神姫清廉オルレアハート!-乱行恥虐のスペクトラム- 作:ホリス_if
今回は大型怪人による腹パン&陵辱となります。
前話にてアルクを打ち倒した雅と奏。
しかしハウンズの魔の手は、次の段階へと進もうとしていた……
今話も是非、お楽しみください。
第8話-始動!恐怖の地上侵攻作戦!
「んんっ……んっ……ぁ……?」
目が、覚めた。
頭を動かした先に広がっていたのは、見慣れた自室の風景。
「んっ……」
あの時色々あって、アルクを倒して、そのまま気を失って……
あれから時間は経っているんだろうけど、少なくとも自分の脚で帰った覚えは無い。
服装だって制服のまま、特に何か異変がある訳でもない。
「ふぁ……っ……」
欠伸しながらポケットからスマホを取り出す。
時間は……十三時半。
無論、今日はド平日。
「……はぁ」
その数字を見た瞬間、枕元へとスマホを放り投げた。
……今月に入って何回学校サボってるんだろう。
目元に腕を当て、明日からの謝罪行脚に頭を悩ませる。
「面倒くさ……」
全く、変身ヒロインになってからちっとも良い事が無い。
あの時は奏を助ける為に勢いで変身したんだから、それについての後悔なんてあるはずない。
だから、これ以上私には戦う理由なんて無いし、もう辞めたっていいはずなんだけど……生憎、辞める方法がさっぱり分からない。
ネットで『変身ヒロイン 辞め方』なんて検索しても、どうせ求めてる情報なんて見つかりっこないだろうし。
「ほんっと……どうすりゃ良いのよぉ……」
……ダメだ。
ボーッとしてたら、嫌な事が大量に湧き上がってくる。
こういう時は……誰かと会うに限る。
「奏も……サボってたりしないかな……」
そしてそういう事は、思い立ったら何とやらだ。
着たままだった制服を脱ぎ捨て、代わり映えのしない私服に着替える。
そのまま私はスマホと財布、必要最低限の用意を持って、奏の住んでいる隣の部屋へと向かうのだった。
……
……
「奏〜、いる〜?」
自室を出てから歩いて五歩。
奏の部屋の前に着いた私は、躊躇う事無くインターホンを押した。
……期待通り、中からは奏の歩く音が聞こえてくる。
そして……
「……雅、今日平日だよ?」
同じく制服のままの姿である、奏が扉から顔を出した。
「そんな事言って、そっちだって家いるじゃん? あ、上がって良い?」
「ん、どうぞどうぞ」
奏の後ろについて、彼女の家に上がる。
毎度の事ながら……本当に同じ間取りなのかと疑いたくなる内装だ。
「散らかってるけど、良いよね?」
……などと口では言っているが、ぶっちゃけ私の部屋より遥かに綺麗。
服も散らばってないし、机の上だって片付いている。
棚にはオルレアとアヤメの花が飾ってあり、何と言うか、その……非常に〝女の子〟って感じの部屋だ。
「……雅?」
「あっ、ごめん、なんでもない」
奏のベッドに並んで座ったまま部屋の中を眺めていると、いつしか奏から怪訝な視線が向けられていた。
まぁ、何度も何度も来ているのに、来る度部屋の中をじっくり観察されてちゃそうもなるか。
「……ねぇ、雅」
「ん?」
「んっと、さ……あの、さ……」
なんて私の呑気な考えに対して、何だか煮え切らない様子の奏。
十中八九、昨日の事が理由でしょう。
普段と打って変わってしおらしくなってるから、すぐに分かっちゃうんだよね。
「……か〜なでっ♪」
だからこういう時は、私から動くに限る。
私は勢いよく、隣に座っている奏の膝の上へと寝転がった。
「ひぁっ!? なっ、ど、どうしたの雅!?」
「ね、いつものヤツ、やってよ」
「いつものって……コレの事?」
私に見せるように、奏は枕元のペン立てから耳かき棒を取り出す。
「そそ、それそれ。最近やってもらってなかったからさ……ね、良いでしょ? 久々にさ」
「……うん、良いよ、やったげる」
軽く微笑んだ奏の顔を確認してから、右耳を上にして、奏の膝の上に寝転がり直す。
「……じゃ、やってくよ」
私の体勢が整った事を確認すると……奏はそのままゆっくりと、私への耳かきを始めた。
「痛かったら言ってよ?」
「ん、大丈夫大丈夫。奏の事は信用してるから」
「もう……」
奏の呆れたような声と共に、耳かき棒が耳の中に入ってくるのを感じる。
カリカリと出ては入ってを繰り返す、その動きがとても気持ちいい。
何度もやっているからか奏は私の良いところを覚えていてくれて、そこを重点的にやってくれるから尚更だ。
「……それで、さ」
「ん〜?」
そんな耳かきの気持ち良さを堪能していると……ようやく奏が、重たい口を開いてくれた。
「あの……さ、雅は……私といて……怖く、無いの?」
「ん〜ん、全然。怖いって思う相手に、わざわざ自分から押しかけたりしないってば」
「……だって……私……雅に酷い事、いっぱいしちゃったんだよ……どれだけごめんねって言っても許して貰えないくらい……すっごく酷い事……たくさん……し、て……っ……!」
鼻をすする音と一緒に、冷たい水滴が私の頬に落ちてくる。
奏に気を遣わせないよう、私は目を閉じてから口を開いた。
「……あんなのただの喧嘩だよ。友達だったら何回かある、ただの喧嘩。それだけ。何も気にする事ないって」
「……でもっ……だからっ、て……私っ、は……っ……」
……長い事付き合っているから分かる。
こういう時の奏は私が手を引いてあげなきゃいけない。
じゃなかったらずっと自分で抱え込んで、最終的に奏はグチャグチャになっちゃうから。
「……分かった分かった! じゃ、今日のご飯奢って! それで全部許してあげるからっ!」
だから私は、極めて明るい口調で奏に笑いかけた。
「……それっ、て……でも……でも……」
「だからっ、そのまま! いつもの店でちょっと良いランチとドリンクバーとパフェ! これ奢ってくれたら許してあげる!」
煮え切らない様子の奏を、勢いのままに押し切る。
「それにさ、最後に勝てたのだって奏が力を貸してくれたおかげなんだよ? だから、このままご飯奢ってくれたらそれでチャラ! そんでもってこの話はお終い! いい!?」
「うん……雅……ほんと……ごめん、ね……」
「だ〜からっ! もう今日はごめん禁止! 良いね!」
「……うんっ!」
……奏の声に元気が戻った。
良かった、これならそこまで引っ張る心配も無さそうだ。
「じゃ、早速行こっ! 私お腹空いてきちゃった!」
「あっ、ちょっと雅っ! 耳かきはどうするの?」
「奏なら帰ってからでもやってくれるでしょ? ほら、早くしないとランチタイム終わっちゃうよ!」
「……もう、雅ってば」
奏が耳かき棒を引き抜いたのを感じてから、勢いよく飛び起きる。
耳かきは少ししか堪能出来なかったけど……そもそも口実だし、まぁ良いか。
後はいつもの店でご飯食べて、奏と色々話して、それでお終い!
「さっ、行こっ、奏っ!」
奏の手を引っ張って出かけようとした、その時だった。
「ま、待って雅っ!」
奏の口から突然大声が聞こえて、咄嗟にその手を離してしまった。
「か、奏……?」
何かしちゃっただろうか……
そんな心配を他所に、奏は照れくさそうな顔をしていて、そして……
「その……着替えさせて……欲しいな……?」
ボソッと聞こえた呟きのような声。
……確かに平日の外に繰り出すのに、制服姿なのは少しマズいわ。
「あ……ごめん……」
「いや、あの……私、こそ……」
「じゃ、じゃあ私、玄関の方にいるから……着替えたら教えて……」
「うん……そうして……」
若干気まずい雰囲気になりつつも、私は玄関で奏の準備を待つ事になったのだった。
……
……
「それにしても……さぁ」
「ん、どうしたの奏?」
いつもの店へと並んで歩いている最中、ふと奏のジトっとした目が私に向けられた。
頭のてっぺんから脚先まで、ゆっくりと視線が動いているのを感じる。
感じるのだが……如何せん、何に対して不満を持っているのかが分からない。
キョトンとしている私に対して、奏はため息をつきながら重たそうに口を開き始めた。
「アンタ……その私服どうにかならないの?」
「えっ、嘘っ! 何か変!?」
慌てて自分の服装を見直す。
白シャツに黒のアウター。
それにピッチリとした黒のデニムパンツと白いスニーカー。
……うん、何も問題は無いはず。
「変って言うか……なんか、渋すぎない?」
「えっ……」
「せっかくなんだし、もっと可愛い服着よって! ほら、雅って可愛い方なんだし!」
「あ、あはは……ありがと……」
……渋い、かぁ。
正直シンプルでカッコイイから気に入ってたんだけどな……これ……
「そうだっ! ご飯食べたら服見に行こっ! 色々プランが思い浮かんできたっ!」
……ダメだ、この状態になった奏はもう手が付けられない。
仕方ない、今日は大人しく着せ替え人形に準ずる事にしよう。
これも仲直り記念と考えたら安いものだ。
こんなやり取りも、傍から見たら微笑ましいモノに見えるんだろうな。
……そんな事を考えながら歩いていた時だった。
「……ねぇ雅、あれ見て」
「ん?」
急に真剣な顔になった奏に言われるがまま、指を指された方へと顔を向ける。
そこには本来なら人だかりのできるはずのない場所に、大勢の人が集まっていた。
そしてその中央には……
『変身ヒロインはどこだ! 早く出てこいっ!!』
……明らかに人ではない大型の生物が、アニメの中のセリフとしか思えないような言葉を叫んでいたのだ。
「……あれ、さ」
「……うん」
奏も嫌な予感がしたんだろう。
すっごい嫌そうな顔でこっちを見てくる。
「……流石に、ねぇ」
「今までこっちで見た事無いし……特撮ショーとかだよ、きっと」
あの生物を囲んでいる人達からも、特に怖がっている様子は見られない。
どっちかと言うと、テーマパークのマスコットを愛でている感じだ。
……あんなオークみたいなマスコットは見た事ないってのは置いといて。
「……とりあえず、あっち行こっか」
「……うん、そうしよっか」
目を付けられないように、奏と手を繋いでその騒ぎからそっと離れる。
……その時だった。
『変身ヒロインっ! 出てこないのならばっ、ここに居る人間を全員殺すぞっ!!』
突然その生物は大きく振りかぶって、近くにあった電柱を殴ったのだ。
殴られた電柱には一撃で亀裂が入り、そのまま大きな音をたてて崩れ落ちた。
途端、今まで賑やかだった周囲には悲鳴が響き渡る。
人々は一斉に、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「……っ!」
流石にこれは確定だ。
何が原因かはさっぱりだけど、アイツらがあの空間から出てきたって事だけは分かるっ!
ポケットからハートのペンダントを取り出し、人の流れに逆らってアイツに走り……
「ちょっ、ちょっと待って雅っ!!」
出そうとした瞬間に、奏に腕を掴まれた。
「何するの奏っ!」
「そっちこそ何してんのよっ! こんな人のど真ん中で変身するつもりっ!?」
「でもっ!」
「いいからっ、こっち来てっ!!」
半ば強引に引っ張られ、近くにあった店の中へと連れ込まれる。
さっきの騒ぎのせいか、店内には人がいない。
奏はそのまま、誰もいない女子トイレへと直行した。
「もうっ、バカっ! 考え無しに行動しすぎだってば!」
「し、仕方ないでしょ! あんな状況だったら!」
「それで人前でいきなり変身なんてしたらっ、混乱が増えるだけでしょうが!」
……困ったことに奏の言う事は全て正しい。
けど、だからってアレをこのまま野放しにしておくなんて、できるはずない。
「……はぁ。ここなら誰も見てないし、変身するなら丁度いいんじゃない? ほら、そこの窓から出れるし」
そんな葛藤にうずうずしている私の顔を見て、奏は一つため息をつきながら窓を指さした。
確かに、これなら大丈夫っ!
「念の為、私はここで待ってるわ。こっちでの戦いは初めてだし、何より前と同じように変身を解いた時に倒れるかもしれないから。ま、何かあった時の保険に、ね」
「うんっ、ありがとっ、奏っ!」
奏に笑いかけてから、私は再びハートのペンダントを取り出して前に掲げた。
想い願うは、あの姿。
「さぁ、行くよっ!」
そして変身の意識と共に、ペンダントをギュッと握った。
瞬間、私の身体を煌びやかな光が包む。
あっという間に私は〝オルレアハート〟への変身を果たす。
「じゃ、行ってくるっ!」
「うん、気を付けてね、雅!」
奏の声を背中に受けながら窓枠に足をかけ、そのまま私は飛び出した。
……
……
「いい加減出てこいっ、変身ヒロインっ!!」
窓枠から飛び出てすぐ、あの生物の声が聞こえた。
周りにはまだ逃げている人達の悲鳴もある。
だったら万が一って事もあるし、刀は使えない。
でも今の私の力なら、十分に戦えるはずっ!
「待ちなっ、さいっ!!」
「ぬぅっ!?」
あの生物の気を引くために大声で叫んだら、思惑通りこちらの方へと顔を向けてくれた。
逃げている人達の方に背中を向け、私はこの生物の前へと着地する。
「来たか、変身ヒロインっ! さぁ、お前の名前を聞かせてもらおうか!」
……大きさは二メートルちょっとだろうか。
全体的な体格も大きい、特にあの太い腕。
あれに殴られたら変身ヒロインの耐久力をもってしても、まずひとたまりもないだろう。
それに速攻で攻撃してこないってことは、ある程度の知能はあるって考えて良さそうだ。
ジャラジャラとしたアクセサリーとか、棍棒みたいな武器を持ってないってのも、また不気味なところだ。
となると……まずは相手の動きを窺うことが大切か。
「名前を聞くなら、まずは自分から名乗るのが普通でしょ?」
「おぉ、確かにそうだなぁ!!」
……にしても一々声がデカいヤツだ。
ガハハって笑い方も、敵を前にしても余裕そうな態度を崩さないところも、なんかムカつくし。
「俺の名は〝オーガ〟! ハウンズの幹部怪人にして地上進行作戦の切り込み隊長であるっ!!」
地上進行作戦……?
なんか不穏すぎる名前が気になるけど、どうせ聞いても答えてくれないだろう。
それにハウンズの怪人と名乗った以上、何か不利益な事を起こすのは明白だ。
だったら今は、さっさとコイツを倒すのが先決っ!!
「私の名前はオルレアハート……」
地面をグッと踏み込んで……
「アンタを倒す者っ、よっ!!」
名乗りと同時に、拳を構えて一気に突撃するっ!
「はぁぁぁっ!!」
「なにっ!?」
一瞬で怪人の目の前に到達。
後は速度に乗せて……一気に拳を撃ち抜くっ!!
「らっ、あぁぁぁっ!!」
ドスッ!!
「ぬっ、ぐぅぅぅっ!!」
身体の中心に私の拳を受け、怪人は一気に吹き飛ばされる。
手応えもあった、これならいけるっ!!
追撃を仕掛けるため、再度怪人へと接近する。
「やるな、オルレアハートっ! ではコチラからも行くぞっ!!」
もちろん怪人だって簡単にやられてくれるはずがない。
私を迎撃するため、何度もパンチを打ってくる。
けどっ!!
「ふんっ! ふんっ!!」
「ふっ、そんなノロい攻撃っ、当たるかぁっ!!」
今の私には、全部見えてるっ!
突き出される拳を腕で弾き、その隙に拳や肘、蹴りを叩き込む。
「ぐっ、うぅぅぅっ!! 流石だなぁっ、オルレアハートっ!」
「さっきからうっさいのよっ、アンタっ!!」
何度も何度も攻撃を叩き込み続けて、怪人を徐々に後退させていく。
余裕そうな態度を崩さないのはなんか引っかかるけど、どうせハッタリでしょっ!!
仕掛けるのはっ、今っ!!
「これでもっ、くらえぇぇぇっ!!」
一瞬バックステップして距離を取り、すぐさま地面を蹴って怪人へと急接近。
そして加速の力と、盾から発生させる剣のエネルギーを拳に纏わせて……一気に叩き込んだ。
「ぐあぁぁぁっ!! ば、バカなぁぁぁっ!!」
拳は吸い込まれるように怪人のど真ん中へと命中し……そのまま、怪人は爆発と同時に姿を消した。
「はぁっ、はぁっ……」
勝った、勝ったけど……何かが引っかかる。
何と言うか……あまりにも、呆気なさ過ぎる。
なんせ博士だか開発者だか名乗ってたアルクですら、あんなに強かったのだ。
自分から幹部とか切り込み隊長とか名乗るヤツが、こんな簡単に倒せるはずがない。
それにあのハウンズが、こんな雑魚をいきなり送り込んでくるはず……
『わぁぁぁぁぁぁっ!!』
「ひっ!? な、何っ!?」
そんな私の思考は、周囲一帯に鳴り響く歓声によって掻き消された。
『アンタ凄いなっ! 一体何者だ!?』
『オルレアハートっ! 助かったよっ、ありがとうっ!!』
「あ、あはは……ど、どうも……」
歓声を貰えるのは確かに嬉しい。
今までは戦ってても、こんな大勢に感謝された事は一度もない。
……が、このままだとマズい。
歓声をくれるだけならまだ良い。
だけど、周囲の人々は次々にスマホを取り出して写真や動画を撮り始めたり、挙句の果てには私に向かって走ってくる者までいる始末だ。
こういう時は……撤退するに限るっ!
「じゃ、じゃあ私はここで! さよならっ!!」
スラスターを全開で噴き、上空へと避難する。
そしてそのまま、奏のいる店と反対側へ向かって飛び去る。
まずは追ってくる人達を全力で撒く。
ごめん奏……帰るのかなり遅れそう……
心の中で謝りながら、私は見慣れた街の中をひっそりと飛び回り続けたのだった。
……
……
「も〜っ、雅ぃっ!!」
「あ、はは……ごめんごめん」
……結局、私は奏と別れた店に帰るのを諦めた。
遠目で見た感じ、戦った場所からあまりにも近い事が災いして、その店にもかなりの人が集まっていた。
それにあの戦いを見た人が結構多かったみたいで、街中には捜索隊の様な集団やマスコミがうじゃうじゃと湧いてしまい、帰るに帰れなかったのだ。
「あんなに派手にやっちゃったら、そりゃ厄介な事になるの分かってたでしょうがぁっ!!」
結果、辛うじて逃げ込めた廃ビルの中で一瞬だけ変身を解除し、スマホを取り出して奏に連絡を入れて……今に至っている。
「ほらっ、見なさいよこれっ!!」
すっごい怒りながら突き出されたスマホを受け取る。
画面にはよくあるニュースサイトが表示されていて、そのど真ん中には私の写真が写っていた。
しかも、〝オルレアハート〟って名前付きで。
「私はてっきりちゃっちゃと倒して戻ってくるって思ってたのにっ! なんで名乗っちゃうのよっ、バカ雅っ!」
「いやぁ、そのっ……その場の流れというか……ね……?」
「ね? じゃないわよぉっ!!」
……ダメだ、こりゃ一向に終わらなそうだ。
奏には申し訳ないけど……一旦逃げよっと。
「ごめんっ、ごめんってば奏!」
両手を合わせて大袈裟に謝りつつ……変身解除っ!
「あっ、こら雅っ!!」
私の身体を光が包む。
その様子を見て奏も勘づいたみたいだけど、もう遅い。
後はこのまま変身解除して、気絶しちゃえば……!
「……あれ?」
……なんて思っていたのに。
何故か私の意識は、一向に途切れる気配がない。
何か不具合でも発生したのかと思って目を開けたけど、私の服はさっきまでの私服に戻っている。
欠けてる部分も、もちろんどこも無い。
であれば、この先に待ち受けるのは当然……
「……み〜や〜び〜?」
「……やっば」
……ヤバいヤバい、めっちゃ怒ってる。
さっきよりも数段怒りが増した顔の奏が、じっとりと私の事を睨んでいる。
「さ〜雅ぃ? とりあえずご飯、行こっかぁ? 話はそこで改めて、ねぇ?」
「ぎゃあぁぁぁっ!? 許してっ、お願い許して奏ぇぇぇっ!!」
ガッシリと手首を掴まれ、もう逃げられない。
結局私はこのままいつものファミレスへと連行され、辺りが暗くなるまでじっくりと説教を受ける羽目になるのであった……
……
……
「うぅっ、酷い目にあった……」
もうすっかり暗くなった夜の道を、私は一人で歩いていた。
あれからずっと説教され続けて、逆に奏の声でオルレアハートの正体がバレるかと不安になる事もしばしば。
けど何だかんだ、奏も最後には笑顔になってくれたし、仲直りだってしっかりできた。
今はそれだけで、満足。
それで今は、何か予定があるとか言ってた奏と別れて、一人で家まで帰っているところ。
後はお風呂に入って、明日の学園に備えてゆっくりと休むだけ。
特に寄り道の予定も無く、ただ歩いているだけ。
「……っ、何……?」
そんな時に……ふと、何か違和感を感じた。
軽い頭痛のような、目眩のような。
疲れているのかな……と思いつつ、なんの気無しに後ろを振り向いた。
「あれ、は……?」
視界の先にはちょっと広めの公園。
そこに……大きめの人影が見えたのだ。
「まさか……」
こんな時間に誰かいるのを見た記憶が無い。
それに昼間の騒動。
……自ずと答えは導き出せる。
この時間なら誰にも見られる心配は無いと、ハートのペンダントをポケットから取り出す。
「行くよっ!」
そして想いを込めてペンダントを握り……私は、本日二度目のオルレアハートへの変身を完了した。
あとは……このまま、アイツをやっつけるだけっ!
「オーガっ! そこで何をする気なのっ!」
一気に飛び出し、怪人の目の前に降り立つ。
「なんだ、俺を追いかけてきたのかぁ? オルレアハート!」
「んな訳ないでしょっ! ただの通りすがりよっ!」
相変わらず余裕そうな態度は崩さないけど、今は周囲に誰もいないから武器の制約も無い。
私は柄を引き抜き、クリアグリーンの刃を発生させて横に構える。
そして……
「まぁいいわ。またとっとと終わらせてっ、あげるわよっ!!」
スラスターを全開にして、一気に斬り込むっ!!
「はぁぁぁっ!!」
コイツのスピードは昼間に見た、これなら避けられないだろう。
そう確信したまま、刀を横薙ぎに振り抜いた。
「甘いっ、わぁっ!!」
けど……その渾身の一閃は、身体を逸らして避けられた。
うそっ、その図体でその動きは無しでしょっ!?
そして、そんな戸惑う私の胴体は無防備。
ヤバい、と思った時にはもう遅くて……
「ふんっ!!」
ドスッ!!
「ぉごっ!?」
そのまま振り上げられた怪人の膝が、私のお腹へと突き刺さった。
衝撃で刀を手放された私の身体は、くの字に曲がったまま宙に浮かされ、やがて地面へと背中から叩きつけられてしまう。
「ぁがっ、がっ、ぁ゛っ、がぁ゛っ!?」
っ〜〜〜〜っ!? 痛い痛い痛い痛いっ!!
今まで味わったことの無いお腹への激痛に、思わずその場でのたうち回ってしまう。
「なんだ、こんなモノかぁオルレアハートっ!!」
だけど怪人はゆっくりと私に向かって迫ってくる。
っ、のたうち回ってる場合じゃないっ!
このまま嬲り殺されるなんてっ、絶対にお断りだからっ!
「っ、ぐっ、ぁっ……! な、舐めんじゃっ、ないっ、わよっ!!」
さっきまでの刀は手放してしまったが、まだ一本残ってる。
足を踏ん張って立ち上がり、瞬時にもう一本の柄を抜き取り刃を発生させて……っ!
「ふんっ!!」
殴ってきた拳を目掛けてっ、上から振りかぶるっ!!
「はぁぁぁっ!!」
私の刀と怪人の拳がぶつかったまま拮抗し、激しく火花が散る。
いける……っ! 切れないけどっ、対抗する事はできるっ!
「こっ、のぉぉぉっ!!」
力いっぱい刀を振り下ろしてから、スラスターで無理矢理距離を取る。
……とにかく気を付けないといけないのは、この怪人の攻撃力。
一撃受けちゃったから分かる、これ以上接近戦に付き合ってたらジリ貧になって、最終的には負けてしまうだろう。
だからコイツにしなきゃいけない戦術は、ヒットアンドアウェイっ!
「ふっ!」
自身の跳躍力とスラスターの推進力を同時に使い、一気に距離を詰める。
「そっ、らぁっ!!」
目前に迫る怪人は、既に構えた拳を突き出していた。
「っ、あぶなっ……!!」
それをスラスターによって身体ごと下方へ移動してスルリと躱し、怪人の後ろ側の木へと着地する。
「っ、アンタっ、やっぱり昼間は本気じゃなかったわねっ!」
「ふんっ、アレは正義の変身ヒロインの存在を世の中に広める。ハナからそれが目的よ!」
「なんの為にっ、よっ!!」
「今から敗北する変身ヒロインに、何を教える必要があるかっ!」
「っ、言ってっ、くれるわっ、ねぇっ!!」
大声で言葉を交わしつつも、撹乱する手は緩めない。
コチラの攻撃はまだ差し込めていないが、向こうの攻撃だって最初の一発以外は当たっていない。
大丈夫、スピードはこっちに分がある。
それにここは公園、周囲には足場になりそうな木は沢山ある。
これならっ、いけるっ!!
「はっ、あぁぁぁっ!!」
足場の木を蹴り、再び怪人への突撃を行う。
……焦らなくて良い、確実に攻撃を通せる機会を窺うんだ。
木から木へ、何度も動き回って撹乱しつつ、一瞬の隙を狙うっ!!
「ちっ、小癪なっ!!」
怪人も迎撃しようとはしてるけど、殴っている所はまるで検討はずれ。
それに当たらないストレスからか、段々と動きも大振りになってきている。
仕掛けるならっ、今っ!!
「やっ、あぁぁぁっ!!」
怪人の後方から上半身を一刀両断してやろうと突撃した……その刹那。
「甘いわっ!!」
死角から放った必殺の刀は、怪人がしゃがんだ事によって容易に躱されてしまう。
そして、次の瞬間……私の足首へと、掴まれた衝撃が襲った。
「しまっ……!?」
ヤバっ、これ、脚っ、掴まれ……っ!?
何とかしないとっ……でもっ、何とかってっ、何っ!?
咄嗟の対応策なんて、この状況で都合よく思いつくはずも無く……
「ぁ゛っ、がぁぁぁぁぁぁっ!?」
私の身体は、勢いよく地面へと叩きつけられた。
全身の骨が軋むような衝撃に、背中を覆い包む激痛。
「ぁ゛っ、がはっ……ぁ゛っ、が……っ……!?」
痛みで上手く息が吸えない。
刀も衝撃で手放してしまって、手持ちの武器はもう残っていない。
まずは息を整えてっ、それからっ、それからっ……何をっ、したらっ、勝てる……っ!?
「ようやく捕らえたぞ、オルレアハート!」
そんな私の太ももの上へと、怪人は容赦なくのしかかってくる。
……マズいっ、マウント取られたっ!?
私の体重の何倍もある身体にのしかかられて、脚は一切の動きを許されない。
どうしよっ、前みたいにスラスターを爆発させて……いやっ、それだと私も巻き込まれるし、万が一効かなかったら後は一方的に殺されてしまうのは目に見えている。
盾で凌いで……ううんっ、それも結局はジリ貧。そもそもさっきのダメージで指一本動かせないこの状況じゃ一撃凌げるかすら怪しい。
じゃあスラスターで無理矢理離脱して……それも無理だっ、今の状態じゃ抜け出せるかすら分からないっ!
「さぁ、処刑開始と行こうかっ!」
すぐ目の前の怪人が、私の頭よりも大きい拳を振り上げた。
ヤバいヤバいっ、全然打開策が思いつかないっ!?
何とか、何とかしないと……身体もロクに動かせないこの状態じゃ……!
そんな私の焦りを、強引にかき消すように……
ドスッ!!
「ぉごっ!?」
重たくも鋭い拳が、私のお腹へと振り下ろされた。
「ぉぐっ、ぅっ、ぐっ、ぁ゛っ、あ゛ぁぁぁっ!?」
お腹を貫かれたような錯覚すら覚える痛みに、思わずみっともない悲鳴をあげてしまう。
「がはははっ!! いい声を出すなぁオルレアハートっ!! もっとだっ、もっと聞かせろっ!!」
だが当然、一撃だけで終わるはずが無い。
拳を引き抜かれて、すぐさま反対側の拳が振り上げられ……
ドスッ!!
「ぅっ、ぐぅぅぅっ!?」
再び私のお腹へと、振り下ろされた。
殴られた表面からの痛み、そこから遅れて体内で気を失いそうな痛みが炸裂する。
それでも、怪人の攻撃は止まらない。
続けて振り下ろされたのは、鳩尾への一撃。
ドスッ!!
「ぅぶっ!? う゛ぁ゛っ、ぎっ……ごっ、ふっ……!?」
メリメリと音を立てて、私の鳩尾へと拳が突き刺さる。
込み上げる嘔吐感に逆らえず、口から大量のヨダレを吐き出してしまう。
……もしもこれを変身前に受けていたら、間違いなく血と吐瀉物を撒き散らしていただろう。
「そらっ、もう一丁っ!!」
ドスッ!!
「ぉ゛ぐっ!?」
またもや、私のお腹へと拳がめり込む。
……が、今回は拳がお腹にめり込んだまま、離れない。
純粋な痛みと重さに必死になって耐えている、と……目の前の怪人が、ニヤニヤと笑いながら声を上げた。
「さぁ、これに耐えられるかなぁっ!」
これ以上何をする気かと身構えた瞬間……怪人は私のお腹に拳をめり込ませたまま、その拳を捻り始めたのだ。
グリュッ、グリュッ!!
「……っ!?!? ぁ゛っ、ぎぃぃぃっ!? あ゛っ、ぎっ、ぃ゛っ、がっ、あ゛ぁぁぁっ!?」
先程の瞬発的な痛みじゃない、じっくりと身体に教え込むような痛みが体内に響く。
例えるなら、内臓を丸ごとグチャグチャにかき混ぜられる感覚、あれが永遠に続くイメージ。
グリュッ、グリュッ!!
「ぉ゛っ、ぎっ、あ゛ぁぁぁっ!? い゛っ、ぅぶっ!? う゛っ、ぐぅぅぅっ!?」
もう、腕を引き剥がす力も、無理矢理脱出する力も残っていない。
度重なる攻撃の前にオルレアハートの衣装もお腹の部分が擦り切れ、素肌を直に殴られている感覚が分かってしまう。
ヤバいっ、これ、このまま、だと……わた、し……殺さ……れ……る……っ!?
痛みと吐き気と恐怖がグチャグチャに混ざって、頭がおかしくなりそうだ。
だったらせめて……このまま殺されるくらいならっ、もう一かバチか……両側のスラスターへと残った力を込めてっ、怪人の目の前で一気に爆発させるっ!
「ぅ゛ぐっ、ぶっ、ぐっ……ぐっ、あ゛っ、あ゛ぁぁぁっ!!」
最後の力を振り絞って痛みに耐えながら、一気に力を流し込む。
「何っ!?」
光を放ち始めたスラスターに怪人も異変に気づいたようだけど……もう遅いっ!
怪人が私から拳を離し、マウントを解いた瞬間……大きく爆発音が鳴り響いた。
「ぁっ、ぐぅぅぅっ!?」
爆発に流されるまま、私の身体は後方へと吹き飛ばされる。
「ぅ゛っ、ぐっ、ぁっ……!」
慣性で何度も転がりながら、私は最終的にうつ伏せの体勢で倒れる。
頭を上げると、目の前には砂煙が巻き起こっていた。
だけど、その砂煙の中に……あの怪人のシルエットは見当たらない。
良かった、何とか勝てたんだ。
そんな安直な安心を得た、刹那……
「……今のは少し痛かったぞ、オルレアハート!」
……上空から目の前に、怪人が降ってきた。
「ぇ……ぁ……あ……な、なん……で……まだ……い……き……て……?」
……まさかあの一瞬で、跳躍力だけで爆発を回避したというのだろうか。
……絶望というのは、多分この事を言うんだろう。
全身が震えて、視界が定まらなくて、汗が止まらなくて、歯がガチガチ鳴っているのが分かる。
加えて私には、もう対抗する手段はひとつも無い。
嫌でも理解してしまう……私に残された末路は……〝死〟のみ。
「ぁ……あ…………ぁ……」
……じょわぁぁぁ。
私のアソコから、生暖かい液体が垂れ流されているのが分かる。
逃げなきゃ、なのにっ……脚はもう、とっくの昔に、動かない。
「さぁ、たっぷりとお返ししてやらんとなぁっ!」
ガシッ!
「いっ、やっ……やめっ……やめっ、て……っ……」
頭を掴まれ、無理矢理持ち上げられ……そのまま背後にあった木へと、背中から打ち付けられる。
「ぁぐっ……!」
「簡単に死ぬなよっ、オルレアハートっ!!」
正面から頭を掴まれているせいで、前が見えない。
かといって、怯えている時間も、そう長くは無かった。
何故なら……その怯える時間すら与えられる前に、私のお腹には怪人の拳が突き刺さっていたからだ。
ドスッ!!
「ぁがっ!? がっ、ぁ゛っ……ぉ゛、え゛っ……!」
身構える事すらできないまま打ち込まれた拳に、自ずと身体はくの字に曲がってしまう。
「さぁっ、まだまだいくぞっ!!」
そして重力に引かれて、私の手脚がダラッと落ちた直後……
ドスッ!!
「ぁ゛ぎっ……!? ぁ゛っ、がっ、ぁ゛……っ!?」
再び私のお腹へと拳が突き刺さり、一向に慣れる事の無い痛みが込み上げる。
「ぅ゛っ、ぐ、ぇっ……ぎっ……ぁ゛……っ……」
本当なら大声で泣き叫びたいくらい痛い……のに、もう悲鳴すらロクに上げられない。
今の私にはサンドバッグとしての価値すら無いだろう。
なのに……
「もうっ、一丁っ!!」
怪人の拳は、またもや私のお腹へと叩き込まれた。
ドスッ!!
「ぉ゛ごっ……!? ぉ゛っ、ぐっ……ふっ、ぐっ……ぁ゛……っ……」
そこから一発、二発、続けて三発、四発。
何度も何度も、私のお腹は殴られ続ける。
「そらっ!!」
ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!!
「ぅがっ……!? ぁ゛っ、がっ……ぃぎっ……!? ひっ、ぐ……っ……ぅ゛ぐっ!? ぅ゛……あ゛……! ぉごっ……!? ぉ゛っ、え゛……っ、が……っ……ひゅ……っ……」
段々と、私の素肌に当たる夜風の感覚が増していく。
殴られている胴体部分の衣装はもう、ズタボロに破れてしまっているんだろう。
胸もアソコも丸出しで、残っていると思われるのは胴体に張り付いたボロボロの布切れと、黒いロンググローブとニーハイ、それに白いグローブとショートブーツだけ。
ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!!
「ぉ゛ぐっ……!? ぅ゛っ、ぁ゛……ぎぁ゛っ……!? ぁ゛……ん゛ぐっ……!? う゛っ、ぇ゛っ……ぉ゛ぶっ!? ぐっ、ぁ゛っ……ぎ、ぃっ……!」
胸も顔も、腕も脚も、全く傷が付いていないまま、ただひたすら、お腹だけを殴られ続ける。
知性の欠片も無い、純粋な暴力だけで捩じ伏せられて……あろう事か私は、屈服してしまいそうになっていた。
ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!! ドスッ!!
「ぅ゛ぎっ……ぃ゛っ、!? ぃ゛っ、がぁ゛……っ!? ぉ゛ぐっ……!? ふっ、ぐっ、がぁ゛あ゛っ……!? ごん、な……の゛……も゛っ、む、りっ、ぁ゛っ、ぎっ、ぃ゛っ……!? ぁ゛っ、お゛っ、ぐっ……ぅ゛ぐっ……!!」
咄嗟に出かかった弱音すら、腹パンの悲鳴で打ち消される。
ごめんなさい、許して、助けて、殺さないで。
言いたい泣き言は山ほどあるのに、それを口に出すことすら許されない。
こんなの続けられたら……遅かれ早かれ、結末なんて一つだけだ。
ドスッ!! ドスッ!!
「ぅ゛ぐっ……!? ぉ゛ぐっ、ふっ、ぅ゛ごっ……!? ぁ゛がっ、ぁ゛っ、ぐっ……う、ぁ゛……っ……?」
このままお腹を磨り潰されてしまうのだろうか。
そんな事が頭をよぎった、その直後……一瞬だけ、怪人の乱打が止んだ。
もしや許されたのか、と、身体が完全に弛緩しきってしまった、その瞬間……
「そぉっ、らぁぁぁっ!!」
ドチュッ!!
「ぐっ……ぁ゛……あ゛っ、が……っ!?」
怪人の叫び声と共に……特別重たい一撃が、私のお腹へと叩き込まれた。
……あ、これ……無理なヤツ……だ。
まるで背中の木と怪人の拳が、私のお腹を介して密着しているような感覚。
骨も内臓も、全てがグチャグチャバラバラにされて、もう原型を留めていない、そう錯覚する程の激痛。
「ぉ゛う゛っ……ぶっ……ご、ふっ……ぅ゛……え゛……っ……!」
「……ふんっ、これで限界か?」
上手く喘ぐ事さえできない私は、ようやく怪人に手を離される。
無論、離されたところで、私にはもう立つ力なんて残っていなくて……そのまま私の身体は、その場にゴミみたいに落下してしまう。
「……ぁ゛…………ぇ゛…………」
痛みで全身を痙攣させながら、無様に口からヨダレを垂れ流してしまっている私の身体。
けど……もうそんなの、些細な問題。
……流石に、意識が……薄れてきた。
このまま力尽きて変身が解除されてしまったら、一体どんな目に遭わされるのか、全く想像すらできない。
いや、そもそも生きたまま変身解除できるかどうかすら、分からない。
でも……この苦しみから逃れられるなら……いっそそれでも……いっかな……
「……おい、まだ終わりではないぞ!」
……そんな逃避は、許されなかった。
怪人は死体同然な私の胴体を、両手でガッシリと掴んで持ち上げたのだ。
「殺す前に……もう一つする事があるよなぁ!」
「……ぉ……お……ね、が……っ……も……ゆる、し……っ……て……」
咄嗟に吐き出した許しを乞う言葉も、目の前の怪人の耳には一切入っていないみたいだ。
もう戦う力も、逃げる力も、立つ力すら残っていない。
そんな私に……これ以上、何をする気……なの……?
「ぬぅっ!!」
ドチュッ!!
その答えは、アソコへと侵入してきた……太くて硬くて大きいモノが、簡単に教えてくれた。
「ぉ゛ぐっ!? ひっ、い゛っ、ぎぃっ……!?」
いぎっ、な゛りっ……ふっ、が……ぁ……っ!?
触手や人型のソレとは比べ物にならないくらい凶暴な肉棒が、私のアソコを無理矢理こじ開けているのが分かる。
それに今までロクに声すら出せなかった身体が、子宮を突き上げられた事によって、強引に声を吐き出させられてしまっている
「中々良いモノだなぁ、オルレアハートのマンコはっ! そらっ、もっと行くぞっ!!」
そんな私の姿に満足でもしているのだろう。
怪人はニヤリと笑って……肉棒に貫かれたままの私を、両手で掴んだまま、動かし始めた。
ドチュッドチュッドチュッドチュッ!!
「ぅ゛ぐっ!? う゛っ、ぐっ、ぁ゛あ゛っ!? ゃっ、や゛めっ、ぃ゛っ、がぁ゛っ!?」
むりっ、こんな状態でっ、こんなのっ、絶対っ、耐えられなっ、い゛ぃぃぃっ!?
私の太ももくらいある太さの肉棒に、いとも容易く私のアソコが蹂躙されちゃっている。
子宮口も簡単にこじ開けられて、当たっちゃダメな所にまで侵入されちゃっているのが分かってしまう。
ドチュッドチュッドチュッドチュッ!!
「ぅ゛ぎっ!? ぃ゛っ、がっ、ぁ゛あ゛っ!? はっ、がぁ゛っ!? ぅ゛ぐっ、ふっ、ぐぅっ!?」
しかもこんな前戯も愛も無い、オナホ同然の扱いをされているはずなのに……私の身体は、何故か快楽を感じ始めてしまっていた。
ドチュッドチュッドチュッドチュッ!!
「ひぐっ、ぅ゛っ、ぁ゛あ゛っ!? はっ、ぎっ、ぃ゛っ、ぐっ、う゛っ、ぁ゛っ!?」
何度も何度も抽挿され、膣内の壁を抉られながら犯され続ける。
悔しいのにっ、認めたくないのにっ……私の身体にっ、勝手に快楽が蓄積されてしまっている……!
「や゛っ、や゛めっ、ぬ゛ぃっ、ぉ゛ぐっ!? ふっ、ぎっ、ぃ゛ぎっ!?」
「まだ始まったばかりだというのに抜く訳がなかろうっ! それにここまで上等な肉オナホ、そう易々と手放すものかっ!」
ドチュッドチュッドチュッドチュッ!!
「ごんなっ、の゛ぉっ!? む゛っ、りぃっ!? ぃっ、がっ、ぁ゛ぎっ、い゛っ、あ゛っ、ぁ゛っ、ぎぃぃぃっ!?」
やっぱりこのハウンズの怪人達の体液……何か媚薬成分的な何かが入ってるに違いない。
じゃないと……こんな行為が気持ちいいなんてっ、あるはずないっ!
「ふぐっ、ぅ゛っ、あ゛っ!? ぁ゛っ、う゛っ、ぐっ、ぁ゛あ゛っ!?」
さっきまで殴られていたお腹の痛みのおかげで、今はまだ、何とか耐えられている。
でも、もしこのままずっと犯され続けたら……考えただけでもゾッとする。
「ぁ゛っ、がっ、あ゛っ!? ぁ゛っ、う゛ぎっ、ひっ、ぐっ、ぅ゛うっ!?」
だけど一つだけ良い事も分かった。
それはコイツの体液も、前戦った人型と同じように私の体内に摂取できれば、それだけでいくらか体力を回復できる、ということ。
つまり、このまま少しずつ耐えて、回復しながら機会を伺っていけば……いつかは、勝てる……っ!
そんな、少しだけ希望を見出した……その瞬間だった。
「ぐっ、辛抱堪らんっ!!」
怪人が発した聞きたくなかった言葉と共に、私のナカに入っていた肉棒が、更に太さを増す。
……否が応でも、察してしまう。
「ぃ゛っ、や゛ぁっ!? や゛っ、めでっ、それっ、だけっ、はぁぁぁっ!?」
少量の体液ですら、私にとってはあんなに感覚をバグらせてくる劇薬なのに……
それを濃厚な状態で子宮に流し込まれたら……そんなのっ、絶対壊れちゃうに決まってる……っ!
ドチュッドチュッドチュッドチュッ!!
「ぬ゛けっ、ぬ゛いっ、でっ、ぅぎっ!? ぁ゛がっ、あ゛っ、ぁ゛っ、ぎっ、い゛ぃぃぃっ!?」
僅かに回復していた体力全てを使って、私を掴んでいる手を必死に叩く。
だけどそんな些細な抵抗は、怪人の抽挿によって余裕でねじ伏せられてしまう。
嫌でも分かる……こんなのっ、こんなのっ……勝てるはずっ……ない……!
だけど……その時は容赦なく、訪れてしまった。
ビュルルルルッ!!
「っ゛〜〜〜〜っ!? ぁ゛っ、ぎぃぃぃぃぃぃっ!?」
私の子宮から感じる、大量の粘液がぶちまけられた感覚。
同時になだれ込む、脳みそが沸騰しそうな程の、快楽。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!? ぁ゛ひっ、ぎっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
反射的に身体を仰け反らせながら、少しでも快楽から逃れる為に嬌声を叫び続ける。
この快楽も、今回の分の粘液が出終えるまで……
そう、思った瞬間だった。
私の身体を掴む手に、更なる力が入って、そして……
「っ!? まってっ、それっ、ぁ゛っ、ぎっ、ひぃぃぃっ!?」
ドチュッドチュッ!! ビュルルルルッ!!
怪人は肉棒から粘液を吐き出しながら……私の身体を、またオナホのように強引に動かし始めたのだ。
「待っでっ、だしっ、ながらっ、動かさなっ、ぉ゛お゛ぉぉぉっ!?」
なんでっ、なんでコイツのっ、こんなっ、長いのっ!?
ドチュッドチュッ!! ビュルルルルッ!!
「ぉ゛ぐっ、む゛りっ、も゛っ、はいんなっ、ぁ゛っ、ひぃぃぃぃぃぃっ!?」
待ってっ、こんなの無理っ、イクっ、またイクっ、イかされちゃっ……!
「っ、ひっ、あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!?」
ビュルルルルッ!! ドチュドチュッ!!
「ぃ゛っ、あ゛ぁぁぁっ!? イ゛っだっ、もうイ゛っだがらぁぁぁっ!? どめでっ、ごれっ、も゛っ、む゛りっ、ひっ、ぃぎぃぃぃぃぃぃっ!?」
ただ絶頂するのとは違う、内側から弾けるような、とても深くて濃厚な絶頂が連続で叩き込まれる。
「ぉ゛お゛ぉぉぉっ!? イグっ、まだイグっ、まらイグぅぅぅっ!? ん゛ぎっ、イっ、グぅぅぅぅぅぅっ!?」
……もういっそ意識を失ってしまえば、身体が限界を越えてしまえば、どんなに楽だったろうか。
でも、変身ヒロインとして強化された私の身体は、皮肉にもギリギリのところで耐え続けてしまう。
ビュルルルルッ!! ドチュドチュッ!!
「ゆるじっ、でっ、ぉ゛っ、ぐっ、ひぃぃぃっ!? だすっ、げっ、ぉ゛お゛っ!? イグっ、イグイグっ、まらっ、イグぅぅぅぅぅぅっ!?」
この陵辱が終わるのが先か、私の精神力が尽きるのが先か……
そんな事も考えられないくらい……私の脳は、快楽で一杯になってしまっていた。
……
……
「……ふぅ、出した出したっ、とっ!」
……もうどれだけ時間が経ったのか分からない。
聞こえるのは満足そうな怪人の声と、私のアソコから噴き出し続けているコイツの粘液の音。
「しかし前の変身ヒロインはすぐに屈してしまったが……まだ生きているとは、やるなぁオルレアハートっ!」
称賛とも侮蔑とも取れるような言葉と共に、私の身体はその場に投げ捨てられた。
グシャッ……
「ぁ゛…………ぅ゛…………」
粘液による回復効果すら上回る速度で体力を消耗させられ続けた私は、既に変身ヒロインのコスプレをしたオナホへと成り下がっていた。
お腹は大量の粘液でボテっと膨らんでしまい入りきらなかった粘液が行為中にアソコから噴き出したせいで、私の黒かったグローブやニーソもグチョグチョの白濁で汚されている。
「ぅ゛…………ぐ…………っ……ぁ…………が…………」
お腹が苦しい、快楽の余韻で頭がクラクラする。
もう……どこも動かせない。
「おいっ、返事をしろっ、オルレアハートっ!!」
怪人は、そんな私へと詰め寄ると……私の粘液で膨らんだお腹を、全体重を乗せて踏み抜いてきた。
ドチュッ!!
「ぉ゛ぶっ、ぅう゛ぅぅぅっ!? ぁ゛……がっ、は……っ!?」
踏み抜かれた勢いで、私のアソコから勢い良く粘液が噴き出す。
それがまるで射精みたいに膣内の壁を抉りながら出ていったせいで……私の身体は、また望まない快楽に侵される。
「よし、これでまだまだ入るなぁっ!!」
そんな私のビクビクと痙攣し続ける身体を……コイツはまた、両手でガシッと掴んで持ち上げた。
「う゛っ……ぇ゛……ぉ゛、ねっ、が……ひ…………も゛っ、ぅ……ゆる……し……て……ぇ゛……」
押し潰すように掴まれる私の脇腹。
激痛が走っていても、もうそれに反応を示す力も残っていない。
四肢も自分の意思ではもう動かず、重力に引かれて力なくぶら下がっているだけ。
今の私はさながら、振動するだけの壊れた人形か、廃棄寸前のオナホといったところだろう。
「マンコは既にガバガバ。となればっ、次はケツマンコの出番だよなぁっ!」
私の身体が、ゆっくりと怪人の肉棒に向かって下ろされていく。
「よぉしっ、折角だ。ここに噴水でも建ててやるとするかっ!」
……もう、ダメだ。
私はこのまま、コイツに死ぬまで犯されるんだ。
だけどもう……涙も出ない。
「ぅ゛……ぁ…………ひ……ぃ……っ……」
私のお尻の穴に肉棒が触れる。
そして徐々に、肉棒が身体の奥深くまで挿入されていく……
「……そこまでだ、オーガ」
……寸前、突然聞いた事のある女性の声が割り込んできた。
その声に反応し、肉棒は私へとぶち込まれるギリギリで止まる。
「……なんだ? 俺のプレイを邪魔するなら、お前と言えども容赦はしないぞ?」
「そんなのさっきまで十分にしていただろう? それに、今のオルレアハートにこれ以上ヤったら……本当に死ぬぞ?」
「死んだら死んだ、それだけの事だろう! まさかコイツだけ特別扱いでもする気かぁ?」
「そりゃそうだろう。オルレアハートは貴重な覚醒経験者だ。そんな貴重な被検体をむざむざ死なせたとあれば、ハウンズにとっても不利益この上ない」
「だからどうしたっ! 所詮それはお前の意見でしかなかろうっ!」
「……これは、あのお方の意向でもあるんだがねぇ……まさか、それに逆らうとでも言うのかい?」
一瞬、場を静寂が支配する。
「……ちっ、興が削がれたわ!」
その静寂を打ち破ったのは、私を掴む怪人の声。
直後、捨てられるように私の身体が地面へと叩きつけられた。
ドシャッ……!!
「ぁ゛っ……が……っ……ぉ゛ぐっ……ぁっ、ぎ……っ……」
「……全く、これだから筋肉ダルマは」
地面で身体を歪ませながら呻く私に、さっきの女性が近づいてくる。
「……お〜い、生きてるかい?」
日常生活では中々見ない、タイトなスーツの上に白衣を着た服装。
霞んだ目で見ても、そんな人物は一人しか思いつかない。
「……ぁ……ル……ク……?」
「……よし、とりあえず意識はあるみたいだな。あぁ、心配しなくても良い。オーガはさっき帰ったところさ……よいっ、しょっと」
私の声に頷いたアルクは、色々と話しながら私の事を持ち上げ、脇に抱えてきた。
今から何を……こんな状態の私に何をしようと考えているのか、全く分からない。
「……ふふっ、安心したまえ。前みたいにハウンズの研究所には連れていかんよ……っと、その時の記憶はまだ無いんだったね」
そんな私の怯えを感じ取ったように、先程とは打って変わった軽い口調のまま、アルクはゆっくりと歩き始めた。
「……まさか疑ってるのかい? 全く、酷いねぇ。昨日、君達を自宅に送り届けたのは誰だと思ってるんだい」
……ますます、何が狙いなのか分からない。
なんで敵であるはずの私を助けるような真似をするんだろう。
「……な……ん、で……そん、な……こ……と……?」
「ん〜? そりゃ……私にも色々思うところがあるのさ、地上侵攻作戦には、ね」
絞り出した私の言葉に対し、アルクは濁したような言葉で返してくる。
「……とりあえず君はもう寝たまえ。あぁ、変身は解除するんじゃないぞ? 今の状態で変身解除なんてしたら、私も命の保証はできないからな」
少し低めなアルクの声に、抱えられて歩いている故の振動。
それに……こんな姿で悔しいけど、少し安心感すら覚えてしまっている。
そんな状況で、この体力ギリギリ疲労困憊な今の私が、意識を持ち続ける事なんてできるはずもなく……私の意識は、一瞬で闇の中へと吸い込まれていった……
--To be Continued--
突然現れたアルクよって何とか窮地を脱することが出来たオルレアハートこと雅。
ハウンズの仕掛けてきた地上侵攻作戦とは……
そして、アルクの思惑とは一体……
次回も引き続き、楽しんで頂ければ幸いです。