リースがとんでもない事を口走ってユキに近づく。目は完全にイっている。
このままではユキが解剖されて、ユキも俺の子供も死んでしまう!
「先生! 落ち着いてください! ヒナ! 今のうちにユキを起こしてくれ!」
俺はリースを羽交い締めしてヒナに声を掛ける。リースはメチャクチャに暴れている。
「カオルさん! 離してください!! セクハラで訴えますよ! ま、まさか奥様たちの目の前で私をレイプする気ですか!? そんなの許されませんよ!!」
ヒュンッ!
リースの持つメスが俺に向かってきたので咄嗟に避ける。メスが俺を掠めた。
「ユキちゃん! 起きて! ユキちゃんとお兄ちゃんが大ピンチなの!!」
ヒナがユキの頬を叩き、必死に起こしている。
「カオルさん! わっ、私にナニを押し付けているんですか!? 本当にヘンタイですね! やめてください!!」
さっきヒナの裸を見たせいで俺のチンポはフル勃起していた。だが、今はそんな事を気にしている場合ではない!
「先生、これは夢ではないです! 現実です!」
「妊娠するはずもない2人を妊娠させたうえに、今度は私をレイプして望まぬ子供を妊娠させるつもりですか!? こんなの夢に決まってます!」
リースにまったく話が通じない。錯乱しているようだ。
「ユキちゃん!!」
「……ヒナ? ……どうしたの?」
ユキが起きたようだ。上体を起こしたユキと目が合う。
「ユキ、早く逃げてくれ! 先生がユキの子宮を解剖すると言って暴れてるんだ」
ゾクッ……。
俺の背中に悪寒が走る。ユキを見ると……銀色の瞳が、今は怒りで真っ赤に染まっていた。
メキャッ!
ユキが俺とリース目掛けて加速する! あまりの風圧に俺は目を閉じる。
……腕の中で暴れていたリースの身体から力が抜ける。
……どうか首がついていますように。
祈りながらゆっくり目を開けると、リースの首は……。
ついていた。気絶しているだけのようだ。
「危うく、首をはねるところだったわ……。カオル、怪我はない?」
真っ赤な瞳を潤ませたユキが俺の目の前にいた……。
「ああ、大丈夫だ。ユキ、助かったよ」
ユキが寝ていたベッドにリースを寝かせる。起きた時には正気に戻っていて欲しいと強く願った。
「カオル……私のお腹の中に……」
ユキは不安そうな顔をしているので抱きしめる。ユキは一瞬身体を硬直させるが、遠慮がちに俺の背中に手を回す。
「ユキ……責任は取る。……俺の子を産んでくれるか?」
「カオル……」
ユキの抱きつく力が強まる。ユキは俺の腕の中で泣き続けた……。
───
「ところで、どうして先生はさっき錯乱していたの?」
泣き止んだユキが俺とヒナに聞く。
「じつは……」
俺はユキが失神してから起こった事を話した。ヒナの具合が悪くなった事、ヒナの妊娠が判明してリースがおかしくなった事。
俺の話を聞いたユキはたいそう驚いているようだ。
「ヒナまで妊娠!? カオルはよく無事でいられたわね」
「ヒナの機転が無かったら、俺もおかしくなっていたかもな。ヒナ、ありがとう」
ユキの妊娠を知り、呆然とする俺を現実に引き戻してくれたのはヒナだった。
ヒナの妊娠を知った時も、排卵するはずのないユキが妊娠したのだから、魔道具入りのヒナが妊娠しててもおかしくない。
そう思い直して、衝撃が和らいだのも助かった。
ヒナはリースの横たわるベッドの縁に座り、心配そうにリースの様子を見ている。俺はヒナの傍らに立ち、頭を撫でる。
「ヒナ、心配するな。起きたらいつもの先生に戻っているはずだ。ユキもそうだっただろ?」
俺は、この世界に来たばかりの時に、夢だと勘違いしたユキに逆レイプされそうになった事を思い出していた。
「ちょっ!? カオル! もうその話はしないでよ!?」
ユキは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた……。
───
「先程は取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。何とお詫びしていいものか……」
俺達の前でリースが深く頭を下げている。目を覚ましたリースはすっかり元のリースに戻っていて、俺は安堵した。
「先生、幸い誰も怪我をしていませんし、ユキとヒナの妊娠で混乱して当然です。先生、顔をあげてください」
リースが顔を上げる。今にも泣きそうになっていた。
「ここは水に流して、先程の事は無かった事にしませんか? それよりも先生、ユキとヒナを詳しく診てあげてください」
「カオルさん、ヒナさん、ユキさん……感謝します。改めて謝罪させてください。申し訳ありませんでした……」
俺達にもう一度深く頭を下げ、頭をあげたリースの顔は普段の顔に戻っていた。
───
リースがユキとヒナの診察を始めるため、俺は診察室を出て待合室のソファーに腰かけていた。
一人になったので今後の事について少し考える。
◇旅について
・ヒナとユキが俺の子供を産むまでここで足止めだ。
子供が生まれてもある程度成長するまでは旅の再開はできないだろう。
何歳になれば再開できるだろうか?
◇元の世界に戻るために
・子供を連れて探索などはできない……。
「カオルさ~ん!」
名前を呼ばれたため、思考を中断してヒナとユキの待つ診察室へ向かった。
───
診察室には普段通りのリースが机の前の椅子に座っており、ヒナとユキは不安そうな顔でベッドの縁に座っていた。
俺はヒナの隣に座る。
「カオルさん、お待たせしました。ヒナさんとユキさんを詳しく調べました。まず、ヒナさんからですが……」
そしてリースは診断結果を報告していく。
◇ヒナについて
・妊娠1か月
・魔道具は正常に動作している
・精子があり得ない動きをしているため、魔道具では対処しきれず、受精した
「魔道具の
リースのコンソールを3人で覗き込む。
「赤と青が魔道具、白い塊が精子です。ヒナさんの子宮内で2つの塊に分かれましたね」
コンソール内で2つに分かれて進む白い塊を赤と青の点が追っていく。赤と青の点が触れた箇所は白から灰色に変わる。
もう片方の色の点が灰色に触れると消えた。
最終的に白い塊は全て消えたが、赤と青の点はヒナの子宮の上方に向かっていき、そこで止まった。
「精子が全て消えましたよ? どうして受精したのですか?」
コンソールから顔を上げてリースに聞く。
「私も最初はわかりませんでした。これを見てください」
リースが赤と青の点が止まった箇所を拡大していく。すると、動いている白い点が1つある。
「この場所は卵管なので魔道具は入れません。ヒナさんの子宮内で精子は2手に分かれて、魔道具をおびき寄せています。まるでこの1匹の精子を、卵管まで届けるために連携しているように見えます! 精子が連携するなんて聞いたこともありません!」
リースは少し興奮気味に話す。俺の中で疑問がわいてきた。
「先生、これはいつの
「この
リースは俺の顔をじっと見る。
俺はスキルなど使った覚えが全くなかった。念のためコンソールを開き、射精や精子に影響しそうなスキルを取得しているか確認する。
……そのようなスキルは見当たらなかった。
「スキルを使った覚えはありませんし、関係しそうなスキルも取得していませんね」
リースはあからさまに残念そうな顔をしている。俺のスキルが関係していると推測していたようだ。
「……そうですか。次はユキさんです」
◇ユキについて
・妊娠1か月
・なぜ排卵したのかは不明
・アンデッドが妊娠した、出産した例は無い
「ユキさんの妊娠については信じられませんが、事実です。妊娠中の女性が死んでアンデッドになり、出産したという話がありますが、これはおとぎ話の
先生の言葉を聞いたユキは、不安そうに俯いた。
「いつ受精したかわかりますか?」
「昨夜だと思います。カオルさん、昨夜ユキさんと性行為を行った際に、何か変わった事はありましたか?」
昨夜か。心当たりは……あった。
「ユキはワインを飲んで酔っ払ってましたね」
「それは興味深いですね。昨夜の性行為の内容について聞かせてください。出来るだけ詳細に!」
「「えっ!?」」
俺とユキは声を揃えて顔を見合わせた。
リースは真剣な顔をしていた……。
───
「先生、本当に話さなければいけないでしょうか? その、デリケートな話なので……」
カオルが顔を赤くして先生に訴える。昨日のエッチの内容を話さなければならないんだから、さすがのカオルも恥ずかしいのだろう。
先生は少し考えて。
「わかりました。恥ずかしいようなら、一度で済むように録音しますね」
(えっ!?)
ちがう。そうじゃない……。けど、先生の顔は真剣だった。
カオルはヒナと顔を見合わせると、カオルとヒナが私の顔を見る。
「ユキ、昨日の事を話してもいいか? だいぶ恥ずかしい思いをすると思うが……」
カオルが顔を赤くしながら私に問いかけてきた。ふだん私には見せない顔で可愛かった。
(恥ずかしい? ……ああ、現実世界に戻ったら赤ちゃんが欲しいと言ったあの事?)
さして問題ないと思い私は答えた。
「カオル、私は大丈夫よ」
「いや、でも……」
「いいの! 大丈夫なの!!」
カオルが食い下がるけど、私はどうして妊娠したのかハッキリさせたかったのでつい、強い口調で言ってしまった。
カオルは少し迷っているようだけど、覚悟を決めたようだった。
「ユキ、わかった。……先生、ユキがこう言うので話しますが、他言無用でお願いします」
「ええ、患者のプライバシーは守りますので安心してください」
先生は機械を取り出した。おそらく録音するための機械なのだろう。
ヒナは不安そうな顔で私の顔を見ている。私はヒナを安心させたくて微笑む。
「ヒナ、そんなに心配しないで。大丈夫だから」
「ユキちゃん、でも……」
泣きそうな顔をしているヒナに抱きついて頭を撫でる。でも、ヒナの表情は変わらなかった。
普段なら嬉しそうな顔をするのに……。
「先生、挿入してからの話でいいですか?」
「何が原因かわからないので行為に至るまでのところからお願いします」
「わかりました。先生、ヒナ、ユキ、これから俺は普段の俺じゃなくなるかもしれないけど、俺は俺だ。安心してほしい」
(?)
カオルがよくわからない事を言っている。俺じゃなくなるかもしれないってどういう事?
「では、昨日の事について話します。昨日、俺達はお祝いのために……」
カオルが昨日の事について話し始めた。
……
「恋人たちの宿に着いたので、酔っ払ったユキをベッドに寝かせました。今夜はユキは抱けないと思い、ヒナとイチャイチャしていた時です。突然、ユキが覚醒しました」
(?)
全く覚えていなかった。
「ユキはオシッコがしたいと言っていました。トイレに連れて行こうとすると、トイレに行きたくない、ここからどこまでオシッコが飛ぶか勝負だ! などとよくわからない事を言っていました」
(えっ!?)
「ここでワタシ、気付きましたね。おかしいんだ! カミさんはフンドシをしている。このままオシッコをしても飛ぶわけないんだ!? 妙な事を言うもんだな~。勝負してもワタシが勝つに決まってる、そう思っていましたね。モチロン、勝負なんてしませんよ」
カオルの口調が、おかしい……。何か憑依している!?
「とりあえず、このままじゃいけない! カミさんをトイレに連れて行こうと抱っこしました。抱っこしたとき……振動が悪かったのかもしれませんね。カミさん、そのまま、ジョオオオオオオオってオシッコを漏らしたんだ。いやぁ、あったかくて臭かったですよ。でも、愛するカミさんのオシッコだ! ご褒美だと思いましたね」
(ええっ!?)
そんな事は全く覚えていなかった……。
「オシッコを漏らした……と。なるほど」
先生はカルテに何やら書き込んでいる。
「漏らしたものはしょうがない。幸い、ワタシの妹は清掃のスキル持ちですからね。すぐスキルを使って綺麗にすればいいや……そう思ってました。そしたら、何やらおかしい。ワタシが抱えてるカミさん、プルプル震え始めたんだ! あ~面倒な事になるな~。ワタシそんな予感がしました」
嫌な予感がしてヒナを見る。ヒナは目を逸らした……。
(私、何をしてしまったの~~~~!?)
「抱っこしているカミさんが突然叫んだ! ウンチ! 次はウンチが出る!! ワタシ、ゾ~ッとしましたね。さっきはオシッコがどこまで飛ぶかとか言ってたんだ! ならウンチは何で競うつもりなんだ!?」
カオルはそう言うと、コップの水を一口飲む。
(コップなんかあったっけ?)
「カミさん曰く、色、艶、形、芸術性で競おうって言ってます。冗談じゃない! ワタシ、もう一人のカミさんに金魚鉢を持ってくるように言いました。お~~い! ヒナ~~! 金魚鉢持ってきてくれ~~!」
私はもう、誰の顔も見れず、俯くしかなかった。
「金魚鉢はワタシたちの子どもが入ってる。カミさんは急いで子ども達を取り出して、空になった金魚鉢を持ってきた。イヤ〜、ナントカ間に合ってよかった〜。抱きかかえていたカミさんを降ろして金魚鉢に跨らせました。カミさんはふんどしを外して金魚鉢に跨りウンウン唸ってる……」
(私、2人の前でウンチしちゃったの!?)
「そこでワタシ、ふと気付きました。普段、カミさんは何も食べてないんだ! 何も食べてないのに、ウンチなんて出るはずがない!! おい、ウンチなんか出ないんじゃないか? とカミさんに言いました。するとカミさん、なかなか出ないから肛門を刺激して欲しいと妹に言い出しましてね……。これにはワタシも妹もドン引きでしたよ、えぇ……」
少し顔を上げてヒナの様子を見ると、ヒナは恥ずかしそうに顔を伏せていた。
「妹は本気か? とカミさんに問いただしました。カミさんは絶対に出してみせると言って聞かない。妹もついに根負けしたようだ。おそるおそる金魚鉢に跨るカミさんのお尻を刺激し始めた……。ウンウン唸っていたカミさんが今度はアンアン喘ぎ出しました。あ! これは出るかもしれない! 妹も異常に気付いたようだ。ワタシと妹は身構えました。カミさんは出る! 出ちゃう! と叫びます……」
カオルはもう一度、水を飲んだ。
(本当にウンチしちゃったの?)
もうやめて欲しかったけど、躊躇している2人に無理を言って話させたのは私だ。いまさらやめさせる事はできない。
「カミさんが、もうダメ~~~と叫びました。出すところを見ないと、芸術点は付けられないので妹とじっくり観察します。ぷぅ~~~~って音が聞こえました。あ! コレはエアうんこだ! ワタシ、直感しました。妹に目配せします。この後の衝撃に備えなければなりません。一瞬遅れて、ウワ~~~~! そりゃあもう物凄い匂いだ! 一体ナニを食べたらこんな臭いおならが出るのかと思いましたよ。あ、ナニも食べていないんだった……」
ウンチはしなかったようなので安心した。けど、オナラはしてしまったか~~~!
「妹は顔を真っ青にして窓を開けて窓の外に頭を出しました。余程くさかったんでしょうね……。外からは臭い! 臭いぞ! 異臭テロか!? などと声が聞こえますがそんな事は知ったこっちゃない!」
「刺激臭のするオナラをした……と。それで?」
先生の冷静な声……。私は穴があったら入りたかった。隣のヒナは気まずそうだった。
「ワタシはその場で固まっていました。ここだけの話ですが、ワタシ、こう見えてヘンタイなんです。愛するカミさんにオシッコを引っかけられて、とんでもなく臭いオナラを嗅いで下半身はギンギンになってました……。ワタシの下半身を見たカミさんはそりゃもう大喜びだ! オマンコがしたい、オマンコがしたい! と叫び出した! 窓は全開だ。外にも聞こえてしまう! ワタシは妹に言います。お~い! ヒナ~、窓を閉めてくれ~! すると、妹がもう少し換気しないと危険だ! そう言いましてね……」
ヒナを見る。ヒナは目を逸らしていた。
「ワタシはカミさんの声を他人に聞かれたくないのでカミさんの口を塞ぎました。……ワタシの唇でね。そしたらカミさん、ワタシの下半身を握りまして、ピストンし始めたんです。ええ、そりゃあもう気持ちよかったですよ。ワタシ、カミさんを愛してますからね、愛してるカミさんに下半身をいじられたら理性も吹っ飛びますよ……」
カオルに愛されてて私は幸せだ……。
「そのまま、ベッドに押し倒そうかな? そう思っていると、妹がもう窓は閉めたので好きにすればいいと言いました。妹は清掃を使って周りを綺麗にしました。そろそろ時間切れですね。では、カオルさん、次回の怪談ナイトでお会いしましょう」
(怪談ナイトってなによっ!?)
「俺はユキをベッドに押し倒し、右手でユキの手を握りました。ユキは右手で自分のオマンコを広げて、カオル、早くちょうだい! 私のココはカオル不足でもう限界! と言いました」
(何言ってんのよ! 私!!)
「カオル不足でもう限界……ですか……」
先生がカルテに書き込む。
「俺は、ユキを愛してます。そんな事言われたら……。ユキのオマンコに挿入しました。すると、ユキは……盛大に潮を噴いて、白目になって気絶してしまいました……」
カオルが私を見る。私は恥ずかしくて顔が真っ赤だろう。
「で、その後は?」
先生が私の顔を見る。私はその続きを話した……。
───
「ふぅ……なるほど……よく……わかりませんね」
リースが録音している器具を止めた。
「ヒナさん、ユキさん……産むつもりですか?」
俺は、2人に決めて貰うつもりだったので黙る。
「「産みます!!」」
2人が声を揃えて答えた。
「カオルさん、ユキさん……ユキさんを娼館で働かせるつもりはありますか?」
「「えっ!?」」
リースの瞳が真っ赤に輝いていた……。