Lily ~白百合の女騎士と呪われた淫欲と背徳の都~ 作:YU-GO
ジャック、バルト、そしてリリィの暴れっぷりにより、奉仕国家の歓楽街は大きく荒れ果てていた。残るのは無惨な死骸と化した魔物達と、多くの返り血を浴びた様々な建物…。
安全な場所に隠れていたクラリスは身震いを抑えながらジャック達の場所へと向かい、ジャック達はようやく団長らと交流する事が出来た。
ガレオン「見事な暴れっぷりやったな。ジャック。」
団長「さっきも言ったんだが、あんたらの暴れっぷりじゃ、奉仕国家の連中らもお手上げで即座に降参していたのかも知れねえなぁ…。」
バルト「そうだな。しかし、今思えば派手にやり過ぎたってのは自覚する。」
ジャック「そ、そうだな…って、ガレオンのおやっさん。」
ガレオン「なんや?」
ジャック「さっきから呆然と立っているあのおっさんは誰なんだ?」
ガレオン「あ、あのおっさん?アイツはな、奉仕国家に所属していたゲスな心を持った正真正銘のクズ商人や。名前はな…確か、ゲスイ・ゲイルやったっけな?」
ゲイル「ケイル・ゲイルですぞぉぉぉ!!!(泣)」
ガレオン「あ、ホンマにごめん。ケイル・ゲイルやったわ(笑)」
ジャック(出たぁ…おやっさんの悪徳イジリが…)
バルト(アイツ悪党対してのイジリや煽りが得意な奴だからな…(汗))
リリィ(………何この空気………)
団長(大体、コイツの挑発に乗られたワル共はコイツに返り討ちに遭うオチが出るんだよな…あの根暗魔術師と同じ様に…(汗))
ゲイルの号泣とガレオンの笑い声が響く歓楽街。するとクラリスは、歓楽街の先から誰かが来てるのを感じ取った。彼女が見たのは、ふらふらと彷徨うかの様に歩くダークエルフの少女だった。クラリスはそのままダークエルフの少女の側に近づいた。
クラリス「お姉ちゃん…どうしたの?」
ダークエルフの少女「ディレク様…ディレク様はどこに…?私を愛するディレク様ぁ…」
クラリス「お姉ちゃん辛そう…でも、お姉ちゃんの事を知ってる人は…………あっ。」
クラリスはダークエルフの少女を連れて、ガレオンにイジられ続けるゲイルに近づいた。この人はこの奉仕国家に元々いた人だから、もしかしたらこの少女の事を知っているかも知れない。
クラリス「あの…おじさん…。」
ゲイル「ほぇ…なんですか…?」
クラリス「このお姉ちゃんの事知ってる?」
ゲイル「あ、貴方は…ルカさんではありませんかぁ!?」
ガレオン「え?」
ジャック「ルカ?」
リリィ「ルカ!?」
奉仕国家・広場にて………。
バルト「ルカ、お前が求めているそのディレクとは一体何者なんだ?」
ガレオン「確か、あの根暗野郎が言っておったな。そのディレクっちゅう奴を。」
ルカ「ディレク様は…奴隷であった私を買い取られて、小姓として仕える事になり、生きる術を教え込まれた命の恩人なのです…」
団長「奴隷から解放されて、生きる術を教え込まれたとはな、幸せじゃねえか。」
ルカ「それ以降、自身の境遇を変えてくれたディレク様を崇拝し、騎士団の斥候として勤めていました…そして、この奉仕国家が全てを支配した時、私は永久にディレク様を愛していました…あの日までは…」
バルト「『あの日までは』?」
ルカが言った『あの日までは』に引っかかったジャック達。
『くくく…楽しい話はそこまでにしとくんだな。』
ジャック達「!!!!」
ガレオン「誰やぁ!?」
バルト「このドス黒い気…まさか!!」
ルカ「ディ…ディレク様!!」
ジャック達はディレクという名の男の声を聞いた瞬間に武器を取り出して警戒した。するとその時、噴水跡の上に黒雲が集まり、その中から黒い鎧を着た男が現れた。
そう、彼こそがこの奉仕国家を収める魔王『ディレク・ロンド』である。
ジャック「てめえがディレクか!!」
ディレク「いかにも、俺がディレクだ。歓楽街を好き放題に暴れ回った様だな。大した奴らだ。」
リリィ「ッ………!!」
ガレオン「こいつがおるだけで今にでも跪きそうになるで…このプレッシャーはマジもんのマジやで…!!」
ディレクから放つ気迫により、一瞬でも気抜いたら跪きそうなほどのプレッシャーがピリピリと感じる。
クラリス「あぁ、あ…!!」
ゲイル「私が知っているディレク様とは違います…冷酷で残忍、『この世の悪そのもの』の様な姿をしておりますぞ…(震)」
ルカ「ディレク様…本当にディレク様なのですか…?」
リリィ「ルカ!!迂闊に近寄っちゃダメ!!彼は貴方が知るディレクじゃ無いわ!!」
ディレク「ゲイル、ルカ、そして、リリィ。久しいなぁ…。この禍々しくも神々しい悪徳の光が照らすこの闇なる鎧を持ったこの俺を久しく出会った気分を…」
ゲイル「はい…とてつもなく魅力溢れる事でございます…!!」
ディレク「それは嬉しいぞゲイル。だが…」
ゲイル「だが?」
ディレクはそのまま地上に降り立ち、ゲイルにゆっくりと近づいた。ゲイルは主君であるディレクに見惚れたままだ。だが次の瞬間!!!
ガシイィィィッ!!!
ゲイル「ぐえぇ!?」
ディレクはそのままゲイルを鷲掴みした。
ゲイル「ディ、ディレク様…私は何か…失礼な事を言いましたかぁ…?」
ディレク「いや、そういう事ではない。貴様は…」
『贄トシテ選バレタノダカラナ…』
ジャック達「え!?」
ゲイル「贄?贄とはどういう事ですか…?」
ディレク「この国は欲望は不要。必要なのは悪意のある物。つまり貴様の悪を、我らが『闇』の為に全てを捧げる事だ。」
リリィ「まさか…ゲイルが贄となって…!!」
ゲイル「ディレク殿ぉぉぉ!!貴方はそういう事をしないはずですぞぉぉぉぉぉ!!!どうか我々が知っているディレク殿に戻ってくだされぇぇぇぇ!!!!!」
ゲイルは号泣と共にディレクに言葉を放ったのだが、ディレクはそのままゲイルを鎧の手の平から闇が放たれ、ゲイルは闇に貪り食われた。
ゲイル「ホギャアアアアァァァァァァァァ!!!!!!」
闇に貪り食われて行くゲイル。苦痛の果てにもがき苦しみ、そしてゲイルは…。
跡形も無く塵と化して消えていった…。
ディレク「お前も『闇』に選ばれたのだからな。光栄に思うが良い…クックックックック…。」
ゲイルが贄として跡形も無く消え去った光景を見たルカは、絶望した。
今近くにいる鎧の男は、自分が知っている『ディレク・ロンド』ではない事を…そして近くにいる鎧の男は、無惨にも変わり果てた奉仕国家を収める魔王である事を…。余りの恐ろしさにより、涙や失禁すらも流した。これも初めてだったという…。
ディレクはゲイルを贄として捧げた後、そのままルカの方へと向き、ゆっくりと近づいた。
ルカはもう動けない…目は虚ろな眼をしており、涙を流している…。
ディレク「ルカよ。安心するが良い。貴様が知るディレクも待っているぞ…闇の中でな…。」
ルカ「い、いやぁぁぁ…!!」
ディレクがルカを掴もうとしたその瞬間だった。
ジャギィィン!!
突如襲った一閃が、ディレクの腕を弾いたのだ。一閃に邪魔されたディレクの前には、リリィがいた。彼女は目の前にいる魔王に激しく睨み付けていた。
ディレク「貴様は確か俺の前で跪いた筈だが…?」
リリィ「霊界で『戦霊へと覚醒した姫将軍』に助けられたわ。」
ジャック「リ、リリィ…髪が赤いぞ…!?」
ジャック達が目にしたのは、普段は銀髪しているが、今では髪は紅く染まっているリリィだった。
ディレク「貴様…あの時の小娘に少しも似てきた様だな…」
リリィ「あの小娘…?」
ディレク「かつて俺達に刃向かい、俺との一騎打ちで敗れ、そして彼らによって、俺によって蹂躙されたあの小娘『イリス・アルケーディア』にな…」
リリィ「イリス…!!」
イリス・アルケーディア…。かつて神聖王国であるアウレリアの姫将軍であった者。剣を取っても軍を率いても、比類なき名称である。決して騎り高ぶることのない、民の為に心を砕く、情に満ちた人物であった。
奉仕国家に敗れ、陵辱の果てに快楽に身に委ねてしまい、闇に消える前に霊人達に助けられ、霊界の中で奉仕国家に敗れた者達と穢れた身と心を晴らしていたが、リリィの『奉仕国家との因縁を断ち切る思い』が強くシンクロし、戦士に憑依して力を与える戦霊として覚醒し、霊界から降り立ち、跪くリリィに憑依し、ディレクの気迫から振り払ったという。
そして、今のリリィの身体には、戦霊へと覚醒したイリスが宿っている。
ディレク「イリス…我々に陵辱されて、霊界へ誘われ、戦霊へと覚醒しようとも、所詮は敗れた小娘だ。」
イリス『それは大間違いよディレク。』
イリスは少し霊圧を放つと、ディレクの気迫によって呪縛に囚われたジャック達を解放させた。
ジャック「呪縛が解かれた!!」
ガレオン「リリィ、いや、イリスはん!!ホンマにマジで助かったで!!」
ディレク「霊界…霊人達め…厄介な物を生み出しやがって…だが、まぁいい、リリィ、そしてイリス。」
リリィ「何?」
ディレク「俺との決着はお預けにしてやろう。だが、戦霊へと覚醒したイリスを宿した貴様の実力を試す為に相応しい相手を用意した。」
イリス『実力を試す為に相応しい相手だと!?』
ディレク「まぁ、見れば分かる。やれ!!ラドミラァァァァ!!!」
ディレクの声と共に空からサキュバスの様なドラゴンが舞い降りて来た。闇によって魔竜へと変えられたティーフリング『ラドミラ』だった。
ディレク「リリィ!!戦霊を宿したのであれば、まずはこの魔竜を倒してみろぉぉぉ!!!!!」
ラドミラ(魔竜)『グガアアアァァァァ!!!!』
topics
魔王ディレク
奉仕国家の王として君臨したディレクが闇によって魔王となった姿。魔力が満ちた鎧を着ており、その性格は今までよりも冷酷かつ残忍な性格へと変わっている。
戦霊イリス
霊界で穢された身と心を晴らしていたイリスが、リリィの思いにシンクロして戦霊へと覚醒したイリス。以前よりも戦闘力が上昇しており、彼女に憑依された戦士は戦闘力が底上げすると言われている。
しかし、戦霊の力に振り回され、宿した戦士が自滅するリスクもある。
リリィ(イリス憑依時)
戦霊へと覚醒したイリスに憑依されたリリィ。銀髪だった髪は紅く染まっており、戦闘力が上昇している。