ハイスクールH&S with [Nioh2][Wild Heats] and more 作:「秀吉」
「うーん……やっぱりリンゴちゃん、ちょっと元気ないね」
「そう……トラウマって厄介ね。相手がどんな人か分からないんだから開き直ればいいのに……」
「それが出来ないから、リンゴちゃんは優しいんだよ」
「……ええ、そうなんだけどね……」
「…………よぉーし。だったらさ、こっちから挨拶に行こうよ!」
「……えっ?」
「まだ入学して一週間も経ってないんだよ。その人がどんな人か今知っておけば……」
「今後の対策が立てられる、って事ね。そうね……何なら朱音と紫苑に骨抜きにして貰えれば……」
「あー、乙葉ゴメン。ちょっちアタシら用事があってさ、知り合いの男子から後輩くんの筆下ろし頼まれてんの」
「サクっとヤってくるつもりだけど、多分そのままお泊まりコースが濃厚なのよねー。だから『娼婦』の知り合いで空いてる娘を呼んどくね」
「……はあ、前途多難ね」
──女子寮・麻鷺荘『姉妹』会議にて──
「どうするべきか……」
秀龍の住む『墨烏荘』の食堂にて、叶馬の呟きに誠一が反応する。
「どうしたよ叶馬」
何やら生徒手帳と言う名の携帯端末を見ていた顔を上げて見遣る。
叶馬は『
「ああ、これを見てくれ」
「秀龍先輩から貰った仕込棍か」
誠一の言葉に頷き、首を傾げながら「下忍の仕込棍」に目を落とした。
「先輩は、これを低品質の武器だと言っていた」
「ああ、言ってたな。……これでか」
誠一も生徒手帳をテーブルに置いて、まじまじと見たその武器のクオリティーに唸る。
確か秀龍は、これ以下の品質の武器は「戦国奈落獄」では落ちない、と言っていた。
つまり、これが最底辺の武器ということになる。
「雷のエンチャントが付与されているのも、ただの偶然だと仰っていた」
「……つまり、もっと凄ぇ特性を持った武器が山ほどあるって事か」
「それを踏まえて、昨日の放課後に見に行った購買の武器の質を考えると……」
「あー、成程」
誠一は納得する。
昨日二人は、秀龍の食料品の買い出しに同行した。
元々は一人用(二週間ずつの配達)の食材しか備蓄されていないのに、健啖家が四人も増えたせいで想定以上に物凄く減ってしまったからだ。
このままじゃ拙い、と秀龍が購買に向かったので、荷物持ちとして男二人が付き従ったのである。一年の女子が大荷物を持っていると怪しまれるので、静香と麻衣は自寮である『白鶴荘』へと戻って貰ったが大層不満そうだった。
まあ、食事もそうだが、セックスする時間が減るのを二人は嫌がったのである。
不機嫌そうな女性陣を脳裏から排除して、誠一は叶馬の言葉に同意した。
「分かるぜ。俺らが『銭』で買えるレベルの武器じゃ、どう考えてもこっちの性能が良いもんな」
電子マネー『銭』が、この学園で使用出来る唯一の通貨だ。
新入生は一律で『十万銭』という資金を学園から提供されるが、新入生お勧めセットと称されるパッケージは『九万銭』。つまり生徒は残り一万銭で生活しなければならず、そうなるとどうしても強制的にダンジョンに足を向けなければならない。スタイルが良い(美女美少女は当然)女子は上級生に囲われればそこまで心配はないが、そうなれば『とある職業』のルートに大体確定してしまう。
余談だが、秀龍は既に食材を買い込んだせいで、残金は八万銭だった。なのでこの男はお勧めセットは買えない。もし知られれば、一年生で一人か二人出る馬鹿の類、と思われるのは明白だ。
だが実際は、既に高性能な防具を幾つも所有しているし、武器だって高品質な物を数十数百本持っているという御大尽だったりする。
そして、叶馬たちもまた、「戦国奈落獄」の序盤ステージである「十三桜の村」にて、使えそうな武器防具を入手している。
「そうだ。それなのに馬鹿正直に、カモフラージュの為だけに九万も溶かすのはどうなのか、と……」
言われて誠一も悩む。
武器だけだとこのレベルなら三万から四万程度で済むのだ。
簡易ボディアーマーや強化プラスチックの盾は防御力だけを考えれば、正直いらない。応急手当の医療品やLEDランタン、水筒は有用だ。しかし誠一たちもまた小規模ながらスキルで異空間収納が使えるのだ。前者二つは兎も角、水筒は携帯性に優れている=小さいので、大きいペットボトルや大容量の水筒を買った方がまだマシだ。
「目立たねぇ事を考えるなら、パッケージを購入一択だろうな。だけど……うわ、マジで勿体ねぇ」
頭を抱えてしまう。
元々根が貧乏性な誠一だ。
どうしても選択肢が増えると悩む傾向にあった。盾やボディアーマーや水筒を無くせば、『銭』は、六万から七万銭辺りでお釣りがくるのだ。二万以上の余剰金があれば、学園生活にかなり余裕が持てる。
「……「奈落獄」と「東の国」で入手したアイテムは、基本俺たちで使うしなぁ」
「仙薬*1などを学園に提供するのはどうだ?」
「あれを買い取って貰うって? 止めとけ、どうせ文句つけられて二束三文で買い叩かれるのがオチだ。回復効果のある薬なんて本当は凄ぇ高価なんだよ。テキトーな理由を付けて没収される可能性だってある」
学生には、副作用云々があると謳っているが、本当は違う事は勘の良い生徒なら気付いている。
そして、誠一もまたその中の一つ──『
「正直、秀龍先輩が「アムリタ」って言ってる時さ、ちょっとは動揺したんだぜ? だけど聞いてる限り名前が同じで違うシロモノだってすぐ分かったけどよ。……むしろこっちの方が厄ネタ度は高い気もするが」
『
だが秀龍が踏破した「戦国奈落獄」では、肉体を強化するだけでなく、過剰に摂取すれば人外へと変貌する「力」そのものの名前だ。
危険度で言えばこちらの「
「……そう、だな。敢えて最低限の出費で抑えるか。どこで誰が見てるか分からんが、ダンジョンまで追いかけてきてもなんとかなんだろ」
「いるのか?」
「いねぇと思ってんのか? 表向き、ダンジョンだと死んでも蘇れるんだぜ。それならPKやるヤツは出てくるだろ」
「……むう」
納得の表情を浮かべて叶馬が唸る。
そんな時だ。
「ごめんくださーい!」
玄関から、声が聴こえた。
女子の声だ。
しかし、知らない声だった。
「誠一、ここをデリヘル扱いするとは……先輩に申し訳ないと思わんのか」
「ナチュラルに俺が呼んだと断定するんじゃねぇよ」
「あれー? 誰かいませんかー」
「ちょっと蜜柑ちゃん、あんまり大きい声は……」
何やら複数人で来たようだ。何か用事があるのだろう。
秀龍は確か、今は「湊」にいる筈だ。
誠一が近くにいる『つくも』に秀龍を呼ぶように指示を出している間に、叶馬が玄関に向かった。
「でも、乙葉ちゃん、挨拶は──」
「こんにちは」
「──ひぅ!?」
何やら小さい女子が隣のキツい印象の女子に怒られているのが、叶馬の目に入った。
つい声を掛けたが、それに過剰に反応する女子二人。
何やら怯えた様子で、小さい子がキツめの美人さんの背中に隠れた。
「え、えーと……あ、アナタが、この寮の人なの?」
「……いいえ」
住人のように入り浸っているが、本来叶馬と誠一は『黒鵜荘』の寮生だ。
実はそんな『黒鵜荘』では、色々と寮の決まりを破りそうな問題児候補として、裏で二人は自治組織『
もしそんな叶馬が、女子を連れ込んでいたとすれば──その女子は、上級生を始めとしたあらゆる寮生に輪姦されていただろう。まあ、マークされてなくても女子を連れ込めば輪姦されるのが、この学園のエントリークラスの寮では当たり前ではあるが。
だが、最近「戦国奈落獄」を攻略し始めた叶馬の雰囲気が恐ろしくなってきたので、逆に上級生も委縮するようになった。なので今は、アンタッチャブルな存在として認識され始めていたりする。
そんな叶馬の雰囲気に気圧されて及び腰になった女子が恐る恐る訊ねた。
「そ、そう。なら、この寮に住んでる一年生はどこにいるの? あの、ちょっと事情があるって噂の」
「秀龍先輩ですか」
言動から察するに、恐らく上級生だろう。
そう判断した叶馬は、丁寧な対応を心掛けた。
「あ、そんな名前なんだ」
「先輩なら、少々席を外しています。今、友人が呼びに行っているので、少し待って頂けると──」
「なんだ、お客さんか?」
声がした。
振り返ると、全身汗だくの長身巨躯の男が立っていた。
秀龍だ。上はTシャツ一枚で、下は薄手のカーゴパンツを履いていた。
「はい。何やら先輩にお話があるとか……」
「……汗かいてるから、今からシャワー浴びてもいいか?」
少女たちは、そう聞かれて思わず頷いた。
□
「済まんね、ちょっと風呂の改修の準備に立て込んでてな」
苦笑しながら秀龍が食堂に入ってくる。
その様子をじっと
「いえ、時間を作ってくれてありがとう。私は『麻鷺荘』の『
「ああ、秀龍だ──です、か?」
「同い年でしょ? だったら畏まらなくてもいいわ」
乙葉が、ジャブを放つ。これでどう対応するのかを伺うつもりなのだ。
「……そう、か? なら、乙葉嬢と呼んでも?」
馴れ馴れしく呼び捨てで女子を呼ばない。女子たちは内心驚いていた。
と言うよりも、自分の寮に女子が入ってきたにも関わらず、常識的な対応をされている時点で好印象ではあった。普通ならば、一歩でも男子寮に足を踏み入れれば誰かの部屋に連れ込まれて強制的に大乱交セックスとなってもおかしくないからだ。
だからこそ、乙葉はそうならない為に『
「なんか飲むかい?」
「いいえ、お構いなく」
「……ふーん……」
目を細める秀龍と誠一。
その断る早さに、裏を読み取ったのだ。
飲み物を警戒するような『何か』がある、と。恐らく媚薬の類い。
勘づかれた事に乙葉が少し警戒するが、しかし男二人は媚薬ではなくそれを使う人間の心理について話し合いだした。
「薬を入れて──か。ンな事するヤツがいるのか?」
「まぁ、強くなりゃ性欲が強くなるし、女ヤろうとするゴブリンとかいるようなエロ要素が満載のダンジョンですよ? 媚薬の類はあっても不思議じゃねぇっス」
「……薬に頼るかぁ。そういうのは年取ってからで良いと思うんだが……」
「ま、自分に自信がねぇんでしょ、そーいう連中は」
「ふむ?」
秀龍の真っ当な意見に、肩を竦める誠一。
首を傾げる叶馬。
「カップルがマンネリ打破で薬に頼る、というのは聞く話ではあるが……となると、そういうモノなのか?」
「……分からんなぁ」
「ま、俺らにゃまだまだ縁の無い話ですって。だって、
その言葉に、少しだけ秀龍が目を細める。
言外に誠一が、『情報を漏らすな』と言っていると気付いたからだ。
「誠一、なにを────っ!?」
馬鹿が何か言う前に、秀龍はテーブルで見えないように身体を前に向けたまま、後輩の横腹に拳を密着させて無音の打撃を放つ。
俗に言う無寸勁──ノーインチパンチを受けて、叶馬は悶絶した。
舌打ちする秀龍。威力が高すぎたと反省。
あーあ、と誠一が嘆息する。
「ど、どうしたの……?」
「いえ……お気になさらず…………」
ちんまい可愛い系の女子が心配そうに馬鹿に話し掛ける。
「いやいや気にする必要はないっス。……単に腹が痛くなっただけだろ? なあ?」
「いや、まあ……脇腹が痛いのは事実だが……」
誠一が秀龍のフォローに入り、叶馬に言質を取らせる。その言葉に少女は安堵した様子を見せる
どうやらこの小さい少女、この学園で一年生きているのにかなり純心らしい。
乙葉と名乗った女子ともう一人は微妙に身構えていたが。
「……失敬。色々と」
「……いいえ」
秀龍が少し頭を下げる事で、この話は流す方向に。
しかし乙葉は思考を回す。
(恐らくこの三人、ダンジョンを死に戻りせずに攻略する何らかの方法があるのね?)
上級生に伝手があるのか。
それとも安い掘り出し物の武器を見つけたのか。
まあ、それはいい。
問題は──その後だ。
ダンジョンによって増大した性欲、その解消方法をこちらで提示出来れば──
そう思っていると、小柄な女子が提案する。
「……ねえ、もし良ければ」
「…………」
誠一が、少し眉を動かす。
警戒しているのが分かった。
何かを切り出すかによって、この男子は態度を変える──ともう一人の女子生徒は冷静に見立てていた。
「ウチ──『
「……はい?」
乙葉は友達を大切に思っている。
だからその発言には驚いた。
今まで喋らなかったもう一人の女子も驚いた顔を見せた。
「……詳しい話、聞かせて貰えます?」
誠一が真剣な顔で、小柄な女子の先輩へ話を促した。
□
「えっとね、多分まだ知らないと思うんだけどね? この学園って倶楽部に所属するのを推奨してるの」
「そうなのですか?」
叶馬の発言に、小柄な少女は胸を張る。その態度に馬鹿が少し惹かれたのを感じ取った秀龍は、再度無音で無寸勁を打ち込んだ。
今は色ボケしとる場合じゃねぇだろう、との意味合いを込めて。
そのコントを他所に誠一が応える。
「まあ、そこまで調べてるヤツは少ないでしょうね」
「って事は、キミは知ってるのね?」
乙葉が誠一に訊く。
「まあ、多少っスよ。知ってるのはランクと参加人数と倶楽部同士で対抗戦があるくらいですね」
「十分ね。他にも色々優遇措置はあるけど、基本的にダンジョン探索は倶楽部のメンバー同士で行うのが主流よ」
そして、小柄な少女──蜜柑と名乗った女生徒は、
職業、という単語に叶馬が首を傾げるが一旦無視する。
「部長でしたか。お見それしました」
「ふふーん」
分らぬままに叶馬がする中身のないヨイショに気を良くする蜜柑。
そんな彼女の様子にほっこりする女子二人。
「すんません、蜜柑先輩。だったら一度、
手に取って武器を確かめたい、と誠一が言えば蜜柑は頷く。
それが当然だと職人である彼女も分かっているからだ。
寧ろそう言うつもりだった蜜柑としては、好ましい態度だと言えた。他二人も誠一の発言に頷いている。
己の命を預ける武器はきちんと手に取って感触を確かめなければいけない、と重々に三人共承知していた。寧ろ一番それを実感しているのは、誰よりもあの地獄を駆け抜けていた秀龍だろう。
「うん、いいよ。あ、そうだ。今持ってるのはコレだけど、どう?」
身に付けていたバッグの中からナイフを取り出した蜜柑。
誠一が受け取り、驚いた顔を見せる。
「こりゃ……購買の初心者用の武器よか出来が良いっスけど、値段はどんくらいですか?」
提示された値段を聞いて、普通に誠一は絶句する。
明らかに逆ボッタクリ価格だったからだ。
つまり安過ぎる。
「いつ聞いてもおかしい値段よね……」
「……まあ、それが蜜柑さんですからねぇ」
女子たちも呆れた様子だ。
しかし、その目の奥には蜜柑への信頼があるように誠一には感じられた。
「……誠一」
叶馬が手を差し出してくる。
どうやらナイフを見たいらしい。
手渡してやると、じっくりとそのナイフを検分する。
「素人なので、分からない部分もありますが……かなりの良品のように見えます。本当にその値段で良いのですか?」
「うん。だってこれ、初心者の子たち用にって作った武器だもん」
だからお値段もお手心価格なのだ、と言われてしまう。
「…………」
再度、絶句である。
誠一は思わず先輩女子二人に視線を向ける。両者、苦笑と共に視線を逸らした。
「分かった。明日必ず、ダンジョンに行く前に寄らせて貰うよ」
「うんっ。宜しくね!」
秀龍がそう言って、少し笑う。
何故この場にこの小さな少女がいたのか、その思惑の一端を理解したからだ。
彼女の考える顧客層は、恐らくまだ資金に余裕がない生徒──つまり一年生を想定しているのだろう。
既に馴染みのクラフターがいるであろう同世代や上の世代よりも、まだ手垢の少ない
その上で妥協を許さない凝り性のようだ。これならば品質自体も問題はない。
恐らく状況がハマれば、かなりの顧客を手に入れられるだろう。
そう思っていると、
「……」
黒髪に赤いメッシュが一房入っている長髪の美女が、少しだけ心配そうな顔を見せていた。
□
唐突に同じ『
友人の凛子が不安そうな表情を浮かべる理由が分かったからだ。
彼女は『麻鷺荘』の寮生ではなかったが、しかし紆余曲折あって『
一年の頃にクラスチェンジし、『
そんな時に、凛子とは倶楽部同士の交流で出会ったのだ。
普通のセックスから大抵の変態的な行為までさせられたし、なんなら凛子とも絡み合いながら複数の男子に奉仕した事もあった。
このまま流されるままに
その倶楽部が壊滅したのである。
早い話が、倶楽部に所属する全員が『
ダンジョン探索中に、偶然見つけたレイドクエストに喜び勇んで学園に報告せずに侵入し──彼女以外の全員が帰らなかったのである。同行していたオナホ女子たちもだ。
彼女は当時、『銭』を稼ぐために客を取っていたので参加していなかったのが功を奏した形だった。
これにより、当時のご主人様であった上級生の男子とのパートナー契約は消滅。
彼女は、所属する倶楽部のない『
この時、彼女は絶望と希望──その両方を味わった。
碌でなしだったが、確かにその倶楽部は彼女にとって『寄る辺』ではあったからだ。そこには確かに安堵があった。絶望もありはしたが。
そんな環境から放り出された彼女。
男子の前で股を開いて腰を振る事しかしなかった──否、させて貰えなかった彼女は、『何もかも』を自分で決めなければならなくなったのである。
幸いな事に、その倶楽部の遺産は、唯一の生存していたメンバーである彼女の物になった。
だが、このままだと更に悲惨な目に遭う──という危機感が、彼女に停滞を赦さなかった。
なので彼女はまず、彼女が知る限り最も浅い階層を探索している男子に頼み込み、一夜を共にする代わりにダンジョンに同行させて貰ったのである。
早い話が、変則的なレベリングであった。
『
ならば──同じ実力まで積み上げれば良い。
そう、彼女は考えた。
後は死に物狂いだ。
ダンジョンへ同行する男に抱かれる傍ら、勉強や教養を得る事にも力を入れた。
ダンジョンにも何度も挑んでは死ぬ事無く生還し、地力を高めた。男に放置された凛子が所属した『
その過程で、かつての倶楽部の遺産を全て食い潰したが後悔は無かった。
結果。
彼女は、独特な立ち位置を手にする事が出来た。
少なくない高額な『銭』を用意した生徒に対して、一夜限り数時間の相手となる女。
教養や知性に溢れ、またダンジョンでも個人で戦える実力を兼ね備えており──それを所作で魅せる才女。
そんなレッテルを自分へ張る事に成功したのである。
この学園、男尊女卑の精神が根強い為に、男よりも強い女は忌避される傾向にあった。
そんな面倒な女を相手にしなくても、肉壺になる女は山のようにいるからだ。
だから彼女は、実力者が気が向いたときに銭を払って相手にする女──そういう立場になったのである。
更に──『お気に入り』が出来たら、『その人』のみに奉仕すると公言もしているのだ。
手に入らないかもしれない抱ける女に意識を向ける男もそうはいない。故に、客の数も減少傾向にあった。
それが彼女──二年辰組所属、『
名を
世にも珍しい、戦う『娼婦』である。
この作品での独自設定
○『失踪』した生徒の情報は、表向き破棄される。それはパートナー契約も同様であり、その事実すら無かったことにされてしまう。
○所属する倶楽部で『失踪者』が大多数出た場合、生き残った生徒には箝口令と共に、『失踪』した生徒の全ての遺産が分配される。物品からパートナーまで全て。男子が生き残れば、その部に所属する生き残った女子をパートナーにする事も可能。