「カオル! お願い! やめて!!」
私はカオルに後ろから抱きついて叫んだ。
───
「お願い! もうやめて!」
後ろから抱きついたユキの声が聞こえる。
声の感じからして泣いているようだ。
「こんなヤツ殺しても、ヒナちゃんは喜ばないよ! それに……ヒナちゃんが怖がっているの」
首を背中の方に回してヒナを見ると、「お兄ちゃん、ごめんなさい……ごめんなさい……」と呟きながらガタガタ震えて泣いていた。
「お願い。もうやめて……。こんな事するくらいならヒナちゃんを慰めてあげて」
ユキが強く抱きしめてくる。
背中には柔らかいユキの胸の感触がある。
そして、ユキは俺の息子を優しく両手で握って耳元で囁いた。
「やめてくれたら、私、カオルに……抱かれてもいいよ……」
ぴくんっと息子が反応した。
───
レセプが通報したらしく男と女は衛兵にどこかに連れていかれた。
「君たちだったのか。無事ボットンベリーに来れたようだが、また大変な事に巻き込まれたもんだな」
俺は今、捜査に来た銭亀警部と話していた。
ヒナは気分が悪いから少し横になりたいとユキに付き添われて休憩室へと向かった。
この場に2人はいない。
「俺とユキは罪に問われますか?」
「問われないだろう。ヤツが訴えるとは思えん」
「あの男と女はどうなりますか?」
「ああ見えてヤツは貴族だからな。罰金を払ってすぐ出てくるだろう。まぁ出てきてもしばらくは治療に専念する事になるだろうがな」
警部がニヤリと笑う。
俺も少し微笑む。
「こういう事件は多いんだ。性欲が溜まり過ぎて理性を無くす者が多くてな。君も思い当たる事はないか?」
俺はバニー子作り訓練隊でのこと、レセプ、そして……先程本気で人を殺そうとしていた自分の事を思い出した。
「どうやら心当たりがあるようだな。君も気を付けたまえ。適度に発散するように」
俺の股間に目を向けて警部が言った。
「警部はどうやって発散しているんですか?」
「私には妻も恋人もいないから娼館を利用しているよ。君は娼館なんぞを利用する必要はないだろうがな」
そう言って警部はニヤリと笑った。
───
警部と別れた俺は先程の警部の言葉を思い出していた。
“性欲が溜まり過ぎて理性を無くす”
(さっきはユキのおかげで思いとどまれたが俺も理性を無くしつつあるのか?)
オナニー禁止は思ったより厄介だ。
真剣に性欲を発散する方法を考えた方がよさそうだ。
俺の相手になりそうな人は……。
◇ヒナ 処女
俺の妹。
お願いすれば抱かせてくれるだろう。
俺に処女を捧げたがっているし、ヒナが望むなら俺も童貞はヒナに捧げたい。
ここは現実世界ではないし、実の兄妹でセックスしても特に問題ないだろう。
問題があるとすればヒナがママになりたがっている事だ。
妊娠・出産した場合、子供はどうする?
俺達は元の世界に戻るのだから子供は一人ぼっちになってしまう。
避妊は絶対しないといけない。
今日はショックな出来事があったから今夜ヒナを抱くのは無理だろう。
◇ユキ 非処女
俺とヒナの幼馴染。彼氏持ち。俺の想い人。
お願いすれば抱かせてくれるかもしれない。
ユキは俺に抱かれてもいいと言っていたがあれは言葉の弾みだろう。
正直に言うと、俺はユキを抱きたい。
ただ、ユキで童貞卒業した場合、ヒナは悲しむだろう。
この世界に来たときの事を気にしていて、
その償いに事あるごとに俺の処理をしたがっている。
ユキの気が晴れるなら処理してもらうのもよいだろう。
◇バニー軍曹 処女?
バニー子作り訓練隊の訓練教官 兼 隊長?
お願いすれば抱かせてくれるだろう。
だが、軍曹はママになりたいようだ。
俺の子を孕ませたとしても俺は元の世界に帰るので責任は取れない。
何より俺が軍曹を孕ませるとヒナが悲しむ。
◇レセプ 非処女
訓練場の受付嬢。
お願いすれば抱かせてくれるだろう。
お互いの利害が一致しているので後腐れない関係が築けるだろう。
◇娼館
未知数。
まとめるとこんなところか。
・ヒナで童貞を卒業する(要避妊)
・ヒナを抱いて発散する(要避妊)
・ユキに手で処理してもらう
今夜実行可能な選択肢はユキしかない。
いくら手とはいえユキに直で触らせるのは申し訳ないし、オナホでも買ってそれで処理してもらおう。
あと避妊についても考えておく必要がある。
この時は割と良い考えだと思っていた。
───
受付のレセプの元に向かうとレセプが小声で話しかけてきた。
「続きがしたいの? 仕事が終わるまで待っててね♡」
「ちがう……わけでもないか。レセプ、文字訓練が途中だっただろう? どうなったんだ?」
「もう呼び捨て? まぁあんなことした仲だし私はいいけどね。文字訓練ね。忘れてたわ」
「忘れられると困るんだが……」
「冗談よ。はい、これ」
(本当に冗談なのか?)
レセプが3つのポーションと革袋を机の上に並べた。
「これは?」
「文字習得のポーションよ。飲めば文字の読み書きが可能になるわ。革袋の方は先程の件の見舞金。訓練場内でトラブルにあった人に払う事になっているのよ」
「そうか。文字習得のための訓練は必要ないんだな」
「昔は訓練で身に付けていたみたいだけど、時間が掛かり過ぎるからこの形式になったと聞いたわ」
「飲めばいいのか?」
「ええ」
俺はポーションを1つ手に取り、フタを開けて飲んだ。
味はしなかった。
「どう?」
「読める、読めるぞ!」
訓練場内に書いてあるいろいろな文字が読めるようになっていた。
「ではテストをします。この本の3ページ目を声に出して読んでください」
「……」
受付嬢の口調に戻ったレセプから本を受け取り。
指定されたページを口に出して読む。
「え~と……。ダメ。ママがきちゃう。マーガレットは抵抗するがボブは強引に……」
(なんてモノを読ませるんだよ……)
レセプが悪戯ぽく笑っていた。
周りの受付嬢たちも俺を見て笑っていた。
……
1ページまるまる音読させられてテストは終わった。
「合格です! おめでとうございます!」
「普段からこんなテストやっているのか?」
「やってないよ。キミだけ♡」
(レセプにハメられたな……)
レセプに本を返し、顔を近づけて小声で話す。
「レセプ、オナホまたはオナニーホールってわかるか?」
「オナホ? 聞いたことないわね」
「これを突っ込むと気持ちよくなる穴なんだが」
自分の股間を指さすとレセプがわかったような顔をした。
「娼館で買えると思うわ。娼館の名前は確か……穴とか棒とかそんな名前だったわ。そんなの買わずに私が気持ちよくしてあげてもいいわよ♡」
「今日は遠慮しておく……。娼館か、ありがとう。あと、避妊ってどうしているんだ?」
「今日は……ね♡ 避妊かぁ。外出し、避妊具、避妊薬、避妊魔法なんてのもあるわよ」
「それらはどこで買える?」
「外出し以外は娼館で買えるんじゃないかな?」
「知らないのか? さっき避妊するって言ってたじゃないか?」
「私はいつも外出しなの♡ 避妊について聞くってことは、あの2人を抱く気ね? どっちを抱くのかな? もしかして両方同時に♡」
「……」
(そんなの避妊にならんだろ! さっき挿れなくてよかった……)
「キミ、名前は?」
「カオルだ」
「カオル、いつでも来てね。ここにも……私の部屋にも♡」
レセプが悪戯ぽく笑う。
───
私はヒナちゃんと抱き合って寝ていた。
下着姿のヒナちゃんから寝息が聞こえる。
(ヒナちゃん、無理やり触られて可哀そうに。怖かったね。怖いといえば、さっきのカオルも怖かったな……)
なんとかカオルが思いとどまってくれて本当によかった。
カオルを止めるために殴られる覚悟でカオルに抱きついてお願いした。
そして……服の上からとはいえ初めてカオルのオチンチンに触れた。
(遂にカオルに触っちゃった。カオルぴくんっとしてたな可愛い♡ あ~早くカオルとエッチしたい♡ 私はこの世界で絶対にカオルとエッチする♡ そのためにヒナちゃん、頑張ってね!)
私はヒナちゃんを少し強く抱きしめた。
───
休憩室にいるヒナとユキの元に向かっていた。
2人がいるはずの休憩室の扉をノックするが返事がない。
「ヒナ、ユキ、入るぞ」
一応声を掛けてから部屋に入る。
ベッドの上に毛布を掛けて寝ている2人の姿があった。
どうやら寝ているようだ。
ユキの寝顔は可愛かった。
相変わらずマスクをしていて口元は見えない。
ヒナを起こさないようにユキに声を掛ける。
「ユキ……ユキ……」
「……カオル……君。ごめん、いつの間にか寝てたわ」
ユキもヒナを起こさないように小声で話す。
「いや、いいんだ。そのままヒナに付き添ってあげててくれ。俺、買い物に行くからそれが済んだら迎えに来る。外にいる衛兵にも伝えておくよ」
「ええ、わかったわ」
「あとこれ、ここに置いておく。文字習得のポーションだ。飲めば文字が読めるようになる。あとで飲んでくれ」
「わかったわ。ありがとう」
「こちらこそ、ヒナの付き添い助かる。ありがとう。じゃあまた後で」
「……うん」
ユキが名残惜しそうな気がしたが、部屋を後にした。
───
とりあえず、娼館に向かってオナホと避妊するための道具を買おう。
この時はどちらもすんなり手に入ると思っていた。