泊まりのウリで↑と合ドラ仕込まれてマジ狂い、でも心はまったく満たされない。
なぜかって最近のウリの客はいつもいつも狂気山脈の話を聞こうとするからね。
拓也にとってあの話は思い出したくない黒歴史。
だからどんなに客に誘われても断ってしまう。
だが拓也はこの先もきっとずっと永遠に狂っている。
山中で夢みたコージーの骸骨と、スコットが滑落する様は今でも
悪夢となって蘇る。
あのときの光景は生涯忘れられないだろう。
だがそのことは誰にも語らない。
自分だけが知る地獄。
それは自分が背負っていくべきものなんだよね。
そんなことばかり繰り返していて拓也が狂っていないはずがない。
拓也の精神構造は異常だ。
今の俺にNGなプレイはない。
だから最近のプレイはマジきつい。
水没窒息フィストスカトロ何でもありだぜ。
でもあの悪夢に比べたら大したことないから
平気、大丈夫……だと思うんだけどやっぱ辛いもんはあるよな。
それに、……マネージャーもかなり危ない状態。
最近は仕事を休むことが多くなってマジ寂しいけど、きっと俺よりも辛いはずだからしょうがないよね。
マネージャーの家に行ってなんか声かけてやりたいとも思ったけど、拓也がいったら狂気山脈を思い出しちゃうから行けないよねって感じ。
それと、ケヴィンが亡くなったことは未だに信じられないんだよな。
突然穂さんから電話がきたかと思えば、ケヴィンが危篤状態になったって話。
マジきつかった。
俺が行った時には既に手遅れで死んじゃってた。
あんなに元気だったケヴィンの葬式に参加したことが不思議でならない。
ケヴィンは死に場所について、やっぱり山で死にたいね、んでその死体がエヴェレストのグリーンブーツみたいに登山者の目印になったら尚更嬉しいねとか語ってたのに、今じゃ地面の下。
早朝に客が帰ったあとセクフレに歩けねぇんで助けてくれってメールしたら今からホテルへ行って掘ってやるよ、タチも掲示板で何人か調達してやるよ、て答え。
待つこと20分、セクフレにめちゃめちゃ感じるアナルの花びら舐められてよがりまくっていると、突然意識が吹っ飛んで気絶した。
目覚めたら拓也は見知らぬ荒野にいる。
そして背後には山。
ここは……どこなんだ?赤茶けた砂と、花崗岩の巨石が転がる広大な大地。
空気は乾燥しており、砂埃が時折舞い上がる。
近くか
らは河の流れる音がする。
空を見上げると巨大な月があった。
その姿からは神秘的とも言える何かを感じる。
拓也は興奮した。
大自然オナニーでもしようかと思ったけど拓也の周りには、まるでこれから冬山にでも登りに行くかのような登山装備を身にまとった、ひと目で一端の登山家であることが分かる4人の人間が立っていた。
拓也「え……っと……これは……どういうことなんだ?」
5人はそれぞれ顔を合わせて固まった。
そしてその中の1人がこう言う。
???「ここは、何処だ……」
その人は女性。30 代前半くらいだろうか。長い金髪の白色人種。
彼女は登山服の下に、胸当て、膝当、脛当などを装備しているが、その装備はどれも真新しく、新品同様のようで、高価なものに見える。
腰にはホルスターと銃が入っていると思しきバック。
そして彼女の手には無線機がある。
????「俺も分からないです」???「ここはどこだろう?」
彼らはお互いが誰なのか全く知らないようだ。
でも拓也はそこに一人知った顔の人物がいることに気が付く。
カメラをぶら下げた長身の青年、スコットだ。
拓也「え……もしかしてスコット?」
スコットはこちらに気づくと、
スコット「拓也、か。
そう……だな、そうだよ。
でもどうして」
拓也はスコットに近づくと彼の頬にキスした。
拓也「スコットだよね。
でもどうしては俺のセリフだぜ、ここ、どこなんだろう?」
拓也は自分がいる場所を改めて確認した。
どうやら、荒野に放り出されているみたい。
スコット「……」
彼は何か考え込んでいる様子だったが、すぐに顔を上げると、 スコット「拓也は、本当に拓也なのか」
彼はまるで俺が目の前いることが信じられないかのように困惑していた。
????「もしかして君ら知り合いなんすかぁ?」
そんな俺たちに一人声かけてくる男がいた。
見た感じ俺と同じ日本人で、甲高い声が特徴、短髪で、色黒の男だ。
????「田所浩二です。
俺も仲間に入れてくれよなー頼むよー」
拓也「俺の仲間はスコットだけだ、悪いけど他当たれ」
田所「冷たい事いうなって、俺とあんたらは同じ遭難者じゃないすかぁ」
??「ちょっと待ってくれないか。
私はデナリー・ウォシュバーン。
イギリス人だが日本育ちで日本語もできる。
まず状況を確認させてくれないだろうか」
金髪のオンナも話しかけてきた。
身長は170cm以上はあるだろう。
顔立ちは非常に整っており美人だ。
名前になぜか見覚えがある。
デナリー「そちらの方、名前は」
拓也「ウッス、俺の名前は西条拓也だ、一応、よろしく」
スコット「俺はスコット・アヴァロン。
アメリカから来た」
田所「スコットとタクヤだな。
よろしくな」
拓也「ああ」
スコット「……」
そして俺たちの視線はもう一人の仮面を被った緑髪のガキの方へと向けられた。
こいつは一体なんなんだ。
田所「いったい何者なんすかぁ?」
??????「ふっふっふ、よく聞いてくれた、僕の名前は……偉大なる登山家である僕の名前は、ゴブリン仮面!」
全員「……はい?」
ゴブリン仮面「僕は……そうだな、K2の登頂を何度も果たし、南極の狂気山脈さえも制覇してきた……正真正銘の……スーパーハイランダーさ」
狂気山脈を登頂?こんなガキが、あの山を登るなんてふざけてるぜ。
拓也「なんだコイツ……狂気山脈を登頂したのは俺だぜ」
田所「頭おかしいんすかぁ?(嘲笑)狂気山脈を登頂したのは俺なんだよなぁ」
拓也「え?」
田所「ファッ!?」
俺と田所はお互いに見つめ合ったまま固まってしまった。
田所「お前何ふざけたこと言ってんだ?」
拓也と田所の間に不穏な空気が流れる。
あの山は、拓也が登頂して以降、どこかへと姿を消したはず。
だから誰かが登ったなんて絶対有り得ない!
このやり取りの直後、場の雰囲気がパンパンに張り詰める。
デナリー「狂気山脈、だと……!?ふざけるな!お前たちがあの山を登ったはずがない。
あの山は、私が参加した第三次登山隊の初登頂の後、まだ誰も登っていないはずなんだからな」
拓也「スコットは登らなかったけど……でも、オレは確かにあの山の頂点に立ったんだ」
スコット「……ああ、確かに俺は途中で滑落して観測できてないけど、拓也は頂上に行ったんだよな、そんな感じがするよ。」
田所「……冗談キツイっすよ、そんなわけないじゃないっすか……あの山に登れる人間がいるなら、俺みたいな世界最高峰のクライマーですよねぇ?」
スコットは無言で、しかし強い意志を持って首を横に振った。
スコット「違うんだ、俺と拓也は、あの時第二次登山隊のメンバーで」
デナリー「第二次登山隊の参加者だと……それは、あのケヴィン・キングストンや、コージー・オスコーたちが参加した、第二次登山隊の事を言っているのか?」
拓也はその二人の名前を聞いて驚いた表情を浮かべた。
拓也「あんた知ってるのか?」
デナリー「第二次登山隊は全滅した。
彼ら全員の遺体を発見し、回収したのは、他ならぬ私だ!」
田所「マジっすかぁ?第二次登山隊は俺を含めて全員登頂を成功させましたねぇ!不謹慎な発言は止めてくれよな~頼むよー」
デナリー「有り得ない、生存者はいなかったんだ!」
ゴブリン仮面「フッ、何をバカなこと言ってるんだい?あの狂気山脈から生還したのはこの僕一人、君たちはまがい物だ、偽物の、ニセモノの、イミテーション!」
拓也「意味わかんねーよ。
いや、俺はホントに」
スコット「拓也はホントにあの時のメンバーだったんだ」
デナリー「いや、あり得ない、絶対に有り得んぞ、だって……」
5人の会話が混迷を極めてきた頃に、拓也達のもと
にひとりの老人が現れた。
拓也はその老人をみて、
驚きの声を上げる。
顎に長い髭をたくわえ、右
手には杖、左手には古めかしい一冊の本をかかえてい
る。
傍らには一頭の荷運び用のヤクと、そして数匹のネコを連れていた。
いきなり異世界の住人みたいなのがやってきたのを見て、5人は混乱し、警戒している。
????「旅人の皆様。戸惑われるのも無理はない。だがどうか落ち着いて聞いてくだされ」
拓也「……アンタ誰なんだ?」
????「貴方達は各地より呼び寄せられたのです。あの山を登る資格を持つものとして」
拓也「山を登るって……どういう事だよ!」
もう俺は山なんか登りたくない!初めは楽しかったけど、今はもう見たくもない。
老人は指差す。
その示す先はるか彼方には、白い雪を被った、切り立つ巨大な山が天をつんざいて聳えていた。
拓也「……!」
田所「なんすか……アレ……!?」
????「名もなき山、“無名峰”。……あるいはかつては名があったのかもしれませんが、忘れ去られてしまった山です。標高はおよそ 16,000 m。何人も寄せ付けぬ、人類未踏の峻厳なる山にございます」
あの背後の山は、富士山の4倍くらいはあるように見える。
デナリー「まさか、あの山を登れとでも言うんじゃないだろうな?そもそもお前はだれだ?」
シェルパ「申し遅れました。私はかの山の案内人。名のるほどの名はございませんが、貴方達の世界でいうところの“シェルパ”というのに近いものでございますゆえ、私を呼ぶ際はシェルパとお呼びいただければ。もし皆様があの山に挑まれるつもりがあれば、私についてきてくだされ」
シェルパっていうのは、登山用語でいうところのガイド役だ。
拓也「あのさぁ、さっきから何ワケわかんないこと言ってんだよ!もういい加減帰してくれよ!」
拓也が怒鳴りつけてデカマラを勃起させ威嚇すると、シェルパと名乗った男は、悲しげな顔をして言った。
シェルパ「今置かれているこの状況、そして私に対して、不信を抱かれる気持ちは理解できます。だが、私には分かります。きっと貴方達はあの山に登らざるを得ないはずだ。あんな山は地上のどこを探しても他にはありません。きっと、貴方達の心の空虚を満たすものであるはずです。違いますかな?」
拓也にそんな空虚は感じられないはずのだが、分からない……。
あの大黒壁を全裸で登った時の快感は、忘れようとしても忘れられないもの。
無意識に登りたいと思ってしまっているのかもしれない。
デナリー「ふむ、確かにな。私もあの山を見れば、なぜか心のどこかで、何かを求めてしまうような気がするな」
図星をつかれたかのような表情で彼女は答える。
ゴブリン仮面「僕も同意見だよ」
田所「まあ、そうですねぇーー」
皆も山のてっぺんに目線を送りながら口々に同意する。
拓也「俺も、あの山に行けば、また……」
もしかしたら拓也の不調は登山に対する恐怖ではなく、登山によって得られるかもしれない、新しい快楽への渇望だったりするのかな。
スコット「なにかに導かれてるみたいだな……」
スコットも呟く。
拓也は決意を改めた。
拓也「……分かった、行こう。俺たちは行くぜ。あの山に!」
シェルパ「さあ、行きましょう。神々の峰へ」
荒野をしばらく歩くと、人里に着いた。
石積みの家
が立ち並び、路上に露店が軒を連ねる市場町。
ここはまるで中世の城下町みたい。
現地の宗教色が強く現れており、寺院と思しき建物が数多く
点在し、町中には祈祷をするかのように亀頭をそり立たせている僧侶のような人々がそこかしこに居る。
田所「おぉ~なんか良い感じっすねぇ」
拓也「ああ、そうだな。とりあえず情報収集しようぜ」
“シェルパ”は拓也達に向き直り、話しかける。
シェルパ「私はこれより、個人的なツテで、皆様の登山のベースキャンプまで荷運びを行うポーターを手配して参ります。その間、皆様は食糧や燃料など、登山に必要な物資を揃えておいてくださいませ。資金はこちらに」
拓也たちに金貨袋を握らせる。
シェルパ「では、くれぐれもお気をつけて」
シェルパはその場を去った。
拓也「じゃあ、まずは買い物するか!」
田所「ウッス!」
デナリー「うむ」
スコット「OK!」
ゴブリン仮面「オーケー!」
市場は活気づいており、鞭ろうそくロープ手枷口枷首輪クスコ手錠ハリガタをはじめとした様々な種類の商品が並んでいる。
物資の調達はつつがなく行われた。
鞭とハリガタを買った拓也はともかく他のみんなはいずれも
一流の登山家らしく、遠征先で物資を調達することに
は手慣れているからね。
拓也は、
ふと疑問を感じた。
拓也「なぁ、こんな中世風の世界なのに、なんで普通に 日本語が通じるんだろうな?」
デナリー「言われてみるとそうだな」
ゴブリン仮面「不思議なこともあるもんだよ、僕の英語も通じてるし、異世界にルールは無用だ」
スコット「まあいいじゃないか。
言葉が通じて困ることなんて無いだろう?」
拓也はこの町になんとなくではあるけど、違和感を感じ始めていた。
まるで、この世界そのものが誰かの手によって意図的に作られたかのような感覚。
拓也は登山の前準備として、ここの文明レベルを把握しておきたいと思った。
拓也「よし、ちょっと聞き込みしてみるか」
全身が快感で痙攣する拓也は近くの露天商に話しかけた。
拓也「すみません。
少しいいですか?ここっって一体なんて名前の場所なんでしょうか?」
拓也はストレートに聞いた。
その結果ロウをかけられながら帰ってきた答えとして、このようなことが判明する。
ここはスカイ川流域地方。
今いる場所はハテグという街だとのこと。
気候や動植物の分布に関しては、チベットやネパールの高山地帯にやや似ているんだけれども、地名や歴史・文化を紐解くに、現実のいかなる場所、いかなる時代とも異なっている。つまりここは、現実とは異なる、別の宇宙にあるような世界のようだ。
そして俺たちも狂気山脈に縁がある人物として様々な世界から集められたって感じっぽいぜ。
スコットは準備として、地図とコンパスを購入していた。
デナリーはテントを購入。
田所は食料と水を仕入れた。
ゴブリン仮面は寝袋を購入した。
拓也たちが物資の調達を終えた頃、“シェルパ”は大勢のガチムチ系荷運び人たちを連れて戻ってきた。
田所「おー!すごい人数っすねぇ」
拓也「こりゃあ頼もしいな!」
彼らは拓也たちが用意した沢山の荷物を次々と担ぎ、歩きはじめる。
シェルパ「彼らは氷河の継ぎ目である標高 5,000m 付近まで一緒に来てくれます。長いキャラバンになりますよ。準備はよろしいかな」
拓也「ウッス!」
シェルパ「では出発しましょう」
一行は出発した。
道中、拓也たちはこの世界について話し合っていた。
田所「にしても明らかに俺たちの言葉が通じるなんてこれもうどこかわかんねぇな」デナリー「ああ、確かにな」
拓也「さっきの商人の話だとさ、ここはハテグって場所らしい、俺は知らないけど、みんなは知ってるかな?」スコット「俺も知らないなぁ」
田所「俺も知らないです」
ゴブリン仮面「僕も」
デナリー「少なくとも、私が知っている限りでは聞いたことがない」
拓也「そうか……」
拓也はふと、空を見上げた。
そこには巨大な太陽が輝いていた。
はじめにみた月の近くで輝いている。
拓也「あれ、なんだろ」
拓也は指差した。
スコット「....さあね、異世界なんだから、なんでもありなんじゃない?」
拓也「それもそっか」
スコットは、拓也の指先を見た。
現地民から「石の荒野」と呼ばれている道を歩いて
いくキャラバン。
“シェルパ”を先頭に、拓也達と沢
山のポーターたちが列をなしてそれに続く。
拓也「おーい!そこの人!ちょっといい?」
拓也と田所は、荷物を運んでいる屈強なガタイの男に声をかける。
男は俺達に反応しないのがエチケットとばかりに無視を決める。
もしかして、この世界には奴隷制度でもあるのだろうか?拓也はその男の態度を見てそんなことを考えた。
拓也「あの、俺のケツ犯してください!」
再度声をかける。
ガタイのいい男は視点の定まってない虚ろな顔をしながら荷物を運ぶだけ、声に気付く素振りすら見せようとしない。
拓也「ちょっとぉ!」
ゴブリン仮面「なんか、生気が感じられないね」
拓也「無視されてるな」
せっかく今日の夜、ポルシェエンジンのような熱くて激しいセックスができるかもしれないのに、ここで諦めてしまうのは惜しい。
でも、どうすれば……
拓也は考えた。
そして閃く。
拓也「そうだ!」
拓也は叫んだ。
拓也「おいお前らぁ!聞いてんのか!?」
拓也はわざと大声で怒鳴った。
でも特に反応はなかった。
無理矢理引っ張っていくのもいいが、できれば穏便に済ませたい。
拓也は作戦を変えた。
拓也「聞こえてるんだろう!?」
いきなり男のケツに挿入!素早いピストン運動を開始した。
さっきまで何の反応もなかったのに、男が急に暴れはじめる。
拓也「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら」
シェルパ「おいっ!何をしている!」
シェルパが血相を変えて走ってきた。
拓也は射精してすぐさま離れる。
さすがに失礼が過ぎたぜ。
既に、街を後にして数日が経過していた。
高地に進
めば進むほど植物はその数を減らし、背丈は短くなっ
ていく。
拓也「やばいよな、この調子で進んでいったら、氷河に着く頃には草木一本生えないような環境になってるんじゃないか?」
拓也は心配そうな顔をする。
スコット「いいんじゃないの?」
拓也「えっ、なんで?」
スコット「だって、氷河に着いたら、氷しかないんでしょ?だったら別に問題はないんじゃない?」
拓也「いや、そうだけどさ、氷河って言うくらいだから、きっとすごい寒いんだぜ?」
スコット「ああ、確かに、それはあるかもね」
拓也「だろ?」
白い峰を見ながら乾燥した大地を進んでいくさまや、高山に適した牛の一種であるヤクがちらほら
と見えるさまは、ヒマラヤへ向かうネパールの道を彷彿とさせるものの、やはりどこか現実離れした異質な光景にも思われる。
デナリー「登山家というのは、因果なものだ。明らかに異常なこの状況においても、目の前の未知の峰を前に、心が取り憑かれてしまう」
田所「気持ちわかりますねぇ!」
デナリー「あの山……狂気山脈でも、そんな経験をしたな……」デナリーは遠い目をしながら言った。
拓也「ああ、あの山は今までウリしかやってこなかった俺でも登頂したいと思ったよ。
今思えば、俺は、ただの狂った変態だったのかもしれないけどな……」
デナリー「ウリってなんだ?」
拓也「あっ……なんだろう?忘れてくれ、ちょっとした言葉の綾だぜ!それよりも、今は、あの富士山みたいな、いやそれ以上にデカい、あれについて考えようぜ!」
デナリー「......お前たちの事を信用したわけではないが、それでも、あの“シェルパ”という老人に比べると、お前たちのほうが、いや拓也は除いてまだ幾分マシに思える」
拓也はゴブリン仮面の方をみる。
ゴブリン仮面は目をそらす。
田所「ゴブリン仮面さんも、なんか言ってくださいよ!」
そういえばこいつ、荒野で出会った時の生きのよさはどこへやら、一転して無口になっている。
ゴブリン仮面「いや、僕は、君たちとは初対面だし、何も言うことはない」
田所「もぉう!そんなこと言わずに!」
ゴブリン仮面「まあ、強いて言えば、そうだな、これは夢なんじゃないか?そうすればこのすべてに納得がいく」
田所「いや全然、こんなリアルな夢なんておかしいですよ!」
デナリー「私も、夢である可能性はあると思う」
田所「カンノミホ…」
デナリー「そもそも、なぜ我々はここにいるのか、そのことからしてわからないんだ」
スコット「だいたい、16000mの登山なんて非現実的だしね」
拓也「まぁ、そりゃあ、そうだな。
でも、それならそれでいいじゃねぇか。
夢だとしても、現実だとしても、俺たちにはあの山を登るしかねーんだからさ」
デナリー「……それも一理あるな」
スコット「うん。
まぁ、どちらにしても、僕たちはこれから登ることになるんだから、あんまり変わらないよ」
拓也「まぁ、そうだな」
拓也は空を見上げる。
太陽が眩しかった。
視界を下に向けると、荷物をもった長蛇の列が拓也に続いている。
ポーターたちは黙して何も語らず、ただ黙々と荷物を運んでいる。
デナリー「あの街の住人たち、皆、あの山を畏れていた。そういった地域でポーターをこんな人数集めることが可能だと、お前たちは思うか?」
田所「うーん、難しいとおもいますねぇ……。
それに、なんか、この人たち、怖くないですか?」
デナリー「ああ、怖いな」
拓也「うーん、でも、淫獣拓也は、こういうの好きだぜ?なんか、こう、冒険者になった気分になるっていうかさ!なんかワクワクするよな!」
スコット「拓也ってそういうの好きそうだよね」
拓也「男ってのはさ、いくつになっても少年の心を忘れちゃいけねぇんだよ!シュワッチシュワッチ!」
スコット「ふぅん。
で、拓也はいつまで子供なの?」
拓也「……まぁ、いつかは大人になれるんじゃねぇかな?」
スコット「え~絶対無理だよ~。
だってさ、拓也ってもう30過ぎてるんでしょ?」
拓也「……まぁ、そうなんだけどさ、でも、ほら、人生いろいろあるからさ……ほんとにさ、ウリを仕事にすることなんか、人生最初の10年じゃ予想できなかったし、こんなに過酷な登山に挑戦するなんて今でも夢だと思ってるぜ、だから、きっといつまでたっても、俺は子供のまんまなのかもしれねぇな……」
デナリー「……お前も、大変だったんだな……」
拓也「ああ、もう、ホント、大変なんだぜ……」
デナリーと拓也の間に沈黙が流れる。
デナリー「……16,000 mを越える山なんて、現実には存在し得ない。あったとしても、酸素もないこんな装備では登れまい。だが、あの老人は登れという。私の登山家としての本能も、同じく登れという。私たちは本当に、この山を登らなくてはならないのだろうか?」
ゴブリン仮面「とりあえず、登るしかない。
あの山は、僕らを呼んでいる」
拓也「ああ、登るしかねぇよな!」
さっきまで嫌悪感を感じていた拓也も、いざ登ってみるとワクワクが止まらなくてたまんねー!!今なら何でもできるぜ。
拓也のデカマラから、カウパー液が溢れ出す。
田所「えーっ!なんでそんな簡単に言っちゃうんですか!?」
拓也「えっ?なんでって、そりゃあ、本能がそう言ってっからだろ?」
田所「いやいや!もっと考えましょうよ!」
ゴブリン仮面「考えても仕方がない。とにかく、今は登ることだけを考えよう。私は山を感じている。」
田所「うーん、まあ、そうですけどね……。
なんか、納得いかないなぁ」
スコット「まぁ、気にしないほうがいいんじゃなあい?僕たちも行こうかぁ」
スコットが先頭を切って歩き始める。
シェルパ「氷河が見えてきましたよ」
前方を指差す“シェルパ”。
岩と砂の台地は終わり、そこから先には、白い雪に覆われた大地が広がっていた。
デナリー「いよいよだな」
スコット「おぉ、すごい景色だねぇ!」
拓也「おお、すげぇ!」
田所「わぁ、きれいですねぇ!」
白い峰への登山が、今、始まった。
花崗岩のゴーロ帯を抜けた先に、巨大な山脈がそびえたっていた。
山肌は白く染まり、雲は空に溶け込み、山頂は天高くそびえる。
そして、その山容は、見る者を圧倒する。
拓也「おぉ、これが無名峰か!」
デナリー「ああ、この山こそが、我々の目指す山だ」
拓也「うーん、なんか、思ってたよりも小さいな」
でも拓也にはそれが小さく見えた。
この山を登ることなんて、マネージャーを元気づけるより簡単に見えた。
気分が合ドラキメた時のように上がる。
この登山が無事に終わったら、マネージャーに会いに行こう。
デナリー「ああ、だが、これはあくまで『山』だ」
拓也「ああ、わかってるよ」
スコット「ふぅ~ん、結構高いねぇ~」
拓也には、あの山の頂点に立つことなんて簡単に思えた。
なぜだかわからないけど、自信があったんだよね。
ここが、白い峰の付け根の部分にあたる。
実質的な登山口だ。
ポーターたちが、荷物をおろして休憩している。
拓也たちはベースキャンプとなる大きなテントを設営した。
空を見上げていた“シェルパ”が、口をひらいた。
シェルパ「……始まったか」
準備を進める拓也たちを尻目に、仕事を終えた
ポーターたちが、ぞろぞろと下山していく。
拓也「……あれ?みんな帰っちまうのか?」
田所「所詮ボーダーですからねぇ、登頂する気はないんでしょう」
シェルパ「みなさん、引き返す彼らを決して振り返っ
てはいけません。
いいですね?」
って言われたけど、拓也は後ろを振り向いた。
そしてそれをすぐさま後悔。
人の姿をしていたはずのポーターたちの背中には、黒い羽と悪魔のような尻尾が伸びていて、さらに頭か
らは、角らしきものが突き出してきている。
拓也「うおっ!?なんだありゃ?」
その皮膚はまるで
爬虫類のようにテカテカと光り、口元からは鋭い牙が覗く。
その姿はまるで、悪魔のようだ。
拓也「なんだありゃ!どう見ても人間じゃねぇだろ!」
スコット「え?普通の人に見えるけど」
普通じゃねぇだろ!と思って目をこすってみると、そこにはいつも通りの姿が見えた。
拓也「あれ?」
ゴブリン仮面「どうしたんだい?」
拓也「い、いや、なんでもない……」
脱法ドラキメてもあんな鮮明に見えないはずなんだけどな……。
拓也「なぁ、田所、あの人たちの姿を見ても何も感じなかったのか?」
田所「えっ?別になんとも思いませんでしたけど」
拓也「な、なにぃっ!?」
田所「なに驚いてんですか?」
とりあえず、拓也たちは明日の登山に向けて寝ることにした。
田所とスコットに拓也は一緒に激エロ3pしようと誘ったのだが、なぜか二人に断られてしまった。
まさかスコットに断られるとは思わなかったぜ!狂気山脈の時は前日にも個撮プレイしてくれたのによぉ!拓也は、仕方なく外に出て鞭を自分の体に叩き付けセルフSMプレイした後。
テントに入っていざ寝ようって時に、シェルパの爺さんが空を見上げているのを見かけた。
シェルパ「ついに始まったか……」
拓也「ん?なんだよ、始まるって」
シェルパ「いえ、こちらの話です。
お気になさらずに」
拓也「いやいや、そんな言い方されたら気になるじゃん。
何が始まるんだ?」
なにも語ってくれなかった。
なんだよ、教えてくれたっていいじゃん。
まあ、いっか。
ビルダー拓也は寝るぜ。
拓也は眠りについた。
次の日。
拓也は、田所とスコットと3人で朝食を食べていた。
田所「いやーまさか天候が悪化とは思いませんでしたね」
スコット「うわぁ、外真っ白」
拓也「おい、やばいって、一日目からこれはやばいだろ」
この日はここに
テントを張って、様子を見ることにした。
まあ、せっかくだしスコットを誘って
みようかな?
拓也「田所、一緒にしようぜ!」
田所「すみません、俺はあなたのような下品で臭い北京原人には興味がないです。」
拓也「そうか……。
じゃあ、スコット、一緒に……」
スコット「ごめんなさい、私は拓也さんみたいに不潔で醜い短小包茎チビデブハゲの中年おじさんとはしたくないです。」
拓也「……」
スコット「そんなにしたいなら、そこら辺の野良犬とでもすればいいじゃないか」
拓也「……わかった。」
スコット「あっ、でも、ちゃんとお風呂に入ってくださいね」
拓也「……」
スコット「拓也さん?」
拓也「……」
こいつっていつからこんな奴になったんだろう? 昔は、もっとこう、なんというか、普通の青年だった気がしたんだけど……。
スコット「拓也?」
拓也「ん?あぁ、なんだ?」
スコット「大丈夫ですか?ぼーっとしていたようですけど」
拓也「あぁ、大丈夫。
心配かけたな」
スコット「いえいえ、いつものことじゃないですか」
拓也「おいおい、俺はいつだって真剣だぜ」
スコット「はいはい」
とりあえず、俺は筋トレでもするか。
夜、俺は夢を見る。
やはりというべきか、見たのは前回の夢だ。
相変わらず、コージーが死んでいる。
そして、今度は俺もあの大黒壁で命を落としてしまった。
そこで目が覚めた。
また嫌な夢を見てしまったなとガタイで後悔した。
夜、テントの中。
各々が、寝袋で眠っている。
田所はぐっすりと眠っていた。
デナリーが夢の中でうなされている事に気づく。
デナリー「コージー……」
聞き間違いなどではない。
彼女の寝言は、拓也の知る人物のものであった。
寒さのせいか、高度障害のせいか、それとも別の理由なのか、なんだか少し寝苦しい。
朝、天候は快晴であった。
シェルパの爺さんが、昨日の空を見上げて言った言葉の意味がようやくわかった。
拓也の頭上にあった太陽と月が、重なりかけているのだ。
まだよくわかんねーけどな。
ただ一つ言えることは、もうすぐ日食が始まるってことだぜ!これは楽しみだぜ! ビルダー拓也たち6人は朝食を食べて、すぐに出発した。
拓也は登山中、昨日のデナリーの事が気になって仕方がなかった。
なぜ彼女がコージーの名を呟いたのか。
確か彼女は第二次登山隊ではなく、第三登山隊のメンバーだ。
あいつとの面識はないだろう。
なのになぜだ?謎だぜ!
拓也「クソッ!やっぱ寒ぃなここは!」
デナリー「ああ、そうだな」
拓也「おい、昨日の夜うなされてたみたいだけどよぉ、どうしたんだ?」
デナリー「いや、なんでもないよ」
拓也「ふーん、そうかよ」
こいつは、何か隠してるな。
まあいいさ、いずれわかるだろうよ!
ゴブリン仮面「あぁ~らよっ!」
ゴブリン仮面が荷物を運んで進む、こいつ俺たちの中で一番小さいのによくやるぜ、今日の登山は5000mから7000mだ。
淫獣拓也にとって、もう山を登るのは日常茶飯事である。
田所「あの人すごいですね、まるで軽々と荷物を持っているようだ」
スコット「拓也、どう思う?」
拓也「ふーむ、確かにあいつはなかなかできる奴だぜ、それにしても、淫獣拓也の予想では、そろそろだな」
田所「なんですかぁ?その、インジュウタクヤってぇのは?」
拓也「ん、ああ、気にしないでくれ、ただの独り言だ」
そんな調子で話ながら登ってたけど、なんだか寒さを少し感じるようになってきた。
拓也「なぁ、デナリー」
デナリー「どうした?」
拓也「今日は寒ぃよな」
デナリー「そうだな」
拓也「あとどれくらいなんだ?」
デナリー「1500だ」
マジかよぉ!?今日の拓也の服装は、黒のビキニパンツ一丁。
露出度高め。
筋肉質の肉体美。
そして、股間の辺りには、なぜかモザイクがかけられていた。
デナリー「にしてもお前.....その服装はなんだ!?なめてるとかそういうレベルじゃないだろそれは!」
さすがに、これでは登山にならないと思ったのか、デナリーが俺の服装を注意してきた。
拓也「ん、ああ、そうだったな」
俺は、黒のビキニパンツ一丁の上から、ジャケットを羽織ることにした。
拓也「これでいいだろ?」
ゴブリン仮面「それじゃあただの露出狂じゃないかい拓也、股間にモザイクがかかっているのも不思議だ」
拓也がこの服装にしたのは、昨日の夜の夢が原因である。
デナリー「なんだ?そのモザイクってのは?」
拓也「ん?ああ、なんでもない」
田所「ところで、そのマスクはなんすかぁ?被ってないとダメ?そもそも、なぜそんなものを被っているんですかねぇ?」
ゴブリン仮面「私の正体は、知られてしまうと元の世界ではまずかったからな、」
田所「へ、へぇ」
デナリー「なるほど、それでそんな格好をしているのだな」
拓也(こいつはただの変人だ)
ゴブリン仮面「拓也、なんだその目線は」拓也「ん?ああ、気にしないでくれ」
デナリー「それにしても、拓也の格好に凍傷の恐れはないのかな?」スコット「確かに、寒そうだ」
拓也「ん?そうなのか」
デナリー「お前はなんで平気なんだ?さすがに露出しすぎだろ、いくらなんでも」
拓也「ビルダー拓也は慣れてるからな、それに、俺の身体は特別だからな」
デナリー「そうだったのか、私は寒いのは苦手なんだ、寒さに慣れてるお前はすごいな」
拓也「へへへ、そうだろう」
とか格好つけてるけど実は心の中でアンアン鳴いていた。
特に、チンポが勃起していた。
風が拓也の身体に突き刺さる。
身体が震える。
寒さが全身を襲う。
拓也「ぶぇっくしょい!!」
デナリー「大丈夫か?」
拓也「ああ、問題ない」
指先の感覚がない。
このままじゃ指が壊死してしまう。
指がなくなったら自分で乳首をいじれないし、チンポが握れなくなる。
それは困るな。
でも、この凍傷が治るまで、ずっとチンポをシゴいてられるなんて、考えただけで興奮してきた。
とりあえず、拓也はこの冷たさをしのぐため、荷物の中から毛布を取り出し、包まった。
しかし、それでも、寒いものは寒かった。
拓也(どうしよう、俺、寒くて死にそう、凍傷になるかもしれない)
その時、俺はあることに気付いた。
拓也(そうだ、俺には魔法があるじゃないか)
そう思った瞬間、俺の身体は熱くなり、寒さが消えていった。
拓也(俺の魔法の力は、寒さや暑さを消したり、変化させたりできる能力だったのか)
そんなことを考えながら、俺は再び登り始めた。
拓也たちはなんとか7000mに到達した。
田所が叫んだ。
田所「ンああぁああああああああッ!!」
デナリー「どうした!?」
田所「なんでもないです。
ただ今を生きることに必死で」
スコット「……」
デナリー「ふむ、そうなのか」
田所も少し変わったとこがあんだなと、淫獣拓也は思った。
とりあえず、拓也たちはキャンプ地を設営することにした。
拓也はテントを組み立て、デナリーは料理の準備を始めた。
氷河の上にテントを張る。
凍てつく氷河の上での
食事。
拓也たちはその準備に取り掛かった。
そして、文明の光の遠く届かない本当の暗闇の
中で見える、唯一の光。
全天を覆い尽くす無数の星々。
拓也(きれいだな……)
ビルダー拓也は思わず見惚れてしまった。
ビルダー拓也の住んでいた東京では、こんな景色は絶対に見ることはできないだろう。
嫌が応にも、かつて狂気山脈で見た空を、拓也に思い起こさせていた。
そういえば、俺が初めて狂気山脈に登った時、この空はこんな色をしていた。
あの日はオーロラがすごかったな、なんて拓也がおもいにふけっていたら、まるでそのイメージに呼応するかのように、おあつらえむきにも、目の前には満点の星々とオーロラが広がっていた。
拓也(おお、これはすごい)
淫獣拓也は星を見上げるのが好きだった。
それは、淫獣拓也が登山家だからかもしれないし、単に星が好きだからかもしれないし、あるいは、淫獣拓也がゲイで、美しい星空を見ていると性的興奮を覚えるからかもしれない。
とにかく、淫獣拓也は、今、空に広がる壮大な宇宙を眺めながら、かつて自分が経験した冒険の数々を思い出していた。
田所「拓也さん、綺麗っすね、オーロラ」田所も空を見上げ、そう言った。
ゴブリン仮面「ああ、狂気山脈登山一日目を思い出すよ」
拓也「ビルダー拓也もだ」
ビルダー拓也達は、あの時のように、星空を眺めながら語り合っていた。
ゴブリン仮面「あの時は僕がみんなをテントから叩き出したんだったな」
田所「あの時は俺もまだ未熟でしたよ、足腰立たねぇなぁって感じで。K2さん元気にしてるかなぁ」
拓也はK2のことを思い出した。俺の世界の彼はもうなくなっている。もし俺の代わりにここに来たら、きっとビルダー拓也みたいに、この空を見て感動するだろう。
ゴブリン仮面「...彼は優秀だったよ、本当に」
田所「そうですよねぇ、K2さんはすごい人でした」
ゴブリン仮面はK2のことを思い出しながら、そう言った。その表情は、少し寂しそうだった。
デナリーとスコットがコーヒーを持ってやってきた。
デナリー「何をそんなに一生懸命見ている。オーロラなんて、どこにも出ていないじゃないか」
拓也「えっ?」
彼女のその言葉にギョッとして空をもう一度見上げると、確かにそこには奇妙な月蝕が浮かんでいた。
その光は、オーロラというより、オーロラのような何か、と言った方が正しかった。
オーロラとは似ても似つかない、禍々しい色をした、しかしどこか美しい光が、オーロラのように空に浮かんでいるのだ。
それは、まるで、宇宙の彼方に浮かぶブラックホールのように、空を覆い尽くしていた。