※この作品はR-18です。

アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO!   作:形のない者

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略叙形式



4月25日【これで────あなたは元に戻る!】八雲みたま

 

 地平線から太陽が昇りきった頃。北養区の山頂から位相を異ならせる亜空間・万年桜のウワサ空間にて。ソウルセルゲームの挑戦者が集う。

 

 環いろは、環うい、万年桜、リリス。

 七海やちよ、由比鶴乃。

 鹿目まどか、暁美ほむら。

 黒江、フゥ太、イーピン、凪。

 そしてランボを頭に乗せた悪魔がウワサ空間に立ち入り、巨木の前に広がる正四角形の闘技場(リング)は四方に柱を立て、その中心点で仁王立つ人造魔法少女1号・完全体スバミが目に映る。

 

「ようこそ。有象無象のチャレンジャー。待ちくたびれたぞ。……はて? これから死にゆく者とは思えないほど目に気合が宿っているが……まさか、このわたしに勝てると本気で思っているのかな?」

 

 不敵な笑みを浮かべる漆黒の魔法怪人。彼女は環いろはを始めとする魔法少女の“なぜ”という問いかけに一切応じず、ただ自らの生きる理由を懸けて決闘を申し込む。

 

「問答無用。大切な言葉は既に持っている。進化が欲しければ力尽くで押し通せ!」

 

 スバミの怒号により空気が痺れる。ピシャリと声音が鳴り止むと、自信に満ちた悠然たる声が静寂を引き裂く。

 

「ルールは単純明快。わたしと代表選手のタイマン勝負だ。代表選手が負けたら次の代表選手と交代する。いくらわたしでもたくさん試合をすれば疲れるかもしれないからね……そこを狙ってくるがいい。敗北条件は、棄権するか、リングの外に体の一部が付いてしまったら負けとなる。あと一応、手加減はするが……手が滑って殺されても当然負けだ……。そして代表選手がいなくなれば、わたしの勝ちとし……世界中すべての魔法少女を吸収する。なお、人類とインキュベーターの扱いは、まだ決めていない。ただ面白いことになるとは約束しておこうか……。また、細かいルールについてはその都度一緒に決めていこう。さらにルールの穴を突いた戦い方も、寛大な心で許すと前もって言っておこう。ただ、あまりこずるいやり方だと堪忍袋の緒が切れて何をしでかすか分からないぞ……? 故に諸君の良心を信じる……」

『……っ』

 

 魔法少女たちは息を呑む。あまりにも泰然自若とした立ち居振る舞いは、真の強者としての貫禄を醸し出している。

 

「……あぁそうそう。ひとつ忘れていた。君たちが勝利した場合のことも、ありえないが、一応決めておいた。優勝賞品は二点。マギウスの研究所から救い出してきた《昴かずみ》と、一夜で集め切った《グリーフシード百個分》だ……素直に喜べよ。お前たちにとって手間が省けたんだからな……そしてさぁらぁに! わたしに勝てば一生奴隷としてなんでも言うことを聞いてやる……」

 

 強気な発現から分かる通り、負ける気は毛頭ないようだ。巨木の傍らに背中を預ける昴かずみは気を失っている。その手前には大きな箱があり、どっさりとグリーフシードが溢れんばかりに入っている。

 

 その時、赤い魔法少女と緑色の幼女の声が響いた。

 

「へぇ~。顔も知らねぇ女の子は要らないが、グリーフシードが手に入るってのはイイ条件だね……」

「キョーコとゆま、電撃参戦!」

 

 悪魔たちの前に佐倉杏子と千歳ゆまが降り立つ。ずっと尾行していたのだろうか。

 

「佐倉さん!」環いろはが驚く。

「昨夜の半端ないデカさの騒音念話を聞いてね。あんたらなら何か知ってんじゃないかと尾(つ)けていたんだがドンピシャだ。最初は様子を見るだけで手出しする気はなかったが、優勝賞品を聞いて気が変わったよ。あたしも参加させてもらうぜ。一番槍は任せな」

「待って佐倉さん。敵は強いわ。ここはまず実力を見てから挑んだ方が効果的よ」七海やちよの忠告。

「そんなの知らないね。……だが、最初に挑戦する奴を見てから決めようか。あたしは確実に景品を手に入れたいからね」佐倉杏子は悪魔を見て言う。

「最初の挑戦者は……私です」

 

 環いろはが前に出る。意外そうに目を丸くする佐倉杏子。

 そこで悪魔は内心で歯噛みした。

 

(っ……本当はオレが一番槍を買って一気に決めるべきなのに……今はそれができない。なぜならかずみはオ(・)レ(・)に(・)対(・)す(・)る(・)敵(・)意(・)が(・)な(・)い(・)……参加すればゲームのルール上、少しは敵意を見せるだろうが、それでは足りない……オレを消そうとしない奴に逆転勝利の呪いは働かない……たとえ魔法少女が滅ぼうとも、それはオレの命と全く関係ないのだから……くそっ。いっそ食べ(殺し)に来てくれれば、ここまで足でまといにはならなかったのに……)

 

 完全体スバミに傷つけられた傷の治りが遅い。それもまた逆転勝利の呪いが働いていない影響だ。

 

 悪魔は逆転勝利の呪いがなければ、魔女や魔法少女に完敗する。死炎闘法だけでは防戦一方が関の山だ。まず勝てる見込みはない。叛逆魔法を使えば一縷の望みが出てくるが、それでも勝率が0%から1%に上がるだけ。確実に勝ちたいなら逆転勝利の呪いは必須である。

 

 しかし完全体スバミは悪魔を食べよう(殺そう)とはしない。命の危機が迫るほど逆転勝利の呪いは強まる。敵意より殺意、殺意より憎悪の方が、より呪いの力は強まり、悪魔は“終わらない逆転劇”を展開できる。それを封じられたとあれば、けが人の超戦士たる悪魔は、魔法少女たちの中でただの案山子も同然になっていた。この時ばかりは自らが魔法少女ではないことを恨んだ悪魔である。

 

「それでは────ソウルセルゲームを始めよう……代表選手はリングに上がれ。いつでも掛かってこい。それが試合開始……すなわちスタートの合図となる……フフッ」

 

 余裕の笑みをこぼす完全体かずみは、漆黒の翼を折りたたんで腕を組み仁王立つ。

 

「……それじゃあ行ってきます」

 

 舞台に上がる環いろは。手元にはペルソナカード、頭にはキモチの髪飾り。

 

 そうしてソウルセルゲームは開催した。

 

          †

 

 環いろはは両手にクロスボウとナイフを構える。遠近両用の戦闘態勢。ペルソナカードを使用してスタンドを発現。完全カウンター型のマントを羽織る。戦闘開始。光矢速射。スバミに直撃するが、かすり傷一つ無い。「屁でもないな?」環いろはの視界からスバミが忽然と消え去る。その意味が分からずともマントを羽織って身を守った瞬間、鏡のマントは打撃を受けて光り輝きエネルギーを反射する。スバミの体に直撃するも、やはり傷が付かない。「ほう。無敵のマントか。迎撃機能付きとは便利な代物だ。しかしそんなにも誰かを傷付けたくないか? 自(・)分(・)の(・)手(・)で(・)」「っ!」「汚い奴だ。覚悟が足りん。出直してこい」スバミはスタンドにダメージを与えられない。しかしスバミは一度の手合わせで知性が閃き、精神攻撃によってスタンドパワーが弱まることを見抜いた。押し出すような蹴り。サッカーボールのように蹴られた環いろははマントにくるまった状態で場外に吹き飛ばされる。鏡による反射エネルギーはスバミに傷一つ付けない。そこで環いろはは昂ぶるモルガナイトの髪飾りを駆使。長大に生え伸びた薄桃色の髪の毛がガッシリと、舞台の一部である二本の柱に巻き付き、それを引っ張って場外の空から舞台の上に舞い戻る。

「燃費の悪い戦い方だ。それほどのパワーを小細工に弄するとは……使い方というものがなっていない。それに分かっているのか? 単純なパワーを引き上げるほど、それはわたしにとって脅威に映る……脅威には、それ相応のパワーで相手せねば無作法というものだ……つまり、誤って殺してしまっても、つまらん文句を吐くなよ……」

 一段階ギアを上げたスバミはマッハ1で差し迫る。鏡のマントに一撃。マッハ1の威力が跳ね返される。瞬間、マッハ5のパワーで二連撃。差し引きマッハ4のパワーで環いろはを場外に殴り飛ばした。生え伸びる髪が柱に届く前にウワサ空間の端まで吹き飛んで見えない青空と草原の壁に叩き付けられた環いろはは一撃で失神した。「環さん!!」「お姉ちゃん!?」すぐにサポーターの環うい、黒江、凪、フゥ太が駆け付ける。

 

「さぁ……て、次のチャレンジャーは、誰かな?」「モッキュ!」リリスが舞台に上がる。「……おいおい、冗談だろ?」「モッキュッキュ!」「そうか。ではデコピン一発で退場だ」空を打つデコピン。それは超圧縮された透明な空気弾としてリリスの額に直撃。爆風を発生させながらリリスは場外に吹き飛ばされた。「モギュー!?」「力もなく言葉も持たない奴は惰弱すぎてなんの役にも立たない。その良い見本だったな、今の茶番は……」スバミは次の代表選手を待つ。

 

「ケンカごっこならランボさんも参加するんだもんね!」「あ、ダメだよランボちゃん!」暁美ほむらが制止するが、ランボは舞台の上に駆け上がる。「ほう……お前、わたしが怖くないのか? このスバミに向かってくるのか?」「だってオマエじぇんじぇんコワくないもんねー! あくまみたいにホッカホカ!」「……フン。ではスタートだ」ランボはギャハハと豪快に笑って手榴弾を投げバズーカを撃ち込む。が、その全てが直撃してもスバミは無傷。「……」「……」「────ギャー! バケモノだ!」「いまさらか」スバミは指を弾いて空気弾を撃つ。それはリリスが吹き飛ばされたのと同じ技。それを見て覚えていたランボは恐怖のあまり泣き喚いて、自分に十年バズーカを打ち込んだ。「なに?」十年後ランボ(男性)が登場。空気弾が股間に直撃して「グフゥッ!?!?!?」わけがわからないままきりもみ回転して舞台の上を転がり悶絶する。そこで悪魔が声を上げた。「大人ランボ! 十年バズーカを使え!」「わ、若かりし頃の、ボンゴレ……が・ま・ん……できそうに、ない、です……」「いいから使え! 死ぬ気で動け! 今はお前が頼りなんだ!」「……! この泣き虫ランボのオレが……?」そこまで言われては死ぬ気で十年バズーカを取り出すしかない。股間の激痛、いや激痛というにはあまりにも形容しがたい生き地獄と戦いつつ、大人ランボは自らに撃ち込む。そして白煙の中から姿を現したのは、頼もしいオーラ全開の二十年後ランボだった。

「……やれやれ。この現象……夢でないとすれば、随分と久しぶりに十年バズーカで過去に来たようだ……ボンゴレに、ほむらの姐さん……紅い亡霊(佐倉杏子)まで……泣きそうだが、感傷に浸っている場合ではなさそうだ。────そして、なるほど。この世界線では、そんなことになっていたのか……オリオン座の人」

「お前は……。バカなことを聞くかもしれないが、魔法少女ではないな?」

「話している時間はない……もう一分もないとして考える……倒せはしないだろうが、次の一撃で痛打を与える。それが今のオレにできる全力の手助けです────」

 二十年後ランボは二本のツノを頭に取り付けてDランクのリングから雷の炎を灯すと突撃開始。「サンダー・セット! 《電撃角(エレットゥリコ・コルナータ)》ッ!!!」緑の電撃は雄々しく尖がり、あらゆるものを貫通する。「っ!」両腕をガードに当てたスバミだが、眼前の敵の性能を完全に履き違えていた。紙屑のように両腕が突き破られて肋骨と心臓が貫かれた。内臓が焦げ付く。

「な、なぁんだとぅおおおおおお!?」

「そもそも魔法少女に肉体的なダメージは効果がない。魔力で簡単に治ってしまう。かといってソウルジェムを傷付けるようなことはしたくない。命まで奪う気はない。ならばどうするか。────オレ考案の魔法少女に対するダメージの与え方。それはオレにしか出来ないやり方だ」

 スバミの全身に電流が走る。「永遠に帯電し感電し続けろ。オレの電磁的誘導力は、捕まえた仔猫を簡単には逃さないぜ」「っ……!? 魔力による高速再生が、麻痺してうまく働かない……!?」「そもそもの年季が違うんだ。伊達に十年、魔法に彩られた崩壊世界で生き残ってはいない……」「うぉおおおおおおおおお!?」ボフン。と音がして二十年後ランボの全身が白煙に包まれる。同時に電撃角から解放されたスバミは大きく距離を取って、感電しつつも肉体を徐々に再生し、ぜえぜえと冷や汗をかく。白煙から落ちてきた五歳児のランボは、自身の電撃に焼かれて気絶した。「こ、こんなことが……魔法少女ですらない人間に……しばらく残る傷を付けられるとは……! ただの戦士ではない……魔法少女を相手に一歩も引かぬ戦いぶり……その姿、まさしく超戦士!」体内に雷の炎が帯電するスバミは、ランボのアフロ頭を掴んで場外に投げ飛ばす。「ランボ!」「ランボちゃん!」駆け寄る悪魔と暁美ほむら。

 

「ともだち、きずつけた! イーピン、許さない!」「あ、ダメだよイーピン!!」舞台に飛び上がったイーピンと、それを諌める黒江。「くらえ!」「うるさい!」イーピンの蹴りを指先一本で受け止めたスバミは、足を掴んで場外に投げ飛ばす。「わぁ!!」「イーピン!」地面に叩きつけられて転がったイーピン。それを抱き上げた黒江は、合成した回復薬を飲ませる。

 

「さぁ来い……たまに感電して動きが止まるのは厄介だが……そら、もう肉体が再生しきったぞ……次のチャレンジャーはいないのかな? 赤ん坊の方がまだ勇敢なようだが……」「│私が出る│」「万年桜さん……気をつけて……」「│うん。いろははゆっくり休んでいて│」環いろはたちに見送られて万年桜が舞台に上がる。両手には桜の木の枝。それは巨木から採取した双剣。魔力を流せば桜色の超振動ブレードに変化し、一気に身をかがめて跳躍疾走。麻痺して時たま動きが止まる瞬間を突いて、完全体スバミと肉薄する。「技も何もない単調な攻撃だ……出直して来い!」「│ぐっ!│」悠長な戦いをしていてはあっという間に場外に出されてしまう。環いろはもせめてマギアを撃てればと後悔していた。そして万年桜も二の轍は踏まない。「刻み込む! │必殺魔法(マギア)──《桜花斬(おうかざん)》ッ!│」桜色の二刀を超高速回転させて直接ぶつける二連式気円斬。それは豆腐を切るようにスバミの両腕を斬り飛ばすことに成功し、万年桜は畳み掛ける。「全てを呑み込む! │必殺魔法(マギア)──《桜花結界(おうかけっかい)・天楼大剣(てんろうだいけん)》ッ!!│」桜の花散る結界に敵を閉じ込めて捕捉。五本の巨剣を上空に生成し、一斉射撃。一息に殺す気でケリをつける。「────効かないなぁ……」「│っ……! 嘘……│」全身が粉微塵となるまで切り裂かれたスバミの五体は、みるみると魔力の高速再生で治っていく。「っ!」だが電撃角による帯電が残留しているのか感電。高速再生が一旦停止する。その間隙を突いて万年桜は追撃を仕掛けるが、これを脅威と感じたスバミはギアを二段階上げて迎撃。感電により回避できず一撃を身に受けたが、それもまた時間をかければ治る傷。対して迎撃の音速殴打は万年桜を一撃で吹き飛ばし、場外の草原に轍を残して意識を失った。「万年桜さん!!」回復した環いろはと環ういが駆け付ける。

 

「やちよ。悠長にしている暇ないのですよ。今がチャンスかもしれないのです」

「……そうね。このまま息つく暇のない連戦で消耗させたいところだけど……」

「────」

 

 無言のまま暁美ほむらが舞台に上がる。「ほむらちゃん!? なんで私より先に……」「まどかなら私を案じてきっとそうすると思ったから、先回りしちゃった。安心して。まどかの番には回らせない……ここで私が無力化する!」暁美ほむらの眼光が敵を射抜く。「ほう……弱々しく見えて芯は強いと見た……いいぞ、もっとわたしを楽しませろ!」暁美ほむらはペルソナカードを使ってスタンドを発現。砂を操って砂鉄を寄せ集める。するとスバミの全身に大量の砂鉄が引き寄せられた。スバミの体にまとわりつく砂鉄は、その繊細な動きを執拗に奪う。「なにっ!?」「今のあなたはランボちゃんの電撃によって帯電している。つまり今のあなたは磁石も同然……! 感電と砂鉄でスピードを奪い、私の得意分野に持ち込ませてもらう……!」「考えたな、弱小魔法少女!」スタンドを仕舞う。一旦砂鉄を出現させれば、スバミが砂鉄を振り払ってもすぐにまとわりつく。魔力を節約。削減した分は増殖魔力に当てる。スタングレネード。閃光。視界を奪う。時間停止。舞台の上に大量のトラップを設置。そして時は動き出す。四方八方に暁美ほむらの姿が八体。そのうち七体は分身。拳銃・突撃銃・散弾銃・軽機関銃による無限の銃声。増殖魔力により弾丸は尽きない。「このわたしに物理ダメージが効くとでも!?」「それでも魔力を使って肉体を再生する以上、いつかは魔力が尽きるはず。その時があなたの負ける時よ!」銃弾では効果が薄い。対戦車火器・迫撃砲を取り出す。砲撃によりスバミの体が一歩後退。と同時に足元に設置されていた爆弾が爆発。さらに分身体の暁美ほむらがゴルフクラブを持ってスバミの頭部に打ち据える。次の瞬間、ゴルフクラブの先端に仕込んでいた火薬が増殖魔力と化学反応を起こして爆発。スバミの体が焦げ上がる。

 ちなみに技名は《鈍器そして鈍器(ドキドキアタック)》《銃器そして銃器(ドキドキマガジン)》《爆弾そして爆弾(ドキドキボンバー)》である。というのもこの技名は全て一週目の時、巴マミに技名を考えなさいと言われて無理やり考えた技名であり、今では黒歴史。みんなには内緒である。

「なるほど、わたしのエネルギー切れが狙いか……だがわたしは既に六人の魔法少女を吸収している。この程度のダメージでは一割も消耗していないぞ……?」「……それでも、少しずつ削る……!」「────やはりそういう作戦か。大見得を切っておいて内心では勝ち目がないと諦めている」「それは違う! これはみんなで勝つ戦い……それに、私だって負ける気はさらさらない!」

 スバミが動く。地雷を踏んで爆発。怯んだところに手榴弾が投げ込まれる。爆発。麻痺したところに爆弾が投げ込まれる。爆発。「あなたが動けばわたしは瞬殺される……だからあなたにターンは回させない!」「っ! まさか、このまま互いに魔力切れの相討ちとなるまで持っていくつもりか……! つまらん真似を!」その涙ぐましい根性と努力は認めるが、スバミは音速突破で暁美ほむらの首に掴みかかる。時間停止。スバミを躱してトラップを再設置。グリーフシードを使用してソウルジェムを浄化。最短効率で準備を済ませて時は動き出す。「!? なんだ、どういうことだ!? 消えただと! 後ろか!!」「これがあと────百(・)回(・)は(・)続(・)く(・)としたら、どう思う?」「────っ!!?」一歩を踏みしめた途端、地雷を踏んで爆発。手榴弾と爆弾が投げ込まれる。そしてサブマシンガンによる終わることのない銃撃。実弾では一切傷がつかないため増殖魔力で弾数を増やしつつコーティングして威力を引き上げる。さらに無限収納魔盾からミサイルを取り出す。構築魔力で迷彩を施し機会を待つ。そしてスバミが麻痺した瞬間、発射。「場外に追い出す!」「!?」白煙をふかして発射された横向きミサイルはスバミに激突。またたく間に場外へ吹っ飛ぶ。「このぉ!」ミサイルの先端を一撃で叩き割った瞬間、爆発。────時間停止────遥か上空に音速飛行していたスバミは舞台の上に着地する。カチッ。地雷が爆発。四本の柱に設置された小型爆弾が誘爆。硬質ワイヤーが旋回してスバミの体に巻きつく。そこで暁美ほむらは考える猶予が残された。否、思考の余裕を用意したと言ったほうがいい。

(っ……これ以上の武装は、ワルプルギスの夜のために取っておかないといけない……でも、もしかずみさんに負けることがあれば、ワルプルギスの夜が来る前に……まどかが吸収されて殺される……! ────どうする? ここで出し切る場合、ワルプルギスの夜の戦いで勝てなくなる……どうすれば────今回の戦い、どこまで私は出し切れば……っ!!)

「考え事とは余裕だな」暁美ほむらの背後に腕を組んだスバミが立つ。「────え?」振り返ろうとした暁美ほむらは視界が高速回転。きりもみ回転して場外にたたき出された。「今までお前が見ていたわたしは残像だ。しばらく観察していたが、いきなり消える原理は皆目見当がつかなかった……しかし急に背中がガラ空きになったので容赦なくご退場願った」「っ……そんな……みんな、ごめんなさい……油断した……まどか……」「ほむらちゃん! 謝る必要ないよ! すごかった! 次は私に任せて! ほむらちゃんの頑張りを無駄にはしないから!」

 

 暁美ほむらの手を取って強く握った鹿目まどかは、キリっとした目付きでスバミを射抜き、一回の跳躍で舞台に上がる────が、それを七海やちよが制した。「待ちなさい。暁美さんの努力を無駄にしたくないなら、鹿目さんは副将として出番が来るまで耐えるべきよ。まだ彼女は二割も消耗していない。ここは次鋒と中堅たちに任せてちょうだい」「────!」鹿目まどかは考え直す。それに暁美ほむらも賛成した。どちらかといえば鹿目まどかを戦いに出したくないという思いが本音だが。「そうだよ、まどか。少し落ち着いて……でも、私のためにそこまでやる気を出してくれて、ありがとう……」「ほむらちゃん……あはは、確かにちょっと調子に乗ってたかも……少し恥ずかしいな……」てへへと照れる鹿目まどか。(かわいい)暁美ほむらは内心で呟く。

 

「百合の花が咲いているところ悪いが、わたしはランブルフィッシュを愛でる方が好きでね。花好きと魚好きでは分かり合えないかな?」「そんなことはないのです。というわけで鶴乃、行くのです」「えっ! 次はなぎさちゃんじゃなかったっけ!?」「なぎさは少し考えを改めたのです。次鋒戦は暁美ほむらで終了。次は中堅戦として頑張るのです」百江なぎさは何を考えているのか。ともあれ由比鶴乃は待ちに待った出番が来たことで鼻息を荒くする。「わかった! まっかせて! ふんふん!」由比鶴乃は舞台に上がる。そこでスバミが忠告した。「まだ地雷が残っている。丹念に潰しても良かったが……ギミックとして残しておけば面白いか。そういうわけで気をつけたまえ。不意の地雷で場外に吹き飛んでもわたしは知らないぞ?」「平気だよ! 私だってほむらちゃんが残した布石を無駄にする気はないからね!」由比鶴乃は変身。橙色の中華服に身を包み、炎燃え上がる鉄扇を振るう。戦闘開始。「先手必勝! 開幕ぶっぱが正義ってししょーも言ってた! 必殺魔法(マギア)──《炎扇斬舞(えんせんざんぶ)》ッ!」スバミはギアを三段階目に上げて迎撃する。「《ただのすごいパンチ》」殴り込みひとつで爆風が発生し、由比鶴乃の大炎を跡形もなく消し飛ばす。「そんな!?」スバミはトドメの一撃を撃ち込む────が、体が痺れて動作が一瞬停止する。「今だ!」スバミの体を鉄線で叩き飛ばす。その先に地雷があり爆発。ほかの地雷にも誘爆してスバミを場外へ押し出そうと爆風が吹き付ける。直後、スバミの腕の払いでソニックブームが発生。爆発はかき消されて由比鶴乃は爆風に身が取られる。その隙を疲れて腹部に一撃。「カハッ!!」回し蹴りでさらに腹部を突き出されて地を転がり、半身が場外に出てしまった。「鶴乃ちゃん!」駆けつけた環いろはは治癒魔法をかける。

 

「ぜぇ……はぁ……まだだ……まだ三割程度も消耗していないぞ……」

「中堅の鶴乃がやられた……次は副将の鹿目さん……」七海やちよは深刻そうな顔をする。

 

 その時、ウワサ空間に足を踏み入れる者が三名いた。

 一人は緑髪緑眼のロリ体型。一人は赤紫髪赤紫眼の眼鏡美少女。一人は仮面に素顔を隠した常闇の騎士。

 

「西の代表者からの応援要請だ。今は神浜市の魔法少女が一丸となって戦うべき時……そういうことだろ? 七海やちよ」

「中央区の代表者・都ひなの!」

「私は呼ばれていませんが、仲間が吸収されたとあっては黙ってはいられません。人造魔法少女1号スバミとやら……お覚悟を」

「あなたは……参京区の常盤ななか!」

「我が名はエッダ。旧き仇敵を倒すのはこの私だ。ぽっと出の怪物に獲物を横取りされては我の名折れだからな。特別に助太刀に来たぞ」

「……いや、あなたは何をしているの? 十七夜……」

 

 かくして神浜市の強者が出揃う。佐倉杏子は静観。都ひなのが舞台に上がる。

 

「面白い……だが今までの戦いで一つ分かったことがある。あ(・)ま(・)り(・)に(・)も(・)ぬ(・)る(・)い(・)……こうなったらタイマン勝負は捨て置く。だが何人でもとなると些か面白味に欠ける……丁寧に相手したい気持ちがあるからな……となると、そうだな。三人同時に掛かってくることを許す。中堅程度の実力が三人なら、これで五分というものだろう……」

「おいおい思いっきり舐められてんな。お前ホントにあのかずみか?」都ひなのは呆れかえる。

「ですがこれはチャンスです。一斉に切り伏せてしまいましょう」常盤ななかの眼鏡がきらりと反射する。

「袋叩きは性に合わんが……今は手段を問うている場合ではないのは確かだ」エッダはソウルジェムが欠けている。そのぶん強さもダウンしている。これは願ってもないチャンスである。

 

 常盤ななかとエッダも舞台に上がる。戦闘態勢。「敵はオレンジの魔力だ。魔力相性は気にしなくてもいい。ただ魔力の中で随一の推進力を誇る。スピードには気をつけろよ」「さすがは中央区の古参。そして弱点が突けないということは、弱点を突かれる心配もないということ。つまりこれは自力が試される勝負となるでしょう」「ナイトメア・モスカ。発艦」エッダはモスカに搭乗。戦いが始まる。前衛の常盤ななかが先陣を切る。時雨華心流による雨の乱舞。中衛のモスカが疾駆してミサイルを射出。後衛の都ひなのは支援に徹して固有魔法《化学爆発》を駆使。────しかし勝負は一分と続かなかった。追い詰められたスバミはギアを上げてマッハ4の速度を叩き出し蹂躙劇を始める。一撃で常盤ななかの刀を折り、蹴り上げ、一撃でモスカを破壊し、エッダをつまみ出して殴り上げ、一撃で都ひなのに頭突きして、三者を場外に吹き飛ばした。

 

「ぐぁあ!?」「なんて……強さ……」「くっ……帰還するぞ、モスカ」駆けつけた環いろはは、都ひなのと常盤ななかに治癒魔法をかける。そして故障したモスカはバチバチと回路をショートさせながら死炎を蒸してエッダと飛行撤退した。

 

「おいおい、ここまで雁首揃えてコレとか、神浜市の魔法少女は母数が多いだけで精鋭ぞろいとは行かないんだねぇ……これだけやって敵の底も見えねぇとか、なにやってんだって話だよ」佐倉杏子の煽りと、心の底から呆れ果てたような溜め息。

「そこまで言うなら、そろそろ試してもいいんじゃないかしら? 佐倉さん」七海やちよはじろりと睨む。

「ふん……その言葉、後悔すんなよ?」

 

 柱の上で観戦していた佐倉杏子は朱槍を担いで舞台に降り立つ。うんまい棒も食べ終えた。槍を構えて今までにない強敵と対峙する。風が吹く。桜の花びらが二人の間に落ちた。駆ける。真紅の稲妻、漆黒の閃光。交差するは赤燈(せきとう)の魔力。「粉々に分解してやるよ」「それならこっちは石化させて粉砕する」魔法少女にとっては狭い舞台の上で、まるで二機の戦闘機が幾度となく相撲をしているかのような衝撃波が発生する。先ほどの三対一も激戦だったが、今回は烈戦と言うべきか。苛烈なる猛攻は赤虎と獅子の戦いを想起させた。多節棍を繰る佐倉杏子は打撃・斬撃・刺突・束縛、さらには魔法で装甲分解・結界構築と攻守搦手を交錯させて敵の能力を引きずり出す。「────! 今のはあからさますぎてバレバレだね。さっきまであたしの多節棍に戸惑っていたのに、急に多節棍の動きどころか仕込み武器まで見切りやがった。解析タイプの魔法かなんか使ったろ? 使用形跡の魔力も発散性質のせいでダダ漏れだ」「……」「加えて分解コーティングした体の硬質化ときたか。既に硬いのにさらに魔法で……、────ッ!」違和感を覚えた佐倉杏子は縦横無尽に舞台を駆け抜ける。それは敵に捕捉されにくくするためだ。その判断は間違っていない。傍から見たら戦闘を放棄していきなり舞台の上を走り始めたように見えるだろう。「分析魔力を張っておいて正解だった……!」いつの間にか佐倉杏子は《認識改竄》と《偽装》の魔法を掛けられていた。数秒前から戦っていたスバミは本物ではない。背後に悪寒を感じたが振り返らず横に逃げて正解だった。どうせ振り返ってもそこには誰もいない。否、見(・)え(・)な(・)い(・)。「おい誰でもいい! 敵の位置を事細かに教えやがれ!」悪魔が答える。「樹木方向から数えて十番目のタイルの上空だ!」「────盟神快槍(クガタチ)ッ!!」認識改竄によりスバミの姿が見えなくなり、偽装により偽物のスバミと戦わされていた佐倉杏子は、即座に反撃。上空で投槍が爆発。当たったわけではない。回避されることを前提に、投擲から一秒後に爆発するよう魔力を込めておいた。「ぐっ……!」爆発の余波に巻き込まれたスバミは煙を巻いて舞台の上に降り立つ。認識を阻害する魔法は効果時間が切れたのか消滅した。「トドメだ」「っ!」構築魔力で魔法武器を生成した佐倉杏子は槍を穿つ。────が、突然足元のタイルの隙間から紐が出現して佐倉杏子の体を絡め取る。「鎮静魔力を仕込んだ束縛……だと!?」「わたしがトドメだ!」スバミは慢心して勝てる相手ではないと踏み、マッハ5のパンチを繰り出す。「────悪いけどね」「!」しかし空振りに終わる。圧倒的なスピードで、いつの間に束縛魔法を解いてスバミの背後に回っていたのか。「その手の魔法は、もう腐るほど見飽きてんだよ」分解魔力で紐を解き、ただの魔力放出で音速という物理法則を無視してソニックブームを伴わず背後に回っていた佐倉杏子は一撃。抉りとった心臓が穂先にぶら下がる。「がはっ……!?」「さぁて。よっこいしょっと!」スバミの体を貫いた槍を持ち上げて背負い投げ。ズルリと血を噴いて槍から抜け出たスバミは場外に吹き飛ばされる。「グルゥ!!」背中の黒翼を展開したスバミは空中で静止。魔力による肉体再生を図るが、体が麻痺してうまくいかない。「っ!」その間隙を突かれて投槍が顔面に迫る。側頭部を抉られたが回避。と思いきや頭上に影。「おらよ!」佐倉杏子に蹴り飛ばされて地面に接近。「ふぬぅううっ!」スバミは翼を広げてジェット噴射。ギリギリ大地につかない所で飛び上がり、大きく空を旋回して高速前転、片足から舞台の上に見事戻った。「っ……なかなか、やるな……」「よしてくれよ。もう降参だ」佐倉杏子は朱槍を担ぐと舞台から飛び降りる。「────えっ!?」環いろはたちの驚愕。「だって割に合わない。こっちは隠し球をいくつも披露したってのに、向こうは通常武器をやっとお披露目したくらいだ。今のであたしが優勢と思った奴は早死するよ。そうだろ、やちよ?」「そうね。でも可能な限り削ってくれたのはありがたいわ」「さぁ知らないねぇ。あたしは行けるところまで行っただけさ」

 

 佐倉杏子は舞台を降りる。そこに千歳ゆまが駆け寄った。「キョーコ、負けちゃったの……?」「ん? あぁ。あのままやってたら本気出されて殺されてたかもしれねぇし、あれ以上は魔力とグリーフシードの無駄遣いだからな。あたしは無駄なことはやらない主義なのさ。ま、あとはあいつらがなんとかするだろ。仮に負けても────あたしが真の切り札を見せてあの化物を倒してやる。そんでゆまを守るから、安心しな」「……! うん!」

 

 そしてとうとう副将戦。鹿目まどかが舞台に上がる。そこに美国織莉子と呉キリカが現れた。「鹿目まどかでは彼女に勝てません。それは鹿目まどかの契約内容から分かりきっていることです」藪から棒に。それを言いに来ただけのようだ。「どういうこと? そんなのやってみなくちゃ分からない」「ではどうぞご自由に……」戦闘開始。木の杖を弓に変形。光矢を番えて背後に魔法陣を展開。その量、大小あわせて五枚。「収束────発射!」高圧縮された魔力矢による怒濤の攻撃。目前の熱量から、一撃でも喰らえばシに匹敵すると判断したスバミは最高速度で上空に遁走。追尾性能を持った光矢を全力回避する。一見するにパワー勝負では鹿目まどかの圧勝。その才能の輝かしさに誰もが目を見張る。だが七海やちよは渋い顔をしていた。同時にスバミがその理由を言い当てる。「確かに強いが、経験が浅い。あの銃娘より浅いぞ。しかし単純なパワーだけなら、わたしより遥かに格上……掠りでもしたら撃墜される……故に、手(・)加(・)減(・)が(・)で(・)き(・)な(・)い(・)」刹那スバミは保有魔法を全種行使。具現の鎧。被弾を変換。変換魔力をブースターとして光矢の嵐を掻い潜る。活路解析。あらかじめ舞台の下に仕込んでいた束縛のイバラで鹿目まどかの両足を縛る。光矢を分解・鎮静。肉体を硬質化し緑色の魔力でさらに硬化コーティング。一撃だけ被弾し半身が吹き飛ぶも肉薄。鹿目まどかの足元に潜り込んだスバミはマッハ5のパンチを繰り出す。「!」鹿目まどかは速射で迎撃。それは思いのほかうまくいきすぎて、スバミの五体を粉々に砕いてしまった。「えっ!?」「バカ、そいつは偽物だ!」佐倉杏子の叱咤。鹿目まどかの背後に魔力反応。背中から殴り込んで風穴を空けるつもりか。下手すれば胸のソウルジェムも粉砕される。七海やちよがルール違反を覚悟で飛び込もうとした刹那、既に百江なぎさが二人の間に割って入っていた。「モベホーン!」絶対的遮断力の泡を吹き出す。それによりマッハ5のパンチを完璧に防ぎ、あわて泡を破裂させる。破裂の衝撃波で百江なぎさは鹿目まどかの背中と激突、二人は場外まで吹き飛ばされる。「ぬわっ!」「きゃあ!」「なぎさちゃん!」「まどか!」環いろはと暁美ほむらが駆け付ける。そこでスバミが失笑した。「貴様、ルール違反だ。挑戦権利を剥奪する。鹿目まどかも場外として敗退だ。危うく死ぬところを助けられて良かったな……」「な、なぎさちゃん……」「気にすることはないのです、まどか。なぎさはこういう時のために控えていたのです」百江なぎさは語る。もし自分が挑戦した上で今のような行為に及んでいたら、きっとスバミは今より重いペナルティを与えていたかもしれない。故に挑戦権利を保持したまま待機していたのだ。サッカーで例えるなら、ディフィンダーがゴールに入りそうなボールをわざとハンドしてゴールを防ぐような行為である。よって主催者の機嫌を損ねないためにも、挑戦権利の剥奪という落としどころを用意していたのだ。「よくやってくれたわ、鹿目さん。みんな。なぎさも賢いわね。それじゃあ────そろそろケリをつけましょうか」

 

 大将戦。七海やちよが舞台に上がる。「待っていたぞ。ようやく面白い戦いができそうだ……魔法少女にしては異例とも言える七年の大ベテラン。その実力を余すところなく体験させてくれよ……」「当然。出し惜しみは無しよ────」七海やちよは槍を回転させて構える。戦闘開始。直後、舞台上から二人の姿が掻き消えた。悪魔、佐倉杏子、百江なぎさは上空を睨む。一拍遅れて他の全員も視線を追いかけ空を見上げた。そこは暴風雨の領域。横殴りの雨の如し無限の投槍。青い魔力のほかに、緑と紫と赤の魔力がきらめく。音の衝撃波が全ての槍を薙ぎ払う中、七海やちよとスバミは交差する槍の雨の中で激烈な格闘を繰り広げる。互いに痛打の入らない攻防。腕と腕が激突し、脚と脚と打擲し、槍の穂先が装甲に弾かれる。「ガハッ!!」しかしスバミは激しく吐血。既に内臓はズタボロだ。魔力の高速再生も麻痺で追いつかない。「装甲の……貫通概念……だと!?」「……」槍を硬化で固め分解でコーティング。装甲を削りながら鋭い槍で貫く。増殖で硬化分解槍を無数に増やす新戦法。だが既に《装甲貫通》魔法があるなら、分解効果は体表ではなく体内に影響を与える。ボロボロと分解されて崩れ去る内臓。ダメージは消化器官にも影響を与えた。「うっぷ……!?」スバミは何かを吐き出しそうになる。腹と喉の苦しみに悶絶する。その隙を逃さぬベテランは皆無。「必殺魔法(マギア)──」その前に分析魔力を走査させていた七海やちよは、眼前のスバミが擬態であることに気付く。遮断魔力で身を守りつつ発散魔力で異物探知。舞台袖に逃れていたスバミはえづいていた。今にも嘔吐しそうだ。容赦なく無数の槍を向かわせる。分析魔力により認識改竄魔法を検知。本体は舞台袖の対角線に立っていた。「そのまま逃げ切るつもり?」舞台すべてを埋め尽くす槍の雨が豪快に降り注ぐ。逃げ場はない。ならば当然、スバミは空に逃げるはず。分析魔力を他方に発散。認識改竄を検知。頭上に魔力反応。それも擬態。「……魔力の無駄遣いね、お互いに」ならばと蹂躙劇を始めた。いたちごっこに構っている暇はない。ウワサ空間すべてを薙ぎ払う千(むげん)の槍で竜巻を起こす。何もないところで槍が弾ける。「そこ!」装甲貫通魔法を宿しているのは七海やちよの手持ちの槍のみ。魔力で巨大化させた槍で大振りの一撃を虚空に畳み込む。激突音。串刺しの舞台上に透明な何かが撃墜する。「ゴパァッッ!!?」そしてスバミは吐き出した。胃液にまみれた由貴真里愛・桐野紗枝・純美雨を。「!」即座に七海やちよは魔力操作を駆使して三人の体を槍ですくい取り場外に運ぶ。「あなた……内部破壊で吸収した魔法少女を吐き出すのね? 吸収はしても溶解はしていなかった……となれば好都合。ほかにも飲み込んだ子を吐き出させてもらうわよ! そのたびあなたは弱体化する!」「ぐっ……! ちくしょおおおお!」悪魔は直感する。スバミの心理が危うい方向に傾いた。彼女の優しさを司る三人の魔法少女を吐き出したことにより、今はサトカの非情的合理性が前面に押し出されている。「油断するなやちよ! かずみの戦い方が変わるぞ!」「!」殺意全開。敵意剥き出し。憎悪沸々。今まで悪ぶりながらもどこか上品さと理知的なところがあった気配とは打って変わり、今では獰猛な肉食獣のような目付きに変わった。スバミは具現で獲物を切り裂く爪を生やす。体に受ける槍を超速変換して、ダメージを受けつつエネルギーとして取り込む。頑丈な体のためダメージは少ない。七海やちよは攻撃回数が多く火力が低い戦いでは、逆に敵のエネルギーを増やしてしまうだけだと悟り無数の槍を消し去る。互いに戦術を切り替えた。スバミは最高速度マッハ3を叩きだして超近距離の格闘戦を始める。七海やちよは一本の槍に全魔力を込めて超強化。内部を硬化させて貫通力を増し、穂先を分解コーティングして火力向上。増殖魔力を穂先の内側に秘めることで内部炸裂機構を生成。装甲無視魔法を行使。誘導魔力で命中率を底上げ。二十年後ランボの電磁的誘導力のおかげでスバミの体は磁力を帯電している。故に誘導魔力の命中率は更に跳ね上がっている。ほぼ必中の領域と化した槍で突っ込み、白兵戦に持ち込む。一号、十号、五十号……たった三秒で五十回の打ち合いを重ねた両者は一歩も退かず、舞台上ではソニックブームが発生してウワサ空間を蹂躙する。刹那、スバミの肉体が麻痺した。一瞬の間隙。穂先を突き入れる。装甲無視により超硬質化した肉体に穂先が抉り込む。瞬間、七海やちよは“殺すつもりで”穂先を爆発させた。増殖魔力を込めた穂先は無数の枝のように分裂して体内から炸裂する。鮮血とちぎれた筋肉が撥ね散る。────が、スバミは哂っていた。解析魔法で槍の中に増殖魔力が込められていることは察していた。それを喰らえば今度こそヒームも吐き出してしまう事も承知していた。故に布石を打っていた。「超硬質化の魔法を体内に限定した。今の鮮血は体表近くの血液と肩や腕の筋繊維が炸裂しただけだ。臓物は全て無事……残念だったな、七海やちよ」「っ……!?」七海やちよの目算は崩れた。そうやすやすと吸収した魔法少女は解放してくれない。だが次(・)の(・)一(・)手(・)を(・)考(・)え(・)て(・)い(・)な(・)い(・)ほ(・)ど(・)愚(・)か(・)で(・)は(・)な(・)い(・)。

 

 仕切り直し。両者距離を取り、七海やちよは過熱するように超振動を起こすソウルジェムを休(鎮)ませる。これ以上魔力圧を加えればソウルジェムが砕けてしまう。雪野かなえのように。無理強いは禁物。ある程度呼吸を整えたらグリーフシードを取り出して穢れを吸収────は当然、敵が見過ごさない。飛び込んできたスバミによって浄化が邪魔されて再び格闘戦に入る。七海やちよのソウルジェムの穢れ具合は7割。対するスバミのソウルジェムの穢れ具合も7割。このまま行けば同時にドッペル化する。そこで悪魔が叫んだ。七海やちよの狙いを察したのだ。「万年桜! ここでドッペル化はできるのか!?」「│可能。安全。私のウワサ空間はこの草原だけ。最奥も何もない│」であればドッペル化したつもりが魔女化する危険性はない。「全員一時退避! 暴走のリスクも懸念して防御行動を取って!」『────っ!!』七海やちよの号令一下、一同はドッペルの発動に備えて避難を始める。「やちよ……ドッペルに頼るのか?」「簡単に半魔人化に頼るあなたが心配するの?」「……できるのか」「えぇ。試すのが怖くて一度も使ったことはない……故にこれは危険な賭けよ。でもそうでもしなければ彼女は倒せない。この力が有益かどうか……私がここで確かめる!」でなければ環いろはたち含む後輩魔法少女は、安易にドッペルに頼ろうとするだろう。まず先輩魔法少女が実験して安全かどうか確認しなければいけない。かといってここでやる必要はないだろうに。そんな悪魔の危惧は、なにより七海やちよが一番わかっている。────ソウルジェムの穢れが蓄積する。それが満タンになった時、七海やちよの魂に痛みが走る。「ぐっ……うぅっ!?」「やちよさん!?」一瞬の行動不能。その隙を突いてスバミが襲いかかる。が、七海やちよはあらかじめ用意していた絶対的遮断力の槍の檻を降らせて自らを取り囲み身を守る。直後、大規模な瘴気混じりの魔力が爆発し、槍の檻をスバミもろとも吹き飛ばした。

 

 七海やちよの半魔女化。モギリのドッペル。その姿は切符鋏。七海やちよの背後に這い登る異形の魔障は、彼女の両手をサソリのような足に換え、左足からはサソリの尻尾のような巨大なハサミが生え伸びる。魔女が被るような黒い帽子。虚ろな瞳。ハサミの先からはカンテラがぶら下がり、赫々とした魔球を灯している。「嘔吐毒……付与(エンチャント)。鳴らすカンテラは蒼海の渦を巻く……」増殖魔力を使わずとも尻尾が生え伸びてスバミを突き刺そうとする。それを回避。直後、カンテラが鳴り響く。周囲に水属性の魔力が流転。それは膨大に膨れ上がり、大海の大渦巻きを発生させた。そのまま場外へ押し流すつもりか。スバミは拳を海底に叩き込んで海を割る。波に攫われる拘束から自由となり跳躍。大気中の魔力を熱量の光球に変換。超硬質化。具現解析で超高密度の塊を作成。舞台を跡形もなく吹き飛ばすほどの魔力塊を投擲する。その気弾一発でウワサ空間は崩壊する。そうはさせないと七海やちよはドッペルを身代わりに体から剥ぎ取った。魂にほとばしる激痛。だが今の実験で分かったことは、ドッペルには高い中毒性があるということ。ドッペルである間、七海やちよの心中は大きく掻き乱されていた。死んでいった仲間たちが頭から離れず、願いに対する後悔と自責の念が心を苛み、絶望の渦に囚われるところだった。強引に肉体から剥ぎ取ったドッペルを魔力操作で跳躍させる。中空にてモギリのドッペルの抜け殻と魔力塊が激突。閃光爆発衝撃波。今までの激闘で粉砕されていたタイルが全て吹き飛ぶ。舞台上は半壊。七海やちよとスバミはあまりの愕然的爆風に体が浮かぶ。これはどちらがこらえきるかの勝負。七海やちよは槍を生成。地面に突き立てる。スバミは背中のアフターバーナーを全力で噴射させ、姿勢を制御し、向かい爆風と対峙する。やがて────狂乱の疾風は落ち着いた。

 

 半壊した舞台の上には七海やちよ。その上空には依然として完全体のスバミ。両者、息は絶え絶え。全力を振り絞る激闘はまだ続くのか。「────わたしはドッペルの肉から造られた」「……?」「そんな奴がドッペルを出せるだろうか? わたしは考えた。簡単なことだったよ。ドッペルとは感情の写し。たとえこの感情がウワサの物語によって造られたものでも、わたしには心がある! ならば……ド(・)ッ(・)ペ(・)ル(・)を(・)出(・)せ(・)な(・)い(・)は(・)ず(・)が(・)な(・)い(・)!」悪魔は直感する。「やちよ! 棄権しろ────っ!! 棄権するんだ────っ!!」急に苦しみだしたスバミ。紫色……否、あらゆる色が混じって黒色……否、それも違う。もはや闇色とも言うべきソウルジェムが、穢れを溜め込んで満ち満ちた。直後、瘴気混じりの魔力が爆発。

 

 人造魔法少女1号スバミ・完全体。其は究極のドッペル。その姿は細胞。脱皮と成長を繰り返す虫のような緑の細胞は、あらゆるものを吸収して変化していく。霊長の地母にして保管者でもあるこのドッペルは、惑星を一個の生命と位置付けて喰らい始める。人は星を食い潰して進化してきた。人は魔法少女を焚き火として文明を栄えさせた。であれば、このドッペルは星も魔法少女も喰らい尽くす。次世代の人間として。究極の生命体として。主を高次元へと誘うために。

 

「なに……この魔力反応……!?」「こんなの……超大型魔女と……何も変わらない……っ!!」七海やちよと暁美ほむらの驚愕。「終わりだ。消え失せろ」片手をかざしたスバミは一閃。魔力光弾を発射して舞台そのものを跡形もなく吹き飛ばした。「キャアアアア!」「やちよさぁ────ん!!」ウワサ空間の壁に激突した七海やちよはボロボロの体で草原に落ちる。そこに駆けつける環いろは。「ふむ……これでは試合にならんな。舞台を作り直そう」スバミは具現魔法で石畳のタイルを作成。百に登る枚数を当てはめて闘技場を修復する。「さて……挑戦者はこれで終いかな? であれば、わたしの勝利となるが……」「っ……!」一同は歯噛みする。このままではスバミは手がつけられない怪物として世界中の魔法少女を襲い始める。手始めに神浜市が全滅するだろう。「……さ、再挑戦は、ダメでしょうか……?」環いろはが問いかける。「ふむ……それは些か都合が良すぎないか? だが貴様の真の実力を見る前に場外に出してしまったことは、そちらの力不足が原因だが少し後悔している。そうだな……では、こうしよう」スバミは新たなルールを取り決めた。「再挑戦する場合、殺害を有りとする。つまり────自殺志願者は再挑戦するといい。わたしが直々に吸収してやる……」「……っ!」「そんなの……ダメよ、環さん……」「やちよさん!」「こう、なったら……私が、相討ち覚悟で……!」

 

 七海やちよは懐に隠した死神のペルソナカードに手を忍ばせる。その時、思わぬ客人がウワサ空間に入場した。「む?」スバミはひと目で見切る。彼女は────七海やちよに並ぶ強者であると。「なっ……」佐倉杏子は目を見張った。「……!」百江なぎさは言葉もなく、懐かしの顔を目にして固まっている。「────」最初は驚いた悪魔だが、すぐに澄ました顔で成り行きを見守り、超直感で内心を探るも全く読めない。何かに阻まれているようだ。おそらくウワサだろう。巴マミはウワサに守られている。あるいは囚われている。そして鹿目まどかと暁美ほむらが驚嘆の声を上げた。「ま……マミさん!」「マミさん、その格好は……?」巴マミは後輩たちを目にすると、機械的な表情でにこやかに微笑む。そしてスバミを見上げると、そっと舞台の上に跳躍してリボンをくるくると回し華麗に舞い降りた。「人造魔法少女1号スバミ。マギウスの命令で────あなたを排除するわ」黄金純白の衣装に身を包む巴マミの宣戦布告。勝負は余韻を与えず火蓋を切った。

 

 刹那の相重なりあう無限重複の黄金銃声。ウワサ空間を埋め尽くすほど展開された無限のマスケット銃は円環と隊列を描き、無数の射撃を披露する。それは一方的な蹂躙劇だった。スバミの肉体、究極のドッペルの肉体をことごとく撃ち抜き、鮮血をばら撒いていく。「グオオ……グォオオオオオオオオオオ────ッッッ!!?」「息つく暇も与えずに救済(ころ)してあげる」スバミの総身に数え切れないほどの孔が開く。風穴が空いていく。だが腹部は守り抜いている。そこに痛打を与えられれば、次はヒームを吐き出しかねない。そうなれば第2.5形態に逆戻りだ。それだけは阻止しなければならない。だが圧倒的なパワーとスピードと絨毯爆撃による猛烈な攻撃は、スバミの陥落まで時間の問題だった。「────と、思っていたのか?」「!」不敵に笑うスバミは懐から七枚のカードを取り出した。「ここに七枚のペルソナカードがある」「っ!!」即座にカードを撃ち抜こうと巴マミは銃口を向けるが、ほんの一瞬、遅かった。「ペルソナ────セッテ・ベスティート!」「バカな! そんなことをすれば、ただでは済まないわ!」「そうかな? わたしは人造魔法少女だ。わたしのソウルジェムは魔法少女のそれとは異なる。よくできた偽物なんだよ。Qの契約者ではないわたしは、ソウルジェムが濁りきっても魔女化することがない! 半魔女化……ドッペル化はするがね。そしてドッペル症を引き起こせば、わたしは知能が低い使い魔に成り下がる。マギウスは、究極の生命体が使い魔になることを狙っていたんだろう? だがそうはならない。わたしは進化する。ドッペル症も克服して、自らの暗黒面と共に宇宙へ飛び立つ! それを今ここで証明しよう!」

 

 魔属性だけでも他属性のペルソナカードは使用可能だ。ただし性能は低下する。匣兵器の開匣条件と同様の仕組みだ。魔属性すなわち大空の属性は、全てに染まり全てを包み込むエネルギーであるがゆえに。

 

 魔の星。スタンド名は《キャローテ(気弾推力波砲)》……第二の能力は《ヤードラット(瞬間移動)》

 火の塔。スタンド名は《ヴェルドゥーラ(秩序大爆衝突)》

 水の剛毅。スタンド名は《コンジェラート(凍結光線)》

 木の月。スタンド名は《オッタヴィーノ(超再生)》

 光の法王。スタンド名は《クリラン(気円斬)》

 闇の皇帝。スタンド名は《フリゴリーフェロ(死光線)》

 無の隠者。スタンド名は《グランキオ(太陽拳)》

 

 スタンドは一人一体まで。それは精神一つに一体までと換言できる。そしてスバミの精神は現在、かずみ、スバミ、サトカ、御崎海香、牧カオル、ヒーム、究極のドッペル、と七人分の精神が宿っている。そのため七体のスタンドを同時に発現することができた。

 

 太陽拳。閃光が空間を襲う。気円斬を放ち、巴マミの背後に瞬間移動かめはめ波(気弾推力波砲)。吹き飛ばされた巴マミの胴体が気円斬により真っ二つにされる。が、それはリボンにより編まれた分身体だった。本体は初めから上空にいた。入場した時点でその巴マミは偽物だったのだ。スバミは両手の人差し指から凍結光線と死光線を放つ。当たれば凍結。必ず急所(心臓やソウルジェム)に命中する光線。「ティロ・フィナーレ!」巨銃光弾により凍結光線と死光線を相殺撃破。直後、巴マミの背後に瞬間移動したスバミによって羽交い締めにされる。秩序大爆衝突。ウワサ空間を閃光の爆発で包み込む衝撃波が襲う。『きゃあああああ!!?』多くの魔法少女が衝撃波に薙ぎ払われて草原を転がった。スバミは超再生により麻痺を無効化して即時回復。満身創痍の体で立ち上がる巴マミ。スバミは自身を含めたドッペルとスタンドによるトドメの九連ラッシュをお見舞いする。「スゥバスバスバスバスバスバスバスバ────スバァァッッ!!」巴マミは髪飾りに扮するソウルジェムを守り抜く。血反吐をこぼして治癒魔法を行使。回し蹴りでスバミを蹴り飛ばし巨銃光弾(ティロ・フィナーレ)。「なに!?」秩序大爆衝突の直後、タイルの下に隠しておいたリボンが出現。スバミの体に巻きついて行動を阻害する。黄金光弾が直撃。大爆発を引き起こして爆風が一切の埃を払う。「……少し甘く見ていたわ。なかなかやるわね……」「ぐっ……!」超再生により肉体を回復させるが、スバミの精神負荷は著しい。「ここまでやって……まだ余裕なのか……!?」「あなた、さっき鹿目さんを経験が浅いと言っていたけど……それブーメランだってこと理解してる?」「っ!」「あなたの方がひよっこ。いくら多くの魔法少女を吸収して知識を蓄えても、実戦経験が物を言う魔法少女の世界では────あなたはそれほど、強くないわ」「……っ! ぐぅ……!!」「実際、七海さんを相手にしている時は後手に回っているばかり。何もかもがお粗末よ。失敗作と言ってもいいわ」「……なんだと……?」「だから私が遣わされたのよ。失敗作を排除するために」巴マミの精神攻撃がスバミの心を抉る。「ティロ・フィナーレ・サルヴェッツァ」良心の呵責なぞ一切ないかのような必殺魔法の行使。六丁マスケット銃の回転射撃をひと束とし、それが数千束。絶対なる死を与えん一斉掃射はスバミの眼前に絶望をもたらす。撃ち抜かれる総身。硬質化させた内臓も黄金爆撃を喰らえばひとたまりもない。「ウォオオオオオゲォオオオッ!!??」スバミは吐き出した。胃液にまみれたヒームを。「えっ!」「ねむちゃん!?」環姉妹の驚愕。そしてスバミの形態が元に戻る。第2.5段階へ。超再生が間に合わない。立て続けに黄金爆撃を腹部に喰らい続けて、今度は胃袋の中から直接、胃液にまみれた御崎海香と牧カオルが飛び出てきた。スバミの体内は四次元ポケットになっているのか。「最後まで吐き出してもらうわよ」「ち────チクショオオオオオオ! チクショオオオオオオ!!」第二形態に逆戻りしたスバミは悔恨を叫ぶ。なすすべがない怒涛の攻撃。性能が低下したスバミに打つ手はない。不意に巴マミのリボンが分身体を象る。それは横殴りの黄金の雨の中を掻い潜り肉薄。スバミの腹部に鋭い蹴りを入れた。「ガハッ……!? アガッ……!! アッ……ガッ……!!」そしてスバミは喉元にせり上がる人間大の大きさのモノを吐き出した。それは胃液にまみれたサトカである。再び環姉妹の驚きの声。かくして第一段階に戻ったスバミは、もはや異形の見た目をした怪物でしかない。「ティロ・フィナーレ」最後にトドメの黄金砲弾が発射された。スバミは死を覚悟する。

 

          ♪~Magia~♪

 

「────ッ!」その時、舞台の四隅に立つ柱が四本、突然交差するように倒れてきた。それは黄金砲弾を受けて粉々に砕け散る。その間隙を突いてスバミは転ぶように横っ飛び。黄金砲弾を回避し、それはウワサ空間の壁に激突して大穴を開けた。かくして柱の倒壊は舞台を区切り、巴マミとスバミの対決は寸断された。「誰の仕業!? っ……柱の細く弱いところを熱が溶かして曲げている……まさか……」巴マミは誰の仕業かひと目で把握した。

 

「……っ!?」スバミは目を疑った。目の前に立つ少年。悪魔の背中を見上げて。「ここまでだ。マミ。お前に人殺しはさせない」「……退きなさい。これは私の使命なの」「お(・)前(・)は(・)黙(・)れ(・)。オレは巴(・)マ(・)ミ(・)と(・)話(・)し(・)た(・)い(・)んだ」「────何を……」巴マミの心が読めない。ならば彼女は生物ではないのか。否、読めないのではなく読みにくい。となれば、彼女が何らかの理由で洗脳あるいは憑依状態にあると推測できる。ともあれ巴マミの考察は後回しだ。悪魔はか(・)ず(・)み(・)を(・)助(・)け(・)る(・)ために開匣。バトルグローブを装備する。「オレが舞台に横入りしたことで、オレとマミはルール違反となり敗北だ。加えてオレは挑戦権利を剥奪される。そして────」悪魔は背後のスバミに宣戦を布告した。「オ(・)レ(・)は(・)再(・)挑(・)戦(・)を(・)希(・)望(・)す(・)る(・)」「────っ!? ど、どうして……悪魔さん……」そこで巴マミが口を挟んだ。「それでこちらが納得すると思う?」「目的は始末。となればソウルセルゲームのルールに従う道理はない。力尽くで潰しに来るか? いいぜ……オレに勝てると本気で思っているなら……かずみとの決勝戦の前座として受けて立つ」

 

 悪魔と巴マミが睨み合う。そこで巴マミはマギウスからの念話を受けた。「────、…………そう。命拾いしたわね」「お前がな」悪魔は煽っているわけではない。念話の内容を直感したのだ。ここでマギウスはダークホースの悪魔と切り札たる巴マミを戦わせて、万が一にも巴マミを失うようなことがあってはならないと判断し、退却を命令した。「……ふん」巴マミは跳躍してウワサ空間を脱出する。「マミさん待って!」「マミさん!」「おいマミ!」「……」鹿目まどか、暁美ほむら、佐倉杏子の呼びかけに答えず、巴マミは立ち去る。それを百江なぎさは静かに見守っていた。悪魔はホバーシールドを開匣して、サトカとヒーム、御崎海香と牧カオルを舞台の外に運ぶ。「これで邪魔者は消えた。かずみ……覚悟はいいか」「っ……悪魔さんが、わたしに勝てるはずない……ぐっ!」スバミは飢えを感じる。暴食の欲望。サトカとヒームを喰わなくては。完全体になるために。究極の生命体になるために。「ぐぅううううう……!」グルグルとお腹が鳴る。空腹だ。空腹。お腹が空いた。食べたい。たべないと。「グ……グル……グル……」スバミの頭部が黒い口に覆われる。ピンク色の長い舌が地に垂れる。もはや正気を失いかけている。その前に彼女を助け出す。

 

「ドッペルとは感情の写しだ。先ほど究極のドッペルを目にした時────オレは直感した。お前は泣いていた。心の奥底で助けを求めていた。こんなことはしたくないと。でもそう在るように生まれたのだから、そうする以外にどうすればいいのか道(・)に(・)迷(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)」グローブに覚悟(ほのお)を灯す。「あの時と同じだ……すずが魔女になった時と同じ……魔女も生物だ。心(・)が(・)読(・)め(・)ち(・)ま(・)う(・)。オレはすずを助けるために旅をしている。それは一度魔女になった奴を人間に戻すという不可逆の難題だ。それの達成は雲をつかむような話だろう。だからこそ────まだ魔女になっていない奴を救えないで、すずを助けられるはずがない」いつも左目で泣いている義妹。その心を直感するのは身が引き裂かれる思いだ。毎日毎日すすり泣いているあの子に何もできないでいる。絶望に囚われた魂は穢れきり、もはや人間だった頃の行動を反復するだけのゾンビと成り果てた水泳の魔女。だからこそ、今のスバミを放っておけない。「かずみ、オレはお前に新たな道を示す。じゃないとオレは────死んでも死にきれねぇ」スバミを救えなければ、すずを救うことなんてできるはずがない。そう悪魔は確信した。

 

 左目に手をかざす。瘴気放出。呪印・第二形態に移行。「化け物だって、人間として生きていいんだ」

 

 呪印解放(モード・セコンド)・瘴炎暴走(ディアベル・ネメアー)────

 

 悪魔の頭髪が膨大に生え伸び、黒い炎となった髪と眉毛が燃え盛る。眼窩上部が隆起して強面に。まるで魔人とも形容すべき人外の姿となった悪魔は、文字通り悪魔らしい見た目として黒々とした死ぬ気の炎を全身から燃え上がらせていた。

 

 戦闘開始。「グルルァアアア!!」飢餓感に狂ったスバミは、悪魔を無視してサトカとヒームの存在を本能的に感知。ソウルセルゲームのルールすら忘れて場外に駆け出す。「《瘴炎鎖(しょうえんぐさり)》」瘴気を束ねて鎖状にした縄で、飢えに苦しむスバミを拘束。その時、覚醒したサトカとヒームが起き上がった。「ぐっ……こんな危険因子、野放しにしてはおけない……」「同感だ……こうなったら自爆して破壊するしかない……」もはやソウルセルゲームは体裁を失った。サトカとヒームは舞台に駆け上がるとソウルジェムを激しく励起させる。「《天を騙す炎身(フレイムアバター)》────《助太刀》────」悪魔は分身体を二体作成。双方に一回分と二回分の助太刀魔法の刀剣を持たせる。これで三回も魔法を行使した。悪魔は生命力を著しく消耗して膝をつく。そして一体目の分身は待機し、二体目の分身は逆噴射で飛行しウワサ空間の外へ脱出した。依然として本体の悪魔は瘴炎鎖でスバミを拘束しているが、圧倒的なパワーによって逆に引きずられてしまう。「ヒーム! 呑み込まれたら自爆できない!」「サトカ。距離を取って自爆しよう。悪魔が抑えている今がチャンスだ!」サトカとヒームのソウルジェムが臨界点に昇る。そこで七海やちよが焦ったように怒号を発した。「みんな! 今すぐこの場から離れて!」「無駄よ! もう遅いわ! わたくしたちの魔力係数から概算するに、ソウルジェムの自爆はこのウワサ空間を跡形もなく吹き飛ばす!」「せっかく造った万年桜のウワサは消えてしまうのは残念だけど、特に思い入れのある場所じゃないし、僕らマギウスにとっては隠れ家の一つでしかない。容赦なく君たち邪魔者を含めて撃滅させてもらうよ────」無論そんなことはさせない。一体目の分身が動いた。逆噴射による爆発的推進力でサトカとヒームの背後に回る。臨界点に到達した二つの疑似ソウルジェム。閃光がウワサ空間を包むかと思いきや、悪魔の分身体が助太刀魔法を行使。ウワサ空間を飛び越えて遥か大気圏の上空に転移した。そこには転移先である一体目の分身体が待機しており、その一体目は自爆に巻き込まれないため助太刀魔法を行使。どこかに飛び去った。「そんな! 瞬間移動系の魔法!?」「この情報は知らない! 僕らクローンは、まだオリジナルから完全に情報は引き継いでいない……それがアダとなったか!」悪魔は理解しようと努めるが、それでも理解できない己に歯がゆさを感じる。「なぁ、サトカ。ヒーム。いや……里見灯花、柊ねむ。お前らは恐ろしいよ。自分が何をやっているのか分かっているのか?」悪魔は戦慄する。なんの躊躇もなく自爆の道を選ぶ天才幼女たちを目の当たりにして言葉が出ない。超直感を駆使しても理解が及ばない。オリジナルがいればクローンは消耗品でいい? それでこの子たちは完全に納得している。強い信念だ。しかし同時に無垢でもある。もっと自分を大切にしてほしい。生後一日で君らは自爆を選ぶのか? そんなの────悲しすぎる。「くっ……こうなったら臨界点を超えても頑張ってこらえて、もっともっと魔力圧を引き絞れば……!」「あぁ。山一個分を吹き飛ばす火力が出るだろう!」そんなことすれば森林火災に地震、土砂崩れと、北養区の山間部の住民が大被害をこうむる。悪魔は刀剣を抜刀。眉間にシワを寄せながら、二人の首を切り落とした。────爆発。遥かなる上空・大気圏と呼ばれる領域で大閃光が明滅する。

 

 その大爆発の衝撃波は、余波として万年桜のウワサ空間に響き渡った。直後、一体目の分身体が二度目の助太刀魔法を行使して帰還。分身体はエネルギーが尽きて消滅。その傍らには八雲みたまが立っていた。「っ!」八雲みたまは突然の出来事に困惑する。そこで悪魔は直感した。「なんだ……ウワサ空間の外で待機していたのか」そして八雲みたまは人造魔法少女1号スバミを目にした途端、目を見張って硬直した。悪魔は他者に聞こえない声量で八雲みたまに語りかける。「お前が加担した罪だ。やりそこねた贖罪を、ここで清算しろ。もとよりそのつもりで、ここに来たんだろう」「────」八雲みたまは意を決する。ハンカチを取り出し、《調整》魔法を行使。瘴炎鎖で拘束されているスバミに近付こうとした刹那「グルグラァアアアア!!」「ぐっ……!」スバミの圧倒的なパワーに悪魔は引きずられる。危なくて八雲みたまは近付けない。「起動キーであるサトカとヒームが居なくなっても、まだ強制駆動を続けている……完全に暴走状態だわ……」「っ……!」雲の増殖効果で筋力倍加。瘴炎鎖を楔として地面に打ち込むことで足場を補強。綱引きに耐え切る。「昂ぶるモルガナイトの髪飾り!」その時、環いろはがキモチを使用した。生え伸びる桃色の髪の毛がスバミの胴体を拘束する。同時に髪の毛が悪魔の瘴炎によって焼かれていくが、おかまいなしと言いたげにスバミの拘束を援護した。「悪魔さん! これでいいんですね!?」「あぁ……ありがとう、いろは!」直後、七海やちよの投槍。最後の力を振り絞って投げた槍はスバミの腹部を貫通。穂先が地面に食い込んでスバミの位置を固定する。「悪魔! 何する気なのか知らないけど、さっさと決めなさい!」「やちよ……!」しかしスバミの全身から莫大な魔力が放出される。空腹のドッペルの力が本領を発揮してきた。瘴炎鎖や環いろはの髪はブチブチと音を立ててちぎれていき、七海やちよの硬槍も亀裂が入る。「チッ……見てられねぇぜ!」赤い影が走る。多節棍でスバミの関節を極めた佐倉杏子は、さらに結界魔法で動きを束縛した。「佐倉……!」「これはツケだぜ、悪魔!」鹿目まどかは治癒魔法で環いろはの髪の燃焼やちぎれかかる部分を癒す。暁美ほむらは舞台に上がり、悪魔のそばに駆けつけた。「あの、悪魔さん! いったい何をするつもりなんですか!?」「みたまに調整させる! だが見ての通り、今のかずみは大人しく調整を受けられる状態じゃない!」「────それなら、私の時間停止魔法で……!」「だが調整は触れる必要がある! 調整の瞬間だけは反撃を受けるぞ!」「それならこの由比鶴乃にお任せだよ!」舞台に降り立った由比鶴乃だが、具体的に何をすれば良いのかと鼻を鳴らす。「鶴乃……よし、ほむらが時間を止めてかずみに近付く! みたまが調整を開始したら反撃を受けるはずだ。それを鶴乃が対処して、とにかくみたまを守りきれ!」「了解っ!」そこに百江なぎさが駆け寄る。「それなら遮断魔力が適切なのです。なぎさの泡で包めば、ある程度の攻撃には耐え切れるのです。鶴乃はヘイトを稼げばそれで良いのです」そこで悪魔は指示を出す。「ひなの! 硬化魔力を四人に掛けてくれ!」「お────おう! 任せろ!」都ひなのから緑色の魔力がきらめき、八雲みたま・暁美ほむら・由比鶴乃・百江なぎさに硬化性質を付与する。「ななか!」「言われずとも、一瞬だけでも大きく動きを止めれば良いのでしょう? ならば! 時雨華心流 攻式・八之型────《飛雨(ひう)》ッ!」鎮静魔力の水滴を散弾銃のように飛び散らし、それがスバミに命中する。スバミの体が硬直する。

 

 刹那、暁美ほむらは固有魔法《時間停止》を行使した。暁美ほむらの体に触れている限り、八雲みたま・由比鶴乃・百江なぎさは止まった時間の中を移動できる。「私から手を離さないでください! すると時間が止まってしまうので!」「えっ! それじゃあ片手でドッペルの相手をしなくちゃいけないの!?」「ほむらと鶴乃を紐で結べば良いのです。そんなものがあればの話ですが」百江なぎさは四人を包み込む遮断泡を生成して四人の体をコーティング。「あと……彼女に触れたら、自動的にいろはちゃんと悪魔さん……あと佐倉さんも止まった時間の中に入ってきます」「つまり、どのみち綱引きは避けられないってことね」「でも危険を感じたらすぐに離れてください! そうしたらすぐに動きが止まるので!」敵が反撃したら距離さえ取れば時間停止で回避の余裕が生まれる。そのための暁美ほむら。由比鶴乃は一瞬でも反撃を押し返すため魔力を蓄積。八雲みたまはスバミに触れる。瞬間、色のない世界の中でスバミが動き出す。そしてスバミと鎖や髪、槍で接続している悪魔や環いろは、佐倉杏子も動き出した。『────ッ!』「グルルァアアアア!!」暴れだすスバミ。背中の翼は瘴炎鎖が縛っているが、隙間から漏れ出てきた空腹のドッペルが地団駄を踏む。「炎舞!」由比鶴乃の鉄扇が炎を逆巻いて迎撃。「モベホーン!」百江なぎさも加勢する。ゼロ距離での攻防。その中で八雲みたまは、スバミの中にある起動キーを破壊するため《調整》を施した。「これで────あなたは元に戻る!」「っ────! 時間停止、限界です!」

 

 白き閃光が空間を包む。八雲みたまは、人造魔法少女1号に搭載された起動キーを調整により破壊した。起動キーとは、究極の生命体に進化するため必要な栄養素──サトカとヒーム──を吸収するための強制駆動システムである。この起動キーが発動した時、人造魔法少女1号は理性が吹き飛び、ただひたすらサトカとヒームを取り込んで、マギウスのために働く使い魔となるはずだった。

 

 しかし数奇な運命──黒いトランク・悪魔との出会い──により、人造魔法少女1号スバミは、計画段階とは異なる方向に進化していった。そして今、彼女の自由を奪う起動キーを破壊した。これによりスバミは、もはやマギウスに囚われない、ただの普通の女の子として、これからを生きることができる。

 

(ごめんなさい────許してほしいなんて思わない。思えない。この起動キーを施したのは、ほかならぬこの私……言い訳のしようもない……私の罪)

 

 白き閃光が鎮まる。呆然と佇む魔法少女たち。スバミは意識を失って地に伏せる。それを目にした悪魔は直感。もう彼女の中に強制駆動による暴走の気配が一ミリもない。それに安堵したのか、魔法行使の濫用で生命力が底をついたのか、自動的に呪印形態が解けて、悪魔は背中から倒れるように気絶した。

 

 一斉に駆け寄る魔法少女たち。鹿目まどかは治癒魔法をスバミに掛けて、環いろはは悪魔の体に治癒魔法を掛けようとする。が、そんな環いろはを百江なぎさが制した。環いろはは「いくら寿命のためでも」と、もっとほかに理由があるのではないかと説明を求めるが、百江なぎさは「クマ吉の本意ではない」としか言わずけむに巻く。傷は痛いだろうが死ぬほどではない。自然治癒に任せた方が良いと。黒江も環いろはの言い分には賛成で、自然治癒を促進させる薬を調合しようと提案するが、それもまた百江なぎさに止められる。

 

 やがて御崎海香と牧カオルが目を覚ます。万年桜の大木の陰で眠っていたオリジナルの昴かずみは、呑気に大きなあくびをしてようやく目を覚ました。ここまでドンパチやってよく眠れるなと佐倉杏子はツッコミを入れつつ、グリーフシードがたんまり入った箱を持ち出して千歳ゆまと退散。入れ違いに御崎海香と牧カオルが昴かずみの体に飛びつくが、昴かずみはなぜ自分がこんなところにいるのか皆目見当がつかず困惑していた。

 

 かくして激闘のソウルセルゲームは終了し、一行は一路みかづき荘に帰宅したのであった。

 

          †

 




「秩序大爆衝突」って何?
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