コカビエルから申し込まれた決闘当日、兵藤家の玄関前でグレモリー眷属とゼノヴィアが集合していた。
「オムツはしてきましたか?」
「朱乃、それは失礼よ」
「そうですわね、寧ろわたくしが一誠君にオムツを穿かされてしまう力関係なのですし♫」
調子を崩されかねない朱乃の台詞は人間達の戦闘機パイロット等に発するような冗談でリラックスさせようとしているとリアスは判断したが、本人は一誠しか見ていなかった。
【掴みどこがない】
そう思う一誠だが、朱乃の過去から来る歪みと欲求を然り気無く満たしたと迄は思い至れない、朱乃はまたも夜這い失敗して退散した翌日だけでなく、今朝も失禁してしまった際に思った。
(イッセー君、わたくし・・・・恨み言は申したくない、寧ろとわかりました・・・・イザと言う時には正面から勝負しますわ、お望みなら本当に・・・・)
一誠にオムツを穿かされて恥態を晒す覚悟すら固めつつある朱乃は依存・倒錯を交えた熱情を込めた目で見てしまうが、当面の問題に向き合った考えではこれから戦う相手がオムツが必要な目に遇わされるレベルなのは事実として指定された形に学校へ赴いた。
【決闘場所は土曜夜の駒王学園、先に学園内に入る形で待っている。学園には結界を張ってあるが、周りに魔王達を呼んで待機させるなりなんなり自由にせよ。宣告通り、赤龍帝と私コカビエルの一騎討ちを行うなら最初からサーゼクス・ルシファーを連れて来ても構わぬ】
これがコカビエル側からの提案。グレイフィアの指示通りに敢えて受ける形にしたが、都合が良すぎるとしながら歩いていたら前方から近付いてくる気配があった。
「よう、大変な事になったな。学園は結界で覆われてるが、万が一に備えてシトリー眷属が周りに待機している。この辺りは俺達が担当するぜ」
「元士郎、友達付き合いから始めるのは止めなさい」
学校の近くで合流したのはシトリー眷属、その中で唯一の男子であり、影がある一誠や貴公子然としている木場より年齢通りな快活さを感じる男子の【匙元士郎】が一誠に声を掛け、ゼノヴィアを長身にして長髪にしたとするべき外見な凛々しい美女【由良翼沙】が窘めていた。知り合いかと問われたので説明が始まる。
「生徒会のボランティア、特に溝掃除や用水路掃除等を手伝ってもらえてましてね。今時感心だと評判だったのですよ、それに割とヤンチャだったから・・・・」
由良の赤面した表情から導き出せる答えで思わず朱乃が間に入った。個人的な事は後にとの事だが、実は一誠がそうしていた意味は理解しきれていない、そして更なる気配がした。
「やあ、君が噂の赤龍帝かい?」
「だっ、誰ですか?」
「あら、やっぱり知らないかい。私は【ロイガン・ベルフェゴール】・・・・番外の悪魔と言われて表舞台には立たない系の家の出だけど、一応は現魔王級な実力者なもので今回の助っ人に呼ばれたんだよ、私より上な後詰めはいるからしっかり頑張ってね」
リアス達はレーティングゲーム2位の実力者で魔王級とされている実力者の登場に驚いている一方、一誠はロイガン同様に初対面のフリをしたが内心はグレイフィアの時とは比較にならない驚きだ。いずれ関係を持ってしまってると知られたら面倒そうだとしていたらまたも朱乃が間に入った。
「おぉ、若いって良いわね。けど相手によっては逆効果だから気を付けなさい、かえって赤龍帝君にちょっかい出しちゃうかも?それより、私以外にも頼れる助っ人いるから無理をしないでやりなさい」
言う通りなら何とかなるかもとしてグレモリー眷属は正面から学園に入ると校庭の中央に剣が浮いている図を見た。小太りで悪辣そうな老人がいたが、その顔を見て木場は憤怒の標準を浮かべた。
「バルパー・ガリレィ・・・・っ!」
「ほう、噂に聞いた生き残りか・・・・」
「げひゃひゃひゃひゃ、リッベーンジのチャンスが早くに来たら楽しげな状況ですねえ♩♩」
教会地下で瞬殺したフリードというイカれた男がいるとした時に上空から強力な重圧を放つ存在が現れた。滑稽な醜態を晒したが流石と言いたい存在、アーシアは腰を抜かすまいと必死に堪えている。
「要望通りにして頂いて結構、私が用があるのは赤龍帝だ。他は好きにやれ」
「イッセー、頼むしかないのが悔しいけど」
「部長、俺もあいつに用がありますから」
そう言って体育館の方向を指差したコカビエルと共に一誠は他から離れて一応気になるやり取りが開始された。
「どうやらイリナにやられた傷が癒えたようだな、ご指名は結構だがわざわざやりたがる理由は?」
「簡単だ。私は戦争を望んでいる・・・・日本に住む者ならばわかるのではないかな、例えば年号にして【明治】に変わった頃?」
コカビエルは映像を出した。どうやら実写ドラマ等から他種族が保存した映像資料が混ざっている。
【江戸城無血会場時の幕府の現地御家人達】
【勝った側所属であるが、偽官軍の汚名を着せられた者達】
【急激な改革で特権を失って反旗を翻す事を選んだ者達】
【当初の理想である攘夷から外れて外国との交流を進める政府に従えずに濡れ衣を着せられて処刑された剣士】
「成る程、当初の理想も兵士や戦士としての生き場所も死に場所も失った者達の無念とやらかよ」
「ほう、遠回しにしたが察しが良いな。いつ赤龍帝の力に目覚めたか知らんが相当勉強しているか?」
【しまった】
一誠は迂闊だったと思った。コカビエルは恐らく【探り】を入れたのだと気付いた。反応を見て一誠が赤龍帝として目覚めていたのはいつ頃かと推測する為だとした時。
「買い被るなよ、日本には漫画にアニメって素晴らしい文化があるんだぜ。この辺りな時代を舞台にしたのだけで参考になるさ、一理あるって反応してるから話を進めるけど、お前は新しい体制に都合悪いからって暗殺されかけたり住んでた場所毎焼き払われたりしてるワケじゃねえ、これはゲームで得た知識だ。行き場の無い拳の向け先だけが理由だったらサーゼクス・ルシファー様にタイマンでも申し込めば良い。やらない理由次第じゃ、お前は語るに値しないぜ!」
「尤もだな、だが奴はとある事情で戦争がご法度なのだが内容はさておく、お前を指名した理由はお前の力だ。今の時代と情勢で人間だった者、しかも赤龍帝が【水】と交信可能でなければやれん事を出来るとは、ある意味で魔王より厄介よ!」
一誠は知られているのは驚いたが、先日のライザーとの件でバレていたとしたら自業自得なので敢えてとぼける事にした。
「何の事か知らないしわからない、けどお前を殺して構わないくらいにぶちのめしてイリナの前で詫び入れさせてやるぜ強姦失敗した間抜け野郎!」
「間抜け野郎か、その罵倒は甘んじて受けようか。しかし貴様は強姦しようとした事に怒っているようだが戦場では当たり前ではないか。これも見るが良い!」
~~~~~~っ。
『や、あああっ!』
『いやああ、後党首様ああっ!』
地獄だった。各国の戦で良くある図で一誠もエロガキだった頃は創作物だからと見入ってしまったものだとした。
【何より、自分も悪と見なした者をそうした】
戦で負けた時に女が辿る結末。戦利品として持ち帰られるか又はその場で嬲り物にされ、売り飛ばされる。
アーシアも近くで息を飲んでいるとわかるが気をしっかり保っているとわかる。
「知らないさ、何を言いたいかやりたいかは知らないし。世界情勢についてなら、少なくとも今の冥界の魔王様達がこんなのが嫌いな側らしい、俺にはそれで充分だ。話が終わりなら後はぶちのめすだけだ!」
言葉は最早不要としてお互いが戦闘態勢に入る。種族間の問題については、自分が一番嫌な事に無縁と聞かされて信じた者が偉い立場にいるだけでマシとつい漏らしたが、それは一誠の偽りない本心である。
次回、決戦。