※この作品はR-18です。

【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を!   作:レイトカマー

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第97話 この月夜に魔力上昇血行促進を!

「悪かった、本当に悪いことをしてしまったと心から悔いている」

 

 俺は、眼前で泣き崩れる被害者に、誤った判断で深く傷付けてしまったと侘びるしかなかった。

 

「ブラザー、恐かったのよ~、あたい終わっちゃうかと思ったのよ~」

 

「いや、悪かったとは思うけど、そのブラザーはやめてくれ。俺は変態じゃない」

 

 俺の前でシクシク泣いているのは、自称女神にこの世界へと送り込まれたらしい哀れな神器。

 歌って踊れる全身オリハルコン製のインテリジェント・フルアーマー、銀色のヤツである。

 物理だろうが魔法だろうが如何なる攻撃にもびくともしないと豪語していたくせに、たった一晩魔獣が跋扈する森に籠っただけで、この世の終わりを見たと泣き言を並べている。

 

 まあ、同情すべきところがない訳ではない。

 

「お嬢様ったら、『その様な生ぬるい攻撃では満たされぬ!』と叫びながら、何の防御もしないで真正面から魔獣の攻撃を受け止めたのよ。体当たりを喰らったのよ、引っ叩かれたのよ、鋭い爪で引っ掻かれたのよ、噛み付かれたのよ。あたい、壊れちゃうかと思ったのよ~っ!」

 

「いやいや、そんなモン屁でもないんじゃなかったのか?」

 

「ホントに恐かったのよ。その昔、あたいを纏った勇者は攻撃を避けるなり躱すなりしてたのに、お嬢様ったら自分から両手を広げて突っ込んで行ったのよっ!」

 

 どうやらオリハルコン製のフルアーマーを纏ったララティーナお嬢様は、襲い来る魔獣の攻撃に嬉々として立ち向かったらしいのだが、変態鎧が攻撃を受け止めたことで自身に伝わるはずの苦痛が減ってしまい、物足りなくなったお嬢様はデコイで魔獣を呼び寄せようとまでしたと言うのだ。

 

 幸いにして魔法を通さないオリハルコンのお陰で、周囲の魔獣を呼び込むことはなかったそうだが、『ならば量より質だ!』と叫びながらほぼ無抵抗を貫いた上に、『どうした、そんなものか?貴様も魔獣の端くれなら、この私を蹂躙して見せろ!』と煽ったそうだ。

 

「いくらオリハルコン製だからって言っても、モノには限度ってものがあるのよ。そりゃあ確かに一発貰う度に、お嬢様のダイナマイトな肉体にあたいが食い込む感じは新境地だったけど、あたいだってインテリジェントな鎧なんだから精神的な苦痛は感じるのよ。わかる? 喜びと苦痛が綯交ぜになってあたいの精神は塗り潰されたのよっ! こんな体になってしまって、もうお嫁になんか行けないわ。責任取ってよ~~~っ!」

 

 いや、お前、漢だったんじゃないんかい?

 どうやらこの変態鎧も、お嬢様のお陰で更なる変態の扉を開いてしまったらしい。

 それにしても、流石はあのポンコツ駄女神さまがチョイスした神器と言うべきところだろう。

 何となくではあるが、エリスがこの神器を魔剣の人に授けた理由がわかった様な気がして来た。

 

 次期族長に決まったゆんゆんを讃える宴席の真ん中で、ダクネスと一緒に持ち上げられて右頬の刀傷を掻きながら照れているクリスに目をやれば、俺の視線に気付いて『てへっ』と舌を出して笑いやがった。

 

 厄介払いしやがったな?

 

「とにかくアイギスも無事に戻って来れて良かったよ。二人の若い娘を守り抜いた神器の活躍は、戦闘種族の紅魔族の娘達の間でも末永く語り継がれるだろう。ホラ、いつまでも泣いてないで見てみろよ。この里の女性は美人に美少女ばかりじゃないか。あの娘達に称えられるべきは、絶対無敵の神器たるアイギスだろ? 次は私が着たいって言う娘もいると思わないか? こんな所でメソメソ泣いてる姿を見られでもしたら、彼女たちだって幻滅しちまうぞ。今お前がいるべき場所は、あの称賛の輪の中心のはずだと思わないのか? 凱旋して讃えられるのも英雄の義務だぞ」

 

「ブラザー‥‥‥」

 

 俺の言葉に漸く泣き止んだ変態鎧は、おずおずと顔なのか? 兜の前面を上げた。

 中は伽藍洞の鎧だから、幸いにして涙も鼻水も垂れていたりしないところが救いだな。

 普通はここで瞳に希望の光が灯るところだが、生憎と中は伽藍洞の鎧だから以下略。

 

「うむ。さあ、行くが良い。絶対無敵の神器たるアイギスよ」

 

 俺は大きく頷くと、真っ直ぐに腕を伸ばして、美女や美少女が集まる賑やかな宴席を指差した。

 

「あたい、行ってくるね」

 

 ガシャガシャと耳障りな音と共に立ち上がって回れ右した変態鎧は、ガッションガッションと力強い歩みを取戻して美女や美少女が集う晴れやかな舞台へと歩を進めた。

 俺は腕組みして、その傷だらけの背中を見送りながら一人静かに呟いた。

 

「頼むから、ブラザーはやめろ」

 

 

 

「相変わらずカズマは口が上手いですね」

 

 鬱陶しい変態鎧が離れたところで、愛しい恋人が近付いて来た。

 

「それは褒めてるのか? それとも呆れてるのか?」

 

「今夜は五分五分ですね」

 

「そこはせめて七・三と言ってくれよ。 男を慰めるなんて時間の浪費以外の何ものでもない」

 

 腕組みを解いて、恋人の肩を自然に抱き寄せながら反論する。

 

「容赦がありませんね。それなら、ライバルに追い抜かれた恋人を励ますのなんてどうですか?」

 

「任せてくれ。人生でも指折りの有意義な時間の使い方だ。ところで、どこ行ってたんだ?」

 

「こめっこが寝ちゃいそうでしたので、毛布を取りに家まで行ってました」

 

「お義母さんは?」

 

「婦人会の皆さんと朝まで騒ぐそうです。ほら、あそこの一画で輪になってるのがそうです」

 

 めぐみんが指差す先を指で輪っかを作って覗いてみると、おばちゃんや婆ちゃんたちが楽しそうに宴会してるし、その横のシートには毛布に包まった子供たちが転がされていた。

 

「何十年かぶりの次期族長決定のお祝いとお披露目ですからね。里中の老若男女が只酒と只飯目当てに集まって、お祭りみたいに夜通しで大騒ぎが続きますよ」

 

 お祝いの会場になった広場の中心では、次期族長と試練を共に乗り越えた二人と一体が、人集りに囲まれて玩具にされている。

 酒が入ったお嬢様も、自我を捨て名乗りを上げてポーズを決めて、紅魔族の喝采を浴びていた。

 そして、おそらく同級生たちだろう若い男女に囲まれて、照れているゆんゆんの姿があった。

 

「めぐみんも行かなくて良いのか?」

 

「もう二度とないかもしれない人生初の晴れ舞台ですからね。邪魔はしたくありませんよ」

 

 そんな友人の晴れ姿を遠くから見詰める横顔が、少し寂しそうに見えたんだ。

『とうとう抜かれてしまいましたね』と、ポツリと呟く様に漏らした独り言が俺を駆り立てた。

 

「なあ、二人で抜け出さないか?」

 

「お祭りに定番の台詞ですね?」

 

「今日は『まだ』だろ? 今から日課を果たしに行こうぜ」

 

 日課と言った俺の言葉をどう受け取ったのか、『お外でですか?』と頬を赤らめて聞き返すもんだから、ブンブンと首を横に振って、訝るめぐみんの手を引いて広場の喧騒に背を向けた。

 ナカに決まってるじゃないか、だけどそれは今じゃないと心の中で叫びながら。

 そう言えば、『日課』の頻度が逆転してる様な気がする。

 

 

 

「んじゃあ、こっからはお忍びだかんな。まずはコレに着替えてくれ」

 

 物陰に引っ張り込んだめぐみんに、無限収納から召喚した超絶無敵絶対防御の三角ビキニを見せると、ちょっとだけ頬を染めながらスカートの裾に手を差し込んでモゾモゾと。

 裾が捲れない様に上手にスルッと引き抜いたのは、以前俺がプレゼントした至高のリボン結び。

 手早くくるっと丸めて、三角ビキニアーマー(下)と交換だ。

 

 紳士な俺が脱ぎたてホッカホカのそれを、広げも振り回しもクンカクンカと匂いを嗅ぎもせずに収納している間に、三角ビキニアーマー(上)の装着も完了したようだ。

 この場合交換する物品がないのは、めぐみんは所謂ノー〇ラだから。

 

 ここは本人の名誉のために断っておかなければならないが、俺が生まれ育った世界と違ってこの世界にはまだ存在しないのだ。

 何がだと問われるならば、はっきりと申し上げておかねばならない。

 そう、それは短縮形でブラと呼ばれる女性の胸部だけを包む専用のインナーウエアだ。

 

 考えてもみて欲しい、まるで中世から近世としか思えない文化水準のコチラの世界にあっては、一般的に女性用のインナーウエアと言えば木綿製の肌着が主で、下は紐で絞るタイプのズロースか穿かないのが普通だから、上だけで独立している肌着は乳袋以外存在しない。

 

 この乳袋なる着衣はおっかさん専用であり、赤ん坊の主食が詰まった乳房を吊るためのもので、重さを支えることが目的であるために、形を維持しようとか、大きさに合わせたカップなどの概念もなく、布で包んで首または肩から吊るための道具と言った方がわかり易い。

 

 いや、一部ではあるが見せるための考え方が存在しない訳ではない。

 それが何かと言うと、身分の高い家の女性がお召しになられるドレスの下に着用するコルセットと呼ばれる締め付け具だ。

 

 コルセットは自分では着用できず、メイドさんに背中の紐をぎりぎりと力の限り締め上げてもらう胴鎧みたいなチューブウエアだが、締め付けてウエストを細く見せる目的は、バストとのコントラストにあることは言うまでもない。

 

 ウエストをより細く見せることで少しでもバストの豊かさを強調し、更にはバストを持ち上げることで張りをアピ-ルするために、コルセットの上端にはアンダーバストを乗っけるための、半分に割ったお椀の様な形が二つ並んでいる。

 

 広い腰回りは安産の印、豊かな乳房は子育ての保証と、一族繁栄のために産めよ増やせよと言う古来からの考え方が、未だに女性の価値感を左右しているところも、この世界の文化水準を表していると言えよう。

 

 前世で市井の研究者を自認していた俺が、より深い叡智を求めて電脳ネットワーク世界の冒険を繰り返していた頃に、コルセットの上端部分と乳袋の機能を合体させたものが、ブラの原型であると述べた実しやかな説を読んだ記憶があるし、またそれとは別に15世紀に改築された東欧の古城の基礎部分から、現代と然程形状の違いが見られない遺物が発掘されているなんて記述も目にした。

 

 要するに記録が殆ど残ってないからブラの起源は良くわかんないし、コッチの世界でも似た様な状況みたいだから、『まだ』存在してないと言えると思うし、めぐみんのためにエルロードの王都で至高の『しゅるり』を買い求めたときだって、ブラなんて一つも売ってなかったんだ。

 

 それがまだ発明されていない理由の一つに、コチラの世界、とは言ってもベルゼルグ王国と隣国のエルロード王国くらいしか事情は知らんけど、ゴムが流通していないことが挙げられると思う。

 それはおパンツ様も同様のはずだとのご意見もあるだろうが、おパンツ様に関しては第60話で述べた『シルク』の話を思い出していただきたい。

 

 それならギルドで目にする武闘派系のお姉様方や、某女神様の地上顕現体のささやかなお胸様を包む片吊りのアレは何やねん、況やたった今俺が恋人に手渡した三角ビキニアーマー(上)とは、一体どちら様なんでっかとの疑問が湧くだろうが、そこは落ち着いて聞いて欲しい。

 

 それらは分類上で言えば『覆い』や『胸当て』であって、冒険者が身に着けている物は間違いなく防具だし、水と温泉の都アルカンレティアの女性の一部が身に着けていたストラップレスの胸の覆いは、ストロフィオンとかアミクトリウムなどと呼ばれる所謂『乳バンド』で、インナーウエアには分類されないのだよ。

 

 因みに『ビキニ』なる言葉は使われているが、その語源を知る者が全くいないところをみれば、おそらく出元は転生者だろうってことが想像に難くないんだが、それならブラだってあってもおかしくないはずなのにと考えたところで、その原因にも思い当たるところがあった。

 

 あのポンコツ駄女神が転生させる様な引き籠りのニートの男が、実際に女性用の下着を目にする機会なんてなかったろうし、ましてやその作りに詳しいはずもなかっただろうと思うのだ。

 当然俺もその一人の訳だが、実際に手にしたことはなくてもネットのお陰で知識だけはあったりするし、その頃にネット上の画像から得た知識も、ラファエル先生のお陰で維持できているのだ。

 

 そして漸く話が戻るのだが、以前のめぐみんの服装なら何かしらの方法で胸を覆う必要があったからサラシを巻いてたりもしてたんだが、トレードマークの一つでもあった肩の出る裾の短いワンピースは、恋人の肌を他の男たちには見せたくないと言う俺の要望を入れてくれて、最近では部屋着として屋敷の中でしか着なくなった。

 

 今夜のめぐみんは、街の比較的良いとこのお嬢さんみたいな服装だから、インナーはシルク製の肌着をお召しになってるし、俺が大好きな敏感なお胸様にサラシを巻いてたりなんかしない。

 またしても長々と語ってしまったが、これがめぐみんがノー〇ラであることの真相だ。

 

 更に言えば、一つ屋根の下に暮らす仲間が留守のときに、暖炉の前のソファーでめぐみんを膝に乗っけてイチャイチャしてるときなんか、胸元のボタンを外して手の平を滑り込ませれば、愛しのおっぱいちゃんにダイレクトにご挨拶できるもんでさ、お互いに嬉しいのよ。

 

 

 

「着ましたけど、ビキニアーマーなんか着せて、ナニをしようと言うのですか?」

 

 ナニをするんだったら、わざわざ着替えさせる必用もないだろうし、毎日でもいつでもどこでもどんなプレイでも受け入れると言っているのだからと、紅いお目々が念を送り込んで来る。

 

「日課と言えば、爆裂魔法だろうが。お祝いの花火を打ち上げるんじゃなかったのか?」

 

「派手にぶちかまして皆を驚かせてやろうと思ってはいましたが、ゆんゆんのあの素直な喜び様を見ていたら、何となく気が削がれてしまいました」

 

「だけど、彼女は同い年の天才少女を目標に努力して来たんだろ? そして遂に試練を突破して、ライバルの上を行った訳だ。それならその天才少女は追い越されたままで良いのか? これでお前らの勝負は決着か?」

 

「煽ってくれますねえ、紅魔族が負けたままで終るなどありません。ええ、あり得ませんとも」

 

「それでこそ、俺の愛する最強のアークウィザードだよな。んじゃあさ、族長試練のその上は?」

 

「誰しもが恐れる魔獣の討伐ですか? まさか、今から紅魔の森へ? だめです。夜の森には危険な魔獣がいっぱい徘徊しています。私はともかくカズマは必ず襲われます。危険ですっ!」

 

「いつもの俺だったならな。まあ、見てなよ」

 

 俺はジャージの上着を翻すと、スティールの応用編、一瞬の早着替えを披露した。

 

「フハッ、フハッ、フハハハハハハ~、驚いたであろう? 驚くが吉である。今宵は満月とは行かずとも、既に上弦の月を過ぎ肥え太りつつあ~る。この降り注ぐ月光で悪魔パワーは満ち、魔力上昇血行促進お肌は艶々、絶好調なのであ~る。フハッ、フハッ、フハハハハハハ~」

 

「カッコイイですカズマ! Coolですっ!」

 

 突然の俺の変身に、こういった方面にはとてもノリの良い紅魔族の娘は、胸の前で両手を握って

紅いお目々をキラキラさせていらっしゃる。

 

「ムフフ、そうであろうそうであろう。今宵の吾輩は無敵なのであ~る」

 

「でも、私はこんなヒラヒラした格好では‥‥‥」

 

「心配無用なのであ~る」

 

 俺が指を一振りすると、おにゃの子のおパンツ様の前後表裏を、気付かれることもなく引繰り返せるスティールの応用スキルが発動して、街の比較的良いとこのお嬢さんみたいな服装のめぐみんは、一瞬で俺とお揃いの上下黒ずくめの盗賊スタイルに変身した。

 

 もちろんたった今まで着ていた服は、ウォーキングクローゼットの無限収納に仕舞ったし、唯一魔法が効かない超絶無敵絶対防御の三角ビキニアーマーだけは、めぐみんの手で着てもらう必要があったのだ。

 

 驚くめぐみんに、俺は懐から取り出した仮面を差し出した。

 新商品の量産型バニル仮面のカラーバージョンなんだとさ。

 俺のは白黒だが、女性をターゲットにしているのかカラーバージョンと言うだけあって、今度のは濃い赤と白に塗り分けられている。

 

「カッコイイですっ! Coolですっ! 何ですか、これはっ! 紅魔族のハートにビンビン響きます」

 

「新しく始めた量産型バニル仮面のカラーバージョンの試作品で、俺のと同じレアもんだそうだ。魔石式全自動洗濯乾燥魔道具の売り上げが絶好調らしくって、その礼だってさ」

 

「アハッ、アハッ、アハハハハッ、今宵は月夜、悪魔パワーで魔力上昇血行促進、今日はシテないのに、お肌もツヤッツヤの絶好調ですっ!アハッ、アハッ、アハハハハハハ~~~」

 

 さっそく仮面を被っためぐみんは、両手を腰に当ててドヤりながら高らかに笑った。

 テンション高いな、だけどナニかアブナイ台詞が入ってなかったか?

 

「さあ、行こうではないか、相棒よ」

 

「はいっ、お頭っ! これで名実共に仮面盗賊団ですねっ!」

 

 

 

 キャッキャウフフとは違うハイテンションな笑い声を上げながら、夜の森を楽し気に駆け抜ける黒い影が二つ、木々の間を縫う様にスラロームしては枝から枝へと飛び移り、忍者かはたまた発情期のお猿さんの様でもあるが、仮面の悪魔の手によるレア物の仮面を被った俺たちは、大幅に底上げされた身体能力を如何なく発揮していた。

 

 元々夜目が効く上に身体能力に優れる紅魔族のめぐみんに置いて行かれない様に、俺もノクトビジョンを発動しながら全力疾走に近いのに、息も上がらないし体も極めて軽い。

 全く恐れ入るのは月下の悪魔パワーとやらだな。

 

 そして広げっ放しの三次元魔力レーダーに、目当ての反応が現れた。

 すぐさま待ち伏せする場所を探しながら進路を変えて、紅白の仮面を『捕まえてごらん』と煽れば、キャッキャウフフの定番、鬼ごっこの始まりだ。

 

 茂みに飛び込んだところで、キャッキャウフフと追い掛けて来た相棒をぎゅっと抱き締めて身を伏せたら、直ちにサウンドインスレイションを発動して‥‥‥、甘い雰囲気にはならない。

 なんせ、お俺と揃いの盗賊仕様黒装束の下は、絶対不感症の三角ビキニだもんな。

 どんなに熱烈な口づけで迎えたって、真ん丸おヒップ様を撫で撫でしたって、その感触を心地良く受け入れてくれることなどあり得ない。

 

「来たぞ」

 

 めぐみんも俺の意図を理解している様で、一瞬で戦闘モードに切り替えて息を殺し、迫り来る脅威に備えて身構えた。

 森の木立を掻き分ける様に姿を現した黒い巨体は、何かの気配に感付いたのか、鼻をフンフンと鳴らしながら俺たちが潜む茂みを横目に通り過ぎて行った。

 




続くエロ無し回は、受験生への配慮?
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