霊夢は百々と肩を並べてオノスケリスの様子を伺う。と、オノスケリスが剣先をを向けて口を開く。
「私のこの能力がある限り、お前達は私を倒すことは出来ない。」
彼女の言葉に百々は舌打ちをしてしまう。と、霊夢が百々に言う。
「百々、こうなったら倒すことを諦めるわよ。」
「諦める!?何言ってんだ霊夢!!」
「奴にダメージを与えれば紫にダメージが行く。ならば小さな攻撃を奴に与えて逃げるチャンスを見つけるわよ。」
「戦略的撤退ってことか。よし、行くぞ。」
そう言って2人は勢いよくオノスケリスに向かっていく。それを見たオノスケリスは剣を構えて2人に向かっていく。と、2人はオノスケリスの前で2方向に散見する。
「なに?(何を考えている?)」
2人の様子を交互に見ながらオノスケリスは警戒を解かずに剣を構える。と、霊夢が漆黒の刃を構えてオノスケリスに向かっていく。そのまま2人は斬り合いに発展する。と、剣を打ち合いながらオノスケリスが口を開く。
「どうしたの?その程度の剣捌きじゃ私は倒せないわよ?」
「ぐぅぅ!!」
体を徐々に斬られながらも霊夢はオノスケリスの攻撃を防ぎつつ刀を振る。と、霊夢が突然後退したかと思うとそのままスペルカードを発動する。
「封魔針!!」
霊夢の放った攻撃を見てオノスケリスは後退する。そのまま再び霊夢に向かって真っ直ぐに向かっていく。再び2人は剣の打ち合いを始める。そんな中、オノスケリスが心の中で言う。
(おかしい。何故あの鬼の小僧は攻めてこない。・・・まさか!!?)
その瞬間、オノスケリスは目先だけをある場所へと向ける。その場所には百々が紫に肩を貸してその場を去ろうとする姿だった。
「させないわ、全員殺す。」
「ぐっ!?」
その瞬間、オノスケリスは霊夢を勢いよく吹っ飛ばすと勢いよく百々と紫の元へと向かっていく。
「げっ!?」
思わず声を上げる百々。そんな彼とは別にオノスケリスは一切の躊躇なく剣を振るう。
「ぐぅぅ!!」
紫に肩を貸している状態では何もすることができず、百々は背中に刀傷を負ってしまう。そのまま百々は背中から血を流しながら膝から崩れる。
「百々!!」
すぐさま百々、紫を守ろうと霊夢が2人に寄る。だがそれを見たオノスケリスが霊夢に剣を振る。
「ぐあっ!!」
霊夢は咄嗟に反応したが彼女の剣の振る速さに追いつかずにそのまま左肩を斬られてしまう。左肩から流れる血を抑えながら霊夢は2人の前に立つ。それを見たオノスケリスが剣を構えて口を開く。
「この程度で終わるとは思わないけど、傷だらけの妖怪と私の能力があっては、どうしようもないわよね?」
そう言う彼女の顔にはいやらしい笑みが浮かんでいる。と、オノスケリスの剣に青い光が漂い始める。
「さぁ、これで終わりよ。」
そのまま剣を振り上げる。その瞬間、オノスケリスの持つ剣から青い光が巨大は剣の形となる。それを見た霊夢と百々は舌打ちをしてただ黙って見ている。
「超強貫通ホーミング。」
その声が聞こえた瞬間、どこからか8つの黄色いホーミング弾がオノスケリス目掛けて放たれた。
「ぐぅぅぅ!!?」
そのホーミングを食らったオノスケリスは思わず後退してしまう。何が起こったのか理解が遅れる百々と霊夢。と、霊夢が口を開く。
「ホーミングって・・・暁!!?」
「・・・いいや、違う!!」
自身の弟である暁が加勢に来てくれたと思う霊夢とは別に百々は目を細めて辺りを警戒しながら言う。と、突然空から影が霊夢達の前にゆっくりと降り立つ。それを見たオノスケリスは目を大きく見開いて口を開く。
「バカな!!何故お前が・・・!?」
「嘘だろ、お前あの時・・・!!」
百々達の前に姿を現したのは白い髪に赤い瞳をしていて胸部から両腕にかけて紫色の体色、そして胸の部分には不気味に輝く大きな目を生やす1人の少年だった。その少年を見た霊夢が目を見開いて言う。
「あんたは・・・光の闘神、カルマ!!?」
光の闘神カルマ。かつて表裏戦争にて凶神エリュシオンと共に幻想入りを果たし、幻想郷を破滅へと追い込もうとしたエリュシオンの子の1人。だが彼はユニ達との戦いによって再起不能となり、自身の母であるエリュシオンによって射殺された筈だったのだ。そんなカルマが、今百々達の前に存在している。その事実に2人は驚きを隠さなかった。と、カルマが百々を見て口を開く。
「おや、まさかこんなところで君と再開するなんてね。元気にしてたかい?百々。」
呑気に話すカルマとは別にオノスケリスは目を細めて心の中で言う。
(光の闘神カルマ。奴は因果の法則にて敵の行動を制限することのできる闘神。今ここで奴と戦えばロウド様の計画に支障が出る。ここは一旦退くのが良さそうね。)
そのままオノスケリスは瞬時に姿を消した。それを見た百々が咄嗟に追おうとする。
「無駄だよ、追ったって意味ないよ。」
そんな彼にカルマが言う。と、霊夢が左肩を押さえながら口を開いた。
「まずは状況整理ね。カルマ、あんたなんで生きてるの?あの時・・・。」
「ん?まさか君達、母さんが君達との戦いに負けることを想定していないとでも?」
彼の言葉に驚きの表情を浮かべる霊夢と百々。そんな2人の表情を見てカルマはニヤッと笑って口を開く。
「ふふふ、どうやらそうらしいね。そして今はとても都合がいい、ボロボロになった君達を殺せるチャンスだ。君達を始末する。」
そう言ってカルマは浮かべてた笑みを真剣な眼差しに変える。彼の言葉を聞いて2人は咄嗟に戦闘態勢に入る。と、カルマが突然肩の力を抜いて口を開いた。
「・・・と、言いたいところだけど僕には今やるべきことがある。君達の始末はまた今度にしよう。」
「・・・は?」
思わずきょとんとする2人。だがそう言うカルマの顔からは殺意が消えていた。と、百々がカルマに言う。
「おいカルマ!!やるべきことってなんだよ!!?何を企んでるんだ!」
「君に教えるわけないだろ?君に教えて僕に何かあるのかい?」
そう言われた百々は歯を食いしばりながら黙り込んでしまう。そんな彼にカルマが再び言う。
「僕はそんなお人好しじゃないからね、僕のことは教えないよ。ただ、」
「ただ・・・?」
「せめてもの情けで君達にとって脅威となっている存在の情報ならあげてもいいよ。」
それを聞いた2人は咄嗟に声を上げていた。
「本当なの!?」
「聞かせてくれカルマ!!」
「知っての通り、君達と脅威となっているのは悪魔族の首領、カオスの弟であるロウド。彼の目的は八意百合姫の能力を用いて最悪の生物を召喚して世界を支配すること。」
「最悪の・・・。」
「生物、ですって・・・?」
「その生物の名はデス・コアトル。裏の世界で語られてる厄災と言われる翼竜で千年殃禍によって封印された。ロウド達はそいつを使って幻想郷を支配するって訳さ。」
「なんてことを・・・絶対にとめねぇと!!!」
「幻想郷が滅んでしまうわ・・・。一刻も早くユニを助けないと!!」
「ロウドはこうしている内に百合姫を強姦して力を最大限発揮させようとしているみたいらしいね。彼を誘き出すためには彼の配下であるオノスケリス、そしてベリアルを倒す必要がある。」
「あの強かった女剣士と黒コートの男を倒さなきゃいけなのね・・・。」
「そして君達に残念なお知らせだ。ロウドはここ、玄武の沢近くにはいない。」
「なんだと!!?」
「彼らは特殊な空間の中に拠点を置いている。簡単に言えば、妖怪賢者の八雲紫が使う、『スキマ』に似たようなものだね。」
「・・・それを見つけ出せば、そこにロウドがいるってことね?」
「理論上はそうさ。でも君達じゃ見つけられない、君達には分からないように細工してあるからね。」
「・・・なんでそこまで情報知ってるんだ?」
「そこまでは教えられない。僕はここまで話したんだ、感謝くらいしてくれてもいいんじゃない?」
「・・・感謝するわ。」
「さんきゅー、カルマ。後で飯奢ってやるよ。」
「あ、そうそう。言い忘れてたんだけど。」
「・・・なんだ?」
「ベリアルとオノスケリスは紅魔館と守谷神社を狙っている。行くならそこに早めに行ったほうがいいよ。」
「なんだと!?有益情報助かる!!」
「まずは紫を永琳の元へ連れていくのが先決よ!楓や暁、九十九がすぐに行ってくれると思うわ!」
霊夢に呼び止められて百々は霊夢と共に紫を担いでそのまま永遠亭へと向かっていった。2人の姿を見届けたカルマは後ろを振り返ると、
「これで、良かったのかい?」
自分の影にそう言った。
オノスケリスとの戦いに現れた死んだ筈のカルマ。そしてカルマから明かされるロウド達の野望。
次作もお楽しみに!