(それにしても……いたるところに書いてあるな。
こんなに書いてあると逆に意識してしまうな……)
文字が読めるようになった俺は訓練場の入り口の転移用魔法陣の上にいた。
ヒナ達のいた休憩室からここに来るまで〇〇オナニー禁止の文字を何度も見た。
目の前の案内図にも“転移中オナニー禁止”の文字がある。
(一瞬で転移する中でオナニーするとかどんな早射ちだよ……)
案内図を見ると以下のようなパネルがあった。
・お気に入り
・あっちの訓練場(非活性)
・組合
・酒場
・宿
・ボッタクル商店
・カントン寺院
・娼館
・迷宮
・コード
・街から立ち去る
ここが訓練場だからか、あっちの訓練場は選択できないようだ。
オナホと避妊具を買うので娼館を選択するとさらにパネルが表示された。
・娼館
・穴×棒
・つぼみ
・ラフレシア
・熟れたて
・つくしんぼ
・特濃天狗
・枯れ枝
・白百合
・兄弟船
娼館は随分充実しているようだ。
オナニー禁止で需要があるからだろう。
(名前だけでなんとなくどんなところか想像できるな……。レセプは穴とか棒って言ってたがたぶんこれだろう)
穴×棒のパネルに手を触れる。
「転移!」
───
転移先の娼館“穴×棒”の大部屋には2つの列が作られていた。
男だけの列と、女が大半だが男もちらほら混ざっている列だ。
それぞれの列の最後尾には、“こちら穴、最後尾”という看板を掲げる男性と、“こちら棒、最後尾”という看板を掲げる女性がいた。
俺は穴の方の男性に声を掛けた。
「すみません。ここでオナホが買えると聞いたのですが、買えますか?」
「うん? オナホとは何だい?」
「これを入れたら気持ちよくなる穴です」
フル勃起した股間を指さして言う。
「買えるよ。でも今日は入荷日だからだいぶ時間が掛かるよ。兄ちゃん」
「入荷日?」
「今日は新入りが入ってきた日なんだ」
男から得た情報は
・オナ禁を破った男と女が今日奉仕のためにこの娼館にやって来たこと
・新鮮な穴と棒を目当てに客が押し寄せていること
・娼館のこの先は穴部屋と棒部屋に分かれている
・それぞれの部屋には穴のあいた壁がある
・2つの部屋は薄い壁で仕切られており、ここにも一応穴がある(あまり使われないらしい)
・穴部屋では穴に棒を差し込むと奉仕されてスッキリできる
・棒部屋では穴に穴を押し付けると棒で奉仕されてスッキリできる
・たまに列の客同士で
「……つまり、これを入れて気持ち良くなれる穴は……?」
自分の息子を指さして言う。
「穴部屋の穴でスッキリするとは思うが、それは兄ちゃんのお望みのモノではないだろうな。兄ちゃんならこの娼館を利用しなくてもスッキリできるだろうぜ。見てみな」
男が棒の列を見るので俺も見る。
列には俺(と股間)を凝視する女がたくさんいた。
男も何人かいた。
看板を持った女もこちらを見て顔を赤くしている。
「兄ちゃんが声を掛ければ穴なんていくらでも見つかると思うぜ。
男が豪快に笑う。
ここに来たらオナホを買えると思っていたが、
オナホは売ってないようだ。
もう一つの買いたいものを聞く。
「避妊用の道具はここで売ってますか?」
「避妊? ここで避妊する奴はあまりいないが一応売ってるぜ」
「何が売ってますか?」
「種なし薬と無かった事にする薬だな。それとゴムもある」
「どんな効果があるんです?」
「種なし薬はその名の通り精子の受精機能を奪う薬だ。無かった事の方は受精した卵子を無かった事にする薬だ。ゴムは……説明不要だろう」
「いくらですか?」
「種なしは1000G、無かった事の方は5000Gだな。ゴムは部屋の中で無料配布だ」
(高いのか安いのかわからないが……。迷う理由が値段なら買った方がいいな)
「薬を両方売ってください」
「毎度あり!」
「この列に並ぶ必要ありますか?」
「ないな。6000G用意して待っていてくれ。持ってくるから」
そう言って男は走っていった。
看板を俺に預けて。
何故か棒の方の看板を持った女も
看板を最後尾の女に預けて男を追っていった。
───
「兄ちゃん、待たせたな」
「……随分待ちましたよ」
(たぶん、列に並んだ方が早かったな……)
「すまねぇ。セルガがサカってきてよ」
見ると棒の看板の女も戻ってきたようだ。
「列は整列して互いの列に向かって立つようにしておきました。この方が
顔を赤くした女と男が手を繋いで魔法陣に消えていった。
「兄ちゃん、すげぇな。こんなに綺麗な列は初めて見たよ」
「乱すものは最後尾行きだと言ったらこうなりましたよ」
「なるほど。参考になるぜ。でも
男が豪快に笑う。
「ところで薬は?」
「ああ、持ってきたぜ」
「ありがとうございます。看板返しますね」
「ああ、本当に待たせて悪かったな。待たせた詫びと行列の件もあるし、2つで5000Gにまけといてやるよ。オマケでゴムも1箱入れといた。ほれ! 受け取れ」
「ありがとうございます。じゃあこれ、代金です」
「確かに頂戴したぜ。どっちの薬も1回1錠だからな」
「わかりました。では」
───
薬を受け取った少年が魔法陣に消えていった。
(行っちまったな)
セルガが傍らに来た。
「アンタ、さっきは……良かったよ♡」
「ったく。仕事中にサカるなと言っているだろう?」
「でもアンタだってビンビンだったじゃない♡ 私に3度も出しておいてよく言うわ♡ まだココがアンタので温かいよ♡」
セルガが自分の下腹部を撫でる。
「……。あ! いけねぇ!!」
「どうしたの?」
「俺としたことが、使用上の注意を兄ちゃんに伝え忘れた!」
「使用上の注意?」
「混ぜるな危険とか効果時間とかいろいろあんだよ」
「そうなの? あんなに若くて元気なんだから、避妊なんかしないで愉しんでほしいわ。……思い出したらまたシたくなっちゃった♡アンタ♡」
セルガが誰にも見えないように俺の息子を撫でる。
「ったく。お前はしょうがない奴だな。仕事中なんだからあと1発だけだぞ」
俺は列の最後尾に並ぶ男に看板を預けた。
───
「……ユキ……ちゃん?」
「ヒナちゃん、気分はどうかしら?」
「うん……大丈夫。ユキちゃん一緒に寝てくれてありがとう」
「……」
無言でヒナちゃんの頭を撫でた。
(顔色、少し良くなったかな?)
「お兄ちゃんは?」
「カオル君なら買い物に行ったわ。これを置いて行ったからヒナちゃんもあとで飲んで」
「これは?」
「文字習得のポーションよ」
「ヒナ、ニガイのは嫌だよ?」
「味はしなかったわ」
……
…………
………………
「……なんてことをお兄ちゃんは考えているんじゃないかな?」
「カオル君は私のためにオナホを?」
「うん。ユキちゃんにお兄ちゃんのオチンチンを握らせないためにね」
「なぜ? もしかして……私に握られるのがイヤ……なのかしら?」
「ううん。逆」
「逆?」
「うん。お兄ちゃん、本当はユキちゃんに直接握ってほしいけど、直接握らせるのはユキちゃんに申し訳ないと思ってるんじゃないかな?」
ヒナちゃんには全然負けていると思うけど、私もカオルに大切に想われてると知り……嬉しかった。
「お兄ちゃん、ユキちゃんの事大好きだと思うよ。元の世界に戻って明日になったら、ユキちゃん、告白しなよ。ユキちゃんならお兄ちゃんを任せられるから」
「ッ!? 何言ってるのよ!」
(ヒナちゃん!? 何で知っているの?)
「……でも、する気でしょ?」
「…………する」
顔が赤くなるのがわかる。
ヒナちゃんが私に抱きついてきた。
温かい……。
「ユキちゃん、幸せになってね。そして、お兄ちゃんを幸せにしてね。私のお兄ちゃんをよろしくね。私のお義姉ちゃん♡」
「……」
(……お義姉ちゃん……か♡)
「……でも、この世界にいる間はヒナのワガママに付き合ってもらうよ? 私はこの世界でお兄ちゃんの初めてを全部私が貰いたいの。キスもフェラもパイズリもエッチもヒナより先にしたらダメだからね? ユキちゃんがお兄ちゃんの事好きな事も伝えたらダメだよ? ユキちゃんは元の世界でお兄ちゃんを独占できるんだから我慢してね」
「わかっているわ、約束したもの。……でも、今夜はどうするの?」
「手でするのは……本当はヒナがしたいけど。しょうがないからユキちゃんに譲るよ。ユキちゃん、手だけでお兄ちゃんをイかせられそう?」
「……わからないわ。私、未経験だもの……」
「わかった。ヒナも協力する」
「ヒナちゃんありがとう。私も頑張るわ」
「うん。でもね、ユキちゃんに譲る代わりに条件があるの。これはユキちゃんにしか頼めないし恥ずかしいんだけど……」
「条件? なにかしら?」
ヒナちゃんが私の耳元で囁く。
「ヒナ、今夜、どうしてもお兄ちゃんの精子が欲しいの。お兄ちゃんの精子、ヒナに頂戴♡」
「えっ!?」
「ユキちゃん、協力してくれる?」
「……協力するわ」
(精子が欲しいって、ヒナちゃん一体何をするつもりだろう?)
───
ボッタクル商店を後にした俺は訓練場に戻り、受付の前のソファーに座り込んで考えていた。
ボッタクル商店にオナホはあったが、とても買える値段ではなかった。
(なんか全体的に値段が高かったな。店の名の通り、ぼったくる気マンマンだったな)
オナホの入手は絶望的だ。
このままではオナホではなく、ユキの手に直接息子を握らせて、処理してもらうしかない。
(ユキ……。すまない……)
「難しい顔してるわね?」
顔を上げると目の前にレセプが立っていた。
「考え事?」
「ああ、ちょっとな」
「私で抜いてスッキリしてみる?」
「やめとく」
「ケチ! 避妊具があるならいいじゃない?」
「そういう問題じゃ……そうか!! レセプ、ありがとう! 今度礼をさせてくれ」
「??? よくわからないけど解決してよかったわね。お礼……何にしようかな~♡」
「……できればエッチな事以外で頼む」
「ケチ♡」
───
俺はヒナとユキがいる休憩室の前にいた。
休憩室の扉をノックする。
「ヒナ、ユキいるか? 入って大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ」
休憩室に入るとヒナとユキがベッドの上に腰かけていた。
ヒナの顔色はだいぶ良くなっているようだ。
「ヒナ、大丈夫か?」
「うん、お兄ちゃん、心配かけてごめんなさい」
ヒナを抱きしめて頭を撫でる。
「バカッ! 謝るのは俺の方だ! お兄ちゃんこそ助けるのが遅くなって、ヒナに怖い思いさせてすまなかった!」
「お兄ちゃん……」
ヒナが俺の腕の中で泣いている。
(ヒナの事、泣かせてばかりだな。悪いお兄ちゃんでごめんよ)
ヒナの隣のユキにも顔を向ける。
「ユキもヒナの事ありがとうな」
「ええ、私は大丈夫よ。それよりもヒナちゃんをいっぱい慰めてあげて」
無言でヒナの頭を撫で続けた。
……
…………
………………
ヒナが落ち着いたので宿に移動することにした。
「そろそろ宿に行こうと思うんだが、お腹すいてないか?」
「ヒナは食欲ない」
「私もお腹は空いてないないわ」
「そうか。俺も腹は減ってないから食事なしで宿に行くか」
俺達は休憩室を後にした。
どうせ宿でもひと騒動あるんだろうな……。俺はもう学習していた……。