神姫清廉オルレアハート!-乱行恥虐のスペクトラム- 作:ホリス_if
洗脳された奏の沈静化に成功し、ひとまず一緒に帰宅したオルレアハートこと春永雅
当然の如く部屋にいるアルクに奏の事を任せ、久々に平和な学園へと登校しようとする、のだが……
今回のシチュエーションはスタンダードな触手陵辱です
それでは今話もお楽しみください
「っと……」
変身の解けた奏を抱き抱えたまま、私は自宅の扉の前へと降り立った。
「……ただいま」
開けっ放しにしていた部屋の扉を開け、誰もいないはずの……
「やぁ、おかえり雅君。お疲れ様」
……誰もいないはずの私の部屋から、何故かアルクの返事が聞こえてくる。
「……なんでいるのよ」
「おや……あんな戦闘の後だ。どうせ私がいる前提だと思ったのだがな」
「……はいはい、ありがとさん」
「素直じゃないな」
「うるさいわね」
へらへらと笑うアルクを尻目に、私は自分のベッドに奏をそっと寝かせる。
そして私が奏から離れると、入れ替わるようにアルクがベッドに腰を掛けた。
珍しく心配でもしてるのかな……なんて思ったのも束の間。
「さて、と」
アルクが手をベッドに手を押し当てた、その瞬間……布が擦れるような音が、大音量で部屋の中に鳴り響いた。
「うわっ!?」
驚いて引いていると、次第に目の前のベッドの周囲から、黒い帯のようなモノが大量に生えてくる。
そしてあっという間に、カプセルみたいに奏ごとベッドを覆い尽くしたのだ。
「ちょっとアンタっ、何すんのよっ!?」
突然の蛮行に思わず声を荒らげてしまう。
そんな私の声を前に、アルクは煩いと言いたげに指で耳を塞ぐ。
「何ってなんだ」
「なんだじゃないでしょ!! どうするつもりよ奏を!!」
「どうって……あのな」
感情のままに騒ぐ私に、呆れたような視線を向けながらため息をついてくる。
「さっきまであんな状態だったんだぞ。変身が解けているとはいえ、自由にしておくのは危険だ」
「だからってここまでガッチガチにする必要ないでしょ! それにベッドどうするつもりなのよ!!」
「勘違いするなよ、全ては君の為だ。こんな事で君を失う訳にはいかんのだよ。あくまでも保険だよ、保険」
「っ、こっ、のっ……好き勝手……っ!」
何を当たり前の事を……って視線を向けてくるアルク。
ちょっとカッとなって、すぐに冷静になるよう深呼吸を一つ。
……コイツと関わるんなら、この程度で一々イラついてたら絶対身体が持たないし。
「……はぁ、まぁいいわ。変なことするつもりじゃないでしょうし」
「うむ、分かればいいんだ、雅君」
……やっぱりコイツ、もう一度殴っても許されるんじゃないかな。
「じゃ、奏君はしばらく預かっていくよ。代わりのベッドはコイツを使うといい」
そんな私の様子を気にもとめず、アルクが何処かから取り出したのは、野球ボールくらいのカプセル。
それをポンッと放り投げると、カプセルは小さく爆発して……
「ほら、これで満足だろう?」
あっという間に、それはベッドへと姿を変えた。
変えた、んだけど……
「……ね、それ本気で言ってる?」
「無論、不満か?」
「……逆になんで不満じゃないと思った訳?」
そのベッドは漫画の豪邸でお姫様が使っているような、天井ギリギリの高さの天蓋のついた、どデカいシングルベッド。
それがしかも、部屋のど真ん中に。
いくら何でも、普通のマンションの一部屋にはミスマッチすぎるし……何より生活動線が完全に殺されている。
「……ワガママだな、君は」
「ねぇ、もう少し違うのは……」
「あぁ、そうだ」
私の苦言を遮るように、アルクから小さなモノが放り投げられる。
それをキャッチして見てみると……それは、本来奏が変身する時に使っていたペンダントだった。
「そろそろ返しても良いと思ってな。今の君なら、前以上に覚醒を使えるはずだ」
「……そりゃどうも」
とは言っても、変身したままの私にはそれを収納する場所はない。
ただ、左手で奏のペンダントをギュッと握る。
「それじゃ、一旦私は戻るとするよ」
そんな私を流し目に、再度アルクは奏の眠っているベッドに手を触れる。
すると……瞬きの間に、彼女の姿はベッドと共に消え去っていた。
残されたのは周囲とのギャップが激しいベッドに奏のペンダント、そして私だけ。
「……アイツ……いっつも好き勝手だけして……」
……仕方ない。
今日は尋常じゃないくらい疲れたし……早めに寝よう。
残されたベッドの上に座り込むと、私は変身を解除した。
私の身体を光が包み……程なくして肌に触れる衣服の感触が、ピッチリとしたレザーに似た感覚から、気慣れた化学繊維の感覚へとシフトする。
同時に、身体にズシッとのしかかる疲労感。
一瞬でまぶたが降りてきて、重力のままに背中からベッドに倒れ込む。
スマホはポケットだし、髪とかボサボサになりそうだけど……まぁ、いいや。
にしてもこのベッド……寝心地いいな……
眠る前特有のゴチャゴチャとした脳内に逆らわず、微睡みに身を任せて……そのまま、私の意識は、ゆっくりと闇の中へと落ちていくのだった。
……
……
そして、翌日。
「んっ……んんっ……」
私は、ベッドの上で目を覚ました。
「ふ、あぁぁぁ……」
目を擦り、大きくあくびをして、ポケットから取り出したスマホの画面を見る。
時間は……午前の七時前。
ちょうど、このまま準備して学校に向かっても全然間に合う時間だ。
「…………」
そのままボーッとする頭に任せて虚空を見つめること数秒。
「……はぁ」
ため息を一つ吐き出し、再びスマホの画面を見る。
……そういえば、最近アラームかけてないな。
何の気なしにスマホを枕に投げつけると、少し前までは毎朝聞いていた、ポスッと軽い音が生まれる。
もしあの時、変身なんてしてなかったら私は……
「……っ、やめやめっ!」
なんて頭を過ぎった邪念を、思いっきり首を振って振りほどく。
今さら昔の事を考えたって仕方ないし……そうしなきゃ奏を守れなかったのも事実。
そして……それもこれも、全部アイツらが来たからだ。
前みたいに人前ではわざと私に負けていたのと違って、最近では直接的な被害も出ている。
特に、昨日の大きな鎧みたいなヤツ。
クレーターができるほどの火力を、平然と街中でぶっぱなすまでなっているんだ。
このまま放っておいたら、もっと過激になるのだって時間の問題。
こんな戦い……いい加減、早く終わらせないと。
そんな決意を新たに、私は数日ぶりに制服へと袖を通す。
カバンを取り、玄関でローファーを履き、立て掛けてある竹刀袋を肩に担ぐ。
「っと、そうだ」
そこで一つ思い出し、一旦部屋の中に引き返す。
そしてベッドの上に置いてあった私と奏のペンダントを、スカートのポケットの中に押し込んだ。
「……よしっ」
アルクに連れていかれた奏の事は心配だけど……今のアイツなら、信頼しても大丈夫だろう。
だから、今の私に出来ることは……頭を切り替えて、少しでも日常の雰囲気を取り戻すこと。
それに何より、また久々の登校になるんだ。
変な目、向けられなきゃいいけど……ま、それも行けば何とかなるか。
「じゃ、行ってきます」
誰もいない部屋に背を向け、玄関の扉を開ける。
ここから先の私は、優等生の春永雅。
なるべく先生に目をつけられないように、平和な一日を送るぞ……!
……
……
「あ〜……春永、ちょっといいか?」
……そんな私の平和な一日は、私を呼び止める一人の教師によって、校門をくぐって早々に崩壊した。
「……げ、弓口先生」
「……あのな、仮にも担任に対して開口一番に、げ、とはなんだ。げ、とは」
手に持ったバインダーで私の頭を軽く叩きながら、呆れたようにため息をつく。
そんな彼女は、私のクラスの担任である弓口先生。
いっつも黒髪ショートのパンストスーツとかいう、いかにもクールビューティな女教師って雰囲気、なんだけど……如何せん色々と自由というかガサツというか……
おかげで彼氏ができてもすぐに別れて、未だに独身生活を続けているらしい。
……本人にそれを言ったらすっごい怒るから、冗談でも絶対に言わないけど。
「まぁいい……春永、今から理科準備室まで来てくれるか?」
「……今から、ですか?」
「あぁ、今からだ」
「で、でも良いんですか? クラスの人達、先生来なかったら困惑するんじゃ……」
「安心しろ、朝のホームルームは無しって黒板に書いといた」
……この人、変なところで手が早いな。
もしかして最初から狙われて……うげっ、面倒くさっ。
「……おい、顔に出てるぞ」
そんな私の頭を、再度バインダーでペシっと叩く弓口先生。
「んじゃ、私は先に行ってるからな。逃げるなよ、春永風紀委員長殿!」
そしてアナログの腕時計を一瞥した先生はそれだけ言い残すと、小走りで校舎の方へと走って行ってしまった。
「……はぁ……」
……朝から面倒なことになったもんだ。
でも、まぁ……当たり前かぁ……何日も休んでたのは事実だし……事情も知らなきゃ、怒るのも無理ないよなぁ……
……はぁ……ヤダけど……仕方ないかぁ……
そうして私は義務感に流されるがまま呼び出しに応じ、クラスに行く前に理科準備室へと足を運ぶのだった。
……
……
「……はぁ」
本日早くも何度目かのため息が、勝手に口から溢れ出る。
それでも言われるがまま来てしまった、理科準備室の扉の目の前。
正直面倒だし、すっぽかしたくないと言えば嘘になる。
けどあの人、怒ると恐いし……ここで逃げた話が広まりでもしたら、今まで築き上げてきた私の真面目で清楚なイメージが全部パーだ。
それに戦いと違って命の危険も犯される心配もないし……仕方ない、覚悟決めよっ。
コンコンッ。
「おう、どうぞ」
扉を軽くノックすると、奥から先生の返事が聞こえる。
「失礼します」
そう声に出しながら扉をスライドさせれば……部屋の奥にある机の前で、脚を組んで椅子に座っている先生の姿があった。
「おう、ごめんな急に呼び出して」
「いえ……だいたい予想はついてますので」
「そうか? まぁいいや。とりあえずそこに座って」
指で指されて指名されたのは、壁に沿って置かれた古びたソファー。
私は指示のままに、そのソファーにゆっくりと腰を掛けた。
「コーヒー飲むか? 砂糖入れる?」
「お願いします、たっぷりで」
「はいよー」
窓から注がれる穏やかな日光を背に、先生はビーカーで作っていたコーヒーをマグカップへと入れ始める。
「ほら、熱いから気をつけろよ」
「ありがとうございます」
手渡されたのは熱々のコーヒーが並々と注がれた、白地にピンクのハートがあしらわれた可愛らしいマグカップ。
「……そんなジロジロ見るなよ」
「へへっ……すみません、つい……頂きます」
先生は深煎り苦めのコーヒーを啜った私を見て、まぁいい、と呟く。
そして少し迷った風な顔を見せながら、やがて私の隣に立ったままでゆっくりと口を開いた。
「春永……お前、最近大丈夫か?」
「……大丈夫……とは……?」
予想していた厳しい言葉とは打って変わった、優しい声色の発言に、思わずキョトンとしてしまう。
「その、な……最近ハウンズとかいう物騒なヤツらがニュースで騒がれているじゃないか。それに昨日の爆発事故といい……色々と危ない話が日に日に増えてる」
そんな私に気を使ってか、更に優しい口調で弓口先生は話を続ける。
「オマケにオルレアハート? とかって、その……中々際どい格好しているヤツまで出てきているじゃないか。ネットでもちょくちょく話題になっているし」
……際どい格好なのは薄々気がついていたけど……面と向かってそう言われるのは、その……結構恥ずかしいな、これ。
でもそれで察されても困るし……ここは我慢、我慢だ、私。
「そんな中で急に優等生だった春永が何度も欠席を繰り返しているんだ。心配なんだよ。先生としてじゃなくて、私個人としてな」
……うん、乱暴だしガサツだけど、良い先生なんだよな。
「なんでもいい。もし私で良かったら相談してくれないか? できる限りの協力はするし、話の内容だって誰にも言わないから」
でも……だからこそ、正直に話す訳にはいかないんだよなぁ……
けど、雑な返しはかえって不信感を煽っちゃうかもしれないし……どうしよ、どうするのが正解かな……
……そんな真面目な思考をグルグルと回し、なんとか正解を導き出そうと試みる。
だが……ここで一つ、問題が発生してしまう。
「……春永? お〜い、大丈夫か、春永〜?」
……ヤバいな、少し眠くなってきた。
最近よく眠れてなかったのかな……朝一に真面目な話が始まったからかな……
「ったく、珍しく真面目な話してやってんのにお前ときたらホント……って……あれ……」
でも完全に善意で話をしてくれている手前、居眠りなんてする訳にはいかない……んだ、けど……
「……マズいな、私も眠くなってきたぞ……あ……これ……ヤバ……」
ドサッ……。
あれ……先生……倒れた……先生も……眠た、かった……のか……な……
まぁ……いいや……
先生も……寝たんだし……私、も……少し……だけ……
ドサッ……
……
……
「んっ……んんっ……」
……あれ、私……何、して……
あ、そうだ……先生に呼び出されて……話聞いてるうちに寝ちゃって……それで……
未だ残っている眠気に抗い、目を擦りながらゆっくりと上半身を起こす。
まばたきする事二度三度、霞んでいた視界が徐々に鮮明さを取り戻していく。
そして……
「……、……っ、っ!?」
完全に戻った視界に映る世界の姿に、私の口は上手く言葉を発してくれなかった。
さっきまで注がれていた穏やかな日光はその一切を遮断され、代わりに見えるのは窓を覆い尽している、どす黒い赤色の触手。
しかもよく見ると窓だけではない。
床も、壁も、周囲の全てがまるで化け物の巣窟だと言わんばかりの触手で埋め尽くされていたのだ。
「なっ……なにっ、よ……これ……っ!?」
ようやく吐き出せたのは、意味の無い戸惑いの言葉。
慌てて扉があった場所に駆け寄り、触手に包まれた扉だったモノを力任せに開く方向へと引っ張る。
「ぐっ……うっ、う゛ぅぅぅっ……!!」
……だが所詮、私の素の力なんてたかが知れてる。
どれだけ体重を乗せて引っ張っても、扉はビクとも動かない。
「はぁっ、はぁっ……くっそっ……!!」
息を切らしながら扉から離れると同時に、横目でチラッと後方を確認。
……大丈夫、まだ先生は倒れたまま、見られる心配はない。
あんなグロい触手の上に寝転がらせたまま放置するのは、流石に可哀想だとは思う。
けど、この緊急事態……四の五のなんてっ、言ってられないっ!!
「だったら……!」
いきなり覚醒を使ってもいいけど……あれは体力の消耗が激しいから、目標か定まっていない今の状況で使うのは少々リスキーだろう。
なら、ここは……!
「っ、よしっ!」
私はポケットから自分のペンダントを取り出し、目の前に掲げる。
……想い描くは力に満ちた、青と白の可憐な姿。
そして鮮明に浮かべたその姿を、自身に憑依させるイメージをっ、一気に解き放つ!!
「行くよっ!!」
気合いを込め、ペンダントをグッと握った瞬間、私の全身を眩い光が包み込む。
そして一秒にも満たない瞬間に光は弾け飛び……私は、オルレアハートへと変身を遂げた。
「っだぁぁぁっ!!」
変身後そのまま間髪入れず、扉に向かって全力の飛び蹴り。
瞬間、触手に覆われた扉が鈍い破裂音と共に吹っ飛ばされる。
同時に私の身体も理科準備室から飛び出す、が……
「……うっ、わ……キモっ……」
その先に広がっていたはずの廊下すら、今は一面触手まみれ。
それに着地と同時に足元に感じたグニュッとした感覚に、周囲に広がる薄くも甘ったるい臭い。
見慣れたはずの校内は……寝ている間に触手に丸呑みされていて、ここは化け物の体内だと言われても納得しちゃいそうな程に、不気味な空間と化していた。
「……んな事っ、言ってられないか」
けど、事態は一刻を争う。
この調子じゃ中にいる人たちは全員眠らされているだろうし……それに、クラスだって触手まみれになっているのはほぼ確実だろう。
……見知った顔をあの空間に長時間放っておくのは、流石に私の良心が痛むってもんだ。
「……ふっ!!」
その時、突然横の柱から、触手が私の顔面目掛けて突っ込んでくる。
それに対し、咄嗟に腰のスラスターから柄を引き抜いてクリアグリーンの刃を展開。
そのまま襲いかかってきた触手に一閃、居合い切りのように、思考の片手間で斬り払う。
「……っぶないわね」
……よし、触手の強さはいつもと変わらない。
あの速度に硬度、今の私なら正面から戦えば確実に勝てると断言できるレベルだ。
なら後は、元凶を見つけて処理してやればいい。
もし原因が外にあるなら、その時はアルク達がなんとかしてくれるだろうし……私はこの中で、怪しいモノを探す事にしよう。
多分変身した今の私なら、校舎をみじん切りにして、そっからしらみ潰しに犯人探し〜とかできそうだけど……それは流石に、倫理的にダメな気がする。
なるべく校舎に被害を出さないように立ち回りながら、それでいて速攻で事件解決、それができればベストだろう。
それに……
「……相変わらず良い趣味してるわね、アイツら」
……わざわざ私が動く必要も無くなったみたいだし。
というのも私の力に引き寄せられたのか、徐々に私の四方八方から、ワラワラと触手が集まってきたのだ。
まるでイソギンチャクの森の中みたい、なんて言ったら幻想的だけど……実態はただの、気持ちの悪いウネウネの集まり。
「……で、どうしよっか」
しかし、コイツらを全部斬ってまわるのはあまりにも現実的じゃなさすぎる。
グローブを指で軽く引っ張りながら、少しでも情報を得る為に、私を囲む触手の群れをぐるりと見回す。
……と。
「……?」
触手の壁の隙間から、チラリと気になるモノが見えた。
それは周囲の触手とは異なる、台形のゼリーみたいな形をした肉塊。
しかも……てっぺんの方から、噴火みたいにガスらしき気体を噴出しているのだ。
間違いないっ、元凶は……
「っ、お前かっ!!」
半ば反射的に地面を蹴り飛ばし、肉塊の方へと突撃を開始する。
瞬時にスラスター全開、突撃しながら抜刀していた得物を袈裟斬り、左一文字、逆袈裟と操り、触手の壁に通路を作る。
肉塊もそれに気がついたのか、触手の上を滑るように逃走を始めた。
「このっ、逃げるなっ!!」
スラスターの推力に任せて身体を浮かせたまま、方向転換は壁キック。
そんなヒーローアニメみたいな挙動で廊下を疾走しながら、時折天井や壁から伸びてくる触手を追跡の片手間で斬り裂き続ける。
「っ、このっ、ちょこまかっ、とっ!!」
触手に阻まれているとはいえ、元は勝手知ったる校内。
触手を斬りながらの突撃だとしても、肉塊との距離は少しづつ縮まっている。
時折肉塊の吐き出したガスの塊が直接顔に当たって鬱陶しいけど、だからって止まるわけにはいかない……ここは我慢だ。
器用に階段を登る肉塊を追いかけ、突き当たりの壁を蹴り飛ばしての連続急ターン。
「邪魔っ、だってのっ!!」
道中で邪魔してくる触手には身体が触れないよう、なるべく刀のリーチギリギリで斬り払って進路を確保。
触手の残骸が積もった後ろを振り返ることなく、できる限りの速度で肉塊に突撃していく。
だけど……タイムリミットが刻一刻と迫ってきているのも、身体は勝手に理解してしまう。
「っ、くっ……」
急な目眩に襲われ、一瞬空中での軌道が乱れる。
……マズいな、少し頭がクラクラしてきた。
それに、なんだか身体が熱い。
流石に変身しているといっても、この校舎に広がるガスの影響は防ぎきれないか。
……だとしても、影響が出てくるのが思ってたよりも遥かに早い。
早いとこ決着つけないと……
そう一瞬意識を逸らした、その瞬間だった。
ガシッ!
「うわっ……!?」
素直になった軌道の最中を狙われたみたい。
私の右の足首に触手が巻き付き引っ張られ、空中でバランスが崩れる。
油断してたっ……集中しろ雅っ、ここは敵地だっ!!
「こっ、のぉぉぉっ!!」
咄嗟に足先ギリギリを掠めるように刀を斬り上げ、巻きついてきた触手を切断。
「っ、はぁぁぁっ!!」
同時に両手首の盾から刃を展開し、その勢いのまま、空中で横に一回転。
全周囲から私を拘束しようと襲いかかってきた触手の群れを、一瞬で肉片に還してやる。
「っとっ!」
回転に使った運動エネルギーを、スラスターの噴射方向を微調整して相殺。
軽くホバリングしながら体勢を整えてから近くの壁を蹴り、加速をつけて再度追跡を開始する。
「……ちっ……!!」
……流れるような動きで処理できた自信はある。
けど、肉塊から距離かできてしまったのも、また事実。
ここからまた妨害をくぐり抜けながら距離を詰め直すのは正直骨が折れるだろう。
「……ならっ!」
……校舎の構造が変わってなければ、この曲がった先の廊下は一方通行。
そして突き当りにあるのは、多目的室だけ。
追跡中に扉を開けて道中の教室に逃げ込む気配も無かったし、それを今から変えるとも思えない。
それに……ガスもかなり吸っちゃったから、もうそれほど時間をかけられるほど余裕は残っていないし。
だったら……試してみるしかないでしょ!
「……っ、一かっ、八かっ!!」
順手で握っていた刀を、瞬時に逆手に持ち替える。
そして、高速で移動したまま、刀を槍投げのように構え……
「いっ、けぇぇぇっ!!」
肉塊のど真ん中目掛けて、刀を投げ込む。
私の手から解き放たれたクリアグリーンの刃は、空中で一直線の軌道を描き、目標へと目掛けて飛翔する。
邪魔しようと壁やら床やらから飛び出てくる触手も、ビームの刃に触れた瞬間、その部分だけ跡形もなく蒸発していく。
結果、刀は一切のブレなく最短距離を飛翔し続け……やがて肉塊のど真ん中を、ぶち抜いた。
「っ、しっ!」
着弾と同時に、周囲の触手らも沈静化したようで、一斉に力なく地面へとボトボト落ち始めた。
その様子を確認しながら、もう片方のスラスターから更に柄を引き抜き刃を展開。
死に際に放たれる万が一の攻撃に備え、正面に刀を構えて警戒しながら肉塊へと近づいていく。
肉塊にまだ動きはない事を確認。
そのまま、肉塊に刺さったままの柄を掴んで一気に引っこ抜く。
爆発とかは……特になし。
「……ふぅ」
とりあえず……一安心かな。
警戒用に取り出した刀の刃を消滅させて、左側のスラスターに柄を収納する。
「……にしても、か」
肉塊に半ば連れてこられたこの、多目的室の前のスペース。
明らかに……通ってきた他の廊下と比べてガスの臭いが濃い。
さっきの肉塊がハズレなら……ここが本拠地だろうか。
わざわざこんな居場所を教えてくれるような逃げ方をするなんて……
もしかして、私をここに誘い込むのが目的、だったり……
……いや、時間がないんだ。
罠かもしれなくても……触手程度、今の私には恐れるに足らないってヤツよ!
「っ、らぁっ!!」
勢いよく扉を蹴り飛ばし、強引に室内への道を作る。
瞬間……迎撃とばかりに、大量の触手が私目掛けて突っ込んできた。
でも大丈夫、いくら湧いて出てきても所詮は触手。
この程度、一瞬で……
……ガクッ
……蹴散らせるはず、だった。
「う、そっ……!?」
……突然、膝から力が抜ける。
手脚が痺れ、刀が指から溢れ落ちる。
まさかっ、ガスっ、吸いすぎ、て……!?
ドスッ!!
「ぉごっ!?」
困惑する私のお腹にめり込む、一本の触手。
お腹に穴が空いたと錯覚する程の激痛と共に、私の身体が軽く宙に浮く。
「ふっ、ぐっ、ぁ゛……!!」
痛みに呻きながらも、せめて次の追撃のダメージを少しでも減らそうと肩と腕を総動員して、なんとか両腕の盾を構えようとする。
正面には相変わらず大量の触手が、私に向けて飛んできている。
けど、次の殴打は飛んでこない。
その代わり……触手らはシュルシュルと、私の手脚に巻き付いてきた。
予想していなかった拘束攻撃に、今の私の身体では反応が追いつかず……
ガシッ!!
「ぁぐっ!?」
巻き付いてきた触手に手脚が縛り上げられ……呆気なく私の身体は、空中で大の字になるように拘束されてしまうのだった。
「っ、ふっ、ぐっ……ぐっ、苦っ……し……っ……」
部屋の入口に磔にされるように拘束された私。
そんな私の目の前には……この騒動の元凶だと思わしき敵が、多目的室の中央に一体。
そこに〝ある〟のは、床と天井を繋いだ、一本の大樹と見間違うほどの大きさを持った肉の柱だった。
「っ、こっ、のっ……はな、せっ……」
でも……まだ私は生きてる……負けてない……
ガスの効果さえ切れれば……こんな触手程度、簡単に斬り伏せてやれるのに……っ!!
そう、まだ私の闘志は消えていなかった。
そんな私の心を折らんとするみたいに……目の前に突きつけられたのは、他と少しだけ見た目が違う一本の触手。
それがムワッ……と臭気を放ちながらまるで花みたいに、先端をパックリと開いてきたのだ。
「ひっ……!?」
そんな私の顔に、触手はゆっくりと近づいてくる。
思わず短い悲鳴が漏れ、臭気に顔を背けてしまう。
……その瞬間だった。
「や……やめっ……むぐっ!?」
口と鼻に覆い被さるように、ぱっくりと開いた触手が私の顔にへばりついてきたのだ。
マズいと思い引き剥がそうとするも、触手は私に抵抗する暇を与えてくれず……
「んぶっ!? ん゛っ、ん゛ぅぅぅっ!?」
直後、私の鼻と口に流れ込んでくる大量のガス。
チョコレートとシロップと生クリームを無理やり煮詰めたような、気持ち悪いほど甘ったるい臭い。
否応にも嗅覚が支配され、嫌悪感が一気に押し寄せる。
けど、こんな状態では息を我慢するにも限度があって……我慢できたのもほんの一瞬、あっという間に得体の知れないガスを、肺の中にたっぷりと吸い込んでしまう。
「う゛ぇ゛っ、ごほっ!? ぉぶっ、ん゛っ、う゛ぅぅぅっ!?」
吐き出しても吐き出しても、ガスが流れ込んでくる。
手脚の痺れが更に強くなってきて、血が沸騰してんじゃないかと思うくらいに身体が熱くなってくる。
「っぶっ、お゛ぇっ、ごほっ、ぶっ、う゛っ、ぁ゛っ、お゛っ、う゛っ!!」
目一杯のガスを吸わせたと判断したのか、私の顔を覆っていた触手が離れていく。
同時に、できる限り肺の中のガスを、唾液混じりに嘔吐いて身体の中から追い出す。
しかし、その程度では当然、身体に起きた異変は治らない。
それに、私は嫌という程知っている……これで終わるほど、ヤツらは甘くないのを……
「う゛っ、え゛っ……」
涙目になりながらも、なんとか前方の肉柱を見ようとした……その瞬間、私の脳内にはアラートが鳴り響いた。
涙で滲んだ視界の先……そこには既に、大きくしなった触手が、私に向かって振るわれていたのだ。
これ……狙いはっ、お腹……!?
だけどいくら狙いが分かっても、この状態じゃガードなんてできなくて……
ドスッ!!
「う゛ぶっ!?」
されるがまま、おへその少し下に、鞭のような触手の一撃がめり込んだ。
「っ、つ゛っ、がっ、あ゛っ、がぁっ……!?」
お腹の上から子宮を押し潰され、思わず苦悶の声を上げてしまう。
だけど、一発だけじゃ終わらない。
ドスッ、ドスッ!!
「ぉぶっ!? ぅぶっ、ぁっ、がはっ……!!」
続けて数発。殴られたのは、またもや同じ下腹部。
すっごく痛い……けど、それよりも気になるのは、殴られた場所に感じる違和感。
痛みとは違う感覚が……ジンジンと、下腹部の、しかも身体の中から込み上げてくる感覚がある。
……でも、そもそもこんな得体の知れないガスを大量に吸わされてるんだ、違和感くらい出ても当然だろうし。
……この程度、特に気にするレベルじゃないはず。
それよりも、この状況をなんとかしないと……!
ドスッ、ドスッ、ドスッ!!
「ぅあ゛がっ!? ぁぐっ、ふぐっ、ぅあ゛っ!?」
殴られた所に広がる、痛みと熱さ。
相変わらず変な感じだけど……大丈夫、耐えられる。
……そして、そんな微かな違和感を覚えてから、十三発目の殴打。
その一瞬の油断から……私は、敗北の落とし穴へと突き落とされる事となる。
ドスッ!!
「お゛っ、んぎっ!? あぐっ、ふっ、ぐふっ……ぁ゛……!?」
……初めに感じたのは、殴打と同時に伝わってきた、脳が痺れるような感覚。
ドスッ、ドスッ!!
「ぉぶっ!? っぐっ、ぁぎっ、い゛っ、う゛ぅっ!?」
腹パンの回数が増す毎に、段々とその痺れが強さを増していく。
ドスッ、ドスッ!!
「ぁがっ!? ぉ゛っ、ぐぅぅぅっ……!? ぅっ、がはっ!? ぁ゛っ、あ゛っ、がっ……!?」
やがて明確に、その痺れの回路が、頭に理解させられてくる。
今感じているのは……お腹の上から殴られた子宮が感じてる故の……〝快楽〟なんだと。
ドスッ、ドスッ!!
「ぁぎっ、い゛っ、あ゛ぁっ!? ぁっ、はっ、ぐふっ!? ぉ゛っ、う゛ぅっ……!?」
さっきっ、からっ……なにっ、これっ……!?
お腹のっ、子宮の辺りからっ、なんかっ、気持ちいいのがっ、段々っ、のぼって……!?
ドスッ、ドチュッ!!
「待っ、てっ、ぇぐっ!? ふっ、ぅうっ、くぅっ!? これっ、ぉふっ、ぁっ、ぉ゛ぐっ!?」
何されたっ、わかんないっ、けどっ……これっ、ヤバっ……子宮っ、直接……感じっ、させられっ、てぇっ……!?
ドスッ、ドスッ!!
「ふぐっ、うがっ!? ぁっ、ぎっ、う゛ぅっ!? ぅっ、がっ、ぁっ、ひっ、ぐっ……!?」
っ、まさかっ、子宮ばかり殴ってたのってっ、最初っからっ、これっ、がっ、狙っ、いでっ!?
ドスッ、ドスッ!!
「お゛ぐっ!? ぉ゛っ、がはっ!? ぁっ、ぎぃっ!?」
やだっ、やだやだやだっ!!
こんなのでっ、こんなのでイキたくないっ!!
お腹殴られてイっちゃうなんてっ、そんなの私っ、変態っ、みたいじゃ……っ!?
募る焦燥感。
でも、今の私に抗う術なんて、どこにもなくて……
ドチュッ!!
「がっ、ぁ〜〜〜〜〜〜っ!?」
ビクッ、ガクガクッ!!
されるがまま、なぐられるがままに……私は……イかされてしまった。
……ぁ……イっちゃった……私……お腹……殴られた、だけ、で……イか……され、た……?
お腹の上から子宮に叩きつけられた、強烈な一撃。
その衝撃が全身を駆け巡ると同時に……私の身体の中で、深く深い快楽が爆発していた。
「ぉふっ、うっ、くっ、ぁっ……はっ、ぁあっ……!!」
長々と続く余韻に、全然止まらない身体の痙攣。
身体の芯まで響いて、気持ちいいのが止まらない……けど、私はこんな所で負ける訳にはいかないんだ。
なんとか隙を見つけて脱出して、早くコイツらを倒さないと……
小刻みに息を揺らし、ヨダレを垂らしながらも必死に息を整える。
だけど当然……殴ってイかせてお終い、なんて都合の良い話は無い。
「ぉっ、あっ、ふっ、ぅっ……っ……ひっ……ぃ……っ!?」
目の前に現れたのは……細くて長いイボイボが沢山ついた、見るからに凶悪な極太触手。
こんなのを見せつけるなんて、理由は分かりきっている。
だって……細い触手が私のレオタードを引っ張って、私のアソコを剥き出しにしているんだから。
……むりっ……むりだって……!!
そんっ、なのっ……今っ、挿入れられっ、たらっ……!?
ドチュッ!!
「お゛っ……!?」
ビクッ!!
……一瞬、脳が理解を拒んだ。
メリメリと子宮口を抉る触手、ゾクゾクとこみ上げてくる痺れるような感覚。
永遠にも思える刹那の中……触手は自身のイボイボで膣内を掘削するように、高速で回転を始める。
そしてその瞬間……私の中で、快楽が、炸裂した。
グチュグチュグチュグチュッ!!
「お゛ぉぉぉぉぉぉっ!? ぉ゛お゛っ、ぉ゛っ、ぐっ、ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
ガクガクガクッ!!
身体が仰け反り、獣みたいに下品な喘ぎ声が校舎中に響きわたる。
グチュグチュグチュグチュッ!!
「お゛ごっ、お゛ぉぉぉぉぉぉっ!? う゛ごっ、ぐな゛ぁぁぁっ!? や゛めっ、んぎぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
それに、自分の愛液と触手の粘液が、激しく絡み合って掻き鳴らされる水音。
絶え間なくアソコから脳に響いてきて、それが僅かな思考すら邪魔するノイズと化していて。
グチュグチュッ!! ズチュズチュッ!!
「あ゛ぁぁぁっ!? やめっ、む゛りっ、ごれっ、あ゛っ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。
グチュグチュッ!! ドチュドチュッ!!
「や゛め゛でっ、や゛め゛っ、お゛ぉぉぉっ!? ぉ゛ぐっ、ふっ、ぎぃぃぃっ!?」
気を抜けばあっという間に呑み込まれてしまいそうな快楽の渦に、どうやって抗い続ければ良いのか、分からない。
グチュグチュグチュグチュッ!!
「や゛っ、イグっ、これイグっ、イグイグイグぅぅぅぅぅぅっ!? っぎっ、い゛ぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
ガクガクッ!! ぶしゃぁぁぁっ!!
グチュグチュッ!! グチュグチュッ!!
「お゛ごっ!? まっ、あ゛ぁぁぁっ!? はぐっ、ぶっ、ぐひっ、い゛ぅぅぅっ!?」
何度も連続で軽くイった直後に叩き込まれる、潮を撒き散らす程の強烈な快楽。
にも関わらず、触手には一切動きを止める気配は無い。
グチュグチュッ!! グチュグチュッ!!
「イグっ、む゛りっ、ごれっ、も゛っ、や゛っ、う゛ぅぅぅっ!?」
ドチュドチュッ!! グチュグチュグチュッ!!
「イクっ、イグぅぅぅっ!? やだっ、も゛っ、お゛っ、ぐっ、ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
ガクンガクンッ!! ぷしゃぁぁぁっ!!
「お゛っ、ごっ、ふっ、ぉぉぉっ!? ぉぐっ、ひっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
イかされ、その度に身体の痙攣が酷くなっているのを実感する。
でも……諦めちゃダメなんだ。
耐え続ければ、絶対に隙ができるはず……それまで……それまで……!
グチュグチュグチュグチュッ!!
「ひぎぃぃぃっ!? ぃぎっ、ぁ゛っ、ぐっ、ひぃぃぃっ!?」
意識がトびそうな中、僅かな希望に縋りながら、それでもとあと一歩ギリギリのラインでなんとか耐え続ける。
だけど、容赦なく……それは、トドメとばかりに放たれた。
グチュッ!! ドスッ!!
「お゛っ…………っ!?!?」
膣内から子宮を深く深く抉ると同時に、お腹の上から子宮を穿つ一撃。
腰が曲がり、大量のヨダレが溢れ出る。
永遠にも思えるような一瞬が過ぎた、その直後……
「っっっ、っ、う゛ぅぅぅぅぅぅっ!?」
ガクンガクンッ!! ぶしゃぁぁぁっ!!
……私は、快楽に敗北した。
「う゛ぁぁぁっ!? ぁがっ、あ゛っ、ぎぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
ガクガクッ!! ビクビクッ!!
身体が勝手に飛び跳ねる、噴水のように潮を撒き散らす。
子宮から溢れてくる深くて執拗な快楽が、私の中から溢れて止まらない。
ずっとずっと、頭の中が気持ちいいで埋め尽くされる。
こんな快楽味わったら……私……壊、れ……
「い゛ぃぃぃぃっ!? ぃグっ、っ!? ぎっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
ガクンガクンッ!!
最後の余韻が弾け飛び、私の身体は大きく仰け反りながら絶頂へと達してしまう。
それと、同時に……
「っ、あ゛っ……がっ……はっ……」
弱々しく淡い光が、私の身体を包み込む。
次第に溶けるように消えていく、私の、オルレアハートとしての衣装。
だけど私には、どうする事もできなくて……
「……お゛っ、ぶっ……う゛っ……あ゛っ……」
……私の変身は、解除されてしまった。
口の端からヨダレを垂らしながら、全身をピクピクと痙攣させて、さながら死にかけの魚みたいな姿。
そんな私の、身体にピッチリとフィットして違和感の無い着心地だった衣装が、気慣れた化学繊維の感覚へと変わった瞬間。
それが……更なる絶望の始まりだった。
ドチュッ!!
「ぉ゛ごっ!?」
変身解除の代償である意識喪失。
その意識を一瞬で引き戻すように……私のアソコを、触手がぶち抜いたのだ。
内臓を殴り上げられたみたいな衝撃に、こみ上げてくる吐き気と嫌悪感。
そして、それを塗り潰すように叩き込まれる……圧倒的な、快楽。
ドチュドチュッ!! グチュグチュッ!!
「ぁぎゃっ、あ゛がっ、あ゛っ、ぎぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
死ぬっ、これっ、死ぬっ、死んじゃうっ!?!?
変身していた時すら限界ギリギリだった快楽が、変身していない、生身の私に襲いかかってるんだ。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!? あ゛ぁぁぁっ!? がっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
イク、なんてもんじゃない。
頭が真っ白に侵食されて、何かを考える暇もない。
叫んでないと今にも頭が焼け切れそうで、そのせいで喉とお腹に走る痛みが止まらない。
腕と脚を拘束する触手の力が強すぎて、骨を折られたと錯覚するくらいの激痛が続く。
けど、その痛みすら一瞬で快楽に置換されてしまって……
「ひぎゃっ!? ぁがっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!? だずっ、げっ、お゛ぉぉぉぉぉぉっ!? ぉ゛ごっ、お゛っ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
突かれるがまま、鳴かされるがまま。
まるで壊れたマリオネットみたいに、私の身体は暴れ狂う。
こんなの、長くは持たない。
頭の中で激しいアラートが鳴り響いた……その矢先だった。
グリュッ!!
「ぉ゛っ……!?」
連続する抽挿の中で一撃、勢いのままに、触手が子宮口をぶち抜く。
瞬間、頭の中で……何かが弾けた。
「…………っ、ぶ……っ……ぁ゛…………」
視界に、脳内に、白い閃光が走る。
目の前が、真っ黒に染まる。
終わった、なんて思う暇すら……そこには無かった。
……
……
「……っ、ぁ゛っ……っ、う゛っ……」
……寝ていたのか、気絶していたのか。
全身を包む痛みに呻きながら、私はゆっくりと目を開ける。
けど、この霞む視界の先には、何も見えない。
自分が今どこにいるのか……ましてや時間の感覚なんて、さっぱり分からない。
「……ぉ゛……っ、え゛っ……」
とりあえず、口の中に溜まったヨダレやら粘液やらを、寝たままその場に垂れ流す。
ジンジンと痛むアソコの上には、様々な粘液が染み込んでグショグショになったパンツ。
それに制服もタイツも粘液まみれで……今すぐ脱ぎ捨てたいくらい、全部が気持ち悪い。
それに……気絶している間に鼻血でも出したのだろうか、上唇からほんのりと鉄の味がする。
……ここまで明確な嫌悪感があるんだ。
とりあえず、今はまだ、私は生きているんだろう。
「っ……う゛っ……ぇ゛……」
指を動かすと、伝わってくるのはブニブニとした軟体の感覚。
これは……あの触手、だろうか。
それに周囲には、先程の甘い臭いとは打って変わった、生もの特有の生臭い臭い。
手脚の拘束は解けている、けど、好き勝手動かせる程の余裕は残っていない。
ここから……どうしたら良いんだろう……
寝起きみたいにぼやけた思考でうっすらと、何かが浮かんでは消えていく。
「……っ゛……ぐ……っ……ぅ゛っ……」
少しだけ手を動かし、顔の横にあった自分のペンダントを右手の中に収める。
それにしても……周りが騒がしい。
キンキンと高い叫び声が、全方位から、しかも何種類も。
「……っ……うる、さ……ぃ……な……ぁ……」
聞いててあまりにも煩わしい、騒音と言っても差し支えないくらい、邪魔な音。
だけど、段々と視界が澄み、聴覚が正確さを取り戻すにつれて……その煩わしさは、瞬く間に絶望へと姿を変えた。
「……っ!? ……っな、なに……よ……こ、れ……」
場所は意識を失った時から変わらず、多目的室。
だけどその触手に覆われた壁には、所狭しと女生徒が埋め込まれていたのだ。
しかも意識はあるまま、例外なく皆が……触手に犯されているという有様。
さっきから聞こえていた騒音の正体は、犯されている女の子達の喘ぎ声。
生臭さの正体は、触手の粘液と、女の子達の愛液が混じったモノ。
……なんで、どうしてこんな事になってるの……?
もしかして、ここを狙ったのもこれが目的で……でも、アイツらは変身ヒロインしか狙わないはずじゃ……
っ、いや、そんな事を考えてる暇は無い。
拘束も、陵辱もされていない今しか、この状況を打開するチャンスは残されていないんだ。
なんとか左の腕を動かし、ポケットに手を突っ込む。
ヌメヌメの中に感じる、金属の感触。
……あった、奏のペンダント。
これで……やるしかない……覚醒をぶつけて……無理やりっ、この状況を打開する……!
「っ゛っ……う゛っ、ぐっ……う゛っ……!!」
両手を触手の地面につけ、全身の痛みを堪えながら、ゆっくりと上半身を起こす。
……身体に結構ダメージ受けちゃってるし、ここから更に負荷の強い覚醒を使ったら果たしてどのくらい持つか……正直、私にもよく分からない。
「っ……はぁっ、はぁっ……っ……」
けど、やらなきゃいけない……この場で戦えるのが私だけなら……私が、やるしかないんだから……!
両手に握ったそれぞれのペンダントに、今一度ギュッと力を込める。
そして……
「……っ、行くよっ!!」
自分の中に想い描く。
今まで何度も苦難を打ち破った、前の私よりも更に強い……最強の、あの姿を!
「っ、はっ、あぁぁぁっ!!」
両手のペンダントから力が流れ込んでくるのを感じながら、地面を強く踏み込んだ。
同時に、私の身体が眩い光に包まれる。
再び肌に触れる衣装の感触が一瞬で変化し……私は、覚醒したオルレアハートへの変身を遂げた。
「こっ、のぉぉぉっ!!」
残された時間は……勝負できる時間は、一瞬だけ!
背中に感じる羽根の感覚に懐かしさを覚えながらも、変身前に踏み込んだ勢いそのままに、肉柱に向けて突撃する。
当然、迎撃の触手がかなりの数伸びてくる……けど!
「っ、邪魔っ!!」
スラスターから引き抜き展開した刀で、勢いのままに正面の最低限だけ斬っ裂く。
覚醒して身体能力が更に高まったおかげで瞬発力がかなり上がった事もあり、この程度では私の勢いは死んでない。
それにここは、あの空間と比べたらあまりに狭い多目的室……懐に潜り込むのは、一瞬だ。
「捉っ、えたっ!!」
そのまま下段に構えた刀で、肉柱に向けて思いっきり斬り上げる。
「っ、だぁぁぁっ!!」
気持ちの悪い、肉を搔っ捌く感触が手に伝わってくる。
けど……
「っまだっ、浅い!!」
肉柱に比べたら、いくら覚醒しているからといっても、私の刀の長さはあまりにも短い。
故に一撃で真っ二つ、なんて理想的な展開にはならず……切り口はできたものの、未だに肉柱の動きは止まっていない。
でも……突破口はっ、見えたっ!!
「ならっ!!」
刀を振り上げた勢いに任せ、身体を反転させる。
そして……!
「っ、行けっ!!」
左側のスラスターを全開にしたまま私から切り離し、ミサイル代わりに肉柱にぶつける!
でも、普通に当てたら爆風が大きすぎて、捕まってる人達にも被害が広がっちゃうのは明白……
だからっ!!
「これっ、でもっ!!」
切り離したスラスターが肉柱に衝突する直前に、私も残ったスラスターで一緒に加速する。
そしてスラスターの後ろを思いっきり足で蹴り飛ばし……切り口に押し込んでっ、スラスターを内部で爆発させる!!
「くらっ、えぇぇぇっ!!」
蹴った瞬間に一瞬遅れて足に伝わってきた、ブニっとした触手の感触。
瞬時に右側のスラスターを逆噴射。
同時に離脱も兼ねて、プールのターンみたいにスラスターを蹴り飛ばして大きく飛び退く。
その直後……
グチュッ、ドチュッ、ブチュグチュッ!!!
聞くからに気持ちの悪い、軟体が炸裂する音を室内に響かせながら……その肉柱は、派手に爆発し、その欠片を部屋中に撒き散らした。
「っ、はぁっ……はぁっ……や、やった……?」
飛び退き、着地と同時に刀を構えて肉柱の次の手を警戒する。
目の前には……ど真ん中に丸い空白を作り、上と下が分離した肉柱だったものが。
動く気配はまるで無くて……やがて、ゆっくりと端から粒子と化していく。
同様に、部屋を覆い尽くしていた触手らも沈黙し、消滅していく。
どうやら……上手くいった、みたいだ。
「……っ……は……ぁっ……っ、良かっ、た……」
甘い臭いも次第に薄まっていって、徐々に嗅ぎ慣れた校舎の匂いが戻ってくる。
良かった……勝った……勝てた……やった……
「……ふ……ぅ……っ……」
……あ、はは……気が抜けたら……一気に、眠く……なって、きちゃった……
身体が、弱々しい光に包まれていく。
けど、完全に変身が解除される前に……私の意識は、急激に闇の中へと呑み込まれていった……
--To be Continued--
ここまでお読み頂きありがとうございます。
物語も終盤、いよいよ最終局面に入っていきます。
引き続き、お楽しみ頂ければ幸いです。