アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO! 作:形のない者
時は遡り。魔翼要塞の研究所では、里見灯花と柊ねむがカルテとにらみ合っていた。
マギウスの情報収集は他市にまで及んでおり、あすなろ市におけるプレイアデス聖団の一連の事件も把握していた。マギウスの調査団を使ってプレイアデス聖団の箱庭で起きた顛末を調べ上げた里見灯花は、魔女の肉で魔法少女級の人造人間を創造する技術を盗むため、その成功例である昴かずみを拉致監禁。記憶ミュージアムで昴かずみの
────行き過ぎた科学は魔法と見分けが付かない。
それはとあるSF作家(アーサー・C・クラーク)の名言である。
そこから着想を得た里見灯花は応用を開始。昴かずみのドッペルから肉を切り取り、その肉から人造魔法少女を創造することに成功した。現代の科学で例えるなら、これはクローン人間を創造するようなものである。
人造魔法少女1号、スバミ。
それの完成に加え、さらに里見灯花と柊ねむは自らのドッペルからも肉片をもぎ取り培養。自らの手足となる存在を創造した。
人造魔法少女2号、サトカ。
人造魔法少女3号、ヒーム。
ところで、なぜ彼女たちは人造魔法少女を創造するのか。それは近い将来に台頭する“魔法少女至上主義”を世に知らしめるためだ。その布石のため。その位階を成り立たせて証明するため。
この宇宙でトップに立つ第一位の存在は当然、魔法少女。
第二位は魔法少女の
第三位は人間。地球上おそらく初となる知的生命体の家畜化。人間は犬や猫といった動物と平等に扱われる。平等は非差別的で素晴らしい行ないだ。故に魔法少女至上主義は、とても理にかなった思想革命なのである。
要塞の窓辺から見下ろす地平線と水平線から朝日が昇る手前頃。人造魔法少女1号スバミが生まれた培養基が、高度な魔力反応と共に打ち破られた。緑色の液体とガラスが散らばり、スバミは覚醒する。頭痛。記憶の混濁。スバミは、自分の名前が「昴かずみ」であること。そして魔法関係の知識しか覚えていないことに困惑する。記憶喪失。
「おやおや。ようやくのお目覚めか」
「おはよう奴隷さん。わたくしの手下として、使い魔として、召使として、これから精一杯、働いてくださいな」
柊ねむと里見灯花が現れる。彼女たちの言い分は、到底スバミには受け入れ
「トーゼン、そんなデタラメな話、言うこと聞くワケナイヨネ」
「アリナの言う通りだ」
「それじゃあ
スバミもとい昴かずみは黒いトランクに詰め込まれた。三巨頭は研究所から記憶ミュージアムのある場所に運んでくれと黒羽根に運搬を任せる。しかし黒羽根は道中、歩道橋の上でうっかりコケてしまい、トランクを道路の上に落としてしまった。走行する自動車の中で、ひときわ大きなトラックの天上に落っこちたトラックは新西区の方面に向かっていく。
「あわわ……やっちゃった……どうしよう……」
とにもかくにも追いかけるしかない。黒羽根は急いで追跡を開始。やがてトラックは新西区の危険区域に侵入した。危険区域とは、マギウスが設定した危険地帯であり、そこには近付くなというお触れが出ている。理由は分からない。強い魔女がいるのか、マギウスの翼と敵対する勢力がいるのか、そんなうわさも流れている。
黒羽根は意を決して危険地帯に足を踏み入れた。もしもの時はドッペルでどうにかなる。そうして前方のトラックは停車した。停車時の勢いでトランクが滑り、地面に落ちる。黒羽根は中身を知らされていないため、もし割れ物だったらどうしようと右往左往する。トラックは引越し業者のようで、立派な邸宅に荷物を運び、そそくさと退散。魔力パターンが尋常でないくらい多いため、気軽には近付けない。その上、多くの魔法少女が荷物を運んでいるため、その近くに行けば自分が黒羽根であることが一発でバレてしまう。そうして取りに行くか否かを決めかねているうちに、茶髪橙眼の少年がトランクを家の中に持って行ってしまった。
「あっ……ど、どうしよう……マジでどうしよう……」
黒羽根の背筋に冷や汗が流れる。怒られるのは承知でありのままを報告するしかない。だけど言い逃れできるならそうしたい。ともかく黒羽根は危険地帯から足早に撤退した。
†
朝方。インターホンのチャイムが鳴り響く。みかづき荘の手前に一台のトラックが停車。荷台の側面に描かれた文字を見るに引越し業者のようだ。社名はマイナー。どうやら安物の業者らしい。荷物を玄関先に置いてもらうだけの契約なのか、せっせと運転手と助手席の人間が荷台からダンボール箱や家具を外に運び、全てみかづき荘の門扉と玄関の間の庭に置いていくと、帽子を下げてお辞儀して大声で挨拶。書類にサインをもらい、トラックに乗り込んで超特急で去っていった。
「よし、うい。これ全部部屋に運んで、模様替え……がんばろっか!」
「うん! さっきの引越し業者さんはぜえぜえって疲れてたけど、わたしたち魔法少女の力なら楽勝だよね!」
重い荷物を軽々と持ち上げて、環姉妹は二階の一室に運んでいく。
「ほむらちゃん。私たちも手伝おっか!」
「そうだね、まどか」
鹿目まどかと暁美ほむらはダンボールを手に持つ。
それに由比鶴乃も加わり、七海やちよは階段が一番危ないためそこに陣取り荷運びを監督する。
「ランボ。なぎさと一緒に公園に行くのです」
「なに!? こうえん!? いくいくー! ランボさんかけっこしたいもんね! 一等賞なんだもんね!」
「イーピンもいく!」
「うーん……僕も行こうかな?」
百江なぎさとフゥ太は、暴れん坊のランボとはしゃぐイーピンを連れて近場の公園に向かう。
そこで七海やちよと悪魔が話す。
「なぎさ、サボったわけじゃないわよね」
「それもあるが同時に空気を読んだんだろう。ランボがいると、いろはとういの部屋が荒らされるかもしれないからな。フゥ太もなぎさ一人じゃ、ランボを抑えられないと踏んで付いて行ったんだろう」
「そう……意外と考えているのね」
悪魔は庭に出る。そこには凪がいた。
「ボス。これ運ぶの?」
「あぁ。手伝ってくれるか?」
凪はこくんと頷く。世話になっているのだから、という心を直感する。
「……でも、私が持って行くと迷惑じゃないかな……」
「そんなことないさ。逆に感謝されるよ。勇気を出して試してみるといい。みんな隼人やむくみたいにイイ奴らさ」
「……うん」
凪は包みを持って運んでいく。
そこで悪魔は門扉の先に落ちている黒いトランクが気になった。
「?」
もしや業者が庭の中に運び入れる際に落としたのだろうか。作業が荒く慌ただしかったのもあり、注意が疎かになっていた可能性もある。みかづき荘の前に落ちているのだから、まさかたまたま誰かの落し物という可能性も低い。
「一応持っていくか」
黒いトランクを手に持つ。するとその重量に悪魔は驚いた。
(なんだこれ……めちゃくちゃ重いぞ。魔法少女なら軽々と行けるが……オレは雲の増殖で筋肉倍加しないと、少しキツイな……)
悪魔は引きずるように運ぶ。だがそれではトランクも地面も傷付けてしまう。どうしたものかと考えて直感した運び方は、トランクを背負うように背中で支え、取っ手を支える両手を後ろ首で交差させることでバランスを取りつつ持ち運ぶというもの。
(トランクの中に重心が見当たらない……水の入った袋を運んでいるような感じだ。少しぐらつくと一気に体が持っていかれる。いったい何が入っているんだ……?)
悪魔が一個のトランクを運ぶのに手こずっている間、魔法少女たちは力技であっという間に荷物を運び終えた。
「ふぅ! あとは荷物をほどいて家具の配置を決めるだけだね。うい」
「うん。でも前の家と変わらなくていいんじゃないかな? 扉から左側はおねえちゃんで、右側はわたし!」
「そうだね。でもベッドは真ん中にしよう」
「え、なんで? そういえば家のベッドは持ってこなかったよね? もしかして……」
「そうなの! お姉ちゃん大きなベッドを新しく買ったんだ! キングサイズのベッド! これでお姉ちゃん、ういと一緒に寝られるね……!」
およそ三人は寝られる巨大寝台を部屋の中心に置く。
「本当だ。すごく大きいね! これなら万年桜さんやリリスとも一緒に寝られそう!」ういは素敵だねと両手を合わせる。
「│私? 私はいろはとういと灯火とねむと寝られるのなら、それで幸せ│」
「モッキュ」
「そうだね。いつかそうなれるといいね、万年桜さん!」いろははにこやかに微笑む。
環いろはは鼻息を荒くして目を見開き興奮している。おそらく妹と同じベッドで寝るのが夢だったのだろう。
「でも部屋に荷物を運ぶのでちょっと疲れたね。少し休んでから荷解きを始めようか?」
「そうだね。お姉ちゃん」
環姉妹は一旦リビングに戻り、水を飲んで一息つく。
その頃、階段を上がってようやく環姉妹の部屋に着いた悪魔は、ほかの魔法少女に頼めば早かったと後悔しつつトランクを床に置く。
「ふぅ……さて、これからアリナの所にでも行くか……」
悪魔は踵を返す。直後、背後から物音がした。
「────?」
振り返ると、また物音。今度は目撃した。トランクが跳ねた。ガタガタと動いている。まさか中に誰か入っているのか。
鍵を開ける。すると勢いよくトランクが開かれて────
「!」
────全裸の少女が立ち上がり、目をぱちくりとさせていた。
黒髪赤眼。一本の長いアホ毛がくるんと渦を巻く。後ろ髪は長く足首まで伸びており、生まれ立てのようなきれいな肌をしている。
「それじゃあ休憩もしたし、張り切って家具の配置をしようか!」
「うん!」
「│私も手伝う│」
「モッキュ!」
ちょうどそこに環姉妹たちの声。開かれる扉。
悪魔は困ったように腕を組むと、とりあえず全裸少女と扉の対角線から距離を取った。挟撃を避けるためである。
「────えっ?」
環いろはと謎の全裸少女の目と目が合う。
その中間に立つ悪魔は、これはいったいどういうことなのかと頭を悩ませていた。
「へ? ちょ、なっ……!? なんで私とういだけの部屋に全裸の女の子を連れ込んでいるんですか悪魔さんっ!?」
「なんでオレが怒られるんだ。……オレはトランクを運んだだけだぞ」
「わけがわかりません!?」
「門扉の外にトランクが落ちていたんだ。あの業者、作業が荒かったろ。だからてっきり落としたのかと思って、いろはかういのトランクだろうと思って持ってきたんだ。しかし急にトランクから人の気配がしたから開けてみたら、これだ。オレも何がなんだかさっぱり分からん」
「トランクって……その黒いトランクですか? そんなもの知りません! 私のでも、ういのでもないですっ!」
そこで環ういが言った。
「そ、それよりお姉ちゃん。服を着せてあげようよ!
「────! そ、そうだね……すみません、えっとたしか衣類のダンボールは……。──悪魔さんは出て行ってください!」
全裸の少女に気を遣えという事だろう。しかし外敵かもしれない以上、油断している環姉妹を放ってはおけない。
「敵かもしれない。後ろを向いてればいいだろ。リリス、やちよを呼んで来い」
「モキュ!」
リリスはとたとたと走って階段を駆け下りる。「モキュー!」と七海やちよを呼び掛けると、そのまま階段を駆け上がってきた。
「なに? リリスに呼ばれてきたけど……って、え?」
「謎の来客だ。精神年齢はゼロ歳のようでもあり年頃のようでもある。よく分からない存在だ。どう思う?」
「いやまずなんで全裸?」
「知らん。もしかするとオレが拾ったトランクは、たまたまそこに落ちていた誰かのトランクだったのかもな。かといって警察に届ける気はないが。なぜならこれは明らかに魔法事件だ。マギウス関係かも知れないから警戒はしておけ」
環いろはは自分の私服を取り出すと「と、とりあえずこれを着てください!」と謎の全裸少女に手渡す。
全裸少女はまじまじと服なるものを見つめていると、本能的にどうやって袖を通せばいいのか分かったのか、まるで初めて服を着るような不器用さで、しかしきちんと着替えることができた。
「こ、これでよし……悪魔さん、こっち向いてもいいですよ」
「今日はよく裸が見られる日だな」
見られもしたし、見る羽目にもなった。そんな冗談をつぶやいて振り返る悪魔は、まず名を問う。
「お前、名前は? 知る限りの素性を明かしてほしい。オレは悪魔だ」
「……悪魔? 不思議な名前だね。私は……昴かずみ。それしか覚えてない……」
その言葉に環姉妹と七海やちよは目を見張る。
「心に抜け穴が多いとは直感していたが、やはり記憶喪失か。だが妙な違和感がある……本当にただの記憶喪失か? 生まれたてに近い感じがするぞ」
「……それは……たぶん私が……
「────なんだって?」
騒ぎを聞きつけて他の魔法少女が集まる。そこで七海やちよが手を叩いた。
「とりあえず話は下でしましょう。昴かずみさん……だったわね? 体調に異変はない? お腹とか空いてないかしら」
ふと昴かずみのお腹がぎゅるると鳴る。
「そう。朝食のあまりで悪いけど、それでいいなら振る舞うわ。付いて来て」
七海やちよは、青椒肉絲の魔法少女と名乗る昴かずみを連れて一階に下りる。
そうしてみかづき荘の一同は突然の来訪者に驚きつつ居間に集まるのだった。
†
食卓にて。昴かずみは貪り食うように朝食を平らげていた。
そして第一発見者である悪魔は、周りから説明を求められる。
「昴かずみについて聞く前に言っておく。オレはスタンド攻撃をほんのちょっぴり受けた気分だ。いや、受けたというよりは、まったく理解の範疇を超えていたんだが……ともかく、ありのままいま起こったことを話すぜ。“オレはトランクを持ってきたら中から全裸の女の子が現れた”……何を言っているのか分からないとは思うが、オレも何が起きているのか分からなかった。羞恥心で頭がどうにかなりそうだった……女を連れ込むとか女を召喚したとか、そんなチンケなもんじゃあ断じてないぜ。それはまるでビーフストロガノフのようなコクのある事件だった」
「などと手くせの悪いねずみ男のようなことを供述しており……なのです。どうせならチーズを連れ込むのですチーズを……」
悪魔の弁解に百江なぎさは呆れ返る。
そんな冗談はさておき。環いろはが問いかける。
「あの……かずみさん。どうしてトランクの中に……?」
「えっと……三人の魔法少女に襲われて……トランクに詰められたんです……」
「なんで詰められたんですか?」
「それは……目が覚めたら裸で、緑の液体とガラスが散らばってて……薄暗い部屋で……研究所みたいなところで……」
昴かずみは見たまま聞いたままのことを思い出すように打ち明ける。
「魔法少女は一番だとか、
「トランクに詰め込まれたと……」
「うん。それでどこかに運ばれていたんだけど、だんだん眠くなっちゃって……」
「眠く……!? な、なかなか豪胆ですね……」
「えへへ。なんか体がすごく疲れちゃってて……初めて歩いたからかな? ちょっと体を動かしただけで、なんか脱力しちゃって……」
昴かずみは両手を合わせてご馳走様と七海やちよに会釈すると、満足げに「ふぅ」と一息ついてお腹をさする。
「あ、それで……急に大きな衝撃がして、車が走るような音がして……ガタガタしたらまた衝撃があって……しばらくしたら、ゆさゆさと運ばれるような感じがして……そしたら男の人の声が聞こえたから、もしかしたら出してもらうチャンスかもしれないと思って一生懸命、暴れたら……」
「オレが鍵を開けたことで、君は脱出できたと」
「はい! 悪魔さん? のおかげで助かりました! ありがとうございます! ……でもちょっと、いやかなり恥ずかしかったですけど……」
「真っ裸でしたもんね……」
困ったように笑う昴かずみと環いろは。
そこで七海やちよが問いかける。
「あなた、魔法少女と言ったわよね。それ、あなたをトランクに詰め込んだ三人が言っていたの?」
「はい」
「でもあなた……魔力は感じるけど……ソウルジェムから発せられる魔力パターンが皆無よ。ちょっとソウルジェムを見せてくれない?」
「え? えっと……これのことですか……?」
昴かずみは指に嵌めていたシルバーリングをソウルジェムに変身させる。それは薄い紫色のソウルジェム。
「────待て。おかしいぞ。お前からは大空……じゃない。魔属性の波動を感じる。闇属性の魔法少女ではないだろ」
「?」
「魔力属性を知らないのね。私も別の違和感を覚えたわ。やっぱりこれ普通のソウルジェムじゃない……」
「まるで造られたかのような……だろ? 超直感でも、魂の在り方に微細な変動が見受けれる。正直これは……魔女に近い」
悪魔の発言に一同は驚く。
そこで百江なぎさが可能性を指摘した。
「魔法少女に化けた魔女という可能性は?」
「だったら高度すぎるな。(魔女になっても生前の)意識が残るレベルの存在でなければ、人間に化けるのは不可能だろう」
「……あ、えっと……隠さなくても大丈夫です。魔法少女が魔女になるのは、知識として知っているので……」
「それなら話は早いのです。お前はこれから要監視対象なのですよ。つまりクマ吉となぎさの仲間入りなのです」
なぎさはお近づきの印にチーズそばを振る舞う。それを生のまま食べた昴かずみはお礼を言った。
「……悪魔。あなたが見つけたんだからあなたが面倒を見なさい」
「なぜオレに振る。監視対象が監視対象を監視するとか意味あるのか?」
「彼女は記憶がない。青椒肉絲の魔法少女というのは、さっぱりわけがわからないけど……なんにせよ記憶喪失なら思い出す方法を探すためにも街に出た方がいいわ」
「答えになってないぞ。面倒事に巻き込まれたくないのか?」
「違うわ。今日は仕事があるの。それにあなた、どうせ今日もブラブラと街を散歩するんでしょ? なら連れて行きなさい。別にあなたの最近の活躍を評価・信頼して、ということではないわ。彼女はマギウス関連の疑いがある。それは
「要は危険物はいろはたちにではなく、オレに押し付けるってわけか。まぁ一理ある。同感だ」
悪魔は席を立つ。
そこで環いろはが聞いた。
「ところでやちよさん。お仕事って何をやっているんですか?」
「モデル業よ」
一拍の間を置いたあと、環いろは・鹿目まどか・暁美ほむらが声に出して驚く。
『えぇっ!?』
「な、なに? そんなに意外だったかしら……」
「いえ、違います! やちよさん綺麗ですから……」
「そういえば雑誌で見たことあるかも……」
「驚きました……なんか、かっこいいです!」
わいのわいのと盛り上がる中、悪魔は昴かずみに目配せして、みかづき荘を後にする。
「というわけだ。自分探しの旅に出るなら付き合うが、どうする? かくいうオレも行く場所があってな。保護を頼まれた以上、特にやりたいことがなくても付いて来てもらう必要があるんだが」
「それでいいよ。私も色々と驚きの連続で……正直なにをどうすればいいのか、まったく分からないから……」
知識はあっても経験は皆無。そんな昴かずみを連れて、悪魔は神浜散策を開始した。
†