※この作品はR-18です。

憧れと欲情と   作:吉月和玖

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28.お互いに快楽を求めて

~中野家マンション~

 

紘一達が尊との電話を終えた頃。マルオもようやく病院から解放され自宅に帰っていた。

そんなマルオは疲れ果てたように、リビングのソファーにどっと勢いよく座り込んだ。

 

「静かなものだ...いつもは五月蠅いと思っていたものだが、人の声が全くないというのはここまでなものなのか...」

 

現在、零奈はマルオによる娘達の婚姻話に反発して家を出ていっている。

零奈が何故家を出ていったのかまでは知らない五つ子ではあったが、零奈の家出により不機嫌になってしまったマルオといたくない思いから、五つ子達も家出をしてしまったのだ。

いつもは五つ子達の話し声などが騒がしく不愉快に思っていたマルオであったが、こうも静かなものも、マルオの心には落ち着かないものが出てきていたのだ。

 

「はぁぁ…」

 

マルオはため息混じりにスマホを手にして電話をかけた。

 

『おかけになった電話番号は現在使われておりません』

 

「ん?」

 

マルオがかけた相手は零奈。きちんとアドレスに登録されている電話番号からかけているにも関わらず繋がらない。

 

「何故だ?番号を変えた?」

 

そんな考えが頭を過った後、五つ子の番号にも電話をしてみた。しかし、全てが同じアナウンスが流れてきていた。

 

「どういう事だ?着信を拒否しているのか?」

 

そんな風に考えながら、マルオは今度は別の者に電話をした。

 

『いかがなさいましたか?』

「江端かい?ちょっと試してもらいたい事があってね」

 

そして、江端に頼み事をしてから数分後──

 

『駄目ですね。私からも繋がりません。着信拒否。もしくは電話番号を変えている可能性も…』

「いや。零奈だけならその可能性も考えたが、娘達の携帯の契約者は僕だ。僕の委任がない限り変更は出来ない」

 

江端にマルオが頼んだのは、江端から零奈と五つ子に電話をしてもらう事だった。

結果、江端からも電話が繋がらないという事が分かった。

江端からは、着信拒否か電話番号を変更している可能性を示唆されたが、マルオは電話番号を変更する事は五つ子の携帯は出来ないと伝えた。

 

『となると……拒否ですか…』

「全く……何を考えているんだっ!」

 

仕事での疲れもあり、マルオのイライラは極限まで上がっていた。

 

『……お嬢様達はどちらに?』

「僕が知っているとでも?友人の家じゃないのかい?」

『失礼しました』

 

五つ子達の所在について江端がマルオに聞くと、不機嫌そうな声で返ってきたので、江端はすぐに謝罪した。

 

「……いや、待て。確か、娘達はこぞって吉田紘一の話をしていたな」

『では、その男の家に?』

「すぐにあたってくれ。僕は僕で他をあたる」

『かしこまりました』

 

そこでマルオは江端との電話を切り、また別の者へと電話をかけた。

 

(もし娘達があの男のところにいるならば……考えなくてはならないね…)

 

『ふあぁぁ~…なんだよ、休日のこんな朝っぱらから…』

 

マルオが紘一の処遇に対して考えていると、電話をかけた相手から眠そうな声で返ってきた。

 

「下田。零奈に代わってくれ」

『あぁーん!?いきなり電話してきて、なんだその態度は?』

「いいから代われ」

 

不機嫌な声で電話をしているからか、下田からも更に不機嫌な声で返ってきた。

それにも関わらず早く代われとマルオは急かした。

 

「ったく……自分で零奈先生にかければ良いだろ……」

『その零奈が出ないんだ。だから君にかけている。そこにいるのだろ?』

 

中々自分の思い通りにいかず、マルオは更に機嫌を悪くしていった。

 

『ぷはっ!何?お前着信拒否されてんの?ウケんだけど!』

「いいから代われ!」

 

下田が零奈からマルオが着信拒否されていることに可笑しく笑うと、マルオは声を荒げて下田に伝えた。

 

『うるっせぇーなぁ…てか、先生うちにいないぞ』

「何!?」

『昨日の午前中に荷物纏めてうちからも出ていったよ』

「どこに行った?」

 

マルオの怒りの声に、下田はうんざりするような声で零奈はうちにいないと伝えた。

勿論マルオからはどこに行ったのかと聞かれる訳だが…

 

『知るかよ。てか、知っててもお前に教えるか。自分で探すんだな』

 

下田は零奈の行方は知らず、例え知っていても教えないとマルオにドスの効いた声で答えた。

 

「そうか。君のような者に頼った僕が愚かだったようだ。失礼する」

 

そしてマルオは一方的に電話を切るのだった。

 


 

「ったく...せっかくの休日だってのに目覚めが悪いったらないね!」

 

急に電話をかけてきたら、急に電話を切る。マルオの態度に悪態つきながら下田はスマホを睨みついていた。

 

「しっかし、北条院家には上手く匿ってもらったとは零奈先生から連絡は来てたが...まさか着信拒否までするたぁねぇ...いや、北条院家の指示かもな」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら下田がスマホを見ていると、知らない番号からショートメッセージが届いた。

 

「あん?」

 

『おはようございます。零奈です。薫子様に対応いただいて電話番号が変わってますので、そのご連絡です』

 

それは薫子からの電話番号を変更したというメッセージだった。

 

「ははっ...やっぱ北条院はやることが違うねぇ~...まさか携帯番号を変えてくるとは...」

 

下田は北条院家の動きに呆れながらも関心もした。

 

『了解っす。マルオの奴、先生と連絡取れないのに焦ってこっちに連絡きましたよ。ここにはいないし、もちろん居場所は知らんって突っ返しましたけどねw』

『ごめんなさいね、迷惑かけて』

『気にしないでください。で?北条院家の当主とは上手くやれてるんすか?』

 

迷惑かけているのではという零奈からのメッセージに下田は、フッと笑みを浮かべながら返事をした。

 

『ええ。娘達共々良くしていただいています。薫子様の娘さんと娘達も仲良くしているそうで、昨晩はパジャマパティーを娘さんの部屋でしたとか』

『へぇ~。そいつは良かったですね』

 

(ふ~ん...北条院の家の娘だから厳格って事はないんだな...)

 

零奈のメッセージを見て、北条院家の事を下田は改めた。

実際はパジャマパティーならぬオナニーパティーだった訳だが、そこは五つ子と桃華との間で秘密としているので、紘一と薫子と零奈はその事を知らないでいる。

 

『ここだけの話なのですが、私と薫子様の二人で昨晩は紘一に愛してもらいました』

『マジっすか!?』

『ええ。薫子様もとても喜んでましたよ♪』

 

(北条院家の当主と零奈先生の二人を手駒にするたぁねぇ...紘一って男はどんな奴なんだろ。ま、これはマルオの入る隙間はないね。御愁傷さん♪)

 

その後も下田は零奈とのメッセージのやり取りを楽しみ、先程までのイライラが嘘みたいに無くなっていた。

 


 

~中野家マンション~

 

「何!?アパートを引き払っている?」

『はい。どうやら昨日のうちに業者が来て引っ越しをされたそうです』

 

(なぜ急に?いや、零奈が下田の家を出たのも昨日...まさか娘達を連れてその男とどこかに?)

 

「江端。吉田紘一の足取りを追ってくれ。どんな些細な事でも良い。時間もかかっても構わない」

『承知いたしました』

 

マルオは江端との電話を切ると、スマホを左手に握ったままソファーに背中を預けて天井を見上げた。

 

「やってくれたね。しかし彼は大学生。しかも今年度で卒業だったはず......卒業を目の前にして大学を中退するとは考えにくい......という事は県外に出ていかないはず......駄目だ、もう疲れで限界だ。とりあえず寝よう......」

 

紘一が今年度で大学を卒業する事は五つ子達の話で知っていたマルオは、卒業を目の前にして中退はあり得ないと考え、とりあえず眠りにつくため寝室に向かうのだった。

 


 

~薫子執務室~

 

薫子は書類に目を通す為に執務室に籠っていた。それを零奈が整理などで手伝っている。

 

「ごめんなさいね零奈さん。手伝ってもらって」

「いいえ、このくらいしか私には出来ませんから...それにしても凄い量の書類ですね。これを全て薫子さんが?」

 

薫子が仕事をしている机の上の書類の山を見ながら零奈は驚いていた。それもそのはず、書類の山は座って書類を確認している薫子が隠れるのではないかという位積まれているのだ。

 

「ええ。こればかりは他の者に任せてはいけませんので。これでもある程度は玄庵などが厳選してはいるのですが......」

「これでですか......」

 

薫子が書類を読み非承認とした書類をシュレッダーにかけながら、零奈は薫子の言葉に驚いていた。

 

「これに加えて、色々なところから面会の依頼も来ますからね...終わろうにも終えられないと言ったところです...」

 

ため息交じりに話す薫子だったが、暫くするとフッと笑みを浮かべていた。

 

「でも......(わたくし)が頑張れば紘一様が頭を撫でながら褒めてくれるのです...それだけで、(わたくし)は......♡」

 

そして紘一から笑顔で頭を撫でられながら褒められた時を思い出したのか、薫子は顔を赤くして微笑んだ。

 

「ふふふ...本当に紘一の話をする時の薫子さんは可愛いですね♡んッ...ちゅっ...♡」

「ちゅっ...♡れ...零奈さん!?」

 

そんな薫子の表情を可愛く思った零奈は、微笑みながら薫子に近づくとそのまま薫子の唇にキスをした。

そんな零奈の行動に薫子は驚きの表情となった。

 

「ふふふ...ちゅっ...♡紘一の気持ちが分かります...ちゅっ...♡今の薫子さんの顔を見るとキスしたくなっちゃいます...♡ちゅっ...♡嫌...でしたか...?」

「いいえ...♡ちゅっ...♡零奈さんなら歓迎いたしますわ...ちゅるッ...♡」

 

零奈は尚も薫子へのキスを続け、自分とのキスは嫌か聞いた。

すると薫子は、微笑みながらそんな零奈の唇にキスをして問題ないと伝えると、更に深いキスへと変えていった。

 

「ちゅるッ...ちゅっ...♡はぁ...薫子さん...ちゅっ...♡ちゅるッ...れろッ...れろッ...♡」

「れろれろッ...♡ちゅるッ...♡零奈さん...♡」

 

お互いに体が火照ってきたのかキスも濃厚なものへと変わっていき、お互いの名前を呼びながら舌を絡ませながら続けていた。

 

「ちゅるッ...♡あッ...♡れ...零奈さんッ...はッ...♡」

「ふふっ...♡れろえろッ...♡薫子さんの胸、着物の上からも柔らかいのですね...♡ちゅるッ...♡」

「ちゅっ...はッ...あッ...♡零奈さんの揉み方...いいぃッ...♡」

 

零奈の胸の揉み方に満足している薫子はあっという間に快楽を求めるようになってしまった。

 

「紘一には負けるかもしれませんが......ちゅっ...♡しっかりと愛してあげますね...♡ちゅるッ...お仕事頑張ったご褒美です♡」

 

そのまま零奈は近くのソファーに薫子を寝かせると、薫子に覆い被さるようにして、うなじや首すじなどにキスをしたり舌で舐めながら薫子の着物の袖を捲り、ショーツの上から左中指で割れ目をなぞっていった。

 

「あッ...あッ...♡れなさんッ...♡いいッ...♡」

「ふふふ...♡薫子さんが満足されてるようで良かったです...ちゅるッ...れろれろッ...♡」

「れろえろッ...♡ちゅるッ...♡はッ...あんッ...♡れなさんのッ...ゆびッ...はいってくるぅッ...♡」

 

薫子の満足そうな顔と声から、零奈はもっと気持ち良くさせようとショーツをずらして、左中指を薫子の膣内へと挿入していった。

 

「凄い...薫子さんの膣内(なか)、もう愛液でぐっしょりですね...♡ちゅるッ...れろれろッ...♡」

「れろッ...♡あッ...んッ...♡それは...れなさんがッ...あんッ...♡」

 

キスをしながらの零奈の愛撫に、薫子はもう話す事も出来ない程感じていた。

 

(紘一が言うには、女性のスポットは人それぞれだそうですね。ですが、だいたいは同じところとか。では、この辺りでしょうか?)

 

以前、紘一から聞いた女性のスポットの話を思い出しながら、零奈は薫子のスポットを探すように自身と同じ辺りの膣壁への指圧を加えていった。

 

「はッ...あんッ...♡そこッ...♡」

 

ある箇所への零奈の指圧に薫子が違う反応を示した。

 

(なるほど...本当にわずかですが違うのですね。紘一はこれを私達全員分覚えているのですか。ある意味尊敬しますね。ふふふ...♡)

 

零奈は薫子のスポットを見つけ、そこを重点的に指で圧を加えながら責めた。

 

「あッ...んッ...だめッ...♡れなさんッ...わたくしッ...あッ...あんッ...♡」

「良いんですよ...♡薫子さん。イッてスッキリしましょう♡そうすれば、この後のお仕事も捗りますから♡これも、秘書としての私のお仕事です♡ちゅっ...♡」

「はッ...いいぃッ...♡ひしょにッ...そんなおしごとッ...ありませんッ...けどッ...やめられないッ...♡はああぁぁんッ...♡」

 

そろそろ薫子がイキそうなのを見て、零奈はスッキリすると仕事が捗るからと、そのままイクように促しながら指圧の強さを上げた。

薫子ももう理性が飛んでいて、今は絶頂を迎える事だけしか頭にないようだ。

 

「ああぁぁんッ...♡だめッ...だめだめッ...イッちゃうううぅぅぅぅッ...♡」

 

すると薫子は全身をびくんびくんと痙攣しながらイッてしまった。

イッた薫子はトロンとした目をした表情で息を整えていた。

 

「はぁ......はぁ......はぁ......れなさん...はぁ...おじょうず...♡」

「そう言っていただけて嬉しいです...んッ...ちゅっ...ちゅるッ...♡ごめんなさい薫子さん...薫子さんを見てたら...私...♡」

 

薫子に褒められた零奈は嬉しそうにはにかみながら薫子にキスをすると、膝立ちの状態で上着を脱ぎブラまで外してしまった。

 

「はぁ...…はぁ...…零奈…さん…?」

「ごめんなさい…私…体が火照ってきて…♡薫子さん…私のおまんこ舐めていただけませんか…?♡」

 

そして零奈はスカートを腰までたすき上げると自らショーツをずらして、おまんこを薫子の顔に近づけていった。

一方の薫子は困った表情で零奈を見つめていた。

 

「その……(わたくし)は…女性の喜ばせ方を知らず……」

「ふふっ…♡私もです。せいぜい娘達とキスをしたぐらいでしょうか。私が先程薫子さんを感じさせたのはあくまでも紘一にして欲しい事をそのまま再現しただけ…」

「紘一様に……」

「ええ。だから、薫子さんも紘一様に舐めて欲しいところを舐めてみてください…♡」

 

薫子の呟きに零奈は笑みを浮かべて徐々に自身のおまんこを薫子の顔に近づけていった。

 

(ごくっ…これが女性の秘部……じっくりとは初めて見ましたが、このようになっているのですね。(わたくし)が紘一様に舐めてもらいたいところ……)

 

そして薫子は舌を出して、零奈のビラの部分からまず舐め始めた。

 

「あッ…はッ…♡いいです♡薫子さん、そのまま続けてッ…♡」

「はぁ……零奈さんのお声可愛い♡ちゅるッ…れろれろッ…ちゅっ…れろッ…れろッ…♡」

 

零奈の感じる声に薫子も徐々に愛撫する舌の動きを早めていった。そして、零奈の膣内へと舌を挿入させた。

 

「はああぁぁんんッ…♡いいぃッ…♡かおるこさんッ…きもちいいですぅッ…♡」

「ふふふ…零奈さんの喘ぎを聞いてますと、もっと責めたくなりますね♡ぢゅるるるるるッ…♡」

「ふわあああぁぁんッ…♡だめッ…もうッ…がまんできないッ…ちゅるッ…ちゅるッ…♡」

 

薫子はますますヒートアップして愛撫を続けていった。

すると零奈は自身の右乳首を口まで持っていき、唇に含んで舐め始めた。

 

「ぢゅるッ…ぢゅるッ…♡はああぁぁ~…♡零奈さんのお姿素敵ですわ♡紘一様にもお見せしたいくらい…♡ちゅるるるるるッ…♡」

 

自身の乳首を舐めながら薫子の愛撫に感じている零奈の姿を見た薫子は、妖艶な笑みを浮かべて零奈のクリトリスを口に含み吸い始めた。

 

「ひぐッ…♡あッ…あッ…あッ…♡だめッ…ちゅるッ…♡かおるこさんッ…だめですッ…♡ちゅるるるるッ…♡」

「ふふふ…零奈さんもイッてくださいな…♡ちゅるッ…♡紘一様と(わたくし)だけが知っている、貴女のイキ顔お見せになって…♡ちゅるるるるッ…♡」

「あッ…あッ…あッ…あッ…だめッ…♡もうッ…もうッ…♡イッちゃいますうううううぅぅぅぅッ…♡」

 

これで最後と言わんばかりに薫子が零奈のクリトリスを吸い取ると、零奈は背中を後ろへと反りながらイッてしまった。

 

「あ......あ......あ......」

「ちゅるッ...ちゅるッ...ぺろッ...♡ふふふ...(わたくし)の舌でイッていただけたようで何よりですわ♡」

 

後ろ手に支えながら体全体を痙攣してイッている零奈の姿を見て、薫子は満足そうな笑みを見せるのだった。

 

・・・・・

 

「ふぅぅ...まさかここまでスるとは思いませんでしたわ...」

「うふふ...ごめんなさい。薫子さんを見てたら興奮してしまって...♡」

 

ソファーに座った薫子は乱れた着物を着直しながらため息をついていた。それに、薫子の髪を櫛で透きながら零奈は笑みを浮かべて答えた。

 

「はい。髪、纏めましたよ。今日のような事はこれっきりにしますか...?」

 

薫子の髪を纏め終えた零奈は、薫子の両肩に手を置いて後ろから薫子の顔に覗き込むように質問をした。

 

「............たまになら...♡」

「ふふふ...♡やっぱり薫子さんって可愛いです...んッ...ちゅっ...ちゅるッ...♡」

「ちゅるッ...ちゅっ...♡もう...零奈さんったら...♡」

 

零奈の質問顔を赤くして恥ずかしそうに答える薫子があまりにも可愛く、零奈は薫子を後ろから抱きしめながらキスをした。

薫子も満更ではないようで、文句を言いつつも零奈からのキスに答えた。

 

「ちゅっ...れろえろッ...ちゅるッ...♡れろッ...ちゅっ...♡あら?」

 

薫子とのディープキスを楽しんでいた零奈であったが、何かに気づいてキスを止めた。

 

「何かしら?気配が......」

「あら...流石は零奈さんですね。それとも貴方の腕が落ちたのかしら?」

『否。零奈様の気配察知能力が高いかと』

 

零奈の気づきを薫子は褒め、そしていつもの当主としての貫禄を戻した薫子が声をかけるとどこからとまなく声が返ってきた。

 

「そう......姿を現して構わないですよ。彼女はもう信用出来る方ですから」

 

スーーッ...

 

「!!」

 

薫子がソファーから立ち上がり、執務を行う椅子に腰かけながら話しかけると、薫子に片膝をついて頭を下げた全身黒装束の男が、薫子の執務を行うテーブルの前に突然姿を現したので零奈は驚いてしまった。

 

「零奈さん。紹介しますね。彼は琥太郎。この北条院家の裏の組織を纏めている者で、(わたくし)の懐刀でもあります」

「勿体無き御言葉...」

 

薫子の紹介に琥太郎と呼ばれた男は、感情の無い言葉で返事をして更に頭を下げた。

 

「琥太郎の存在は、(わたくし)と玄庵しか知りません。勿論、桃華も存在なら分かっていますが、まだ彼の事を話しておりません。この事どういう意味か分かりますね?」

「はい」

 

薫子の威厳の込もった言葉に、零奈はすぐに返事をした。

 

「よろしい。琥太郎が率いる部隊の仕事は様々です。諜報活動に、裏工作。陰からの護衛に、果ては()()まで」

「暗殺...ですか...」

 

薫子の言葉に対してすぐに返事をする零奈の様子に満足した薫子は、琥太郎の率いる部隊の仕事の話を語った。

その中の一つである暗殺というキーワードに、零奈は緊張した趣で呟いた。

 

「ええ。北条院家に対して仇なす者を今までも排除してきました。ふふっ...こんな(わたくし)が怖くなりましたか?」

「いいえ。私は貴女の本質を見抜いていると自負しています。なので、薫子様を怖がる事などあり得ません」

 

笑みを溢すように話す薫子に対して、零奈は即座に否定して琥太郎同様に片膝をつき頭を下げて答えた。

そんな零奈の反応に薫子は流石に驚き目を見開いて固まってしまった。

 

「ふふふ...貴女というお人は......零奈さん(おもて)を上げ(わたくし)の傍に控えなさい。後、(わたくし)の事はどんな場所であってもいつも通りにお呼びなさい」

「はい!」

 

固まった薫子はすぐにいつも通りに戻り、自分の傍に控えるように指示を出した。零奈はすぐに薫子の指示を受け、薫子の左斜め後ろに立ったまま控えた。

 

「......さて。何かありましたか?」

 

零奈が自分の傍に控えるのを確認した薫子は、当主としての貫禄を醸し出しながら琥太郎に問うた。

 

「はっ!マルオが動き出しました」

「──っ!」

 

琥太郎の言葉を受け、零奈に緊張が走った。

 

「当主様の御命令通り朝まで病院に留めたマルオですが。帰宅早々に零奈様に電話をした模様です」

「ふふふ...よほど零奈さんの声が聞きたかったのでしょうね」

「......」

 

琥太郎の報告に笑みを浮かべる薫子であったが、零奈は表情を変える事なく話を聞いていた。

 

「しかし、TAKERUの工作により回線番号が変わっていた為に零奈様の携帯に繋がらず。そして、零奈様のお嬢様方の携帯にも繋がらなかった事で下田殿のところに連絡をした模様です」

「なるほど。僅差のタイミングだった様ですね。そこは零奈さんから報告を受けていました。TAKERUに頼んで正解でしたね」

 

携帯番号が変わった事を零奈はすぐに下田に連絡したのだが、そこでマルオから下田に零奈の所在について問われたが断ったと報告があったのだ。

それをそのまま零奈は薫子に伝えていた。

 

「それで?彼は?」

「はっ!そこでマルオは紘一様に目を付け、側近の江端という男に紘一様のアパートに向かうように指示した模様です」

「ほう......やはり聡明なお方のようですね...」

 

琥太郎の報告にマルオについて薫子は高評価をあげた。

 

「そこで、紘一様が既にアパートを引き払っている事。そして、その日に零奈様が下田殿のところを出ていった事を鑑みて、零奈様と零奈様のお嬢様方は紘一様と行動していると判断。そして、江端を使い紘一様の通う大学やバイト先などからあたっているようです」

「あら......県外に出ていったとは考えなかったと?」

 

琥太郎の報告に薫子は疑問を投げた。

 

「恐らくは紘一様が今年度で大学を卒業する事を考え、県外への駆け落ちは考えなかったのかと」

「ふむ......して、その紘一様は今は?」

「はっ!バイト先の本屋で仕事中であります。護衛の茜も一緒です」

 

紘一の安否を確認した薫子に対して、琥太郎はすぐに答えた。

 

「江端を紘一様のバイト先に向かわせないよう手配はしておりますが、茜がいるので問題ないかと」

「そうですわね。何と言っても貴方のお気に入りでしたからね」

 

琥太郎の言葉に薫子は笑みを浮かべた。

 

「お気に入り?」

 

そんな薫子の言葉に零奈は不思議に思い質問をした。

 

「彼女は元々琥太郎の部隊に所属していたのです。そして、彼女は優れた能力を持っている。ただ、この親バカはこのままでは自分のように無感情な人形になってしまうと危惧して、紘一様付けの護衛に推薦してきたのですよ」

「親...バカ...ですか...」

 

笑いながら話す薫子の言葉を聞いて、零奈が琥太郎を見ると、琥太郎は若干ではあるが恥ずかしそうに縮こまっていた。

 

「琥太郎も紘一様を好んでおりますからね。紘一様の近くに置けば、茜が幸せになると思ったのでしょう。まあ、子どもの頃から面倒を見ていたのです。情が湧くのも人として当然かと」

「そうですか。それで()()()()を相談されたんですね」

「ええ。後は紘一様次第かと。娘さん達は何と?」

「問題ありませんよ。既に茜さんが紘一への想いを持っているのでは、と感づいていましたし」

 

薫子さんの言葉に、ふふふと笑みを溢しながら零奈は答えた。

 

「良かったです。琥太郎から見て、茜の()()()()()()()()()を紘一様は気づいていると思いますか?」

「はい。恐らくは当主様の茜の紹介の時には。ただ、そこを含めて暖かく心を開いている紘一様に、茜の心も既に溶け始めております」

「そうですか......」

 

安心したような、無表情な声色にそんな感情が込められた琥太郎の言葉に薫子は微笑んだ。

 

「では。そんな茜の想いも含めて報いる為、早速明日から動きます。玄庵は?」

「はっ!零奈様の協力の元、既に用意も終え明日向かうとの事」

「よろしい。零奈さんの勤務している学校への手筈は?」

「無論終えております。既に先方より承諾いただきました」

「は...早い...」

 

薫子と琥太郎のやり取りに、零奈はただただ驚くしかなかった。

 

「ふふっ...これで零奈さんは正真正銘、(わたくし)付の秘書です。零奈さん?明日からは(わたくし)と常に行動を取るように」

「かしこまりました」

 

琥太郎の仕事振りに満足した薫子は零奈に明日からは常に自分の傍にいるように伝えると、零奈は軽く頭を下げながら答えた。

 

(わたくし)は明日、黒薔薇女子と旭高校に向かいます。琥太郎、護衛頼りにしてますよ」

「はっ!お任せください!」

 

琥太郎の返事に満足そうな笑みを溢した薫子は、その後は零奈と琥太郎を交え、明日の準備に取りかかるのだった。

 

 




今回の投稿も読んでいただきありがとうございます。

今回のお話では主人公である紘一の出番はなしとして、マルオ視点を多く取り入れさせていただきました。

そして、零奈と薫子の百合シーンも書かせていただきました。
執務室でお互いに感じ合うとは...二人の関係も上々のようです。

更には零奈も北条院家の闇の部分まで踏み込む事となりました。

次回の投稿も読んでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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