シャーロットはその自身の未だ幼き膣奥へと、ヘルゲイの吐精を受け止めなくてはならなかった。
それは彼女が巫女と呼ばれる者であり、また必要な事であったからに過ぎない。
そう、シャーロットは自らの赤子を育む為の子宮へと精を注がれて、それにより彼女とヘルゲイの繋がりを深くして、二人の境目を曖昧にしていた。
これによって存在は希薄となり、漸くシャーロットは本来の目的を果たす事が叶う。
ロザリオをその胸に抱きしめて、その華奢な身体を大きく背後へと仰け反らせると、柔らかなシャーロットの腹部は僅かながらに膨らみを宿しているのが傍目にも見える。
その幼い年齢に反した身に余るヘルゲイの大きな男根を膣奥へと入れられて、ぽっこりとその部分だけ肌が隆起していた。
そんなシャーロットは今現在もヘルゲイの上に跨ったままの姿勢で激しく雨粒が打たれる宿屋の天井を見上げていた。
天を仰ぎ見る体制のままで嵐吹き荒ぶ外界とは遮断された蝋燭の僅かばかりの火が灯るこの空間で、彼女はナニカを視界へと捉えているかの様、その二つの双眸を見開いている。
先程までオスの欲望を迎えた為か大きく肉体を震わせていたのも束の間、次の瞬間には張り詰めていた雰囲気も弛緩して崩れる。
シャーロットはその端正な顔立ちに平素通りの冷たい美貌へと何処か眠たげな胡乱でいて人形の如き表情を戻した。
「もう、へいき」
「‥本当だ」
すると続いて眼下のヘルゲイを見遣るとシャーロットは平坦な声色でそう言った。
その冷たい声質は今まで、否、今も尚肉体の交わりを許している相手に対するものとは思えない程に発された言葉には暖かみが欠落している。
やはりどうやら彼女はその様な性分らしい。
そして言葉通りヘルゲイは今し方まで動かす事が出来なかった肉体がまるで何かから解放されたかの様に、自由が効くのに気が付いた。
「なぜ君がここまで自分の身を犠牲にしてまで俺を助けてくれるのか説明してくれないか?」
「‥どうして?」
「それは、いや‥。すまない不躾だった」
だからだろう。
ヘルゲイはここぞとばかりにシャーロットとの行為の理由を求めたが、けれどすぐさまハッとした表情で首を横に振った。
どうやら直接的に過ぎると思い至り、改めてどう問えばいいのか思考を巡らせているらしい。
そも心底から不思議そうに首を傾げるシャーロットにとって、はなから応える気など毛頭無かった。
というのも穢れをその胎へと受け止める事が出来るシャーロットとて、何故自らがその様な恩恵を授けられているのか、それすらも未だ判然としないというのが実情であり、ならば他者に語って聞かせるだけの言葉も持ち合わせていないというのが真実であった。
無論の事当初からそれを目的としてヘルゲイとの関わりを深め彼が心を許せる様に、その身を出来るだけシャーロットは自身の振る舞いを親密なものに努めた。
先の食事の際は必要以上にヘルゲイへとべっとりと身体を密着させ、そして普段はしない様な甘えた子供の様な素振りをしてみせた。
貧相ではあるもののなるべくヘルゲイの視界へと自身の肌が見える様、シャーロットは意図して行動していた。
それもかのミチオという名の異端を兼ねてから廃すべくしていたシャーロットにしてみれば、自らを救ったヘルゲイに報いるのは極自然な成り行きであった。
それにヘルゲイと泉で知り合ったのは真に偶然であり、それはシャーロットも予想だにしていなかった出来事に相違は無い。
故に全てがシャーロットの思っていた様に物事が進んでいた訳ではなく、あの異邦人がヘルゲイに悪魔を付き纏わせたのは想定を超えていた。
そのせいか本来巻き込むべきでは無い部外者のヘルゲイを危険な目に遭わせてしまった為か、自ずと罪悪感からの言葉をシャーロットは途端に口としていた。
「‥ごめんなさい」
「謝るのは此方の方だ。俺が油断していたばかりに君にまで無理をさせてしまった‥」
ヘルゲイは依然として知らず、あの村にシャーロットが居た理由は明白で異端を滅ぼす目的があったからに過ぎない。
その中であくまでもたまたま泉に見惚れていたシャーロットを見つけたのがこのヘルゲイという男だった。
関わりを持ったのはシャーロットの未熟故であり、彼女自身の及ばない所が端を発していた。
その責任を悪魔を払うという行いで負った。
ただそれだけの話であった。
だからこそシャーロットは良心を痛めていたし、それが理由でヘルゲイにこれ程尽くしたという塩梅だった。
「ねむったほうがいい」
「俺は暫く起きているよ」
「‥そう」
シャーロットは少なからずヘルゲイが自身に情を抱いているのをその身に無意識ながらも理解しているのか既に年齢不相応な平素からの冷たい振る舞いに戻っていた。
共に食事をしていた時の様な甘えた素振りは其処からは見られない。
どうやら悪魔の目は完全に失われたらしく、シャーロットは今まで自らの膣へと納めていたヘルゲイの男根をずるりと引き抜いた。
そこからは彼女自身の愛液とヘルゲイの白濁した子種が糸を引き、生々しい情交の跡が鮮明に感じられる。
「んっ‥」
「動いて平気なのか?」
この光景を目の当たりにしてヘルゲイは上体を起こすと共に気遣わしげにシャーロットを太く鍛え上げられた腕で軽々と支えてみせた。
「だいじょうぶ」
するとそう一言呟いてみせたシャーロットはコクリと頷いてヘルゲイの男根を完全に自身の膣口から抜くと寝台の上に姿勢を崩して内股に尻を落とした。
それは所謂完全な女の子座りというやつで、シャーロットは事後のせいなのか、何処かぼんやりとした弛緩した表情でヘルゲイを見つめていた。
その姿を前にヘルゲイは妙に畏まった面持ちになると改めて真剣な声色で少女に言った。
「君は俺に気があるのだろうか?」
「‥?」
するとシャーロットは小首を傾げて不思議そうにヘルゲイを上目遣いで見上げた。
際してはサラサラと輝かしい彼女の白金のプラチナブロンドの長髪が緩やかに頬を流れて肩に垂れた。
「対価も無しにこんな事をするのはおかしいだろう?」
「そう」
「ああ、だから君は俺に惚れているのか?」
「‥ん、そう」
問い掛けられた質問にシャーロットは若干間を置いて受け答えた。
どうやら今はそういう事にしても構わないと思ったらしい。
そしてシャーロットもあまり自らの事情にヘルゲイを踏み込ませるのも危険だと考えた様だった。
「それは光栄だが‥。しかし君にはそんな素振り、つい最近まではなかった様に記憶しているが‥」
「くちがへただから」
「‥確か以前にそう言っていたな」
「うれしい」
その言葉通り、シャーロットは少しばかり同年代の少年少女よりも言語の発達が遅かった。
そして以前に言ったこれをヘルゲイが覚えていてくれた事がという意味でシャーロットは素直に嬉しかった。
相変わらず言葉足らずに話をするお陰で側から見れば不自然極まりないが、けれどそれはヘルゲイがシャーロットの言いたい事の意味を理解しようと寄り添っている為問題が無いといった所だろうか。
「君は知っているだろうが、俺には恋人がいる」
「ん」
とはいえその言葉通り、ヘルゲイにはエルルという名の未だ村で待つ歴とした婚約者がいるのだ。
それはシャーロットも知っているし、理解していた。
だからこそそれを口実にヘルゲイはシャーロットの想いを断るだろうとも踏んでいた。
故に、次に来る言葉は拒絶の意思かと思われたのも束の間、その予想は想定外にも覆される。
「だから君と正式に契りを結ぶには彼女に別れを告げた後でなければならない。それでも構わないだろうか?」
「‥?」
そう、思っていた方向とは全く異なる場所に物事が運び、シャーロットは珍しくもその目を白黒とさせていた。
「俺はもうエルルに失望されている。それに見限られていてもおかしくは無い。だが俺も男としての最低限の道理は果たすつもりだ」
己がエルルに関係を断たれると理解しているにも関わらずそのヘルゲイの勇気ある硬い決意を受けて、これにまさかその様な展開になるとは毛程も想像していなかったシャーロットだから、驚きと或いは事態に付いていけない困惑からか大きな可愛らしい対の瞳をパチクリとさせた。
そして気が付けば先程まで天から地へと降り注いでいた豪雨はなりをひそめ、既に屋外の雨音は止んでいた。
それは悪魔が失われたお陰であるのか、窓の外は依然薄闇に覆われながらも、漸く世界は日の出を迎えようとしていたのであった。