「前から気になっていたんですよ。風紀委員長はもっと仕事を上手にサボるべきです」
「さぼる……?」
「はっきり言って仕事の量が人智を越えてますよ。連日現場稼働に書類仕事を山のように処理して三時間睡眠なんて、死んでないのが不思議なくらいです」
「そんなにかしら……」
「少なくともわたしなら一日で投げ出しますね。やってられません」
先生がぺろぺろとヒナさんの胸を舐める傍ら、異常な仕事量についてイロハさんが説いています。こうして聞くとゲヘナの風紀委員会はブラックそのものですね。労働基準法はどこに……あくまで生徒の活動なので適用範囲外という事なのでしょうか。
先生の仕事量も
「でもやらなくちゃいけないから……」
「それはそうとしてもです。たまの休憩時間に先生に甘えることくらいはするべきですよ。シャーレと連携を取れば減らせる仕事もあるかもしれませんし、マコト先輩に関しては共犯者のよしみでもう少しどうにか抑えますから……」
「……本当にいいの?」
「いいもなにも、先生がいかにもそうして欲しそうじゃないですか。……それに風紀委員長に倒れられたら万魔殿とて困りますからね。ゲヘナの無法っぷりを舐めちゃいけません」
゛レロレロレロレロ゛
エデン条約の際、目の前で傷ついた先生を見て心折れた彼女が嘆いた言葉。ささやかで可愛らしいその願いはシッテムの箱の中にも記録されています。それを踏まえれば、先生に甘えられるという誘惑はヒナさんにとって何より毒だったことでしょう。
「わたし、は……」
「残念ですがこれは決定事項です。こうなってしまった以上はこちら側に引き込むつもりですので、無駄な抵抗はよしてください」
「そんな」
ヒナさんの抗議の声を待たずにイロハさんが彼女の傍ににじり寄ります。手を伸ばせば抱きしめられるような距離。それでもヒナさんの意識は胸を舐めまわす先生の方に向いているようでした。
「んっ……」
「先生とのサボり方、その一です」
イロハさんの手がヒナさんの
「目一杯、気持ちよくなっちゃいましょう。いつも心の中に影を差しているあれこれなんて忘れて、先生との行為と気持ちいい感覚に集中するんです」
「んっ……そ、そんなところ……」
「ここは先生と会えなくて寂しい時にも自分で触って気持ちよくなれる部分ですよ。覚えておくと便利です」
くちゅ、くちゅともどかしいリズムでタップしながらヒナさんに教え込んでいく様子は天使を堕とそうとする悪魔といったところでしょうか。あるいは蠱惑的な囁きに戸惑う無知な少女。
先生もいつの間にか胸への責めの手……舌? を緩めて上目遣いに二人の様子を窺っています。アロナ先輩が描いた先生の似顔絵に、好色な目を書き足したかのような表情でした。
イロハさんは先生に一瞬だけ目線を流しました。それから挑発するように笑みをほんの少しだけ深めて、ヒナさんに毒を注ぎ始めます。
「先生はわたしたちが気持ちよくなって、いっぱいいっぱいになっている姿を見るのが好きなんですよ」
「せん、せいがそんなこと……」
「本当ですよ。今だって風紀委員長の乳首をふやけちゃいそうなくらい舐めまわしてるじゃないですか」
「わたしのち、乳首、なんて、なんで……」
「そこが女の子の弱点だからです。経験がないからあまりそう感じないのでしょうけれど……でも」 そこでまた先生の方を見て 「先生はこういうのもお好きでしょう?」 そう投げかけました。先生は小さく頷くばかりです。
「変なの……気持ちよくなっているのを見るのが好きなのに、胸を触るなんて。くすぐったい、だけなのに」
「風紀委員長はそれでいいんです。先生はわたしたちの身体を自分の色に染めていく……開発するのもお好きですから」
「かいはつ……?」
「調教と言った方が正しいかもしれません。わたしも初めは胸では感じられませんでしたけれど……」
イロハさんはそこで間をおいて自らの胸に触れます。つんと勃って膨らみ切った乳頭を指で挟んで、それから思い切り摘まみ上げました。
反応は劇的で、イロハさんは自らの行いで雷に打たれたように身を竦めます。
「ん~ぅ~っきゅ……!」
「い、イロハ? 大丈夫?」
「っ、ええ……! 大丈夫です……っ! ちょっとここまで敏感にされているというのが想定外だっただけで……まあ、とにかくです」
ひっくり返ったイモムシのように身悶えして、それでも平静を装うというのは先達としての意地なのでしょうか。相当な快楽があったことは隠しようがないでしょうに。
「今ではこのとおり、ちょっと摘まむだけでびくびく震えちゃうくらいまで気持ちいいことを教え込まれてしまいました。これはもう先生に責任を取ってもらうしかありませんね」
「責任……そういう話なのかしら」
「ちょっとした念押しですよ。それにいずれは風紀委員長もこうなります。……ほら、見てくださいあの目を」
「先生の、目……あ……」
「どう思います? ちょっとそっちのけにされたからって、女の子二人にぎらつかせた目を向けて……なのにおっぱいに吸い付いたまま。情けなくはないんですかねえ。……くす、またぎらぎらしてる。怖くないですか風紀委員長?」
「先生がこんな目してるの、初めて見るわ……」
「そうでしょうね。普段はもっと優しい皮を被ってますから。でも一皮剥いて、わたしたちへの欲望を露わにすればこの通り。ケダモノみたいに目を見開いてわたしたちのあられもない姿を焼き付けようとする……大人の性欲というのは浅ましいですね」
「そう……ね。でもちょっと……嬉しい、かも」
「嬉しい、ですか。その心は?」
「だって、先生が普段皆に隠してる一面を見せてくれてるということだから。いつも助けられてばかりだもの、少しは助けになりたいわ。こんな身体でも喜んでもらえるなら、尚更……。それになんだか子どもっぽく見えて可愛い、かも?」
「わかるようなー、わからないような……」
ヒナさん、今可愛いと言った
……ああ、いくら先生が見た目を取り繕ったところで、生徒の皆さんを傷つけることはあらゆる意味でできない。そんな信頼があるのですね。
「それに好きなようにしてと言ったもの。無茶苦茶にされても別に、その、構わないわ」
「……わたしみたいに、乳首を摘まむだけでイっちゃうような身体になっちゃうかもしれませんよ?」
「…………大丈夫、だと思う」
「ずいぶん間が空きましたね。まあまずいことになったらミレニアムがそういう薬を開発しているらしいので頼るのもよいでしょう。……さて」
サボり方、その三ですとイロハさんは続けます。
「その二はどこに?」
「先程までの内容、先生の好きなようにさせるということです。そこはもう大丈夫でしょうから……ですからその三です。先生をこっちから誘っちゃいましょう」
「さ、誘うって……!? わたし、そういうのあまり知らないのだけれど……」
「知らないなら知らないで、思ったことを言葉や仕草に出せばケダモノな先生は食いついてくれますよ。今みたいな恥じらいも武器ですから。後はまあ、流れで」
「ずいぶん適当ね……」
「実際適当でいいですから。問題は誘わないと先生からは中々来てくれないことにあります」
ねえ先生、と先生を見やります。お預けを食らった犬のような有様でヒナさんの乳首を軽く転がしていただけの先生。そこに愉しげに笑いながら餌を垂れ下げるような、そんな姿を幻視しました。
「先生は変なところでヘタレですからね。今だって、ヒナさんが少しでも嫌がるようなら退こうとしていたでしょう?」
゛……レロ、レロォ……゛
「んっ、せ、先生、胸を舐めて返事するのは止めてちょうだい」
゛ちゅぱっ、そうだよ゛
「と、このように。先生はこれだけ言わせといて一線をまだ迷うドヘタレですからこっちから誘うに限ります」
゛ヘタレ、だと……!?゛
「風紀委員長が二回も好きなようにしろっつってんですよさっさと襲っちゃえばいいじゃないですか少なくともわたしが男ならもうむさぼりついてますよ」
゛はっ……つまりイロ×ヒナってこと……!?゛
「本末転倒じゃないですか……! とまあこんな風にふざけてはいますが。今の先生は風紀委員長にぞっこんです。……今がチャンスですよ」
「あ……その……」
コントじみたやり取りをしつつ、イロハさんはいつの間にかヒナさんから少し距離を置いていました。ヒナさんのショーツに触れた指先には愛液が層を為すほど纏わりついていて、もう行為には十分なほど濡れているのだとわかります。あるいはそれを確認するための行動だったのかもしれません。
ベッドに広がった毛先を口元に運んで表情を隠し、目線を天井と先生の真剣な顔に彷徨わせながらヒナさんは言葉を喉元で選んでいるようでした。
先生も今ばかりは彼女の言葉を待っています。
……やがて。ヒナさんは一つ息を吐くと先生をまっすぐ見据え、その頬を両手で挟みました。
「ね、先生。エデン条約の時、わたしの部屋に来た先生に言ったことを覚えてる?」
゛うん、よく頑張ったね゛
「もう、復唱はしなくていいから……。わたしの気持ちはあの時と変わってない。もっと構って欲しい、なでなでして欲しい、甘やかして欲しい」
゛自分で言っちゃうんだ゛
「いいの。言わなきゃ先生が来てくれないっていうなら、恥ずかしい、けど……言うわ。先生、もっとわたしに構って? わたしに触れて、舐めて、虐めて……それからわたしを侵して? 先生がもっと欲しい。わたしの中に、もっと先生をいっぱいちょうだい」
゛はいよろこんでぇーー!!゛
わ、わぁ……。その、これは、なんというかあまりにも……。
……AIですら恥ずかしくなってしまう愛のささやきに先生が耐えられるはずもなく。
先生の欲望がヒナさんを犯そうと、愛液を垂らす秘所に荒々しく宛がわれました。