Lily ~白百合の女騎士と呪われた淫欲と背徳の都~ 作:YU-GO
かつて、奉仕国家が同盟国との戦争をしていたこの大地の奥には、神聖王国アウレリアがあった。しかし、奉仕国家の勝利によってその王国は瞬く間に壊滅したという。
戦争の傷跡が残るその王国跡地へ近づく部隊がいた。黒狼隊だ。彼らを率いるガルムは、ディレクの命令により、そこへ向かっていた。
ガルム「最後の残党達がいるその跡地で、残党狩りへ向かっていた奴らが次から次へと壊滅して行く報告を聞いたのだが、本当なのか?」
ジェリック「おそらくだ。同盟国の残党達、何を隠していたんだ?」
ガルム「残党達が奉仕国家とは別の勢力との同盟を組んだ可能性が高い…ディレクの野郎…人荒い過ぎる…」
遡る事数時間前。
ガルム「俺達を呼び出して、なんの様だ?」
ディレク「今から話す。黙って聞け。」
ガルム「チッ…」
舌打ちするガルムの目の前にいるのは、奉仕国家の王であり、黒き獣とも呼ばれる覇王ディレク・ロンドである。ガルムにとっては倒すべき存在であり、実力はガルムとほぼ互角と言われている。そんなガルムがディレクに呼び出されており、ある任務を与えられた。
ディレク「アウレリア跡地にて、最後の残党がいるが、奴らを殲滅しに行った部隊が壊滅する事が相次いている。そこで各部隊の中で最も最強の部隊であるお前達に依頼を与えようとしてな。」
ガルム「だいたいわかってる。俺たち黒狼隊が、そこへ向かって調査して、残党どもを殺すんだろ?」
ガルムの発した言葉を聞いたディレクはニヤリと笑う。どうやらディレクはガルムの事を信用しているが、ガルムはディレクや黒犬達の事を気に入らないようだ。
ガルム「(コイツら…人である事を捨ててやがる…)」
現在。
ガルム「いずれてめえを殺して、俺が王になってやる。首を洗って待ってろよ…ディレク…!!」
ジェリック「ガルム………」
ガルムのディレクに対する嫌悪感を感じとり、心配するジェリック。彼も奉仕国家の襲撃に巻き込まれた被害者の一人である。そしてガルムの後を追う戦士達は、奉仕国家の中では数少ないまともな者達。黒狼隊は奉仕国家の中で最もまともで常識人な集まりである為、周りからは馬鹿にされているのだ。しかし、弱者や奴隷達からにしては唯一の味方で、信頼出来るという…
アウレリア跡地
ガルム「ここがアウレリアだった所か…」
ガルム達、黒狼隊が着いたアウレリア跡地。そこはもう廃墟と化しており、奉仕国家が全てを蹂躙した傷跡も残っている。
ジェリック「ガ、ガルム…あれを…!!」
ガルム「ッ!!コイツは…!!」
ガルムが目にしたのは、磔にされた骸や、魔物に喰い殺された者達の死骸や、晒し首などが多くあった。これらが全て残党狩りへ向かっていった奉仕国家の各部隊である事を、ガルムは理解した。
ガルム「己を鍛えず、戦場を舐めたからこうなる。だが、俺達黒狼隊はてめぇらと違って、一味違うぞ。」
黒狼隊は、娼婦との遊びに付き合わず、ただ己の身体や実力を常に鍛えており、弱者達の保護や悪人達の制裁など行なっており、奉仕国家の中では善意ある行動をしていた為、周りからは不評だったが、奴隷達や弱者達からは好評だった。
黒狼隊は多くの屍や瓦礫が転がるアウレリア跡地の中へ渡っていると、そこで目にしたのは、余りにも凄惨な物だった。
『や、やめろぉ!!喰うなぁ!!喰うなぁぁぁぁ!!!』
部隊の生存者が、人肉を喰らう怪物達に喰い殺される光景だった。
ジェリック「あれは…!部隊の生存者だ!」
ジェリックは生存者を助けようとするが、ガルムに止められる。
ガルム「ジェリック、前に出るな。」
ジェリック「で、でも、彼を助けないと…!!」
ガルム「助けたい気持ちはわかるが、あれを見ろ。」
ジェリックはガルムが指差した方角を見ると、生存者は無惨に喰い殺されており、彼らは生存者の部分をガジガジと貪り食っていた。
ジェリック「ガルム…彼らは…!」
ガルム「どう見ても人間じゃねえな。」
ガルムが言う通り、部隊の生存者を喰い殺す残党達はどう見ても人間ではなく、『人間だった何か』だった。すると彼らはガルム達がいる事に気づいたのか、『見たな?』と言わんばかりゆっくりとガルムがいる方向へ向く。
生存者を喰い殺したのか、口元は真っ赤に染まっており、目は紅く光っており、彼らはガルム達に向かって唸り声を上げながら戦闘態勢を取った。
人間だった者「グルルルルル…!!」
ガルム「俺達の事を気づいている様だな。」
ジェリック「この殺意…今まであった残党達よりも只者では無いな…!」
彼らはガルム達にジリジリと近づいていき、黒狼隊は戦闘態勢を取りながら間合いを取る。すると一匹の人型魔物が獣の如く四つん這いで飛びかかってきた。
人間だった者「グガアアアッ!!」
「うわぁぁぁ!!?」
黒狼隊の部隊兵がその魔物に襲われそうになり、ジェリックが魔法でその魔物を攻撃した。魔物は受け身を取りながらジェリックを激しく睨み付ける。
ガルム「ジェリック、あんたはキミア出身だったのか?」
ジェリック「まあね。それより、ここを打破する方法を探さないとね。」
ガルムは辺りを見回すと、さっきの攻撃音に反応したのか、人間だった者があちこち出没していた。このアウレリア跡地は、この魔物の巣窟へと化していた。
ガルム「俺達は黒狼隊は、生き延びる事を優先し、そして粘り強く敵を仕留める事だ。わかるか?」
ガルムの言葉を聞いた黒狼隊は、理解したのか全員頷く。
ガルム「よし。さて、始めるぞ!!!」
ガルムの号令と共に黒狼隊は先陣を切って魔物達を攻撃を開始した。
その頃…
デュラン「あの黒狼隊っていう部隊。アウレリア跡地で無様に、無惨に殺された奉仕国家の各部隊よりも大した事してるじゃないか。」
デュランは余裕そうにその様子を見ていた。
デュラン「だけどね。黒狼隊のガルム君…彼らは他の残党と違って、奉仕国家に対する憎悪に満ちていて、殺意増し増しで、本能のまま全てを蹂躙するヤバい奴なんだよ♪まぁ、その事に着いては後から説明させてあげようと『ギィィィ』ん?」
デュランは錆びついた扉が開く音をした方角を見ると、そこは奉仕国家の兵士達だった。
『き、貴様!!勝手に何をしている!!』
デュラン「これは失礼。でも、勝手なのはキミらの方なんだけどね。汚ねえ欲望塗れのヘドロどもが。」
『て、てめえ!!』
『ぶっ殺してやる!!』
兵士達は怒りに込めながらデュランに襲い掛かった。
デュラン「雑魚過ぎて草なんだよね。これ」
戦闘は僅か秒数で呆気なく終わってしまい、デュランに牙を向いた黒犬の子犬どもは無惨な肉塊と化していた。
デュラン「これが奉仕国家の力なの?それで良くこのセレヌス大陸を統一出来たね。ただ、運が良かっただけだよ?君達、戦場舐め過ぎてるんだよ。」
デュランは肉塊を蹴り飛ばし、蹴り飛ばされた肉塊は壁にベチャッと激突し、そのまま落ちてドチャリと潰れた。
デュラン「出来ればギリッギリ粘って行こうと思ったのに、計画がバレてしまう可能性が高まったな…仕方ないな。んじゃ、起動しちゃおうか!!」
デュランはそう言うと、装置を起動した。すると装置の起動音と共に、奉仕国家全体に地震が襲い、その国の者達は突然の地震でパニックに陥った。
突然の地震は嵐の様に過ぎ去った。しかし、国民達は未だに警戒をしている。
デュラン「あぁ…楽しみだ。クソ国家の奉仕国家が極限の絶望に叩き落とされる様が見てみたい!アイツらがどの様に無様に、無惨にやられて行くのか楽しみで仕方ない!!!」
デュランは悪魔の様な笑顔をしながら装置の様子をじっくりと見ていた。
レイア「今の地震、もしかすると、あれが起動したのね…♪」
建物の屋根で休憩していたレイアは、装置の起動音による事を感じ取っていた。
そしてガルム達は………
ガルム「てめえがリーダーか!」
黒狼隊と残党との激しい戦いを行なっている中、ガルムは残党のリーダーと対峙していた。
残党リーダー「そうだ…俺がこの残党のリーダーだ。てめえら奉仕国家め…ありとあらゆる物を奪い、罪の無い女どもを掻っ攫って、そこで犯して、最後は商品へと変えやがって…許さねえ…許さねえ…!!!」
ガルム「俺達に対する憎悪が激しいな…名前はなんだ?」
残党リーダー「グレイ……」
ガルム「グレイか…」
グレイという残党リーダーは、今までにない殺意と奉仕国家への憎悪を増しながら、ガルムに襲い掛かる。ガルムは殺意を用いて襲い掛かるグレイの攻撃を力強く受け止めた。
ガルム「コイツ…!!」
グレイ「奉仕国家…殺す…殺す…ころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスッ!!!!!」
グレイの眼は、もはや人間ではなく、憎しみと本能のままに全てを蹂躙する魔物の眼へと変わり果てていた…。
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グレイ
アウレリア跡地にある残党軍のリーダー。かつて奉仕国家によって、全てを奪われ、絶望する中にデュランと出会い、彼から奉仕国家に対抗出来る力を得るが、奉仕国家に対する激しい憎悪によって、殺意に満ちた凶悪な魔物へと変貌している。
次回、奉仕国家、阿鼻叫喚の地獄と化す。