Lily ~白百合の女騎士と呪われた淫欲と背徳の都~ 作:YU-GO
奉仕国家の内の一部であるこの娼館通り。そこは建国以来、急速に数を増やす娼館が軒を連ねていた。ヴォルトに命じられた『キーン』という男が作る娼館もこの一角にあった。
この界隈に他にも、立ちんぼと呼ばれる街娼の並ぶ『娼館通り』や、最底辺の娼婦たちが集められた『壁尻通り』などがあった。
……だが今では、そんな光景が一つもないゴーストタウンの様な場所へと変わり果てていたのだ。
ジャック「どっちもこっちも元々娼館として使われていた跡がめっちゃ目立つな…」
リリィ「うっ、うぅ…!」
ジャック「リリィ?どうした?」
バルト「具合でも悪いのか?」
この娼館通りに足を踏み入れたのか、リリィは少し頭痛に襲われていた。突然に襲ってきたのだろうか。
リリィ「こ、ここ…私の友達が…ここで酷く凌辱されて…その友達が理性を失って本能のままに快楽を求めて行く様が思い出して…!!」
リリィはここで味わった地獄がフラッシュバックしてしまい、バルトはリリィをおんぶした。
バルト「ジャック、ここは慎重に進もう。割れた窓ガラスからさっきの魔物が襲ってくるかも知れない。」
ジャック「そうだな。リリィ、無事か?」
リリィ「え、えぇ…少しは治ったのかも…バルト、降りても良い?」
バルト「はいはい、わかってるって。」
バルトはリリィを降ろして、少し休憩を取ってから娼館通りを渡った。窓があちこち破られており、小物やら樽やらの残骸が転がっている。更に道端に血の跡が良く目立つ。元々は性的な臭いや娼婦達の喘ぎ声が聞こえていたのかも知れないが、今では錆び付いた鉄の臭いが何よりも良く目立つ。
ジャック達が小さな娼館を通り越した時、バルトは足を止めた。
バルト「ジャック、少し待て。」
ジャック「バルト?」
バルト「さっき俺達が通り越した娼館に声が聞こえた。」
リリィ「あの娼館だよね?」
リリィが指を刺した方向を見ると、人気の無い小さな娼館だった。
ジャック「あの中に人が?生存者でもいたのか?」
バルト「おそらくな…。」
リリィ「或いはゾンビが化けているかも知れないわね。」
ジャック達はその娼館に入った。中は余りにも荒れている。この娼館も魔物達に襲われたのかも知れないだろう…。ジャック達は武器を持ちながら恐る恐ると声がした個室へ入る。個室はもちろん風俗感満載の個室で、その個室にいたのは…。
ジャック「お、おい…コイツは…」
ジャック達が見たのは、瀕死寸前の黒い鎧を着た兵士だった。この兵士は奉仕国家に所属していた兵士なのだろう。
すると兵士は独り言の様な事を呟き始めた。
兵士「ここはかつて天国だった…好きなだけ女を犯せて、自分の欲望に忠実で、俺の欲望が肯定してくれた…だが、あの日から奉仕国家は地獄と化した…闇からの…悪魔が俺達を…蹂躙されて…俺達が犯した女どもや弱え奴らが凶暴化して…」
バルト「闇?その闇がこの国を蹂躙したと?」
兵士「これは罰だ…因果応報や自業自得とはこの事なのか…。俺はこの後どうすれば良いんだ…もう死ぬしか無いのか?…やりたいものが全て失ったこの国で、俺は死を選ぶ事しかできないのか…教えてくれ…リュカオンの先輩…。」
リリィ「リュカオン…!」
ジャック「知っているのか?」
リリィ「ディレクに仕える餓狼族の戦士よ。強さこそが正義で、弱者や敗者に対しての哀れみは持ち合わせていない奴ね。』
バルト「要するに脳筋狼って事か、聞くからにどうしようもねえクソ犬って事だな。」
兵士「その…リュカオンは…この奥の広場で見かけた…。あいつは獣人特有の強靭なる肉体を持っている…そいつに挑むなら、俊敏なスピードとパワーに…気をつけるんだ…な…。」
兵士はそう言うと力尽きた。
ジャック「リュカオンっていう奴が広場にいるのか。」
バルト「獣人特有のスピードとパワーを兼ね備えているのか、コイツは厄介な奴だな。」
リリィ「………感じるわ。」
ジャック「何をだ?」
リリィ「広場からリュカオンの他に他の生存者の気が…!」
一方その頃、広場では一人の少女が鎮魂歌の様な歌を歌っていて、その近くには闇に囚われていて、もがき苦しむ獣人がいた。
少女『♪〜〜♪♪〜〜♪〜』
獣人『グ……グギギが……(コイツ…コイツだけは…)』
次回、バルトVSリュカオン、ファイッ!!