俺は訓練場から宿屋に戻っていた。
ベッドの上にはヒナが横たわっているが体調は良くなさそうだ。顔色も悪い。
「ヒナ……大丈夫か?」
「……お兄ちゃん、心配かけてごめんなさい。今日はエッチできないよ……」
「こんな時までヒナを抱かないよ。ゆっくり休んでくれ」
「ヒナ、毎日お兄ちゃんとエッチしたかったのに……。我慢できなかったらユキちゃんとエッチしてね……」
元気のない声で軽口をたたく。
「ユキ……」
ビクッとユキが身体をふるわせる。
「……カオル君……まさか……。…………私を抱くの?」
ユキが顔を真っ赤にしてうつむく。
(絶対勘違いしているな……)
「今度な……」
「お兄ちゃん……ユキちゃんを抱くなら、嫌がる事はしないでね……。手を繋ぐのも忘れずに……」
元気のない声でヒナが言った。
───
俺は風呂場から出て今はベッド横のソファーに座っている。
ユキは俺と入れ違いで風呂に入っているのでこの部屋にはいない。
ヒナは相変わらず体調が悪そうにベッドに横になっている。
今日はお風呂に入る元気もないので、自分に“清掃”を掛けたようだ。
「ヒナ、具合はどうだ?」
「大丈夫だよ。明日には元気になってると思う……」
俺を心配させまいと嘘を付いているのがバレバレだ。
顔色は先程よりも悪い。
「お兄ちゃん……」
「……なんだ?」
「……ヒナに何かあったらユキちゃんと結婚してくれないかな?」
「……縁起でもない事言うなよ……。ユキには
「この世界での話……。ユキちゃんの事よろしくね……。ヒナ寝るね」
そう言ってヒナは眠りについた。
───
翌日、ヒナの体調はよくなるどころか悪化している。
朝から吐き気がするといい、トイレに籠り続けた。
脱水症状にならないように水分をとらせ、今は少し落ち着いてベッドで横になっている。
ヒナの体調不良について症状を聞き出す。
◇ヒナの症状
・吐き気がする
・眠い
・だるい
・頭痛がする
・熱っぽい
「ユキ……これって……」
「ええ、まるで……」
「お兄ちゃん……?」
「ヒナちゃん、答えづらいかもしれないけど大事な事だから答えて。生理来た?」
「来てない。でも、この世界って生理あるの? ユキちゃんは?」
「……確かにそうね。私も来てないわ」
「お兄ちゃん……もしかしてヒナ……」
「……妊娠したんじゃないかと思ってる」
ヒナの顔が真っ青になりブルブル震えている。
「お兄ちゃん! 噓でしょ? 避妊してたよね!? なんでヒナ妊娠するの? 薬飲んだって嘘だったの!? ヒナだって頑張って薬飲んでたよね!? 何回かは飲めなかったこともあったけどさ! あれだってお兄ちゃんがちゃんと飲んでたら、妊娠なんてしないはずだよね!! どういうことなのか説明してよっ!!!! ……うっ!」
言いまくしたてると、急いで起き上がりトイレに駆け込んでいった……。
───
「ユキ、急いで確認したい事があるんだ。ヒナを任せていいか?」
「いいけど、ヒナちゃんはいいのかしら?」
「ヒナにも了解を得るよ」
ヒナがトイレから出てきた。
「ヒナ、すまないが急いで確認したい事があるからユキと一緒にいてくれ。俺は出かけてk「ふざけないでよ!!!!」……えっ!?」
「ふざけないでよ!!!! なんで妊娠させたかもしれない妹を他の女に預けて、お兄ちゃんだけ出かけようとしてるのよ!! おかしいでしょ!! 責任取ってよ!! いますぐ妊娠なかったことにしてよ!!」
「ヒナ……?」
「ヒナちゃん……?」
普段とのあまりの変わりように俺もユキも驚いていた。
「お兄ちゃんに言われてヒナはママになるの諦めたのに、どうして今更ママになるのよ!! こんなのヒドイよ!! 今はママになんてなりたくなかったのに!! どうしてくれるのよ!! お兄ちゃん! お兄ちゃんが悪いんだよ!!!」
ダメだ……手がつけられない……。
「ヒナ……」
とりあえず落ち着かせようとハグしようとすると……。
パチーン!!
「「っ!!」」
「触らないでよ! 汚らわしい!! よくもヒナを妊娠させてくれたね! 何も知らないヒナのオマンコに中出ししまくって、心の中では笑ってたんでしょ!!! ヒナお兄ちゃんの事信じてたのにヒドイよ!!! ママになったヒナを捨ててその女と一緒になる気でしょ!! そんなの許さない!! こうなったらもう元の世界には戻れないし、お兄ちゃんを殺して私も死ぬ!! お兄ちゃん死んでぇぇぇ!!!」
そう言ってヒナが飛びかかってきた!
「ちょっと!? ヒナちゃん落ち着いて!!」
ユキがヒナを羽交い絞めにしている。
「離せ!! この泥棒猫!! どうせお兄ちゃんと一緒に陰でヒナの事笑ってたんでしょ!!! ふざけないでよ!! お兄ちゃんのことだからアンタだけじゃなくて、訓練場の受付嬢とも軍曹ともヤリまくってるよ!! さっきも訓練場に行って中出しするつもりだったんだ!! 妊娠して苦しんでるヒナを置いて、自分だけ気持ち良くなりにいくなんて許せない!! ふざけないでよ!!!」
「……睡眠!」
ヒナが静かになった。
───
ヒナは今ベッドで寝ている。
とりあえず落ち着かせるため魔法を使った。しょうがなかった。
部屋に漂う重苦しい空気の中、口を開く。
「ユキ、ヒナが酷い事言ってすまなかった」
「いいのよ。ヒナちゃん、混乱しているのね」
「妊娠するとホルモンバランスが崩れて情緒不安定になると、聞いたことがある。たぶんそれだろう。ユキ、すまないが俺の代わりに用事を頼めないか?」
「いいわ。何をすればいいの?」
俺は用事を伝える。
◇用事
・娼館“穴×棒”で看板を持っている男に次のことを尋ねる
・避妊薬について
・妊娠を確かめる方法
・妊娠を無かった事にする方法の有無
・堕胎方法
・同じことを訓練場の受付嬢レセプにも尋ねる
「つまり避妊薬の情報、妊娠の確認、妊娠の取り消し、堕胎方法の情報が欲しいってことね?」
「そういうことだ。頼んだ」
ユキが部屋を出て行った。
───
ユキが帰って来た。
ヒナは起きてからは落ち着いているが、俺やユキに酷い事を言ってしまったと落ち込んでいたので、俺もユキも気にしていないからとなだめた。
妊娠のせいで情緒不安定な事は伏せておいた。
その後3人で情報共有を行う。
◇避妊薬について
・種なし薬
効果は30分
それを過ぎると精子の受精機能が徐々に復活する
通常は挿入直前に飲む
・無かった事にする薬
24時間以内に受精した受精卵の着床を防ぐ事ができる
受精して24時間経過した受精卵には効果がない
受精卵が無い状態で飲んでも意味がない
通常は行為の翌日に飲む
◇妊娠を確かめる方法
・カントン寺院にお布施をすれば診察してくれる(10万G)
・一部の娼館には妊娠を確かめるための従業員がいるらしい(金額不明)
・妊娠したかどうか調べる道具がある(1万G、使い捨て、難易度“高”)
◇妊娠を無かった事にする方法の有無
・知らない。ないかもしれない。
◇堕胎方法
・カントン寺院にお布施をすれば堕胎してくれる(50万G)
・一部の娼館には堕胎するための従業員がいるらしい(金額不明)
細い木の棒をオマンコに挿し込んで堕胎させると聞いた事がある
・お腹を殴ったり、木の棒で殴ったり、階段を転げ落ちたりする
「とりあえず、妊娠を確かめるのが優先だと思うがどうだ?」
「うん……」
「そうね」
「ユキ、その道具はどこで買えるかわかるか?」
「“穴×棒”に売ってるって言ってたわ」
「買ってきてくれないか?」
「わかったわ。早速行ってくるけど、カオル君、気を悪くしないで聞いて頂戴……」
ユキが看板の男から聞いた話と
“穴×棒”の現状について話を聞いた。
「じゃあ行ってくるわ」
ユキが部屋を出て行った。
……
俺はベッドの上でユキから聞いた話について考えていると、ヒナが俺に抱きつく。
「お兄ちゃん、さっきは酷い事言ってごめんなさい」
ヒナが涙目で謝ってきた。
「いいよ。混乱してたらああなってもしょうがない。ユキが帰ってきたらユキにもちゃんと謝ってくれ」
「うん……。お兄ちゃん、ヒナ妊娠してたら本当のお荷物になっちゃうね。ごめんなさい」
「そんな事言うな」
俺はヒナの唇を塞いでベッドに押し倒した。
「お兄ちゃ!?」
俺はヒナの唇を塞ぎ胸を揉みしだく。
しばらく揉みしだき唇を離して言った。
「ヒナ、少し頭をスッキリさせたい。ヒナのお口でお兄ちゃんをスッキリさせてくれ。……キャストオフ!」
「……はい♡ ……キャストオフ!」
ヒナにフェラしてもらいながら考えをまとめていった。
───
「ひな、出すぞ」
ヒナが息子を咥えこみながらコクンと頷いた。
びゅるるるるるるるっ。
ゴクッ……ゴクッ……ゴクン。
精子を全て飲み干し、息子に付いた精子も舐め取って
ヒナが口を離す。
「お兄ちゃん、スッキリした?」
「ああ、頭もアソコもスッキリしたよ。ヒナ、ありがとう。ヒナは俺の妻としていつも俺をサポートしてくれている。だからお荷物とか言って自分を卑下するな」
「っ!? お兄ちゃん!!」
ヒナが俺に抱きついて泣くので、俺も抱きしめて頭を撫でてやる。
「お兄ちゃん、ありがとう。ユキちゃんが帰ってくるまでヒナと一緒に寝て」
「ユキが帰ってくるまで俺は寝れないけど、ヒナは寝てていいぞ。ユキが帰ってきたら起こすよ」
「ありがとう。ヒナ、寝るね」
寝息をたてるヒナを抱きしめながら俺は考えをまとめていった。
───
まず、ヒナの妊娠について。
◇ヒナは妊娠しているのか?
妊娠症状が出ているのでたぶん、している。
◇ヒナはいつ受精したのか?
ヒナを初めて抱いたときだ。
あの時種なし薬を飲んでから前戯を始めたので、ヒナのオマンコに射精したのは30分を超えていただろう。
あの時受精機能が復活した精子を大量にヒナの子宮に注いだ。
3回も……。
あの日以外は挿入前に薬を飲んでたから、30分以内に射精しているはずだ。
ヒナのオマンコは気持ち良すぎて、俺はすぐ射精してしまうからだ。
◇なぜ無かった事にならなかったのか?
ヒナを抱いてから24時間以内にヒナはあの薬を飲んでいない。
次の日もヒナを抱いたが、あの時も嫌がって薬を飲まなかったからだ。
あの時ヒナが薬を飲めば、避妊できていたはずだ。
───
次にユキの妊娠について。
◇ユキは妊娠しているのか?
ユキには妊娠の兆候は出ていないのでわからないが、可能性は高い。
◇ユキはいつ受精したのか?
ユキを初めて抱いたときだ。
ヒナを初めて抱いたあとにユキを初めて抱いた。
ユキを抱いたときは種なし薬を飲んでから30分は過ぎているので、受精機能が復活した精子をユキの子宮に注いだ。2回も……。
◇なぜ無かった事にならなかったのか?
ユキは俺との行為が終わってからすぐに薬を飲んだ。
その時は俺の精子がユキの卵子目指して泳いでいるところだから、受精卵は無かったはずだ。
───
次はユキが言っていた“なぜ薬の使用方法を確認しなかったのか”だ。
薬は“用法・容量を守って正しく使う”これは基本だ。
用法:? 容量:1回1錠
用法が不明であるのは明らかだ。
こんな事に何故気が付かなかったのか?
ユキの話を思い出す……。
『看板の男の人は使用上の注意を伝え忘れた事を気にしていたけど、カオル君の事だからすぐ聞きに来ると思っていたみたいよ』
用法についてはそもそも購入時点で俺から確認するべきだった。
ではなぜ確認することまで頭が回らなかったのか?
◇なぜ購入時に用法を確認しなかったのか?
あの時は早く射精したくて頭がいっぱいだった。
避妊薬を手に入れた事で満足してしまった。
あの日はオナ禁4日目だったような気がする。
……つまり、性欲が発散できなくて俺はおかしくなりかけていた?
購入時に気付けなくても、実際に薬を使用する時に、何故気付かなかったのかも考えてみる。
◇なぜ使用前に用法が不明であることに気付かなかったのか?
あの時、俺はヒナとのセックスで頭がいっぱいだった。
ヒナとのセックス イコール 射精。
射精したくて頭がいっぱいだった。
あの日は最後に射精してから4日か5日目だった気がする。
……つまり、性欲が発散できなくて俺はおかしくなっていた?
……
避妊に失敗したのは全て俺が原因だ。
俺は冷静なつもりでいたが、全くの逆で、実際は射精する事で頭がいっぱいな、おかしい状態だった……。
妊娠していたらヒナに何と詫びればいいのだろう……。
部屋の扉がノックされたので思考を一旦中断する。
キャストオンして扉を開けると……。
金魚鉢を抱えたユキが立っていた……。