【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を! 作:レイトカマー
人知れず愛を育む孤高の天才魔法使い、めぐみんです。
少しばかり私の胸の内を聞いていただけませんでしょうか?
メンドクサイ? そうですか、わかりました。
私には、あなたの端末のCPUが紅蓮の業火で焼かれる未来が見えるのですが‥‥‥
そうですかそうですか、気が変わったと? ええ、良い心掛けだと思いますよ。
ここ数日は魔獣ですら忌避する荒野の爆裂道場に籠って、愛するカズマに支えられて二人きりで過酷な修行に耐え、やっとアクセルのお屋敷に帰って来られたと安堵したところで、私たち常識人が目にしてはイケナイものを見てしまったのです。
故に私たちは気が付かない振りをして、そそくさと二階に上がろうとしたのでした。
「ち、違うんだよ、めぐみん。こっ、これは、ダクネスに頼まれたからで、決してそんな趣味を持ってるわけじゃないんだよ。お願いだから、そんな痛い子を見る様な目で見ないで」
私たちを引き留めたのは、私とそうは背丈の変わらない、どこかで見た気がする美少年。
ええ、白いスーツがとても良くお似合いですとも、その後ろで大胆なドレスの胸元から、土嚢の様な脂肪袋の谷間をこれ見よがしに見せ付けているドMなお嬢様とも、お互いに振り切った性癖で惹かれ合っているなら、お似合いのカップルですね、おめでとうございますと祝福の言葉の一つくらい掛けてあげたいところですね。
「あんなことがあったばかりだと言うのに、もう別の男をひっぱり込んだのかと呆れてしまうところでした。そうですかそうですか、なるほどなるほど、満たされない欲求を誰かにぶつけたかった変態のお嬢様は、親友を男装させて発散していたと? どうします、カズマ? どうやらあなたは、要らない子になってしまったみたいですよ」
「しかたないさ、めぐみん。所詮俺は平民の冒険者、大貴族のお嬢様とじゃ釣り合わねえことはわかってたよ。ダクネスもそんな顔しないでくれよ、好きだと言ってもらえただけでも俺は幸せだったから、捨てられたなんて思ってないから、末永くクリ坊と幸せにな、ううっ、シクシク‥‥‥」
「ち、違うんだよ、助手君。これには事情があってね‥‥‥」
「そ、そうだぞ。違うんだ、めぐみんにカズマ。これにはわけがあって‥‥‥」
「愛の形は人それぞれだとエリス様も仰ってたのでしょう? 良いじゃありませんか、そこで酒瓶を抱いて寝ている敬虔なアクシズ教徒のアークプリーストなら、きっとあの鷹揚な教義に則って祝福してくれたのでしょうね」
「そうだな、わからない明日の事よりも確かな今を楽に生きなさいとか、自分を抑えずに本能の赴くままに進みなさいって諭してたもんな。そうかそうか、敬虔なエリス教徒たちも内なる魂の渇望には抗いきれずに流されてしまったか‥‥‥」
「そうすると宗旨替えですか‥‥‥、領主代理のお嬢様まで毒されているのなら、このアクセルの街も早晩アルカンレティアの様になってしまうのでしょうね」
「どうか、エリス様、この罪深き二人を寛大なお心でお許しください」
「「ち、違~~~う!」」
カズマもノリノリで二人を弄ってますけど、メンドクサイのでここらで終わりにしましょう。
そうでないと、カズマとのあの過酷な修行の余韻に浸れないじゃないですか。
今朝も食後の日課のお散歩の様に爆裂魔法をぶっ放してから、ついさっきまで一日中ずっと愛してもらっていましたので、まだ残り火が燻っているんですよ。
夕方にはお屋敷に帰るからと、もしもアクアたちが先に帰ってたら、一日歩いて帰って来たんだなと見える様に偽装しとかなきゃ拙いからと言って、ずっと魔力の充填もなしにイカされ続けて、足腰が立たなくなってしまったのです。
放ってから半日近く経っていますから、普通に動けるくらいには魔力も回復しているんですが、まるで腰が抜けてしまったみたいに足腰に力が入らないのです。
ええ、それはもうくてんくてんのとろっとろなので、ちょっとでも油断すると顔がにやけてしまいそうなんです。
それに汗を掻いているから、早くお風呂に入りたいのです。
もちろん温泉でカズマが隅々まで洗ってくれましたけど、歩いて帰って来たのにさっぱりしてたらバレるからって、最後にもうひと汗掻かなきゃと乗っかられてそのままなんですよ。
乗っかられたと言うのは、飽く迄も比喩ですからね。
ただでさえ魔力切れで立ってもいられないのに、後ろから腰を支えられて立ったままでしたし、私も上になりましたけど、腰も振れなかったので抱き締められて下から突き上げられました。
最後は言葉通り乗っかられましたけどね。
「冗談ですよ。それで、留守中に何があったのですかと聞くところですが、野営暮らしの修行からやっと帰り着いたばかりですから、先にお風呂に行っても良いですか?」
「そ、そうだな、お風呂は沸かしてあるぞ」
「ありがとうございます。それならカズマも一緒に入りませんか? 修行に付き合ってくれたお礼に、背中くらい流してあげますよ?」
「ばばば、ばか言え、そ、そ、そ、そんな事、冗談でも人前で言うんじゃねえよ」
おやまあ、役者ですねえ、鼻の穴まで広げて芸が細かいですね。
「ずっと私をおんぶと抱っこで運んでくれたのですから、カズマの方が汗を掻いてるでしょう?」
「良いんだよ、俺は男だし。寒くはないから井戸端で水を被って来るさ」
「さすが助手君は男の子だね。入っておいでよ、めぐみん」
「クリ坊も一緒に水浴びするか? 男同士なら問題ないだろ?」
「だから、そういうんじゃないんだって! それに、お願いだからクリ坊はやめて」
と、ドタバタしたところで一旦解散。
この面倒臭そうな状況は、私たちの行動を詮索させないためには好都合かもしれません。
普通は男女が外泊しただけでも弄り倒されるところですから、この状況を利用しない手はないですねと、私とカズマはイベントの回避に成功しました。
何故に振り切った格好をしているのか、本来弄られるべき二人に訳を聞いてみないと何とも言えませんが、少なくともカズマに天井の染みを数えさせたいダクネスの背中を、クリスが押していることは以前にカズマからも聞いていますから、協力していることは間違いないと思います。
アイバイ作りのお風呂から上がると、酒盛りの準備ができていました。
カズマも水浴びして来たのか、ジャージに着替えてエプロンなんか羽織っています。
ウィズの魔道具店の怪しい仮面の店員と違って、すっきりとしたデザインに好感が持てますね。
ダスティネス家でメイドのお姉さんたちに無理矢理着替えさせられたクリスは、着替えを持ってないからとまだ美少年のクリ坊のままですが、ボーイッシュなスレンダーボディも上着を脱いで体の線が見えれば、女性の色気がほんのりと滲み出ていて結構良いですね。
暖炉の前のソファーに転がっていたアクアの酔死体は、跡形もなく片付けられていました。
だからなのか大胆なドレス姿のダクネスは、カズマの視線を惹き付けるために色々と工夫しているみたいですけど、以前なら兎も角、少なくとも今のカズマに対しては見せ過ぎだと思います。
カズマも何だかんだと耐性が付いたと言うか、慣れてしまっている様にも見えるんですよね。
ですから私も少し方向性を変えて、見たくなる様な触れたくなる様な見せ方と言うものを心掛けたいと思っているのですよ、ええ、見て欲しいのです、触って欲しいのです、カズマにだけは。
今夜はクリスが泊まるので、私はいつものバスローブじゃなくて、カズマに買ってもらったルーズなブラウスと踝丈のギャザーのスカートの、室内着らしいゆったりとした組み合わせです。
もちろんその下はカズマからのプレゼントの紐で結ぶやつですよ。
ブラウスの裾はスカートのウエストに被せる形で出していますから、体の線は全く見えない代わりに、手を差し込んで確かめるのはとっても簡単で、脱がすのも着せるのも超簡単、更には脱がさなくてもコトに至れる上に、誰かが来たら即誤魔化せる、いつでもどこでも待ってますよ、どうぞお召し上がりくださいと言わんばかりの、うっふん♥なコーデなんです。
カズマもすぐにそれの意図するところに気付いてくれて、とは言ってもお屋敷の中だけの限定ですが、いつでもどこでも誰かがいても、手を差し込んで私の肌に直に触れて撫でてくれますから、声が出るのを我慢するのが大変なんです。
もっとも、お外でだったら商店街の裏通りに行けば良いだけですから、むしろお屋敷の中でムラムラしちゃったときのためのコーデだとも言えますが、どうやらこんな服を着ている方が、カズマの息子さんが意識してくれてるみたいなんですよね、うふふっ♥。
そんなわけで私のトレードマークだった肩の出る裾の短いワンピースは、今では爆裂修行に行くときの、ザ・紅魔族とでも言うべきアークウィザードの装いとして登場するだけになっています。
強力無比な魔法使いとしてのアイコンを確立するのが紅魔族のアイデンティティーでしたから、子供っぽい自意識で舐められてたまるかと肩肘張っていたんです。
肩にお背中太腿までを露わにして、ちらりと覗く黒パンツ、見て見て私ってセクシーでしょって、痛いくらい背伸びして大人ぶってたんですね。
今では大人になって、蜜蜂みたいなカズマに舐められてますけどね、えへへっ♥。
何が言いたいのかと言うと、見せ過ぎはだめなんですよ、そう、秘すればこそ花なのです。
確かにダクネスは美人ですよ、ボンキュッバンの暴力的なプロポーションは女の私から見ても羨ましい限りですし、大貴族の一人娘として生まれ育って、性格は真っ直ぐで教養もあって。
なのに、一体何があれば自分が持っている魅力の全てを打ち消してしまうほどの、あんなドMな変態お嬢様の残念な内面が出来上がってしまったのでしょうか?
誰しも人は心の奥底に何かを秘めて閉じ込めて、私は真面ですよと生きて行くものなのでしょうけれど、きっと迸る何かを自分でも抑えきれないのだと思います。
他ならない私が言うのも何なのですけど、方向性は別として、その気持ちは良くわかります。
だからなのでしょうね、変態だけどこのお嬢様となら家族になれると思ってしまうのも。
そのダクネスが着ている大胆なドレスは観賞用には優れていますが、意外に守りが固くて余程大暴れでもしない限りポロリもありませんし、中身にアプローチすることも割と難しいのです。
どちらかと言うとパーティー会場で男を釣って、お持ち帰りしてもらうための服ですから、一緒に暮らしている家の中でカズマを誘惑するには、逆にハードルが高くなってしまっていることに、まだ気付いていないみたいなんですよ。
私にとってダクネスは、一緒にカズマと閨を共にした家族だと思っていますが、もう暫くはお嬢様の空回りを楽しませてもらいたいと言うか、絶対そっちの方が面白いと思いませんか?
思いますよね? ですから私も無粋な助言は差し控えたいと思います。
もちろんダクネスの参戦は歓迎しますし、カズマを取り合うつもりもありませんし、むしろ一日も早く私たちの中に入って欲しいと思っているのは、私一人だけでは本気を出したカズマを受け止めきれる自信がないからです。
あれでいてカズマは、私の体を心配して労わってくれています。
遠慮なんてしなくても良いのですよと言ってあげたいのですが、おそらくそうしたら私が失神することは必定です。
正直なところを白状しますと、ハードなプレイはお任せして日常のいちゃいちゃを担当したいところなのですが、タフなダクネスならアレに耐えられるのかと問われたら、大丈夫ですと言い切れる自信がありません。
寧ろ、できることならもう一人くらい欲しいところなんですよ。
おかしいと思いますよね? 普通は私の男だと言って独占したいはずだって。
その通りですよ、私だって人一倍独占欲が強いことは自覚していますし、もしも誰かにカズマを取られそうになったら、元々そんな人は『いなかった』ことにしてしまうかもしれません。
やりませんよ、ものの例えですよ、それくらい絶対に嫌なんです。
打算的なお話をすれば、カズマと私のセットは最強の破壊兵器でもあるわけですから、私が最強の魔法使いであり続けるためには、カズマのことを絶対に手放せないのです。
それでもまだ一日に三発までなのは、魔力を充填されるときの感覚が、カズマが私のナカでイクときの感じに似ていて、あまりの気持ち良さに失神してしまいそうだからなのです。
極端なお話ですが、私を失神させてしまったらカズマはどうするのでしょうか?
カズマの話でも、私の胎内に子種を撃ち込むときと同じくらい気持ち良いと言っています。
本人は右手でスルから大丈夫と嘯いていますが、カズマだって寂しいでしょうし、何よりも気絶している私の横で右手を使っているカズマの姿を想像したら、悲しくなってしまいます。
つい我を忘れて脳内で熱く語ってしまいましたが、隣で乾杯の音頭を取ろうとしていたカズマが黙って俯いていた私に気付いて、『どうした?』と心配そうに声を掛けてくれたので、恥ずかしい妄想から我に返りました。
「スミマセン、ちょっと疲れが出たのかもしれません」
慌てて顔を上げて笑顔を作ったら、カズマの正面で土嚢の様な脂肪袋の谷間をアピールしているお嬢様も、グラスを掲げたままで心配そうな目を向けています。
私の正面に座っている銀髪の美少年は、意味ありげな笑みを浮かべています。
おっと、これはイケマセン。
確かに午前中から突かれっ放しで、何度となくイカされ続けて、間違いなく疲労は感じていますが、このメンバーで私が弄られることなどあってはなりません。
紅魔族は舐められたら負けなんです、舐めても良いのはカズマだけなんですから。
「貴族のパーティーで御禁制の品が振舞われていることを掴んだ領主代理のお嬢様が、捜査のためにパーティーに参加するのにパートナーが必要だったと? 前もって言ってくれればもう一日くらい早く帰って来れたのに」
「さすがに貴族のパーティーだぞ、カズマと一緒に出席するわけにはいかないだろう?」
「王宮のパーティーにも出たのですから今更じゃないですか。それに男がいるって噂が広まれば、寧ろ好都合なんじゃないんですか?」
「犯罪捜査を兼ねていたからこそ、極秘裏に動きたかったのだ。それでクリスに頼んだのだ」
「あたしだって、まさかこんな格好をさせられるなんて、思ってもみなかったよ」
「だけど、似合ってるぜクリ坊も。男装の麗人とまではいかなくても、結構ご婦人方にモテたんじゃないのか?」
「そのクリ坊はやめてよ。それ以前に、どうして助手君は私たちの前だってのに、そんなに堂々とめぐみんを膝に乗っけていちゃついているのさ?」
「そう言えば、ここ数日はずっとカズマの膝の上に抱かれていましたので、不自然には感じなかったですね」
「だって、しょうがないだろ。爆裂魔法を撃ったら身動きできなくなっちまうんだから、言ってみれば介護担当のホームヘルパーってとこだぞ」
「そのホームヘルパーは、身動きできないめぐみんに何をしてたんだい? 女の子だから、就寝前に身を清めるとかお花摘みだとか、色々とあったはずだよね?」
「そこは十分過ぎるほど配慮してもらいました。私にも羞恥心がありますから」
「そう言えば、日に何度も爆裂魔法の音が聞こえていたが、あれは全部めぐみんの爆裂魔法だったのか?」
「そうですよ、そのための修行だったのですから」
「爆裂魔法って、一日に一発しか撃てないんじゃなかったの?」
「その限界を超える方法を模索してるんだが、第二爆裂道場では濃度が高い魔力が得られるお蔭なのか、回復のスピードが段違いだったよな」
確かに高濃度の魔力が得られました。カズマから。
朝から晩まで私のナカに注いでもらいましたけど、そんな風に言えば嘘はありませんね。
「魔力の枯渇で動けなくなるのは変わりませんから、一日中カズマに面倒を掛けてしまいました。おそらくクリ坊もダクネスから聞いていると思いますが、私とカズマは既にこんな関係ですので、あまり気にしないでください」
「アクアさんは知ってるの? めぐみんが助手君とラブラブモードに入っちゃったって」
「まだ話してはいませんが、ひょっとしたら気付いているかもしれません。もちろんアクアの前でいちゃついたりはしていませんし、ダクネスに打ち明けたのもついこの間でしたから」
「ダクネスも助手君とそんな関係になりたいと望んでいることを、めぐみんはどう思ってるの?」
「ダクネスのことは、もう家族だと思っています。もちろんその家族の中心にはカズマがいます。ダクネスは私からカズマを取り上げたりはしませんから、そこには何も問題はないのです。問題があるとするなら、それはダスティネス家が信仰する、国教とも言えるエリス教が許してくれるのかと言う一点だけです」
「もしも、許されなかったら?」
「結婚はできませんね。でも、結婚していない相手の子供を産むことは禁じられていませんよね? 後は全てエリス教とダスティネス家の問題ですから、私に言えることはありませんし、エリス様がそんな狭量な女神様だとも思えません」
「なるほどね、それで渦中の助手君はどうするの?」
「俺は平民だし一介の冒険者だから、そこに口出しできるわけがない。俺にできることは待つことだけだし、平民の自由人だからこそいつまででも待てる。それはダクネスにも伝えた通りだ」
「う~ん、男の子だねえ、あたしも惚れちゃいそうだよ」
「惚れちゃえば良いじゃないですか、クリ坊なら私も歓迎しますよ」
「クリ坊だって敬虔なエリス教徒だぜ?」
「だからです。カズマの第二夫人がエリス教徒なら、ダクネスに対するハードルも下がりますよ。どうです? この際クリ坊も、男の子同士夜を徹して話し合ってみたら? もちろん女の子のクリスでも私は歓迎しますよ」
「どうする、ダクネス? あたしの次でも良い?」
「お、お前たち、飲み過ぎているんじゃないのか? そ、そんな事、急に言われても‥‥‥」
「じゃあさ、ゆっくりと考えてなよ。ねえねえ助手君、せっかく第一夫人のめぐみんがこう言ってくれてるんだからさ、今夜お邪魔しても良いかな?」
「俺のことを助手君て呼ぶからには、銀髪盗賊団のお頭としての訪問ですか?」
「カ・ズ・マ、一緒に寝よ?」
「お? おおっ? これってハーレム? 俺、夢でも見てんの?」
「酔ってはいますけど、間違いなく現実ですよ。この際です、カズマも腹を括ってください」
「腹を括るって?」
「クリ坊を食べちゃって、お嬢様にプレッシャーを掛けるんです。いつまでもモタモタしてたら、どんどん順番が繰り下がるのだという事を理解させないと駄目です」