※この作品はR-18です。

アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO!   作:形のない者

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【開匣────《泥夜鷹(どろよだか)》】黒江

 

 朝方。地上に出た黒江は、見回りを終えて一旦戻ってきた凪と顔を合わせる。

 

「凪さん。突然ですが、お願いがあります……」

「?」

「これから魔女素材を回収したいんですが、一回死んだ手前、一人で歩くのが怖くて……だからその、警護してくれたらありがたいなーと……」

「……うん。いいよ」

「! ありがとうございます!」

「私のせいでひどい目に遭わせてしまったから、これはその謝罪みたいなもの。お礼はいらない」

「え……そんな、あれは別に凪さんのせいじゃ……」

 

 逃げ切れず、力なく、最後の最後に油断した自分が悪いのだ。そう言おうとした口を遮るようにどこかへ歩く凪は、壁に掛けられている大きな袋を持ってきた。

 

「これ、私が見回りしながら集めた素材。……あげる」

「……! もしかして、私のために集めてくれてたんですか?」

 

 凪はこくんと頷く。

 

「ありがとうございます……大事に使わせてもらいますね」

「でも、黒曜ランドにはまだまだ素材がたくさん落ちてる」

「じゃあ掃除しないとですね。行きましょう」

 

 そこで地下からフゥ太とイーピンが上がってきた。

 

「ねぇ黒江姉。僕たちも一緒に行っちゃダメ?」

「イーピン、おてつだいする!」

「二人とも……でも、危険だから待っててって言ったでしょ? 魔女素材も目に見えないんだし……」

「でもソウルジェムの欠片を集めることはできるよ!」

「イーピン、はなれたくない! ようじんぼう、黒江まもる!」

 

 フゥ太は上目遣いで懇願し、イーピンは守れなかった悔しさを挽回するため両手を合わせてお辞儀する。

 

「……やっぱりダメ」

「そんなぁ!」

「イーピン、つよい! いしのおまもり、もった!」

 

 凪のお腹に抱きつくフゥ太と、飛びつくイーピン。

 

「あぁもう……分かったから。一緒に行こう」

「やったー!」

「ばんざい!」

 

 潤んだ瞳はどこへやら。フゥ太は万歳し、イーピンも真似する。

 そうして黒江たちは凪に警護してもらいながら黒曜ランドを周回し、合成素材を集めていった。

 

          †

 

 太陽が頂点に昇る頃。

 昼休憩を取るため戻ってきた黒江たちは、そこで恭弥アーデルハイトと顔を合わせた。

 

「あっ……あなたは……たしか……恭弥さん?」

「やぁ。生きてたんだね」

 

 端正な顔立ち。野性味あふれる目付き。スタイル抜群の体。肩に羽織る学ラン。腕に巻いた風紀の紋章。孤高を信条とするため近寄りがたい雰囲気を感じるが、不思議と彼の周りには小動物が集まってくる。恭弥の指先に黄色い小鳥が留まり、頭の上にはハリネズミがあくびをしていた。

 

「あの……その子たちは……?」

「魔法動物だよ」

「────えっ?」

「ヒバードは違うけどね。頭の上の子はロールと呼んでいる。雲ハリネズミ……魔法界の呼び方だと闇ハリネズミになるのかな」

 

 魔法動物。初めて聞いた名称に黒江は目を丸くする。

 

「動物の中にも感情の昂ぶりが激しく、人間のように賢い子は一定数誕生する。そういったごく一部の動物とキュゥべえは契約を交わすことで即席の魔女を作るんだ。たとえば英雄譚に出てくる怪物は、大抵そういった魔法動物の成れの果てであることが多い」

「……! ……そんなことが……」

「まぁ一説には、知的生命体ではない存在と契約するキュゥべえは滅(・)多(・)に(・)い(・)な(・)い(・)らしいけど」

「……?」

「キュゥべえの中にも、いつものあ(・)い(・)つ(・)ら(・)と、狂(・)っ(・)た(・)個(・)体(・)がいるという話さ」

 

 恭弥は話に飽きてきたのかあくびして匣(ボックス)を取り出す。

 

「戻って、ロール。起きたのなら、お昼寝の時間は終わりだよ」

「キュー!」

 

 雲ハリネズミのロールは匣兵器の中に吸い込まれていく。

 それを目にした黒江はあっと驚いた。

 

「動物が……小さい箱の中に入った……? あの、それ……どうなってるんですか?」

「魔法動物封印器械さ。悪魔は匣兵器と呼んでいる。凪の《施術》魔法で、ただの小箱を器械に改造し、色々設定して、魔法動物を封じ込める仕組みを作る。あとは封印する魔法動物と合致する属性のエネルギーで収容したり開匣(かいこう)したりする。なんたって野生の魔法動物は魔女より厄介だからね。こうして檻に入れなきゃ一向に落ち着いてくれないんだ」

 

 野生で生きる魔法動物は、一変した世界に恐怖を感じ、必死に生きるため気性が荒くなりやすい。通常の天敵のほかに魔女や使い魔の相手をしなければならず、グリーフシードの使い方も知らないため、魔(・)物(・)化(・)す(・)る(・)の(・)は(・)最(・)短(・)だ。

 

 そういった魔法動物と偶然にも遭遇した場合、気性が荒いため話し合いはほぼ不可能で戦闘は避けられない。保護するためには一旦倒して匣兵器(檻)の中に収容し、グリーフシードを使ってソウルジェムを浄化させ、落ち着かせることで、一からじっくりと信頼関係を構築していく必要がある。

 

「……つまり恭弥さんは、魔法動物の保護をやってくれているんですね。動物……お好きなんですか?」

「そうだね。肉食動物は咬み殺したくなる。草食動物は群れるから嫌いだ。咬み殺したくなる。小動物も興味ないね。弱いから戦っても楽しくない」

「えっ」

 

 それはどういうふうに受け取れば良いのだろうかと黒江は混乱する。咬み殺すはよく分からないが、草食動物は嫌いと言っておきながら小動物のヒバードに向けているそれは涼やかな微笑である。ハッキリと口では言わないが小動物が好きなのだろうか。あるいは常識では測れないお方なのか。そう黒江は感じ取った。

 

「ところで凪。ちょっといいかい?」

「あ、はい……雲の人」

「結論から言うと、至急匣兵器を三つ用立ててほしい」

「何があったの?」

「水野むくの実家の軒先にツバメの巣が作られたけど、先日の抗争に巻き込まれて巣が落ちたらしい。おかげでツバメの子たちが死にかけてね。そこに突然キュゥべえが現れて契約を交わし、ツバメの子たちは雨属性の魔法動物になった。その場に居合わせた水野むくが全て倒して捕まえたそうだから、街の被害は最小限に抑えられたけど……そのあとはどうすればいいのかって僕に相談してきてね。三匹の魔法動物を球針態に閉じ込めて持ってきたんだ」

「そういうことなら……分かった。ちょっとまってて」

 

 凪は懐から小箱を取り出し《施術》魔法を掛ける。するとリングを嵌める孔が開いた青色の匣が完成した。

 次女の雲ハリネズミは球針態を解き、匣兵器に収納される。凪の両手の上にバタバタと落ちてきた三匹のツバメは苦しそうに喘いでいた。

 

「かなり穢れが蓄積しているね。流れ弾に当たって負傷したツバメもいると聞いた。魔法動物の願い事はシンプルなものが多い。この場合は《たすけて》とかかな」

 

 匣の中にツバメを収納する。恭弥はグリーフシードを取り出して匣に近付けると、ツバメたちの穢れを吸収した。

 

「名付けるなら雨燕(あめつばめ)かな。水野むくは大和、武蔵、小次郎と名付けたそうだけど。しばらくしてこの子たちが落ち着いたら水野むくが受け取りに来るだろう。じゃあね」

 

 それだけ言って恭弥は立ち去る。

 その時、森の中でフゥ太が叫んだ。

 

「黒江姉! こっち来て!」

 

 いつの間に後ろから居なくなっていたのか。切羽詰まった様子ではないが、急いでフゥ太の下に向かう。

 

「どうしたの?」

「森を歩いていたら鳥の死骸を見つけたんだ。怪我の仕方が普通じゃないから、きっと昨日の魔女結界に巻き込まれて死んだんだよ」

 

 フゥ太は指をさす。そこには落ち葉の色に混ざる暗褐色の小鳥が斃(たお)れていた。確かに背中に大きな傷がある。冬でもないのに雪のようなものが付いていた。明らかにコマドリの使い魔に切り裂かれた傷痕だと分かる。

 

「魔法少女のお墓のそばに、この子のお墓も立ててあげようよ」

 

 フゥ太は可哀想だと死んだ鳥を見つめる。

 

「……………………」

 

 それは黒江も同感だった。しかし思う。

 

(醜い姿だ。丸くなっていれば可愛いけど、口を開けば頬まで裂けている。毛並み模様も黒く穢れたようにまだらで、ずっと逃げていたせいか白いところが尾羽にしかない。足も小さくいびつに見える。でもどんな不安定な場所でもバ(・)ラ(・)ン(・)ス(・)良(・)く(・)立(・)て(・)る(・)。誰もその醜さを疑問に思わず、自分だけが肯定される世界に苦しんで果てた)

 

 黒江は死骸の前にしゃがみこむ。その中では良くないものが渦巻いている。

 

(────この子は……私だ。私も昨日、同じ魔女結界で死んだ。必死に生き足掻こうとしたけど無理だった。私は大きな口で頭を喰われたけど、あなたは強力な鉤爪で引き裂かれた。私たちは、自分の足りない部分のせいで死んだんだ。上位互換には勝てないから)

 

 私は誰になればいい。誰かになっても上がいる。自分はあるけど半分ない。その無い部分を補うパーツが欲しかった。

 

「儚いね。命って」

 

 黒江のリングが鳴動し、雨の炎を灯す。

 

「なんて言う鳥なのかな」

「……夜鷹っぽいけど……」

「そう。あなたも名前が一つしかないんだね」

 

 黒江は夜鷹を手のひらで救い、雨の炎で傷口からドロリとこぼれる凝血を鎮静化し、内臓を押しとどめる。

 

「……黒江姉?」

 

 フゥ太の声は、もう耳に入らない。

 

「ほんの一瞬でもいい。閃光のように……最期くらいは眩しく燃えて、爆発するように自分を叫んで……生きた証を知らしめたい。私は黒江。それならあなたは? あなたは────誰の影を追いかけて、こんなところで野垂れ死んだの?」

 

 黒江の心臓が高鳴る。禁忌は疾うにリングという形で犯している。いまさら罪の数が増えたところで減るものがない。成功するかは賭けだが、匣兵器。なるほど。良い武器になりそうだ。

 

「でも知りたいの。教えて。あなたに許してもらわないと、私はこんなひどいことできない」

「……………………」

「あなたは、たとえ自分がどうなっても生きたいと思う? それについて誰からも糾弾されない現実に身を置きたいと思う?」

「…………………………………………」

 

 否定者がいない世界はすごく怖い。何をしても周りはそれを受け入れて前向きな言葉を吐いてくる。

 誰も彼もが肯定ばかり。自分の存在を認めてしまい、自分の行い(過程)や結果にはさほど頓着しない。

 ならばそれは自分(黒江)である必要がないのでは?

 誰も彼もが自分しか見ない。黒江という人間性を査定しない。

 

 ────せ、先生はね、あなたの考えを否定したいわけじゃないのよ?

 

 ちがう。違う違う違う。そうじゃない。否定してほしいわけではないけど、否定できないのは間違ってる。あなたは魔法に掛かっている。黒(・)江(・)を(・)必(・)ず(・)否(・)定(・)し(・)な(・)い(・)という恐ろしい魔法に掛けられている。

 

 間違ってる自分を────みんなから理解してもらわないと、私には価値がないんでしょうか?

 

 そんな魔法に掛けられた世界で生きている自分は“本物”にはなれない。きちんと公正で中立でズルがない世界に身を置きたい。厳格すぎるのも考えものだけど、自分の成したことが正(・)し(・)く(・)評(・)価(・)さ(・)れ(・)る(・)世界に身を置きたい。それはもう不可能な望みだけど、せめて正しく生きていたいと強く深く望んでいる。

 

「あなたは……自分が自分でなくなるのと引き換えに、自分の存在価値を無条件で認められたい?」

「……………………………………………………………………………………」

「無言……ってことは、了解を意味するのかな……そもそも死人に口なしだけど……でもそれなら“存在肯定の呪い”には掛けられていないってことで……いいんだよね? まぁ結局、肯定はされていなくても否定もされていないから、呪いに関してはグレーゾーンだけど……」

 

 雨の炎が夜鷹の体に燃え移る。それを地下施設に持っていき、テーブルの上にそっと寝かせた黒江はアルケミーキットを取り出した。

 

「フゥ太。イーピンを連れて、ちょっとあっち行ってて」

「……! ねぇ……黒江姉……まさかとは思うけど……」

「あ、それと。凪さんから一つだけ匣兵器をくれないか聞いてくれない? なければこっちで用意するけど、設定とか色々と分からないから、できれば凪さんの匣兵器が欲しいんだよね」

「────、……うん。わかったよ……」

 

 フゥ太は何も言わずイーピンを連れて凪のところに向かう。

 

(吐き気がする。悪魔さんなら《叛逆》魔法のおかげで、ちゃんと私を見(叱っ)てくれるのかな……?)

 

 それでも最終的に許すのだろう。それが黒江の業であるのだから。

 

 夜鷹の死体をアルケミーポッドに投入する。

 

「黒江姉、空っぽの匣兵器を貰ってきたよ。でも凪姉が言ってた。属性の設定はしなくてもいいのかって」

「それはこっちでするから大丈夫」

 

 匣兵器を投入。アルケミーブックには死炎系匣兵器と魔法系匣兵器どちらを作るのか問いかけるように記されている。もちろんイメージするのは魔法動物と死炎系匣兵器の中間。死者蘇生といえば仰々しいが、どちらかといえば機械仕掛けの動物兵器を想像している。

 

 そしてイメージする属性は霧……しかし《無魂石の欠片》は希少で数が少ない。よって仕方なく《水魂石の欠片》と、数が多い《闇魂石の欠片》を投入した。具体的な投入数は、ソウルジェム一個分の体積と密度。

 

(ソウルジェムの欠片を混ぜ合わせてソウルジェムを合成する……でも夜鷹の人格の方を大切にしたいから、出来上がったソウルジェムに宿る数人の魂は鎮静効果で鎮めておく。するとソウルジェムはただの魔力炉になる。また、アルケミーブックを確認すると、夜鷹は背中を引き裂かれた時に大量の臓物を撒き散らして中身が空っぽになっている。心臓も見当たらない。少なくとも心臓の代わりになるような代物が必要だ。でないと蘇生できない。だから心臓をソウルジェムにする予定だけど……はたしてそううまく行くかどうか……)

 

 勢いから始めた合成だが、黒江の集中力は凄まじく、我が事のように想像力はハッキリと定まっている。合成したいものが明確であればあるほど、合成の成功率は向上する。パズルで例えるなら、合成はピースの数が多ければ多いほど成功率が高い。合成難易度が高いほどピースの数は多くなるが、自前の想像力(スキル)が優れているほど、ある程度の欠落した部分(ピース)は憶測で埋めることができる。

 

 かくして黒江は寝食を忘れて十数時間、合成に情熱を費やした。何度失敗しかけたか分からない。だがそのたび生きたい気持ちが共鳴するかのように、ポッドの中にいる夜鷹が息を吹き返しかけた。

 

 やがて死体から衰弱に変遷した夜鷹が身じろぎを始める。合成という名の魔法を使えば死者蘇生もお手の物。魔力による再生となんら変わらない原理で、首を繋いで生き返った黒江のように、夜鷹は背中に大きな傷跡を残したまま生き返った。

 

(……あとは、ポッドの中にある匣兵器を、夜鷹と合成するだけ……なんだけど)

 

 黒江は我に返る。私利私欲のために夜鷹を兵器として改造していいのか。このまま野生に返すべきでは。それでも武器が欲しい。身を守れる武器を。ならば別の方法を考えればいい。

 

(何を迷う必要がある)

(────え?)

 

 不意に頭の中で響く鷹揚(おうよう)とした声。見知らぬ声の正体は誰なのかと黒江は辺りを見回すが、凪もフゥ太もイーピンもぐっすりと寝ており、それ以外の気配はどこにもない。

 

(涙が止まらない。多くの少女の怨嗟が残留し、総身に痛みが走る。叫びが止まらない。羽は重い泥に塗れて身動き一つ取れず、自他を縛りつける。いくら存在肯定に叛逆しようが、貴様の行動は全て無為(むい)だ。誰かの光にはなれず、理想の星には届かない。むしろ漆黒の星となり、怠惰な暗黒に沈むのが関の山だろう)

 

 夜鷹の心臓もとい模造ソウルジェムから紺色(こんいろ)の死ぬ気の炎が灯り、夜鷹の全身が泥臭く燃え上がる。

 

 それは泥(・)の(・)炎(・)。雨と雲と霧の三要素──加えて“原罪:生存欲”と“存在肯定の呪い”と“逃避感情”の三要素──が混合した結果誕生した、唯一無二の死ぬ気の炎。

 

 死炎合成技術が体系化されるのは今から数百年後の話だが、太古の昔から例外的な死ぬ気の炎・亜種の死炎を発現する超戦士は少なからずいた。

 

(我の声は貴様の声。我は主(あるじ)を肯定する。自らの正体は二の次だ。まずは生きろ。醜くもがき、泥臭く足掻き、ただ生きるのではなく、何かを成し遂げよ。そのために禁忌に手を染めた。そうだ────私は────)

 

 泥の炎を灯す夜鷹と匣兵器を合成する。

 数分後、それはアルケミーポッドの中から飛び出てきた。

 

「────」

 

 雨と雲と霧の炎を灯し、三個のリングを匣兵器に注入する。

 

「開匣────《泥夜鷹(どろよだか)》……あるいは《三天候夜鷹》……」

 

 黒泥(こくでい)の醜体(しゅうたい)。紺色に燃え上がる夜鷹が脚を付けた場所は茶色いテーブル。すると夜鷹の全身が茶色く移り変わり見えにくくなって擬態(ぎたい)を完了した。また、三つの死炎属性を同時に注入されたにも関わらず、特に問題なく動けていることから、泥夜鷹の死炎操作の安定性の高さが窺える。

 

 そこで黒江はアルケミーブックを見やる。

 

 泥の炎。その基本性質は鈍化。その熟練性質は無為。

 泥夜鷹。その能力は擬態。ソウルジェムの欠片を合成した模造心臓によって生きている。黒江という人間の野性的分身体(ドッペル・アニマル)。

 

「……よろしくね……」

「キシキシッ」

 

 夜鷹は翼を羽ばたかせて応える。ではさっきの声はなんだったのだろうかと黒江は考えつつ、長時間の集中により疲れ切った体をソファに寝かせてまぶたを閉じた。

 

          †

 

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