場面は楓、九十九の2人。2人は紅魔館に来るであろう幹部を迎え撃つために紅魔館へと向かっていた。と、九十九が楓と並走しながら口を開く。
「なぁ楓、1つ聞いていいか?」
「なんだ九十九、手短に頼む。」
「あんた、悠岐の形見は持っていかなかったのか?」
九十九の言葉に楓が少し眉を顰める。そして言う。
「・・・それは、どういうことだ?」
「漆黒の刃、あれを霊夢に渡してただろ?なんで悠岐と1番関わりのあるあんたが受け取らなかったのか、気になってな。」
そう言う九十九。実は永遠亭を出る際、楓は漆黒の刃を悠岐から受け取っていたものの、それを霊夢に渡していたのだ。その様子を九十九はしっかりと見ていた。と、楓が口を開く。
「・・・私には、これがある。」
そう言うと楓は懐にあった一本の刀を取り出す。その刀は紫色のオーラを纏った刀を取り出す。それを見た九十九が目を少し開けて言う。
「あんた、そんな刀を持っていたのか?」
「私の大切な仲間の形見だ。千年殃禍で私を守って命を落とした・・・。私は彼の思いを、意思を受け継ぐ。だから今は漆黒の刃は霊夢に預けてる。」
「そっか・・・。」
そう言う楓の顔が少し寂しそうな表情をしていたのを九十九は見てしまう。そんな彼女に少し心配そうに言う。
「山下啓介さん、だったっけ?」
山下啓介、彼はかつて悠岐が率いる五大王直下の部隊、影舷隊の一員の1人で幼い頃、悠岐と楓の面倒を見てくれていた青年だった。だが彼は千年殃禍での全能神の配下である破壊の化身、クレイジーハンドとの戦いで命を落とした。
「・・・そうだ、啓介は私に思いを託して先立っていった。彼の意思は無駄にしない。」
そう言いながら楓は紫色のオーラを纏った刀を握りしめる。と、その時だった。突如2人の前に黒いモヤが現れたかと思うとそこから無数の黒い翼を生やした悪魔達が姿を現した。それを見た九十九が目を細めて言う。
「コイツらは・・・ロウドの手下達か。」
「私達を紅魔館へ行かせないつもりか分からないが敵意を向けているのは確かだな。すぐに片付けよう。」
そう言うと楓は冷気を纏った刀を取り出して剣先を悪魔達に向ける。九十九も拳を構えて悪魔達を睨む。だが悪魔達は2人に怯むことなく襲いかかる。
「くらえ!!」
「はあっ!!」
襲いかかる悪魔達を楓は斬り倒し、九十九は殴り倒していく。その筈だった。だが悪魔の1人は楓の刀の攻撃を避け、もう1人の悪魔は九十九の拳を片手で受け止めていた。
「何っ!?」
「チッ!!」
咄嗟に後退する2人。だがいつの間にか2人は大量の悪魔達に囲まれていた。だが2人がいくら倒しても数が減ることはなく、むしろ増え続けている。
「グヘヘ、女だ・・・。」
「女だ・・・。犯す・・・。」
涎を垂らしながら不気味に笑う悪魔達。そんな中、九十九が周りを見ながら楓に言う。
「クソッ!キリがねぇな。」
「いくら来ようが無意味だということを思い知らせるまで倒し続ける。」
「けど楓、コイツらタダじゃ倒せねぇ。それを100体以上相手すると紅魔館に行くであろうオノスケリスとの戦いに備えられないぞ?」
そう楓と九十九が話している中、大量の悪魔達が不気味な笑い声を共にゆっくりと2人に近づく。楓と九十九は背中を合わせて悪魔達を睨む。
「コイツはマズいな、楓。」
「全員相手するしかないか・・・。」
2人が覚悟を決めた時だった。突如2人の頭上から緑色のレーザーが悪魔達に目掛けて8方向に放たれたのだ。レーザーを食らった悪魔達は思わず後退する。
「な、なんだ!?」
「緑色の8方向レーザー・・・まさか!!?」
「フフフ、久しぶりね。」
不気味な女性の笑い声が聞こえたかと思うと九十九、楓の背後から突然彼岸花が辺りに咲き始め、そこから黒いドレスに身を包み、赤い彼岸花を頭に飾る背丈の高い女性が姿を現した。女性を見た楓と九十九は目を大きく見開いて口を開く。
「お、お前は!!?」
「メメントモリ!!?なんでここに!?」
突然姿を現したメメントモリを見て2人は驚愕の声を上げる。そんな2人とは別にメメントモリはクスクスと笑みを浮かべながら言う。
「聞いているわ、紅魔館に襲撃するオノスケリスを倒しに行くんでしょ?それに、そんな敵意を向けないで欲しいわ。私はあなた達と戦う暇はないのよ。」
「アタシ達と戦う暇がないだと?どう言うことだ?」
「嫌でも分かるわ。それに、あなた達も私と戦う暇なんてないでしょ?ロウドに連れ去られた幻想郷の守護者を助けるために、ね?」
「・・・何故そこまで知ってる?」
「ロウドに関しては色々と教えてもらったわ。この悪魔達は私が処理しておくからあなた達は紅魔館へ行きなさい。」
「は!?マジで言ってんのかお前!!?」
「いや、落ち着け九十九。この大量の悪魔達を相手してくれるなら私達にとって都合がいい。ここはメメントモリに任せて私達は紅魔館へ行こう。」
楓が冷静に判断して九十九の肩に手を置いて言う。それを聞いた九十九はメメントモリを見て言う。
「あぁ、そうだな。んじゃコイツらは任せる。けど勘違いするんじゃねぇぞ?アタシ達はお前に心を許した訳じゃないからな?」
「フフフ、それはこちらの台詞よ?」
クスクスと笑うメメントモリに背を向けて楓と九十九は紅魔館へと走っていった。2人を見届けたメメントモリはゆっくりと悪魔達に振り返る。悪魔達はメメントモリを見るなり唸り声をあげて威嚇する。そんな悪魔達を見てメメントモリは一切怯むことなく笑みを浮かべる。
「さぁ、あなたの出番よ。任せるわ。」
クスクスと笑いながらそう呟いた。
場所は変わって妖怪の山。そこではユニを探すために百々、琥珀、暁が動いていた。
「ユニ!どこにいるんだ!!」
「ユニさーん!」
「ユニちゃーん!どこにいるんだーい?」
3人がいくら声を掛けても彼女が返事をすることはない。それも当然か、と納得した表情で3人がその場に留まる。と、暁が口を開く。
「ユニさん、大丈夫ですかね・・・。」
「僕は心配だよ。ロウドはカオスの弟でありながらその兄を超える力を持っている。ユニちゃん1人なら勝てる相手じゃない。それにロウドは捕らえた子を調教するって話もあるしね。」
「調教?それはどういう意味だ?」
「ロウドは自身の計画のために捕らえた子、いわば女の子を性的に調教するっていう話を聞いたことがある。身も心も壊し、自身のために動く駒とするためにね。」
「・・・そんなことをユニがやられてる可能性があるのか。」
ギリッと歯を食いしばり、百々が怒りの表情を浮かべる。そんな彼に暁が腕を組んで言う。
「もし強姦されて悪魔の子を孕んでしまったらユニさんは自分を保っていられなくなる可能性があります。そうなってしまったら、幻想郷の守護者なんてやっていられませんよ。」
「そうなる前に俺たちでユニを助けてあげなきゃならねぇ。」
「・・・悠岐君の離脱が痛いね。」
琥珀の言葉を聞いた2人は同時に俯く。悠岐はロウドが襲撃した際、ユニ、魔理沙、楓が倒れていた中、1人血塗れになってもロウドと戦い、撤退まで追い込んだ。
「だが悠岐のおかげもあってかロウドは今のところ戦闘に出れていない。オノスケリスとベリアルを倒せば一気に俺たちが有利にいける。」
「・・・それはどうかな?」
琥珀の一言を聞いた暁が思わず口を開く。
「どういうことです?何かロウドはまた企んでいるのですか?」
「ドゥームから聞いたんだよね。ロウドはユニちゃんの力を使って最悪の破滅生物、デスコアトルを召喚するって。」
「・・・デスコアトルだと?そいつは何なんだ?」
「かつて世界を火の海にしたと言われている破滅生物さ。どうやって封印されたのかは僕にも分からないけれど。」
「そんなのを幻想郷に放たれては破滅へ向かうのは時間の問題です。」
「なら、尚更そうなる前にロウドの場所を突き止めて阻止しねぇと!」
百々がそう言った時だった。突如3人の目の前に紫色の靄が地面に現れたかと思うとその中から大量の悪魔達が姿を現した。
「コイツらは・・・ロウドの手下か!!」
「容易くここから先へは行かせてくれないみたいですね。」
「そんじゃ、僕はサポートに入ろうかな。」
3人がそう言って戦闘態勢に入った時だった。突如あたりに銃声が響き渡ったかと思うと悪魔達に無数の銃弾が降り注いだ。銃弾を喰らった一部の悪魔達はそのまま地面に崩れ落ちる。
「この銃弾は、まさか・・・。」
「ヒヒヒ、久しぶりだナァ百々。」
その声が聞こえたと同時に3人の背後に赤髪の1人の大男が降り立つ。男を見た百々が思わず声を上げる。
「ニ、ニル!!?なんでここに!?いやそれよりもなんで生きてんだよ!あの時お前は・・・。」
「クヒヒヒ、色々あってな。それよりお前達、こんなところで油を売ってる場合か?」
「それはどういうことだい?タマちゃん。」
「懐かしいあだ名だな・・・。お前達のところの可愛い子ちゃん、拐われたんだろ?そいつを救う為にロウドって奴の手下を倒して見つけ出すんだろ?ならここは俺に任せてお前達は先に行きな!」
「・・・あなたはどうするのですか?」
「コイツらは俺が暇つぶし程度に始末しておくさ。さぁ、行け。」
「とりあえずありがとうニル。後で飯奢ってやるからな。」
「九十九もセットでな?」
ニルヴァーナの言葉を聞いた百々はニッと笑みを浮かべてそのまま琥珀、暁と共に走って行った。3人が走って行ったのを見届けたニルヴァーナは悪魔たちへ目を向ける。悪魔達はニルヴァーナを睨みながら唸り声を上げる。それを見たニルヴァーナは腰に銃をしまい、両手を頭に添えて口を開いた。
「さ、お前の出番だぜ?どれほどの実力になったのかを俺に見せてくれよ?」
笑みを浮かべながらそう言った。
楓、九十九の前に現れた消滅した筈のメメントモリ、そして百々、琥珀、暁の前に現れた消滅した筈のニルヴァーナ。2体の闘神の目的とは一体!!?
次作もお楽しみに!