12 オナニー禁止区域
気付くと俺達3人は草原にいた。
見渡す限り10センチくらいの草が生えている。
あっちの世界といっても現実世界とあまり変わらない。
「ヒナ、ユキ、俺はまずやりたい事がある」
「うん。お兄ちゃん、わかってるよ」
「ええ、当然よね」
(なんだ? 2人とも俺が限界だって知ってたのか? まぁありがたいが)
「お兄ちゃん、早くしよう?」
「そうね。私も早くしたいわ」
(これは、絶対勘違いしているな……)
「2人とも何をしたいのか同時に言ってみてくれないか?」
「子作り♡」
「ステータス確認でしょ?」
(……やっぱりな……)
「それはそうなんだが、あ、ユキの方な。俺、もう限界なんだよ……その……アソコがな」
「知ってるよ? だからお兄ちゃん、ヒナと子作りすればスッキリするでしょ?」
「いや、ヒナ……スッキリするために子作りはどうかと思うぞ?」
「カオル君、しょ、処理するなら私がやってあげても……いいわ?」
「ユキちゃん!? 私の旦那様に何てこと言うのよ!!」
「でもヒナちゃん、職業が勇者のお嫁さんってだけで、正式にカオル君と結婚した訳じゃないでしょ?」
「う……それを言われると……」
「2人とも争わないでくれ。俺は一人で処理するつもりだ」
「「それは絶対ダメ!!」」
「えっ!?」
───
話し合いの結果、カオルのムラムラを処理できる権利を賭けたジャンケン大会(第1回カオルスッキリ杯)が開催され、カオルが見事初代王者に輝いた。
カオルはいそいそと私達から離れていき、私は今ヒナちゃんと2人きりだ。
ヒナちゃんはチョモランマ……一番汁……などと意味不明なことをブツブツ言っている。
(一番汁って何だろう? 私がカオルの処理してあげたかったな。私だったらどうやって処理してたかな? 手? 口? もしかしたら下のお口で♡)
そんな事を考えて心の中でキャーキャー言っていると……。
「ユキちゃん、いいかな?」
すぐ隣にヒナちゃんがいてビクッとしてしまった。
「ヒナちゃん、どうしたの?」
「ユキちゃん、正直に答えて」
ヒナちゃんが真剣な顔で私に言った。
「お兄ちゃんとエッチしたい?」
───
俺はオナニーするための場所を探していた。
ここならヒナとユキからだいぶ離れているし大丈夫だろう。
オカズも何もない中スッキリするためだけの行為をこれから行う。
(兎ありすがあったらなぁ……)
本音を言えばユキの彼氏には悪いがユキに処理してもらいたかった。
何とかユキに勝利して欲しかったが、真っ先に負けたのはユキだった。
ユキが俺の処理をしたがるのはこの世界に来た時の事を気にしているせいだろう。
1回処理してもらえばユキの重荷も軽くなるはずだ。
(こんな事ならあの時ユキに処理してもらえばよかったな。いや、あの時は女神の子宮内だから無理だったか)
とりあえず、一発抜こうと思いズボンを下げて息子を握ろうとした瞬間。
CAUTION!!
禁止行為が行われました。
対象を拘束。処理班を送り確保します。
なんかヤバ目のメッセージが目の前に表示され
俺の身体は身動きが取れなくなった。
「コンソール!」
コンソールの画面には目の前のものと同じメッセージとクルクル回るパトランプが表示されていた。
これはどういうことだ?
(確保!? ヤバい! このままでは……)
───
「被疑者は?」
「カオルと名乗る少年です」
「被害者は?」
「いません」
「死因は?」
「誰も死んでいませんよ?」
「死亡推定時刻は?」
「だから、誰も死んでいませんよ?」
「鑑識の見解は?」
「被疑者の確保地点半径3メートル以内を調べました。被疑者の精液反応はありませんでした。ただ……」
「ただ……なんだ?」
「被疑者の同意を得て亀頭周辺を調べたところ、先走り汁と女性のものと思われる愛液痕が確認できました」
「愛液痕は男性のものではなかったんだな?」
「はい」
「つまり?」
「つまり相手は女性。性行為を行い射精をしていないか、行為の直前だったと思われます」
「わかった。被害者の無念を晴らすため必ずホシを挙げる!」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
モブ刑事(だから被害者はいないですって……)
───
くだらない事を想像しているとどこかで見たことのある格好をした男が俺に向かって走ってきた。
「バカモ~ン! 貴様! そこで何をしている!!」
「オ……オナニーしようとしてました……」
「バカモ~ン! 貴様、この看板が読めんのか!?」
男が看板を指さす。
「よ、読めません……」
(こんなところに看板なんてあったっけ?)
「貴様! このあたりの者ではないな!!」
───
拘束を解かれた俺はズボンをあげて目の前の男と話していた。
傍らにはヒナとユキもいる。
男は銭亀警部と名乗った。
「なるほど。君たちはこことは違う世界から来たのか」
「この看板、何て書いてあるんですか?」
「これは、“歩きオナニー禁止”と書いてあるのだ」
ヒナとユキが俺に冷たい視線を向ける。
「俺、歩きオナニーなんてしてないですよ!?」
(何だよ! 歩きオナニー禁止って!)
「関係ない。このあたりはオナニー禁止区域だからな」
(なん……だと……?)
「ここはどこなんですか?」
「ここか? ここはちきゅうだ」
「ちきゅう? 地球ですか?」
「違う。恥丘だ」
「……」
銭亀警部からこの周辺の情報を得た。
・ここは恥丘でジャングルになったり不毛地帯になったりする
・恥丘から南下するとクリト岩という大きな岩がある
・クリト岩の先にはマァの裂け目という崖がある
・恥丘から北上すると大きな穴がありボットンベリーという街がある
・さらに北上するとエルパイ丘、アルパイ丘という2つの丘がある
・2つの丘の上にはそれぞれビチクエル、ビチクアルという街がある
俺はコンソールのMAPに警部から聞いた情報を元に簡単に地図を描いた。
「お兄ちゃん、なんで女の人の裸描いてるの?」
「……」
「オナニーは重罪だが、今回は未遂だし、文字が読めなかった事に免じて厳重注意で済ませよう。君たちは文字が読めないのでまずはボットンベリーに行くといい。あそこの訓練場で訓練すれば文字が読めるようになるだろう。宿屋もあるから拠点にするといい」
「ありがとうございます。ところで警部はここで何を?」
「ここには通報を受けて駆け付けたが、普段は神出鬼没の大怪盗“キャットアイ”を捕らえるため、私は世界を飛び回っているのだ」
びくっとユキの身体が跳ねる。
「!? 君は何か知っているのかね?」
「ええ……。実は……」
ユキが言うには“怪盗キャットアイ”は職業であって、特定の一個人ではないそうだ。
銭亀警部はユキの話を聞きながら手帳に何かメモしていた。
「どうりで捕まえられんわけだ。目撃証言の特徴がバラバラなのも、5か所に同時出現した謎もこれで解決した。ご協力、感謝する! 謝礼としてこれを渡しておこう」
「これは?」
「この世界のお金だ。1万G(ゴールド)入っている。
君たちは無一文だろう? 役立つはずだ」
「そんな! 受け取れません!!」
「気にするな。子供なんだからもっと大人に頼りなさい」
慌てて革袋を返そうとしたユキに革袋を押し付けて銭亀警部は言った。
いい人だな。
「警部、この世界は誰が作ったか知っていますか?」
「あいにくだが私は知らんぞ」
「そうですか。警部、オナニーできないとしてこれはどうすればよいでしょうか?」
俺はフル勃起した息子を指さして聞いた。
「こんな可愛らしいお嬢さんが2人もいるんだ。セックスで発散するといいだろう。できれば愛のあるセックスでな」
「……」
ヒナとユキが顔を赤らめて俺(と息子)を見てきた。
───
礼を言って銭亀警部と別れた。
「2人とも警部もああ言ってたし……」
「うん、愛のある子作りをこれからしようよ?」
「えっ!? カオル君、ここで私と!?」
ヒナは甘えた表情で俺を見つめる。ユキは顔を赤くして俯いている。
「ちがうぞ? ボットンベリーの街に向かおう。でもその前にステータスを確認しておくか」
(なんでこの2人はいつも勘違いするんだ?)
コンソールのパーティータブを見る。
名前:カオル LV1 性格:善 状態:発情
職業:勇者(万能型)
特技:勇者魔法
名前:ヒナ LV1 性格:中立 状態:発情
職業:勇者の花嫁
特技:料理、家事、育児、子作り
名前:ユキ LV1 性格:悪 状態:発情
職業:くノ一
特技:クリティカル、罠識別、扉開錠、隠し扉察知、隠れる
(俺はともかく、なぜヒナとユキまで発情中なんだ? ヒナの特技は料理はともかく子作りって……)
ふと気になってユキの職業の説明を読んでみた。
◇くノ一
鍛え上げた己の肉体と色仕掛けで敵と戦う戦闘マシーン。
盗賊には劣るが罠識別、扉開錠、隠し扉察知が可能。
クリティカルによる即死攻撃が可能。
隠れてから放つ一撃は強烈で敵に大ダメージを与える。
(なかなか良さそうだな。ん? 2ページ目があるぞ?)
◇くノ一 2ページ目
しかし、くノ一が戦闘で真価を発揮するのは裸になったときである。
その内容は……ぜひキミの目で確かめてみてほしい。
(なんだこりゃ? ユキは知っているのか?)
ヒナの職業の説明はなんとなくわかる気がしたので見なかった。
───
「お兄ちゃん、早くボットンベリーに行って宿屋で子作りしようよ」
「子作りはともかく、暗くなる前に向かった方がいいな」
俺達3人はボットンベリーを目指して出発した。
……
…………
………………
道中モンスターや盗賊などが出てくる事もなく、あっさり着いたが……。
「警部は街と言ってたけどそれらしいものは見えないわね」
「そうだね。あの建物くらいしか見当たらないね。あの入り口にいる人に聞いてみる?」
確かに穴はあるが街らしきものが見当たらない。
穴の傍らに50メートル四方くらいの四角い建物がぽつんとあるだけだった。
「すみません。お尋ねしたい事があるのですが……」
衛兵ぽい人に声を掛けると……。
「怪しい奴! そこで止まれ!!」
「僕は怪しい者ではありません」
「何を言っている? そんな勃起しながら話しかけてくる時点で怪しいだろう?」
(確かに……)
「私達は銭亀警部という方から、ボットンベリーに行く事を勧められてここまで来たわ。ボットンベリーの街らしいものは見えないけどどこかしら?」
「銭亀警部? あの方から?」
───
お兄ちゃんが銭亀警部から聞いた話を伝えると衛兵は納得したようだった。
「先程は失礼した。ボットンベリーはここだ」
そう言って建物に目を向ける。
「街と聞いていたのですが?」
「説明するより体験してもらった方が話が早い。おい! この3人をあっちの訓練場に連れて行ってやってくれ!」
建物からもう一人衛兵が出てきて私達をある部屋に案内した。
部屋の中には半径5メートル程の魔法陣があり、
真ん中には案内図のようなものがある。
案内図の文字はもちろん読めない。
「あっちの訓練場でよかったか?」
「はい」
お兄ちゃんが答える。
「ではこのパネルだな。このパネルに手を触れたまま“転移”と言いたまえ。あっちの訓練場の入り口に着くから」
そう言ったあと、衛兵はお兄ちゃんの耳元で何かを囁いていた。
(何言ってたのかな? あとでお兄ちゃんに聞いてみよう)
衛兵が指さしたパネルに3人で手を触れた。
「「「転移」」」
気付くと景色が変わっていた。
振り向くと先程と同じような魔法陣と案内図があった。
(ここが訓練場かぁ)
物珍し気に辺りを見ていると……。
「貴様ら! 遅いぞ! さっさと来い!!」
鬼のような形相をした女が私達3人を睨みつけていた。
女はバニー姿だった。
(大きいなぁ。まぁ今の私には負けるけどね)
私は呑気にそんな事を考えていた。
私の処女が奪われる危機が迫っている事も知らずに……。