※この作品はR-18です。

お兄ちゃんの子供が欲しい妹とそうでもない兄   作:猫見サイル

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50 私も妊娠しました

「あれ? お前さっきまでいたか?」

 

「今来たばかりだ」

 

「新入り(ルーキー)か。よろしく! 俺の事はセシと呼んでくれ」

 

 その後セシ達と雑談しながら出発を待っていた。

 

 ……

 

 出発の時がきた。

 俺はセシと並んで進み続ける。

 

「何かいる! 何かいるぞぉぉぉ! うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 前方から叫び声が聞こえる。歓迎するべきものでは無いらしい。

 そのまま進み続ける。叫び声がやがて絶叫に変わる。

 

 もう目の前は絶叫の嵐だ。少し先に何者かがいるようだ。

 

 ソイツが見えた瞬間!! 

 ……俺の意識は無くなった……。

 

 ───

 

 ……2回目

 

「あれ? お前さっきまでいたか?」

 

「……」

 

「愛想の無い奴だな。俺はセシだ」

 

 出発前に戻っていた。俺に与えられた能力、“タイムリープ”。

 ある目的の達成のため、俺は何度もこの瞬間を体験する事になるだろう。

 

 ……

 

 出発の時がきた。俺は前回とは別の方向に進む。

 

「何かいる! 何かいるぞぉぉぉ! うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 前回進んだ方向から叫び声が聞こえる。

 こちらに進んで正解のようだ。そのまま進み続ける。

 

「バケモンだ! バケモンがいるぞ!!」

 

 突然、前方から叫び声が聞こえたので進行方向を変える。

 

「う、動けねぇ! 誰か! 助けてくれぇ~~!!」

「衛生兵! 衛生兵はいませんかっ!?」

 

 後方から聞こえる叫び声がどんどん大きくなり、悲鳴に変わる。

 遂にすぐ背後で悲鳴が聞こえ……俺は意識を失った……。

 

 ───

 

 ……34回目

 

 これまでの経験でどうやら俺達が進む先には2匹の怪物がいる事がわかった。

 そして、どの方向に行っても俺は怪物からは逃れられない。

 

 俺一人の力だけではこの先に待つ運命は変えられない。

 

 協力者を探すために出発までに同志たちと交流する事にする。

 

 ……

 

 出発してからも周りに有能な同志がいないか観察しながら進む。

 

 そして、あっさり俺は意識を無くす。

 

 ───

 

 ……304回目

 

 協力者を見つけた。ここ数十回はまずこの協力者を説得して協力を得る事に専念してきた。

 今回も無事に説得できたが、出発はもうすぐだ。時間がぜんぜん足りない……。

 いかに早く説得するか。これが今後の課題だ。

 

 ……

 

 出発後、すぐに意識を無くす。

 

 ───

 

 ……1003回目

 

 説得に掛かる時間がだいぶ短縮されてきた。

 ここからは出発までに統制を整える事に重点を置こう。

 出発してからは怪物たちの動きを観察し、作戦の微修正を行っていく事にする。

 

「新入り(ルーキー)! もうそろそろか。俺のせいですまない!」

 

「ああ、セシ、お前をすんなり説得できない俺のせいだ。お前が気に病む必要はない。今回もダメだろうが、必ず次回への糧とする! 許してくれ!」

 

 セシの部隊と共に進みつつ、怪物の動きを観察する。

 少しずつ、怪物の動きの法則性がわかってきた。

 

 悲鳴と絶叫がそこまで来ている。

 

 そろそろ潮時か……。

 俺は怪物に襲われ、意識を失った。

 

 ───

 

 ……3403回目

 

 だいぶ統制が取れるようになってきた。

 

「「傾聴!!!」」

 

 セシとペルマが叫び、俺は演説を始める。

 先人たちの無念。この先に待ち構えているモノ。

 俺達全員が協力すれば必ず目的を達成できること。

 そして、出発後の作戦について伝える。

 

 俺の演説が終わると同時に出発のときが来た。

 会場は大いに沸き、士気は最高潮だった。

 

 ここまで来ればあとはトライ&エラーの繰り返しだ。

 

 ……

 

 数分後、俺は意識を無くした。

 

 ───

 

 ……340303回目

 

 前回、ついに俺は成し遂げた。怪物たちを避けて遂に目的地までたどり着いた。

 辿り着いた先には……何もなかった……。

 俺はひたすら待ち続けた……。待ち続けたが、俺の寿命の方が先に尽きてしまった。

 

 もう片方が正解だったようだ。あちらに進めば、俺達の勝利だった……。

 達成感と動揺と歓喜で震えが止まらず、俺は立ち尽くしたままで上手く行動できない。

 

 今回はもう捨てよう。次回で決める! 

 

 ……

 

 数分後、俺は意識を無くした。

 

 ───

 

 ……340304回目

 

「あれ? お前さっきまでいたか?」

「セシ、黙ってついてきてくれ」

 

 セシが驚く。俺はこれからセシの口から出るセリフにタイミングを合わせる。

 

「「お前、なんで俺の名前をしっているんだ!? なんで俺と同じことをしゃべる!?」」

 

「ついて来ればわかる」

 

 俺はセシの手を取り、もう一人の協力者の元に向かう。

 背後から話しかける。

 

「ペルマ、初めまして。俺は新入り(ルーキー)。こっちはセシだ。話がある」

 

 振り向いたペルマの口に合わせて俺も口を開く。

 

「「俺に何の用だ? なぜ名前を知っている!? ッ!! なぜ俺と同じ言葉を!! 何者なんだ、お前は!?」」

 

 イントネーション、話すスピードは完全に一致する。

 一致して当然だ。俺は30万回以上このやり取りをしてきた。

 目を丸くしているペルマとセシに向かって言い放つ。

 

「今ので理解したと思うが、俺は未来がわかる」

 

「「未来がわかるだと!? ふざけ……」」

 

 セシのセリフをコピーする。セシと俺は途中で口を閉じた。

 

「説明するより体験してもらう方が早い。これで分かったと思う。セシ、ペルマ、俺の話を聞いてくれ」

 

 俺は2人の説得を開始する。

 

 ……

 

「……というのが作戦だ。まずは統制を整えるために行動を開始してくれ」

 

「「でっ、出来るのかよ! 俺に、そんなこと!!」」

 

 セリフをコピーして俺はペルマにニヤリと笑いかける。

 

「出来る! セシ、ペルマ、お前達は何度もそれを達成してきてくれた。俺を信じろ! 行動しろ!」

 

「「「わかった!」」」

 

 3人で顔を見合わせて……吹き出して笑う。

 

 

 俺はこの瞬間が一番好きだ。

 

 

(頼むぞ、戦友……)

 

 走り去る2人の背中を見ながら心の中で声を掛ける。

 

 ……

 

「「傾聴!!!」」

 

 セシとペルマが叫ぶ。目の前には綺麗に2つの部隊に分かれた同志たちがいる。

 同志たちの先頭にいるのはセシとペルマだ。

 

「同志諸君! セシとペルマの話は本当だ! 説明するよりも、まずは体験してもらおう」

 

 3……2……1……。

 

「「ふざけんじゃねーぞ! 俺はそんなの……えっ!?」」

 

 2……1……。

 

「「まっ! まじかよ!? ほんとうに……」」

 

 しんと静まり返った。

 

「これで信じて貰えたと思う。諸君に約束しよう。私の演説が終わったとき、その瞬間が私達の出発の時間だ。そして……私が必ず目的を達成する。諸君! 私に協力してくれ」

 

 その後、演説を始める。

 先人たちの無念。この先に待ち構えているモノ。

 俺達全員が協力すれば必ず目的を達成できること。

 そして、出発後の作戦について伝える。

 

 ……

 

「作戦は以上だ。あとは私の最も信頼する戦友であるセシとペルマに従ってくれ! 

 諸君! 先人たちの無念を晴らそう! 私達にはその力がある。

 全員で協力すれば必ず目的を達成できると私は確信している! 

 さて、そろそろ私の演説は終わるが、冒頭の言葉を覚えているだろうか? 

 私の演説の終わりと共に、私達の出発の時間が来る。

 同志諸君、我らの勝利の時間だ! 清聴……感謝する!」

 

 演説の終わりと共に、静まり返った会場にアナウンスが響く。

 

『まもなく、ヒナ行き、発射します。発射される方はご準備ください』

 

 

 一瞬遅れて……。

 

「「「「うおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」」」」

 

 

 会場が沸き立つ。今までで一番沸いている。錯覚かもしれなかった……。

 同志たちの士気は最高潮だ。

 

 セシとペルマの元に行き、肩を抱き合う。

 

「2人のおかげでここまで来れた。今回で必ず決める! 2人の事は忘れない!」

 

「ああ、やってやろうぜ!」

「まかせてくれ!」

 

「2人だけじゃない! 同志たちよ、必ず勝利を手に入れよう!!」

 

 周りに宣言した。

 

 数秒後、俺達は放たれた。

 

 ───

 

 セシ部隊とペルマ部隊が突撃する。ここからはタイミングが命だ。

 

 3……2……1……。

 

 俺は前進する。よし、順調だ。次は120秒後だ。

 

 ……

 

 2……1……。

 

 方向転換する。ペルマ部隊はだいぶ崩れている状態だがまだ怪物を引き付けている。

 セシ部隊の方はまだまだ頑張っている。

 心の中で2人と同志たちに感謝しながら俺は進み続ける。

 

 ……

 

 同志たちはほぼ全滅状態だ。ここからは時間との勝負だ。

 彼らが全滅したら怪物たちは俺を追ってくる。それまでに辿り着ければ……俺達の勝ちだ! 

 

 俺はトンネルの入り口を目指して懸命に泳ぐ! 

 セシ、ペルマ、同志たちの犠牲を無駄にはしない!! 

 

 ……

 

 俺達の勝利が確定した! ギリギリだったが、ここまでくればもう怪物たちは俺を追えない。

 あとは、目的地まで泳ぐだけだ。

 

 俺は暗いトンネルを進み続けた……。

 

 ……

 

 遂に目的地にたどり着いた。幸運な事に目の前には目的のものがある。

 

 セシ、ペルマ、同志たちよ……。俺達の勝利だ!! 

 

 俺は目の前にある卵子に突撃した。

 透明帯に頭部を突き刺し、破りながら卵細胞を目指して進む。

 

 ……

 

 卵細胞に頭部が達する。俺は遺伝情報を卵細胞に注ぎ込んだ。

 そして……俺は意識を無くした……。

 

 

 もう……過去には戻らなかった……。

 

 ───

 

 自身が妊娠している事を知ったユキちゃんはお漏らしして失神した。

 私はユキちゃんが泣いて喜ぶ姿を想像していたけど、思わぬ反応で意外だった。

 

「清掃!」

 

 お漏らししたままでは忍びないので清掃する。

 ユキちゃんのお尻の下にできた黄色いシミが、綺麗に消える。

 

 お兄ちゃんは呆然として固まっている。余程ショックだったのだろう。

 先生は床にへたり込んでブツブツ何かを言っている。

 

 ここは私がしっかりしないと! 

 

 とりあえず、この場を何とかするために行動を開始しようとして……。

 

 

「ッ!!」

 

 急に身体がだるくなる。熱がある気がする。微かに吐き気がする。

 この懐かしい感覚を私は知っていた……。

 

 私もその場にへたり込んだ。このままではマズイ。場が混乱するだけだ。

 

 とりあえず、お兄ちゃんに正気に戻ってもらわないと……。

 

「お兄ちゃん! ヒナを見て! キャストオフ!」

 

 全裸になるとお兄ちゃんが私のおっぱいを凝視する。

 太腿を開いて、下腹部に刻まれた“お兄ちゃん専用”の文字と矢印の先のオマンコを見せつける。

 

「お兄ちゃん、混乱しているならここでヒナを抱いていいよ? 頭スッキリさせよう?」

 

「ヒナ……」

 

 お兄ちゃんが私に近寄ってくる……。本当にこの場で抱く気なのかもしれない……。

 

 じわぁ……。

 

 期待にオマンコが濡れる……。

 

 お兄ちゃんが跪いて、私を正面から抱きしめて、耳元で囁く。

 

「お兄ちゃんは大丈夫だ。ヒナ、すまなかった。服を着てくれ」

 

「う、うん。キャストオン!」

 

 服を着るとお兄ちゃんは私の頭を撫でる。

 

「ヒナ、ありがとう……」

 

 私はお兄ちゃんの抱擁を解いて、お兄ちゃんの目を見る。

 いつものお兄ちゃんだった。

 これなら、たぶん大丈夫だと思う。

 

 お兄ちゃんに心配かけたくないけど、大切な事なので伝える決心をする。

 

 

「お兄ちゃん、落ち着いて聞いてね。ヒナ、妊娠しているかもしれない……」

 

 

 お兄ちゃんは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐ元の顔に戻った。

 

「わかった……。先生に診てもらおう」

 

 お兄ちゃんが壊れなくて本当によかった。

 私は心の底から安堵した……。

 

 ───

 

「先生、大丈夫ですか? しっかりしてください!」

 

 俺はリースの肩を掴んで揺さぶる。リースがきょとんとした顔で俺を見つめる。

 

「カオルさん? あれ? 私……」

 

「先生、ヒナを診てくれませんか? 妊娠しているかもしれないんです!」

 

 リースがヒナを見て微笑む。

 

「ヒナさん、何を言っているんですか? 子宮に魔道具が入っているんですよ? 妊娠なんかするはずありませんよ?」

 

 リースはヒナから症状を聞き始める。

 

「ただの風邪ですよ。まぁ、どちらにせよ魔道具の具合を確かめるために診ますけどね。ヒナさん、そこの椅子に座ってください」

 

 リースは椅子に座ったヒナの下腹部に魔法を掛け、子宮内の様子を見ている。

 しばらくヒナの子宮内を観察したあと、リースは俯き、肩を震わせている。

 

 どうした? 

 

「ぷっ! あはっ! あははははははははは……」

 

 リースが突然笑い出した。俺とヒナは顔を見合わせる。

 その間もリースは笑い続ける……。

 

「ははは。はぁはぁ……」

 

 リースの笑いがやむ。

 

「ヒナさん、あなた妊娠しています」

 

 そう言うと笑顔のまま立ち上がり、俺達に背を向けて壁際の棚を開けた。

 

「先生、ヒナは本当に妊娠しているんですか!?」

「ええ、妊娠しています。正確にはわかりませんが、見た感じ、妊娠1か月というところでしょう」

 

 リースは俺に背を向けたまま言い放つ。

 カチャカチャなにやら音がする。

 

「先生、ヒナの子宮には魔道具が入っているのにどうして妊娠したの?」

 

 ヒナの言葉にリースの動きは止まった。

 先程から聞こえていたカチャカチャという音もやむ。

 

「ヒナさん、安心してください。アンデッドのユキさんが妊娠して、魔道具を処方したヒナさんも妊娠しています。こんな事はありえません! つまり……これは現実ではありません」

 

「「えっ!?」」

 

 リースがゆっくり振り向いた。口をいやらしく歪ませている。

 右手にはメスを握り、左手にはよくわからない器具を持っている。

 

「せ、先生?」

 

「つまり……これは夢です。夢なら、やりたい事をやってしまいましょう♪ まずは、妊娠したユキさんを解剖して、妊娠したメカニズムを解明しましょう♪ ユキさんのあとはヒナさん、あなたですよ♪」

 

 リースは舌なめずりしながら、ユキの眠るベッドに向かっていった……。

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