別名義にて某所で連載している小説の本人スピンオフ。
時系列は現在です。

※以下の作品群の関連作品となります。
少女Hシリーズ
https://syosetu.org/novel/301252/

ひろちゃん、おかえり!~一人のクラスメイトを救った少女の話~
https://syosetu.org/novel/322864/

紘深の恩返し
https://syosetu.org/novel/333089/1.html

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5年ぶりの悲劇 ~紘深の年末の話~

(走り出す新幹線の窓に向かって手を振る紘深)

 

私は紘深。社会人として初めて迎えた年末。今日は彼氏が実家に帰るというので、一緒に東京駅までお見送りに行っている。

 

紘深(あ~それにしても眠い…)

 

彼氏が実家に帰る日の朝は早い。それはいつも通りのことなんだけど、今回は東京駅に向かう電車の中でもうたた寝をしてしまうほど眠い。特に寝つきが悪かった訳ではなかったのに。

 

紘深(新幹線も無事に出た訳だし、コーヒーでも飲もうかな…)

 

東京駅に着いたあたりからコーヒーでも飲んで目を覚まそうと思っていた私。時刻は朝7時半少し前。東京駅の中、しかも新幹線改札内にはこの時間にもすでに営業しているカフェがあったっけ。

 

新幹線ホームの階段を降りる私。そこには私が行きたいと思っていた、新幹線改札内のカフェがあった。年末の帰省シーズンで朝も早いから、人がそこそこ並んでいる。

数分並んで私の番になった。相変わらず眠い私は、普通のドリップコーヒーの中くらいのサイズを選んだ。ここの店のコーヒーのカフェインは濃い目であると聞いているから、飲んだらパッチリ目が覚めるだろう。

 

店員「ごゆっくりどうぞ。」

紘深「ありがとうございます。」

 

空いている席に着いてコーヒーを飲む私。やっぱり眠い時に飲むコーヒーは格別だ。パッチリ目が覚める感覚をはっきりと感じられる。

 

ちょっぴり熱いのが苦手な私。飲み終わるまでには少し時間がかかってしまったが、ゆっくり行こうと私は思っていた。

 

新幹線改札を出て、在来線ホームに出る私。この後は赤羽の自宅に帰るべく東海道線のホームに行こうと思っていたのだが…

 

紘深(うう… きゅ、急にお腹が…)

 

急にう○ちがしたくなってきた。コーヒーを飲んだ後にう○ちがしたくなることが、私はたまにある。

 

紘深(えーとトイレトイレ…)

 

幸い新幹線改札口の側からそう遠くないところにトイレはあった。朝も早いからか大して並ばずに済んだ。

 

紘深(ふう。)

 

私は気を取り直して東海道線ホームへ。しかし年末だからかホームは寒い。ミニスカートに生足だから、下半身が特に寒い。

 

そして7時51分。電車が来た。私は電車が来るまでの数分間をとても長く感じていた。

 

 

しかしその電車が東京駅を出た少し後のこと。

 

 

紘深(うっ… トイレ…)

 

 

さっき東京駅のトイレでう○ちを済ませたばかりの私は、急におしっこがしたくなってしまった。さっきコーヒーを飲んだのと、私がう○ちをした後に時差で尿意を催しがちなのが重なったからなのか、その尿意は初発尿意にしては強いくらいだ。

 

紘深(でもこの電車乗るのは20分弱だから、大丈夫そうかな…)

なんてことを思っていたが、それからわずか5分強の間に、私の尿意は跳ね上がるように強くなっていった。

 

紘深(ダメだ… トイレ行こう…)

幸い私が今乗っている電車にはトイレがある。そのトイレは私が今乗っている号車の、進行方向のすぐ隣の6号車にある。

 

6号車に移動した私。そのトイレは…

 

紘深(うそ… トイレ使用中じゃん…)

 

使用中だった。

トイレ近くの席に着く私。スマホをいじりながらトイレの様子を気にするが、トイレの様子を気にすればするほど、尿意はさらにどんどん強くなる。そのトイレを待つ時間は、体感でとても長く感じる。

 

我慢できないと思うくらいに高まった私の尿意。電車はもうすぐ尾久駅に差しかかるところだが、私は意を決して、進行方向とは別方向の10号車に移動した。その10号車のトイレを使おうと思ったからだ。

 

ただ…

 

紘深(うそ… ここも使用中?)

その10号車のトイレも使用中だった。尾久駅を出た電車。目的の赤羽駅はもう次だ。

 

しかも最悪なことに…

(トイレが流れる音)

 

10号車のトイレの中から、トイレが流れる音が聞こえてきた。

 

紘深(これトイレ使ってたら絶対乗り過ごすやつじゃん…)

 

 

尿意がどんどん高まっていく中ではあったが、ここでトイレに入ったら完全に乗り過ごしてしまう私。とてもじゃないがトイレに入ることはできなかった。

「トイレは空いているんだけどそのトイレには入れない」そのジレンマが、私の尿意にさらにアクセルをかけていた。

 

そうこうしている間に8時7分。電車は赤羽駅に着いた。電車に乗っている間のわずか20分弱という早さで、私の尿意は極限レベルになっていた。14年前の秋、授業中の教室でおもらしをしてしまった過去を持つ私。そのおもらしをしてしまう少し前くらいの激しさの尿意と膀胱の痛みが、私を縛り付けていた。

 

紘深(漏れちゃう…!)

 

電車のドアが開くとともに、ホームへ飛び出す私。今にも緩みだしそうな膀胱括約筋に必死に力を込めながら、8号車近くの階段を下りる。本当は猛ダッシュで駆け下りたいくらいなのだが、駅の階段だから足を滑らせたり誰かとぶつかってしまったりしたら本当に大変だから。早歩きくらいのスピードに抑えざるを得なかった。

 

「おもらし」という単語で私の頭がいっぱいになってしまっている中、階段を下り駅のコンコースに降りた私。

 

(ジュジュ…)

そこで私はとうとう、おしっこをチビってしまった。もう私に残された時間はない。走るスピードを上げたい気持ちを抑えて、駅のコンコースを早歩きで駆け抜ける。

 

(ジュッ、ジュッ、ジュッ…)

 

パンツにおしっこをまたさらにチビりつつ、なんとか駅の女子トイレに飛び込んだ私。土曜日の朝8時台だからか、行列に並ばずに入ることができた。

 

しかしそのトイレの個室はほとんど使用中。奥の方の広い個室がいくつか空いている程度だった。

 

紘深(一番奥のあそこ…!)

 

パンツがチビったおしっこで濡れている感じが早歩きでもはっきり分かる中、私はトイレ奥の広い個室に飛び込んだ。

その私が飛び込んだ個室は、赤ちゃんのおむつ替えができるようなとても広い場所だ。だからドアから便器の間まで数歩ほどの距離がある。

 

尿意が耐えられないくらい高まるとともに膀胱括約筋が力尽き始める中、個室のドアを閉め、便器の前へと走り、肩掛けバッグを便器後ろの荷物置き場に置いて―

 

 

 

(ピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャ…)

 

 

 

間に合わなかった。お尻を少し後ろに突き出して便器に跨るようにして体を固まらせながら、私はおしっこを漏らしてしまった。その私のおもらしは、20秒くらい続いた。

 

 

紘深(最悪… おもらししちゃった…)

 

23歳にもなって駅のトイレの個室でおもらしをしてしまった私。私がおもらしをしてしまったのなんて、高3の頃家でのオンライン模試中にトイレに行きたくなったのだけどその模試が途中中断・離脱できないタイプのものだったからトイレに立つことが出来ず、最終的に模試を受けながら漏らしてしまった時以来のことで、彼氏を出会ったからは初めての事だ。

 

パンツがぐしょぐしょの私。便器の後ろに少し下がると、便器の端と便器すぐ下の床に、私が漏らしてしまったおしっこが飛び散っていた。

 

紘深(そのままにしたら迷惑だよね…)

 

さすがにそのままにしてしまうと後で使う人に迷惑だと思った私は、パンツがぐしょぐしょのままトイレットペーパーを出して、私が漏らしたおしっこの水たまりの後始末をした。小学校進学以降これで8回目のおもらしをしてしまった私だが、自分でその水たまりの後始末をするのは初めてだ。

 

後始末には5分ほどかかった。後始末を終えた私は、おもらしでぐしょぐしょになったパンツを脱いで、それをビニール袋に入れた。

 

ノーパンになってしまった私は、急いで改札口の売店へ向かう。欲しいものは新しい替えのパンツだ。

 

売店の店員「―620円になります。」

 

替えのパンツを買い、さっきのトイレに戻っておもらしの現場となった個室にまた入りそのパンツを履く。

 

紘深(帰ろう…)

 

 

家に帰る私。替えのパンツは薄地な感じがして、下半身がまだどこかスースーする感じがする。

(せめてスカートの下にタイツとか履くべきだったな…)なんて後悔が、私の中にはあった。

 

紘深「ただいまー。」

紘深の母「おかえり紘深。思ったより遅かったじゃない。」

紘深「うん… ごめん…」

紘深の母「いいのよ謝らなくても。先に手洗いとうがいをしなさい。」

紘深「うん…」

 

8時30分過ぎに家に着いた私。家に着いてもなお気持ちが沈んでいる私。お母さんにどんな顔をしようか、今回のおもらしを打ち明けるべきなのか、私の中には迷いがあった。でもどの道お母さんには感づかれてしまうだろうなと思っていた。

 

手洗いうがいを済ませ、おもらしで濡れたパンツを洗濯機に隠すように入れ、服を部屋着に着替えた。

 

その後はテレビを見ていると…

 

紘深の母「紘深。」

 

お母さんが話しかけてきた。

 

紘深「お母さん?」

紘深の母「紘深さっきからなんだか表情とか暗いようだけど、何かあったの?」

 

案の定、お母さんには感づかれてしまった。

私は意を決して、さっきの駅のトイレでのおもらしを打ち明けたのだった。

 

紘深「―それで、間に合わなかった…」

紘深の母「あらあらそうだったのね。大丈夫だった?」

紘深「うん…」

 

お母さんは私を抱きしめてくれた。なんだかこの感じ、14年前のおもらしの後学校の保健室にお母さんが私を迎えに来てくれた時の事を思い出す。あの時もお母さんは、私を優しく抱きしめてくれたのだ。

 

紘深の母「―でも今後は突然のトイレにも備えて、短い時間でも出かける時は最低限替えの下着は持って行くくらいはしなさいね。紘深ももう大人なんだから。」

紘深「はい(苦笑)」

 

 

ちょっと注意はされてしまったけど、お母さんは23歳にもなっておもらしをしてしまった私を叱らずに優しく接してくれた。そのことが私にとっては、なによりも嬉しくて、なによりも安心した。

 

でもこのことは、彼氏にも絶対に秘密にしておこうと思う。


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