※この作品はR-18です。

ハイスクールH&S with [Nioh2][Wild Heats] and more   作:「秀吉」

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「え、まさかあの閉鎖された『墨烏荘』に入居する子がいたの?」
「そうみたい。しかもワケアリで私たちと同じ歳の一年生だって」
「そっか……え、その人留年してるってこと?」
「噂になってるかな? 中学留年した人が一年生にいるって」
「……こっちに来ると思う?」
「まあ、そうだね。普通にダンジョン探索するなら女の子とのエッチは必須で、しかも近い場所に女子がいるウチは格好のターゲットになるかな」
「……震えてるわよ、凛子」
──麻鷺荘二年女子による会話──


03 怪しくてエロい恰好の露店のお姉さんは青少年の性癖を歪めるか否か

 無拍子、という技がある。

 身体の「起こり」を消して、相手の無意識の間隙を突いて打撃する──叶馬考案の必殺技だ。

 担任に当てる程度には有用だったが、俺には何故か効かなかった。

 まあ、それもその筈だった。

 忘れていたとは言えど、俺は叶馬や中学の担任とは比べられんような達人たちと殺し合っていたんだ。素人の喧嘩殺法しか出来ない後輩の拳なんぞ、ただ強いだけなら幾らでも対処出来た。

 人よりも何倍もデカいし不規則な妖怪の攻撃すら、タイミングが合えば捌けるからな。……ミスったら即死もよくあるワケだが。

 ただ、今回は特に気を付ける点があった。

 それは、叶馬を殺さないように、しかし正気を取り戻すくらいには強い威力で攻撃しなければいけない、という点だ。

 だから、弱い打撃を何度も何度もコイツの顔面や身体に打ち込んでいく。何度も何度も何度も。

 パパパパパンッ、とリズミカルに叶馬の頭が跳ねた。

 

 

 

 暫くして、

 

「……先輩」

 

 俺の手甲の霊験の甲斐もあってか、叶馬は自意識を取り戻した。

 ただ、

 

「些か……過剰だったのでは」

 

 後輩の顔がメロンパンみたくなってしまった。

 まあ、徐々に回復してるしそこまで問題はないだろう。

 

「とは言うがなぁ……そんなモンに乗っ取られるお前が悪い」

 

 気合いが足りん……とは言えんか。色々と「目覚めて」ない人間に、コレは荷が重いわな。まあ本人には言わんし、納得もしないだろうが。

 多分、コイツ。何か動揺するような事があったんだろうな。

 

「叶馬」

「はい」

「何かあったのか?」

「……皆、死にました」

 

 そう言って辛そうな顔をする。

 ギリッ、と拳を握りしめる叶馬。無関心のように見えるが、その実この男は友人と見定めた人間には甘い顔を見せる。それ以外には殊の外冷酷な一面を見せもするが……それは普通の人間でもそうだしな。

 ふと、ヤツの右手を見ると、黒い衣に覆われた手の下に「なにか」があるのが視えた。え、これ、埋まってねぇか? 

 

「その手のは?」

「静香が死んだ場所に、結晶が。握り締めて敵を殴っていたのですが、気がついたら衣が手を覆っていました。一応手の中に感覚があるので砕けてはないと思います」

「……そうか。他の二人のは?」

「ここに」

 

 自分のポケットを指す叶馬。

 成程、な。

 

「よく回収した」

 

 肩を叩いて、俺は後輩を褒めてやった。

 

「しかし……」

 

 だが、本人は納得してないようだ。

 

「コイツは多分、誠一たちの魂の欠片だ。かなり大事な部分が落ちたんだろうな」

「魂の、欠片……」

「ふむ……叶馬、俺のやったブツはどうした?」

「飴でしたら、食べました。全員」

「死ぬ前にか?」

「はい」

「そうか……だったら『あそこ』で説明すれば手間は省ける、か」

 

 このままコイツの戦闘経験を積む時間にするか。

 そう考えた俺は、持ち物から人の背丈よりも長い棍を取り出して叶馬に手渡す。

 

「おい、これ」

「これは……棍、ですか?」

「所謂、ギミックが搭載されてる棍だ。「仕込棍(しこみこん)」って名前でな」

 

 仕込棍。

 人の背丈より長い棍に幾つかの節がついた武器だ。

 棍の中は鎖や紐で繋がっていて、自分の意志で棍を分離・接続が出来る。

 この武器の品質はそこまで良いものじゃないけど、その分素人でも扱いやすい筈だ。

 

「……何も変わりませんが」

 

 叶馬が不思議そうに何度も棍を振って首を傾げる。

 まあ、そうだろうな。

 幾ら「あの飴」を食っていて使う資格があろうと、仕込棍の使い方を知らなければただの棒でしかない。

 

「そういう時は、な?」

「成程、実践ですか」

 

 気合いを入れた叶馬に呼応してか、バチリッと電気が迸った。

 

「……これは」

「あ、属性武器だったか」

 

 これは「下忍の仕込棍」という名前だが、どうやら雷属性が付与されていたようだな。

 まあ、コイツの帯電体質を考えたら丁度良いか。

 

「取り敢えずテキトーに振り回してろ。()()()()()()()()()()()

「……では」

 

 叶馬は、全身を黒い布で縛られながらも常人を越えた身のこなしで、行く先にある玄室にいるゴブリンの集団を撲殺していく。

 それを何度も繰り返す。

 突貫。

 粉砕。

 突貫。

 粉砕。

 これの繰り返しだ。叶馬の一振りでゴブリンは塵になっていく。

 ……俺の出番がねぇなぁ。

 だが、どう考えても今の叶馬は、フィジカル以上の力が出てる。

 あの布、かなり有用なバフ系のアイテムだったんだな。

 ……ただ、

 

「……う、ぬぅ」

「こら」

 

 意識を持ってイかれそうになる度に俺が手甲で強めのツッコミを入れなきゃならん。

 後頭部に綺麗に入った平手の勢いで、床にダイブする叶馬。

 

「先輩、もう少し手加減を……」

「阿呆」

 

 半眼で俺を見上げる馬鹿に、指で差して床に転がっている槍を見せる。

 

「これが飛んできたんだよ。お前、ちょっとはしゃぎが過ぎて抜けが酷いぞ」

「……不覚」

 

 恥ずかしそうに馬鹿が呟いた。

 ふるふると震える。

 まあ、そうだな。恥ずかしいよなぁ。一人ならまだしも、俺がいるんだし。

 

「先輩の前でこの体たらく。この恥、雪がずにはおられぬ……!!」

 

 がきり、と棍の中心の節が外れた。

 二刀流の棍になり、飛び上がるように立ち上がった叶馬は、槍を投げた体勢で固まっているゴブリン集団に襲いかかった。

 二本の棒を巧みに操って、叶馬はゴブリン十匹の集団をあっさりと撲殺してみせた。棍が振るわれる度に雷光が迸り、電撃が敵を焦がしていく。

 全員を叩き殺し、叶馬はそこでようやっと自分の棍に雷がバチバチと纏っている事に気付いたようだ。

 

「……これ、は」

「漸くか」

 

 ()()()()()()()()()()()が、叶馬の魂に完全に同化したな。

 これで叶馬は、「東の国」と「戦国奈落獄」への挑戦権を得た。多分、同時期に食ったらしい静香たちもだ。……いや待て、静香の魂の欠片は、多分だが叶馬の手と同化してるんだぞ。この場合はどうなるんだ? 

 ……後で確認しとこう。

 だがその前に、コイツのレベリングを続けねぇと。

 

「もちっと、スピード上げるぞ。時間いっぱいレベリングだ」

「しかし……」

「出来るだろ?」

「……承知しました」

 

 だから、手当たり次第に蹂躙しまくった。

 

 

 

 

 □

 

 

 

 

「あらら」

 

 ゴブリン共を殲滅しながら移動していると、ふとそんな声が耳に入ってきた。

 艶やかな女の声だ。

 場違いに穏やかな声色に、思わず俺は叶馬とその顔を見合わせる。

 

「そこのお二人さん、こっち来て貰えますぅ?」

 

 その声の方向へ顔を向けると、なんと壁の中に埋まるように露店があった。

 着物を着た金髪で耳の長い女性(ひと)が俺たちを手招きする。

 

「こんにちは」

「はぁい、こんにちはぁ」

 

 にっこりと笑顔で俺たちを出迎える。

 着物を着崩しているからか、カウンターで頬杖を突いているので胸元が露わだった。

 ……今、性欲が爆増してる俺には目の毒だなぁ。

 

「いやぁ、久々にお客さんと思ったら、色々とツッコミ所が多い格好をしたお二人じゃないですかぁ。あてもこうして露店精霊として長いけど、こんなお人らは珍しいですなぁ」

 

 からころと笑いながら、店のお姉さんは言う。

 

「然様ですか」

「然様ですぅ。むかしの軍人さんっぽいですなぁ」

 

 叶馬がむっつりとした様子で対応している。礼儀には礼儀で返せ、というのは叶馬の根っこにある思想だ。

 言い換えれば、無礼な人間には「それ相応」の対応をするって事でもあるが。まあ、これは俺もそうだしな。

 そんで、そのお姉さんは煙管を持っていない方の手で叶馬の全身を縛っている「布」を指差す。

 

「それで? どうしてその「黄泉衣(よみごろも)」を持ってるんですぅ? こっちのお兄さんなら、なんとか出来ると思いますけどぉ、あんさんだとちょっと厳しいと違いますよ」

「殴りました」

「……殴った?」

「はい。殴って倒しました」

「……ふーむ。すんませんね、ちょっと観させて貰いますよぉ。……あ、ホンマやぁ。黄泉醜女を本当に拳だけで倒してますやん。こりゃ凄いわぁ。あ、あんさん雷神さまの血筋なんですなぁ」

 

 雷神の血筋。

 成程、コイツが重度の帯電体質なのはそれでか。

 だけど、ウチでパソコン使わせた時はショートさせる事は無かったような……? 

 まあ、兎に角だ。

 制御出来るようにならんと、日常生活がキツくなるかもしれんな。

 俺がそんな事を考えていると、何かについて悩んでいたお姉さんが頷く。

 

「……なら、こうしましょか。あんさんのソレ、あてが買い取りましょ。今は大丈夫でも、ちょっと気を抜いたら精神を侵されますからねぇ。代わりに凄いレアアイテムなんか進呈しましょ」

「宜しくお願いします」

 

 ノータイムで即決した。

 

「はいはい。なら、回収しますよって」

 

 そうお姉さんが言うと、叶馬の全身を縛っていた「布」が、はらりと解けてカウンターに落ちた。

 なんとも見事な手際だ。

 半分叶馬と同化していた「布」を簡単に解いてみせた。

 俺もどうすれば叶馬から取り外せるか考えてたが、結局は「布」が死ぬまで浄属性の攻撃を叩き込む方法しか思い浮かばなかった。

 

「見事なもんだ。俺だと、「完全に殺す」ことしか出来ん」

「……まあ、そうですなぁ。お兄さんの方は、『あの場所』の踏破者のようですし。あんなマゾ御用達の地獄の底を何度も周回するような方には容易いでしょうねぇ」

 

 苦笑するお姉さんの言葉にちょっと驚いた。まあ、人外っぽいし、なんらかの方法で分かったんだろうな。

 

「ああ、分かるんですね」

「まあこれでもぉ? 露店精霊として長いですからぁ。……それで、あんさんと交換する品物なんですがぁ」

 

 そう言いながら、お姉さんは古刀とか呼ばれる種類の古い刀剣を取り出した。鞘がないせいか、凄い威圧感が感じられる。

 天之尾羽張(アメノオハバリ)、つったが……確か雷神タケミカヅチの親父がそんな名前だったような? 

 

「おぉ? お兄さん、随分とマイナーな方を知ってるんですなぁ。でも、どっちかと言えば、コレは「十拳剣」の異名の方の剣ですぅ」

「ああ……そっちですか。変に捻るよかそうですよね」

「ええ、しかもこれ、概念製造品やから神話全盛期の力を秘めた優れ物ですぅ」

 

 二人して叶馬を見る。

 しかし本人は少し微妙そうな顔をしていた。

 

「……お気持ちは有り難いのですが、今の俺には、先輩からお借りしたこの仕込棍がありますので」

「あー、確かにそうですねぇ。しかも雷撃エンチャントされてるなんてレア物ですし。なら……」

 

 そっから幾つかの商品を見せられる。

 どれもこれも、かなりの逸品のように俺には見えた。

 しかし、どれもこれも叶馬には刺さらなかったようだ。

 

「あの、先輩」

「ん?」

「この仕込棍なんですが……」

「気に入ったか?」

「はい、お借りするのではなく、正式に頂けませんでしょうか?」

「いいぞ」

 

 元よりそのつもりだった。

 無表情ながらも嬉しそうな顔をする叶馬が頷き、お姉さんに向き直る。

 

「では、この棍を収納出来る何かを頂けませんでしょうか」

「うーん、ちょっとねぇ? すこぉし「黄泉衣」と釣り合いが取れないんですよねぇ。あても商いの精霊ですんで、等価のモンじゃないとぉ」

「そこを曲げて、どうか」

 

 頭を下げて叶馬が言うと、

 

「そう、ですねぇ……実は、まだ概念として出来立てほやほやのスキルがあるんですが、それとかどうですぅ?」

 

 それ、デバッグが済んでないって言わん? 

 叶馬もそう訊いたがさらりと流された。

 

「つまりそれが、こいつを収納出来るもの、だと?」

「はぁい。『情報閲覧(インターフェース)』に『空間収納(アイテムボックス)』と言いましてなぁ」

 

 そこから色々と脱線しながらも、お姉さんはそのスキルの解説をしていく。……なんか途中、「権能」とか「アカシックレコード」とかのワードが出てるな。おお、厄い厄い。

 つーか、人の身でアカシッレコード(そんなもん)に接続したら、廃人になるんじゃなかろうか。……いや、コイツ雷神の系譜だって話だし、大丈夫だろ多分。いざとなったらなんとかして貰えばいい

 あ、今度はネット小説の話になった。

 俺も好きだけど、かなり現代娯楽にどっぷりハマってんなぁ。

 聞いてる限り、どうやら他の世界にも転移するっぽいが、どうやら殆どが原始時代みたいだな。……え、まさかだが、あの上位存在(ひと)が言う世界ってそれも含めて「一つの世界」なのか? 

 ファンタジー系のラノベにあるような、天界や魔界や人間界が三つで一つの世界、みたいな感じで。

 なんやかんやで、叶馬はスキルをインストールさせられた。

 なんぞ『最源言語(オリジンコード)』とか言う心の中の中学生が歓喜しそうな設定も出てきた。どうやらお姉さん本人にも分かってないと言っているが、どこまで本当なのやら。

 細やかな説明をされたが、基本脳筋の馬鹿(とうま)だ。半分も分かっていれば御の字だろうな。

 

「さて……それじゃ、お兄さんの方もお仕事しましょかぁ。なんぞ買ってはりますぅ?」

 

 叶馬との商売が終わったと思ったら、俺にもそう声をかけてくれた。

 さて、どうするか? 

 叶馬が貰った二つのスキルだが、俺は既に()()()()()()()()()()()()

 だが……

 

「では、「社」に関連するスキルなどがあれば。それと……対価はコレで」

 

 対価として、俺は「大きな神霊石」を取り出してカウンターに置いた。

 するとお姉さんは驚き、慌てた様子で俺に言う。

 

「ちょちょちょ!? こんなん貰い過ぎですわぁ! こんな大きくて純度も高くて内包してるアムリタの量もとんでもない代物出されたら、あても出せるもんが無くなってしまいますぅ!?」

 

 ……そうか? 

 正直、これなんてそんなレアモノじゃないぞ。

 奈落獄に行けば簡単に手に入る代物でしかない。霊石関連なんてゴロゴロ出てくる。小さいのからデカいのまで。

 むしろ自分が望んだオプション付きの装備が出ない事の方が大変なんだが。

 

「そらそうですよぉ。今「あそこ」に入れる挑戦者は、お兄さんくらいですぅ。お兄さんが新しい挑戦者を呼び込まなければ、「あそこ」はランダムに人を取り込みますよぉ。何も知らない人が、入って出られるとはあても思いません。多分、「喰われて」終わりますぅ」

「……でしょうね」

「だからこれ、言うならばお兄さんしか仕入れる事の出来ない激レアのブツなんですよぉ」

「成程、ブツの性能以上に希少価値も果てしなく高い、と」

「性能自体も超が付く逸品ですぅ。アムリタに慣れてない人が強い情念で使えば、一気に紛い物の「神さま」になってしまう程度には」

 

 ……あー、つまり暴走するくらいの強い力が手に入る、と。

 

「お兄さんやあんさんのように、少量ずつ着実にアムリタを取り込むなら、暴走の心配はありません。でも、この量をいきなり取り込んだら……普通の人は、意識が消し飛びますぅ」

「まあ、化け物になるでしょうね。そうなったヤツは向こうで見ました」

 

 と言うよりもそのなれの果てっぽい連中も「魂代」として俺は入手している。つまり、「人じゃなくなる」ワケだ。

 

「でしたら……」

 

 俺は複数の要望を出した。

 精霊さんに出す要望としては、どんなもんかと思ったが、それでも俺が出した対価には足りないと言われてしまう。

 だったら、俺には現在、相手をしてくれる女子はいないからな。

 

「では、性欲を外でも制御出来るように出来ませんでしょうか?」

「…………はい?」

 

 

 

 

 

 

 □

 

 

 

 

 

 

 

「え、ここは……?」

 

 波音が耳に入り、誠一は目を覚ました。

 朦朧とする意識の中、何故自分はここにいるのかと混乱した。

 そして思い出す。

 ダンジョンの中で、麻衣とセックスした事を。

 静香が、麻衣が、そして自分が、ゴブリン共に殺された事を。

 叶馬に託して笑って死んだ事を。

 痛みや恐怖、そして折れなかった矜持が、確かに身体に刻まれている。

 

「……なにが「死に戻ったら記憶を失う」だよ。しっかり覚えてるんじゃねぇかっ」

 

 震える身体で悪態を吐く。

 だが、本能的に何かズレている事にも気付いた。

 まるで、『羅城門』とは別のシステムが作用しているような……

 

「……ふ、ぐす……っ」

 

 そんな時、少女の啜り泣く声が聞こえた。麻衣だ。

 

「っ、麻衣!?」

 

 振り返ると、麻衣が自分の身体を抱き締め、泣いていた。

 そんな彼女を視界に入れた誠一は、思わず駆け寄って強く抱き締めた。

 

「……え、せい、いち……?」

「ああっ、俺だ。おまえ、どうして……」

「わかんない。でも、目が覚めたら、静香や、あたしが、死ん おぼえt」

「いいから!」

 

 支離滅裂な様子の少女を、もっと強く抱き締める。

 人肌の温もりで、少しでも精神を落ち着かせようとした。

 

「ここは……」

 

 そんな中、顔色は悪いがまだ平静な様子の静香が、周囲を見渡す。

 大きな木の中に、広場のように空間が広がっている。木の内壁にはあちこちに仏像が掘られ、灯りに照らされていた。

 外に出る場所が二つあり、桟橋があった。その向こうには水面が広がっているではないか。

 更に目に付くのは、中心に隔離するように囲われた小さな草木だ。しかもそれは黄金のオーラを漂わせていた。

 

 

 

『ここは、『中陰の間』と云う』

 

 

 

 そう見知らぬ声が告げる。

 驚き、そちらを見ると──仮面を付けた謎の人物が地面に座っていた。獣の耳がついた聖徳太子なんかが着けてそうな古い帽子を被っており、尻には動く尾があった。明らかに人間ではない。

 

「何モンだ!?」

 

 誠一が、麻衣を庇うように前に出て誰何する。

 そんな警戒する三人に、楽師の老翁は手で落ち着くように促した。

 

『ワシは、六科(むじな)と云う楽師じゃ。まあ、説明役よ』

 

 穏やかにそう言って、抱えている琵琶を撫でる。

 

「説明役……?」

『うむ。お主らは、あの雷神殿に簡単にでも説明を受けた上でこちらに来たんじゃろうが……』

「待ってくれ! 説明って、いったいなんの事だ?」

 

 誠一が六科の言葉を遮る。

 仮面越しなので誠一には分かり難かったが、きょとんとした様子で六科は黙り込んだ。

 

『……ふむ』

「六科の爺さん、どうやらこの馬鹿が説明してなかったらしい」

 

 首を傾げる楽師。

 そんな彼に聞いた事のある声が話し掛けた。

 思わず三人共、声のした方向へ振り返る。

 

「秀龍先輩!?」

「おう」

 

 振り返ると、外の桟橋から歩いてくる二人の姿があった。

 秀龍と叶馬だ。しかも叶馬は、どうしてかタンコブを脳天に拵えている。

 

「……ど、どうしたんだ叶馬?」

「いや……先輩から言われていた事前説明を省いていたことで、お叱りを受けただけだ」

「事前、説明……」

 

 惚けたように、静香が呟く。

 誠一は、背筋に冷たいものが走る感覚を覚えた。

 そんな感覚を肯定するように秀龍が謝罪する。

 

 

 

「……すまん。結論から言うが、お前らは今後、ダンジョンで死んでも魂を落とさず、記憶を失わなくなった代わりに、ある異世界(ダンジョン)を攻略しなきゃならなくなった」

 

 

 

 告げられたのは、追加DLCと新ダンジョン(だれもしらなかったしんようそ)によって本来の筋道から外れた事。

 それもこれも、この他人事のような顔をしている唐変木の所為である、と誠一は理解した。してしまった。

 

「……お前のせいか?」

「…………すまん」

 

 笑みを浮かべながらも、自分の額には青筋が浮かんでいるのだろう。麻衣や静香はまだ混乱しているようだ。叶馬はそんな自分たちから視線を逸らす。

 先輩は、何が起こったのか説明しようと口を開こうとした。

 だが、その前に。

 誠一は取り敢えず、先輩に倣って馬鹿を殴る事にした。

 

 

 

好きな武器種、または活躍してほしい武器はある?

  • 二刀
  • 斧(鎚)
  • 鎖鎌
  • 大太刀
  • 旋棍
  • 手斧
  • 薙刀鎌
  • 仕込棍
  • 手甲
  • 弓・銃・大筒
  • 大筒(からくり)
  • からくり刀
  • 野太刀
  • 弓(からくり)
  • 鎚(からくり)
  • 変形棍
  • 飛燕刀
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