※この作品はR-18です。

お兄ちゃんの子供が欲しい妹とそうでもない兄   作:猫見サイル

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遅くなりました


103 精戦③

「お兄ちゃん! もういい!」

 

 戦闘の気配を感じて、私は治癒途中のお兄ちゃんの前に立つ。

 お腹はまだ少し痛むけど、戦闘に支障は無い。

 裸の女の人が3人、私たちに向かってきていた。

 

 大きなおっぱいがぶるんぶるん揺れている……。

 

「クロ、ヒナとカオルをお願い! 1体はあなたたちに任せるわ!!」

 

 そう言うと、ユキちゃんが3人に向かって走っていく。

 

「ユキちゃん!? 1人で2人を相手するのは無理だよ!?」

 

 その背中に向かって、私は叫んだ。

 とてもではないけど、無事に済むとは思えない。

 

 ユキちゃんは振り向かず、3人に向かって跳躍した──その時……。

 

 ズルンッ!

 

(えっ!?)

 

 ユキちゃんの股間から赤黒い何かが飛び出して、地面に落ちた。

 

 最初はウンチを漏らしたのかと思ったけど、徐々にそれが人型に変わり、全裸のユキちゃんがあらわれた。

 それは、ユキちゃんの肉分身だった……。

 

「私とこの子で2体を止めるわ! その間に、1人を倒して!!」

 

 ユキちゃんの飛び蹴りを1人が受け止める。

 抜けてくる2人のうち、1人とユキちゃんの分身が対峙していた。

 残った1人は、私たち目掛けて向かってくる……。

 

 ───

 

 クロの盾により、オコメの攻撃が防がれ硬直した。

 そこをすかさずヒナが攻撃し、オコメがバランスを崩す……。

 

「お兄ちゃん! 今だよ!!」

 

 ヒナの声に、俺は慌ててオコメに向けて雷撃を放つが……躱される。

 

「くそっ!!」

 

 体勢を立て直したオコメから俺を守るように、クロとヒナが俺の前に立つ。

 

「お兄ちゃん! らしくないよ!? 集中してよ!!」

「カオル……」

 

 ヒナが振り返りもせずに、俺を叱咤する。

 クロは盾を構え直すが、その声は泣きそうなくらいかぼそかった。

 

「すまない! わかってはいるんだ……」

 

 視界の端に2人の少女の姿が映る。

 

 全力を出すために、全裸になったユキと、その肉分身だった。

 もう、どちらがユキなのかわからない。

 

 2人とも全身のあちこち痣だらけで見ていて痛々しい姿だ。

 

 その2人が、2人のオコメと死闘を繰り広げていた。

 辛うじて俺たちに近寄らせないように耐えているが、明らかに劣勢だった……。

 

 回し蹴りを喰らったユキか分身が、口から血を吐きながらオコメに飛びかかっていく……。

 

(ユキッ!!)

 

 早く、目の前のオコメを倒して、加勢に行かなければならないのに、ユキの安否が気になって、戦いに集中できない……。

 

 このままでは、ユキが…………。

 

「お兄ちゃん、しっかりしてよ!?」

 

 そんな俺に気付いたのか、ヒナが目の前のオコメを警戒しつつも、振り向いて俺を睨みつける。

 

「ユキちゃんなら、大丈夫だよ! 信じてあげて! 今のヒナたちに出来る事は、このオコメを早く倒す事……なんだよ!?」

 

「カオル……ユキは死なないよ。死んだら、カオルが悲しむ……もの……」

 

 2人とも最後は吐き出すように声を絞り出していた。

 

 俺だけじゃない……ヒナも、クロも、ユキが心配なんだ。

 傷つき、それでも立ち上がり俺たちのために闘うユキ……。

 それに加勢したい気持ちを必死に耐えて、目の前のオコメを倒そうとしている。

 

(どうかしていたな……俺は……)

 

「悪かったな、2人とも……。さっさとこいつを倒して、俺は愛する妻の元に行く」

 

 俺の言葉を聞いて、2人の身体がビクリと震えた。

 

「ずるいよ? お兄ちゃん……。ユキちゃんはヒナのお嫁さんでもあるんだから!」

「私にとって、とても大切な母親だよ!」

 

 2人の言葉を聞いて俺は口元に笑みを浮かべ、オコメを睨みつける。

 

 こんな軽口を叩けるんだ。俺たちはまだ、やれる!

 

 オコメの分身は無表情のまま、静かに構えた……。

 真っ白な肌にすらりと伸びた手と脚。

 豊満は胸を惜しげもなく晒していた。

 

 その美しい身体を見ても、今は何とも思わない。

 

(ユキ、待っていてくれ……)

 

 下腹部が疼くのを感じた。

 女性の身体になってから、初めて、俺はユキを抱きたいと思った。

 いつもは一方的に抱かれ、与えられていた快楽を、ユキにも与えたい。

 俺はユキと、愛し合いたい。

 

「行くぞ!!」

 

 俺たちはオコメ目掛けて、駆けた!

 

 ───

 

 そこから、お兄ちゃんの動きが、確実に良くなった。

 

 私の金棒を受け止めた女の人の横腹に、火の玉が当たる。

 

「クロッ!」

 

 女の人目掛けて、クロちゃんが突進して盾で弾き飛ばす。

 

 私は女の人が着地しそうな場所に駆けよる。

 

 横目で女の人を見ると、空中で私の向かって手を突き出して掌を向けていた。

 

(しまった!?)

 

 魔法だった……。目の前に、青白い光が広がる。

 

 ダメージを覚悟して防御姿勢を取った……痛くない!?

 

 気が付くと、私の身体の周りに淡くゆらめく魔法壁がある。お兄ちゃんが、守ってくれた!

 

「ヒナ、油断するな!」

 

 そのまま金棒を振りかぶって、バランスを崩して着地した女の人を思いきり殴りつけた。

 確かな手ごたえがあり、女の人が膝をつく。

 

 チャンスだ!

 

「お兄ちゃ……」

 

 私が言うまでもなくお兄ちゃんは次の魔法を放ったので、私は急いで飛びのく。

 天から雷が一直線に、女の人の上に落ちた。

 

 目の前が真っ白になり、肉の焼ける嫌な臭いが漂っていた。

 

 どさりと倒れた黒焦げになった女の人の首に向かって、クロちゃんが大きな盾を突き立てた。

 首と体が離れる。

 

 黒焦げの女の人はそのまま、灰になって崩れた。

 クロちゃんが産んだ肉分身と同じだった。

 

「念には念を、入れないとね……」

 

「ああ、そうだな……」

 

 クロちゃんとハイタッチするお兄ちゃんの顔は、赤くて少しエッチに感じた。

 もしかして、お兄ちゃん、発情している!? 戦闘で興奮しちゃったのだろうか?

 

(今はそんな事考えちゃダメ!)

 

 私は頭を振って雑念を追いやる。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ああ、ユキを助けよう!」

 

 向こうで戦うユキちゃんたちに向かって、お兄ちゃんは走り出す。

 

 その背を追いかける私は、ぷりぷり揺れるお兄ちゃんのお尻を見つめていた。

 

 股間が熱くなる。

 

 この戦いが終わったら、めちゃくちゃエッチがしたい……お兄ちゃんさえ、よければ……。

 

 少し硬くなったオチンチンの感触に、私は思わず笑いそうになった。

 

(本当に……戦闘中に興奮するなんて、私もとんだ変態だね……)

 

 でも──

 いつ、誰が死んでもおかしくない。そんな状況の中で、私は、生きている証を……お兄ちゃんやユキちゃんと分かち合いたいのかもしれない……。

 

 胸の奥がきゅっと締めつけられて、足がもっと速くなる。

 

(ユキちゃん……無事でいて!!)

 

 ユキちゃん。お兄ちゃんの次に、私が愛する人。

 その人のもとへ、全力で走った……。

 

 ───

 

 目の前のオコメと殴り合っていると、突如、死角から気配を感じ、飛びのく。

 もう一人のオコメの回し蹴りはなんとか直撃を免れたが、受け止めた左腕は、もう感覚が無い。

 

 目の前に、2人のオコメが立っていた。──という事は……。

 

 横目で分身を見る。

 分身は花の上に倒れていた。

 両腕も両脚も、変に折れ曲がった状態で、それでも、立ち上がろうとしている。

 

 その顔は苦痛に歪んではおらず、相変わらず無表情であるのが唯一の救いだ。

 

 責める気は無い。むしろ、よくここまで抑えていてくれた。

 

(ありがとう……戦うためにあなたを産んだ私を、許してちょうだい……)

 

 心の中で、分身に感謝しながら、私は自分の状態を確認する。

 左目は、腫れあがった瞼のせいでもう見えない。

 左腕も、先ほどの攻撃を受けて使い物にならない。

 幸い、脚はまだ動く。右腕も少々痛いが、問題ない。

 

 あとは、全身の打ち身、擦り傷、切り傷、打撲──身体中痛いが、こんなものはどうでもいい。

 

 私は、まだ戦える……。

 

 次にオコメたちの様子を見る。

 向こうだって無傷ではない。私と、あの子との戦闘で身体中、傷だらけだ。

 

 そしてオコメたちの後方には、本物のオコメが立ち、私を睨みつけていた。

 背筋を伸ばして立っているが、その顔は青ざめ、ステッキを握る手も震えている。

 身体を時おりふらつかせて具合が悪いのだろうか?

 

(あの様子なら、今の私でも勝てそうだけど……)

 

 オコメに辿り着くには、目の前の2人を倒す必要があるが、それは流石に厳しい。

 

 目の前の2人をどう倒すべきか思案する……いや、防戦でカオルたちの援軍を待つべき?

 クロに作戦は話した。あとはクロが来れば私たちの……。

 

「ユキッ!!」

「ユキちゃん!?」

 

 愛する人の声。そして、その次に愛する人の声。

 

 思わず、振り向く──途中で気が付く。

(しまった!)

 もう、遅かった。

 

 私は、最悪のミスを犯してしまった……。

 

 寒気がする……私は、ここまでかもしれない…………。

 

(カオル! ヒナちゃん……)

 

 身体が拘束されても、顔は自由だ。

 なら、私は何をすればいい?

 

 私は精一杯の笑みを浮かべる。

 

 2人の姿を目に焼き付けたいのに、もう、涙が溢れてぼんやりとしか見えない。

 

(ごめんね! カオル! ヒナちゃん……ほんとうに、ごめんなさい……)

 

 私は、クロとアイコンタクトする。

 クロが、小さく頷いた気がする……。

 

(あとは……まかせるわ)

 

 その直後、私の身体に激痛が走る……。

 

 願わくば、もう一度……カオルの精子を……。

 

 ───

 

(クッ!?)

 

 バランスを崩して倒れそうになるのを、なんとか踏みとどまった。

 

 私のステッキの一撃を受けた貧乳が苦悶の表情を浮かべる。

 ここまで私の分身と戦ってきたこの女。

 分身の一体は足を引きずっている。

 よくぞここまで追い詰めたものだと、敵ながら賞賛に値するだろう。

 

 なのに……。

 

 貧乳の頬は染まり、内股を擦っている。

 

 殴られて悦ぶ変態なのだろうか?

 

 ……いや、待て。

 あの目は、陶酔と恐怖の混在。

 苦痛に快楽を混ぜてくるとは……なるほど、だから強い訳だ。

 

(ッ!?)

 

 また、眩暈と吐き気に襲われる。

 私の身体は一体どうしてしまったのだろう。

 

 血が足りない……血が欲しい……。

 

「武器を捨てろ! この女が、どうなってもいいのか?」

 

 私を睨みつける奴らに向かって、そう言い放つ。

 悔しそうに歪む勃起と失禁の顔を見て、私は満足する。

 

 私の、勝ちだ。

 

「私が人質になるから、ユキちゃんを解放して!」

 

 失禁はそう言うと、手に持った武器を花の上に放り投げた。

 

 魔王様の花の何本かが折れ、腹が立ったがまあいい。

 私にとっては好都合だ。

 

「……いいだろう。但し、条件がある」

 

「条件!? 何よ?」

 

「お前の、血を飲ませろ!」

 

 私の言葉に、貧乳の分身と勃起の目が見開かれる。

 

「ヒナ、やめろ!」

「そうだよ! 約束を守ってくれる保証は無いよ!?」

 

 失禁はしばらく目を閉じ、考えるそぶりを見せる。

 

「ヒナちゃん……やめて…………」

 

 隣から拘束されている貧乳の力ない呟きが聞こえる。

 

 それが合図だったのか、失禁が目を開く。

 その表情に覚悟と決意が見えた。

 

「いいよ。その条件、飲むよ」

 

「ヒナッ!?」

 

「あいつを拘束しろ」

 

 足を引きずる分身にそう命じ、私の前に拘束された失禁がやってきた。

 

「アンタに血を飲ませたら、本当に、ユキちゃんを解放してくれるんでしょうね?」

 

「ああ、約束しよう」

 

 本心だった。

 お前たちはもう、用済みだ。

 

 苦痛から解放するために死を与えよう。

 あとは、勃起を魔王様に渡せば…………。

 

 晴れて私は、魔王様の寵愛を得られる……魔王様の子、お世継ぎを産める……。

 

 目の前の失禁の首筋に牙を突き立てた。

 血の味が、口いっぱいにひろがり、少しずつ、体力が回復してくる。

 

(魔王様、オコメはやり遂げました……私に魔王様の子を産ませてください……)

 

 私は勝利の美酒を味わっていた……。

 

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