「私、性欲すごくない」と自称する月村手毬さんとこっそりセックスしているお話 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
原作:アイドルマスター
タグ:R-18 学園アイドルマスター 月村手毬 Pドル
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学園アイドルマスターの有償依頼はこれが初めてです。もっと書きたいぜ。
ふの字の性癖全開にしてくれって剛毅なご依頼だったので、出し方を思い出しながら書きました。
「待って近づかないでプロデューサー……汗臭いでしょう?」
「匂いなら、もう感じられます。むわっと」
「むわっと、なんてしてないよ」
「とりあえず水分を」
「いいです、夏じゃないんだから」
「あのときは焦りましたね」
彼――プロデューサーは後ろ手でスライドドアを閉じた。レールが傷んでいるのか、ザラザラとぎこちない引き心地だった。
ほこりっぽい倉庫で、彼の担当アイドルにして初星学園アイドル科所属・月村手毬が古びた跳び箱に腰掛けながら、トゲトゲしい視線を投げ返していた。
「で、今回はどういった?」
「聞くならもうちょっとはっきりした言い方にしてほしいです」
「朝から運動するつもりだったら外が良かったんじゃないかと」
「だから、もうちょっと……あぁもう」
外がうららかな秋晴れの朝であるのに対し、薄暗くじめじめした庫内で、手毬がぴりぴりと張りつめている。
彼女の整った目鼻立ちと白い肌は、ステージならクール系アイドルを自負するのにふさわしい。しかしいまここでは汗でべっとり暑苦しい。
後頭部にくくってまとめているセミロングの黒髪が幾筋か肌に絡みついている。公称プロフィールでは身長162センチにスリーサイズ82-58-86と掲げる。それをこれからヨガでもしようかというクロップドタンクトップとレギンスに包んでいる。ぴったりした灰色の着衣が汗を吸って、色がまだらに黒くなっている。腰掛けている跳び箱が8段もあるせいか、足先が床に届かずぶらぶらしている。
「あえてね、ここで一人で……緊張感を保つために、です」
「いまの自分を他人に見せたくない、と」
「人の話を聞いてる?」
跳び箱の1段目のクッションで、手毬の尻のすぐそばにビニール製なわとびがトグロを巻いている。それをつかんでどかして、プロデューサーが手毬に並んで腰掛ける。
手毬がじろりとにらんできて、つい彼は視線をそらす。
「これ月村さんの私物でしたっけ」
「たまたま、そこにあったから」
「いよいよ月村さんの特訓ルームらしくなってきて」
その倉庫は、実際には手毬の“特訓ルーム”などではなく、彼女・彼が籍を置く初星学園内の古い倉庫である。人や物の出入りが少ないことに乗じて彼女が私物化している。
「オフの朝なのにそんなに運動して、何かあったのかと……あるいは、そういう気分ですか」
「気分なら最悪よ」
「憂さは晴れましたか」
「晴れてるように見える?」
「あまり」
「ぜんぜん……なによ、なにあれ!?」
手毬がぶちぶちとグチをこぼしはじめる。プロデューサーに汗を嗅がれているままの状況はさて置くらしい。
「……『食欲がすごいなら性欲もすごそう』、『クール系なのに激しいなんて』……とかなんとかアイツら言いたい放題っ!?」
「月村さんは『食欲の秋だもんね……こんな食レポはいつでも歓迎だけど』と、心置きなくラーメンをむさぼっていましたね」
「むさぼるって! 言い方ぁ!」
「お店の方、とっても喜んでいました」
手毬がユニット活動の一環としてラーメン屋に赴き、その動画が想定外に拡散して――『てっ手毬っ……あの、とりあえず髪が入りそう、入りそうだってば!』『……完全にラーメンに没頭してるわね』――想定外の反応を得てしまったことを気にしている。
そう口で語っている。
対してプロデューサーは、いつぞやの噂に比べれば、と沈黙のうちに返す。通じているかは疑わしい。
「……人の食事からセックスを連想するなんてっ、安直を通り越して冒涜だよ」
「久しぶりに月村さんに共感できまして」
プロデューサーはなわとびを無造作に結んで、倉庫の隅に置かれていたスポーツバッグ近くを狙って放り投げる。
「横着ね。それに言ったでしょ、なわとびは私のじゃないわ」
「月村さんはけっこう人目を気にするタチですね」
「そりゃあアイドルだし……もう4年目だし」
「俺は月村さんのようすが気になりますがね」
「……そりゃあ私のプロデューサーだし」
「あれにタオルとお着替えが入れてあるんですか」
「入ってたらどうだって言うのよ」
なわとびを放り投げた手をゆるゆると下げていって、1段目のクッションのへりに指先を立てている手毬の手に乗せて、手毬から眉をひそめられる。
「……だから、どうだって言うのよ」
「性欲がすごそう、って言われたの気にしてるんですか」
「いや、その……私だって女の子なんだよ!」
プロデューサーは手毬の才能をかなりのものと信じている。初星学園中等部での3年間で世代筆頭に挙げられた評判も、ある程度それを裏付ける。クールでストイックなイメージにふさわしいパフォーマンスをこれまで見せてきたからこそ、ラーメンを一心不乱にむさぼる姿に大きなギャップが生まれ話題になった、と考えている。
「おいしそうに食べるとか、親近感が湧いたとか、ポジティブな反応のほうがずっと多かったんですよ」
「別に、気にしてないって」
「ラーメンやカレーにすら、ケチをつけたり嫌ったりする人がいます」
「もっとなんとかならなかったんですかそのたとえっ」
しかし彼女は自己評価が不得手である。自分を過大評価したり過小評価する。『誰もが認めるトップアイドルになる』という遠大な目標を本気で語る。いっぽう、他人から好き勝手に値踏みされると、それを真に受けて過小評価に偏りがちである。パフォーマンス中につい燃え尽きるほどハイペースになってしまうのも、自分の余力について評価が甘いせいらしい。
いまのところ、過小評価に傾いた天びんを彼女に戻してもらうため、プロデューサーが手段をあれこれ模索している。
「プロデューサーも……私が性欲強いとか、えっちが激しいとか、って思ってるんでしょ」
「客観的に比較する相手がいません」
「主観では激しいって思ってるんだ……!」
「主観で良ければ……ラーメンの食べっぷりよりマシな根拠を一つ知ってます」
「マシって、ねぇ本当に……」
現在までに、まともな手段が見つかっていない。
「答えてよ、私が質問しててっ……んっ……匂い、嗅がないでったら……触る、のも……」
「いけませんか?」
「してから、じゃ……聞くのが、遅い……! プロデューサーっ、私にこうすればいいだろうって、思って……」
それゆえ、対応がまともでない手段の一つ覚えになってしまっている。
彼もまたプロデューサーとして成長途上であった。
※
「プロデューサーに言っておくけどね……私、性欲すごくないからね」
「ええ」
「これに味をしめてもいないからね」
「俺は味をしめてるかもしれません」
「かも、って……自分のことでしょう」
手毬は古い体操マットを倉庫の床へ引っ張り出し、その上に薄手のシートを敷いていた。なわとび以外の何がしかの運動もしていたらしかった。
けれどプロデューサーには、彼女が押し倒されるためあらかじめ準備していた、と思えてしまう。
「前、5キロも太ったとか言ってたくせに」
「前の話です。いまも、スタイルには神経をお使いでしょうが」
「他人事みたいに」
手毬が髪をまとめていたおかげで、押し倒すときが前よりスムーズだった。前は背中に髪を下敷きにしてしまっていないか気になってしまった。
「俺も神経を使わせている側ですから」
「その苦労をこうやってねぎらってあげよう、とでも?」
近くで見ると、手毬の切れ長の瞳がじんわり濡れていて、プロデューサーの背筋にしびれがくる。細く長い眉や引き絞られた口元、控えめながら整った鼻筋に白い肌と、まさに“クール系”そのものである。それが小ぶりな口でズルズル豪快に麺をすすると、プロデューサーも“実は激しい……か……”と、ちらり思ってしまう。
「しょうじき、月村さんとこうしてるのけっこう毒です」
「しちゃいけないと思ってるんなら、しなくたっていいんだよ」
そんな手毬が自分の両腕であっさり抱ける至近距離にいて、頬を桃のように赤らめ甘ったるい汗を漂わせている。髪の生え際や胸元は特にねっとりと男を誘う。さわやかな制汗剤では覆いきれない。プロデューサーならずとも男には“毒”となってしまう。
「しちゃいけないと思ってても、したいんですよ」
「……いやらしいことを?」
「ええ」
「ずるい、あっさり言えて」
合意の上でも2人が学内でセックスに及べば不純異性交遊であり、露見すれば確実に停学を食らう。その程度で済む、とも言える。
初星学園の教員・生徒の中でも、アイドルと称するからには恋愛禁止が筋とする見方と、色恋は芸のこやしとする見方が混在している。さらに先に設立された普通科とアイドル科とでかけ離れた校則の制定・運用も難しい。
現状、どこからどこまでが“不純”かあいまいとして、あえて学生の自主自律にゆだねる――という名目のケースバイケース――となっている。
「んっ……くすぐっ、た……って、いきなり触らないでよ、怖いでしょっ」
「緊張してます?」
こうして裏で淫行に及ぶ学生がどのぐらいいるのか、と考えてしまう。
「そりゃあ……い、いいやっ、いい加減慣れてきたわ、あなたにこうされるの」
プロデューサーが指先で、タンクトップとレギンスに挟まれた手毬の脇腹をするするなでる。きめ細やかな肌とねっとりした汗があいまって、指先だけなのに吸いついてくるとわかる。指圧するように押しこむと、張りの向こうに緊張した腹筋も察せられる。
「でも、くれぐれもていねいに扱って……気にしてるんだよ」
「こんなにガチガチに緊張させて」
「ガチガチじゃないわっ!? プニプニでも、ない、けどっ」
彼は手毬を解きほぐすように、ゆっくりとなでる。騒ぐイヌやネコをなでてあやしている気分になる。彼女が彼と出会う3年も前からアイドルをしていて初星学園の中等部筆頭とも目されていた、という来歴を忘れそうになる。
「ん、ぅ、あっ……は、あっ……」
「力を抜いて。ただでさえ緊張しがちなんです、月村さんは」
「力を抜け、ですって……!? また、私を油断させて、その、最後まで……」
「不意打ちのつもりはないんですが。あのときも、いまも」
「私にも、心の準備ってものが……!」
「じゃあ、準備できるまでこうしてあげます。あまり生殺しにしないでくださいね」
「そういうこと言わないっ……っっうぅー……!? 急に、触り方、変えない、でっ」
薄布ごしにバストやヒップも触れる。本来なら柔らかいふくらみも、タイトなタンクトップでパツパツ張りつめている。彼の指や手のひらに強く反発する。
「っん、ふ、あっ……これは、その……マッサージみたいなものでっ、あなたが楽しむのは……ついで、なのっ……」
「俺が楽しんでいる、とは認めます」
「ああ、そう、そうでしょうね……ふ、ひゃんっ……っ!」
手毬の太ももやウエストが、びくり、びくりとこわばった反応ばかりで意地を張っているかのようである。対して声と吐息は、彼に押し倒されたときよりも熱っぽく湿っぽく漏れる。
「俺が触りたい、って言うと少しほぐれてくる感じがします」
「……早く終わればいいの、こんなの……ぅ、んぅっ、こっこらぁっ……」
「やばいな、興奮してきて……もう抜いちゃいたい気が」
「中途半端は勘弁してよっ」
レギンスごしにふっくらとなだらかに盛り上がる恥丘にも、彼がゆっくりと手を向ける。
「や、ぅ……! あああっ、だめ……っ!」
「触られたくありませんか」
手毬は黙ってそっぽを向く。彼の手を下半身のデリケートな部分に迫らせるがまま、息をひそめる。
「別に、さ……あなたにされるの、初めてじゃ、ないし……でも……」
「10回でも済まないですよね」
「なら……ちょっと、察してくれても」
そんな簡単な女じゃないだろう、と手毬へ言いかけ、彼はどうにか口中で噛み殺す。
「ここも触りますよ」
「ぇふ、ぇう、あ、うっ……!」
手毬が目を逸らしていなかったら、ごまかしきれなかったかもしれない。
「ひ、ぅ、ぁ……ふぇ、ぁ……だ、め……だめに、なる、からっ」
「だめじゃありませんよ、もっと声出して」
手毬の性欲が“すごくない”かどうかはさておき、生理的に興奮するほど態度がこわばりがち、と彼は手毬を理解している。
手毬は、朝寝坊しがちだったりつい間食して太ってしまったりしてしまいがちである。それらと似たりよったりに自分の性欲を疎んじている。押さえつけようとしている。いまのところ、その苦闘はあだとなっている。ストレスが高じて、“食欲がすごいなら性欲もすごそう”と画面の向こうからコメントされただけでイラだってしまう体たらくに陥っている。
「っ……んっ……ッ……!」
「声を出してくれると、俺もやりやすいので」
「男の人に触られて、そんな、声なんか……っ……ッ!」
それでいて、彼の不慣れな手練手管を――『俺、月村さん以外にこういう経験は……』『どう反応しろってのよ、そんなこと言われて……!』――手毬はぶつぶつ文句をつぶやきつつ、これまでのところ受け入れている。彼がようすをうかがいながら、優しげにいたわるように触ってやれば、手毬は満更でもなさげに息をつく。彼があまり慎重だとじれったがる。
「ふはっ……はぁっ、はぁっ……ん、ハッ……♥」
手毬の肌が愛撫にぎこちなく震える。けれど、彼をじろじろにらんでいた目つきがだんだん柔らかくなっている。時折、彼の手や顔をぼうっと見つめていて、ハッと我に返ったように首を振って目を伏せる。
手毬の髪から伝わる汗の匂いがいっそう濃く迫ってきて、彼はノド奥から生唾を湧きあがってくる。手毬に見られているかもと思うと、飲みこむのもためらわれる。
「俺まで緊張してきちゃったかもしれない……いけない、いけない」
「私のせいじゃないでしょ……」
腕を手毬の肩と首に回して、抱き寄せる。ステージでは多くの観客の視線を受け止めるのに、ここではどうにも細くか弱くて、抱く側の彼が思わず震える。
「月村さんは、無理に緊張をゆるめなくてもいいのですけど」
「そんなに余裕ぶって……さっきから、おっきくしてるの当たってるってっ」
「余裕のポーズぐらいは、と」
「じゃあ早く済ませちゃえば……あなただって、私にばっかり時間を……んんっふっ……!?」
くちびるが触れあう。ほんの一瞬が二度、三度、重ねただけ理性は溶ける。二筋、三筋とずるずる汗やよだれじみて垂れ落ちる。
「……んんっ……くっ……乾いちゃってたわね、お互いさまだけど」
「続きしたいな、手毬……んぎゅっ!?」
「調子に乗りすぎっ」
「これは失礼、月村さん……続けても?」
「んっ」
性欲がためらいごと2人を先へ引きずる。
「がまんしっぱなしじゃメンタルがもちません」
「誰のことを言ってるつもりかな?」
「俺のメンタルがもちませんって話で」
「ああ、そ……うん、まぁ、わかるよ……しょうがないな……」
「ラーメンも食べられるときは心置きなく食べたいですし」
「ちょっと待ったやっぱりあなた私のことを」
「もっと続けても?」
「優しく、だよ……じれったいのもイヤっ」
言いつつ、手毬がプロデューサーのシャツごしの脇腹やスラックスごしの腰を指先でするするなぞる。さっきのお返し、とくちびるだけで語る。
「あはは、指先が」
「……月村さん?」
「びくってしてた。くすぐったかった?」
腕をお互いの背中に余裕で回せる至近距離で、デリケートな部分をそろそろ撫であう。
「あとさ、プロデューサーって……」
「や、め……息、くすぐった……っ……!」
「ふふっ、プロデューサーだってさせてるじゃない、こってりした匂い」
手毬が報復のように、鼻と口をプロデューサーの耳元に近づけてすぅはぁ息を吸ったり吹きかけたりする。声までがクールからウェットに色を変えていく。耳の後ろの、匂いがきつくなりがちなところに特にしつこくつきまとう。
「んふ、ふ……しょっぱい、汗かな……んんふっ、こ、こらっ、私がいじってる番でしょっ」
「これ交代制でしたっけ」
「プロデューサーにいじらせてばかりじゃ、どうなるかわかったものじゃ……んんっ……!」
「やっぱり触りたくなってしまう、月村さんのこと」
「……触っちゃダメなんだよ、普通なら……プロデューサーは……」
「あんまり、俺を煽りすぎないでください」
じゃれ合いじみていた雰囲気が薄れる。愛撫の応酬らしき艶っぽい匂いを、お互いの着衣や肌や粘膜から感じ取って、吸って吐いて、肌の内側まで熱っぽくなる。緊張やためらいが火照って白くぼけていく。
「っ……っんっぁ……ぷろでゅ、そこ……っ……!」
「ああ、ごめん、つい……触りたくなる形でして……っっおっ!?」
「謝らなくていいわ……口では、ねっ」
手毬の興奮が、汗や吐息だけでなく、着衣の内側からもあらわになりつつある。灰色で薄手のタンクトップのうち、乳房の頂きあたりがうっすら浮き上がっている――至近距離ならば倉庫の薄明かりでも見て取れる――興奮で乳首や乳輪がうずいて、プロデューサーの指先をねだっているように見えてしまう。
「ん、ぁくう……っ……!」
「こっちで仕返し、させてもらうから」
手毬からの攻勢もエスカレートしている。プロデューサーの耳殻や耳穴に舌を這わせつつ、彼のスラックスごしに股間をぐいぐい突いたりぴしぴしタップしたり弄ぶ――“勃起して固くなってればこれぐらいなんともないでしょう”――手つきだけでそんな幻聴さえ催す。
「はう、ぉ……む、ぐ……つきむっ……くっ……!」
性感帯をくすぐったり、はたいたり、つねったり、お互いのようすをうかがいつつ先へ進む。
「ん、ダメ、そんな……んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
手毬の尻や太もものシルエットが、きゅうと引き締まって盛り上がったり窪んだりする。灰色でタイトな着衣に縁取られて、むき出しの肌や腕より揺らいでいるさまが目立つ。それを見る彼の反応も、シャツやスラックスごしだが大差ない。
むき出しの部分はますます赤く熱っぽくなる。吐息と衣擦れが急に大きくなったように耳にこびりつく。
「ん、ふぅうっ……プロデューサーも、もっと声出してくださいよ、ねぇ?」
「……っ……男のこんなのじゃあ、そそられないでしょうよ」
「私のだったらそそるんですか?」
「言葉尻を……ぉ、っっうぅー……ぅ……!」
「聞かせてよ、ねぇ」
性器にまだ直に触れていないのに、お互いそのあたりがムズムズうずいて、痙攣するようびくびく収縮と弛緩を言ったり来たりする。快感に喘ぐというより、それを予期して舌なめずりしているさまを思わせる。
「あ、ああっ……! く、っう……力ずくで、どうにかしようって……? この、後で覚えて、おき、な……ぅー……ぅ……!」
理性のタガも緩んでガタガタ耳障りになる。愛撫の応酬がさらに白熱してせめぎあう。男女の体格差が物を言って、手毬が押されがちになる。
「んひゅ、かは、ぁ、あッ……そこ、ばっかり……っ……ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」
「ここだと反応がいいの、気のせいかな……いや」
手毬が乳首にプロデューサーの指先をかすめられると、ぞくんっ、と首も肩もウエストも尻も脚も、それぞれが耐えるようにこわばる。それでいて彼が指を止めると、不満げに頬をふくらませる。彼の手の甲にかかるほど鼻息も荒くなる。彼女のあごから汗ともよだれともとれる体液まで彼の手に垂れて、くすぐったがらせる鼻息とないまぜになる。
「いま俺の見たい月村さんが、見れる気がして」
「ぃや、やぁ、あ……あっは、あっ……あう、あゃ、あ……!」
プロデューサーが手毬の背中側に回って、羽交い締めの体勢から乳房やお腹、恥丘をもみくちゃにする。手毬もヒップを勃起もあらわなペニスへ押しつけて反撃するが、しだいに反撃なのか反応なのかあいまいになる。
「はぅ、ほぁっあ……こ、こんなんじゃ、私、は……んぁっ……あああっ!」
「興奮してなんかいない、と?」
「え、ええ、こんなの、ちょっと変な気分に……違う、くすぐったいだけ、で……っ……」
「俺は興奮してますけど」
「ほんっと、あなた、は……ぁ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
手毬の細い腰が跳ねては、ずりずりとシートにシワを寄せる。ぴったりしていたヨガパンツからは、恥丘や内ももの震えも透けて見える。首を振るのにあわせて乱れる髪もさらにしっとりして背後のプロデューサーをくすぐる。タンクトップごしでも彼の手に拍動が伝わってくる。
プロデューサーが指3本で手毬の乳首をあらためてとらえ、タンクトップとこすり合わせるように摩擦する。
「ちっ違うから、私、は……ダメ、こらっ、あ……くひぃっ……!! ハッ、はァッ……」
「……俺がしたいだけですって」
「ダメ、そんな、無理……やすま、せ、っ……や、め……ぁ、あ……っ!」
「――っ、手毬……っ」
突然プロデューサーから強く抱きしめられる。緊張と安堵らしき何かに挟まれる。彼の腕と彼の胴体と、どちらがどちらか。
考える前に、頭が真っ白になる。
『……いやに静かねぇ……』
『……あぁ、手毬が立てこもって……ここだっけ……』
『……もうプロデューサーが……引っ張り出したんじゃない?』
倉庫の薄いドアと壁の向こうから、聞き覚えしかない2人ぶんの声がとぎれとぎれに、手毬の耳も聞きつける。
『……オフなのに……ご苦労さま……』
『……オフでサシで会うなんて……案外……』
突然の危機で、白飛びした意識が快楽ごと引き伸ばされる。いま2人がドアを開いてしまったら、いつか言ったり聞いたりした破滅がモノの例えでなくなるかもしれない――悪い噂が一つ増えるだけ、と自分に言い聞かせても甲斐がない。
「プロデューサー、鍵、しめ、た……?」
「倉庫に内鍵は……」
むしろ反動がついてしまったのか、たった一声呼びかけられるだけでもダメ、ともっと危うい心境へ転げ落ちる。火傷のように絶え間なく強烈な快感が離れない。静かに息を潜めて、と言い聞かせても体が止まらない。呼吸すらままならないのに、プロデューサーの拘束から外れている腰や脚がずるずるもだえる。
「手毬……その、おさえ、て……」
「ことねと咲季に見つかったら、まずい、の?」
肯定してほしいのか否定してほしいのかもわからないうちに、問いが出てしまう。
「当たり前、だろ」
声を抑えていなければならないのに、叫びたくてたまらなくなる。嬌声を殺すときより必死にくちびるを噛みしめる。
『……手毬も男と女だもん……バレてないうちは何があっても……』
『……はっきりしてないうちなら……言いたい放題、って……』
『……さぁね……』
プロデューサーが手毬を抱きしめる力は、手毬を身動きさせないほど強い。力加減も何もあったものではない。
手毬は痛くて苦しくて、しかし妙にしっくりくる。いまこうしてもらえてなかったとしたら、自分がどうなっていたかわからない。絶頂と錯覚するほど、苦しくて心地よくて何も考えられない。じわり、と秘所からあふれだすものを自覚してしまう。相変わらずバタバタする太ももを閉じる。それではとうてい隠しきれない。
もし何事もなく2人が倉庫の外から歩き去ってしまったら、そのあと絶対に犯される。気分だけ先走って体だけ濡れて高ぶって、永遠のように焦らされる。
「……行っちゃった、か、な……ふ、ふふっ、さすがのプロデューサーもぞくぞくして……あっ……♥」
ぷつん、と切れたようにつぶやく。
押し倒される。ギラギラした顔つきで見下ろされる。
「手毬」
「また、調子に乗ってるようね」
「あんなとき、まで……誘いやがって……!」
プロデューサーが手毬の先走りに追いすがってくれる。
「カロリーは計算できても性欲は計算できないんだねぇっ」
「終わったらシイタケのフルコースをごちそうしてやりますよ」
「は?」
2人であまりに行き過ぎて、茶化さなければ壊れてしまいそうだった。
※
「こうするの、けっこう恥ずかしいし、勇気がいるんだよ……男の人には、わからないだろうけど」
ドアの向こうに人の気配がないことをもう一度確かめて、ただれた笑いをこぼしあって、すぐあとに手毬があお向けに寝転がってプロデューサーを見上げる姿勢をとった。
「脚、もうちょっと閉じてくれないと……これ伸びちゃうぞ」
「そうね……でも、脚閉じたらキツくなって……早く終わっちゃうんじゃないかな」
「……そうだろうが……1回しか突っこまれたことがないとは思えないお言葉で」
「突っこまれたことがないだけよ」
媚びとも挑発ともとれる視線を投げ上げる。彼の手でヨガパンツをウエストから太ももまで引き下ろされる。
「こんなときも用意が良いね」
「……ナマはさすがに」
ゴムをかぶせて安全ぶった勃起ペニスがじりじり迫ってくる。避妊してようがじゅうぶん危険物だろう、と皮肉る代わりに、手毬は抱え上げられた脚をパタパタ揺さぶる。
挿入されたら久しぶりで、彼に処女を捧げてやったとき以来となる。ズルズル肉体関係を続けていたが、そこだけどちらともなく一線を引いていた。
「でも……こんな汗臭い私に興奮しちゃうんだ、ケダモノみたい」
「そういう手毬だって、いつのまにか……」
肌の奥の興奮がとろけそうな具合になっている。直前の破滅寸前の火傷のようだったころより、プロデューサーを感じやすい。否応なしに理性を蹂躙するほど強くないが、いつともなしに理性を腐食させるほど心地よい。
「もう気にしてられないよ……ほぐれてるでしょ、早く」
プロデューサーの手が、手毬の秘所の入口を指でぴらぴら開いてくる。ペニスの狙いがずれない程度にパタパタ脚を揺さぶりながら、ついに挿入される。
「ふわぁっ……!? んくっ、はっ、はぁう……ぁ、ァ、あ゙、ぉ……♥」
手毬が思ったより、ペニスはゆっくりと腟内を進んでくる。まっすぐというよりは小刻みに位置をずらして、本当に弱いところも、ほどほどに気持ちいいところも、まんべんなく刺激してくる。
いたずらしたくなって、いきなりぎゅうっと腟内を引き締めてやる。
「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゙……っ……!?」
「んひぃっ、お゙っ……あはっ、ぷろ、でゅーさーも……そんな声、出しちゃうんだね……」
「なにがほぐれてるでしょ、だよ……!」
ズルズル引き抜かれ、ぐいぐい押し入られる。
「あひぃっ、んぐぅっ……いやぁっ♥ こんな、おく、まで、ぇ……っ……」
「……ぉ、お、っ、しま、る……!」
手毬が緊張をぐずぐずにほぐされて素直に快楽を吐露していくほど、プロデューサーが快楽をこらえて必死で息を整えるようになる。
「あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ♥ あっ……はぁっ……」
「ずいぶん、こってりした嬌声だなぁ……」
「聞けてうれしいでしょ、プロデューサーは」
ペニスが根本あたりからびくりと震えてしまう。射精されそうな気がしたか、手毬の膣肉が波打ってひくつく。
「ふふん、プロデューサーだって、けっこう単純なんだから……はぁうっ!? くっ……ひ、ひた、かんじゃう、よっ」
「手毬が……このっ、煽りやがって」
「こんどは私のせいか……それなら、しょうがないね……♥」
手毬が両かかとで彼の尻を叩いてくる。膣肉のしまり具合がきりきり変わって、プロデューサーの射精衝動を引き上げる。
プロデューサーが容赦なく体重をかけてくる。奥底にしっかりと亀頭が居座っているのに、さらにぐりぐりとねじ込まれる。そうされている手毬も膣奥が不思議と敏感になる。あんなにガチガチなのにペニスの先はけっこうやわらかい、と感じて妙に笑えてくる。
「ん、んぎゅっ♥ きゅぅ……こっ、こぇ、でちゃ……見つかっちゃったら……あ゙ゅッ♥ んぅッゔっ、ゔっ……っ!」
「……俺には見られてもいいってのかよ」
「ぁ、は……見たかったんでしょ……あなたなら、見せても良かったし……って、私がこんなこと言うなんて、ね、おかしいっ、ひ、ひひっう……♥」
プロデューサーは笑うどころではない。手毬が笑ってお腹に力が入ると膣内まできゅうきゅう強く締めつけてくる。
「はぅ、ほぁっ、はぁっ……あなた、だって、ねぇ……自分は裏方ですからーって顔なだけ、で……自分だけ、特別って……お、ぁ、んぁあ゙……ッ♥」
ぶちゅ、ぶちゃ、じゅばっ、と抜き差しも結合部も水音でうるさくなる。その勢いに流されてか、手毬が歌うようにささやく。彼が言葉にならない呼吸をぜぇぜぇと乱しながら、最奥から数センチばかり引き抜いて戻してコツコツと刺激を重ねてくる。
「私の、こんなところ見られるの、あなただけ……なんてっ、想像して……ふ、ふふっ、あははっ……聞かせてあげただけで、びくびくってシちゃってる、でしょ……♥」
「……このトークスキルの半分でも、ふだんに発揮できていれば……とも思いますが」
「そんなんだから、プロデューサーなんでしょ……ただのアイドル好きだったらサイリューム振ってるほうが楽だもんっ」
一瞬、プロデューサーの脳裏に抗弁が浮かぶ――手毬だって、憧れているだけだったらこんな――快楽に押し流される。
「でも、ムダだよ……私におちんちんズポズポしながらそんな顔して……私のこと、独り占めしたいって書いてるっ、いけないんだ~、みんなのアイドルをっ」
「……コメントを気にしなくなったと思ったら、こんどは……う、ぐ……っ!?」
「あっはは、破滅しちゃえ、破滅破滅っ……ッお゙ッ♥」
「……っく、手毬のは自滅だよ、自滅っ……!」
手毬が脚を閉じたままの抜き差しは、彼女にとってもプロデューサーにとっても摩擦と快楽がひたすら強烈になる。
「あ、や、ちょ……そぇ、だめ、感じ、すぎ……あっ、ぉっ♥」
「知るかっ」
「んぉおおおっおお゙お゙っっ……!」
苦しくて押しつけがましくて甘ったるくて深い絶頂が、近づいたり遠ざかったりを繰り返す。それで勝手に抜き差しも、のたうち回りながら限界へ近づいていく。2人の言い合いがだんだん濁っていく。
「手毬……この、もう……くっ……ああ、で、る……!」
「お、お、く、や、め……ちょ……ぁ、あ、い、イク、ぅま、またっ、あ゙、あ゙っぉ……ッ……♥」
手毬の膣奥が奥でなくなりそうなほど痙攣して、ぶじゅ、じゅば、と勢いよく淫水を吹いてプロデューサーのシャツやスラックスまで濡らした。
「あはは、どうするの……プロデューサーまで、濡れちゃって……ふ、ふっ……♥」
プロデューサーが自分の着替えをどうしようか考え出すまで、もうしばらくかかった。
※
「よーし……月村手毬はクール系アイドルよ、みんなにそう認めさせるの、また明日から……やってやるわっ」
プロデューサーが持参してぬるくなっていたスポーツドリンクを飲んで人心地ついたのか、手毬は高らかに宣言した。
宣言は、びちゃびちゃになったシートを畳んでいた彼まで届いた。
「これコインランドリーのがいいでしょうか」
「ちょっと! 人がせっかく気合い入れてるのにっ」
プロデューサーは、宣言を強がりか照れ隠しかと思っていた。
「俺も寮暮らしなんで、目立つ洗い物は……」
「私が着替え買ってこなきゃ、プロデューサーはその濡れ濡れのまま外に出ることになるんだよ?」
「……頼みますよ、外を歩ければなんでもいいんで」
「近くにユニセックスあったかな~、女装でもいい?」
「……こんどから俺も着替えを用意しておかないと」
「ゴムだけじゃなくねっ」
担当プロデューサーと隠れてセックスにふけった後片付けの最中に、本気でそんな宣言をすると思っていなかった。
「月村さん、さすがにアイドル4年目だなぁって」
「何をいまさら」
「ハンドルもブレーキも壊れてるけど、アクセルは確かだ」
「ほめるんなら、ちゃんとほめてくれる?」
「月村さんのお陰で、俺はプロデューサーやれてるかもしれません」
手毬がドアの向こうをうかがって、ぎこちない引き心地を味わいながら開扉した。
「ただのプロデューサーじゃなくって、トップアイドルのプロデューサーのつもりでね」
残り香が、からり乾いた秋風と混ざって消えていった。
(おしまい)