婚約破棄したら英雄から家畜にジョブチェンジしました。 作:さくらんぼ
王城に呼び出された仕立て屋は、死んだ目の英雄が王子に抱きしめられ局部を撫でられているのを恐る恐る見やった。王女も隣でなでなでしている。
ついにやりやがったこの双子の災厄。いつかやると思ってたが、想像の100倍ほどやらかしているらしい。英雄かわいそう。あっ 隷属の首輪はめてる……。
「クリスが半分女の子だったから、娶るにあたってドレスを作らないといけないと思うんだ」
「はぁ」
なんでも、半陰陽だったのだという。半分女の子だから、王子が娶れるという理屈だ。普通は平民と貴族は結婚できないのだが、王子の熱意に貴族の誰も反対できないという。貴族でさえ無理なのだから、仕立てや風情に何ができるはずもない。
「適当に何着か作って。下着もセットな」
適当。適当が曲者である。正直こういうおまかせ依頼が一番困るのだ。
「ご希望はございますか?」
「そうだな……。まずは、たまと竿を包む貞淑な感じのフリフリなレースの下着な」
「貞淑とは」
「あとは、秘所丸出しの抱きやすい下着も」
「下着の意味とは」
「ドレスはミニスカートしか認めない。パンツが半分くらい見える丈な」
「スカートとは」
「長いスカートでエッチな姿を隠すのもいいものですわ。あんまりモロ見えでも興醒めですし、めくる楽しみがなくなってしまいます、お兄様」
「確かに!」
「どこに納得する要素が?」
ぶっ込んできやがった、この変態王子。つまり娼婦なんて目じゃないエロ衣装を作れと。仕立て屋はもう一度英雄を盗み見た。
英雄は美丈夫ではあるが、女とは程遠い。女と間違えるような可愛い系の美貌ではないのだ。
「わ、私に女装は似合わないよ……変態になっちゃうよ……っていうか、そんな変態な服着たくないよ……」
「いいじゃん。きっと似合うよ、クリス」
「私も見たいです、クリス様」
「……で、いつ出来る?」
「一週間でお持ちします」
「ん、じゃあそれまで服がないから裸で過ごさないとな?」
「ロイ殿下……君は、本当に私が嫌いだったんだね……私、バカみたいだ。君を、君を一時でも好きだなんて……大嫌いだよ、ロイ殿下。心の底から軽蔑する」
私はすぐさま撤退した。
私に出来る事は、英雄様が一刻も早く裸からの脱却ができるよう、どすけべ衣装を作ることのみである。
なお、どすけべ衣装の方が裸より恥ずかしいであろうことは見ないこととする。
王城に呼び出された奴隷商人は怯えていた。
一番欲しかったものを手に入れたはずの王子が怒り狂っていたからだ。
「クリスに良き母、良き妻、良き恋人とはなんたるかを教える講師を呼びたい」
「はぁ」
「一番エロい性奴隷を貸せ」
「恐れながら、各々の考える一番には違いがございます。どのようなものがご希望でしょう」
「あー。そうだな。俺の指示でいつでもどこでも尻を差し出すやつ」
「はい」
まじで訓練場でやりやがった事は奴隷商人も聞き及んでいた。
「感度抜群で尚且つ恥じらいも忘れないけど俺の命令第一でペット相手だろうがなんだろうが足を開くやつ」
「はい」
おっとぶっ込んで来ましたよ。
「尻は開けっぱにでも出来るほどゆるゆるだけど締めようと思えば締められる感じで」
「はい」
うーんハードル。
「感度は薬使っててもいいから最高な。うんちしたり乳首吸われたりするだけでイ苦ような」
うーん末期。一応いるにはいるが……。
「あと便器としての仕事も果たせてそれで感じる奴な」
「はい」
いないな。調教せねばならぬという事である。
「あとそうだな、見せしめ用に無様な感じの奴隷も用意しろ。あんまり悪い子だと扱いそうするぞって脅すから」
「えっ それより下があるのですか!?」
「あ?」
「いえ、なんでもございません。準備するのに時間が掛かるのですが」
「1ヶ月待つ」
「かしこまりました……」
大変な事になった。
宮廷魔術師は頭痛を抑えていた。
エッチな魔道具を百個開発しろとの事である。
使用先はわかっている。
ようやく落ち着いてきたと思った矢先にこれだ。
希望を聞けば聞くほど頭痛がひどくなる。
子供が出来て落ち着けばいいのだが。
というか、どうか落ち着いてくれ。
「殿下、この調子でやってれば間違いなく子供はできると思うのですが、そうしたら母体第一ですぞ」
「えー。お腹の大きいクリスってエロいと思うんだ絶対。尻なら大丈夫だって」
「ダメです。妻子の安全が第一です。そこのラインは王族としてご自重ください」
「んー。そうだな……。自分の子供にケツマン突っ込まれてひんひん言うクリスは早く見たいもんな……」
「殿下」
わが国はもうダメかもしんない。