神姫清廉オルレアハート!-乱行恥虐のスペクトラム- 作:ホリス_if
自身を逃がす為に囮となり、二ヴルに捕らわれた奏。
自室のベッドで目を覚ましたオルレアハートこと春永雅は、奏を救う為に再び二ヴルの元へと向かおうとする……
が、そんな雅の前にアルクが立ちはだかる。
雅はアルクを説得しようとするが、当然聞き入れて貰えるはずもなく……
今回はオルレアハートが、新たな戦い方を模索する回です。
シチュエーションは電撃&快楽電流となっております。
今話も是非、お楽しみください。
「……っ……ん……っ」
……意識がゆっくりと、私の身体に取り戻されていくのを感じる。
ぼーっとする感覚に身を任せること数秒……やがて私は今、自室のベッドの上にいる事に気がついた。
変身は……既に解けてて、今の私はいつもの制服姿。
そして顔の横には、いつもの見慣れたハート型のペンダント。
「っ、つっ、ぅっ……」
とりあえず起きなきゃ、と、上半身を起こすと同時に感じたのは、頭に響く鈍い頭痛。
咄嗟に右手で頭を抑えつつ、ベッドの上に放置されていたペットボトルのお茶を一気に飲み干した。
時間は……どうせ見たって無駄だ。
時計を見るのも嫌になるくらい眩しい日差しが、カーテンの隙間から遠慮なしに入ってくる。
寝ぼけまなこを擦り、ボヤけていた視界が徐々に鮮明さを増していき……
「……っ、そうだっ、まだっ……!」
……そこでようやく、前回の戦いの事を思い出した。
ハウンズの首領を名乗るニヴルとかいう女に手も足も出ないまま負けて、自分の武器で滅茶苦茶に犯されて、イかされまくって、それで……奏に助けられて。
そのままアルクに担がれて、変な注射器を刺されたと思ったら急に意識が薄れていって……
「っ、こうしちゃっ、いられないっ……!」
もしアルクが奏の元に戻ってなかったら……もしくは奏の事を見放していたら……想像するだけで寒気がしてくる。
なんせ、私が覚醒まで使ったのに負けたんだ。
いくら変身してるといっても、アイツはそれで勝てるほどヤワな相手じゃないっ!
急いでペンダントを手に取り、玄関に向かって走り出そうとした……その時だった。
「……どこに行く気だ?」
……誰もいなかったはずの部屋。
なのに気がつくと……私の行く手を阻むように、見慣れた白衣姿のアルクが立っていた。
「そんなの、分かってるでしょ。邪魔しないでくれる?」
「そうはいかないな」
「……は?」
「何度も言わせるな。君は貴重なサンプルだ。そう簡単に死ぬと分かっている場所に行かせる訳にはいかないさ」
そう言ってアルクが見せびらかしてきたのは、私の握っているモノと同型のペンダント。
「これが無ければ覚醒も使えない。という事は、だ。このままニヴルに勝てる確率は、ほぼゼロに等しい。そのくらい、分かっているだろう?」
……確かにアルクの持っている奏のペンダントが無ければ、私の覚醒は使えない。
そして、覚醒状態でも勝てなかった相手に……素の変身状態じゃ、到底勝てるとは思えない。
……でもっ!
「だからってっ、奏を見捨てて逃げろって言うのっ!?」
「そうだ」
「っざけんじゃないわよっ!!」
「安心しろ、奏君は生きてる。少なくとも、生体反応は消えていない」
「んなのでっ、納得出来る訳ないでしょうがっ!! いいからっ、そこをどきなさいっ、アルクっ!!」
淡々と言葉を並べるアルクに、私は思わず苛立ちをぶつけた。
だけど、アルクは一向に動じない。
「そもそも、そんな状態でどこに行く気だい。奏君の居場所も、ハウンズの場所だって知らないだろう、君は」
「でもっ、だからってっ……!!」
「それともアレかい? まさか私が案内してくれるとでも考えてたのかい? 全く、甘ちゃん具合は相変わらずだねぇ」
煽るようにアルクは両手を、顔の横でヒラヒラと動かす。
ただでさえムカついてんのにそんな事されちゃ……こっちだってっ、我慢の限界よっ!!
「ほんっ、と……ほんっとっ、にぃっ……!! 良いわよっ!! そっちがその気ならっ、無理矢理にでも行かせてもらうわよっ!!」
「ほ〜、だから、どこに行く気だい?」
「んなのっ、アンタぶん殴ってから考えるっ!!」
怒りのままに、私はペンダントを自分の目の前に突き出す。
そのまま変身した姿を頭に想い描き、それを流し込むように力を込め、ギュッとペンダントを握りしめた。
次の瞬間、私の身体は煌びやかな光に包まれ……一瞬のうちに、私はオルレアハートへの変身を遂げた。
「ふっ、そうかそうか。そこまで本気なら、ば!」
アルクはそんな私を見ると、顔の横で指をパチンッと鳴らす。
途端、私の視界がスっと真っ黒に染まり……
「……さぁ、ここなら存分に戦える、だろう?」
直後、視界を埋めつくした光景は……既に見慣れてしまった、例の路地裏みたいな場所。
今回も前回と同じような、ちょっと広い体育館くらいの広さの空間。
そこに私とアルクは向かい合う形で、お互いに少しだけ距離を置いた状態。
……毎度の事ながら、このまるで世界そのものがすり替えられたみたいに一瞬で転移するのってどうやってるんだろうか。
この変身がアイツらの技術で、この転移も同様なら……どうだろ、もしかしたらできたりする、のかな……?
……ううん、今はとりあえずっ、アルクを物理的に説得するのが先決っ!
「……そうね、ここならっ……思う存分っ、戦える!」
左のスラスターから武器である柄を取り出して、クリアグリーンの刃を生成して刀と化す。
そのまま私は刀を両手でしっかりと握って、正面に構えた。
「……うむ、とりあえずは合格だ。後は、だ」
そんな私に呼応するみたいに、アルクも両腕に巨大な腕のようなアーマーを展開する。
……前見た時から少し形が変わったように見えるけど、その程度、些細な事だ。
「あの時は突然の覚醒を前に不覚を取ってしまったが、今回はそうはいかんよ。なんせ今の君は覚醒も何も無い、言わば普通の変身ヒロインと何ら変わりない状態だ」
「……何が言いたいのよ」
「言わなきゃ分からないかい? ……今の君じゃ、私には勝てないって事だよ」
「……その言葉、後で後悔するんじゃないわよ?」
「ははっ、威勢が良いのは良いことだ。 これで後は実力が伴っていれば完璧なんだがね」
「……っ! アンタはっ、いっつも一言多いのよバカっ!!」
アルクの挑発に答えるように……私は開戦の火蓋を切って落とした。
「はっ、あぁぁぁっ!!」
刀を右横水平に寝かせながら地面を蹴り、同時に両脇のスラスターを全開。
一気にアルクの懐へと潜り込み、勢いに任せて刀を振り抜く。
「おっと!」
しかし首筋を狙った一閃は、アルクが左腕のアーマーを振り抜いた衝撃に弾かれ、防がれる。
だけどその程度っ、想定内……本命は、こっちっ!
「ふっ!!」
攻撃を弾かれた勢いのまま身体を回転させて、左脚をアルクの顔面狙って叩き込む。
直後、鈍く鳴り響く金属音と打撃音。
「っ、らぁっ!!」
直撃を確信した私は、そのまま一気に左脚を振り抜いた。
私に蹴り飛ばされ、地面を削り取る摩擦音と共に、吹き飛ぶように目の前から急激に遠ざかるアルクの影。
だけど……手応えは無い。
危なげなく着地しつつ、目の前に広がる土煙を睨みつける。
奇襲を警戒しながら数秒……やがてアルクは、何事も無かったかのように土煙の中から出てきた。
「……ふぅ、上手く近接戦に持ち込めれば流石、と言ったところだな」
「……ふんっ、このくらい当然よ」
世間話みたいなテンションで話すアルクは、白衣に付着した土汚れを手で払っていた。
……相変わらず、コイツの前だと何でも測られてるみたいでイヤになってくる。
「だが」
「ちっ……なによ今度は」
「まだ……そうだな、いい機会だ」
「だから、何がよ!」
「折角だ、この場でレクチャーしてやろう」
ほら、こうやってすぐ自分で納得して勝手に話を進め始める。
いつもいつもっ……いつもいつもっ!!
「っ、いいっ、加減っ……一回で分かるようにっ、話せってのぉっ!!」
私は刀を大きく振りかぶりながら、私は土煙の中のアルクへと突撃していく。
今まで何度も戦っている場所を見られている以上、変に構えて突っ込むと次の攻撃を容易に想像されてしまう。
だから、もう構えなんて必要ない。
スラスター全開で一気に突っ込んでっ、叩き斬るっ!!
「さぁ、まずは一つ目だ」
しかし、そんな私の見栄え重視の漫画みたいな突撃を前にしても、アルクは一向にアーマーを正面に構えない。
到達まで目測あと数秒。
直前で前みたいなバリアを張る気なのか……あるいは、よっぽど舐められているのか。
ムカつく、けど、構わないっ!
懐に入って斬ればっ、全部同じっ!!
「はっ、あぁぁぁっ!!」
そう思い進み続けた……次の瞬間だった。
アルクの右腕のアーマー、その先端に何かエネルギーの球体みたいなモノが集まっているのが視界に入る。
「……っ!?」
マズいっ、遠距離攻撃っ!?
だけどこの距離じゃ、もう減速は無理……一か八かっ、耐えられる前提で突っ込むっ!!
両手持ちしていた刀から左手を離し、私は左腕の盾を正面に向けた。
対してアルクは、そんな私の備えにニヤリと笑いながら、右腕のアーマーを少し上へと掲げる。
そして……
「〝ゾーン・ディバインッ!!〟」
そう叫ぶと共に、アルクは先端にエネルギーの充満したアーマーを、真下の地面へと叩き込んだ。
直後……私の目の前に、地面から分厚く不透明なエネルギーの壁が現れる。
「うっ、そっ!?」
アルクを取り囲むように突然現れた、電撃を纏った壁。
対応しようにも、既に私はトップスピード。
急いで突撃方向を変更しようにも、目の前の壁を前にしてそんな事ができるわけがなく……私の身体はそのまま、エネルギーの壁に呑み込まれてしまった。
バチバチッ!!
「ぎっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
次の瞬間、私の身体を包み込むように全方位からの電撃が一斉に襲いかかってくる。
「あ゛っ、ぎぁっ、がっ、あ゛がぁぁぁぁぁぁっ!?」
焼けるような熱さと、痺れるような痛み。
それに、耳元で絶えず爆音で響き続ける電撃音。
体内に直接流し込まれるような苦痛を前に、私はただ叫ぶ事しかできない。
「ぎっ、い゛ぃぃぃっ!? ぃぎっ、いっ、がぁぁぁぁぁぁっ!?」
変身しているから防御力だって上がっているはず。
なのに、その効果を感じさせてくれない。
痛いっ、熱いっ、痛いっ、痛いっ……!!
「あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!? あ゛がっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
ヤバいっ……もうっ、これっ……キツっ、過ぎっ、て……
「……おっと、そろそろ限界か?」
我慢の限界を感じ、意識が朦朧としてきた私を見て……アルクが指をパチンッと鳴らした。
すると、エネルギーの壁は何事も無かったかのようにスっと消滅。
電撃から解放された私の身体は、重力に引かれて地面へと叩きつけられる。
「ぁぎっ!? ……っ、がはっ、ぁっ、がぁっ……ぐっ、う゛ぅっ……!?」
突撃時の前傾姿勢のまま、地面に這い蹲ってしまう私。
何とか刀は手放さずに済んだ、けど……っ、クソっ……立ち上がろうにも……全身が痺れて、上手く動かせない。
「ふっ、そういえば、これは見せた事がなかったかな?」
そんな動けない私へと、アルクの見下すような目線が突き刺さる。
「君の機動は多少の撹乱はあれど、基本的に直線的すぎる。これが君の弱点一つ目、移動先が読み易い事だ」
「ぅあっ……ぐっ、ぅっ……」
「いくら速度が速かろうと、一旦機動が素直だと分かってしまえば対処はそう難しくない。無論、我々ならば、という前提条件は付くがね」
……言いたい放題言ってくれる。
こっちは数ヶ月前まで、戦いっぽい事なんて剣道しかやった事無いってのに。
それに誰も、こんな戦いの方法なんて教えてくれなかった。
だから必死になって、頑張って戦ってきたのに……これ以上っ、何をどうしたら良いってのよ……
「いいか? その変身システムは変身する者の〝想い〟を力に変えるシステムだ」
悔しさのあまり、力の籠らない右手にも関わらず刀を握りしめようとする私へと、アルクの諭すような口調が注がれる。
「何をしたら勝てるか、どうしたら上手く戦えるか……それを、頭の中に明確に思い描きたまえ」
想い描いて戦えって……何よ、それ……
第一、今はこんな事してる時間ないのに……早く奏を助けに行かなきゃっ、今頃何されてるかっ、分からないのに……っ!!
「……ふ〜む、ここまで言ってもまだ理解が足りないか……仕方あるまい」
私の抱える不安、焦り、怒り。
それら全てを見透かしたように……アルクは、深くため息をついた。
「よく聞きたまえ。私は変身ヒロインが立てなくなるまで痛ぶられるのも、脳が焼け付く程にイき狂わされるのも、当然好きだ。だがな……目の前で無駄死にされるのだけは、どうも性にあわない」
「っ、くっ、ぅっ……なに、よ……いま、さら……っ……!」
……好き勝手言われ続けるのはずっと癪だが……長々とアルクが話し続けるおかげで、少しずつ痺れが取れてきてきたのを感じる。
「まだ分からないか? 私は彼女の事をよく知っている。 一度戦った相手である君が、もし今二ヴルに突撃したところで……結局飽きられ、殺されるのは目に見えている。貴重なサンプルを、そんなくだらない理由で潰されるくらいなら……」
何とかグッと腕に力を込め、再び一気に攻勢を取り戻そうと試みた……その時だった。
「……いっそ私が、ここで壊してやろう」
アルクの冷徹な声が、お得意の指を鳴らす音と共にこの場所に響く。
「なに、し……ぁぐっ!?」
その瞬間、ひんやりした感覚と共に、突然私の首が軽く絞まるのを感じる。
咄嗟に取ろうと手を伸ばすも、私の首に現れた丸くてツルツルした首輪は、一向に取れる気配が無い。
「……座標さえ明確ならば狙った場所に物を転移させる事など容易な事だ。まさか二ヴルにできて、私にできないとでも思っていたのか?」
「なっ、にっ……わけっ、わかんっ、なっ、いっ、ことっ……はやっ、くっ……ぐっ……外しっ、なさっ、いっ、よっ……!」
ぐっ……首っ、絞まっ、てっ……クソっ……苦っ、しっ……
「もし先程の攻撃が対消滅障壁だったなら、既に君は死んでいるだろう。つまりこれは……」
酸素の供給が減らされて足掻く私へと向けて、アルクは右手の親指と中指を合わせる。
何度も見てきた、嫌でも分かる……あの指を鳴らされたら、きっと何か、また変な事をされる。
「……一度死んだ君への、ペナルティってヤツだ!」
そんな怯える私に対し……無情にも、アルクはパチンッと、指を鳴らした。
直後、私に嵌められた首輪からバチバチッと軽く放電でもしているような音が聞こえ始める。
「ひっ……!?」
ヤバいと思って必死に指を動かすも、首輪は全然外れない。
そうしている内にも更に放電の音は大きくなっていき、やがて……
バチバチバチバチッ!!
「ぎっ、ひぃぃぃっ!?」
その放電は、一気に私の体内へと流れ込んできた。
「ぁぎっ、ひっ、ぎっ、い゛ぃぃぃっ!?」
だけど、痛みは感じない。
その代わりに感じる感覚は……気が狂いそうになるほどの、快楽。
「ぃぎっ、あ゛っ、あ゛ぁぁぁっ!? なにっ、なにこれっ、なぁっ、ひぃぃぃっ!?」
これっ……前っ、奏が使ってきたのと同じっ、快楽のっ……電撃……っ!?
ちがっ、あれっ、よりっ……更にっ、これっ、強っ、い゛ぃぃぃっ!?
「ひあ゛ぁぁぁっ!? なっ、ぁあ゛っ、ひっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
突然の快楽を前に、なんとか起こしていた上半身が再び地面に崩れ落ちる。
「あ゛っ、う゛ぁぁぁっ!? 止めっ、とっ、めっ、ぁがっ、ふっ、う゛ぅぅぅっ!?」
一瞬で身体の血を全部媚薬に変えられて、全身を愛撫されながら乳首を擦られ、アソコとお尻を同時に犯され、それどころか子宮まで直接犯されているような快楽。
「う゛ぁぁぁっ!? ぁあ゛っ、あ゛っ、あぁぁぁっ!?」
脳っ、がっ、溶けっ、るっ……子宮っ、ダメっ、これっ、おかしっ、くぅぅぅっ!?
こんなっ、こんなのっ……一分すらっ、耐えられるっ、はずっ……がっ……!?
「あ゛がっ、はっ、あ゛ぁぁぁっ!? むりっ、こんなっ、のっ、お゛ぉぉぉっ!? イグっ、イグぅぅぅっ!? ひっ、あぁぁぁっ!?」
ガクガクッ!! ぷしゅっ、ぷしゃぁぁぁっ!!
呆気なく絶頂へと達した私は、レオタードの隙間から情けなく潮を噴き散らしてしまう。
だけど電撃は、全然止まってくれない。
「あ゛ぁぁぁっ!? いやっ、これっ、お゛っ、ぐぅぅぅっ!?」
「どうだい。キクだろう、これは?」
ただでさえキツイ絶頂直後の状態で更に襲い来る、拷問のような快楽の波。
私を見下すアルクの視線なんて、もう気にする余裕がない。
されるがまま、イかされるがまま……私は陸に打ち上げられた魚みたいに、その場でのたうち回る事しかできなかった。
「お察しの通り、今君に流しているのは以前奏君と戦った時に、彼女が使った物と同様の快楽電流だ。小型化には不安があったが、上手いこといって良かったよ」
「ぁぎぃぃぃっ!? イったっ、のにぃぃぃっ!? イグっ、またイグっ、またイグぅぅぅぅぅぅっ!?」
ガクンガクンッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!
さっきの絶頂から数秒後、すぐさま次の絶頂を叩きつけられ、私は再び潮を撒き散らしてしまう。
アルクが何か話しているみたいだけど……そんなのを聞く余裕なんて、あるはずがない。
「ひっ、ぎぃぃぃっ!? イグっ、イグイグイグイグぅぅぅぅぅぅっ!? イグっ、イグぅぅぅっ!? ぁっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
ガクガクッ!!
「……ふむ、やはりこの状態では会話もままならんか」
三度目の絶頂の後……ようやく、私に流れる快楽電流が止められた。
「ぁがっ!? っ、がはっ、ぁっ、はぁっ、はぁっ……はぁっ、はぁっ……!!」
身体の内側から溢れ出る余韻に身体をガクガクと痙攣させながら、私は四肢を外へと投げ出す。
さっきの連続絶頂時に落としてしまったのだろう……気が付くと右手に持っていたはずの刀は、自分のすぐ隣に落ちていた。
「はっ、ぁっ……ふっ、うっ……ぐっ……!」
あの電撃を受けていたのは長くて数分くらいだろう。
なのに……クソっ、脚が全然言う事を聞いてくれない。
それにロクに酸素も吸えない状態で喘がされ続けて少し酸欠気味、頭がクラクラしている。
だけど……それで簡単に終わらせてくれる相手じゃないのはよく知っている。
辛うじて動かせる腕を必死に伸ばして、何とか指先で刀を手元に手繰り寄せた。
「これから君が〝実戦ならトドメを刺されていた〟状況に陥ったと私が判断する度に、先程の快楽電流を流す。そうだな、期限は……君が私を倒すか、奏君の救出を諦めるまで、だ」
「っ、何っ……好きっ、勝手……」
「無論、快楽で君の脳が焼け付いてもお終いだ。……あぁ、安心したまえ。君に快楽を与えるのは、その首輪から放たれる快楽電流のみ。それ以上の手は使わんよ」
はいそうですかって納得するには、流石に一方的すぎるアルクの言い分。
……冷静に考えたら私の言動だって似たようなものだったかもしれない……けど、そこを考えたら、それこそ私の負けだ。
「くっ……うっ……いい、わっ、よ……やって、やろうじゃっ、ないっ、のよ……っ!」
こうなった以上、こちらも全力で立ち向かって、力を示した上でアルクを納得させるしかない。
問題は……脚が回復するまで、どうやって防ぎきるか。
「……ふっ、良い心がけじゃないか。それでこそ私が見込んだ変身ヒロインというものだ」
アルクはそう言うと、軽いバックステップで私から少し距離を取った。
「さぁ、レクチャー再開だ」
右腕のアーマーを、私に向けて突き出すアルク。
その先端には……エネルギーの塊が球状に集束している。
大きさは私の頭くらい、モロに受けたら絶対タダじゃ済まないだろうって簡単に想像がつく。
「……っ!」
何とか腕で身体を支えて、上半身だけでも起こしてやる。
そしてまだ言う事を聞かない脚を地面に寝かせたまま、私は刀を正面に構えた。
「行くぞ……抗ってみせたまえっ、オルレアハートッ!!」
そんな私に向かってアルクが叫ぶと……砲弾みたいにエネルギーの塊が、私に向かって撃ち込まれた。
「ぅぐっ……!?」
咄嗟に逆袈裟斬りのように刀を振るい、顔面に飛んできた弾を弾こうと試みる。
「くっ、うぅっ……!」
だけど、一息で弾き返す事はできなかった。
刃と弾がぶつかり合ったまま、ゆっくりゆっくりと、私の腕は次第に押されていってしまう。
ヤバいっ……脚が使えないからっ、上手く力が出せないっ……!
このっ……こうなっ、たらぁっ……!!
「こっ、のっ、ぉ……!!」
咄嗟に右側のスラスターを全開で吹かし、無理矢理身体の重心をズラす。
同時に刀の向きを少しだけ動かし、弾道を逸らしてやればっ!
「っ、らぁっ!!」
力を振り絞って刀を思いっきり振り抜いてやると……狙い通り、弾は私の背後へと飛んでいき、壁にぶつかって激しく爆散した。
「っ、はぁっ、はぁっ……はぁっ、はぁっ……!!」
「……何休んでいるのかね?」
だけど、肩で息をしながら両腕を降ろした私へと……再びアルクは、さっきと同じ弾を撃ち込んでくる。
「くっ、そっ……やってっ、やるっ、わよっ……!!」
再び刀を逆袈裟斬りのように振り上げ、刃を弾にぶつけて威力を殺す。
この状態でスラスターを動かしても、接近するにも回避するにも瞬発力が足りない。
結局は……こうやって弾き返すしかっ、無いのよねっ……!!
「ぐっ、うぅっ……うっらぁっ!!」
さっきと同じように片側のスラスターを吹かしながら刀を動かし、そのまま一気に振りぬいて弾道を逸らす。
再び背後に聞こえる爆発音。
やれるっ、これならっ、耐えきれ……
「これが二つ目……敵との距離が離れ、尚且つ機動力が殺されてしまえば、脅威度が格段に低下する」
少しだけ気が緩んだ、その瞬間……アルクの声が聞こえてくる。
目線を上げると……今度は十個ほどにまで数が増えたさっきの弾が、ゆっくりとアルクを取り囲むように回っていたのだ。
「その結果がこれだ。得意な距離でしか戦えないのならば、それ以外の距離では格段に動きを制限され……結果、無様な敗北に繋がる」
まさかっ……待ってっ……一個ですらギリギリっ、だったのにっ……そんなに、撃たれっ、たらっ……
「例えば……このようになっ!!」
くっ、飛んできたっ、一気に……っ、怯えてたって仕方ないっ!
アルクが言ってた事を信じるなら何か遠距離攻撃で対処しろって事でしょ?
遠距離攻撃……遠距離攻撃……
っ、ンなのっ、この装備のどこから出せば良いのよっ!!
付いてるのなんて刀と盾と、後は咄嗟のミサイル代わりに使えるスラスターくらい……
今更そんな事言うくらいならっ、最初から銃なり何なり付けときなさいよっ!!
「っ!!」
前方から乱打のように迫ってくるエネルギーの弾を迎撃すべく、私は再び刀を構える。
幸い脚も腕も、多少調子は良くなってきた。
後はこれを切り抜けられれば……まだっ、兆しはあるっ!!
「こっ、のぉぉぉっ!!」
正面の弾を座ったまま、さっきと同じように逆袈裟斬りで後方へと弾き飛ばす。
その隙にスラスターを両方同時に吹かせて上半身を持ち上げ、強引に身体を宙へと浮かせる。
「はぁっ!!」
今度は空中で袈裟斬りの方向に刀を振り下ろし、次の弾も左後方へと弾く。
「ふっ!!」
そして振り下ろした勢いのまま、スラスターの出力に任せての回転斬り。
「だっ、あぁぁぁっ!!」
複数の弾を同時に自分以外の方向へと弾き飛ばしながら、最後に正面から突っ込んできた弾を、下から上へと打ち上げた。
背後から聞こえる連続した爆発音に、僅かながらも手応えを感じる。
いけるっ、斬るまで届かなくても、弾くだけならっ!!
「ぜーっ……はぁっ……はぁっ……ど、どう、よっ……!」
息を切らしながらスラスターの補助を得て、何とか刀を構えながらその場に立つ。
まだ脚が本調子じゃないけど、こっちの方が座っているよりは遥かに良い。
見た感じ、あの弾は撃つのにある程度の準備が必要そうだ。
……あの弾幕さえなけりゃ、後は壁にさえ気をつければっ、私の距離に持ち込めるっ!!
「これっ、でっ……はぁっ、はぁっ……またっ、仕切りっ、直し、よっ……!」
「ふむ……まだ安心するには早いのではないかな?」
だけど、アルクの顔はまだ歪まない。
何を狙ってるのかは知らないけど、そんなのっ、いつもの事っ!
軽く地面を蹴って初速を作り、再度アルクの懐へと潜り込もうとした……その時だった。
ドゴォッ!!
「ぐっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
突然鳴り響いた爆発音と共に……私の背中に激痛が弾けたのだ。
何がっ、まさかさっきの弾っ、戻って……っ!?
「弾かれたら終わり……そんな素直な弾幕、私が使う訳が無いだろう?」
爆発に弾かれ、前方へと吹き飛ばされる。
そんな私と地面の隙間に……アーマーを構えた、アルクの姿。
対し私は……防御の準備すら、できていない。
そして……
「これで、トドメだ」
私の無防備なお腹へと……アルク渾身のストレートが、叩き込まれた。
ドチュッ!!
「がっ、あ゛っ……!?」
お腹の奥まで拳が突き刺さり、まるで内臓が次々潰されていくような感覚。
手から刀が離れる感触があったけど、そんなのに気を回す余裕は無い。
アルクは拳で私のお腹を抉ったまま、少し前に向かって飛んで……その勢いのまま、私を背中から地面に叩きつけた。
ドゴォッ!!
「ぁ゛っ、がぁぁぁぁぁぁっ!?」
……あ……これ……だめ、な……や……つ……
息っ、できなっ……潰っ、れっ、ぅぶっ……おな、か……死、ぬっ……
「がふっ……ぅ、あ゛っ、がっ……はっ……」
今なお拳がめり込んだお腹から聞こえる、グチュグチュと肉を抉る音。
強烈に込み上げる、痛みと苦しさと窒息感。
……ダメ、だ……もう……耐え……ら、れ……な……
無様に口からヨダレを垂らしながら……私の意識は、闇の中へと吸い込まれていった……
……
……
……バチバチッ!!
「っ、ぎっ、ひぃぃぃぃっ!?」
だけど、ゆっくりと失われていった私の意識は……首への圧迫感と、狂いそうになるほどの快楽で強制的に引き戻される。
「そう簡単に逃げれると思うなよ、オルレアハート。逃げたいならしっかり、自分の口から敗北宣言を告げたまえ」
「ぃあ゛っ、がっ、ひぁぁぁっ!? イグっ、う゛ぅぅぅっ!? ぅっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
ガクガクッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!
また始まった、一方的な快楽拷問。
だめっ、だっ……これっ、こんなのっ……なにもっ、考えっ、られっ……!?
「あ゛っう゛ぅぅぅっ!? ぅぎっ、ひっ、ぎぃぃぃっ!? またっ、またぁぁぁっ!? イグっ、イグぅぅぅっ!?」
ガクガクッ!!
「なんでっ、まっ、だぁぁぁっ!? とっ、まってっ、ね゛ぇっ、どまっでっ、よぉぉぉっ!? お゛ぶっ、う゛っ、ぅぅぅっ!? やだっ、イキたくないっ、イキっ、ひっ、グぅぅぅぅぅぅっ!?」
子供みたいに泣き叫びながら何度も何度も、ヨダレと潮を撒き散らしながらの絶頂を晒してしまう。
「イっ、クっ、うっ、あ゛ぁぁぁっ!? イグっ、ゃっ、ぅっ、ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
ガクガクッ!!
全身に響く快楽を前に……また私は為す術なく、全身を仰け反らせ、激しく震わせながら絶頂へと達してしまう。
肉体的にも精神的にも辛くてキツくて、全部がキツい。
これ以上続けられたら、本当に脳が焼け付いて壊れちゃうんじゃないかって思うくらい。
「とっ、まっ、あ゛ぁぁぁっ!? な゛ぁっ、がっ、う゛ぅぅぅっ!? ぅあ゛、がっ、あ゛っ、ぎぃぃぃっ!?」
滝のように撒き散らされるヨダレも潮も、もうどれだけ出させられたのか分からない。
顔もベトベト、アソコもグショグショ。
なのに止まらない、快楽の天辺がずっと続く絶頂。
「あ゛ぁっ、あ゛っ、はあ゛ぁぁぁっ!? イグっ、イってるっ、の゛に゛ぃぃぃっ!? もっ、イグっ、まらっ、イグぅぅぅぅぅぅっ!?」
ガクガクッ!! ぶしゃぁぁぁっ!!
死にそうなくらい気持ち良いのが、とても苦しくて、とても辛い。
なんで私は……こんな目にあってるんだろう。
「……さて、そろそろか」
ボソッと呟いたアルクの言葉と同時に、私に流れる快楽電流は停止された。
「ぁがっ……あ゛……っ、ひっ……ぃぎっ……ぃ、あ゛っ……ぁ……っ……」
私の身体に纏わりついていた電流が、次第に宙に消えていく。
その音を聞きながら、私は仰向けのまま……立ち上がる事が、できずにいた。
「が、ひゅっ……っ、ぁっ……っ、がっ……ひ……っ……」
身体が、連続絶頂の余韻と痛みで、全然動かない。
もう……嫌だ。
なんで私が、こんな苦しい思いをしなきゃならないの?
逃げたい……今すぐ全部投げ捨てて……こんなふざけた戦いなんかから……一目散に逃げ出してしまいたい。
「……どうした、向かってこないのか? それとも……もう諦めて無様な敗北宣言でもしてしまうか? そうして君も、変身用のペンダントを一思いに壊してしまえばいいさ。そうすれば全部から逃げられる、楽になれるぞ」
敗北、宣言……
私は負けましたって……そういえば……助かる……?
……そうだ、いっそ逃げちゃおう。
こんなの、始めから私にどうにかできる問題じゃなかったんだよ。
アルクだって、前に変身ヒロインは他にもいるって言ってた。
だったら私一人が逃げ出したところで、何の問題、も……
……じゃあ、奏はどうなるの?
そう、だ……いくら私だけが逃げられたとして……そこに奏がいないんじゃ……私は、死んでいるのも同然だ。
だったら……ここで終わったってっ、同じ事……っ!
「……っ、ぐっ、ぅっ、あ゛っ、う゛ぅぅぅ……っ!」
「……ほう、まだやるつもりかい?」
右側のスラスターの先端を地面にぶっ刺し、支え代わりに体重をかけながら、気合いを込めて立ち上がる。
そのままスラスターからもう一本の柄を引き抜き、クリアグリーンの刃を生成。
ガクガクの脚のまま、私は再びアルクに対峙した。
「っ、ぅぐっ……!? っ、ぐっ……こ、こんなっ、の、でぇっ……負けっ、るっ、かぁっ……!」
立ち上がったまま左側のスラスターも地面にぶっ刺し、少しでも安定した構えを取れるようにする。
そんな満身創痍で、それでもなお立ち向かってくる私を見て……アルクは嬉しそうに、ニヤニヤと笑っていた。
「ふふっ、その意気込みは良い、が……」
だが、その笑みはアルクがアーマーを構えた瞬間、瞬時に真顔へと変わる。
「これを攻略せねば、君は私に勝てないぞ?」
そして先程と同様、開かれたアーマーの先端にエネルギーが溜まっていく。
……そうだ、アルクの言う通り。
いくら頑張って立ち上がったとしても、あの攻撃を何とかしないと私は勝てない。
しかも弾くだけじゃダメ、しっかり、見えている間に打ち消さないといけない。
でも私の装備は、二つずつの盾とスラスターに、刀が一本だけ……
っ、思考を変えろ春永雅っ!
考えろっ、想い浮かべろっ……私の力でっ、飛び道具を〝創る〟んだっ!!
「っ、ふーっ……」
目を閉じ、ゆっくりと息を吐いて……刀から刃を消し、そのまま左のスラスターの柄を収納していた場所へと、柄の先端だけを接続。
そのまま私は震える身体を必死に押さえつけながら姿勢を低くし、居合い切りの構えへと移行する。
「どうした、今更諦めたか? しかし遅かったな……済んでいるのだよっ、こちらの準備はっ!!」
そんな私に構うことなく、楽しげなアルクの高笑いが聞こえる。
同時に鳴り響く、エネルギーの弾が放たれる音。
……いつもと同じ、ぶっつけ本番。
だけどっ……ここを越えなきゃアイツにっ、二ヴルにだって勝てないっ!!
変身する時と同じように、明確なイメージを頭の中に浮かべる。
大丈夫、やれる……想い描くんだ……刀を生成するエネルギーを分散してっ、飛ばすっ、剣をっ!!
「っ、はぁっ!!」
目を開き、飛来する弾を正面に捉える。
そのまま一気に柄を振り抜いて、目の前を軌跡で一閃。
すると……その軌跡上に矢尻のような、真っ赤なエネルギーの塊が無数に出現する。
そのまま柄から刃を生成し、そして……
「っ、〝幻刃一式・紅刃〟っ!!」
脳内に思い浮かんだその技名を叫びながら、現れたエネルギーの塊を弾き返すように、全力で刀を返した。
次の瞬間、弾かれたエネルギーは矢のように、アルクに向かって一斉に飛び出していく。
そして、私とアルクが放ったエネルギーの弾は互いにぶつかり合い……激しい爆発音の後に残ったのは、辺り一面を包み込むほどの爆煙だった。
「ふむ、〝くれは〟……なるほど、紅に刃、か。咄嗟の思いつきにしては、中々……」
だけどっ、まだ終わってないっ!!
爆煙で身体が隠れているから、スラスターに頼った加速の弱点っ、初速の鈍さは補えるっ!
後はっ、あのムカつく声のする方向に向かってっ……!!
「はっ、あぁぁぁっ!!」
「……っ、ふははっ!」
アルクのいるであろう場所に向かって思いっきり刀を振り下ろすと……ドンピシャ!
アルクの笑い声と共に、私の刀とアイツのアーマーがぶつかる音が激しく鳴り響く。
「相変わらず心意気だけは良いがっ! あまり私を舐めるなよっ、雅君っ!!」
「それはこっちのっ、セリフだってっ、のぉっ!!」
反対側の腕のアーマーから繰り出される拳を、空中で身体を捻ってギリギリで回避。
「っ、らぁぁぁっ!!」
速度は保ったまま、振り返ると同時に左側の盾から剣を発生させ、すり抜け様に目の前のアルク狙って振り抜く。
「っ、ちっ、接近戦のバリエーションがあるのはっ、褒めてやろうっ!」
「そいつはっ、どうもっ!!」
ヒットの確認はしていなかったけど、あの調子なら躱されたとみて間違いないだろう。
そのままアルクの背後側にあった壁目掛けて全開。
接触寸前で脚の根元に力を込め、無理矢理壁へと突っ込ませる。
「っ、ぐぅぅぅっ……!? こっ、のぉっ!!」
脚に響く激痛に歯を食いしばりながらも、反動を付けて再びアルクに向かって飛び込む。
まともに脚を動かせないって事は、地面を蹴って初動を付けられない、ということ。
そんな状況で一度でも減速してしまえば、もう一度元のスピードに戻すにはどうしても時間を要してしまう。
……だけど幸い、覚醒を使っている時と比べたら、私の速度はまだまだ遅い。
この速度なら多少脚に無茶をさせても、そう簡単にぶっ壊れる事もないだろう。
ならいっそロクに使えないこの脚を、ただ反動を生むだけの道具として使ってやって……止まらない方がっ、勝てるっ!!
「はっ、直進バカっぷりは相変わらずだなっ!」
でも、一つだけ懸念点。
それは迫る私に対し、アルクがアーマーごと腕を上げた事。
「だがっ、たかが十数分前のことっ、忘れた訳ではあるまいっ!!」
得意げなアルクの声と共に、アーマーの先端に光が集まる。
あの構えにっ、あの光っ……間違いないっ、アレが来るっ!?
「〝ゾーン・ディバインッ!!〟」
やっぱりっ……やってくるわよねっ……!
アルクの叫びと共に、目の前に現れたのは分厚く不透明なエネルギーの壁。
思い出されるあの激痛に、一瞬身体が固まりそうになる……けど、避けられないのならっ……突っ込むしかないっ!!
……動きのイメージは、空中で繰り出す縮地。
トップスピードの、更にその先にっ……身体ごと一気に、ぶち込む。
後は……上手く抜けれるようっ、祈るだけ!!
「っ、らぁぁぁっ!!」
迫る痛みに覚悟を決め、自ら壁へと突撃する。
私の身体はそのまま壁に吸い込まれ……再び全身に激しい電撃が走る。
そんな最悪の事態も頭を過ぎり、勝手にグッと歯を食いしばってしまう。
……が。
「……、……っ、!?」
いつまで経っても、痛みは来ない。
その代わり……いつの間にかアルクとの距離が、想定よりも遥かに近くなっていた。
「すり抜けたっ……違うっ、まさかっ……!?」
目の前に迫るアルクの顔は……焦りと喜びが入り交じったような顔で、ニヤリと笑っていた。
想定外の距離の縮まり方に、私も何が起こったのか分からない。
だ、けどっ……今がチャンスなのはっ、変わらないっ!
「はぁぁぁっ!!」
アルクが左側のアーマーを構えているのを見て、咄嗟に刀の構えを下段に変える。
そのまま加速の勢いに任せて一気に切り上げ、アーマーごとアルクの防御を一段崩す。
「ちっ!」
だけど休む暇は無い。
直後、私の顔面目掛けてラリアットみたいな動きで右側のアーマーが迫り来る。
「っ、まだっ!!」
私は刀から左手を離し、腕に着いてる小型の盾をアーマーに直接ぶつけて攻撃を止める。
これで二人とも、胴体が完全フリー。
「そう簡単にっ、やらせんよっ!」
となると……刀を振り返す必要のある私と比べて、腕を振るだけで良いアルクの方が一歩早く動いてくる。
目前に迫るアルクのアーマーを前にしても、私の両腕は塞がっていて、刀も盾も使えない。
だから……コイツの今こそ使い時。
「それはっ、これでっ!!」
スラスター全開のまま、右側のスラスターを 私の身体から切り離し……その迫り来る左腕にっ、ぶつけるっ!!
「ぐっ!?」
ミサイル代わりに飛ばしたスラスターはアルクのアーマーに当たり、爆発音と共に小規模な爆発を引き起こす。
でも、ここで引きはしない。
爆煙の熱を感じながら、残った左側のスラスターの噴射方向を反転。
無理矢理身体を、反時計回りに回転させる。
「っ、らぁぁぁっ!!」
そして回転の勢いを乗せたまま、再び前面がフリーになったアルクの顔面目掛け……
「これでっ、トドメっ、だぁぁぁっ!!」
「……ふっ」
刀を握ったままの右の拳を、渾身の力で、ぶち込んだ。
「ぐぁっ!?」
拳に伝わる、柔らかい肉を殴る感覚。
アルクの放った短い悲鳴を耳に入れないようにしながら……私はその感覚を断ち切るように、一思いに拳を振り抜く。
同時に私はバランスを失い、空中で一回転した後にその場に背中から倒れ込んだ。
「ぁぐっ……!」
思わず目をギュッと閉じた、そんな私の背中に伝わる鈍痛。
だけどその程度の痛みなんて、今までのに比べたら些細なモノだ。
あと、は……
「っ、ててっ……」
腕で上半身を持ち上げながら、恐る恐る目を開く……と。
「……ふっ、覚醒を使わずとも多少マシになったみたいじゃないか」
少し離れた先で……アルクは、床に胡座をかいて座り込んでいた。
「っ、くっ、ぅっ……っ、はぁっ、はぁっ……っ、はぁっ、はぁっ……さっきっ、私が、斬ってたらっ……アルク、死んでたねっ……っ、はぁっ、はぁっ……っ、これ、で……私の……勝ち、だね……っ……」
「……あぁ、そうだな。おめでとう雅君、君の勝ちだ」
私の言葉に、アルクは満足そうに笑いながら両手を上げる。
アーマーも解除されたのを確認して、私も刃を消滅させた柄をゆっくり左側のスラスターに収め……同時にお尻から、地面に座り込んだ。
疲れた、すっごい、疲れた……
にしても……なんで勝った私が息切らしてて、アルクは負けたクセに一切息乱してないのよ。
そういえば、前戦った時はバリアとか張ってたし……絶対コイツ、まだ本気じゃなかったでしょ。
なんか勝ったはずなのに、実質負けたみたいで複雑だ。
だけど……これで一つ、更に疑惑が深まった。
「……ふむ、この程度戦えるのならば、もう大丈夫そうだな。では……」
「……待って、アルク」
ゆっくり立ち上がり、そのまま別の話をしようとするアルクに……私は、遮るように声をかけた。
「ん、まだ何か? 早く奏君の居場所を知りたいんだろう?」
「それはそう、なんだけど……もうひとつ、聞きたいことがあるの」
そう、それは前にも聞いて、はぐらかされた問い。
今までそれとなく受け入れてたけど……今ならこれにも、きっと答えてくれるかもしれない。
「アルクは、さ……元々ハウンズなんだよね?」
「そうだが。正確には今も所属は変わらんがね」
「だよ、ね。じゃあ、さ……」
そんな淡い期待を抱きながら……私はゆっくりと、口を開いた。
「……なんで私達を、助けてくれるの?」
「……必要か? 今、その答えが」
「……うん、聞かせて欲しい」
「……なに、そこまで深い理由じゃないさ」
私の問いに、アルクは呆れたように軽くため息をつく。
その呆れの対象が、果たして私なのか、それともアルク自身なのかは分からない。
そのままグッと目を閉じたアルクの動きを、重たい沈黙を待ちながら耐え続けること、数分。
……やがてアルクは、自傷気味に笑いながら、ゆっくりと重たい口を開いた。
「……私は、な……好きなんだ。ハッピーエンドが、な」
--To be Continued--
初の必殺技を取得し、そして苦戦の末にアルクを打ち倒した雅。
同時に明かされようとしている、アルクの真の目的。
果たして雅は、ここから無事に奏を救い出す事ができるのか……
次話も引き続き、楽しんで頂ければ幸いです。