※この作品はR-18です。

【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を!   作:レイトカマー

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第36話 この媚薬まがいのお酒に下心を!

 今宵は満月、あの怪しげな店員からもらった仮面を付ければ、お肌ツヤツヤの絶好調な気分で、腹の底から沸き上がる高揚感で笑い出してしまいそうだ。

 

 胸の前で手を組んで『So Cool!』と紅いお目々をキラキラさせて見送る恋人に、然らば行って参ると片手を上げて、芸達者のスキルの一つ『軽業師』を起動せん。

 二階の窓など何のその、音も立てずに着地して、門柵なぞ如何ほどのもの、軽々飛び越え風の如く駈け出す‥‥‥必要はなかった。

 

 お頭は立ち止まって待っていた。

 

「さて、助手君。話があるんだけど、聞いてくれるかな?」

 

 お頭がこのタイミングで来たってことは、やっぱあの件しかないだろうな。

 だから、わざと目の前でめぐみんとキスして見せたんだが。

 

「それじゃ、どっかの酒場にでも行きますか?」

 

「う~ん、ちょっと深刻な話なんでね、邪魔が入らない静かな場所で聞いて欲しいんだ。あっ、あそこは駄目だからね」

 

「あそこって?」

 

「商店街の裏手に建ってる元倉庫、助手君のアジトなんだろ?」

 

「アジトだなんて人聞きの悪い。街の経済発展のために投資したんですよ」

 

「二号館も大した人気だそうじゃないか、随分と儲かってるみたいじゃない?」

 

「そっちの経営には一切関わってませんよ。アイディアの利用も対価を求めていませんし、儲かっているなら街の人の仕事も増えるから、治安も良くなるはずです」

 

「うん、確かにダクネスもそう話してた。税収の面でも治安維持にも貢献してるって、それはもう嬉しそうにね」

 

「そりゃあ領主代理の為政者としては嬉しいでしょ? それよりも、これを着てくれませんか?」

 

「ローブかい? 随分と地味だね」

 

「夜とは言え、義賊の盗賊団が目立つ格好でうろついてちゃ不味いでしょ? 領主代理のララティーナお嬢様も、義賊の少年の正体を誤魔化すのに苦労なさっておられるんですから、少しは気にしてくださいよ」

 

 マジックバッグから取り出した二次試作の茶灰色のローブを手渡し、俺も纏ってフードを目深に被って見せた。

 お頭はローブに仕込まれた魔法に気付いたようで、表裏引っ繰り返してみたり、月明かりに翳してみたりと色々試してから袖を通した。

 

「ふ~ん、色々と工夫してるんだね、さすがは助手君だ」

 

「一応昼間でも不自然には見えませんが、俺のスキルじゃ防御面の機能は付与できませんから、隠密行動に徹する必要があるときに使ってください。第一お頭の格好は目立ち過ぎるんですよ。冒険者としては目立ってナンボなんでしょうけど、義賊のときも覆面だけってのはいくらなんでも迂闊過ぎってもんですよ」

 

「そうかい? ありがとう、遠慮なくもらっておくよ。それで、どこいく?」

 

「とっておきの場所がありますんで、俺の肩を掴んでください」

 

 めぐみんみたいに抱き寄せたいとこなんだけど、警戒されるとメンドクサイし、お手々繋いでじゃ、もっとメンドクサイこと言い出しかねない人だから、ここは大人の盗賊団ってことで妥協点なわけ。

 

 そう言って背中を向けると、訝しがりながらもお頭は俺の左の肩を掴んだ。

 その手に俺の手の平を重ねたのは、驚いたお頭が途中で手を離してしまったら、あのポンコツなトイレの駄女神さまの手品みたいに、どっか知らないところへ飛ばされてしまうから。

 

 そして脳内でイメージする様に高速呪文処理が実行されると、ほんの一瞬でここ最近俺の工事現場になっている岩山の斜面に立っていた。

 

 

 

「えっ? ここドコ? 今、何したの?」

 

「フハッ、フハッ、フハハハハハハ~、驚いたであろう? 驚くが吉である。男子三日会わざればと言うであろう? 刮目して見よというわけであ~る」

 

「何なの、テレポートとは違ったよ? それにしても何だか腹が立つ笑い方だね」

 

「フハッ、フハッ、フハハハハハハ~、吾輩のオリジナルであ~る。テレポートと違って大して魔力は必要とせぬのだ。ここは誰にも秘密の吾輩のアジト、目下鋭意建設中であるからして、余人を交えぬ密談には絶好の場所なのであ~る」

 

「その高笑いは仮面のせいなの? 口調も気持ち悪いし、何だか癇に障るから止めてくれる? 街の灯りも見えないし山の上みたいだけど、どこなのここ?」

 

 月下で仮面を付けると自然に零れてしまうんだが、お頭には受けが悪い様だ。

 すごすごと仮面を外してローブも脱いで、マジックバッグに仕舞った。

 

「アクセルの街からだと徒歩で一日掛かりって距離です。半分くらいは森で、道もありませんから、どれくらい歩けば着くのか全然見当も付きませんけどね」

 

「そんな所にあたしを連れ込んで、どうするつもりなの?」

 

「邪魔が入らない静かな場所で聞いて欲しいんでしょ? ここなら泣いても叫んでも聞く人は誰もいませんから」

 

「助けも来ないんだよね?」

 

「もちろんです。それでは中にどうぞ」

 

 俺が指をパチッと鳴らすと、崖の岩肌に鋼鉄製の扉が表れた。

 周囲の岩肌に擬態する魔道具を嵌めてあるんだが、これもあの魔道具店の不良在庫の一つで、木造家屋だろうが街中だろうが、岩肌に擬態することしかできないという優れものだ。

 

「うおっ、岩肌に鉄扉。ダンジョンなの?」

 

「まさか、只の洞窟ですよ」

 

「そんな所にあたしを連れ込んで、何するつもりなの?」

 

「あんなことや、そんなことです。泣いても叫んでも無駄ですが、お頭の腰にマジックアイテムのダガーが有る限り、それこそ無駄ってもんでしょ? いくら俺が成長したと言っても身体能力なんかしれてるんですから」

 

「あたしも地上ではか弱い乙女なんだよ?」

 

「はいはい、そういうことにしときましょうね。さっさとお入りください」

 

 ぞんざいにお頭を招き入れて鋼鉄製の扉を閉じると足元に仄かな明かりが灯り、微かな光を頼りにゴツゴツとした岩肌が剥き出しの狭い洞窟を進むと、行き止まりの壁に付けられた木製のドアが目に入る。

 

 その結構ゴージャスなドアを開けると、魔道具の照明が点灯して玄関ホールとでも呼ぶべきぴかぴかに磨き上げた花崗岩の洞窟が照らし出された。

 シャンデリアでも吊るせば、そんじょそこらの貴族の屋敷なんかより豪華に見えるんだろうが、生憎と俺にそんな趣味はない。

 

「わ~お! どこの宮殿だい? どうやって造ったのさ?」

 

「石工のスキルも取ってるんですよ。王都でクリエイトゴーレムも取得しましたから、岩盤の掘りたい所をゴーレムに変えて、自力で出て来させれば洞窟の一丁上がりってわけです。この玄関ホールで一日掛かりってとこですね」

 

「こいつは驚いたね。そんな魔法の使い方する人、見たことも無いよ」

 

「こっちの世界の初級魔法は便利機能の宝庫ですよ。日本人の現代知識と組み合わせれば何でもできそうな気がしますね。さあ、こっちが応接兼居間です。お好きな所に掛けてください。お茶で良いですか?」

 

「あ、うん、ありがとう。凄くシンプルだけど落ち着いた雰囲気だよね」

 

「まだ機能優先で必要な物しか持ち込んでませんからね。ここには絨毯を敷いて、ソファーとローテーブル、それから暖房用の魔道具を置いただけです」

 

「窓は無いんだね」

 

「岩山の斜面を刳り貫いた秘密のアジトですからね。夜に光が漏れたら一発で場所がバレちゃうじゃないですか」

 

「それもそうか、だから玄関ホールまでの洞窟は足元の灯りだけで、ドアも二重になってるんだね。入り口の鉄扉は?」

 

「魔獣の侵入を防ぐためと、剣や斧で破られない様にです。どうぞ、お茶です」

 

「ありがと、家具や絨毯は?」

 

「王都で買ったものですよ、俺にはこれがありますから」

 

「ああ、砦の防衛戦で活躍したご褒美にもらったマジックアイテムだね?」

 

「重宝してますよ。今じゃどこに行くにも手ぶらですから」

 

「それで、人里離れた山奥にアジトなんか作って、何をするつもりなの?」

 

「今のところは、魔道具や便利グッズの開発ってとこですかね、元々引きこもりでしたから、引きこもれる場所が無いと不安なんですよ。だからどっちかと言うと何かをするためじゃなくて、何もせずに引きこもるために作ったって感じですね」

 

「なんだか才能の無駄遣いの様な気がするね。さっきのテレポートみたいな魔法にも驚いたけど、助手君のオリジナル魔法は元いた世界の知識が基になってるの?」

 

「こっちの世界で得た知識と、元々持ってた知識を融合したんですよ。惜しむらくはちゃんとした知識を身に着ける前におっちんじまって転生したもんだから、何をするにしても試行錯誤が必要なんです。もっと色んな事に興味を持って勉強しとけば良かったなって、今頃になって後悔してるんですけどね。もっともそんな真っ当な生き方をしてたら、あんなしょうもない死に方はしなかったでしょうし、ポンコツな女神さまの元に送られることもなかったんでしょうね」

 

「この世界に来たことを後悔してる?」

 

「最初の頃は山ほどしましたよ。でも、慣れてしまえば前世よりも生きてるってことを実感しました。俺にとってはこっちの世界が向いていた様な気もします。だけど、最初っからこっちの世界に生まれていたらと思うとぞっとしますね。でも、それすらも前世の日本の暮らしと比べたらってことですから、ズルしてるって自覚はありますよ」

 

「じゃあ、これからもこの世界で暮らしてくれるんだね?」

 

「それ以外の選択肢があるんですか? 仮にあったとしても、もう一度ゼロから始めるなんてとても無理ですよ。せっかく可愛い恋人ができたってのに、それすらも捨てろってことになったら、たぶん力の限り抵抗するでしょうね」

 

「そうかい、それを聞いて安心したよ。まあ、見せ付けてくちゃったもんね♥」

 

「羨ましいですか?」

 

「君って奴はねえ!」

 

「んじゃあ、そろそろ本題に入ってくれませんか? それとも酒でも出しましょうか? その方が腹を割って話せる様な気がしますけどね。それに、俺も色々と知りたい事っていうか、エリス様に聞いていただきたい話があるんですが」

 

「何だい、それ? お頭のクリス様じゃいけないのかい?」

 

「この世界の魔法やスキルについての疑問ですよ。ほら、ここに来た方法もそうなんですけど、この世界の理って色んな人たちが言ってる常識では説明の付かないことが結構あるし、アクアから聞き出した話とも微妙に食い違っている様にも思えるんですよね」

 

「だから、エリスなの? あたしだって仮の姿だけど、中身は一緒だよ?」

 

「エリス様なら、異世界から転生したての何も知らないガキを、ペテンにかけるような真似をされるとは到底思えないんで、そこんとこはご理解くださいよ」

 

「あれは悪かったって思ってるよ。でも、世渡りの厳しさってものも教えてあげないと生きていけないじゃん。第一、君はすぐに順応したじゃないか」

 

「そんじゃあ、あのときに初のスティールで奪ったものが、おパンツ様じゃなくて只の石ころだったら、お頭は俺の財布を返してくれました?」

 

「そ、それは‥‥‥」

 

「でしょう? こっちの世界の厳しさを教えるためには、心を鬼にしてでも現実と向き合わせなきゃって思いながらも、最後は教訓ですよって心優しそうなエリス様なら返してくれるんじゃないんですか?」

 

「実際に心優しいんだけどね。すると何、助手君はあたしの言葉は信じられないってことかな?」

 

「そこまでは言いませんが、エリス様は女神様なんだから嘘は吐けないでしょ? お頭なら全部は言わずに、事実の一部だけを使って上手に答えるでしょ? 違いますか? ここに跳んで来たのはスティールの応用ですよ。他にも色々と使い勝手の良い、俺は合成魔法って呼んでますけど、俺の様な魔力の少ない人間でも結構色んな事ができてしまってます。スティールは決してランダムに相手の持ち物を奪える魔法なんかじゃなかったわけです。そこに限定して言えば、少なくともあのときのお頭の言葉は嘘でしょ? エリス様がそんな嘘を吐くはずないですからね。俺が無意識の内に最も欲していたものを、俺は奪っていたんですよね?」

 

「それが女性のパンツだったってことだよね?」

 

「そこは否定しませんが、少なくとも目の前に素敵な女性が立ってて、何でも奪ってみろと言われたら、男として目指すべきは一つしかないと思うんですけど?」

 

「わかったよ‥‥‥、それじゃあ一杯もらおうかな? どうやら君とは、とことん話し合わなきゃいけないみたいだから」

 

「その前に、一つ確認しておきたいんですが、どうして毒も効かない女神様でも酒に酔ったりするんですか?」

 

「それはアクアさんのこと? あの方は水の女神様だから、どうにでもできるはずだよ。現世で受肉した状態なら毒も酒精も効くけど、もちろんそれに気付いた時点で無効化できるから、そこは敢えて酔ってるんじゃないの?」

 

「なるほど、何となく理解できました」

 

「でも、今の質問の意図は何なの?」

 

「どんな酒を出そうかなと迷ったんですよ。エルロードで色んな種類の酒を仕入れたんですけど、勿体なくてアクアには出せないのもあるんですよ。アイツときたらじっくり味わって欲しい酒でもカパカパ空けやがるもんで」

 

「ああ‥‥‥、何となくわかるかな。あの方にとってお酒ってそういうものだから。ある意味差別をしないんだよね。じゃあさ、君にとってお酒に失礼じゃないと思える吞み方ってどんなの?」

 

「そうですね、言葉にするのは難しいから、順番にやっていきましょうか?」

 

「あたしは話を聞いて欲しいんだけなんだけどね」

 

「だから、飲みながら聞きますって。俺がお頭と一緒に行くのをめぐみんが承諾してくれたのも、何の話だか薄々感付いているからですよ。はい、最初はこれです。何に乾杯しますか?」

 

 マジックバッグから取り出したショットグラスを二つ並べて、続けて取り出したボトルの封を切って透明な赤い酒を注いだ。

 

「宝石みたいに綺麗な赤だね、どんなお酒なの?」

 

「エルロードでは食前酒として良く飲まれていましたね。薬草を漬け込んだ酒で、血行を良くして食欲増進に効果があるそうです。少し苦みがありますが、これに慣れてしまうと甘いだけの酒では物足りなくなりましたよ」

 

「へ~、稼ぎが良くなって贅沢を知ってしまったんだね?」

 

「たくさん稼いだらたくさん使わないと、必要としている人のところまで回りませんからね。んじゃ、今宵のお月様にでも乾杯しましょう」

 

 

 

「つまり何ですか、ダクネスは毎日エリス様にお祈りしてると?」

 

「まあそういうことなんだけどぉ、答えようがなくてねぇ、困ってるんだぁ」

 

 お頭ったら、なんだか語尾が怪しくなってきましたなあ。

 この酒の酒精の強さはワインとそんなに変わらないけど、そこはほら薬草酒だからさ、色々と効能ってのが期待されてるわけよ。

 

 食前酒として飲まれてたのは嘘じゃないけど、さあ今夜は頑張るぞとか、どっからでもかかって来いやあって男女がね、むふふと嗜む酒なんだってさ。

 オカンなアクアに飲ませて何すんのって話だろ?

 

「だってそんな教義なんでしょ? 仕方ないじゃないですか、後は信仰を捨ててでも男を取るか、信仰を優先して諦めろよって話なんでしょ?」

 

「男の方が心変わりしてくれるとぉ、簡単なんだけどねぇ?」

 

「するってえと何ですか? NTRを推奨する教義であるとでも? あの慈愛溢れるエリス様の教えとはとても思えませんが、そうですかあ、略奪愛ですかあ‥‥‥」

 

「違う違う、例えばの話だよぉ。ねえ、助手君はめぐみんに操を立ててるのぉ?」

 

「俺はあいつを幸せにしてやりたいと、心から思ってますよ」

 

「含みのある台詞だねぇ、前みたいにぃ、誰彼構わず粉掛けるのは止めたのぉ?」

 

「何ですか、それ? 恋人欲しいっなって思ったら、男にとってはごく当たり前の行動だと思いますよ? 狙った娘から順番に行くか、遍く広く声掛けて反応がありそうな娘から行くかは人それぞれでしょうけど。少なくとも相手の娘も好意を持ってくれないと恋愛は成立しないんですから」

 

「ん~でぇ、今はめぐみんとぉ、相思相愛だとぉ?」

 

「ええ、少なくとも今の俺はそう思ってます」

 

「今の助手君ねぇ? あの娘のぉ豊満ボディにぃ目を奪われたりはしないのぉ?」

 

「正直言うと最初の頃はクラクラしましたよ。でも、今なら断言できます。慣れるんですよ、けしからんボディでも慎ましい肢体でも。それが愛する者の姿なら、どちらかでなければならないなんてことはなかったんです。もっと言えば、大切なのは相性なのかなって思ってます。めぐみんとなら、お互いに無理がないんですよ」

 

「要するにぃ、受け入れてしまえばぁ、好みも変わるとぉ?」

 

「そうとも言えますね」

 

「その理屈だとぉ、お互いに相性が良かったらぁ、そこで決まりってことでぇ、次の相手との相性をぉ、確かめたいって気持ちはぁ、なくなるんだよねぇ?」

 

「そうかもしれませんね。どうやっても嚙み合わない、譲れない、受け入れられないって事があれば別れてしまうこともあるでしょうけど、今のところ俺とめぐみんの間にそんなところは思い当たりませんから」

 

「ふ~ん、それならぁ、試してみようかなぁ?」

 

 白い頬に朱が差しているお頭は、悪戯っぽい眼差しでぺろりと唇を舐めた。

 美少女にこれやられると、ちょっとゾクリとするな。

 だがしか~し、今やリア充の俺はその程度の誘惑ではビクともしないのだ。

 ムクムクッとはしてるけど。

 

「何をですか?」

 

「今のぉ、助手君のぉ、決意の固さをぉってとこかなぁ?」

 

 そう言いながら立ち上がったお頭は、酒精が効いているのかふらふらとした足取りでテーブルを回って俺の前に立つと、くるっと背中を向けて俺の脚の間にストンと腰を下ろした。

 

 思わず腰を引いて股を広げたのは、お頭がいつも腰に吊るしているダガーが直撃しそうな位置だからなのだが、幸いにして俺の聖剣エクスカリバーと打ち合う事態には至らなかった。

 

 なんで?と向かいのソファーに目をやれば、ホルダーごと外して置いてあった。

 つまり今現在お頭は、武装解除した丸腰の丸いお尻を、俺の聖剣エクスカリバーの前に晒していらっしゃるのだよ。

 

「酔ってるんですか、お頭?」

 

「ん~~、そう見えるぅ? ほらぁ、グラスが空だよぉ、お代わりちょうだい」

 

 酔ってはりますなあ、気付いているけど無効化する気はないって事で良いのか?

 酌をしろと言われても、脚の間に座られちまったからテーブルが遠いんだよな。

 それなら、これも試されてるのか? 女神様の試練ってことか?

 だがしか~し、今やリア充の俺はその程度の誘惑ではビクともしないのだ。

 ムクムクムクッとはしてるけど。

 

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