自分がセックスで勝てない相手だと、無意識に悟るのだ。
なにせ自分より弱い女子生徒は幾らでもいるのだから、分かるのだろう。
「……紅華嬢?」
「あ、すみません。ちょっと考え事してました」
視線が股間に向いているのに気付いたのだろう。
秀龍が声を掛けた。
「ほな、今から行きましょか?」
「……良いんですか?」
彼の腕を取り、吐息交じりに囁く。
「うちの
色香の大放出だ。
咄嗟に静香や麻依が、自分の胸にパートナーの頭を抱える。
視界を塞ぎ、自分の胸の感触でパートナーの意識を強制的に自分たちに向けさせたのだ。
「……あーあ。紅華、ちょっとは手加減してあげなよね」
凛子が溜息を吐いてそう言う。
そんな友人の台詞に、紅華は笑みを返した。
□
「まったく。紅華ったら……」
凛子は、友人が内心でうきうきしているのが手に取るように分かった。
自分よりも背が高い男が好きだと公言している紅華だ。
どうやらあの秀龍という男子に対して、憎からず思っているらしい。
しかし紅華の性格上、好みのタイプだからと浮かれるような女ではないと凛子は知っていた。
であれば何故、彼女はあんなに色香を撒き散らしたのか?
「……私たちの為、かな」
頬杖を突いて、呆れた笑みを浮かべる。
自分や市湖などは、同年代の男子に強いトラウマを抱えていた。
だから男子の視線が極力自分たちに映らないように、過剰に色気を出したのだろう。
彼女は言っていた。
──色気なんてな、所詮は技術や。スキルなんか使わんでも、殿方発情させる方法なんていくらでもあるんよ。
視線の誘導や、指の運び、吐息の出し方や、身体の揺らし方。制服姿でも下着姿でも、もしくは裸でも、幾らでもやれる事はあると彼女は豪語していた。
お陰で彼女の色香に当てられて、自分も含めて女子たちは少し顔が赤い。
「ほんと、出来た友達だよ」
凛子にとって、蜜柑と紅華は得難い友人だ。
親友と呼んでも良かった。
蜜柑は、こんな自分を含めた職人系の女子を集めて倶楽部を作ってくれた。今でも甘えている自覚がある。
紅華は、この学園で上手く生きていける『
そんな彼女たちと並び立てるようにと思い倶楽部の副部長となり、積極的にカウンターで接客をしているのだが……どうしてもトラウマは払拭出来ていない。
そのせいで結局、紅華に苦労を掛けてしまった。
まあ、本人は自分よりも高身長の男とセックス出来てうきうきのようだが。
「……なんか、そう思うとちょっとムカつくかな」
自分だって性欲とは無関係ではないのだ。
ダンジョンで死に戻る事も多いが、それでも男とセックスはもう長いことしていない。
この学園で生きる上で、男とのセックスは避けては通れない。
それに、今の自分は隷属が薄れているとは言えど、とある男のパートナーでもあった。今は殆ど放置されているが、しかしどこで接触してくるか分かったものではない。
この学園では、基本的にアクションを起こすのは男からだ。女は基本的に受け身にならざるを得ない。
「凛子先輩」
「んー、どうしたのかな叶馬くん。えっちしたくてムラムラしちゃったかな?」
「え、そ、そうなの……?」
「……叶馬さん」
「風評被害が過ぎる」
年下の男の子。
こっちが少し揶揄っても普通に対応する一年生。
そんな彼に新鮮な感覚を覚えた。それだけ自分がこの学園のルールや常識に染まってしまったという事だ。
そんな自分を自嘲しながら思う。
この子たちは、まだ誰も知らない「金の卵」だ。
繋ぎを作っておけば今後の倶楽部を護る一助になる可能性がある。勿論『報酬』次第だろうが。
それこそ紅華のように凛子の身体を報酬にして釣れれば──
「うーん……ところで叶馬くんはパートナーを増やすつもりはあるのかな?」
「いえ、俺には静香がいますので……」
「でも興味はある、と」
「静香?」
静香の発言に動揺する叶馬。どうやら嘘がつけないタイプのようだ。
そんな初めて見る男子の姿に、ついつい凛子は笑ってしまうのだった。
「……」
そして、そんな自分を冷静に観察している誠一の事にも気づいていた。
□
腕に当たる胸の感触が柔らかい。
俺の住処でもある『墨烏荘』まで、紅華嬢はずっと俺の腕を抱いたまま歩いていた。
ふにゅりとした感触が、防刃加工された制服の上からでもよく分かる。
……これ、俺が身体のコントロールが出来なかったらデカいテント張って動けなくなってたかもな。
俺のイチモツだが、実は昔はこんなに大きくなかった。
ここが巨大化したのも「東の国」と「戦国奈落獄」の攻略の為に肉体を強化したからだ。
肉体を成長強化させる時に、俺の息子にも影響が出たのである。お陰で外国人レベルとも張り合えそうなサイズに成長してしまった。
サイズ(長さ太さ堅さ)にはスケッギョルドさんからお墨付きを受けてはいるが……今はその大きなサイズが少し俺を不安にさせる。
幾ら紅華嬢が、百八十センチ近い身長だとしても、それが俺のイチモツを受け入れられるかどうかは別問題だと思うからだ。
日本人の一般的なサイズを相手にしていれば、女性の性器はそれに準拠すると聞いている。
だから、俺のサイズはちと規格外になるのではなかろうか。多分。
すんなり受け入れられるといいのだが。
スケッギョルドさんは普通に俺のイチモツを根本まで飲み込んでくれたが、それをこの
あちらさんは精霊だって話だし、普通の人間とは違うだろうしな。
だが、それでも、と期待してしまう。
調べた限り、『
なら、俺のこの規格外品もなんとかしてくれるのでは、と思ってしまう。
別段、処女がどうとか拘りはないが、しかし俺も普通の男だ。この人に独占欲も出るかもしれないからな。
実際、スケッギョルドさんを抱いた事で、あの人に惹かれてる部分もある。
……あの人に操立ててるワケじゃないって所が、自分がどこにでもいるような男だという証明でもあったが。
しかし、
「どうされました?」
「……いや」
巧いな、この人。
さりげないボディタッチで、こっちの性欲を徐々に盛り上げてくる。
五感全てを駆使して、急激にではなくゆっくりとした速度で、こちらの性欲を高めるその姿。
思わず成程と唸ってしまう。
と言うか、そういう風に別の視点で考えないと、勃起ち過ぎて歩けなくると確信出来た。
「……随分と、サービスされいるようですが」
「あら、分かりますぅ?」
ころころと笑う紅華嬢。
そりゃあ普通の十代は知らんよな。高級店の風俗嬢がよくやるテクニックだなんて。
前世で一回だけ、お世話になった人気の嬢のテクニックに勝るとも劣らないその技量。数え切れない程に男と肌を合わせる事で磨かれたそのワザは、彼女がこの学園でどう生きてきたのかを雄弁に語っていた。
しかしそれと同時に、
(……筋肉があるな。多分、『匠工房』の娘たちとは比べられないほどに)
全身を覆う柔らかな脂肪の内側に確かにあるしなやかな筋肉の存在にも、俺は気付いていた。
男とのセックスに明け暮れているだけではない──戦う為の筋肉が、彼女にはあった。それを支える頑丈な骨も。
骨格や筋肉が、どう考えても戦う人間のそれだった。
静香や麻衣は、
体幹もしっかりしていて、軸が入っているようだ。
俺にしなだれかかっているのに、重心がぶれていない。
多分、武術の適正もあるみたいだな。
(……それなのに、『
武術の才すら霞む程にセックスが好きなのか、それとも──そうならざるを得なかったのか。
まあ、あれこれ考察してもしょうがないしな。
どうせこれからヤる事は変わらんのだ。
セックスしないのか、と問われれば答えは「No」だからな。
寮に帰ってきた俺たちは、まずは腹ごしらえをする事にした。
適当に作った料理*1を食べて、入浴を済ませる。先に入ってくるようにお願いされたからだ。
風呂上りの浴衣を着て、俺は食堂へとやってくる。
紅華嬢はお茶を飲んで待っていた。
「先に風呂を貰いましたが、良かったですか?」
「はい。うちもそれじゃあ入らせて貰いますぅ」
何かの香をふわりと薫らせた紅華嬢は、からくり風呂のある場所へと歩いていく。風呂のある場所は先に案内しているから迷いもしない筈だ。
もう少ししたら寮の風呂の改修も済んだんだけどな。
「……」
少し、そわそわとしてしまう。
同年代の女子とのセックス。
学生同士でのセックスなんて、前世でも経験してないからな。
初体験と言っても過言じゃない。
だが、
「……ふぅ」
精神を無理矢理落ち着かせる。
これくらいの精神コントロールは俺でも出来るからな。
「……どうなるかね」
『ふふふ。随分と緊張してるようじゃのぉ』
そんな俺の前に六科の爺さんが現れる。
「まあ、な。店主さんは俺の部屋に直接来たから、部屋に女の子を連れ込むのは始めてなんだよ」
『どう思う?』
「……なにが?」
『些か、気になっておるのじゃ』
六科の爺さんが木の仮面を組み換えながら、首を傾げる。
『あのおなご、随分とお主に対して親身じゃ。初対面とは思えぬ程に』
……言われてみれば。
何かある、というのは分かっているんだが、それでも確かに俺に都合が良すぎる展開だ。
しかし俺には京都方面に知人はいない。
親が許嫁を決めていた、とかならワンチャンあるんだが、恐らくそれはないだろう。
『……ふむ。となると、お主の知らぬ縁か』
「正直どのラインか分からん。俺も親の交遊関係を全部知っているワケじゃないからな」
二人して首を捻っていると、猫又がやって来て眼帯が無い方の目を半目にした。
『秀龍お主……一目惚れとは考えぬのか?』
「……まあ、考えなかったかと言えば嘘になるけどよ、このツラだぞ?」
白髪交じりで顔には刀傷。
片方の金の眼だって痛いファッション扱いだ。
こんな顔してる男に、若いお嬢さんが惚れるとは思えん。
『……むう。それを言われると何も言えぬわい』
いや、言えよ。
俺の自虐に倣うんじゃなくて、否定してくれよ頼むから。
そんな会話をしていると、白澤がふよふよとやって来た。
『うーむ……あの
木霊はいろんな場所にいたりするしな
風呂も好きだから入ってたのか。
『なんじゃ、エロ山羊爺がと思うたが、木霊の情報か』
『聞こえとるぞ眼帯猫爺』
罵り合う守護霊たち。
軽口を叩き合って笑い合うので険悪な雰囲気はない。
六科の爺さんは呆れた様子で二匹に言う。
『それならワシらは引っ込んでおくぞ。若い者の情事を盗み見るのは趣味が悪かろう』
そう言いながら、三人(匹)は消えた。
おいおい、本当に早いな。
静香や麻衣は普通にもっと時間を掛けるぞ。
こんな所も風俗嬢っぽいな。
「ええお湯でした。ありがとうございますぅ」
火照った肌が見えるような薄手のネグリジェを着た彼女は、とてつもなく色っぽかった。
制服姿ではない、しかし否応にも男の欲情を煽るような薄い肌着姿。
丈の短い赤いネグリジェは、しかも生地が薄くうっすらと地肌が透けて見えた。紅華という名前だからか、彼女には赤い肌着がよく似合っている。薄く化粧もしているのも分かった。
差し出される手。
これは……握れってことか?
「お部屋まで、案内して貰えません?」
「……喜んで」
出来るだけ優しく彼女の手を握り、俺の部屋まで案内する。
ちょっと緊張するな。
そんな俺の態度に、ふふっと紅華嬢は笑う。
馬鹿にした笑いじゃないのは分かるんだが……なんか弟扱いされてねぇか?
まあ、そうか。
ここでは後輩だからな。
部屋に入ると、彼女はゆっくりと俺に向き直った。
「……秀龍さん、うちを抱く前に、少しお話しませんか?」
「ええ、それは構いませんが……いったいどんな?」
「そう、ですね……でしたら、ご家族のお話なんかはどないです?」
家族、か。
ん、つーか、そう言う瞬間にこの人、緊張してたような……
「どこにでもいるような普通の人でしたよ。うちの両親は」
「……でした?」
「ええ、交通事故で他界してます」
そう言うと、紅華嬢は息を吞んだ。
だが、驚いているようだが、なんか変だな。何かを知っているのか?
「……やっぱり、うちの勘も捨てたもんやないなぁ」
やっぱり?
「
……おいおい。
苗字をなんで知ってるんだ。
「うちは、
かつらぎ……葛城?
どっかで聞いたような……
「お忘れですか? 『葛城■■■』を」
「…………ああ、成程。あの野郎の関係者でしたか」
その名前は、よく覚えている。
なんせ、俺の両親を殺した糞野郎の名前だからだ。
葛城って名前は珍しいが、それでもまさか関係者だとは。
「ええ、うちはあの人の許嫁です」
「……それはそれは」
かなり近しい関係だな。
だが……
「勘違いしてほしくないんやけど、あの人のことは、自業自得だと思ってますぅ」
「……まあ、でしょうね」
酒飲んで百キロ以上速度超過して、対向車と正面衝突だもんな。そして三人とも死亡。
仮に良い関係を築いていたとしても縁を切るレベルだ。
「察するに、そちらもあの野郎のことは持て余して?」
「まあ、外面だけは取り繕うのが本当にお上手な人でした。外側と中身が違うなんて、往々にしてよくあるお話ですぅ。ほんに忙しい人生を送りはった人でしてな、まだ中学に上がったうちにも、よう
絶句する。
京の人らしい皮肉を読み解くと、あの糞野郎はまだ中学生の紅華嬢を凌辱していたらしい。
「まあ、地元では大層名の知れたお人だったらしいですわ。なんせ名士のお家柄だと自慢されてたらしくてですねぇ、いろいろと『やんちゃ』してはご家族にお尻を拭いて貰ってたって後で聞きました」
死んだ後に。
と笑顔で言う紅華嬢。しかしその裏にある激情は俺にも読めた。
随分とあの男に煮え湯を飲まされていたらしい。
「我が世の春だったんでしょう。うちという本家の跡取り娘の婿になって、これからの人生は薔薇色で順風満帆だと思ってらしたんでしょうねぇ。結局浮かれて飲酒運転して、事故起こしはったんやから。因果応報って本当にあるんだ、ってうちは初めて知りましたよ」
「……紅華嬢。ご家族はその事に」
「知りませんでした。さっきも言ったように、外面だけは取り繕うのが巧かったんですよ。だから、全部めくれるまで、うちの両親とかもいい人やって信じてはりましたわ」
まあ、そうなるか。
でも待てよ。
「となると慰謝料として振り込まれたあの金は……」
「はい、うちの家とあの
俺に支払われた慰謝料数十億の金。
書類上は数億だが、
「……担当してくれた弁護士さんから、相手の家が没落したって聞いてたけど」
「あ、大丈夫ですぅ。没落したんはあの人の家だけです。うちはこの学園に身売りしたから、なんとかうちの家は首の皮一枚繋がりました」
それ、笑って話す内容じゃないと思うんだけどなぁ。
「お話は分かりました。でもどうしてその話を俺に? 激昂して貴女を傷付ける可能性もあったでしょう?」
しかし紅華嬢は、言った。
「それも受け入れるつもりでした。だって……秀龍さんのご両親に、うちは返しきれないくらい大きな恩を貰いましたから」
紅華嬢は笑みを浮かべて、そう言った。
なんとなく、言いたいことは分かる。
自分を密かに踏みにじっていた男を間接的にとは言えども殺してくれた、って考えてるんだろうな。
多分、父ちゃんや母ちゃんは「恩になんて考えなくていい」って言いそうだけど。普通に飲酒運転したあの野郎と甘やかしてたその家族が悪いって一蹴しそうだしなぁ。
……それ以前に、恩とか言ってるけど、負い目の方が大きそうだ。
同情ってワケじゃなさそうだが……
そう、思っていると、彼女はとんでもない行動に出た。
ネグリジェと赤い下着をさっと脱ぎ捨て、全裸になった。
形のいい巨乳が、くびれた腰が、丸く大きな尻が、そして陰毛の無い性器が露わになった。戦う影響か、太腿も引き締まっているな。
そして床に正座し、土下座したのである。
纏められた赤いメッシュの入った長い黒髪が、はらりと床に落ちた。うなじから背中、そして尻が艶かしく見える。形のいい巨乳が、腕と床に押し潰されていた。
これ、フェアリー◯イルで見たシチュエーション!?
突然の事に俺はフリーズする。
「どんなに
──どうぞ、うちを使って下さい。
そう、言われた。
だから俺は──
〇斎藤秀龍の精神性:小市民的な戦闘狂
彼は凡夫である。
転生したというファクターはあれども、その精神性は所詮一般人の範疇を出ない。
上位存在による精神と魂に強化を受けども、その本質は小市民のそれである。
だが、その精神は「戦国奈落獄」と「東の国」を攻略する事で、何度も折れては立ち直ってを繰り返す事で強靭なものへと変貌した。
その為、小市民的な感覚と闘いを臨む狂暴性が同居していた。
しかし性行為においては彼の狂暴性は鳴りを潜める。狂暴な感性は、敵を叩きのめし、屠り、殲滅する事を目的としているので、女性に対しては小市民的な感性が優位になる。
スケッギョルドという極上の美の化神たる女性(精霊)とセックスしたが、相手が自分とのセックスに満足しているとは思っていない。彼女の言葉はリップサービスだと思っている。
小市民的な精神性故に、彼は自分の肉体的な強さは兎も角としてセックスに対して懐疑的な部分も多い。言い方は悪いが、自分とセックスする女性は、技術の無い自分に合わせていると錯覚している。故に性的な技術の向上にも意欲的。※肉体と技術の向上が相俟って彼とセックスする女性は大抵が「■■」てしまう。
彼は二つの異世界ダンジョンを攻略しており、更にカンスト以上に強化している。そんな男が『羅城門』のシステムと統合された。
故に彼は、女性とのセックスにおいて、無類の優位性を誇る。
早い話が、「隷属させやすい」。
仮にSSR職の女性であろうとも、彼は容易く隷属させられるポテンシャルを秘めている。
しかし前述のそれらは総てダンジョンによる恩恵であり、本人は自分が内面は平凡な人間であると思い込んでいた。
しかし、「奈落獄・深部」の踏破や「澱み深き獣」を討伐するような人間が、ただの凡人である筈がない。
彼は「元」凡人である。
ならば、今の彼はなんと呼ぶだろうか?
答えは──「