Lily ~白百合の女騎士と呪われた淫欲と背徳の都~ 作:YU-GO
かつてディレクが王として君臨したこの王の間では、黒狼と呼ばれる傭兵と、闇の化身がぶつかり合う熾烈な修羅場と化していた。
『ガキィン!!ガキィンッ!!!キィィンッ!!!!』
互いの剣の刃が混じり合う音を散らしながら、ガルムとデュランは隙を見せずに攻防戦を続けてゆく。
デュラン「実力はディレクよりも上である事はわかったよ。だけど…所詮は黒犬どもの仲間。ボクに敗れた死ぬ宿命なのさ。」
ガルム「ああ、確かにな。俺達はいずれは死んで地獄へ堕ちる事は確実に知っている。だが、ここで無惨に負けて死ぬわけには行かねえ!!」
ガルムは地面を強く踏み込むと、素早い攻撃でデュランに襲い掛かるも、デュランはガルムの素早く重い一撃を華麗に受け流した。
ガルム「こいつは今までよりも歯ごたえのある相手の様だな…!!」
レイア「私が淫乱女だと思っていたら、大間違いよ!!」
ニコラ「こいつ、俺よりも魔力が強え!!」
ジェリック「気を抜くな!次の攻撃が来るぞ!友よ!」
ジェリック達はレイアによって奉仕国家の大広場の所へ転送され、レイアとの激闘を繰り広げていた。
大広場では多くのゾンビ達が蠢いており、生存者達は阿鼻叫喚の地獄の中でパニックになっていた。その中には彼らに対抗しようと試みる奉仕国家の戦士や兵士、まだまともなオークやオーガ達もいた。
レイア「そらそらそらぁ!!よそ見してると当たっちゃうよぉ!!」
ジェリック「ちいぃ!!」
ジェリックはレイアが放つ火炎魔法を紙一重に回避し、ニコラは逃げ回るかの様にレイアの攻撃を交わした。
ニコラ「ヒィィィィ!!勝てる気がしねぇぇぇ!!(泣)」
ジェリック「君の気持ちはわかるが、僅かな勝率が見える…反撃する!!」
ジェリックは賭けを狙ってレイアに向けて雷撃魔法を放ち、レイアはジェリックの攻撃を受けようとするも、直ぐに受け身を取った。
レイア「多少ビリビリ痺れるほど痛かったけど、これくらいはヘッチャラ!!」
レイアは反撃として突風魔法を唱え、さらにレイアはある物を突風の中へ放り込んだ。
ニコラ「風の中に葉の様な物がぁ!?『ザシュ!ザシュ!!』って、痛え!!この葉、刃の様に痛えよ!!」
ジェリック「この葉…何でも切れる葉か!!」
ジェリックはレイアが突風へ放り込んだ葉が『何でも切れる葉』である事がわかるも、突風と葉が融合した攻撃を受けた。
ジェリック「うぐっ、ああ!!」
レイア「海賊ちゃん達がいる世界にある監獄の中に生えている『剣樹』を採取した甲斐があったわ♪」
レイアが突風へ放り込んだのは、刃の様に切れる葉の剣樹だったのだ。
ガルム「うおらああああッ!!!」
『ドゴォォォ!!!』
デュラン「こいつ、実力がディレクよりも上だけではなく、しぶとさも一流な奴だったのか!!」
デュランはガルムの攻撃を防ぐも、ガルム特有の攻撃に防きれず、激しく吹っ飛ばされた。
デュラン「だが、ボクら闇の化身はキミらの様な外道どもよりも上だ。下等動物以下のケダモノが上位なるボクに敵う訳がない!!」
デュランはそう言うとガルムによってつけられた傷が徐々に回復していく所をガルムは見て、それを知った。デュランはこの世ではない存在だと確信した。
だがガルムは倒せない敵であっても、それでも戦意を絶やさずに大剣を構える。
ガルム「いくらてめえが死なねえ奴であっても、俺は諦めねえ…!!」
デュラン「強情で呆れるなぁ、いい加減くたばれば良いのに。」
ガルム「なあデュラン、てめえには知らねえ様だが、俺達黒狼隊はある物を最大の武器として戦っているんだ。わかるか?」
デュラン「ふん!知らないね!!どうせクソ犬らと同じ様に全てを力でねじ伏せて、いろんな物を奪って、挙句に女を犯す事しか無いクソの様な悪徳パワーなんだろ?」
ガルム「そんなくだらねえ事じゃねえ!!俺達の…黒狼隊の最大の武器は…!!!」
ガルムはそう言うと黒犬すらも黙らせれる程の鬼の様なオーラを放ち、デュランはそのオーラを受けるも戦意を絶やさず身構える。
ガルム「どんな絶望が襲われても、強く立ち向かう人間の真の心だぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」
ガルムは怒号と共にデュランに立ち向かっていく。
デュラン「くたばりぞこないクソ犬がぁ!!!調子に乗るんじゃねぇぇぇぇぇッ!!!!!!」
デュランも怒号と共にガルムに立ち向かい、二人は鍔迫り合いがギリリと競り合う。
エレオノーラ「ッ!!!」
「どうしたんだ!?エレオノーラ!!」
「急に立ち止まって、心配するぞ!!」
エレオノーラ「ガルム…!!」
ガルムとデュランが強大な鍔迫り合いの衝撃と共にエレオノーラは急に立ち止まった。近くにはゾンビや凶暴化したゴブリン達が近くにいる事を知るも、ガルムからのメッセージを感じた。
エレオノーラ「……………!!!」
「エレオノーラ!!早く動け!!さもなければ…!!」
ゴブリン「ギャギャア!!」
凶暴化したゴブリンがエレオノーラに取り掛かって襲い掛かろうとしたが、黒狼隊の弓兵がゴブリンを射抜いた。
「エレオノーラ…何ボーッとして…さっきのは危なかったぞ…!!」
エレオノーラ「……………っ!!はい…!!」
「エレオノーラ?」
エレオノーラ「………わかりました……!!みなさん!!この奉仕国家から脱出しましょう!!」
黒狼隊「ッ!!!!!!?」
エレオノーラの言葉を聞いた黒狼隊は戦慄の衝撃を受けた。
「アンタ正気か!?」
「ダンナやジェリックを見捨てる気なのか!?」
「いくらなんでも…!!」
エレオノーラ「えぇ…気持ちはわかりますが、これは負け戦だと、ガルムから聞きました…!」
エレオノーラはガルムからのメッセージを聞いた時、これは負け戦である事を確信していたのだ。確かにデュランがこの世ではない存在で、その戦闘力はこの奉仕国家、黒犬騎士団、そしてディレクにガルムすらも上回るほどの戦闘力を持っていた。だがガルムはこれが負け戦であろうとも、デュランにダメージを付け加える事は出来ると聞いた。
エレオノーラ「みなさん、この子だけでも連れて、この奉仕国家から脱出をしましょう!」
黒狼隊「………ッ!!」
レイア「あら、あそこにいるのは……」
ジェリック、ニコラとの戦闘を行っていたレイアは、黒狼隊とエレオノーラを見つけた。
レイア「あの女、かつて司教だったエレオノーラ…いや彼女ら逃げる気?でも!!逃げはしないわ!!!」
レイアは標的をエレオノーラ達を変えて襲い掛かってきた!!
エレオノーラ「ッ!!!」
エレオノーラは死を覚悟して目を瞑った!!!しかし!!
『エレオノーラ!!ここは俺達が止める!!』
『その間にこの奴隷の子と一緒に!!』
『どこでもいいから、早く逃げるんだ!!!』
レイア「黒狼隊…!!」
黒狼隊がレイアの攻撃を妨害し、エレオノーラは奴隷の子を抱え、馬小屋へ向かって行った。
『ジェリック!!俺達も最後まで付いていきまっせ!!』
ジェリック「み、みんな…!!」
デュラン「このくたばりぞこないクソ狼め…今度こそ最後だ…!!」
ガルム「…………ッ!!!」
デュランとの死闘を繰り広げたガルムはもう身体の限界まで近づいてきた。大剣は破壊され、ガルムはボロボロになりながらも力強く立ち上がった。
ガルム「俺の身体がくたばろうとも…最後の力でてめえを『ブォン!!』…!!」
ガルムは突然のフラッシュバックの様な光景を見た。そこには銀髪のイリスに似た少女の後ろ姿が見えた。
ガルム「おい、アンタは…!?」
ガルムはそう言うと少女は振り返り、顔もイリスに似ていた。すると彼女は己が持つ剣でデュランと対峙している光景が見えた。
ガルム「ッ………はっ!!」
ガルムは謎の光景から目を覚ます。今目の前にいるのは闇の化身…
ガルム「何がなんだが知らねえが、てめえはここで終わりだぁぁぁぁッ!!!!!!」
ガルムは最後の力を振り絞り、欠けた大剣をデュランを一刀両断しようと取り掛かった。
デュラン「このクソ狼がぁ!!とっととくたばりやがれッ!!!!」
デュランの怒りが籠った一撃が、ガルムに強く切り刻んだ。
そして何度も何度も何度も何度も何度も何度もガルムを切り刻み、ガルムは跡形も無く無惨な肉塊となって生き絶えた…。
ガルム(誰なのかは分からねえが…コイツを殺せるのを託したぜ…銀髪の女よ………!!)
その頃………
レイア「黒狼隊…しぶとくて嫌になったわ…」
レイアの手によって黒狼隊は壊滅し、友であるニコラを庇い、無惨な屍と化したジェリック。残されたのは子鹿の如く震えるニコラのみ…
ニコラ「ヒ、ヒィィィィ…(震)」
レイア「さて、この根暗な魔術師さんはどうしようかな?それより、でっちあげたホムンクルス達、あの司教さんを始末したんでしょうね…?」
『パカラッ!パカラッ!!パカラッ!!』
ホムンクルス・E「逃がさない!!」
ホムンクルス・B「逃がさないわ!!」
ホムンクルス・I「あの女を始末しろ!!」
エレオノーラ「くっ!!」
馬に乗って奉仕国家へ脱出したエレオノーラは、三体のホムンクルスにおわれていた。
エレオノーラ「このままでは私も含めて、この子もやられる…!!」
エレオノーラは必死に馬を走らせている時、目の前にゲートが現れた。
エレオノーラ「あれは………!!」
『ビシュウウン!!』
『ドゴォォォォォォン!!!』
馬「ヒヒィーン!!」
エレオノーラ「きゃあああああああ!!!」
エレオノーラはホムンクルスが放った魔法弾に直撃し、そのまま吹き飛ばされ、地面に転がった。エレオノーラは痛みを堪えて立ち上がると、目の前にはゲートが見えるが、もう既にホムンクルスに包囲されていた。
ホムンクルス達「………」
ホムンクルス達はエレオノーラに目かけて魔法を放とうとしたその時、エレオノーラは少女を放した。
エレオノーラ「せめて…貴方だけは…!!」
少女「…!!!」
少女は理解したのか、彼女一人だけゲートの所へ向かい、そのままゲートの中へ入り、エレオノーラはホムンクルス達が放った魔法を受け、散って逝った………
ホムンクルス「………!!」
ゲートが閉じる時、ホムンクルス達は奴隷の子を逃してしまったのか、悔しさを感じた。
『銀髪の女…アンタがあのデュランを打ち倒す存在かも知れん…見せてやれ…セレヌス大陸最後の女傑としての力を…!!!』
ゲートの中へ入り込んだ少女は、意識を失ったままゲートの中へ流れ着いて行った。
そしてその先に見える世界は………