【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を! 作:レイトカマー
もう喉がカラカラです。
カズマに手を伸ばして甘える様にそう言うと、マジックバッグから取り出した果実水とワインを混ぜた酒精の少ない飲み物を、口移しで飲ませてくれました。
この柑橘の様な甘酸っぱい味は、噴水の広場の屋台でお昼を食べたときに飲ませてもらった弱いお酒ですね。
ぬるまったくなったお酒を口移しで注がれると、横になったままでもコクコクと飲み込めてしまいます。
もっとと目で強請ると、ニヤリと笑ったカズマはお代わりしてくれました。
でも、大丈夫なのでしょうか?
ただでさえ力が抜けてしまってぐったりしてるのに、酒精が弱いと言ってもお酒ですから、果たしてこのまま屋敷に帰れるのでしょうか?
不安になってそれを尋ねると、カズマは『大丈夫、大丈夫』と言って笑いながら私の胸の膨らみを手の平で覆って、柔らかいなあ綺麗だなあと褒めながら撫でたり揉んだり舐めたりしています。
もうっ、そんなにされたら帰れなくなっちゃうじゃないですか。
バスタブの中で後ろから抱かれたままで隅っこまで洗われて、更にぐったりしたところで服を着せてもらって、それでもなんとか階段を降りて出口から通りに出ましたが、もう体中が蕩けてしまって、このまま道にへたり込んでしまいそうです。
どうして洗うのにも服を着せるのにも、そんなに触って撫でて揉んで、舐めるのですか?
カズマはそんな私の手に指を絡ませて、ドレインタッチの逆で魔力を送り込んでくれますが、これって魔力枯渇じゃありませんから全然効かないっていうか、体中にカズマに気持ち良くされた記憶が蘇って、もっと力が抜けてしまいそうです。
もうちょっとだから頑張ってくれと耳元で囁きながら、辺りに人気がないことを確かめたカズマは、私を抱き上げて一瞬で屋敷の裏手に跳んだんです。
そして何食わぬ顔で玄関に回ると、『ただいま~』といつもの様な大きな声をかけて入って行きます、私をお姫様抱っこしたままで。
一体どうするつもりなのでしょう?
私たちの関係は、暫くは内緒にするんじゃなかったのですか?
訝る様な目を向ける私に、カズマは片目を瞑って見せました。
『今帰ったぜえ、居間に』と、訳の分からない事を言いながら、キョトンとした目で見ているアクアとダクネスの前を横切って、私を抱っこしたままで暖炉の前のソファーに運んで行くと、クッションを枕にする様に寝かせてマジックバッグから取り出したブランケットを掛けてくれました。
そして、アクアたちから死角になっている背もたれの陰で、私の唇に内緒だぞとばかりに人差し指を立ててから、音が出ない様に吸わないキスで唇を重ねると、すぐに立ち上がってアクアたちの方に歩いて行ってしまいました。
「カズマ、めぐみんはどうしたんだ?」
ダクネスが、状況がわからないといった風で、疑問を投げ掛けています。
「ああ、噴水の広場で昼飯食ったときに、屋台で売ってたから味見してみたんだ。アクアとダクネスの分も買って来たから、グラス出してくれ。酒精も少なめだからお茶代わりに結構いけるぞ」
ゴトゴトと酒瓶をテーブルに並べる音が聞こえます。
なるほど、わかりました。今回はそういう設定なのですね?
カズマがクリエイトウォーターとフリーズを唱えているから、氷を作っているんでしょうね。
「確かにこれは美味しいな。お前たちは昼間っから飲んでたのか?」
「ねえ、めぐみん。いくら美味しいからって飲み過ぎちゃだめよ。昼間のお酒はねえ、自分が思ってるよりも随分と回るものなのよ。ただでさえ隠れてブンブンしてる狼と一緒に出掛けたのなら、用心しないと食べられちゃうわよ」
いまだにその『ブンブン』の意味がわからないのですが、ひょっとしたら聖剣エクスカリバーの素振りか何かなのですか?
そうだとすると、ええと凄かったですね、思いっ切り食べられちゃいましたね。
もう腰が立たなくなるくらい。
皆からは見えないソファーの背もたれの陰で、熱くなりそうな頬を両手で押さえて、えへへと密かに悶えてしまいました。
「めぐみ~ん、悪かったな。晩飯の支度は俺一人で大丈夫だから、そのまんま休んでてな」
カズマがあっち方面ではタフだったということを、この身をもって知りました。
それにしても、あんなにシタのに疲れてはいないのでしょうか?
私は、疲れた‥‥‥というより、突かれて蕩けちゃったんですけど。きゃっ♥
私の体を、休んでなければいけない状態に追い込んでしまったカズマは、きっと後ろ手を振りながら台所に向かったのでしょう。
私は『ちょっと酔っ払っっちゃいましたあ、てへっ』と、如何にも酔っ払いみたいな口調で、ごめんなさいお願いしますねえと返事をしました。
アクアが、振るのは手だけにしときなさいよと言っているから、やはりあの晩にカズマは素振りをして見せたのですね。
それって、私のおなかの中でやってみせたのと同じなのでしょうか?
いつの間にか眠っていたみたいです。
ご飯だぞと言って、バスローブ姿のダクネスが起こしてくれました。
「私とアクアはもうお風呂に入ったから、めぐみんはどうする? 食事を済ませてから行くなら、後片付けは私たちでやっておくぞ?」
「いえ、ありがとうございます。もう、大丈夫ですから」
「そうか? 無理はするなよ、私だって家のことは薪割りくらいしかしてないのだから、食事の後片付けくらいはどうってことないぞ? 最近はいつもカズマとめぐみんがやってくれるから、偶には甘えてくれ」
どうしたのでしょう? いつになくダクネスがイケメンです。
それになんだかいつもより胸元が開いてませんか?
ははあ、このお嬢様は私の真似をしてお風呂上りをバスローブ姿で過ごす様になってから、何かとあの人に向けてアピールしてますもんね。
そうですか、それなら乗ってあげようじゃありませんか。
今日はずっとあの人に乗っかられていたこの私が。
おそらくあの人は、今日は撃ち尽くしたはずですから、賢者ではなくても紳士に近いと思いますよ。
「わかりました。それなら今日は甘えさせてください」
「うむ、わかった。任せてくれ。さあ、ご飯だぞ」
よろよろと起き上がって食卓につくと、既にアクアは出来上がっていました。
お風呂上りの水色のバスローブが、あっちこっち危ないことになっています。
ちなみにダクネスのは黄色で、私のはピンクなんですけど。
カズマが売った技術で、バニルが大儲けしてウィズがそれを帳消しにしている、今ではアクセルの人気商品の一つです。
すっかり私たちも嵌ってしまって、お風呂上りから寝巻に着替えるまでの間は、タオル地のバスローブで過ごすことが普通になってしまいました。
最初は少し恥ずかしがったララティーナお嬢様でしたが、最近はカズマの気を引くために色々と工夫を凝らしているみたいです。
カズマの視線を観察していると、時々ダクネスの胸元やお尻やおみ足に走るのがわかりますが、不思議なことにアクアには全く反応しないのです。
カズマはダクネスの胸部装甲はあくまで観賞用だと言ってましたから、恋人である私はその言葉を信じたいと思います。
でも、カズマの意識を釘付けにしているのは、実は私のバスローブ姿なんです。
その秘密はというと、実はお風呂上りに時々穿き忘れちゃうんですよね。
いつもお風呂に入ってから夕食を食べて、台所の最後のお片付けと明日の朝ご飯の準備は、カズマと私の二人でやってるんです。
もちろん、私はバスローブ姿で、たすき掛けで袖捲りして。
ほら、お水が飛んで濡れても、どうせ寝る前にパジャマに着替えますから。
その後でカズマはお風呂に行くんですが、捲っている袖口から手を差し込んで、私の胸にご挨拶しながらお休みのキスをしてくれるんです。
その時に私が穿き忘れていたなら、今夜はカズマのベッドで待ってますよという秘密の合図だったりするので、確認のためにお尻を撫でることを欠かしません。
もちろん毎晩お風呂上りに穿き忘れるなんてことはありませんが、カズマの方が待ってて欲しいと思ってるときは、その場で剥ぎ取られちゃいますね。
「おふぁよふ、めぐぅみぃん。カージュマしゃんとぉ買ってきてくれぇたぁ、このおしゃけ~けっこうきくわぁ~」
「アクアは、一体どうしたんですか?」
「コイツ、俺が料理してる隙に、ラムレーズンを作るために今日買って来たラム酒を空けちまいやがったんだよ」
「あれをひと瓶ですか? ドワーフだって腰が抜けちゃうって、酒屋のおじさんも言ってたじゃないですか」
「ああ、ウチにもドワーフがいたんだよ。後で顔に髭でも描いてやろうぜ」
「にゃんでよう~、わらしはめがみしゃまにゃんだかりゃあ~、ひぃげにゃんか、生えりゅわけにゃいでしょうが~、にぇえ、しょうでしょう? だくねしゅう~」
「おい、アクア。だから、襟を引っ張るなと言っているだろう?」
ああ、それでダクネスの胸部装甲が、今にもポロリしそうになってたんですね。
「でも大丈夫なんですか? 空きっ腹でお酒を飲んだらいけないんでしょう?」
「ああ、作った端から摘まみ食いしてやがったから大丈夫だ。先にコイツを片付けてから晩飯にしようぜ。俺が配膳しとくから、めぐみんもダクネスを手伝ってな」
「その方が良いな。ほら、アクア、行くぞ」
「にゃによう~、わらしはよっぱらってにゃんかいにゃいわよ~」
「酔っ払いは皆、そう言うみたいですよ」
水色の酔っ払いは、ダクネスにお姫様抱っこで運ばれて、自室のベッドに無事収容されました。
その後は三人でたわいのない話をしながら食事をしましたが、私はお昼に飲み過ぎて酔っ払ったという設定ですから、お酒はちょっとしか飲んでいません。
設定とは言っても、そう見える様に割と飲んじゃったんですよ、口移しで。
後片付けを二人にお任せして、今日は三度目になるお風呂に行きました。
最初は買い物を兼ねたデートで街を巡ってから、商店街の裏通りのご休憩処で。
そこはほら、愛してもらうのに汗臭かったら恥ずかしいじゃないですか。
二度目も同じバスタブで、思いっきり掻いてしまった汗を流してもらいました。
だから三度目は、まあ入りましたよというアリバイ作りですね。
だって、二度目で隅々まで洗ってもらいましたから。
それにしても今日のカズマったら、私を本当に滅茶苦茶にしてくれました。
どうしても見たいって言うから、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいのをぐっと我慢して見せてあげたのに。
いきなりですよ。
顔を埋めて口づけされちゃったんです。
え~と、その前に優しく丁寧に体中を愛撫されて、おとなのキスでとろとろにされてましたから、頭もぼうっとしてて抗う気力もなかったんですけどね。
あんな恥ずかしい格好をしたのも初めてでしたし、じっくりと見られただけじゃなくて、口づけされて、舐められて、しゃぶられて、それも徹底的に執拗に。
それに、あんなに感じてしまうとは思ってもみませんでした。
ぎゅっと閉じた瞼の内側に火花がバチバチと散ったみたいで、脊髄を駆け上がってくる甘くて痺れる様な感覚が体中を駆け回って、頭の中が真っ白になって、息も吸えないくらい苦しくて。
自分の体じゃないみたいに勝手に震えて硬直してるのに、頭も体もまるで溶けてしまった様に思えて、そのまま奈落の底に落ちて行く様な浮遊感まで覚えてしまったんです。
イクという感覚は知りましたが、さすがにここまでのは無かったですね。
爆裂魔法を撃つのに練り上げた魔力が体に満ちる時の高揚感と、その魔力を一気に放出する時に感じる陶酔と、そして余韻が堪らないのですが、カズマに抱かれてイッた時も同じくらい気持ち良かったんです。
つまり何が言いたいのかといいますと、今日のは爆裂魔法の何倍も気持ち良かったんです。
その気持ち良さに浸っている時間は、魔力を練り上げる時間とは比べ物にならないくらい長いですから、これはもう気が狂っちゃうんじゃないでしょうかと思えるくらい、体も頭も快感に晒されて支配されてしまったのですよ。
でもこれって、舐められてしゃぶられただけで、ということですからね。
確かに指で触られただけでイッてしまったことがありますというか、実は毎回イカされているんですけど、唇でとか舌でとかと何が違うのでしょうか?
見られていることを自覚しているから、それが恥ずかしいからなのでしょうか?
確かに気持ちのあり様で感じ方は違うのかもしれません。
裸のときにカズマに体中を触られるのと、バスローブや服の隙間から手を差し込まれたときでは少し違う様な気もしますし、服の上からのときもまた違います。
あれでしょうか? どきどきしていれば、羞恥心が乗っかれば快感が増すとか?
確かにカズマと二人っきりのときのキスと、アクアやダクネスの目を盗んでキスするのとでは、気持ち良さが違っているような気がします。
え~と、つまりはバフなのですね?
いわゆる『支援』されて威力が増すということでしょうか?
それなら腑に落ちるというか納得できると思います。
では、その仮説を証明するにはどうしたら良いのでしょう?
学校で習った知識をもとに考えるのなら、あっ、学校ではそんなこと習いませんからね、あくまでも仮説の証明のしかたですからね。
なぜに仮説を証明したいかというと、定説として普遍不動のものとしておけば、それを基にして応用の道が開けるからです。
どうやらカズマもそうやってオリジナルの魔法を組み立てているみたいですし。
では、この『バフ』が『気持ち良さ』に与える効果を検証するには、量的な側面を見るか、質的な側面から調べるかということをまず決めなければいけません。
その前に、『バフ』自体も単一なのか複数なのかを論じなければいけませんね。
今のところ『バフ』として挙げられるのは、『どきどき』と『羞恥心』です。
しかし、羞恥心はわかりますが、恥ずかしくてもどきどきしますよね?
つまり、恥ずかしいというのは心のあり様で、どきどきするのは心臓の鼓動が元の比喩ですから、即ち肉体的な反応であり、ある種の興奮状態とも言えます。
それなら、どんなときに『どきどき』するかで分類が可能だと思います。
え~と、バレるんじゃないかしらと思ってるときは『スリル』ですね。
スカートの下に何も穿いてないとか、アクアやダクネスの目を盗んでキスするとか、二人が寝静まってからカズマの部屋で愛を確かめ合っているときなんかです。
期待に胸膨らませているときも『どきどき』しますよね?
これは『期待感』で良いと思いますから、例は挙げなくたっていいですよね?
ええ~っ、一つくらい挙げなさいって?
もうっ、キスされたり、台所で触られたり、紐を結びながら穿くときでっす!
と、その時に浴室のドアがノックされました。
曇りガラスの向こうに黄色い影が見えますからダクネスです。
「私だ、後片付けは終わったからもう寝るぞ。カズマもお風呂が空くのを待ってるから、脱衣所には鍵を掛けておけよ」
「は~い、ありがとうございます。私はもう上がりますから、カズマに教えてあげてください」
「そうか、わかった。じゃあな、お休み、めぐみん」
「お休みなさい、ダクネス」
行っちゃいましたね、そうですか、カズマもアリバイ作りですね?
ではではと、ざばっと浴槽から上がって、ささっと体を拭いたら、浴室と脱衣所の灯りを落として、こっそりと脱衣所のドアから廊下の様子を窺って、人気が無いのを確かめたら、入浴中の札をひっくり返して。
おっと、浴室の灯りが点かない様に魔導照明の魔石を、絶縁っと。
はい、完璧です。
浴室の明り取りの小窓から月明かりが差し込んでいますから、目が慣れれば問題ありません。
待つこと暫し、脱衣所のドアがバタンと閉まる音がして灯りが点きました。
ちょっとどきどきしますね、あっ『バフ』がかかっちゃいました。
曇りガラスの向こうで緑色の影が揺れて鼻歌が聞こえます。
どこの音楽なのでしょうか?
「あれ? 点かないな、魔石切れか? しゃあねえな、明日交換しなきゃな」
そして浴室のドアが開くと、前も隠さないで入ってきました。
ちゅんちゅん丸のシルエットが、ぶ~らぶ~らと揺れています。
私は浴槽の隅っこで呼吸できる限界まで沈んで、息を殺しています。
「月明かりだけでもなんとかなるもんだな」
この人、割と独り言多いんですよね。
「さてと、今日は温まるだけでいいか」
そうですよね、三回目ですし。
私もそうしましたから、洗ってから浸かりなさいなんて言いませんよ。
スタスタと浴槽の前までやってきて、桶で浴槽のお湯をざばざばと体に掛けたらそのまま乱暴にザブンと。
いきなり波が襲って来たので、息を止めて目を瞑ったら‥‥‥
肩を掴まれて抱き締められました。
「きゃっ!」
「つ~かまえた、待っててくれたのか?」
「えっ、どうしてわかったんですか?」
「俺は恋人感知が使えるの。潜伏でも使ってない限りは丸わかりさ」
「本当ですか? いつの間に? でも、そんなスキル、聞いたこともありませんよ? また編み出したオリジナルですか?」
「スキルじゃないぜ、ほとんど直感」
「なんですか、それ?」
「願望の為せる技。めぐみんの顔を見たいな、抱き締めたいな、キスしたいなと思うと、たちどころに居場所がわかるのさ」
「それを今使ったんですか?」
「いかにも、めぐみんの裸を見たいな、裸のめぐみんを抱き締めたいな、めぐみんのあそこにキスしたいなって」
「もうっ、カズマのえっち!」
「はいカズマ、えっちです。大好きなめぐみんにえっちなことしたいです」
「今日は三回もしたじゃないですか」
「どこで? どんな風に? その記憶は正確?」
「何言ってるんですか、商店街の裏通りの休憩処で、最初はソファーで、二回目と三回目はベッドで、憶えてないんですか?」
「もちろん、微に入り細に入り憶えてる。めぐみんの肌の感触も、おなかのナカの気持ち良さも反応も。う~ん、可愛かったなあ」
「もうっ、ばかあ、カズマのいじわる!」
口に出せない様なこといっぱいされて、また腰が立たなくなってしまいました。
どんなに気持ち良くても、やっぱり用法用量は守らないと駄目ですね、てへっ。