【R18】 このすばらしからぬ展開にも祝福を! 作:レイトカマー
「声‥‥‥出しても、良いですか?」
耳に掛かる吐息の熱さを感じる距離で、囁くよりもっと小さく微かな声。
お外で抱き寄せている相手から、そんな台詞を聞くとついドキッとしてしまう。
「風下だし潜伏に遮音結界も張ってるから小声なら大丈夫だ。それで、アイツは何なんだ?」
俺たちが身を潜めている茂みから10メートルくらい横を通り過ぎたソイツは、巨大と形容するしかない尻を揺らしながら遠ざかって行く。
夜の森に溶け込む様な魔獣のシルエットは、前世のTVで見た北海道のヒグマに似ていると思うが、後ろ姿はまるで象の尻じゃないか。
「一撃熊です。単純に力だけなら紅魔の森最強と言われています。立ち上がった巨体から振り下ろす前脚の強力な一撃からその名で呼ばれ、岩を盾としても砕かれ、樹上に逃れても鋭い爪で幹を粉砕されるそうで、遭遇したら動かずに気配を消してやり過ごせと教えられました」
「逃げたらだめなのか?」
ヒグマは体重二百キロを越え体長2メートルを越えると言うが、どう見ても倍くらいはありそうだから、さすがに走るのは苦手じゃないのか?
インド象でも短距離なら陸上選手並みに速いと聞いたことがあるけど、身体能力が高い紅魔族なら逃げ切れるんじゃないか?
「四つ足の魔獣は身体強化を掛けても追い付かれます。夜目も効くし、とにかく動く物に反応します。戦うにも丈夫で分厚い毛皮に覆われていますから刃物も通りませんし、恐ろしくタフですからライトオブセーバーくらいでは倒せません」
「なるほど強そうだな。それなら一撃熊は、誰しもが恐れる魔獣に該当するのか?」
「そこはちょっと微妙ですね。頭はそれほど良くありませんから罠には掛かりますし、専門の猟師もいるくらいです。テレポートの使い手ならあかんべえして逃げられますし、あれくらいなら爆裂魔法の敵ではありませんよ」
確かに体の大きさだけなら、前足一本で俺を踏み敷いて俺の穢れなきキュートなお尻をチクッとさせろとほざきやがったマンティコア(雄)と同じくらいだし、もっと大きな魔獣ならワイバーンの親玉も倒してるし、ヒュドラと比べりゃ可愛いクマちゃんだな。
「魔石以外にも毛皮や爪や肝が結構高値で取引されますから、高級素材でもあります」
「ヨシ、サクッと狩っちまおう」
「カズマの武器は通用しませんよ。気だけ引いてくれれば私が仕留めますよ?」
「いんや、まだ真打の出番じゃないな。俺だって前座くらい務められるんだぜ、まあ見てなって」
俺は最弱職の冒険者、だがしかし、月下の悪魔パワーは駄女神さまの祝福をも凌駕する。
今宵の俺は絶好調、何の恨みもないが経験値の糧となるが吉とばかりにスックと立ち上がった。
一撃熊は背後の狙撃手に気付かずに、巨大なお尻振り振り夜の森をお散歩中だ。
キリキリと満月に引き絞った弓に番えた矢は、ダイナマイトもどき三本セットの爆裂矢。
ティンダーで短い導火線に点火して、ソ・ゲ・キとこれも頭の中で唱えれば、ひょんと間抜けな音を残して飛んだ矢は、緩やかな放物線を描いて防ぎようのない一点に、ぷすっと。
不意を突いて背後から飛び道具とは卑怯なりと言うなかれ。
卑怯とは強者が使う常套句、弱者に手段を選ぶ余裕などない。
何故なら俺は悪い魔法使い、相手の得意分野に付き合う度量の持ち合わせはないのだ。
背後から菊の御紋に爆裂矢をお見舞いし、憤怒の瞬間湯沸かし器に点火する暇も与えずクリエイトアースとウインドのコンボで目潰しを喰らわせ、クリエイトウォーターとフリーズの合わせ技で巨大な氷柱に閉じ込めて呼吸を封じる。
それでも相手は生命力の怪物タフの権化、氷に閉じ込めたくらいで勝ったとは言えない。
ならばと卑怯道の極意、第一ラウンド開始ゴング前に速攻KOだ。
氷越しのドレインタッチで魔力を奪い取れば、反撃も儘ならず生命の灯は静かに消えて行く。
「フハッ、フハッ、フハハハハハハ~、今宵は月夜、漲る悪魔パワーに魔力上昇血行促進お肌は艶々、絶好調、絶好調なのであ~る。フハッ、フハッ、フハハハハハハ~」
勝利の笑い声が高らかに響き渡った。
『カッコイイです、Coolです!』と褒め称えてくれる恋人にサムアップで応え、氷漬けで息絶えた暴虐の王を無限収納に回収しながら、三次元魔力レーダーで全方位を警戒していると、縄張りをを荒らす戦闘を察知したのか、紅魔の森のもう一つの脅威らしき大きな反応が、恐ろしいスピードで接近しているとラファエル先生が知らせてくれた。
確かめるまでもなく、闇を劈き轟き渡る咆哮は間違いなく狼のもの。
夜の森を縦横無尽に駆ける疾駆の王、フェンリルだそうだ。
魔獣にしては知恵が回り、鋭い牙で切り裂くばかりか口から炎まで噴くらしく、さすがに紅魔族も恐れるかもしれませんが、まだ逃げの一手がありますからねと、紅白仮面も歯切れが悪い。
「速い動きを止めないと爆裂魔法を撃てません。ここは一旦退きましょう」
「それは最後の手段で良いだろう。やれるだけやらせてくれよ、俺もこの仮面を被ったときの限界を知っておきたいからな」
やがて木々の間から姿を現わした白い巨躯の狼は、あまりに貧弱な侵入者に呆れたのか、警戒する雰囲気すらも見せずに一声吠えて俺たちを威嚇した。
その軽く発せられた咆哮は、辺りの空気をビリビリと震わせて木々を揺らした。
昼間の俺なら腰を抜かして漏らしたかもしれない圧を軽く受け流し、樹上に避難させた紅白仮面がテレポートで逃げましょうと叫ぶ声に、まあ任せておけと見栄を切った俺は、勝負と弓を構えて爆裂矢を番えた。
兄さんホンマにヤルんでっかと、明らかに舐めた様に見下ろす鼻先を目掛けて放った矢を、巨躯の狼は避けるそぶりも見せずに、片方の前脚をひょいと持ち上げて大きな肉球で受け止めた。
知恵が回るが故の慢心なのだろう、その余裕をカマした態度でコイツの底は見えた。
もちろん俺だって、こんなちゃちな弓矢の鏃が刺さるとは思ってもいない。
鼻先まで届けばOK、対魔獣戦用の秘密兵器なのであ~る。
巨躯の狼が、兄さん痒うおますがなと軽蔑してそうな目を俺に向けた瞬間、爆裂矢は轟音と閃光を発して弾け、更にはトウガラシから抽出した濃縮カプサイシンの礫を浴びせた。
コチラの世界で魔獣と呼ばれ恐れられる存在も、ベースは前世で見た生物と殆ど変わりがない。
そんな中にも魔力に裏打ちされたシックスセンスを持つモノがいると言う話は聞くが、それでも 戦闘に於いての咄嗟の反応は、常時頼りにしている視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感を基にした判断と併せて、直感や洞察力と言ったものが加味された上で働くものであると言えよう。
故に俺は考えた、如何に六番目の感覚を備えていようとも、それだけで戦えるなら基礎となる五感は衰えるはずだと、人間など及びもしない優れた五感を持つ野生動物が、それを封じられたときに、直感や洞察力を基本に行動することが出来るだろうかと。
たった今五感を封じられた巨躯の狼は、苦痛にのたうち回りもせず、闘争本能の為せる技か直ちに身を屈めて地面を蹴り、俺が立っていた場所を目掛けて突っ込んで来た。
巨体の質量はそれだけで強力な武器、その上でエネルギーは速度の二乗ででかくなる。
なんてことを前世で引き籠りになる直前に学校で聞いた‥‥‥様な気がするな。
しかし、卑怯道の極意を会得した吾輩の前では、無駄な足掻きと言わざるを得ないのであ~る。
今宵何故か未来を見通す力を得た吾輩が、いつまでもそんな危険な場所に突っ立っているはずがないのであ~る。
高速で迫る白い巨体は、無詠唱で立ち上げた巨大な土塁に頭から突き刺さって止まった。
巨大な運動エネルギーを吸収するには緩衝材こそが正義、スティールの応用で一帯の木々を土壌ごと裁断したふかふかの土を搔き集めて、重力制御魔法のGコンで積み上げた。
予測が立てば対策の取り様など幾らでもある。
AIばりの高速並列思考の脳内会議が紛糾したところで、方針を決定し役割を割り振って、迎撃魔法を同時並行で発動しても、十分にお釣りが来るくらいの時間はあった。
結果として紅魔の森に円形脱毛症の様に広場ができてしまったが、正当防衛と言うことでお目溢しをいただきたいところだ。
もちろん樹上に退避していた紅白仮面を巻き込まない様に、テレポート(もどき)の瞬間移動でお姫様抱っこ、おそらく仮面の下では紅いお目々を白黒させているだろう。
これ程の広範囲を力尽くの魔法で耕せば一瞬で大量の魔力が持って行かれ、一撃熊から徴収した分を合わせても足りなくなるところだが、そこは出納長のラファエル先生の手腕が発揮された。
直ちに亜空間魔力銀行から不足分が振り込まれて来る感覚が頗る気持ち良くて、ナカにエクスプロージョンされたときのめぐみんの快感も、これと似た様なものだろうかと想像してしまった。
確かにこれは癖になりそうなくらい気持ち良いが、しかし快感の余韻に浸っている暇はないと、畳み掛ける様に脳内高速詠唱で本邦初公開となる新開発の合成魔法を展開した。
こんなこといいな、できたらいいなと、ラファエル先生の力を借りながら手持ちのスキルを組み合わせて、とある転生系アニメの主人公の技を再現してみたのだが、これが殊の外上手く行った。
『マード』と命名した魔法は、岩石や土壌を構成する粒子の結合を解き、クリエイトウォーターで加水することで瞬時に泥沼化する合成スキルで、元々はコンクリート代わりに開発したものだ。
コンクリート代わりに固める魔法だから、当然硬化の方法もセットで準備している訳で、こちらはギリシャ神話のメドゥーサの石化に因んで『ミノアライズ』と命名した。
マードで泥濘化された泥から一瞬で水分を抜いて、超々速乾性セメントの様にかちんこちんこに固めてしまう土木魔法なんだな。
為すすべもなく泥沼に沈んだフェンリルは、かちんこちんこに固まったコンクリートの地面から首だけを出して恨めしそうに唸り続けていたが、死角からドレインタッチで魔力を抜かれて、最後には長い舌をだらしなく放り出したままで虫の息になった。
一息に止めを刺してやりたいところだが、強力な魔獣の命を刈り取れるスキルの手持ちはない。
さてどうしたものだろうと思案していたら、ラファエル先生が新たな敵出現の警報を発した。
咄嗟に紅白仮面のめぐみんを掻っ攫う様にテレポート(もどき)で瞬間移動すると、何かがフェンリルの頭部に直撃して爆ぜた。
現れたのは二足歩行型のロボットだった。
『タイプ・チートハーレム型リア充日本人ト確認。爆殺処理ヲ実行シマス』
おい、何だその口上は? その上、仮面被ってんのになんで中身を判別できるんだよ? しかも、この世界で作られたロボットが、何で日本人なんか知ってやがんだよ? いやもうお察しだけど。
「カズマ、気を付けてください! あれがもぐにんにんです」
もぐにんにんなんて子供向けアニメの忍者キャラみたいな名前に、イメージが引っ張られちまってたけど、何なんだあの凶悪そうな破壊兵器然とした面構えは。
確かに一つ目のゴーレムに見えるけど、元日本人の俺からすりゃどう見たってザ〇じゃんかよ。
〇オン公国軍の主力MSとして活躍した、名機の誉れ高き単眼のモビルスーツじゃねえか。
特にあの色と造形は、父さんが書斎と呼んでた居間の片隅の本棚に飾ってあった、風呂屋の料金払うとこみたいな名前の会社が出してた1/144スケールの、赤い彗星とか言うヤツじゃねえのか?
ファミレスのステーキ皿に付いて来そうな、肉切りナイフみたいな角まで生えてやがる。
ありゃあ型式番号MS-06Sとか言う、中隊長専用機だったはずだ。
なんか知らんけど、父さんが熱っぽく語って母さんから白い目で見られてたのを思い出したぜ。
だけど身長つうか全高は、角を含めても俺より少し高いくらいにしか見えない。
主人公の前に立ち塞がる敵役として登場する、仮面のざまあ系イケメンの機体のはずなんだが、どうもシルエットって言うかプロポーションが俺の記憶と違って、何だか寸足らずのずんぐりむっくりで、不思議と愛嬌みたいなモンまで感じられる。
『《解》、マスターの記憶のSD〇ンダムシリーズに類似の形状が見られます』
え、そっち? しっかしまあ、あのクソッタレ転生者の野郎、何てモン再現してやがったんだ。
あれはバズーカだな? 爆殺魔人なんて呼ばれ方をしてるのはそのせいなのか?
マシンガンやライフルの様な銃器は持ってねえみたいだが、左腰の斧はヒートホークか?
ゆっくりとバズーカを俺たちに向けた赤いずんぐり彗星は、何を思ったのか砲口を下げた。
『改造被検体紅魔族ノ個体ヲ確認、爆殺処理ヲ中断シマス』
どうやらコイツは、紅魔族を攻撃しない様にプログラムされているらしい。
と言うことは、めぐみんと一緒にいる限り俺も無事ってことだな?
「アイツは紅魔族を攻撃しないみたいだから、誰しもが恐れる対象じゃないよな?」
「いえ、あれこそが紅魔族が恐れるもぐにんにんです」
「は? なんで?」
「なぜか紅魔族は襲われませんが、里の外から訪れた女性同伴の男性だけを攻撃するんです。特に黒髪黒目で複数の女性を連れていると、さっきの様に爆殺しようとします。実際に商人や観光客に被害が出て、里の経済は大きな打撃を受けているそうです。このまま野放しにしておくと里が亡びると、皆が恐れているのです」
「え、そっち?」
「討伐隊も組まれたそうですが、逃げ足が速くて捕捉できないと困っていました。あのゴーレムは聞いたことのない言葉を喋りましたけど、何を言っているのかカズマにはわかるのですか?」
「何を言ってるかはわかんないけど、射線にめぐみんを捉えたら武器を下ろしたじゃないか」
咄嗟にそう答えたけど、間違いなく日本語だったし、答えたのは脳内会議で討議した結論だ。
『改造被検体』なんて呼び名も、めぐみんに知られずに済んだのは幸いか。
『紅魔族ノ個体ト、チートハーレム型リア充日本人ヲ離間後、爆殺処理ニ移行シマス』
結局殺るんかい? だけど、何で一々行動を宣言しやがるんだろう?
赤いずんぐり彗星はバズーカを背中のホルダに固定すると、腰のヒートホークに手を伸ばした。
そこですかさず『スティール』、危なそうな物は没収して無限収納へ。
父さんの熱い解説では、刃部をプラズマ化させて金属を超高温で焼き溶かし斬る斧だったっけ?
その昔に魔法技術で覇権を握った帝国の遺物なら、高値が付くかもしれないじゃないか。
落としてしまったかと、赤ずんぐりがあたふたと探し回っている間に、もう帰っちまった方が良さそうだななんて思ってたら、紅白仮面が前に出ちゃったよ。
「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の‥‥‥」
「ん? どした?」
「ここで、バサッとマントをカッコ良く翻してですねぇ‥‥‥」
「いや、今のお前は仮面の盗賊スタイルだって。それに杖も俺に預けたまんまじゃないか」
「あ‥‥‥、と、取り敢えず杖を出してください。それに、帽子とマントも」
しょうがねえなあ~と頭の中で叫んで、ご要望の品を無限収納から召喚した。
そのために抜け出して来たんだから、最後まで見届けるか。
仮面とマフラーを受け取って仕舞うと、『どうですか?』と聞いて来る。
確かに盗賊衣装とでチグハグになっちまってるけど、まあ見られんことはないわな。
「良いんじゃないか? ちょっと違和感あるけど、見慣れない組み合わせだからじゃないかな?」
「そうですか? さっきみたいに一瞬で着せ替えできませんか?」
「できないことはないけど、肩の出るワンピースだと、ビキニアーマーの首紐が出ちまうぞ?」
「そうですねえ、チョーカーとバッティングしてビジュアル的にも問題がありますね。仕方ありません。このままでイキます」
そんなのどかなやりとりを交わしてる間も、途方に暮れてヒートホークを探していた赤ずんぐりは、諦めたのか背中のバズーカを再び装備しようとしていた。
うん、アレもヤバイのでスティールで没収、ついでに右腕の盾に付いてるマガジンも。
赤ずんぐりも漸くここに来て、犯人が俺だってことに気付いたみたいだ。
赤く光るモノアイが、俺をロックオンした。
対してコチラのアークウィザードも双眸を紅く輝かせて、俺たちの間に割り込む様に対峙する。
「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者。紅魔の森を騒がす爆殺魔人よ、今宵その名を私がもらい受ける」
知らない人から変なお名前をもらっちゃいけませんよとツッコミを入れようとしたら、滑る様に動き出した赤ずんぐりは、あっと言う間にめぐみんの脇を素通りして高速で突っ込んで来た。
しかし今夜の俺は絶好調、ヒラリと口から効果音を発しながら軽快に躱してスティールを連発。
突貫が空振りに終わる度に装備と装甲を奪ってみても、まだまだ本体の機動力は健在だ。
背中の背嚢みたいなユニットと足裏のジェットで、縦横無尽に駆けて、いや飛んで来る。
硬さとスピードは武器だから、ぶちかましを喰らったら生身の人間なんてひとたまりもない。
オカンがいない以上、俺の肉片を搔き集めて再生してくれる者は誰もいないのだ。
それにしてもこの赤ずんぐり、どうやら高くは飛べない様だ。
脚も動かさずに地面すれすれを高速で移動している。
突貫を躱すついでに、重力制御のGコンで奴の胸から上に作用する重力を一割増しに、腹より下に作用する重力を一割引きにしてやったら、Uターンするために回頭しようとしてバランスを崩して、立木をぶち折りながらものの見事に吹っ飛んで行った。
宇宙空間で運用されていた兵器をモデルにしたんだろうが、地上には重力ってもんがあんだよ。
それが全身に均等に作用することを前提に、高速ターンを決めようとしたのがオマエの失敗だ。
ターンの遠心力と自重のベクトルの合成角度で身体を傾けたんだろうが、見掛け上の重心を動かされちまっただけでこんなモンだ。
「今だっ! めぐみん、ぶちかませっ!」
「エクスプロージョンっ!」
めぐみんは厨二病を拗れさせた即興詩の呪文を唱えることもなく、瞬時に多層の魔法陣を夜空に展開して、もぐにんにんを目掛けて鋭く絞り込んだ一条の光を撃ち込んだ。
次の瞬間爆発が起こり、急激に膨張する爆炎は大地を抉り轟音を立てて巨大な火柱となって、遥か上空へと伸びた。
三話連続の無エロでした。