※この作品はR-18です。

【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を!   作:レイトカマー

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第59話 この出家した駄女神様に還俗を!

 謎の書置きだけを残して、朝食さえも摂らずにひよこのゼル帝と共に姿を消したオカンは、昼飯時になっても帰っては来なかった。

 あの食い意地の張った駄女神さまが二食も抜くなどあり得ない事態なのだが、少なくとも今週の小遣いはもらったばかりで使い切ってはいないはずだから、周囲を困らせることはあったとしても何日かくらいは食うに困らないと思っている。

 

 以前に出家を考えた俺がした様に、お薦めの寺院の情報を聞いてやしないかとギルドにも行ってみたが、ここのところは顔を出していないと言うし、冒険者たちも見ていないと答えた。

 合成スキルの魔力感知を使って街を一周してもみたが、オカンの魔力の反応もないし、掘っ立て小屋の様なアクシズ教の教会もいつもの様に無人だった。

 

 何の手掛かりも得られずに屋敷に戻ってみると、ダクネスとクリスも帰って来ていた。

 一通りの事情は留守番していためぐみんから聞いたと言ってるから、俺が回って来た状況を説明した上で、アクセルの街から出た可能性が高いことを告げると三人とも頭を抱えてしまった。

 

「一体どう言うことなのだ? アクアはアクシズ教のアークプリーストなのだから、実質出家している様なものだと思うのだが」

 

「そうなんだよな、聖職者の司祭でも一応最高位のはずなんだが、破戒僧が還俗するってんならまだしも‥‥‥、う~ん、だけどアクシズ教だからな、果たして俺たちの常識が通用するかどうか。誰かアイツの頭ン中を理解できる人間はいないものか?」

 

「行きたくはありませんが、あの魔道具店の店員ならどうでしょう?」

 

「さすがにアイツでも無理なんじゃねえかな? 今までだってアクアの素っ頓狂な行動は見通せなかったからな」

 

「常識で計れないのなら、その逆を考えればどうだろうか?」

 

「更生して真っ当な生き方を目指すとかですか? とてもじゃありませんが、そんな姿を想像するなんてこと自体無理ですよ。第一、それだったらいなくなる必要ってありませんよね?」

 

「確かに常識人の俺たちでは考えも及ばん思考をしてるはずだから、本人に聞くしかないわな」

 

「なんだか酷い言われ様に聞こえるんだけど、アクアさんてそんなに変だったの?」

 

「変と言うよりポンコツだな。知力のステイタスは壊滅的だったから、行動に論理性がないんだ。ある意味可哀そうなヤツなんだけど、その結果俺たちが甚大な被害を被るなんて事も、一度や二度じゃ済まなかったからな」

 

 あれ? それなら今後はその心配がないってことか?

 

「何れにしても街を出たのなら、城門を通っているはずだから見た者がいるのではないか?」

 

「まだ確定ではありませんから、取り敢えず四人で手分けして東西南北の城門を当たりましょう」

 

「わかった。では、私が南に行こう、東はカズマ、西をめぐみん、北はクリスで良いか?」

 

 ダクネスは一番遠いとこだな、一応は為政者の矜持に基づく選択ってわけか。

 皆、オカンがいなくなったことに動揺しているが、面倒事が減ることには気付いてないか。

 まいっか、今のとこはオカンの真意を聞いてみなきゃ、俺もモヤモヤすっからな。

 

「そうだな。んじゃ、俺が皆を城門の近くに送るから、門番から情報集めたら屋敷に集合な」

 

「カズマ、送るとは? 一体何をする気だ?」

 

「ああ、アレね」「アレですね」

 

 うん、二人はもうわかってくれてるみたいだ。

 

 

 

 玄関を出たところで、左右からめぐみんとクリスが抱き付いた。

 未だに要領を得ないダクネスの両手を、二人が掴んで俺の正面に引き寄せたところで、俺は高らかに詠唱したのだ。

 

 一瞬で南の城門脇の物陰に跳んだことに驚きを隠し切れず、青い目を白黒させてるダクネスの頬に軽くキスをお見舞いしながら『屋敷でな』と耳元で囁いて、置き去りにして次の西門に跳んだ。

 西門の物陰で情熱的な口づけでめぐみんと別れたら、正面から抱き付いて唇を重ねて来たクリスを抱いたまま北門へと跳び、舌を絡め取ってたっぷり口腔を蹂躙してから俺だけ東門へと跳んだ。

 

 暇そうに欠伸を噛み殺していた顔見知りの衛兵を捕まえて、青髪のプリーストを見なかったかと聞いてみると、街道を東に向かう朝の馬車に乗っていたみたいだと話を聞くことができた。

 裏取りのために馬車乗り場へと跳んで、切符販売所の窓口で情報を集めてから屋敷に跳び、風呂の準備をしたら飲み物と菓子を用意して皆が帰って来るのを待った。

 

 帰って来たのは送って行ったのとは逆の順番。

 胸に飛び込んで来たスレンダーなお体を抱き締めて、胸当ての下から差し込んだ指先で小さな乳首を固くしながら口腔を蹂躙していたら、次に帰って来ためぐみんがクリスを引っぺがした。

 

 久々の肩が出るワンピースは、抱き締めた状態では手指を差し込む場所がないので、服の上から丸っこいおヒップ様を鷲掴みする感じで揉み揉みして撫で回しながら、もちろん唇は離さない。

 引っぺがされて指を咥えているクリスを片手で抱き寄せると、二人分の汗の匂いが混ざり合う。

 

 一頻りおかえりのご挨拶でスキンシップして、庭のベンチに腰掛けて左右に侍らした恋人二人の太腿ちゃんの柔肌をさわさわしつつ交互に口づけして労っていたら、脳内でラファエル先生が識別個体名と接近しつつあることを知らせた。

 ベンチから立ち上がってテレスコープで確認すると、恋人未満のお嬢様が土煙を上げながら噴き出す汗をものともせずに、ポニーテールの金髪を左右に振り乱して駆けて来る姿が遠くに見えた。

 

 汗臭いイベントを早めに終わらせるべきと判断した俺は、門から続く庭の直線上に土系の魔法を仕込んで、前面に新作の合成魔法エアバッグを三重に展開して砲弾の様な鎧娘を迎え撃った。

 身体強化を掛けながら右足を後ろに引いて、地面を踏み締めて両手を広げて迎える俺に、三重に展開したエアバッグ魔法を突き破りながら飛び込んで来た砲弾鎧娘を受け止めたんだ。

 俺は膝を突きながらも尚、庭に5mの長さの溝を掘りながら砲弾鎧娘の勢いを殺して静止した。

 

「お帰りっ、ダクネス」

 

「ただいま、カズマ。何の手掛かりもなかった。そっちはどうだ?」

 

「東門からで間違いない。西と北は南と同様、目撃者なしだ。取り敢えず緊急性はないみたいだから、一息入れたら三人とも汗を流してくれ。風呂の準備はできてる」

 

 

 

 ピンクに黄色に新たに用意したライトグレーのバスローブを纏った三人と、向かい合う様に居間のソファーに腰を下ろした俺は、唯一目撃された東門と馬車乗り場で聞き集めた情報を話した。

 

「青紫に濃い黄色の縁取りの僧衣を着た金髪のお姉さんと一緒に、馬車で東に向かったらしい」

 

「街道を東に向かったとすると‥‥‥」

 

「水と温泉の都アルカンレティアですね。同行しているお姉さんはアクシズ教のプリーストのセシリーさんで間違いないでしょう。この街に滞在しているのはあの人だけですから」

 

「じゃあ、行先はアルカンレティアってこと?」

 

「アクシズ教のプリーストが一緒なら、十中八九そうだろうな」

 

「ねえ、アルカンレティアと言えばアクシズ教の総本山だよね?」

 

「ああ、街全体が狂気に染まっていたなあ‥‥‥」

 

 あの精神が浸食されるって言うか汚染される様なアクシズ教徒の勧誘には、すっかり心が折れてしまいそうになったもんだ。

 

「心が塗潰されそうになりましたね‥‥‥」

 

「そうなのか? 私は結構楽しかったぞ」

 

 お嬢様はエリス教徒への差別も迫害も、悦びに変換できる特殊能力の持ち主だったからなあ。

 

「それで、どうするのだ? どうしてカズマは落ち着いていられるのだ? 私達もすぐに向かおう」

 

「まあ、そう慌てるなよ領主代理。追い掛けて捕まえて、帰って来てと縋るのか?」

 

「それ以外に何があると言うのだ? パーティーの大切な仲間じゃなかったのか?連れ去られて・閉じ込められて・好きにされてしまうかもしれないんだぞ」

 

「落ち着けよ、次期ダスティネス卿。何でアイツは出て行ったんだ?」

 

「そ、それは‥‥‥、カズマとクリスの関係を知ってしまった‥‥‥から?」

 

「別に俺はアクアとは夫婦でも恋人同士でもないし、出て行けと追放したわけでもない。第一、欲望に忠実に生きろと言っているアクシズ教の教義からしてもおかしくないか?」

 

「それは、確かに私もおかしいとは思うが‥‥‥」

 

「俺たちって、冒険者パーティーだよな?」

 

「そう言えば、最近は冒険者としての活動もめっきり減りましたね」

 

「アクセル周辺の魔獣も粗方片付いたってのもあるが、めぐみんは爆裂道の修行に集中してたし、ダクネスは親父さんの代理で為政者としての仕事が増えて、俺はめぐみんの修行の手伝いや義賊の助手に商売と、それなりに忙しかったからな。皆もここ最近は結構バラバラにやってたんだよ」

 

「それでも一つ屋根の下で、お互いに助け合って一緒に暮らして来たじゃないか」

 

「そうですよ、アクアがいないと家事の分担だって‥‥‥、あれ?」

 

「最近、アイツは何やってた?」

 

「買い物や炊事関係は私とカズマがやっていますし、お掃除はカズマが作った全自動の『ジルバ』が屋敷内を隅々まで綺麗にしていますし、洗濯から乾燥までも全自動の魔道具ですから、後はお日様に干すかどうかだけで、トイレには偶に洗浄剤を沈めるだけですよね?」

 

「風呂場は最後に使った奴がざっとブラシで擦って流すだけだから、今じゃ食っちゃ寝しちゃ酔っ払って、昼間は街の見廻りと称してあっちこっちで迷惑掛けながら徘徊してるだけで、熱心に布教活動してるってわけでもねえしな」

 

「つまり、最近は誰もアクアさんを構ってなかったし、必要とされてもいなかったと?」

 

「とは言っても、俺が言うのもなんだが、元々アイツはぐ~たらだったじゃねえか。俺が作った家事用の魔道具を一番喜んでたのはアイツだぞ」

 

「でも、アクアがいてくれないと、カズマにもしものことがあったら‥‥‥」

 

「危ないことしなきゃ良いじゃないか、俺ってか弱い最弱職なんですけど」

 

「確かにそれは言えるな。アクアがいてくれれば例え骨だけになってもカズマは復活できる」

 

「いやいや、そんなに大丈夫じゃないんですけど、結構痛いんですけど」

 

「それに、ギルドが女性冒険者に売っている、あのお薬が手に入らなくなります」

 

「そう言えば、アクアが監修していると言う話だったな? アクセルの街にとっても重要な輸出品だから、供給不能になるのは領主代理としても看過できんな」

 

「あれがないと、私もクリスも来年にはママですよ? 私は構いませんけど」

 

「ヨシ、アクアを迎えに行こう。アイツは俺たちのパーティーの大事な仲間だ」

 

「私はギルドに行って、買い占めて来ます」

 

 

 

 旅支度をしていたら、めぐみんがゆんゆんを連れて帰って来た。

 アルカンレティアまでは、アクセルより紅魔の里の方が近いと言っている。

 なるほど、ゆんゆんのテレポートで跳ぼうって算段か。

 

 先行しているオカンに追い着くのは難しいから、先回りするかとテレポート屋を訪ねてみたのだが、アルカンレティア行きは観光馬車組合との協定で、跳べる日が自由に選べないそうだ。

 仕方がないので魔道具店のポンコツ店主を頼ろうとしたのだが、魔王軍幹部候補のビジュアル系堕天使デュークとの一件以来引き籠ったままで、お陰で商売が順調だと仮面の店員が笑っていた。

 

 お嬢様が俺のじゃ跳べないのかと聞くので、まだそんだけの距離は無理だと答えておいた。

 確かに今の俺なら、亜空間魔力銀行から手数料なしでチャージされるから、魔力自体は全く問題ないと思っているのだが、方角も距離も朧気な場所に正確に跳べる自信は、これもまた全くない。

 

 そこそこの魔力と緻密な制御が要求されるが故に上位魔法に位置付けられるテレポートは、明確な場所のイメージを描けないととんでもない場所に放り出されるらしいから、習得するには地道な修練の積み重ねが必要らしい事は知っていたし、俺のはまだまだ危なっかしいって自覚もある。

 

 と言うのも、合成スキルの(もどき)の方が省エネで便利だからと多用してしまっているから、いつまで経っても上達しないってのが実態だったりするんだが。

 今のところは第二爆裂道場やアリの巣の別荘までの様に、徒歩で片道一日圏内は苦も無く往復できてるけど、これも座標を固定するための魔法陣を敷設しているから迷いなく跳べるのであって、明確な目印がなければウィズのランダムテレポートや、オカンの手品みたいになっちまうんだ。

 

 馬車で何日も掛かるアルカンレティアや紅魔の里まで、それも何人かを帯同して跳ぶとなると、どれくらいの魔力が必要なのかさえも把握できていない状態だ。

 因みにこれは全くの余談だが、砲弾鎧娘を受け止める時に展開した衝撃緩和用の合成スキルつうかオリジナル魔法のエアバッグは、転移先を間違えて落っこちたときのための備えだったりする。

 

 

 

「んじゃ、今回は俺たちパーティーからの依頼ってことで良いかな?」

 

「報酬の件は話がついていますので大丈夫です。この娘が紅魔族の次期族長になるためには、試練を乗り越えなければなりません。但し、その試練は単独では受けられないのです」

 

「なるほど、その試練に私たちが協力すれば良いのだな? 紅魔族の試練は頑強な前衛と、アークウィザードたる紅魔族の後衛の二人で受けるのが基本だと聞いている。ならばこれも何かの縁だ、この私が前衛を引き受けようではないか。なに、ダスティネス家と紅魔の里は以前から付き合いがあってな、当家で愛用している鎧も紅魔の里で作られた高級品なのだ」

 

「良いんですか? デコイも使えるダクネスさんが前衛なら安心です。ぜ、是非お願いしますっ」

 

「それなら、俺とめぐみんとクリスの三人でアルカンレティアに向かうか」

 

「えっ? わ、私は‥‥‥?」

 

「たった今、自分から言ったじゃないか、ゆんゆんの試練に協力するって」

 

 コイツ、そんなにアクシズ教徒に迫害されたかったのか?

 

「ところで、どうしてカズマさんたちはアルカンレティアへ?」

 

「アクアが出て行っちまったんだよ、それで、まあ、説得にってな」

 

「何か‥‥‥、あったのですか?」

 

「う~ん、ここにいるクリスをパーティーに迎えようとしてたんだけどさ、何が気に入らないのか置き手紙を残して出て行っちまったんだ」

 

「家出ですか?」

 

「いんや、出家するって書いてんだよ。そいで、同行してんのがアクシズ教のプリーストらしい」

 

「セシリーさんですよ」

 

「ああ、ちょっと変わってるけど、悪い人じゃありませんから安心ですね」

 

「とまあそんなわけで、先回りしてとっ捕まえて話しをしようと思ってたんだ」

 

「な、なあ、本当に私はアクアの説得に向かわなくても良いのか?」

 

 何でそんな縋る様な目で見んだよ? ドMの血が騒ぐのか? ゆんゆんの手伝いだって『試練』て言うくらいだから、それはもうお嬢様の大好物な悲惨な目に遭うかもしれないじゃないか。

 

「今回の件は俺とクリスが切っ掛けみたいだから、まずは会って理由だけでも聞いてみないことには説得も何も無いだろう? ダクネスはゆんゆんの試練に協力してやってくれよ。上級魔法使いのゆんゆんが前衛の盾を必要とする程の試練なんだぞ。アルカンレティアの洗礼は一度味わってるじゃないか。試練好きのお前にとっても新たな経験になるかもしれないぞ? 第一、今回は極力短期の滞在予定だから、アルカンレティアを散策する時間はないからな」

 

「そ、そうか? わかった。それなら私は紅魔の試練を楽し‥‥‥耐えて見せようではないか」

 

 コイツ今、何を言おうとした?

 

「頼むぜ、俺たちは説得が上手くいってもいかなくても一旦は紅魔の里に戻るからさ、ダメだったらそこでもう一回考えようぜ」

 

 結局、ゆんゆんの試練の日程と想定されるオカンの移動日数に、紅魔の里からアルカンレティアまでの旅程を勘案した結果、明後日の午後に紅魔の里へ跳ぶことになった。

 紅魔の里で一泊してから徒歩と馬車で向かい、オカンが到着する頃合いを見計らって移動するのは、俺たちの精神衛生上できるだけアルカンレティアの滞在時間を短くするためだ。

 

 

 

 晩飯を一緒に食べて行けと誘って俺が腕を振るったんだが、楽しそうで羨ましいと言いながらも終始一歩引いている姿に、この筋金入りのボッチの本質が垣間見えた様な気がした。

 めぐみんがこっそり主導してるパーティーで、クリスやアクシズ教のプリーストのお姉さんとも一緒に活動してるらしいんだが、それだけ濃い集まりでも大丈夫なのは、やっぱり一歩引いてるからなんだろうなと気付いてしまった。

 

 玄関先からテレポートで帰るゆんゆんを、皆で一瞬だけ見送ったら女性陣を風呂へと追いやり、通りの良くなった魔力で横着型スティールに時間短縮のバフを上掛けして、片付けと明日の仕込みを終わらせたら、めぐみんが風呂が空いたと知らせて来た。

 

 皆、お昼には一回汗を流してるんだが、日に何回も風呂に入れるなんて贅沢は王侯貴族でもそうそうできるもんじゃない。

 湯船に浸かって天井を見上げながらドタバタした一日が終わるのを実感したが、何か物足りない気がするのは、いつも騒ぎの元凶となるアイツがいないことが原因の様な気がして頭を振った。

 

 おかしい、俺は平穏な生活を望んでいたはずだ。

 今じゃ積み上げた財産もあるし屋敷も手に入れて、言動はともかくも可愛い恋人もできた。

 更には女神様の地上顕現体って言うか痴情顕現体を二号さんに迎えて、大貴族のお嬢様に抱き潰されそうになりながら唇を奪われてるって、もはやハーレムじゃんか。

 

 それが平穏な生活かどうかは置いといても、少なくとも死ぬような目には合わないだろ?

 だからアクアは出て行っちまったのか? ひょっとして俺の幸せを願っての行動なのか?

 もう、俺は魔王を倒さなくても良いのか?

 

 そりゃあ腹いせに連れて来ちまったけど、魔王を倒さなきゃ天界に帰れないって設定だったろ?

 天界に帰るのを諦めて、アクシズ教の生き神様として崇め奉られることを選択したのか?

 それとも、俺では無理だからと諦めたのか? だけど元々無理ってもんだろが、魔王を倒すなんて夢物語りはチート持ちの勇者の仕事で、一介の冒険者なんかが担う使命じゃねえだろ?

 

 それとも、ひよこのゼル帝に一縷の望みを賭けているのか?

 本当にゼル帝をドラゴンに育て上げて、アクシズ教徒を率いて魔王に挑むつもりなのか?

 今更の話だが、アクアの頭ン中は本当にわからん。

 何で俺がこんなにモヤモヤしなきゃいけないんだ?

 

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