※この作品はR-18です。

神姫清廉オルレアハート!-乱行恥虐のスペクトラム-   作:ホリス_if

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オルレアハート、9話です

今回は女怪人、ナアマに淫化結界を張られ、オルレアハートが強制的に発情させられた上でのレズレイプ(挿入無し)となります。

前回の敗北後、アルクに連れ帰られた雅。
一晩過ぎた翌朝、部屋に留まっていたアルクと、心配して部屋に入ってきた奏が鉢合わせてしまう。
その軽い騒動で目が覚めた雅は紆余曲折ありつつ、奏と一緒にアルクから変身システムについての説明を受けていた。
その最中、再び怪人が街に出現したとの報せが入る。
負傷翌朝の雅に無理をさせまいと、単独で怪人の元へと向かう奏、だったが……

今話も是非、お楽しみください。


第9話-怪奇!鉄壁の淫化結界!

 

「……っ、んんっ……!」

 

 よく晴れた平日の朝。

 江崎奏は自室のベッドの上で目を覚ました。

 上半身だけ起こして大きく伸びを一回、お尻を軸に回転してベッドから降りて立ち上がる。

 机の上の時計をチラ見して、そのまま浴室へ直行。

 軽くシャワーを浴びて、制服に着替えてから寝癖を整える。

 

「……よしっ!」

 

 鏡で寝癖一つ無い綺麗なショートボブになったのを確認してから、一度机の方へと戻る。

 そしてカバンの中身を確認して、忘れ物の最終チェック。

 最後に冷蔵庫を開けて、教室で食べる朝食用のサンドイッチを取り出し、カバンの空いているスペースに突っ込む。

 ここまでが、いつもの彼女のルーティン。

 後は隣の部屋に住んでいる雅が出てくるのを待って、一緒に登校するだけ。

 の、はずだったが……

 

「……遅い」

 

 普段ならばとっくに出てきているはずの時間なのに、雅は一向に現れない。

 

「も〜……今日も遅刻しちゃうよ……」

 

 奏はスマホを取り出し、時刻と連絡の有無を何度も確認する。

 無論連絡は入って無いし、時刻は無慈悲に進んでしまう。

 

「お〜いっ、雅〜!」

 

 いくら奏が呼び鈴を鳴らしても、扉の前で声を掛けても、電話をかけたとしても、一切の反応は返ってこない。

 

「も〜っ!」

 

 痺れを切らした奏は、ガチャガチャと弄って起こそうと、遂に雅の部屋のドアノブへと手を掛ける。

 ……その時だった。

 

「あれ……?」

 

 奏の手には、違和感が生じていた。

 手に伝わるはずのガチッとした抵抗が、一切感じられなかったのだ。

 彼女は恐る恐る、ドアノブを一番下まで下ろし、ゆっくりと扉を引いてみた。

 

「……開いてる?」

 

 だが、奏の手にはドアロックの感触も無いまま、扉は自然に開いてしまう。

 

(……どうせ昨日帰った後、鍵を閉め忘れたんでしょ、雅らしいっちゃらしいけど)

 

「も〜、雅〜? 鍵開いてた……よ……?」

 

 そんな彼女の思考は……

 

「やぁ、おはよう、奏君」

 

 本来ならいるはずの無い白衣の女性の姿が、一瞬で吹き飛ばした。

 

「っっ!!」

 

 瞬間、奏はペンダントを取り出し、即座にアイリスリーベに変身。

 

「っ、アルクッ!!」

 

 そして右手の銃から近接戦用の刃を生やし、怒りを隠さぬままアルクへと突撃する。

 

「うぉっ!? ちょっ、待ちたまえっ!?」

 

 アイリスリーベへと変身した今の奏の脚力ならば、雅の椅子に座っていたアルクまで到達するのに数秒も要しない。

 突然の襲撃を前に流石のアルクも焦ったのか、奏の突撃に合わせて左腕にアーマーを展開し、それを振り下ろされる奏の刃にかち合わせて防御する。

 

「アンタっ、なんでここにいるのっ!!」

「落ち着きたまえ奏君っ!! 君こそっ、ここが何処か分かってるのかっ!?」

「分かってるから言ってんでしょうがぁっ!!」

「だからっ、少しは周囲を見る事を覚えろと言っているんだっ!!」

「不法侵入までする変態がっ、何言ってもっ!!」

「クソっ、ロクに話を聞くこともできないのかこのバカはっ!!」

 

 アルクの振り払いに合わせて奏はバックステップ。

 部屋の隅と隅で、二人は互いに睨みあう。

 が、その時間は長くは続かず……やがて、分かりやすくやれやれ、といった様子で両手を広げてアルクは口を開いた。

 

「とりあえずベッドを見たまえ。話はそれからだ!」

 

 ビシッと指差すアルクに言われるがまま、ベッドの方を見る奏。

 すると、そこには……衣装の胴体部が全て破られ、ボロボロになったオルレアハートの姿があった。

 

「……え……は、ぁ……? な、なに……これ……!?」

 

 今までアルクだけ見ていた故に気が付けなかった惨状に、奏は思わず言葉を失ってしまう。

 

「……君と別れた後、昨日の昼間戦った怪人と戦ったみたいでね。まぁ結果はこの通りさ……あぁ、大丈夫、死んではいないから安心してくれ。」

「……そう」

 

 色々聞きたいことがある、といった煮え切らない顔の奏。

 

「で、何? まさか、そんな雅を助けたとでも言いたいの?」

「そのまさか、なんだが」

「……アンタが?」

「だからそうだと……言っても君は信じないだろうねぇ、全く」

 

 アルクは深くため息をついてから、再び口を開き始めた。

 

「そもそもだ、なんで私が雅君の部屋に潜り込んで寝顔を眺めなきゃいけないんだ? それに雅君を変身状態のまま休ませられているのは、私のおかげでもあるんだぞ?」

「だからっ、その理由が分からないって話よ! なんで雅がずっと変身したままでいる必要があるのよ?」

「……そこから説明しなきゃならないのかい?」

「……何? アンタあれだけ自分が開発者だ何だの言ってたクセに、仕様すらロクに説明もできないの? それとも、私に仕様を説明した記憶でも捏造した? 一回聞かせただけじゃ理解できないような、ヘッタクソな説明でもどっかでしてたのかしら?」

「……おやおや、急に随分と饒舌になるじゃないか」

「……そりゃ、お互い様でしょう?」

 

 二人の間には、視線の火花がバチバチと散り続ける。

 しかし、それも数秒のこと。

 まぁいい、とため息混じりに一言置いてから、アルクは変身ヒロインのシステムについて話し始めた。

 

「良いかい? まず、このシステムはコアをユグドラシルにリンクしてからリチュアルリンカーをセイレーンシステムを介してアトゥムとシンクロナイズさせて対象をアドベントしてからリアライズして……」

「……アンタ、喧嘩売ってるの?」

「……っと、悪い悪い、冗談だよ。安心したまえ、これをハナから理解できるなんて私も思ってないさ」

「やっぱり喧嘩売ってるでしょアンタ!?」

 

 ……しかし展開されたのは、ただ専門用語を並べただけの、とても解説とは呼べない文字列。

 奏は分かりやすく青筋を立てながら、ヘラヘラと笑うアルクへと銃を突きつけた。

 

「……ったく、これだから単細胞は」

「あ゛ぁ゛っ!?」

「ははっ、すまないねぇ。そんな声出してたら、可愛い変身ヒロインの顔が台無しだぞ?」

「誰のせいよっ、誰のっ!!」

「ん〜? 感情もロクに制御できないクセに責任転嫁だけは一丁前かい?」

「……よ〜し、その喧嘩っ、買ってやろうじゃないのよ!!」

「お〜お〜ヤる気かい? 君じゃ私に勝てないのは実証済のハズだがねぇ?」

「言ったわねっ、後で泣きべそかくんじゃ無いわよっ!!」

 

……

……

 

「……ん゛っ、ぅ……ぐ……っ……」

 

 寝慣れた感触の上で、何だか聞きなれた声の喧騒に包まれながら、〝私〟は意識を取り戻した。

 少し目を開けると電気の光が目に入って、それがとても眩しい。

 

「おいおい、散々銃を構えておきながら、仕掛けてくるのは近接戦かい?」

「アンタに穴開けるにはこっちの方が早いってだけよっ!!」

 

 ……にしても、うるさい。

 ゆっくりと目を慣らしつつ、頭を喧騒の方へと傾ける。

 と……

 

「だがっ、私も近接戦はそれなりにできるタチなのは経験済みだろう!」

「はっ、その良く回る口っ、すぐ黙らせてやるわよっ!!」

 

 ……アイリスリーベに変身した奏と、腕にアーマーを展開したアルクが、何故か私の部屋の中で戦っていた。

 ……何か悪い夢でも見ているんだろうか。

 そう思って目を擦ってみても、頬を抓ってみても……全然景色は変わらない。

 となるとこれは……現実っ!?

 何が起きているのかさっぱり分からないけどっ、部屋が壊される前に止めなきゃマズいっ!!

 

「ちょっ、ちょっと待って待って待ってっ!!」

 

 咄嗟に叫んだ私の声に、二人は同時に動きを止めてくれた。

 

「……お、起きたのかい雅君。どうだい調子は?」

「あ、雅っ、大丈夫!?」

「え、あ〜、うん、何とか大丈夫……じゃなくて!!」

 

 何事も無かったかのように私の方へと駆け寄ってくる二人を、とりあえず両手で制す。

 

「そ、それ、で……なんで私の部屋の中で……あんな事、してたの……?」

「まぁまぁ、そんな事はどうでも良いじゃないか」

「そうよ! 大丈夫、雅が気にするような事じゃないわよ!」

 

 ……白々しい。

 あんなに興奮した奏の声なんて聞いた事無かったし、何より私の部屋の中でドンパチされて気にしない訳がないでしょうよ。

 まぁ、ここは私に気を使ってくれているのだと好意的に解釈しよう。

 

「……さぁ、話を本題に戻そうか。確か、この変身システムについての話だったね」

「ま、一応聞いてやるわよ。けど、さっきみたいなふざけた説明したら……分かってるわよね?」

「大丈夫、今度は雅君に分かりやすく説明しようじゃないか」

「……私はどうなのよ?」

「ん? 君はどうせ理解できないだろ?」

「はあっ!? そもそも説明求めてるのは私なんだけどっ!?」

「はいはいっ! 二人ともストップストップ!!」

 

 ……とりあえず、この二人に任せておいたら一向に話が進まない事だけは分かった。

 私のベッドの端へと銃を立てかけてから不機嫌そうに座った奏を尻目に、アルクは満足げな顔で話を始める、

 

「ふんっ……で、だ。まず前提として、この変身システムは……そうだな、君達にとってはゲームのアバターを呼び出すのに近い行為、と考えて貰って差し支えない」

「……それって、具体的には?」

「そうだな。実際は変身システムが起動したら、まず変身者の精神を直接変身ヒロインとしての肉体に移し、その肉体と本来の肉体の位置を交換しているんだ。文字通り〝身〟体を〝変〟える、で、変身って事さ」

「……ちょっと待って、全く理解できないんだけど」

「ま、奏君達の知る技術じゃ到底実現不能な行為だからねぇ。そうなるのも無理は無い。ま、テレポート的なアレを使ってると考えてくれたまえ」

 

 実際のところ、私も一回言われただけじゃ理解しきれない。

 そもそも数学や生物ですら何度も繰り返して覚えるのに、こんな話を一回で理解しろって言う方が無理でしょ、絶対。

 そんな私達の困惑する顔を見て、段々とアルクの表情が苦笑いへと変わっていく。

 

「……まぁ、今すぐ全部理解しなくても大丈夫だろう。今はとりあえず、変身する前と後の身体は別物だと思っていてくれたらそれで良いよ」

 

 ……そう言われると、まだ分かりやすい。

 実際、昨日だってそうだ。オルレアハートとして戦っていて、死んじゃうんじゃないかってくらい何度もお腹を殴られたのに、一滴も血を流した覚えがない。

 まさか変身したとして、体内の血が全部無くなる訳ないし……

 納得も理解も難しい、空想のような話。

 だけど、実際に起こってしまっている以上……にわかには信じ難いけど、信じるしか無さそうだ。

 

「で、ここからが本題だ。雅君が何故変身したまま休養を取る必要があったのか……答えは簡単、そうしなければ命の保証ができなかったからだ」

「と、言うと?」

「さっきは例えであぁ言ったがね……いくら私の変身システムが優れている代物といえど、これは単に物と物の場所を入れ替えるだけのテレポート装置では無いんだよ」

 

 アルクはどっかの教授みたいに、話しながら後ろで手を組んで部屋の中を歩きまわっている。

 

「なんせ、人体ってのは意外とパーツが多くてねぇ。それを目的の場所に寸分違わず転送して変身を完了させなきゃならないのだから、当然制限だって多い」

 

 心做しか、話している様子が少し楽しそうに見える。

 

「戦闘を前提としたシステムである以上、ある程度の損傷には対応できるように想定してある。だが、想定以上の損傷があった場合は、その限りじゃない。当然だがね」

 

 ……気の所為だろうか。

 まだ少ししか話した事ないけど、明らかに普段よりも喋りが滑らかな気がする。

 自分の作った物について話すのって、そんなに嬉しいのだろうか。

 それか……そんな事を話せる友達がいないのかな。

 

「例えば昨日みたいな、本来ならほぼ全ての内臓が破裂しているような損傷を負った場合。それに、少し極端だが腕が吹き飛んだ場合、とかだね。そういう時に無理に変身を解除してしまうと……っと、お〜い、雅君、聞いているかい?」

「……えっ、あ、うんっ! 聞いて、る、ます、よ……?」

 

 ……ヤバい、話半分に聞いてたのバレた。

 どうやって誤魔化そうか考えるにしても、小難しくて殆ど話が入ってきてない。

 

「……ほらっ! アルク、アンタの話はっ、長ったらしくて分かり辛いのよ! 簡潔に纏めなさいっ、簡潔にっ!」

 

 なんて困ってたら、奏が助け舟を出してくれた。

 何か言いたそうなアルクだったけど……結局諦めたみたい。

 

「ったく……いいかい! 要は、酷いダメージを受けてすぐに変身解除したら死ぬ可能性がある! そういう時は何を犠牲にしてでも変身を解除してはいけない! そういう事だ! オーケー!?」

「……よ〜し、やればできるじゃないのよ」

 

 頭を掻きながらぶっきらぼうに言い放ったアルクに対し、何故か勝ち誇ったような奏。

 仲が良いのか悪いのか分からない二人だ。

 見ているだけなら微笑ましい光景に見えるんだろう。

 けど……私にはあと一つ、分からない事がある。

 

「アルク、もう一つ、聞きたい事があるんだけど……」

「ん! なにが聞きたいんだい!」

 

 ここまで、すっかり仲良さそうに話していた。

 それに、私達の知らない事まで教えてくれた。

 ……それは、何故?

 

「……なんで昨日、私を助けてくれたの?」

「あぁ、その事か」

 

 つい数日前まで……少なくとも私は、本気でアルクの事を倒そうとしていた。

 アルクだって本気だったか分からないけど、私と奏に酷い事をしてきた。

 それが、この態度の急変具合。

 すっかり絆されそうになってたけど……私も奏も、まだアルクの目的を知らない。

 

「なに、そんなに難しい事じゃないよ」

 

 そんな私達の疑惑をよそに、アルクはしれっと言い放ってきた。

 

「君達を助ける理由なんて、〝今のハウンズのやる事が気に入らない〟、これだけで十分だろう?」

「と、言うと?」

「……今ハウンズが行っている地上侵攻作戦。これはこの時空軸での、対変身ヒロイン戦闘を主目的としている。私にはそれが……見てられないんだよ」

 

 段々と表情を神妙そうな顔に変えつつ話すアルク。

 しかし……

 

「……雅、コイツが言ってる事、分かる?」

「……ううん、全然分かんない」

 

 ……アルクには悪いけど、何を言っているのかがさっぱり分からない。

 

「な、何が分からないんだいっ!? 私は至極真っ当な事を言ってるはずだが!?」

「だって……」

「ねぇ……」

 

 頭の中にはハテナがいっぱい浮かんでいる、って顔をしている奏。

 多分、私も同じような顔をしているはずだし、考えてる事だって奏と一緒なはず。

 ……やってる事、場所が変わっただけで前と変わらなくない? と。

 そんな私達を見て、本日何度目かのため息をつくアルク。

 

「……いいかい、今までは閉鎖空間。あくまでも君達変身ヒロインのみを対象としてきた。が、今回の地上侵攻作戦については違う。一般人を巻き込む可能性のあるシチュエーションってのは、私は好きじゃないんだよ。分かるかい?」

「……アンタ、女を犯せたら誰だって良かった訳じゃないのね」

「おやおや……奏君、やはり君は何も分かっていないみたいだねぇ?」

「何? 今からでもさっきの続き、やる?」

「ねぇ奏っ、それだけは止めてっ! お願いだからっ、やるなら外でやって!!」

 

 全然違いが分からないんだけど、これって私がおかしいだけなのかな……?

 またもや一触即発の空気になっている二人を必死に止めつつ……まぁ、今のアルクなら少しは信じても良いのかなって、そう感じていた。

 だって変な理由理屈で話されるよりも、〝好き・嫌い〟で話される方が、よっぽど信用できるし。

 

「まぁ、とにかくだ」

 

 コホン、と咳払いしたアルクは、そのまま話を続ける。

 

「喜びたまえ。とりあえず、しばらくの間は私が君達をサポートしてやろう、という事さ……っと、ちょっと待ってくれたまえよ」

 

 大袈裟に手を広げてポーズを決めようとした、その時……何かを察したようにアルクの顔が、少しだけ真剣になる。

 彼女はそのまま手を空中にスライドさせると……何故かそこに、ディスプレイのようなモノが浮かび上がってきた。

 

「あ〜……やはり昨日の報告してないな、アイツめ……」

 

 ディスプレイを見ながら、顔をしかめるアルク。

 

「何かあったの?」

「っとだな……ハウンズからの連絡が来た。今しがた一人、怪人が出撃したとの事だ」

「それって一大事じゃないっ!! アルクっ、場所はどこっ!?」

「だがっ、奏君が行ってもだな……」

「ンな事言ってる場合じゃないでしょっ! それにほらっ、コイツを使えば何とかなるわよ!」

 

 奏はそう言うとベッドに立てかけてあった銃を手に取り、それを縦一直線にくっつけた。

 すると銃の接続部が一瞬で消え、一丁の長い巨大な銃へと変化した。

 

「ほらっ、これで遠距離からパパっと片付けてくるからっ!」

「……へぇ、狙撃型か。こんな仕様、よく見つけたねぇ」

「昨日色々してたら見つけたのよっ! それよりほらっ、早く場所教えなさいっ!」

「はいはい、場所は……お、ちょうど昨日、雅君が昼間に戦ってた場所だね。狙撃ポイントの目星は?」

「大丈夫っ、私は地元民よ!」

「ははっ、信用していいのか悪いのか……」

「オーケーその言葉、帰ってからじっくり詰めてやるから覚悟してなさいっ! じゃ、雅っ、行ってくるっ!」

「うん、気をつけてね」

「ふっ、このアイリスリーベに任せなさいっ!」

 

 奏はそう言い放つと、勢いよく走って私の部屋を出ていった。

 

「……雅君、彼女の話を聞かないところ、どうにかならないのかい?」

「多分無理、奏ったらずっとあんな感じだし」

「……君、よく付き合い続けられるな」

「私はもう慣れたからね。それに、一緒にいたら退屈しないし」

「ははっ、それは何よりだ」

 

 軽く笑ったアルクは、そのまま私の椅子へと腰かける。

 

「それはそうと雅君、そろそろ一度、変身を解除してみたらどうだろうか」

「……大丈夫なの?」

「あぁ。変身ヒロインには常人の何倍もの回復能力が備えられている。殆ど一晩も変身を維持していれば、内部は回復しきっているだろう」

 

 さっきの説明を聞いた後だと少し怖いけど……ずっと胸もアソコも丸見えのこんな状況でいるのは、確かに嫌だ。

 

「うん、分かった。やってみる」

「あぁ、もし何か異変を感じたら、すぐに変身し直せよ。貴重な覚醒経験者をこんな事で失うのは私もゴメンだからな」

 

 一言多いアルクの言葉は無視しつつ、私は、いつも通りに変身解除を念じた。

 すると私の身体は光に包まれて……

 

「……よし、ひとまずは成功だな」

 

 私の姿は昨日の通り、私服姿へと戻ることができた。

 

「どうだい、気分は?」

「……うん、特に異常はなさそう」

 

 両手を開いて閉じて……うん、異常無し。

 脚も身体も、問題無く動く。

 心なしか身体の汚れも、お腹の奥に溜まっていたドロッとした異物感も消え失せている。

 

「ったく……奏君も君みたいに素直だったら良いんだがねぇ……」

「あははっ……」

 

 私の苦笑いを笑いながら、アルクは背もたれにグッと寄りかかる。

 

「……ところで、さ」

「ん? あぁ、奏君の事かい?」

「うん……大丈夫かな」

「ま〜……勝てないだろうねぇ」

「……っ! ちょっとっ、縁起でもない事言わないでよっ!」

 

 彼女の心無い言葉に、思わず立ち上がってしまう。

 

「まぁまぁ、落ち着きたまえ。そういう意味で言った訳じゃない」

「じゃあっ、どういう意味よっ!」

 

 そんな私をあしらうように、手を上下にパタパタとさせるアルク。

 

「勝てないってのは……こういう意味だ」

 

 そして彼女は大きめのディスプレイを展開して、私の方へと向けてきた。

 映っているのは二分割された映像。

 

『ふふふっ、さぁっ、ハウンズが出てきてあげたわよっ! 早くオルレアハートを出しなさいっ!!』

 

 片方には凄い際どいボンテージを着て両手で二丁の拳銃を構えた、尻尾の生えたサキュバスみたいな怪人。

 時々空中に拳銃を撃って、建物の影に隠れた周囲の人を威嚇している姿が見える。

 そして、もう片方には……

 

『ちょっとっ、なんで弾が全然当たらないのよっ!?』

 

 かなり離れたビルの屋上からその怪人を狙撃している、アイリスリーベこと奏の姿が映っていた。

 

「やれやれ……そんなところだとは思っていたよ」

「っ、何を平然としてるのよっ!?」

「ちょうど良い、奏君にも説明しておこうか」

 

 心配する私をよそに、アルクはディスプレイの端を指で軽く叩いた。

 そして。

 

「……あ〜、あ〜、聞こえているかい、奏君?」

『っ、はぁっ!? アルクっ、アンタ何処から話してんのよっ!?』

 

 彼女が話し始めた瞬間、ディスプレイの奥の奏がびっくりしたような声を上げる。

 

「ったく……だから言っただろ。君が行っても無駄だと」

『お小言は後で聞いてやるわよっ! それより良いからっ、早く原因教えなさいっ! 射程距離? それとも威力不足っ!?』

「攻撃しているのが君だからだな」

『何よそれっ!?』

 

 ディスプレイ越しに聞こえてくる奏の怒鳴り声に、こっちまで耳がキーンってなりそう。

 ……なんか最近、妙に奏がキレやすくなってる気がする。

 帰ってきたら牛乳でも入れてあげよ……まだ残ってたっけ……?

 

「今はどれだけ頑張ったってその怪人は倒せないよ。雅君……オルレアハート以外にはね」

『何よ、私が雅より弱いって言いたいの?』

「だから……少しは話を聞きたまえ」

 

 呑気な私を放置したまま、アルクはさっきまでと変わって真面目な雰囲気を出して話を続けている。

 

「そもそもだ、地上侵攻作戦というのは市民を巻き込み、変身ヒロインの存在を世間が広く認知しなければ成り立たない作戦だ」

 

 ディスプレイ上で忙しく指を踊らせながらも、彼女の話は続いていく。

 

「しかし、その変身ヒロインが何人もいては認知がバラけて、最後の仕上げが上手くいかない可能性がある」

『……だから、オルレアハート以外には負ける気も、必要も無いってこと?』

「つまり、そういう事だ」

 

 言い切ると同時にアルクは中指で勢いよく、ディスプレイをターンッと押し込んだ。

 すると、また一つディスプレイが増える。

 今度は映像じゃなくて、なんか色んな数字やらグラフやらが書いてある。

 

「ほら、ここと、ここの数値だ」

 

 彼女はその中の、とある二箇所を交互に指で指した。

 ……正直、指を指されても、何が書いてあるのかよく分からないんだけど。

 でも、同じ数字が書かれてる事だけは辛うじて理解できる。

 

「ここ、とあるポイントで奏君が放った弾とヤツの放った弾の反応が同時に消えている。つまり……」

「……奏の弾が全部撃ち落とされてるってこと?」

「撃ち落とされているか、吸収されているか……まぁ、そういう話だろうな」

『ちょっとっ! 何コソコソ二人で話してるのよ! こっちは何も見えてないんだけど!』

「ははっ、すまないすまない。とにかくだ、現状では君の弾は通じない。だから、ここは素直に撤退を……」

『する訳ないでしょうが!』

「はぁっ!? 何を言っているんだ君はっ!」

 

 奏の怒鳴り声に呼応するように、珍しくアルクも立ち上がって声を荒らげた。

 

「今は手加減されてるようなモノだ、それにアイツの有効射程距離だって正確には分からない。いつ頭を撃ち抜かれてもおかしくないんだぞっ!!」

『だからってっ、人を見捨てて逃げ出せって言うのっ!? それでっ、あんな状態の雅を戦わせようって!?』

「そちらの状態も見ているっ! 市民を脅しこそしているが、襲う様子は無いっ! だからっ!」

『そんなのっ! こっちにだって見てるわよっ! でもいつ考えが変わるかまではっ、アンタだって分かんないでしょっ!!』

「こっ、のっ! 石頭がっ!!」

『うるさいインテリ気取りっ!!』

 

 ……また始まっちゃった。

 でもこれって、私が行ったら全部丸く収まるんだよね?

 だったら……

 

「あ、おいっ雅君っ! 何をするつもりだ!」

「そんなの、決まってるでしょっ!」

 

 アルクの制止を振り切って、握ったペンダントに力を込める。

 目を閉じて……想い願うは、あの姿。

 

「行くよっ!!」

 

 そして気合いを込めて声を出した瞬間、私の身体は眩い光に包まれた。

 光が落ち着いたのを感じて、目を開くと……私は、オルレアハートへ変身を遂げていた。

 

「……そういえば君も、十分突っ走るタイプだったな」

 

 分かりやすく頭を押さえるアルクに背を向けて、私は扉に向かって走り出す。

 

「アルクっ、鍵閉めよろしくっ! あと片付けしといて!」

「……はいはい、気を付けて行っといで」

 

 諦めたような呆れたような彼女の声を背中に受けながら、私は扉を開けて外に出た。

 

「よいっ、しょっとっ!」

 

 そのまま目の前の柵を飛び越え、空中でスラスター全開。

 一直線に怪人が出た場所へと、急行するのだった……

 

……

……

 

「ほらっ、ほらほらほらぁっ!! 早く出て来ないとっ、この街み〜んな穴ボコになっちゃうわよぉっ!」

 

 ……見つけた。

 ここに来るまでに結構な量の銃声が聞こえたけど、周辺にあるのは小さめな銃痕だけ。

 となると、撃つ方向さえ察せたら避けるのは難しくないはず。

 それに弾の交換っぽい動きもしてないって事は、多分あの弾は魔力的な何かなんだろう。

 それだけ分かれば……十分っ!

 

「いい加減にっ、しなさいっ!!」

 

 注意を引く為に叫びながら、空中から急降下しつつ怪人に斬りかかる。

 

「おっとぉ! ふふっ、中々威勢が良いのねぇオルレアハート! 私好きよっ、そういうタイプ!」

 

 不意打ち気味な初撃は身体を逸らされて躱された。

 けど、それも想定内。元々一発で倒せるなんて思っちゃいない。

 瞬時にバックステップで大きく距離を離して、刀を構えなおす。

 

「お生憎様っ、私はアンタみたいな暴力女、大っ嫌いよっ!」

「あらあら、つれないわねぇ?」

 

 周りで私に対し、歓声が起きているのが聞こえる。

 色々な言葉が聞こえるし、多分ネットでもまた写真が出回ってしまうんだろう。

 だけど今はとりあえず、こっちに集中。

 これ以上被害を増やす前に、叩くっ!

 

「はぁぁぁっ!!」

 

 刀を脇に構え、そのままスラスター全開。

 できるだけ身体を低く保ちながら、一気に怪人との距離を詰め始める。

 

「いやねぇ、まだ私の名前も言ってないじゃない?」

「そんなのっ、聞く必要ないわよっ!!」

 

 当然、怪人も私を迎撃すべく、何発も銃弾を放ってくる。

 もし普段の私なら、一瞬で全身に風穴が空けられていただろう弾幕。

 けど、今の私はオルレアハート、だから……!

 

「そんなんっ、じゃっ!!」

 

 銃弾を避けるくらいっ、銃口の動きを見てからでも、余裕!

 

「も〜っ、すばしっこい娘ねぇ!」

「トロいよのっ、アンタがっ!!」

 

 何十発もの弾幕を乗り越え、一瞬のうちに、怪人の懐へと飛び込む。

 

「このっ……!」

 

 しゃがみこんだ私の頭へ突き付けようと、拳銃が向けられようとする。

 

「甘いっ、よっ!!」

 

 が、それは見えている。

 上空にアーチを描くように刀を振り、その拳銃を真ん中で真っ二つに斬り裂く。

 

「っ、ふっ!!」

 

 そのまま刀を振った勢いを使い、その場で横に半回転。

 振り下ろされようとしていた反対側の拳銃を狙って、回し蹴りを叩き込む。

 

「アナタっ、中々やるわねぇっ!」

「そりゃっ、どうもっ!!」

 

 上手い具合に両手の武器を、私が無力化できたからだろうか。

 悔しそうな、それでいてどこか嬉しそうな声を出しながら怪人は後ろに下がった。

 ……ここで奏からの支援砲撃でもあれば楽なんだけど、無い物をねだったって仕方ない。

 それより今はっ、決着をつけるのが最優先っ!

 

「けど、私、もう武器無いからぁ……今日のところは、撤退させてもらうわねぇ!」

 

 更に距離を取ろうとしたのか、怪人は高く飛び上がった。

 

「逃がさっ、ないっ!!」

 

 すぐさま私もスラスター全開。

 怪人を追いかけるように跳躍し、離された距離を一気に詰める。

 

「ちっ、しつこいっ、わねぇっ!」

「やぁぁぁっ!!」

 

 そして突撃する勢いのまま、刀を突き出すっ!

 

「うぐっ!?」

 

 ……聞こえる怪人の悲鳴、手応えもアリっ!

 

「らっ、あぁぁぁっ!!」

 

 そのまま脇腹を刺した刀をっ、身体ごと回転しながら斬り上げるっ!!

 

「ぐぁぁぁっ!? おっ、オルレアハートぉぉぉっ!!」

「これでっ、トドメぇぇぇっ!!」

 

 動きの止まった怪人のど真ん中目がけてっ、推進力に任せて刀をぶち込んでっ、トドメっ!!

 

「ぎゃあぁぁぁっ!!」

 

 手に伝わる刀の根元まで貫いた感覚と、目の前から聞こえる汚い悲鳴。

 決まったと確信するには十分すぎる手応え。

 

「アンタみたいなヤツらに、私は負けないからっ!」

 

 刀を引き抜くと、怪人は重力に引かれて地面に落ちていき……やがて、落下した音が聞こえた。

 その音を追いかけるように、私もゆっくりと地面に降り立つ。

 そんな私を待ち受けるのは、街の人たちによる盛大な歓声だった。

 

『今日も格好良かったぞっ、オルレアハート!!』

『ありがとうっ!! 助かったわっ!!』

『またハウンズが出たら頼むよっ!!』

 

 この為に戦っている訳じゃないけど……それでも、こうやって賞賛の声を浴びるのは、やっぱり嬉しい。

 

「あ、あははっ……ありがとう〜!」

 

 そんな人達に、手を振ってアピールしてみる。

 ……すると、歓声とシャッター音が更に激しくなってしまう。

 何だかアイドルにでもなった気分だ。

 さて……後は人に見つからない場所まで逃げ回って、それから帰るだけ。

 そんな治安が良いのか悪いのか分からない事を考えていた……その時だった。

 

「……何?」

 

 ……さっきまで周囲で鳴り響いていた歓声が、一瞬にして聞こえなくなったのだ。

 同時に感じる、背後からも何か悪寒のようなモノ。

 一変して空気が変わったような、明らかにおかしいこの気配……まさかっ!?

 

「……だめじゃない、オルレアハート。ちゃ〜んとっ、敵を倒したか確認しないとぉ!」

「……っ、やっぱり、まだ、よね……っ!」

 

 ……振り返るとそこには、ユラユラと立ち上がってきた怪人の姿。

 やっぱり、これで確信が持てた。

 コイツら、人に見える所でだけ、ワザと私に負けてるんだ。

 て事は……

 

「さぁ、目隠しの結界は張ってあげたんだから……この私、ナアマを楽しませてちょうだいね?」

 

 ……やはり、構えのスタイルが変わった。

 さっきまでの拳銃じゃなくて、どこからが生成した片手剣を手に、正面で構えている。

 それに、コイツの言う〝結界〟。

 これが何の効果があるか分からないけど、まぁハウンズの事だ、どうせロクな物じゃ無いのは確かだろう。

 この〝ナアマ〟と名乗った怪人が何を考えているのかだって、正直見当もつかない。

 一気によく分からない現実ばかりを流し込まれ、少し混乱しそうになってしまう。

 

「……へぇ、ようやく本気で戦う気になったの?」

「いやねぇ! 今までのは前座よ、前座!」

「ふんっ、どうでも良いよ、そんな事」

 

 ……けど、私のやるべき事はっ、結局変わらないでしょっ!

 

「どうせアンタを倒せばっ、全部解決よっ!!

「ふふっ、良いわねぇっ! さぁ、楽しみましょうっ、オルレアハート!」

 

 刀を構えて突っ込む私に対し、ナアマは片手剣を正面に構えたまま。

 あの片手剣の防御力がどれくらいかも、ナアマ自身がどれほど剣を使えるのかも不明。

 なら、ここは火力優先っ!

 落下の勢いを刀に乗せてっ、一気に叩き斬るっ!

 

「はぁぁぁっ!!」

「……ふふっ」

 

 だが……未だにナアマは、片手剣を構えたまま動かない。

 警戒しつつも、一息で勝負を決めようと一思いに刀を振り下ろす。

 その時……ナアマの目が、一瞬だけ妖艶な光を放ったのが見えた。

 何か、仕掛けてくるっ!?

 咄嗟にナアマを蹴って言って飛び退こうとした、その瞬間……

 

「あ、れ……っ……!?」

 

 ……突然私の身体から、力が一気に抜けてしまう。

 

「あらあら、隙だらけね」

 

 そんな私のがら空きなお腹に、ナアマの膝が突き刺さる。

 

 ドスッ!!

 

「ぁがっ!?」

 

 来ると分かっていたにも関わらず、お腹に力が入れられない。

 今まで戦ってきた敵の、どの攻撃よりも弱い打撃のはずなのに……直接内臓を殴られたみたいな痛みが響いてくる。

 

「ぉぐっ、ぅっ、がっ、ぁ゛……!」

「あらぁ、随分と柔らかいのねぇ」

 

 手は勝手に刀を手放し、私は膝から崩れ落ち……そのまま地面に倒れ伏してしまう。

 

「な、なに……が……ぅぐっ……?」

 

 ……多分、目が光ったあのタイミングに何かを仕掛けてきたんだろう。

 でも、肝心の何をされたのかがさっぱり分からない。

 

「バカねぇ。わざわざアナタの間合いで戦う訳、無いでしょう?」

 

 ……っ、ヤバいっ、近づいてくる。

 逃げるために立ち上がろうとしても、腕に力が入らない。

 

「私ねぇ、実は暴力的な事、あんまり好きじゃないのよ」

「やめっ、ろっ……来る、なぁ……っ!」

 

 うつ伏せで呻く私の目の前にしゃがむナアマ。

 彼女はそのまま、私の顎に手を当てて優しく頭を持ち上げた。

 

「それに、オルレアハートちゃんも痛いのはイヤよね? だからぁ……」

 

 私の目が、艶やかな視線でジッと見つめられる。

 

「気持ちいいこと、沢山、しましょ?」

 

 ……ヤバっ、また目がっ、ひかっ、てっ……!?

 

「ひっ、ぎゅぅぅぅっ!?」

 

 ビクビクッ!!

 

 ……その瞬間、私の身体に走る快楽。

 奏のアクメビームで貫かれた時に似た謎の快楽が、私の全身に襲いかかってくる。

 

「なにっ、なにしっ、んぎっ、ひっ、んんっ……!」

 

 衣装が敏感なところに当たって、それすらも気持ち良くて、勝手に声が出てしまう。

 まるで全身の感度が強引に引き上げられたような、そんな感覚。

 

「言ったでしょ? 結界張ったって。だから、これがある限り……アナタは私の、玩具なのよ」

 

 悶える私の横腹を蹴っ飛ばして、ナアマは私の体勢を仰向けに切り替える。

 

「はぐっ!? ぁひっ、ぃっ、あぁっ……!」

 

 ……蹴られた痛みすら、軽い快楽として私の身体は感じてしまう。

 そんな、だらしなく四肢を放り出した私をマジマジと見つめるナアマ。

 視線は……私の胸に注がれている。

 

「……あらぁ? もう乳首勃っちゃったの?」

「ぁ、ぐっ……み、見る、なぁ……」

 

 ナアマの言葉に自分の身体を見ると……言葉通り、私の乳首は衣装越しに居場所を主張してしまっていた。

 こんなの、絶対おかしいはず、なのに……私の身体の疼きは、全然治まってくれない。

 

「こんな淫乱なオルレアハートちゃんには……お仕置してあげないと、ね?」

 

 そんな私の痴態に舌なめずりしたナアマの指が、私の両方の乳首に襲いかかってくる。

 そして、両手の人差し指を動かしながら、爪を立てて、私の乳首を衣装越しに……

 

 カリッ……

 

「んひぃっ!?」

「あら、可愛い声ねぇ」

 

 カリッ、カリッ……

 

「んんっ、ふっ、ぁっ、あぁぁぁっ!? やぁっ、やめっ、ぁっ、ひぁぁぁっ!?」

「やめて、じゃないでしょう? ほら、正直になりなさい?」

 

 ビクビクッ!

 カリッ……カリッ……

 

「やだっ、やっ、ぁあぁぁぁっ!? これっ、やだっ、やめろっ、やめっ、んひぃぃぃっ!?」

 

 ヤバい、ヤバいヤバいヤバいっ!?

 何これっ、ただ乳首擦られてるだけなのにっ、気持ちよすぎるっ!?

 

 カリッ、カリッ……

 

「ひぁっ、ぁっ、くっ、あぁぁぁっ!? ぁっ、はっ、あぁぁぁっ!?」

 

 まるでアソコをずっと犯されているみたいな快楽が、乳首を伝って勝手に全身へと行き渡る。

 

「ねぇ、気持ち良い? 乳首カリカリされるの、気持ち良いわよ、ねぇ?」

 

 カリッ……カリッ……

 

「きもちっ、よくっ、なっ、ぁっ、んっ、あぁぁぁっ!? きもっ、ちっ、よくなっ、ぁあっ!? ひっ、んんぅぅぅっ!?」

 

 クソっ、身体さえ動けばこんなヤツっ、簡単に倒せるはずっ、なのに……っ!

 大丈夫っ、いつかは隙ができるはず。

 それまでっ、耐え続ければ……何とかっ、なる、はずっ……!

「む〜、しょうがないわねぇ……じゃあ……もっと気持ちよくしてあげる」

 

 そんな喘ぎ続ける私の、まだ折れてない戦意が不満だったのだろうか。

 ナアマはそう言って、私に覆いかぶさってくる。

 それ以上、何をする気なの?

 もしかして、アソコを責められるのかな……と覚悟した……その時だった。

 

「……れろっ」

「ひぅうぅぅぅっ!?」

 

 突然左の耳に伝わる、ザラザラとした感覚と水音。直後に伝わる、ゾクゾクっとした快楽。

 もしかして、これっ……耳っ、舐められてっ、るっ!?

 

「あら〜っ、いい反応してくれるじゃない。そんなに嬉しいなら……もっとやってあげる」

 

 未知の快楽に侵され、思わず声を出してしまう。

 そんな私の姿が気に入ったのだろうか……ここからナアマの責めが、一気に加速し始めた。

 

「レロレロっ、ぁ〜、んじゅっ、んぁっ、ジュルルっ……!」

「ひぃぃぃっ!? いぁっ、はっ、ひっ、ぃいぃぃぃっ!?」

 

 耳の穴を舌でグポグポと抽挿される度に、私の口から溢れ出る情けない嬌声が止まらない。

 こんなこと誰にもされた事無いし……そもそも耳を舐めるなんて発想、した事も無かった。

 なのに……ヤバいっ、これっ……気持ちよすぎる……っ!

 

「ぁむっ、んっ、れろれろぉっ……ふ〜っ……ふふっ」

「ぁっ、あぁぁぁっ!? ぁひっ、いっ、ひっ、らめっ、ぁっ、ふぁぁぁっ!?」

 

 ダメっ、それっ、ふーってするのっ、無理ぃっ!?

 

「れろっ、んっ、ぁっ……ふふっ、オルレアハートちゃんっ、お耳弱いのねぇ? だったらぁ……こっちも一緒にしたら、どうなっちゃうかしら?」

 

 そう言ってナアマは、私の身体をゆっくりと手でなぞる。

 狙っているのは……もしかしてっ、またっ……!?

 

「ほら、お耳と乳首……一緒に気持ちよ〜く、なっちゃいましょう? ぁ〜んっ、んじゅっ、んぁっ、れろっ、んぁっ……」

 

 カリッ、カリッ……

 

「ひぃぃぃっ!? どうじっ、むりっ、いぃぃぃっ!? やらっ、やめっ、ひっ、あぁぁぁっ!?」

 

 耳とっ、乳首っ、同時になんてっ、聞いてないぃぃぃっ!?

 

「じゅるるっ、じゅるるっ……んぁっ……ほ〜らぁ……イケっ、イっちゃえ……っ!」

「ぁあぁぁぁっ!? やっ、あぁぁぁっ!? ひっ、いぃぃぃっ!?」

 

 無理っ、こんなのっ、がまんっ、むりぃぃぃっ!?

 このままじゃっ、だめっ、イクっ、イっちゃうぅっ!?

 

「ほらっ、トドメっ、よ?」

 

 ギュッ!!

 

「んぎぃぃぃっ!?」

 

 乳首っ、抓っちゃっ、だめぇぇぇっ!?

 もっ、むりっ、イクっ、イクイクイクぅぅぅっ!!

 

「っ、〜〜〜〜っ!? ひっ、あぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ガクガクッ!!

 

「あらっ、元気に身体仰け反らせちゃって。可愛いわねぇ」

「っ、はっ、ぁっ!? はっ、ぁっ、ぅっ、うぅっ……!」

 

 イったっ、イカっ、されっ、たぁっ……

 脚っ、閉じたいっ、のにぃ……

 けいっ、れんっ、とまんっ、なっ、いぃっ……

 

「ほらっ、無様なイキ姿見せてくれたご褒美……ふ〜っ、ふ〜っ、はぁ〜っ……」

 

 カリッ……カリッ……

 

「んひぃぃぃっ!? ぁっ、ひっ、ゃあぁぁぁっ!?」

 

 そんなっ、イったばっか、なのにぃぃぃっ!?

 吐息たっぷりのふーっ、乳首とっ、同時にっ、だめぇっ!?

 

 カリッ、カリッ……

 

「あぁぁぁっ!? はっ、はぁっ、はっ、ひっ、ぃうぅぅぅっ!?」

 

 気持ち良いっ、気持ち良いっ、気持ち良いっ!?

 なんでっ、なんでこんなに感じてるのぉっ!?

 

「わらっ、ひっ、にっ、いぃぃぃっ!? にゃっ、にっ、ひっ、てぇぇぇっ!?」

「そんなの、もうどうでも良いでしょう? 今は気持ちよくなることだけ、考えようね」

「っ、ひっ、ぁっ、うぅぅぅっ!?」

 

 こっ、コイツのっ、声っ……脳みそっ、にっ、響っ、くぅ……っ!?

 頭っ、トロットロにっ、溶かされてるっ、みたいっ、でっ……これっ……変な気分にっ、なるっ……!

 

「じゃあ……次はこっちで、遊びましょ?」

「んひぃっ!?」

 

 やだっ、衣装の上からアソコっ、触られてる……っ!

 乳首と耳だけでこんなに感じさせられちゃってるのに……アソコまで弄られたらっ……絶対壊れたゃうっ、のにっ……!

 

「ほら、遊んで欲しかったら……ちゃんと自分からおねだり、できるかしら?」

「にゃ、にっ、を……ぉ……っ!?」

「愛液でグショグショになったコスチュームのお股を破いて、おマンコくぱぁって自分で開いて、玩具にしてください、遊んでくださいって言うの。できるかしら?」

 

 ふっ、ざ……けるっ、なぁ……っ!

 そんな事、誰がするもんか……!

 幸い、両腕だけ動くようになっている……今っ、コイツを捕まえてっ、盾の剣で突けばっ、勝てっ、る……っ!

 

「っ、ふーっ、ふーっ、ぁっ、んんっ!」

 

 の、にぃっ……なんでっ、なんで私の手っ、言う事聞いてくれないのっ!?

 

 ビリッ……!

 

「ひっ、ひぅっ、ふっ、うっ、ぁあっ……!」

 

 やだっ、おねだりなんてっ、したくないっ、のにぃっ!?

 手がっ、勝手にっ、アソコに伸びちゃうっ……!

 なんっ、でぇっ……気持ち良いのがっ、欲しくっ、なっちゃうのぉ……っ!

 

「……が……し…………す……」

「んん? なぁにぃ?」

 

 気がつくと、私の手は勝手にアソコをくぱぁって広げていて……

 

「……お、おねがいっ、ですっ……私のアソコっ、気持ち良くっ、してくださいっ……もっ、とっ……わたっ、しっ、を……犯してくださ、い……っ!」

 

 あ……あぁっ……言っちゃった……言わされ、ちゃった……ぁ……

 

「はい、よくできました」

 

 ズチュッ!!

 

「ぉ゛っ、ふっ、ぐぅぅぅっ!?」

 

 奥まで指がっ、一気っ、にぃぃぃっ!?

 

「あひぃぃぃっ!? ひっ、うぅぅぅっ!?」

 

 ヤバいっ、これっ……ヤバいっ……!?

 自分でおねだりしちゃったからっ、身体がっ、勝手にっ、悦んじゃってる……っ!

 

 ズチュズチュッ!! ズチュズチュッ!!

 

「おぐっ、すごっ、ぅぎゅぅぅぅっ!?」

 

 うそっ、こんな激しっ、いのっ、おぉぉぉっ!?

 むりっ、むりぃぃぃっ!?

 エッチな音っ、出してるのにっ、腰っ、浮いちゃうぅぅぅっ!?

 

「ねぇ、気持ち良い? 気持ち良いわよねぇ?」

「はひっ、いぃっ、いいっ、れすっ、ひっ、ぅぅぅっ!?」

「ふふっ、おマンコ気持ち良くなれて偉いわねぇ」

「はひぃぃぃっ!? おマンコっ、おマンコきもちっ、いいれっ、すぅぅぅっ!?」

 

 だめっ、だめっ、なのにぃっ……!

 耐えっ、なきゃっ、いけなかったっ、のに……

 もうっ、むりっ……こんなのっ、耐えられっ、ないぃ……っ!!

 

「イクっ、もっ、イキそっ、ぅっ、くっ、はぁぁぁっ!?」

「あらあら、もうイキそうなの? じゃ、あ……!」

 

 グチュグチュグチュグチュッ!!

 

「んぎぃぃぃっ!? ぃぎっ、ぃっ、ひぃぃぃっ!?」

 

 まだっ、激しっ、いぃぃぃっ!?

 こんなのっ、絶対むりぃっ!

 やだっ、負けたくないっ、負けたくないっ……のに……ぃ……っ……

 

「ぁあぁぁぁっ!? ぁあっ、はっ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」

「ほらっ、イキなさいオルレアハートっ! おマンコ擦られながらっ、敗北屈服宣言絶頂、私に見せてぇっ!」

「イグっ、イグっ、イクイクイクイクぅぅぅっ!!」

 

 もう……ら……めぇ……!

 

「イグっ、ふっ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ガクンガクンッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!

 

 あ……ぁ……イっ……ちゃっ……たぁ……

 潮っ、噴いてっ……おマンコっ……負けっ……ちゃっ……たぁ……

 こん、なっ、気持ちっ、いぃ、のっ……絶対……勝て……にゃい……ぃ……

 

「は〜いっ、たくさんお潮、ビュッビュできて偉いわねぇ」

「ぉ、ふっ……ひっ、ぁ、ひっ、ぃ……」

「トロットロのお顔も、ガックガクの身体も、全部ステキよ。でも……もっとイける、わよね?」

 

 ありゃまっ、も、まわりゃっ、なひっ……けろぉ……

 

「はっ、はひっ……ナアマ……さ……ま……ぁ……♡」

 

 ……これ……しあ……わ……せ……ぇ……♡

 

……

……

 

「ねぇちょっと! 聞いてるのアルクっ!!」

『あぁ、聞こえてるさね』

 

 雅が接敵して、戦闘が始まってから数分後。

 突如雅と怪人を覆うように、ピンク色の不透明な壁が出現した。

 周囲の人々はその非現実的な光景に恐怖を覚えたのか、その壁から散り散りに逃げており、既に付近に人の姿は見当たらない。

 未だ先程のビルの屋上から動いていなかった奏は、当然それを破壊しようと何度も弾を撃ち込んでいた。

 が、壁は余程頑丈なのか、彼女の狙撃を一切受け付けない。

 

「だからっ! あれをどうにかする方法を教えなさいって言ってんのよ!」

『だから、断ると言っているだろう』

 

 奏はそれを何とか解決し、雅を助けようと試み続ける。

 そして当然、アルクなら仕掛けのタネを知っているだろうと、奏は彼女へと協力を要請する。

 だが、その壁が発生した瞬間……回線の向こうにいるアルクが、一切の協力要請を拒絶し始めたのだ。

 

「なんでよっ、いきなりっ!」

 

 そうして長時間に渡る押し問答が始まり……今に至る。

 目の前で親友が謎の空間に呑み込まれ、どんな目に合っているかも分からない。

 そんな焦燥感をアルクにぶつけるように叫ぶ奏。

 だが、相変わらず回線の向こうからは、やる気のないアルクの声が聞こえるばかり。

 

『……雅君が今いるのは閉鎖空間。故に一般人を巻き込む心配もない。それにアイツの事だ、わざわざ殺すような真似もしないだろう』

「だからって見捨てるって言うの!?」

『人聞きが悪いな。そもそも君達の仲間になった覚えはないよ。だから目的が一致しなければ、君達に協力する必要も無いはずだが』

「何よそれっ!」

『事実だ』

 

 苛立ちも感じてきたのだろう。

 やる気のなさそうな口調は、次第に彼女本来の冷徹な口調へと変わっていく。

 そしてアルクは相手にするのも面倒だ、とばかりに奏の発言を全て切り捨てる。

 

「ねぇ……お願いよアルクっ、助けてよっ!! このままじゃっ、また雅がっ!!」

『死なないと分かっている以上、私の知った事じゃない』

「そう、かもしれない。けど……けど……っ!」

 

 刻一刻と積み重なる危機感と、こんな状況においても何も出来ない自分の不甲斐なさ。

 奏の目には、次第に涙が溜まっていく。

 そんな時にも、無言の時間は容赦なく流れてしまう。

 

『……切るぞ。これ以上は時間の無駄だ』

 

 深いため息と共に、アルクは通信を切断しようとする。

 ……その時だった。

 

「……キ……から……」

『……まだ何か?』

 

 奏の絞り出すような声が、微かに回線に乗る。

 聞き返したアルクに対し……返ってきたのは、奏の怒鳴り声。

 

「今度……今度っ、ケーキ奢ってあげるからっ!! お願いアルクっ、今回だけっ、助けてっ!!」

『……は?』

 

 予想外の方向からの交渉に、思わずアルクの口から素っ頓狂な声が発される。

 

「どんなのでもっ、何個でも良いからっ!! だからっ、お願いっ!!」

『……君は私を、ケーキで買収しようと言うのかい?』

「……ケーキ……嫌いだった……?」

『……ふっ、ふふっ……ふははははっ!!』

 

 先程の冷徹な口調とはうって変わり、アルクは愉快そうに笑いだした。

 

『良いだろう、今回だけだ! 少し待ちたまえっ!』

 

 そして直後に流れ始める、タイピング音代わりの電子音。

 

『よし、ドローンの位置は把握した! まず一つ目は北緯……』

「待って! ドローンとか、北緯で言われてもさっぱり分かんないっ!」

『ちっ、手短にいくぞ! まずあの壁の正体は、アイツが銃弾に模して発射した、複数個の小型ドローンによる展開式のバリアだ。だからそれを全て撃ち落とせば、自ずと壁は剥がれる!』

「でもっ、撃っても効かなかったけど!」

『それはバリアに当ててたからだ! 計算上、君の銃の威力なら展開元のドローンは撃ち落とせる!』

「オーケー大体分かった! で、場所は!」

『安心しろっ、全部指示出してやる! まずは君の今の前方、水平方向から右三、上五を榴弾で狙え! メートルでだ!』

「了解っ、よっ!」

 

 アルクが楽しげな口調で指示を出し始めた直後、今朝の出来事が嘘のように息の合った連携が始まる。

 

「そっ、らぁっ!!」

 

 奏がアルクに指示されたポイントを狙い撃つと、直後にそのポイントで小さな爆発が発生した。

 同時に、壁の透明度が少しだけ上がっていく。

 

『撃墜確認、バリア強度も低下した!』

「よしっ、効いてるっ!」

『次っ! そのまま左一、上七!』

「はいっ、はいっ!」

 

 続けて奏が二発、三発と続けて撃ち込む。

 そうして何度も連続で弾を撃ち込み、空中で小さな花火が発生する度に、壁は色を失っていく。

 あっという間に、撃墜数が九機を数える。

 そして……

 

『ラストっ! 左三っ、下五っ!』

「いっ、けぇっ!」

 

 奏が最後のドローンを撃ち抜き、爆散させると……既に半透明になっていた壁が、完全に消滅した。

 

「ねぇ……これ、やった、で……良いんだよね……?」

『あぁ、目的は達成した。お疲れ様』

「〜〜っ!! やったやったっ! ありがとっ、アルクっ!!」

 

 飛び上がりながら喜ぶ奏にかけられる、アルクからの労いの言葉。

 

『そんな大声で言わなくても聞こえてる……報酬の件、忘れるなよ』

「りょーかいりょーかいっ! 任せといてっ!」

『……ふっ』

 

 素直な感謝を受け、アルクは照れを隠しながらそれを軽くあしらう。

 軽い笑いと共に、彼女と奏との回線は遮断された。

 

「さてっ、と……」

 

 しかし、まだ戦闘が、やるべき事が終わった訳では無い。

 奏は壁があった地点の中心……雅の元へと向かうため、ビルの屋上からスラスターを噴いて一気に飛び立つのだった。

 

……

……

 

 グチュグチュッ!!

 

「ぁひっ、いっ、ぃっ、あぁぁぁっ!? またっ、まらイっちゃっ、んぅぅぅっ!?」

 

 ガクガクッ!! ぶしゃぁぁぁっ!!

 

 またっ、イかせてっ、もらえたぁ……気持ち良いっ……これ……好き……ぃ……っ……

 

「は〜いっ、三十回目の絶頂、ちゃんとできて偉いねぇ〜。さぁ、次はどこで気持ち良くなりたいかなぁ? お胸? お耳? それとも、おマンコ欲しい?」

「ひっ、ぁっ、はっ……ひ……っ……ぃ……」

「も〜、ダメよぉ? ちゃ〜んと自分のお口で言ってくれないとっ、お預けしちゃうわよ?」

「は、っ……ぁっ……やっ、やらっ……おあっ、ずけぇっ……い、や……ぁ……っ……!」

 

 気持ち良いのっ、まだっ、まだ欲しいっ、のっ、ぉっ……

 

 ……っ、私っ、何をっ!?

 突然頭のスイッチが切り替わったように、思考が一気にクリアになる。

 さっきまで馬鹿みたいに感度の上がっていた身体も、それがまるで嘘みたいに正常化していた。

 ……それでも、何度もイキ狂わされていた事は事実。

 身体自体は正常になってもまだ快楽の余韻が残ってるし、そもそも何が原因で治ったのかもロクに分からない。

 でも……仕掛けるならっ、今しかないっ!!

「ぁっ……ひっ、ぃっ、ぅ、ぁっ……くっ、ぅうっ……!」

 

 何とか動くようになった四肢をナアマの身体に絡ませ、そのままギュッと密着させて抑え込む。

 

「あらっ? 自分からだいしゅきホールドしてくれるなんてっ! 積極的になってくれて嬉しいわぁ!」

 

 遂に服従を身体で示すようになった、とでも思ったのだろう。

 私の隣にあるナアマの顔には、ニヤニヤとしたイヤらしい表情が浮かんでいた。

 だが数秒後……途端にナアマの声が、凍りつく。

 

「……待ちなさいっ、なんでアナタっ、動け……っ!?」

「っ、はぁっ……はぁっ……捕っ、まえっ……たぁ……っ……!」

 

 今更焦ったってっ、もうっ、遅いっ……!

 僅かに残っている力を、全部両腕の盾に集中させっ、てぇっ……!

 

「よくっ、もっ……好きっ、勝手ぇっ……犯してっ、くれたっ、わねぇっ……!」

「くっ、離せっ!! 離しなさいっ!!」

 

 直接目を見えないようにしてやればっ、もうあんな変な手は使えないはず!

 両腕の盾をナアマの背中に密着させて、そのまま……

 

「はっ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 盾の先端から、ビームの刃を発生させるっ!!

 

 ザシュッ!!

 

「ぐっ、う゛ぅぅぅっ!?」

 

 私の刃はナアマを貫いて、コイツの口からは痛そうな悲鳴が聞こえてくる。

 しかし当然、刃の長さ調整なんて器用な事、こんな状況でできるはずもなくて……

 

「う゛っ、がぁ゛あ゛っ!? ぅぐっ……こっ、のっ……ぐらっ、い゛ぃぃぃっ!!」

 

 コイツと密着している私の身体にも、私の刃は刺さってしまっている。

 半分ほど貫かれた胸の部分が少し……いや、かなり痛い。

 だけど、この状況じゃ刀も使えないし、何より他の方法が思い浮かばなかった。

 一旦離れてから再度攻撃するって手もあった、けど……こっちの方が確実で手っ取り早い……ならっ、やるしかないっ、よねぇっ!!

 

「っ゛、ら゛っ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 痛みに耐えながら両腕を思いっきり外へと振り抜き……私は私ごと、ナアマの背中を斬り裂いた。

 

 ザシュッ!!

 

「ぎゃあぁぁぁっ!?」

 

 耳元でぶちまけられる、ナアマの汚い悲鳴が心地悪い。

 

「ふっ……ふ、ふっ……アナ、タ……強い、の……ね……」

 

 遺言みたいに耳元に言い残された、気持ち悪い言葉。

 それと共に……ナアマの身体は、灰となって消えていった。

 良かった……なんとか、これで……勝て……

 

「う゛っ、ぐっ……!? ふっ、ぎっ、ぁ゛っ、がぁ゛っ……!!」

 

 ヤバいっ、安心したら……一気に痛みが……っ!

 流石に考え無しでっ、動きすぎた……これっ、思ってたよりっ、遥かにっ、痛いっ……!

 

「ふぐっ……ぅ゛っ、あ゛っ、ぐっ……!」

 

 這って帰る訳にもいかず、かといってずっとこの場に留まっていたら、戻ってきた人達に見られる可能性だってある。

 ……思わぬ絶体絶命に陥っていた私。

 そんな私への救いの手は……突如として、上空から舞い降りた。

 

「おまたせっ! みやっ……雅っ!? 大丈夫っ!?」

 

 あ、奏、来てくれたんだ!

 本当は歓迎のハグでもしたいところだけど、生憎今は立ち上がる事すら難しい。

 

「ちょっ、胸のとこばっさり切れてるじゃんっ!? 急ぐから少し乱暴になるかもしれないけどっ、痛いの我慢してよっ!」

「ま゛っ、で……おねっ、がっ……かなっ、ぅ゛があ゛ぁぁぁっ!?」

 

 奏はそんな私を脇に抱えると、そのままスラスターを思いっきり噴かし始めた。

 途端、無造作に私の身体に掛かり始める、加速による衝撃。

 ヤバいっ、これっ、別の方向っ、でっ……痛みっ、がっ、ぁ゛っ……!!

 

「がなっ、でっ、ぇ゛え゛……お゛ねっ、が……すごっ、じっ……ゆっ、ぐ……りっ……ぁ゛っ、ぎあ゛ぁっ!?」

「ごめんっ、ごめん雅っ!! あと少しっ、あと少しだけ我慢してて!!」

 

 結局、私は痛みで意識を手放す事もできないまま……数分に渡る激痛フライトを体験する羽目になったのだった……

 

……

……

 

『……で、何か弁解があれば聞くが』

「別に何もないよ。彼女らの動きが私の予測と異なり、面白かった。だから助けてやった、それだけさ」

『……アルク、最近の君の行動は、少し目に余るモノがある』

「そうかい? いやぁ、それは困ったなぁ!」

『……ふざけるのも大概にしろよ』

「……何が、だい? 私は常に、私の理念に則って行動しているよ。それに、そっちこそ言葉には気をつけたまえ」

『……なんだと?』

「この組織が動けてるのも、私の功績あっての事だ。私の機嫌ひとつで、一瞬で計画を破綻させる事だってできるんだ……努々、忘れるなよ?」

『……ふんっ』

 

 ピッ……

 

「……ふぅ……ったく……利用価値はあれど、駒にしては自我が強すぎるのが難点だな」

 

「さて……どうしたものかねぇ……」

 

--To be Continued--




奏とアルクの助力により、辛くも窮地を脱する事ができたオルレアハートこと雅。
ハウンズの地上侵攻作戦に翻弄され、襲いかかる数々の陵辱を乗り越えながら、なおも雅は立ち上がり続ける事ができるのか……

次回も引き続き、楽しんで頂ければ幸いです。
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