゛何も知らないイブキの前でこんなはしたない顔しちゃうなんて、ね゛
「誰のせいだと思ってるんですか誰のせいだと。ばれてたらわたしは恥ずかしさのあまり先生を道連れにして死ぬところですよ」
布団にしゃなりと身体を横たわらせたイロハさんに先生が覆いかぶさります。イロハさんの長い髪がしどけなく広がって、赤い情熱的なシーツを思わせました。
これから行われる生徒と先生の禁断の情事。深紅のバラを散らした上で二人は互いの身体と熱を交わし合う。
こういう本がキヴォトスには流通しているようですが、それでもここまでの行為は描かれていないのでしょう。
はあ、はあと熱い息を漏らしながら五体を投げ出しているイロハさんのシャツのボタンを、上から順に先生が外していきます。その手つきは酷くゆっくりで、ローターが最弱の設定で振動し続けていることもあってか、イロハさんは悩まし気に眉根を下げていました。
「んふっ、せ、先生……今日は全然がっつかないんですね」
゛いや、なんだかそういう気分で゛
「……意地悪です。わたしがもう限界なのわかっててそういうことするんです」
゛さっぱりわからないなあ……そういえば、仕事あるんじゃないの?゛
「とっくに終わらせてますよ。こうなるのは読めてましたから……というかわたしが書類書いてるところじっくり眺めてたじゃないですか。そのおもちゃを弄りながら」
゛いやあ、仕事の合間合間に遊んでおかないととてもやってられなくてね゛
「先生の仕事量には同情しますが、だからと言って人をおもちゃにするのはどうなんですか」
他愛のないやり取りもまた一つの前戯というものなのでしょう。そうしている間にもシャツのボタンが全て外され、黒いレース下着が露わになりました。
とても機能性に優れているとは言い難い下着です。面倒くさがりなイロハさんにとっては洗うのも大変な手間に感じられるだろうお洒落着で、ところどころ小さな胸の肌が透けてしまっているような代物。
先生がごくりと唾を飲み、それを見てイロハさんはにまりと笑みを深めました。
「どうですか、先生。わたしの勝負下着というやつです。今日はこうなる気がしていたのでわざわざ着けて来たんですよ」
゛いい。ブラボー、エックセレンっツ! もはや芸術だ、悪魔的な美しさだ゛
「ふふふ。でもどうでしょうか、わたしの身体はこんな貧相なんですよ? 胸も小さいしお尻もそんな……下着を剥いだら幻滅するかもしれませんよ?」
゛否ッ! 断じてあり得ない! たかがそれだけのことでこの色香の価値が損なわれるなど、決して!゛
「んっ……! ふ、うふふ。そ、そこまで言ってもらえるとわざわざ新しいのを買った価値がありますね。ちょっとこんな褒められるのは滅多にないので、お腹の奥が凄くきゅんとしてまたイきかけたんですけど……ねえ先生、下の方がどうなってるか気になりませんか?」
……わあ、とても大胆です。露わになった勝負下着に先生の顔を埋もれさせるように、イロハさんは先生の頭を抱き寄せました。
そうして細い指先で先生の耳をくすぐりながら、耳元でぽしょぽしょと囁く。先生を堕天させようとする悪魔の仕草は、とても蠱惑的でした。
そこから空いた手で先生の手を掴んで、そっと自分の股座に誘導して……にじゅりと水っぽい音を立てて見せる。
ふがふがと先生が鼻を鳴らすのも仕方ないのかもしれません。流石にちょっと、見ている側として自重して欲しくはありますが。
「ねえ先生。目の前にこんなとろとろになってる女の子がいて、その子が先生に触って欲しくてわざわざ下着も新調して。なのに先生は触れるより先におもちゃでわたしを弄んで……んく、こ、これは責任を取るべきだと、そうは思いませんか? 仕事も理性も全部投げ出して、わたしに夢中になってしまうくらいのことは仕方がないと。あっ、んぅうっ、せ、先生の手ではなくおもちゃでこんなに濡れてしまった生徒にお仕置きをするべきだと……どうですか?」
にじゅ、にじゅ、と淫らな水音を響かせて先生を退廃的な道へ誘うイロハさん。彼女の神秘がそういう神性を備えていないことが不思議でなりません。
あまりにも情熱的な誘い文句に、誘われていないわたしまでお腹の奥の方が熱くなってしまいます。
……あんなえっちな顔で誘えば、先生もわたしに何か思うのでしょうか。表情も感情も乏しいわたしでも、シッテムの箱以外の力で先生の助けになれるのでしょうか。
そうしてわたしの身体にあの大きな手が触れて、おもちゃみたいに弄ばれて……それは一体どんな感覚になるのでしょうか。この制御しがたいエラーにも似た感覚は一体。
未知の情報による過負荷で現実世界のシッテムの箱は火傷しそうなほど熱を持っていることでしょう。ですが今先生は箱を手放しているのでばれる心配はありません。かわりにわたしは汗をいっぱい掻いていて、目もぐるぐる回るような気分です。
せ、先生。むっつりだなんてつつかないでください、故障してしまいます。……わたしは何を言っているのでしょう。
゛ぐちゃぐちゃだね゛
「先生のせいですよ」
゛おもちゃじゃなくて?゛
「そのおもちゃを持ってきたのは先生です。いわば、このおもちゃは先生の生徒です。先生には生徒への監督責任があります。つまり先生のせいです」
゛暴論すぎない?゛
「もう、そういうのはいいですから……早く、触ってくださいよ。限界だって、んっ、言ってるじゃ、ないですか」
゛……もう我慢ならん!゛
「あっ……!」
とうとう理性が焼き切れたのか、先生がイロハさんのスカートをがばりと捲り上げました。……前から思っていたのですが、このスカートはえっちすぎではないでしょうか。これが制服とは一体。
……それはさておき、黒い花園がそこにはありました。ブラジャーとお揃いの黒いレースの下着はクロッチの部分にたっぷりと愛液が染みこんでいて、当て布のように異なる色合いとなっています。あまりにもたっぷりすぎたようで、さらにイロハさんの内股の部分につうと数筋愛液の跡が残るほど。
未だ続いているローターの振動でまだ溢れているのか、シミもじわじわとその面積を広げていきます。愛液の跡をたらりと新しい蜜が辿って、枝分かれて、また新しい跡を刻みます。
むわりとあふれ出した香りを先生は胸いっぱいに吸い込んで、そして一切の躊躇なくイロハさんの下着に吸い付きました。クリトリスと呼ばれる、皆さんが先生に触れられるととても気持ちよさそうにしている部分です。
「あっひぃ、あ゛゛っ……! い、いきなりそこだなんて、先生は容赦ないっひぃっ゛ああっ! まって、まってください刺激、強すぎてっ、イっクぅぅ゛……!」
先生はもはや言葉を忘れ、犬のようにイロハさんのクリトリスを下着越しに舐めまわしています。イロハさんが先生の頭を手で押さえて制止しているにも関わらずです。
熱心な責めは先程から何度かイキかけていたイロハさんにとってダメ押しだったようで、イロハさんは思い切り首と背筋を反らし、ぴんと身体で弧を描いています。目一杯足の先まで一本の弦のように張り詰めさせながら、震えています。
「やっ、せ、んせいっ。さっきまであれだけ焦らしてたのに、いィぃっ!?」
゛|いおはふぁはふひんふぁふぉ。ふぁんふぁふふはふひへひへ《イロハが悪いんだよ。あんな誘惑してきて》゛
「やっ、だめっ、なめながらしゃべるのは、だめで、っっくぅ……!」
゛
「え、ま、マジですか……?」
先生が床に放り投げていたリモコンを手探りで探し当てます。一体何をしようとしているのか。イロハさんは嫌な予感に頬を引きつらせていました。
「待ってください、まさか、一番強いのにしたりなんか、ぁっ、しません、よね? 弱いのと、普通のだけでこんなぐちゃぐちゃになっちゃってるんですよ? そんなのされたら、どうなるか」
゛……゛
「ね、先生? あなたの舌でもっとわたしにお仕置きするべきだと、おぅ、っもいませんか? わたし、先生じゃなくておもちゃに夢中になっちゃうかもしれません、よ?」
゛
「おっ!? おあああ゛ぁだめだめだめこれイっぐ……! うああああだめ、せんせいこれ、だめで、すぅううぐぅううう……!」
気付けばローターのリモコンは最大強度の振動を示すランプが点灯していました。虫の羽音だとか、設備の音だとかで誤魔化しきれない振動音がイロハさんのお腹の中から響いています。
……お腹の奥であんな強烈な振動がしているなんて、どんな感覚なのでしょうか。狂ってしまわないのでしょうか。ヘイローがあんなに点滅するような激感で、どうして気持ちよさそうだと……羨ましいと思えるのでしょうか。
「んっくっうぅ……! だっ! め゛、こ゛っれだめっです……! いきつづっけってっ、あ゛ったま゛、ばちばちとまんなっ、あっぐうイイィいい゛……!」
゛おいひい、おいひいよイロハ。゛
「そうです、かっ。それはけっこう、なんですが。っうあ、そろそろ、いったんん゛んん゛ぅぅ!? ね? すこし、すとっぷ、すとっぷぅぅう゛んぅ……!」
とても普段のサボりについて誰よりも機転が利く姿からは想像もつかない白痴の呻き。
先生におもちゃにされて、獣じみた声で身体を震わせる様は別人にしか思えません。
「んひぃっ、あ、そこ、おさえちゃだめ、です! うえからおもちゃぐりぐりされたら、ふかくひびいてぇぉぉおぐぅ……!?」
クリトリスを舐めまわしながら、お腹を上からローターの振動を感じられるよう押さえつけられてしまうなんて。
イロハさんの小さな身体でそんなことをされて受けとめられるものなのでしょうか。
わたし達より少し大きいだけの彼女の身体が、どうしようもなく先生に気持ちよくさせられています。
先生に組み敷かれて、逃げ場もなくて。服をひとつひとつ丁寧に脱がされて剥き出しになった恥ずかしい所を、あんな丁寧に舐められて、かと思えばおもちゃで乱暴に震わせられて……。
そんな風にわたしもされることを想像してしまうのは、プラナが悪い子だからですか。
「あっ、あっはあ、せ、せんせい。どれだけわたひにむちゅうなんですか。こんなこどもみたいな身体にそんな必死で貪りついて、壊れそうなくらいに気持ちよくして……ふふ、わたしの策略通りです。先生と一緒に居ることが最初のマコト先輩の命令を実行し続けることにつながる、つまりわたしは先生といる限りいくらでもさぼ、おぉっ!?」
゛
「あっ……ひっ、っく、んぅ……~!? なんて意地悪な、あぁっ……!」
先生は間違いなく相当な
そんなことをされて、まともな思考で居られるはずもありません。
……ですがどうやら、少々興が乗りすぎてしまったようですね。
イロハさんの携帯端末をハッキングし、ピコンと電子音を鳴らします。経路は徹底的に秘匿し、痕跡も一瞬で消去。
「んっ……! あ、あれ、わたしの携帯に何か……あ」
携帯をちゃんと見れば緊急事態だとわかるようにだけするアラートです。先生がこちらを一瞬見たような気がしますが、証拠は何一つ残っていませんので。
シッテムの箱のOSたるわたしはシゴデキなのです。見ていたとばれるような愚は犯しません。
「せ、先生、まずいです」
゛どうしたの?゛
「それがイブキがこちらに向かっているようでして……かたづけましょう。不完全燃焼も甚だしいですけど」
万魔殿のお姫様の携帯端末には、周りの人が彼女の居場所を把握するためのGPSアプリがインストールされています。
その挙動を監視すれば、不測の事態も未然に防げるというもの。先生がこういう生活を望むのであれば、わたしはそれを支えるために力を使う。
そしてアラートを受けて先生とイロハさんが慌ただしく後始末をしていきます。
窓を開け放って籠った淫臭を換気し、汚れたシーツは目につかない場所へ隠し。服装は多少乱れている程度に整えてから濡らしたタオルで汗を拭く。そしてローターのスイッチを切って沈黙させる。
それから部屋の鍵を開けて平静を取り繕いました。
この間三十秒。イブキさんがこの部屋に辿り着くまでには多少時間が残っています。
゛イロハ゛
「なんですか、先生」
゛せっかくだから、今日は入れっぱなしにしようか゛
「……な、先生、何を。わたしを殺す気ですか? 今でさえイク寸前で焦らしプレイを受け続けているような状態なのに、まだ、我慢しろと?」
゛これは、罰ゲームだよ。だから
「ぐぬぬ……はあ。そうですね。仕方がないなら、甘んじることにしましょう……ん、うぅ……」
再び最弱の振動設定で動き始めるローターに、イロハさんが懊悩します。
何度か絶頂させられた後の振動は、最弱であってもそれまで以上に敏感な部分を苦しめることでしょう。
゛だから、今日の夜はシャーレにおいで。そこでいっぱい遊ぼう゛
「せんせー! イロハ先輩! マコト先輩が今度のゲヘナ式典? についておはなししたいんだってー!」
゛ゲヘナ式典? そんなのあったっけ?゛
「予定にはないはずなのでまたマコト先輩の思い付きでしょう……まったく、なんて間の悪い。殺意すら湧いてしまいそうです」
゛殺してやるぞって?゛
「羽沼マコトォっ! って感じです。いえ実際にそんなことはしませんが。あれでもいないとわたしの仕事が増えちゃいますから。……まあ、ぁっ、……現在仕事を増やしているのもあの人なんですよね」
゛中間管理職の悲嘆……゛
「ええ。こればっかりは、なんとも」
小鹿のように震える足で、イロハさんは先生に支えられて何とか立ち上がります。
そうして自然と耳元に口を寄せると、スカートの裾をちらりと持ち上げて愛液で濡れている内腿を見せながら、ひそかに囁きました。
「これだけ焦らされているんです。今日の夜、楽しみにしていますからね。責任取ってくださいよ」
゛フオッ、ハアッファッ!?゛
「先生、どうしたの?」
゛な、なんでもないよオっ!?゛
……やはりこの人は先生を堕落させる神秘なのではないでしょうか。悪戯が成功してにまりと笑っている姿は何とも、見習いたいものでした。
゛……ばれてないと思ってるのかな゛
当シャーレのプラナちゃんは度重なるオーバーヒートによりポンコツ味と感情が多少増しております