※この作品はR-18です。

神姫清廉オルレアハート!-乱行恥虐のスペクトラム-   作:ホリス_if

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オルレアハート、第15話です。

謎の巨大触手鎧の中から、アイリスリーベに変身したままの奏を救い出した、オルレアハートこと春永雅。
再開に喜び抱擁を交わした直後、奏の刃が雅の背中を突き刺した。
突然の出来事に驚いたのもつかの間、奏のコスチュームは黒くピッチリとしたモノへと変化し、態度も豹変してしまう。
堕ちた親友を救うため、雅は二度目となる奏との戦いに挑むのだった。

今回のシチュエーションはレズ責めがメインです。
今話も是非、お楽しみください。


第15話-激突!二度目の親友決戦!

 

「雅にも教えてあげるため、だよ。ニヴル様に教えてもらった……本当の愛の伝え方を、ね」

 

 普段変身した時に着ていた煌びやかな衣装とは似ても似つかない、黒くピッチリとした衣装を纏った奏。

 彼女は黒と紫のツートンカラーで仕上がった禍々しい短剣を握ったまま、今まで見たことも無いようなドス黒い笑顔で私に笑いかけていた。

 

「っ、ぐっ……あ゛っ……や、やめっ、て、よ……そんっ、な……冗、談っ……っ、はぁっ、はぁっ……そ、んな、の……ちっともっ……面白くっ、ない……って……」

「冗談? 冗談なんて言った覚えないよ」

 

 刺された背中の痛みに歯を食いしばりながら、私は笑っている奏の様子を視界に入れ続ける。

 指先から二の腕までを覆うレザーっぽい黒いロンググローブに、つま先から太もも中間まで伸びた、同じく黒色のロングブーツ。

 下半身には赤い装飾の入った、黒いミニスカート。

 おへそを挟んで上半身には、スカートと同じように赤い装飾の入った、黒いショート丈のキャミソールっぽいトップス。

 胸元には変身する時に使うペンダントに似た、石みたいなのが埋め込まれている。

 そして見えるはずの肌色も、胴体をぴっちり覆った暗めのブラウンのタイツによって隠されて、肌色は首から上にしか見えていない。

 髪色だけは本来の奏の髪色に少しだけ近い、ほんのりブラウンよりの赤色になっている、けど……目の前での豹変を見せられなければ、いくら変身後の姿を知っていたって、彼女が奏だって事をパッと見では見抜けないだろう。

 それに……少なくとも、私の知っている奏はあんな顔を絶対にしない。

 だけど、特に明確な理由なんてない、けど……私の直感は、彼女を本物の奏だと言っている。

 クローンとか誰かの変装とか、そんなヤツじゃない、私の知っている奏だと。

 

「それにしても……雅ってホント、警戒心薄いよね」

「な、なにっ……急、に……」

 

 そんな私の困惑をよそに、奏はゆっくりと周囲を見渡す。

 そして手に持った短剣を目の前に突き出すと……

 

「ほら、あっち」

 

 私の右側に向けて、ダーツみたいにその短剣を投げつけた。

 その短剣は風を切りながら高速で飛翔し……

 

「ぎゃっ……!?」

 

 直後その到達点で響いたのは、見知らぬ男の断末魔。

 直後、目の前に作り出された真っ赤な噴水。

 同時に漂ってくるのは、鼻につくような鉄の臭い。

 

「ひっ……!?」

 

 あれ、まさか……本物の……血……!?

 てこと、は……奏……嘘……うそ……でしょ……?

 ……私の脚から急に力が抜け、腰を抜かしてその場にペタンと座り込んでしまう。

 

「ね? あんな風に虫が紛れ込んでる可能性もあるんだし、もう少し気をつけよ? じゃないと雅、あの男に汚されてかもよ。そんなの私、絶対許せないし」

「や、で、でも……なに、も……そこ、まで……」

「甘いなぁ雅は。ああいうのは早めに処理しないと、どうせロクなことにならないよ」

 

 ……あぁ、そうか。

 目の前の奏は、奏であって、奏じゃないんだ。

 だって私の知っている奏は、絶対にあんな事はしない。

 多分、私を庇って捕まって……その時に洗脳か拷問か……アイツらの好きな、ロクでもない行為をされてしまったんだろう。

 

「っ、ね、ねぇ、奏……あの銃は……どう、した……の?」

「あぁ、アレね。使わないよ、雅相手にそんなの」

「……どうして?」

「どうしてって、そんなの決まってるじゃん」

 

 何を当然の事を……とばかりに奏は言葉を続ける。

 同時に彼女が軽く手を上げると、さっきと同じような短刀がどこからか現れ、再び奏の手に収まる。

 そしてゆっくりと脚を開き、短剣を目の前に構えた。

 

「少しでも近くで見たいからだよ。雅が苦しんで苦しんで……私に身も心も屈して跪く姿を、ね」

「……っ……そう、なんだ」

 

 ……分かった、もう迷っている時間は無い。

 奏は私を守る為に捕まって、こんな事になっている。

 それに戦いたくないからって奏を捨てて逃げたら、どうなるかなんて目に見えている。

 それに……

 

「っ……だったら……っ!」

 

 暴走した親友を止めるのは……奏の親友の、私にしかできない事っ、だから……!

 その為ならこんな痛みっ、屁でもないっての!

 私は自分の頬を思いっきり叩いて、力の抜けていた脚に再び渾身の力を込めて、立ち上がる。

 同時に左のスラスターから柄を引き抜き、刃を展開。

 奏に向け……刀を正面に構える。

 

「……ふふっ、そうでなくっちゃ」

 

 ……大丈夫、これは奏を斬るための刀じゃない。

 あくまでも、奏の攻撃を防ぐための、自分を守るための道具。

 そう自分に言い聞かせ……私は刀の柄を、両手でギュッと強く握りしめる。

 

「さぁ……行くよ雅っ!」

 

 っ、来る……っ!!

 その一言の直後、奏は右脚で地面を蹴飛ばし、正面から一気に突撃を仕掛けてきた。

 

「はぁっ!」

 

 突撃の勢いのままに首へと放たれた突きを、身体を翻して回避。

 

「ぐっ……!」

「……ふふっ!」

 

 そのまま流れるように、お腹へと迫る切り払い。

 その一撃には咄嗟に腕を身体に引き寄せ、右腕の盾で対応する。

 

「くっ、うぅっ!!」

 

 盾ごと私を殴り飛ばさんとする奏の勢い。

 私は脚を踏ん張って、打ち負けないよう必死に耐えていた。

 

「……へぇ、良い顔しちゃって。そんなの見せられたらさぁ……雅のこと、ますます好きになっちゃうよ?」

「ぐっ……わ、悪い、けど……今のっ、奏、は……私っ……全っ然っ、好きじゃ、ないっ、よっ……!!」

「強がらなくても大丈夫だって。雅だって本当の愛を知れば、絶対私を求めてきちゃうんだから」

「余計っ、なっ……お世話っ、よっ!!」

 

 そんな私の必死な形相を見ても、奏は一切笑みを崩さない。

 なんとか言葉を紡いでいる私に対して、一向に涼しい顔をしたままだ。

 どんな力を得たのか知らないけど……あの顔を見てたら、まだまだ余裕がある事は容易に想像がつく。

 だとしたら、このまま競り合ってたら結局こっちがジリ貧になるのは明白だろう。

 ……ならっ、その均衡を崩す!!

 

「……っ!!」

 

 競り合いの最中、私は軽く身体を引くと同時に右脚の力を抜きつつ、左脚で強く地面を蹴る。

 直後、私の身体は奏に押し出されるように、短刀を軸にして側転のように空中で回転してしまう。

 けど、これでいい。

 私の狙いは……!

 

「っ、はぁぁぁっ!!」

 

 奏の切り払いの勢いを乗せた、顔面目掛けた左のカウンターハイキック!

 膠着状態から突然繰り出される、この高度違いの高速カウンターなら……いくら今の奏でも、多少面食らってくれるでしょっ!

 

「ダメだよ雅、そんなんじゃ」

 

 ……だけど。

 

 ガシッ!!

 

 私の脚に伝わってきたのは奏を蹴り飛ばした衝撃ではなく……手のひらで足首をガッシリと掴まれた、柔らかい感覚。

 

「な……っ……!?」

 

 完璧に決まったと思った私の蹴りは……奏の左手に、しっかりと掴まれていた。

 しかも完全に不意打ちのタイミングだったにも関わらず……奏の手は、予め私の蹴りが来ることがわかっていたように構えられていたのだ。

 

「こっ、のっ!!」

 

 このまま掴まれっぱなしはマズい。

 咄嗟に右脚を振り回し、私の脚を掴んでいる奏の手首目掛けて蹴りを放つ。

 

「おっと」

 

 直後、奏の軽い声が聞こえたと同時に私の足首から手が離された。

 ターゲットが無くなった私の蹴りは、奏の顔面スレスレの空を切る。

 

「っ、くっ……!!」

 

 私はその勢いのまま、強引に身体を捻らせ空中で一回転。

 左脚で着地したと同時に大きく後ろに飛び退き、一旦奏との距離を……

 

「も〜……逃げちゃダメ、でしょ?」

 

 取ろうとして飛んだ直後……未だ宙に浮いている私の目前には、奏の投擲したであろう短刀の鋒が迫っていた。

 

「うわっ……!?」

 

 額まであと数センチのところで、私は咄嗟に刀を扇状に振るい、体勢を崩しながらも短刀を上方へと弾き飛ばす。

 ……危なかった。

 たまたま反応できたから良かったものの……もしあれを受けてたら、今頃どうなってたか……

 ……いや、それよりも……さっきの立ち位置は超接近戦、つまり、私の方が有利な距離だった。

 なのに私の追撃を考慮すらせず、瞬時にこの攻撃を選べたってこと……?

 あまり近接戦をしてこなかった奏とはいえ、まさかそこまで頭が回らなかった訳が無いし……一体、何を狙って……?

 

「ほらほらっ、他ごと考える暇っ、ないでしょ!!」

 

 ……っ、考えるのは後っ!!

 そんな頭をフル回転させながらも何とか私の右脚が着地したタイミングを狙って、再び奏が突っ込んでくる。

 

「それっ!」

 

 そして今度は、大きく振りかぶった短刀による上からの袈裟斬り。

 

「っ、くぅっ!」

 

 振り下ろされた先は、私の崩れた重心ど真ん中。

 即座に左脚を後方に着地させ、踏ん張りながら短刀目掛けて刀を思いっきり薙ぎ払う。

 刹那、刀と短刀が互いにぶつかり合い、火花と共に甲高い金属音が鳴り響いた。

 

「やっと使ってくれたね、雅……そうじゃなきゃ……そうでなきゃっ、ねぇっ!!」

「ぐっ、うぅぅぅ……っ!!」

 

 そのまま鍔迫り合いへと発展。

 刀と短刀の刀身が競り合い、バチバチと火花を撒き散らす。

 その火花を間に挟んで、奏の顔はすぐ目の前。

 しかも後ろに重心がズレたままだから……目線の上から迫ってくる奏の顔が、余計に近く感じる。

 

「ねぇもっとっ、もっと愛してあげるからねっ、雅ぃっ!!」

「っ、こンなのがっ、愛なワケないでしょうがっ!! いい加減にしろっ、バカ奏っ!!」

「〜〜〜〜っ! いいっ、怒ってる顔もっ、好きっ、好きだよっ、雅ぃっ!!」

「こっ、のっ……分からずやぁぁぁっ!!」

 

 そう叫びながら、私は敢えて分かりやすく右脚に力を込めた。

 袴を履かない状態の練習で、そこそこの実力者が見たなら簡単に分かるような攻撃の前動作。

 そしてそのまま全力で押し返す……と思わせ、一気に刀の方向を少しだけ後ろに逸らす。

 

「っ、ふふっ、危ない危ない」

 

 だけどそんな私のフェイントにも、奏は引っかからない。

 私が刀を逸らしたと同時に、奏も短刀を引き上げた。

 

「くっ、良くわかったっ、わねっ!」

「もちろん。だって私が雅の事で分からない事なんて、これっぽっちもないんだから」

「っ、今日の奏っ、一々気持ち悪いのよっ!!」

 

 今度は投擲に警戒しながら、再びバックステップで奏との距離をとる。

 ……さっきの一連の動き。

 あれは全力が来ると悟り、更に力を込めようとする相手の勢いを逸らしてバランスを崩させ、一気に戦いの流れをこちらに傾ける為のフェイントだった。

 部活のみんなならまだしも、多分目線の基本も知らなくて……ましてやあんなやる気剥き出しの叫び声を前にしてたら、普段の奏なら簡単に引っかかってたはず。

 それに、後ろに下がった時だってそうだ。

 私が追撃する可能性だってあったのに……奏は反撃の為に、短刀を構える事すらしなかった。

 

「っ、はぁっ……はぁっ……」

「あれ、もう息上がった? それとも、やっと私の愛を受け入れる気になってくれた?」

「こっ、のっ……はぁっ、はぁっ……っ、冗談……キツい、ってのっ……!」

 

 ……何より一番の決め手は、フェイントを仕掛けた時。

 鍔迫り合いの最中、急に相手にかける力の向きが変わったら、多少なりとも反応にはズレが生じるはずだ。

 なのに……奏が短刀を引くタイミングは、私が逸らしたタイミングとドンピシャ……〝完璧〟すぎた。

 あんな芸当、悪いけど私の知っている奏には絶対にできない。

 本当は判断要素はもっと欲しい、けど……多分、他のハウンズと同じような能力を手に入れたと思って、間違いないだろう。

 だったら考えられるのは、先読みとか未来予知とか……その辺だろうか。

 そうなると……私の行動は全て、読まれている前提で動く必要が生じてくる。

 この状態で奏を傷つけず、それでいてその未来予知を潜り抜けて勝つ……。

 ……正直、どうやって戦えば良いのか……皆目見当もつかない。

 

「はぁっ……はぁっ……くっそ……なんてこと……してくれてんのよ」

 

 思わずそんなボヤきがこぼれ落ちる。

 こんな事なら、もっとバトル系の漫画とか読んでおけば良かった。

 

「いいんだよ? 今降参するなら許してあげるけど」

「はっ、ははっ……奏の知ってる私なら……どうするか、分かってるでしょ……?」

「……そう、だよねぇ……そうじゃなきゃっ……私の好きな雅じゃっ、ないもんねぇっ!!」

 

 っ、またっ、突撃してきたっ……!

 対抗策とか考えてる暇ない……戦ってる間にっ、何とか捻り出すんだ……っ!!

 

「はぁっ!!」

 

 バチッ!!

 

「ぐっ……こっ、のっ……!!」

 

 振り下ろされた短刀を刀で打ち払うも、この数メートルもない間合いでは取り回しが良い分、向こうの方がどうしても速い。

 

「どうしたのよ雅っ、大口叩いてっ、この程度っ!?」

「ちっ! さっきからっ、うるっ、さいっ、ての……!」

 

 培ってきた経験とカンで、何とか猛攻を防ぎ続ける。

 だけど、防戦一方になっているのは変わらない。

 何度も何度も刀と短刀が競り合うにつれて……どうしてもジワジワと、押され始めてしまう。

 何とかしなきゃ、どうにかしなきゃ。

 そんな焦りばかりが募っていく。

 そしてその焦りが……私に、致命的な一瞬を生んでしまった。

 

 ガッ……!

 

「しまっ……!?」

 

 思い返せばここの地面は、前の戦闘の時点で既に荒れていた。

 そこが頭からすっかり抜け落ちていて、その結果……私が後ろに動いたその瞬間、地面の亀裂に踵を取られてバランスを崩してしまう。

 

「ほらっ、そこっ!」

 

 そんな大きな隙を見逃されるはずもなく……体勢を崩しかけた私の首めがけ、奏の放った一閃が迫る。

 マズいっ……このままじゃっ……!?

 

「くっ、そっ……!!」

 

 咄嗟に反対側の脚で地面を蹴りながら、前方に向かってスラスター全開。

 同時に必死に上半身を逸らし、全力の回避を試みる。

 

 ザシュッ……!!

 

「ぁっ、ぐっ!?」

 

 刹那、短刀の鋒が首を撫でていく。

 が、間一髪で致命傷は避けられた。

 そのまま地面に背中から着地、後転しながら奏から距離をとる。

 

「っ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……っ!」

「へぇ、よく避けたね」

 

 後転の勢いを使って上体を起こすと、しゃがんだまま刀を前方に構えた。

 切られたところが多少痛むけど、それでも紙で指を切った程度、戦闘続行に支障はない。

 肩で息をしながら、ゆっくりと歩み寄ってくる奏の姿を視界に収め続ける。

 

「でも、それだけじゃダメ。相手の攻撃はしっかり避けないと、これは部活の試合じゃないんだからさ」

「……はぁっ、はぁっ……うっさいっ……余計なっ、お世話……よ……!」

 

 小言に言い返しながらも、依然、奏から目を離さない。

 次は何をしてくるのか。

 投擲か、突撃か、もしかしたらまだ見せてない攻撃があるのか。

 今の奏の行動は、私には全然分からない。

 だからこそ、今、目を離す訳には……

 

 ……ドクッ……!

 

「……っ!?」

 

 そんな張り詰めた私の精神をぶっ壊すように……突如、私の身体に異変が走った。

 

「何っ……なにっ、これっ……!?」

 

 身体の奥から、今まで飽きるほど味わった熱いモノが込み上げてくる。

 だけど当然それは、闘志とか熱意みたいな前向きなモノじゃない。

 もっとこう、気持ち悪いほどジワジワと溢れ出る、本能的な……

 まさかこれっ、触手とかと同じ……媚薬……っ!?

 

「っ、くっ、はっ……ぁっ、ぐっ、ふっ、ぅっ……!?」

 

 腕から、脚から、力が抜けていく。

 立っているだけで精一杯。

 全身の震えが止まらない。

 手に力が入らない。

 私の手から、刀がゆっくりとこぼれ落ちる。

 けど拾い直すために座りでもしたら、もう絶対、立ち上がれない。

 

「こういう時、実体剣だと便利よね。こんな風に刀身に毒とか塗れるし」

 

 無防備な私に、奏がゆっくりと歩み寄ってくる。

 

「くっ、うっ……やめっ……来るっ、なぁ……っ……!」

 

 未だピンピンしている奏の手には、さっき私を掠めた短剣。

 対して私は、立ち続ける事にすら四苦八苦している状態。

 ……ダメだ、私、負ける……?

 目前に迫った奏の狂気じみた瞳に耐えきれず、思わず目をギュッと閉じてしまう。

 そのまま私はいずれ来るだろう鋭い痛みを、歯を食いしばりながら、ジッと待っていた。

 だけど……

 

「……あぁ、ダメっ……もうっ、我慢……できないよぉっ……雅……みやびぃっ……!」

 

 聞こえてきたのは奏の興奮した声と、金属が落下したような甲高い音。

 何事かと思わず目を開いた……その瞬間だった。

 

「んむっ、んぅぅぅっ!?」

 

 奏は私の両手首を握って、身体を密着していた。

 同時に彼女の舌が私の口の中に入ってきて、口内を蹂躙し始める。

 

「んぁっ、はぁっ、んっ、んんっ……雅っ……みやっ、びぃっ……んぁっ、ぁっ、んむっ……」

「んぅぅっ!? んむっ、んぁっ、ちょっ、かなっ、でぇっ、私たちっ、そんなっ、関係っ、じゃっ、んむぅぅぅっ!?」

 

 奏の柔らかい舌が私の舌と交わって、甘い感覚に押し潰されそうな感覚。

 

「んぁっ、ぁっ、んっ、んむっ、んっ、んんっ……!」

「ゃっ、やめっ、んぶっ!? んっ、んんっ、んん゛ぅぅぅっ!?」

 

 このままじゃマズいと思って無理やり頭を引いても、すぐに奏は距離を詰めてきて、再び奥まで舌を捩じ込んでくる。

 嫌なはず、ダメなはず、そう分かっているはずなのに……頭が溶けて、蕩けてしまいそうで……

 

「んんっ、ぁっ、みやっ、びぃっ……んぁっ、あっ、んっ、むっ、ぁっ、んっ……」

「ぁっ、むぁっ……ゃっ、あっ、んんっ……」

 

 ……多分、キスされ始めてまだ数分も経ってない。

 なのに……ダメだ、もう……なに、も……考え……られ……

 

「んぁっ……ふふっ、雅……すっごいえっちな顔になったね」

「ん……ぁ……っ……は、ぁっ……はっ、ぁっ……はぁっ……ぁっ、はっ、ぁっ……」

 

 ようやく離れてくれた……けど……こんな……こんなキスだけなのに……身体が痺れたみたいに、何も……できない……

 

「ほんっと可愛いよ、雅。だけど、ね……?」

 

 そんなボーッとしたまま口の端からヨダレを垂らしている私の頬に、奏から送られる軽いキス。

 

「そんなに愛しい顔してたら……さ……私、加減できなくなっちゃうよ」

 

 獣みたいな目をした奏の舌なめずりを前に、私は……されるがままに、押し倒されてしまった。

 そのまま奏は私の両手首を右手で掴んで、私の頭の上に押さえつける。

 今の私には、この程度の拘束すら振りほどけなくて……一切の抵抗を封じられてしまった。

 

「やっ……や、だっ……やめ、て……よ……かな、でぇ……」

「……っ、へー、これが、誘い受けってヤツ……なのかな……キュンって来たよ……すごく……すっごく……」

 

 思わず口から出た許しを乞う言葉も、一切の意味を持たず……それどころか、逆に奏を煽る結果になってしまう。

 

「……へへっ……雅さ、確か好きだったよね……私の、耳かき」

 

 そんな奏が、当然この程度の淫行で止まるはずがなく……私の手首を右手で拘束したまま、彼女の顔が、ゆっくりと私の耳元へと近づいてくる。

 

「だったらさ、してあげるよ……今度は、私の舌、で……ね」

 

 そして、吐息混じりの囁き声にビクッと震えた私の事を笑いながら……奏は、そのまま……

 

 じゅるるるっ!!

 

 奏は舌で、私の耳を蹂躙し始めたのだ。

 

「んひっ、いぃぃぃっ!?」

 

 そんっ、なっ、いきっ、なりっ、激しっ、ぃぃぃっ!?

 私のっ、耳でっ、舌っ、暴れてっ、奥っ、おぐっ、まっ、でぇっ!?

 

「れろれろっ……んぁっ……ふふっ、こんなに身体ビクビクさせちゃって……そんなに気持ち良いんだ……私の耳舐め……だったらっ、もっと……んぁっ………」

 

 グポグポッ!! ジュルルルルッ!!

 

「あぁぁぁっ!? やだっ、みみっ、犯さっ、なっ、ひいぃぃぃっ!?」

 

 アソコを犯されてる訳でもなく、ただ耳を舌でグリグリされているだけ。

 なのに私の身体は、自分でも驚くくらいにビクンビクンと跳ね続けている。

 

「れろっ、んっ、ぁっ……ふふっ、ほんっとうに可愛いね、雅は……けど、お耳だけじゃ……もったいないよ? 女の子には……もっともっと気持ちいいトコロがあるの……忘れてない、よね?」

 

 そんな私の身体の上で、奏の指が……頬から首、乳首からお腹へと、スーッと上から下へと滑っていく。

 そしてその到達点は、当然……

 

「……んぁっ……雅のおマンコ……もうこんなに濡れちゃって……可愛いなぁ……」

 

 クチュッ……!

 

「ふぁっ、あっ、くっ、ぁぁぁっ!?」

 

 挿入ってくるっ……奏のっ、指がっ、アソコっ、深っ、いぃぃぃっ!?

 

「あ〜……もう、ほんっと雅って敏感だよねぇ……いいよ……もっと気持ちよく……なろ? ぁ〜……」

 

 グポグポッ!!グチュグチュッ!!

 

「んひぃぃぃっ!? ぃいっ、ひっ、いぃぃぃっ!?」

 

 耳の中とアソコから同時に響いてくる水音が、〝犯されている〟って事実を強烈に実感させてくる。

 

 グチュグチュッ!! クチュクチュッ!!

 

「ぃあっ、はっ、あぁぁぁっ!? やだっ、離しっ、やっ、あぁぁぁっ!?」

 

 ……無理っ……こんなの無理っ!!

 耳とアソコっ、同時っ、なんて無理っ、むりぃぃぃっ!?

 

「かなでっ、おねがっ、お゛っ、うぅぅぅっ!? ほんとっ、ぁっ、やっ、ひっ、ぁぁぁっ!?」

「ぁ〜っ、んっ、ぁっ……ほらっ、雅のおマンコ……私の指をギュウギュウに締めつけちゃってさ……もうイっちゃいそうなんだ?」

 身体がガクガク震えて、それでも歯を食いしばって、絶頂の一歩手前で何とか踏ん張っている状態。

 せめて、せめてこの一線っ、だけは、我慢っ、しないっ、と……っ!!

 

「……も〜、我慢なんかしちゃって……仕方ないなぁ、雅は……」

 

 そんな私に業を煮やしたのか、奏は呆れた表情で……舌と指を更に奥まで、更に激しく、動かし始めた。

 

 グポグポグポグポッ!! グチュグチュッ!!

 

「あぁぁぁっ!? だめっ、ほんとだめぇぇぇっ!? だめっ、イクっ、イくっ、イっちゃうっ、からぁぁぁっ!?」

 

 さっきまでですらキツかったのにっ、こんなっ、激しいのっ、お゛ぉぉぉっ!?

 むりっ、イクっ、ほんとにっ、負けっ、ちゃう……っ!?

 

「れろっ、んっ、ぁっ……ふふっ、イけっ……イ〜けっ……耳舐めと手マンで簡単にイっちゃうド変態な雅の……可愛いイキ顔、早くっ、見せろっ、見せろ♪」

 

 そして……トドメとばかりに耳元で響く、甘く吐息たっぷりな囁き声。

 奥まで犯され敏感になった耳に注ぎ込む、絶頂への甘美な誘惑。

 あっ、だめっ……これっ、がまんっ、できっ、な……っ!?

 

「ほら、ザコ雅……さっさと……イ〜〜けっ♪」

「ひっ、いぃぃぃっ!? イクっ、イクっ、あっ、イクっ、イクぅぅぅぅぅぅっ!? ぅあっ、はっ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ガクガクガクッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!

 

 奏の声と同時に、腰を突き出し大きく仰け反りながら、私は絶頂へと達してしまった。

 

「……ふふっ、やっぱり雅のイキ顔……可愛いなぁ……」

 

 だけど、まだ奏の責めは終わらない。

 

「〜〜〜〜っ!? っ、なっ、ぁっ、あっ……!?」

 

 奏は私のアソコから指を抜いて起き上がると……ゆっくりと、私のアソコに顔を近づけてきたのだ。

 しかも、再びレオタードの部分を指でズラし……晒けだされた私のアソコを、興奮した面持ちで見つめていた。

 

「へ〜……あんなに犯されてるのに、まだ綺麗な色してるね、雅のおマンコ……」

「ゃ、だっ……奏っ、見なっ、いでっ……そんなっ……とこ……っ……!」

「大丈夫、雅に汚いところなんて、ないんだから……」

 

 そして、奏は私のアソコに顔を近づけ……

 

 ちろっ……

 

「んっ、ひぃぃぃっ!?」

 

 そのまま、私の割れ目をなぞるように、舌を這わせてきたのだ。

 うそっ……舐めっ、られてるっ……まさかっ、奏にっ……アソコっ、をっ……!?

 

「れろっ……っんっ……れ〜……」

 

 しかもっ、さっきイったばっかりで敏感すぎるアソコがっ……奏にっ……直接……っ!?

 

「んっ、ひっ、うぅっ……ぁあっ、はっ、うぅぅぅっ!? ゃっ、やだっ、いまっ、びんかんっ、だかっ、あぁぁぁっ!?」

「れっ、ろぉっ……ふふっ、雅が敏感なのはいつものことでしょ?」

「ちがっ、ゃっ、あぁぁぁっ!? やだっ、こんなのっ、やっ、なのっ、にぃぃぃっ!?」

「も〜、ワガママばっかり……そんな事言ってぇ……こことか……好き、でしょ?」

 

 グリュッ……!

 

「ひあぁぁぁっ!? だめっ、そこダメっ、だめっ、だめぇぇぇっ!?」

 

 舌でっ、ナカのイイとこっ、押されっ、てぇぇぇっ!?

 なんでっ、なんで私の弱いとこっ……全部っ、知ってるのよぉっ……!?

 

「レロレロレロっ……ふふっ、そこ、じゃ分からないよ? あ〜、むっ……」

「んぎっ、い゛ぃぃぃっ!? ゃっ、はなっ、んひぃぃぃっ!?」

 

 ガクガクッ!!

 

 急にっ、クリっ、噛まれるのっ、これっ、やばっ、いぅぅぅっ!?

 

「やだっ、あぁぁぁっ!? これっ、ほんとっ、ひぃぃぃっ!?」

「ん〜……んむっ、ぁっ、れろぉっ……」

「舐めっ、だめっ、だめぇぇぇっ!? ぁっ、そこっ、おぉぉぉっ!?」

 

 アソコの表面を優しく舐めたり、ちろっと舌をナカに入れてきたり、かと思えば突然クリを噛まれたり……

 一発目ならまだしもっ、あれだけ派手にイかされた後でっ、こんな激しく責められっ、たらぁっ……!?

 こんなっ、こんなのっ……すぐっ、ダメにっ、なっ、ちゃっ……!?

 

「イクっ、ぁっ、イクっ、イっ、ふぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 ガクガクッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!

 

 思いっきり噴き出した潮が、奏の顔に直撃する。

 けど、奏は嫌な顔一つせず……手のひらで拭って、それを舌で舐めとっていた。

 

「ひっ、あっ、はっ……ぁっ……ご、ごめ……ん……かな、で……」

「謝んないでいいよ? ほら……れろっ……んっ、ぁっ……ふふっ、雅のおマンコ汁……とっても美味しいよ。れ、ろっ……んっ、ぁ〜っ……」

 

 そして一通り満足に舐めきったのか、奏は私のアソコからゆっくりと顔を離した。

 ようやく終わってくれる……そんな幻想を抱く暇は、一瞬足りとも与えて貰えない。

 

「なっ、なにっ……するのっ、よっ……これっ、以上……」

 

 奏はそのまま体勢を変えると……おもむろに私の右脚を持ち上げ、身体に抱え込んだ。

 

「何って……手マンしてクンニして……だったら次は、さ……もうセックスしか、ないでしょ?」

 

 そう言うと奏は……自分で自分の股の布を引きちぎって、アソコを露出させてくる。

 同時に私のレオタードをズラし、再び私のアソコを露出させる。

 

「雅はね、チンポの味なんて覚えなくても良いんだよ」

 

 ……私のアソコと同じくらいぐしょぐしょに濡れたアソコが、ゆっくりと私に近づいてくる。 

 

「だって、こ〜やってぇ……おマンコ同士で、気持ち良くなれるんだから、ね……?」

 

 そして、ズラされたレオタードから露出した私のアソコと、破られた衣装の中から見えている奏のアソコ。

 そのお互いのアソコが……

 

 ……クチュッ!

 

「んっ……ぁっ、あぁっ……!」

「ひぅうっ!?」

 

 重なり合って、途端……知らない種類の快楽が全身に響いてきた。

 当たってっ、るっ……うそっ、ほんとっ、にっ……私とっ、奏のっ、アソコ……重なって……っ!?

 

「んっ……大丈夫、怖がらなくていいんだよ……私が女の子の気持ちよさ……教えてあげるから……ね!」

 

 突然の事に、更に頭が真っ白になってしまう。

 そんな私を促すかのように、奏はいきなり……円を書くみたいに、腰をグリグリと動かし始めた。

 

 グチュグチュッ!!

 

「ひっ、ぁっ……あぁあっ!? なにっ、なにっ、これぇぇぇっ!?」

「あっ、んっ、あっ、あぁっ……! これっ、これがねっ、私と雅のっ、愛の証っ、だよぉっ!」

 

 途端、アソコから全身に強烈な快楽が、まるで電撃のように暴れて広がってくる。

 ……ヤバい、正直舐めてた。

 触手に蹂躙されるより、ぶっとい肉棒に犯されるより……なんでこんなのがっ……遥かにっ、気持ちいいのよぉっ!?

 

「ほらっ、もっとっ、グリっ、グリぃっ……!」

「あぁぁぁっ!? なにっ、なんでっ、ぉっ、くひぃぃぃっ!?」

「あぁっ、気持ち良いっ、雅っ、これっ、気持ち良いよぉっ!!」

「やだっ、やっ、あぁぁぁっ!? おねがっ、離しっ、ひっ、いぅうぅぅぅっ!?」

 

 私と奏のアソコが、水音を奏でながら激しく擦れ合う。

 お互いのヌルヌルが混じりあって、えっちな匂いが……余計に私の頭を混乱させてくる。

 

 グチュグチュッ!! グチュグチュッ!!

 

「擦れっ、クリっ、擦れてっ、きゅうぅぅぅっ!? これっ、だめっ、ほんとっ、ぉっ、おぉぉぉっ!?」

「雅っ、感じてるっ、私のおマンコでっ、んんっ、ぃうっ、ぅっ、あぁっ!!」

 

 ただアソコを擦り合わせているだけ。

 されている事は完全にレイプなのに、挿入がない分、伝わるのはどうしても優しい快楽になってくる。あくまで比較したら、の話だけど。

 だからその最中に突然クリとクリが擦れあうと……それだけで、簡単に強烈な快楽を感じてしまう。

 しかも相手は奏。

 こんな状態の彼女だとしても、私が大好きな相手だってのには変わりがない訳で……

 

 ズリュッ、ズリュッ!!

 

「だっ、めぇっ!? かっ、かなっ、でっ、もう少しっ、ゆっくっ、りぃぃぃっ!?」

「無理っ、だよっ、そんなえっちな顔でっ、煽られたらぁっ……! 私っ、私ぃ……っ!」

 

 絶対に変だって、普通じゃないって分かっているのに……こんな最低な行為に、幸福感すら……感じてしまう。

 もし恋人がいたら、こんな風に感じられるのだろうか……そんな場違いな事すら、頭に過ぎってしまう。

 

 ズチュズチュッ!!

 

「やめっ、もっ、ほんとっ、むりっ、むりだからぁっ!! これっ、イクっ、すぐイっちゃうっ、からぁっ!!」

「雅っ、雅ぃっ! 気持ち良いっ、気持ちいいっ、よぉっ!!」

 

 そしてその間違った幸福感は……私の身体を、更に敏感に仕立てあげてしまう。

 こうなったらもう……こんなに感じるのが媚薬のせいなのか、私の思考のせいなのか……それすら曖昧になって……快楽の渦に、ただただ呑み込まれるだけしか、できない。

 

 ズリュッ、グチュグチュッ!!

 

「あぁっ、はぁぁぁっ!? いっ、イクっ、もっ、イクっ、イっちゃうっ、からっ、ゃっ、はっ、ぁぁぁっ!?」

「イクのっ? いいっ、よぉっ! 私もっ、すぐイクっ、からぁっ! 雅っ、一緒にっ、一緒にぃぃぃっ!!」

 

 そんな、身体も思考もグチャグチャに蕩けた私を見て……奏はラストスパートに入ってくる。

 

 グチュグチュッ!! ズリュズチュッ!!

 

「はげしっ、これっ、あ゛っ、あぁぁぁっ!? やだっ、だめっ、これだめっ、これだめぇぇぇっ!?」

「ぁっ、んんっ!! はっ、ぁっ、いっ、いいよっ、ダメになろっ、ぁあっ!! わっ、私とっ、私と一緒にっ、ダメになろっ、壊れよっ、ねっ、ねぇっ!!」

 

 更に速度の上がった奏の腰の動きに、私も釣られて腰を振ってしまう。

 頭の中がバチバチとショートしたみたいに真っ白になって……だめっ、もう……気持ちいい事しか……考え、られ、ないっ……!!

 

「かなでっ、おねがっ、ひっ、いぃぃぃっ!? ゆっ、ゆるしてっ、もっ、イクっ、ぁっ、あぁぁぁっ!?」

「私っ、もっ、イクっ、イっちゃうよぉっ!! 雅とっ、一緒にぃっ、イクっ、イクぅぅぅっ!!」

 

 そして、抗う意思すら完全に失った私は、奏と一緒に……

 

「イっ、クぅぅぅっ!? ふっ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」

「みやっ、びぃぃぃっ!! ぁっ、はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ガクガクガクガクッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!

 

 同時に仰け反りながら……深い深い、絶頂へと達した。

 お互いに噴いた潮を互いに下半身へと浴び……暖かい幸福感が、更に快楽を増幅させてくる。

 

「はぁっ、はぁっ……んっ……良かった、よ、雅……」

「はっ、ぁっ……ぁっ、ひっ、いっ、ぃっ……」

 

 幸せそうに身体を震わせながら、奏は私の脚を離し、そのまま私の上にのしかかってくる。

 そして頬と頬が重なり、今にもキスできそうな距離感のまま……奏はゆっくりと口を開いた。

 

「お疲れ様、雅……ね、あんな触手とか、チンポとかよりも……私とのセックスの方が何倍も気持ちよかったでしょ?」

 

 そのまま奏は、だらしなく開いた私の脚の間に身体を入れ……頭をギュッと腕に包み込みながら、未だに痙攣が止まらない私のことを抱きしめてくる。

 

「私が雅のこと、大切にしてあげるから……私なら雅のこと……もっともっと、幸せにしてあげられるよ……?」

 

 何度も絶頂して疲労しきった頭に、身体に……奏の声が、染み込んでくる。

 しかも、少しずつ身体の自由が回復してきたからか、なおさら。

 甘く、甘く……私の思考が……ゆっくりと染められていくみたいで……気持ちが、良い。

 

「ね……だから、さ……雅……私を……受け入れて……?」

 

 ……このまま私が受け入れたら、また前みたいに一緒になれるのかな。

 それに……こんなにギュッと抱きしめられたら……私、逃げられない……動けない、よ……

 

 ……動け、ない……?

 

 その瞬間、私の脳裏に閃きが走った。

 ……そうだ……まだ……手はある。

 

「かな、で……」

 

 私は、奏の腋の下から手を伸ばして抱き返す。

 

「……ふふっ、嬉しいな……やっと雅から、私を求めてくれた……」

 

 そんな私を感じてか、奏はとっても嬉しそうな顔で笑っていた。

 ……けど。

 

「……っ、雅っ、まさかっ……!?」

 

 直後、その笑顔は酷く引きつったモノへと急変する。

 ……だとしてもっ、今更慌てたって遅いのよっ!

 未来予知だか何だか知らないけど……こんだけ密着っ、してしまえば……っ!!

 

「……っ、らぁぁぁっ!!」

 

 そして気合いと祈りを込め……私は、身動きを封じた奏の横腹へと、渾身の膝蹴りをぶち込んだ。

 

 ドスッ!!

 

「ぁがっ!?」

 

 奏の悲鳴と共に、柔らかく気持ちの悪い感覚が私の膝を包み込む。

 体勢が悪かったから、本気で蹴っても致命傷には程遠い。

 だけど……奏の力は緩んだっ!

 その隙をついて、一気にスラスター全開。

 そのまま全力で地面を蹴って、背中を地面に擦りながらも急速の背面飛行で離脱する。

 

「っ……雅っ……まだ……私っ、をっ!!」

 

 そんな私を追うように、よろよろと立ち上がる奏。

 抱擁から逃げ出した私を睨む奏の目は、さっきの優しい表情から一転して憎悪に染まっていた。

 あんな目で見られるのは、正直すごく怖い。

 けど……ここで私が助けなきゃっ、奏はずっとあのまま……そんなのっ、絶対に嫌だからっ!!

 

「っ、いい加減にっ、しなさいってのっ!!」

 

 背面飛行の最中に右脚を大きく振り上げ、そのまま地面に叩きつける。

 その反動で力の方向を強引に変化させると、私の身体は勢いのままに、一気に上空へと駆け上がった。

 同時に残っていたもう一本の柄を掴み、刃を発生させながら引き抜く。

 直後、目の前に浮かび上がるのは紅く輝く光の軌跡。

 

「っ、紅刃っ、二式っ!!!!」

 

 そう叫びながら、軌跡を逆からなぞるように刀を振るう。

 すると普段の紅刃なら矢尻のような形に変化する軌跡が、一本の長いラインと化した。

 

「少しくらいっ、痛いの覚悟しなさいよっ、奏ぇっ!!」

 

 そのまま目の前に滞空しているラインに、上段から全力で刀を叩き込む。

 途端、ラインは斬撃となり、高速で奏目掛けて飛翔していく。

 膝下のあたりに向けて放たれた斬撃、直撃したら真っ二つ、だけど……!

 

「この程度でっ、甘いのよ雅っ!」

 

 奏は余裕そうに、ジャンプで斬撃を回避してくる。

 けど、それでいい。

 

「攻撃に幅があれば当たると思った? だから雅はっ……!?」

 

 私の狙いを察してか、はたまた未来が見えたのか、奏の表情が途端に凍りついた。

 

「だからっ、何よ!」

 

 そう、私が狙ったのは奏じゃない……その真下に落ちている、捕まる前に落とした私自身の刀だ。

 斬撃は吸い込まれるように刀に届き、そのまま真っ二つ。

 同時にまだ残っていたエネルギーが暴発し、小規模な爆発を引き起こした。

 

「くぅっ……!? ちっ、姑息な事っ、できるようになってんじゃないのっ、雅っ!」

 

 突如起こった足下での爆発と、さっきの膝蹴りで残っていたダメージ。

 その二つが重なってか、奏の体勢が空中で横に傾いている。

 

「でも残念っ、まだ私は戦えるわ! アンタを調教してっ、忠実な雌犬にするまでっ……」

「無駄口なんてっ、余裕かましてっ!!」

 

 それでも奏は笑いながら、新しい短刀を取り出す。

 ……だけど、斬撃は所詮、布石だ。

 その後の行動準備……してない訳っ、ないでしょうが!

 

「っ、〝烈花・紅龍〟っ!!」

 

 そのまま奏の着地予測地点、その少し手前に目掛け……私は烈花・咲爆の投擲版を、槍投げのように放つ。

 烈花・咲爆は敵に刀を突き刺し、その状態で刀にエネルギーを過剰に流し込んで暴走させることで、爆発を起こしてダメージを与える技。

 向こうは起爆直前までエネルギーを流し込めるから爆発範囲も威力も高く、逆にこっちは投擲する仕様上、威力は当然向こうには及ばない。

 だけど今回の目的なら、こっちの方が都合がいい。

 そしてスラスターみたいに推力を生み出せる装置が付いていない奏には……空中での回避行動はっ、無理でしょっ!!

 

「こっ……のっ……!!」

 

 今更身体を捻ったところで、体勢に影響は微々たる程度。

 そんな状態で、奏が避けられるはずもなく……エネルギーを暴走寸前までパンパンに詰め込んだ刀は、ケーキに入刀でもしたみたいにヌルッと奏の目前に突き刺さり……その衝撃で、刀は大爆発を引き起こした。

 

「がっ、あ゛ぁぁぁっ!?」

 

 直後、悲痛な悲鳴をあげながら、爆音と土煙に呑み込まれる奏。

 正直、ここでもう止めたい……けどっ、まだっ、終わってないっ、からっ!!

 

「はぁぁぁっ!!」

 

 スラスターを反転させ、重力の力も借りながら私は急降下を仕掛ける。

 あっという間に目標速度到達、その速度を維持したまま……私は、一つの場所を想い浮かべる。

 その瞬間、私の視界は一瞬だけ黒く染まり……

 

「っ……!!」

 

 直後、私の身体は、奏の目の前への瞬間移動を終える。

 

「くっ、舐めないでよっ、雅っ!!」

 

 いくらダメージを受けても血が出ない私と違い、旧式の変身システムを使っている奏の身体は既に傷だらけだ。

 それでも最後の足掻きとばかりに、奏は空中で無理やり、左腕を振り回して殴りかかってくる。

 

「舐めてんのはっ、アンタでしょうがっ!!」

 

 それを右の盾で防ぎ、更に距離を詰める。

 

「ちっ!!」

「このっ……いいっ、加減……っ!!」

 

 それでもまだ奏の足掻きは止まらず、短刀を持った右手を振りかぶってきた……が、それも左の手刀で薙ぎ払い、強引に道をこじ開ける。

 

「ぁぐっ!?」

 

 短い悲鳴と共に、奏の手から短刀が離れた。

 ……これで、奏を守るものは何も無い。

 ギュッと右手の拳を、強く握る。

 同時に地面に脚を踏みしめ、移動の慣性を全て私の腕へと伝達させる。

 そしてそのまま、ガラ空きになった奏のお腹に……

 

「帰ってっ、来なさいよっ!! 奏ぇぇぇっ!!」

 

 今までの想いを込めた渾身の拳を、叩き込んだ。

 

 ドチュッ!!

 

「お゛ごっ、あ゛っ……が……っ!?」

 

 私の拳がお腹にめり込み、奏の脚が地面から浮き上がる。

 

「ら゛っ、あ゛ぁぁぁっ!!」

 

 そしてそのまま……トドメとばかりに、私は全力で拳を振りぬいた。

 

「ぁ゛……っ!?」

 

 耳に突き刺さる、奏の短い悲鳴。

 直後、奏の身体は殴り飛ばされ、低い放物線を描く。

 勢いのままに奏は何度も地面に打ち付けられ……やがて激しく噴き出す土煙に包まれ、彼女の姿が見えなくなる。

 

「……っ、は……っ、ぁっ……はぁっ……」

 

 起き上がって飛びかかってくるか、土煙の中からの投擲か、はたまた別の見知らぬ攻撃か……

 来るかもしれない反撃に備えて、私は重たい腕を上げて盾を構え続けた。

 そのまま何秒か警戒を続ける、と、次第に土煙が薄くなっていく。

 その中には……仰向けに倒れた、一人の少女の姿。

 

「……っ、はぁっ、はぁっ……っ……っ、は、っ、ぁっ……っ……かっ、かなっ、でっ……!!」

 

 息を切らしながら、私は奏の元へと駆けつける。

 もう不意打ちの可能性とかどうでもいい。

 今はとりあえずっ、奏の容態を……!!

 

「奏っ、奏っ……!!」

 

 倒れている奏は、最後に会った時に着ていた私服姿のまま。

 ってことは、多分さっきのダメージで変身は解けてて……仕組みが変わってないなら、意識も、回復能力も無くなってて……

 頭によぎる最悪のケースを首を振って吹き飛ばしながら、慌てて彼女を抱き上げた。

 と……ほんのりと温かい、彼女の体温が私の腕に伝わってくる。

 そのまま右手を奏の左胸に当てると……ドクンドクンと、奏が生きている証が感じられる。

 

「……良かったっ……まだ……大丈夫……」

 

 ……あの時は夢中になってつい全力で殴っちゃったけど……表面上は問題ないなら、今のところは安心だ。

 

「……っ、ぐっ、ぅ゛ぅっ……」

 

 ……安心してアドレナリンが切れたからか、今更になってようやく最初の方に刺された傷の痛みが、背中の方から溢れ出してくる。

 

「っ、はぁっ……はぁっ……ふーっ……っしっ……」

 

 けど、この程度……大丈夫、何ともない。

 今はとりあえず、奏を安全な所に運ぶのが最優先。

 場所は……まぁ、私の部屋でいっか。

 どうせアルクもいるだろし、それならいざって時にも何とかなるでしょ、多分。

 

「さ……帰ろっか」

 

 幸い、片道飛んで帰るくらいのエネルギーならまだ残っている。

 私は奏をお姫様抱っこで持ち上げると、ゆっくりとスラスターに着火した。

 そしてなるべく優しく地面を蹴って、安心できる我が家への帰路へと着くのだった。

 

--To be Continued--

 




奏の新しく得た能力と、快楽の誘惑。
その二つを乗り越えた末になんとか勝利を手にし、奏を取り戻すことができた雅。
しかし、そんな一抹のハッピーエンドの裏では……

次話も引き続き、楽しんで頂ければ幸いです。
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