アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO! 作:形のない者
【魔法学:魔法少女の総合力の表と値(ステータスとパラメータ)】
【小話:巴マミという魔法少女について】
~15:22~
「Bランク戦の最中に突として現れた恭弥アーデルハイト。彼はBランクの魔法少女を全滅させると、悪魔の前に現れて不敵な笑みをこぼす────!」
枇々木めぐるの実況に熱が入る。命の危機を感じているはずなのにマイクを手放さないのは実況者魂ゆえか。
「……来てくれたのか、恭弥」
「……」
「礼を言う。だが珍しいな。オレの頼みを聞いてくれるなんて」
「誰と誰が群れるって?」
恭弥は懐から一枚の紙を取り出す。
「沢田綱吉。君は並盛中学校の生徒でありながら一年半ほど不登校だ。並中の風紀委員長として、我が校の風紀を乱す者は処罰しなければならない」
「なるほど。そのために来たのか」お前らしいと悪魔は呟く。
「で、返事は?」
「断る」
「嬉しいよ。じゃあ
悪魔はどうしたものかと頭をかく。
「あー恭弥。それは構わないが、少しもったいないぞ。オレと戦うより、もっと楽しみなことがあるのに」
「……。それはホントかい?」
「あぁ。もしここの群れている奴らが、オレ並みに強くなったとしたら────面白いと思わないか?」
「…………」
「オレを学校に連れ戻すのは、その祭りのあとでも構わないだろう」
「ただの血祭りはゴメンだよ」
「そりゃ血祭りにはなるさ。ただし
「……!」
恭弥アーデルハイトは一瞥する。
「……構わないよ。群れてる奴らを噛み殺すのも、風紀委員長の仕事だからね」
「助かる。ちなみに約束の魔法動物は?」
「草壁に運ばせている。何台かトラックが来るから、あとは好きにすればいい。君なら任せられるからね」
「ありがとう。相変わらず恭弥は小動物に甘いな」
「なに? もしかして今、咬み殺されたいの?」
悪魔は隙を見せないよう牽制しつつ解説席に戻る。
「万年桜を戻せ。Bランクの連中はまだ息がある。治療しなくて構わない。このままAランク戦を始める。だがルール変更。全員で恭弥アーデルハイトから生還しろ。以上だ。むく」
空から刀剣が降り注ぐ。それに傷付けられたAランクの魔法少女たちと恭弥アーデルハイトは転移。既にジュリー凪が用意していた新たな戦闘フィールドに転移させる。
「枇々木めぐる。引き続き実況を頼む」
「は、はい……」
そこで吐血しながら環いろはが上体を起こす。そして悪魔の方に振り向き、腫れた瞼、切り傷と流血の頬、今にも気絶しそうな震え顔で、問いかけた。
「あ、悪魔、さん……な、なぎさちゃんは、本当に……」環いろはの言いたいことを悪魔は直感する。
「そこの縁側に吊るしてある死体が全てだ」
「っ……!!」
続いて暁美ほむらが起き上がる。膝より上は持ち上げられない。だが最後の気力を振り絞って悪魔に問いかける。
「悪魔、さん……私たちは、人間ではないと、さっきの授業で言いましたよね……」
「あぁ」
「では、私たち魔法少女は……
「誰もそんなことは言っていない。普通の人間としての幸せを求めたければ強くなれ。かつての日常を取り戻し、守り通したければ、力を示せ。これは、そういう話だ。……弱い奴は何を求めても口だけ達者、思うだけで呆気なく死ぬ。正義を通すも信念を貫くも、まずは勇気と力があって初めて実るものだ。そのために今お前らは努力しているんだろう。努力したいんだろう。そして勝って夢を実現させろ。特に実らせるつもりがない正義感や信念は、ドブの底に捨てておけ。そういうのは、のうのうと生きている人間にありがちな、取るに足らない、くだらないプライドだ。誇りとも呼べない甘えた根性だ。塵芥にも劣る醜悪で汚い、劣悪な弱さにも劣る人でなしの人間性だ。自分の中にあるそういう
暁美ほむらは立ち上がる。血だらけの口元を拭って、毅然とした目付きで告げる。
「段位の評価をお願いします。もし私がAランクに上がるなら────」
「シャワー室は便所の隣だ。生き急いでも死ぬだけだぞ。風呂にも入ってないのにのぼせ上がるな」
「……」
暁美ほむらは黙ってシャワー室に向かう。
「っ……」常盤ななかが立ち上がる。ふらふらと覚束無いが、純美雨と志伸あきらを抱き起こすと、忸怩たる思いでシャワー室に向かう。
悔しがっているのは、つつじの三姉妹も変わらない。桐野紗枝や加賀見まさらも同様のようだ。
「……みんな、強いな……」そう呟いた環いろはは、正直理解できなかった。生き残るため鍛えるという言い分は分かる。だがこれはやりすぎではないのか。悪魔の言う通り、これが現実なのかもしれない。だがそれでも自分は妹さえいればそれでいいのだ。しかし、世の中にはそれを邪魔する者がいるという話だと、今の悪魔と暁美ほむらとの問答で、ようやく分かってきたかもしれない。なんとなくだが、この理不尽に負けてはいけないのだと、身を奮い起こして────「みんな、これが最後の治癒魔法です。もう魔力がありません……それと心の疲れは、シャワーを浴びて洗い流しましょう」
チームみかづき荘も血を滴らせながら立ち去る。
「ちなみにランク戦はシャワー室でも見ることができる。Cランクの連中もシャワーを浴びたければ行くといい。そしてこれからの戦いをよく見ておくことだ」
†
Aランク戦。
恭弥アーデルハイト。
七海やちよ、エッダ。
鹿目まどか、千秋理子。
十咎ももこ、水波レナ、秋野かえで。
竜城明日香。
「以上のチーム行動で、中央に陣取る恭弥アーデルハイトを、Aランクの魔法少女たちが包囲していきます! もはや一対多! 圧倒的な怪物・恭弥アーデルハイトを倒すため、多くの魔法少女が一丸となって挑みます!」
「恭弥に魔力を使わせれば及第点だ。特に縛っているわけじゃないから気分次第で普通に魔力は使う時もあるが、もし
「西側代表の七海やちよは、黄色魔力以外を使いこなせるようです。六重属性とは珍しいですね。これは才能でしょうか?」
「いや。固有魔法・希望継承の効果だ。七海やちよは死んだ者の希望を受け継ぐことで強化する。安名メルの死で木属性を、雪野かなえの死で闇属性を、十咎ももこの死で火属性を受け継いでいる。ただし魔属性は希望継承魔法の副産物だ。このように、多くの思いを背負っている奴は、強いぞ」
「魔法少女歴七年は伊達ではないということですね────そんな七海やちよは、東側代表の和泉十七夜ではないかと噂されるエッダとコンビを組んで行動しています。エッダは活性魔力の使い手であるため、コネクトすれば七海やちよの“黄色魔力を使えない”という欠点をカバーできますね。そして他方では鹿目まどかと千秋理子が合流し行動。どちらも潜在能力が桁違いというつながりがあります。残るはチームももこ。十咎ももこ・水波レナ・秋野かえでの三人組です。悪魔契約の経験者であるようで、三人とも契約前と比べて非常に高い魔力係数、すなわち潜在能力を有しているようです」
「その組み合わせの中で連携能力が高いのはチームももこだ。しかし経験の差でアドリブ力が高いのは七海やちよとエッダだろう。潜在能力が高くても経験に乏しい鹿目まどかと千秋理子が足を引っ張る展開だけは避けたい」
「ちなみに戦闘フィールドは廃墟街です。市街地と異なる点は、建物が老朽化して崩れているモノもある、といったところでしょうか。────と、ここで十咎ももこが動いた!
「手数が少ないためBランク戦と比べて奇策は作り出しにくい。実力勝負を強いられる中、格上相手にどう戦うか」
「す、凄まじい格闘戦です! 分析効果を使っても、やっと捉えられる音速戦闘────!! 特にエッダ! 彼女はそれほど魔力を消費していないのに、恭弥アーデルハイトと同等の肉弾戦を演じている! 七海やちよ、既にコネクトして活性魔力を貰っていたのか、七色の魔力が槍より放たれる! ────っぁ!? なんだ!? 極光! ヴぁ────!?」
突然の閃光。次いで刹那の爆風が解説席を薙ぎ払う。七海やちよとエッダが必殺魔法を行使したのだ。その余波で戦場が跡形もなく吹き飛び、有幻覚が爆散する。
「教師は生徒たちを守れ!」
悪魔は枇々木めぐるの首元を掴んで死炎噴射。安全な位置に退避。やがて閃光が静まる。上空のスクリーンを見るまでもない。地平線の代わりに土塀が見える。そのずっと手前では、恭弥アーデルハイトが七人の魔法少女たちと殴り合っていた。
「こ、これはどういうことか!? 大技を撃っても恭弥アーデルハイトは全くの無傷! いや、雲ハリネズミの姿が見えない!? もしや恭弥を庇って力尽き、匣の中に戻ったのか! だがそれならもう一撃、大技をお見舞いすれば恭弥は倒れるはず! なぜ近接戦闘を挑んでいるのか!」
「魔力の無駄遣いだと気付いたからだ。再び大技を撃っても雲ハリネズミを開匣されて完全防御される。ならば雲ハリネズミを出していない今、袋叩きにした方が勝率が高いと判断したんだ」
「み、身も蓋もない戦い方ですが、たしかに戦いは数と言います! しかし数で優っていても質で劣る場合は、いったいどうすれば……?」
「それこそシンプルな連携能力と幸運を掴んで逃さない見切りの力が試される。達人同士の戦いは、結局どれだけ基本を収めたかどうかに帰結する。初心者は基本で戦い、中堅者は応用で戦い、上級者は極めた基本と応用で戦う。何事もひとつのことを極めた奴が純粋に強い。お手本とするには遠い世界かもしれないが、当人しか出来ない奇策ばかりを見せられても真似できない。この戦いこそ刮目して学び取れ」
「し、しかし、目に見えない槍捌き! 残像として残る拳と蹴り! 尋常ではない反射神経から繰り出されるトンファーの一撃と、仕込み武器の多彩さ! あの速さで次に何を出すか考えながら戦闘するというのは、およそ私の実力では考えられません! 彼女たちは倍速の世界で生きているのですか!?」
「ならば魔力で思考を高速回転させればいい。だがそれは脳の回路がショートするためオススメしない。一番は地道な基礎練習だ。それを継続して、今度は魔法少女の身体能力で活用できるよう訓練する。だがそんな長ったらしいことをやっている暇はない。とりあえず瞳に魔力を回して動体視力を上げろ。そして音速戦闘を目で見ることに慣れるんだ。そうすれば格上相手に逃げ回るくらいはできるようになる」
「っ────恭弥アーデルハイト、槍と拳、矢と杖、一時停止魔弾……! 雲の炎を薄く放射して音速不可視の攻撃を探知し、全て微笑んで一笑に付す! た、愉しそうです……! それはなんて凶暴な笑みなのか……!! あっ! 七海やちよが蹴り飛ばされた! 腹部貫通!? 連携が崩れた隙を逃さずエッダを殴り飛ばす! エッダは見切りの魔眼を持っていると資料に書いてありましたが、それすらも上回る力が恭弥アーデルハイトにはあるのか……! ────あっ! 恭弥アーデルハイト、動いた! 一気に跳躍して鹿目まどかに飛びかかる! 頭上を一撃! 膝蹴りで顔面! 回し蹴りで吹き飛ばす! 隣に立っていた千秋理子、青ざめる! 逃げ────っ!! 恭弥、容赦なくトンファーで殴り、数キロ先まで吹き飛ばした────! 今、私の頭上を千秋理子が通り過ぎていく────!! これはさすがに、千秋理子はリタイアか……!」
豪快な衝撃音が轟く。遮断結界の壁に激突して跳ね飛び、屋根に落ちて瓦を巻き込み地面に落下。笹川了子は急ぎ治療に向かう。
「恭弥アーデルハイト、俊敏に獲物を狙う! 十咎ももこ、撤退! 水波レナと秋野かえで、十咎ももこをフォローすべく追いかける! さすがに疾走速度は魔法少女に負ける恭弥! 背後から追い立てられるが────!? 突然振り返って秋野かえでの腹部を打つ! あ────か、貫通したぁあ!! 魔法少女なら死なないからって横暴すぎる! 水波レナ、怒りの力で必殺魔法を行使! だがそれはダメだ────!! 恭弥、マギアを出されるより先に水波レナを打ち据える! が、そこに魔弾が飛来! トンファーを弾いた!! これはチャンス! 槍の一撃が恭弥アーデルハイトを打ち抜────」
身の毛がよだつ。怖気や悪寒なんて比ではない。それは開けてはならぬ地獄の蓋。その
あらゆる生物の息が止まる。それは、生態系の頂点に君臨する者が見せた、気まぐれな王の牙だった。
恭弥アーデルハイトの魔力が静まる。水波レナは絶望していた。生まれたての子鹿のように震え上がり、何をする気も起きなかった。面を上げることもできない。もし、ソレと目を合わせてしまえば────閻魔大王によって地獄に落とされるより、遥かに怖いことが起きると想像できてしまったからだ。
「……戦意喪失? つまらないね」
「水波レナ、恭弥のトンファーによって殴り飛ばされる! 恭弥、十咎ももこを狙う! 我に返った十咎ももこだがもう遅い! 一撃! 血反吐を吐いて膝を屈する! う、動けない……! 十咎ももこ、動けない! 魔力で肉体を再生すればいいだけだが────そんなことをしたら、不可避の拷問が待ち受けている! こ────心が折れる! こんなの……勝てるわけがない!」
「ならば生き残れ」
「────! あ……恭弥アーデルハイト、七海やちよとエッダに矛先を変えた! に、逃げるなら今だ! 十咎ももこ、撤退! 水波レナと秋野かえでを回収してこちらに全力で走ってくる! それを一瞥した恭弥だが、七海やちよとエッダがチームももこを逃がすべく自ら虎口に飛び込んだ────!! ソニックブームがこちらまで届きます! まるでジョット機の排気音を間近で聞いているような爆音────!! わ、私の声は聞こえておりますでしょうか────!? い、異次元……いえ、これは、超次元バトル────!! さ、最強の魔法少女の名は、伊達ではない……っ!! いや、本当にあれは魔法少女なのか!? 魔力も魔法も、ろくに使って────」
ふと、悪魔は恭弥アーデルハイトと七海やちよの話し声を心理から直感した。
「……君、いいソウルジェムを持っているね」
「────!!?」
「青い方だよ。そのソウルジェムからリングを作れば、Aランクオーバーのリングが作れそうだ。ソウルジェムの色が青色なのが残念だけど」
「…………」
七海やちよは冷や汗を流す。脅しにしては笑えない。本当に笑えない。もし紫色のソウルジェムだったら────彼女は、七海やちよを本当に咬み殺していただろうか?
「それと君……小動物みたいに不死身なんだね。厄介だし、つまらないから────もういいよ」
「っっ!?」
恭弥アーデルハイトは霧系リングから炎を灯してロープを構築。リングが割れる。エッダの体を縛り上げた隙にソウルジェムを奪い、ポイッと百メートル圏外に放り投げた。
「なっ────」
七海やちよは援護もできなかった。片方のトンファーで完璧に槍を捌かれている。武術の練度も桁違いの差がある。
「君、なかなかやるね。もう少し楽しめそうだけど……そろそろ飽きてきた」
一撃。今日の恭弥にとって最速の一撃だった。
「カ……ハ────……ま、まだ……力を……隠して……」
「小学生のお遊戯レベルでは楽しかった。でも次は
七海やちよは倒れる。本気とは即ち殺し合い。さすがにその勝負には乗れない。戦った場所が全壊するだろうし、必ずどちらかが死亡する。恭弥アーデルハイトに修行という文字はない。彼にとって戦うとは、その全てが命懸けの殺し合いを意味するのだ。命に危険が及ばない戦いである練習試合・スポーツなんて概念・考え方は、彼の辞書には存在しない。
「さて……残るは
恭弥アーデルハイトは、戦いを傍観していた竜城明日香に向き直る。
「竜城明日香、薙刀を構える! その眼光と気迫は裂帛の意気! いざ────いざいざ! 魔法と古武術を織り交ぜる免許皆伝者と、恐るべき風紀委員長が激突する────!!」
「あっ────!! い、一撃! 薙刀の刃をトンファーが滑走して────竜城明日香の顔面を一撃粉砕!! 倒れる! う、動かない! 恭弥アーデルハイト、矛を収めた! こ、これは────」
「……これじゃ修行にならないな。ただの蹂躙だ」
「え……Aランク戦、終了ォ────ッ!! 恭弥アーデルハイト選手の圧倒的勝利────!!」
「まぁこれは趣旨を理解していない……いや、理解する気がない恭弥の反則負けでいい。まぁ……それで納得するほど、Bランク以上の連中が大人しいとは思えないがな」
恭弥アーデルハイトは、肩から崩れかかった学ランを根性で羽織り直しながら、悪魔の横を通り過ぎて跳躍。屋根の上で仰向けになると、後頭部に両手を回して足を組み、あくび。なんと健やかに寝息を立て始めた。
「相変わらず自由な奴だ。しかし、さすがにAランクとの戦闘は疲れたと見える」
悪魔はホワイトボードに実力順序の図を貼り付ける。
◆────────【上段の間】────────◆
8畳│悪魔将軍
7畳│恭弥アーデルハイト
6畳│七海やちよ← エッダ←
5畳│百江なぎさ(故)
4畳│ジュリー凪&六道骸
3畳│シトピ隼人 水野むく 竜城明日香←
2畳│笹川了子 ランボ 鹿目まどか←
1畳│十咎ももこ← 水波レナ← 秋野かえで← 千秋理子←
◆────────【中段の間】────────◆
8畳│暁美ほむら↑ 都ひなの↑ 呉キリカ← 常盤ななか↑
7畳│由比鶴乃↓ 鼓星かずみ↓ 純美雨← 加賀見まさら↑
6畳│入名クシュ(未参加) 夏目かこ↑ 桐野紗枝↑
5畳│アシュリー・テイラー↓ 五十鈴れん↑ 遊佐葉月↑
4畳│由貴真里愛 環いろは↓ 二葉さな&アイ← 粟根こころ↑
3畳│美凪ささら← 美樹さやか↑ 静海このは↑ 黒江↑
2畳│志伸あきら↓ 綾野梨花← 江利あいみ← 三栗あやめ↑
1畳│環うい 八雲みかげ 御園かりん 七瀬ゆきか 万年桜←
◆────────【下段の間】────────◆
8畳│阿見莉愛 古町みくら 吉良てまり 三穂野せいら 深月フェリシア↓
7畳│神名あすみ(故) 水樹塁 観鳥令 相野みと 伊吹れいら 桑水せいか
6畳│牧野郁美 由良蛍 胡桃まなか
5畳│梢麻友 史乃沙優希 若菜つむぎ 毬子あやか
4畳│真井あかり 香春ゆうな(未参加)
3畳│眞尾ひみか 枇々木めぐる
2畳│春名このみ 矢宵かのこ 空穂夏希
1畳│恵萌花 八雲みたま(不参加)
「さて、これにて八限目のランク戦は終了とする! シャワーを浴びたあと、給仕係の
†
~17:00~
九限目。座学。魔法学:魔法少女の総合力の表と値(ステータスとパラメータ)。
「ふわぁ……」入名クシュが目を覚ます。彼女には叛逆魔法で、今までの授業内容が全て頭に入るよう促した。無意識レベルでは理解しているはずなので、あとで紙面のテストを出す予定だ。おそらく全問正解間違いなしだろう。
「クシュは顔を洗ってすぐに戻ってこい。────それでは授業を始める。今回はとある計測器を使ってソウルジェムの状態を数値化する。それは魔法少女の力量を測る事と同義だ。計測方法は様々だが、今回はキュゥべえの計測基準を採用する」
悪魔はホワイトボードに図を貼る。
【氏名】魔力圧 魔力速 固有術 修得術 防御力 持久力 合計値
※このテンプレートに自分の氏名を書いて、言われた通りランク付けすること。
「魔力圧とは、魔法少女の心身や魔力・ソウルジェムが耐えられる魔力の圧力を指す。魔力圧の高さはイコールあらゆる攻撃力の高さに直結する。
魔力速とは、魔法少女の心身や魔力・ソウルジェムが耐えられる魔力の循環速度だ。魔力速の高さはイコールあらゆるスピードの高さに直結する。
固有術とは、契約初期段階で獲得可能な固有魔法の概念強度・概念個数を指す。固有術の高さはイコール初期属性魔術の高さ・多さに直結する。概念強度とは“ソレの知名度的な高さ・神秘的な強さ”と思えばいい。概念個数はそのまま“固有術の保有数”として受け取ればいい。どちらも厳密には異なるが。そして問題の初期属性魔術についてだが、これはキュゥべえの説明を受けたオレでもよく分からない。シンプルだが奥深い概念だということは理解している。これに関しては各自の解釈で構わない。ちなみにオレの解釈は“契約初期段階に獲得した起源ひいては属性魔術の才能の高さ”と判断している。TP魔法界の魔術師の受け売りだがな。
修得術とは、契約後期段階で修得可能な修得魔法の多彩さを表す。修得術の高さはイコール追加習得魔術の幅広さ・多さに直結する。ちなみに魔法と魔術の違いって分かるか? TP魔法界では“その時代で再現不可能な結果をもたらすものが魔法であり、再現可能・代用可能なものは科学と同列のため魔術と呼び分ける”そうだ。しかしQB魔法界では今のところ然したる違いはないと思ってもらって構わない。HP魔法界も明確な定義を用意していないからな。あと“○○魔法界”という呼び分けについては今後の歴史の授業で説明する。
防御力とは、魔法少女の心身や魔力・ソウルジェムが耐えられる概念衝撃を指す。防御力の高さはイコールあらゆる防御力の高さに直結する。
持久力とは、魔法少女の心身や魔力・ソウルジェムが耐えられる長期稼働を指す。持久力の高さはイコールあらゆる持久力の高さに直結する。
合計値とは、上記・六項目のステータス・パラメーターを集計し、総合的な力量を示す数値だ。これを並べれば当然、比較可能なランキング表も作れる。そして計測基準だが、評価数値はシンプルに「1から5」まで。ただし細かい評価を可能とするため小数点は第一位まで残しておく。そしてこれが平均的な指標となる」
悪魔は続けて図を貼る。
契約初期段階の魔法少女の平均合計値は「5」 ※新米魔法少女。契約して1日~数ヶ月。
契約中期段階の魔法少女の平均合計値は「10」 ※中堅魔法少女。契約して半年~1年以上。
契約後期段階の魔法少女の平均合計値は「15」 ※ベテラン魔法少女。契約して3年以上。
世界的最高位の魔法少女の平均合計値は「20」 ※最強の魔法少女と呼ばれる存在。
【例】
【佐倉杏子】魔力圧3 魔力速4 固有術1(2) 修得術3.5 防御力3.5 持久力3 合計値17(18)
固有術《幻惑 眩惑》 修得術《分身 変形 結界 炎》 補足「幻惑は心的外傷を機に封印」
【巴マミ】魔力圧4.5 魔力速3 固有術3.5 修得術4 防御力1 持久力3 合計値19
固有術《繋留・緊縛・拘束・結ぶ》 修得術《治癒・錬成・結界・分身》
【百江なぎさ(初期)】魔力圧1 魔力速1 固有術1.5 修得術1 防御力2 持久力2 合計値8.5
固有術《吹奏 泡ぶく》 修得術《捜索》
【百江なぎさ(現在)】魔力圧2 魔力速2 固有術3 修得術2 防御力4 持久力4 合計値17
固有術《吹奏 水泡 野営》 修得術《捜索 騎乗》 補足「悪魔契約後、全項目値が約二乗」
【暁美ほむら(一週目)】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術3 修得術0 防御力0.5 持久力0.5 合計値5
固有術《■■■■・平行移動・時間停止》
【暁美ほむら(二週目)】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術3 修得術1 防御力0.5 持久力0.5 合計値6
固有術《■■■■・平行移動・時間停止》 修得術《格納》
【暁美ほむら(三週目)】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術3 修得術1 防御力1 持久力0.5 合計値7
固有術《■■■■・平行移動・時間停止》 修得術《格納》
【暁美ほむら(現在)】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術3 修得術2 防御力1 持久力1 合計値8
固有術《■■■■・平行移動・時間停止》 修得術《格納・魔力操作》
※注意:暁美ほむらの固有術「
「ちなみにステータス下部に記載した固有術と修得術の補足は、単なる
また、ここで注意してもらいたいのは、このステータス・パラメーターはあくまで当該魔法少女の“才能”を表しており、最も重要と言える“練度”までは表していない点だ。数値だけで勝敗が決まるなら、この世界はもっと単純に
では順番に並んで計測器にソウルジェムを置いてくれ。一分も待てば計測完了。数値が出力されて接続したプリンターに印刷されるから持って帰れ。なお、この計測器は八雲みたまの調整屋に譲る。成長した自分の魂を確かめたい場合、調整屋でソウルジェムの熟練度を測ることだ。生身での技量的熟練度を測りたければ、格上相手に腕試しでも申し込むんだな」
全ての魔法少女が、自らの魂すなわちソウルジェムの熟練度を測る。
その結果は意外や意外、悪魔が定めたA・B・Cのランク評価とは、そこそこ差があった。
「オレの基準は
【七海やちよ】魔力圧3 魔力速3 固有術1 修得術3 防御力3 持久力5 合計値18
固有術《希望継承》 修得術《装甲無視 未来誘導 激励》
【鹿目まどか】魔力圧2 魔力速2 固有術2 修得術4 防御力4 持久力2 合計値16
固有術《治癒・?》 修得術《光の弓矢・魔法陣・?・?》 悪魔の補足「不明部分が多いのは、まだ才能が覚醒していない証拠だ」
~~~
~~~
【由比鶴乃】魔力圧2.5 魔力速2.5 固有術2 修得術0 防御力1 持久力2 合計値10
固有術《幸運 火炎》
~~~
【美樹さやか】魔力圧1.5 魔力速3 固有術3 修得術0 防御力0.5 持久力1 合計値9
固有術《治癒 強化 剣製》
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【二葉さな】魔力圧1 魔力速0.5 固有術2 修得術0 防御力2.5 持久力2 合計値8
固有術《透明 拷問》
【環いろは】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術1 修得術5 防御力0.5 持久力0.5 合計値8
固有術《治癒》 修得術《賦活 付与 守護 妨害 閉塞》
~~~
【深月フェリシア】魔力圧4 魔力速1 固有術1 修得術0 防御力0.5 持久力0.5 合計値7
固有術《忘却》
~~~
~~~
~~~
【環うい】魔力圧0.5 魔力速0.5 固有術1 修得術0 防御力0.5 持久力0.5 合計値3
固有術《回収》
~~~
全員のパラメーターをホワイトボードに貼り終えた悪魔は、ふと思う。
(思い返せば……いろはは多彩な修得魔法を開発したはずだが、それを使ったのは最初だけだったな。もしや新たに魔法を修得するより、今度は戦闘的な練度を高めようとして、あえて魔法武具と固有魔法だけで戦おうとしているのか……? 自主的な縛り……そういうのは基本ができてからやってほしいんだが……まぁいい。単に手数が多いと一瞬の判断に迷う、という理由で封印しているのかもしれない。いずれにせよオレは見守るのみ。そして落第生となればソウルジェムを回収する。それだけの話だ)
「これで授業は終わりだが、最後にひとつ“最強の魔法少女”について語っておこう」
生徒は“恭弥アーデルハイト”のことだと身構える。だが違う。
「最強と言っても恭弥の場合は“最強の人間”と言った方がいい。なぜならあいつ、ろくに魔法や魔力を使わずお前たちをボコボコにしたからな。オレが言う最強の魔法少女とは、オレが知る中で正真正銘、魔法と魔力を駆使して戦う頂点君臨者。名を“巴マミ”……オレの師匠であり弟子でもある、互角の友人だ」
巴マミの名に見滝原市組が反応する。
「その巴マミを教材としたい。座学の十限目【巴マミという魔法少女について】だ。
彼女の言い分によれば────まず新しい技すなわち魔法を開発するより、基本を鍛えろ。サッカーや野球に例えるなら、必殺技や魔球を考える前に、まず資本となる体を完成させろ。技を考えるのはそこからだ。という教えだな。
ここからはオレの解説だが、魔法における基本とは魔力操作。それを極めたあと、マミは魔法の開発と応用に入った。マミの固有魔法は
魔力を通せばリボンの切れ味が増し、硬くなったり
やがて巴マミは、大量のリボンを束ねることで巨大な砲身を作り出すことに成功。それは必殺魔法として、一撃必殺の巨大光弾を発射する機構を備えていた。技名はティロ・フィナーレ。日本人のくせにわざわざイタリア語である理由は、もう言わなくても分かるよな。
また、マミはリボンを極限まで薄く伸ばし、一ミリより細くすることに成功。目に見えないリボンは、しかし薄すぎて切れやすいため魔力を通すことで補強。あとはその極薄リボンを対象の足首等に巻いておけば、気付かれずに追跡することができる。
また、マミはリボンを編み込むことで分身を作成することにも成功した。人形劇で上から人形を吊るして操るように、極薄のリボンで分身を操作することも可能。リボンは振動を伝えるため糸電話のように音も届く。故に会話も可能だ。しかしリボンが切れたらそこまで。まぁそれも遠隔操作系の魔法を新たに開発すれば、その弱点も消えるがな。
上に挙げた例はほんの一部だ。マミは白兵戦技能を鍛えており、近接戦闘に持ち込まれた場合は蹴り技を主体とした
要するに発想次第で無限大の可能性を実行することができる……それが魔法少女の長所だ。巴マミは兵法書を読みあさり、そこからの閃きで一つずつ技を考え、覚え、それを熟練度の側面でも完成させるため、ひたすら魔力操作という地味な基礎を鍛え続けた。
リボンを銃の形に編み込むのも、リボンを極限まで薄くのばすのも、リボンを自分と同じ姿に編み込むのも、リボンで分身を操るのも、全て異なる魔力操作コントロールが必要となる。そのたび基礎の隅々まで鍛え直す。どれだけ筋トレしても、まだ鍛えていない筋肉が隠れているように、探せば探すだけ鍛えていない基礎は見つかるもんだ。
神は細部に宿ると言うように、奥義は基本の中に宿る。故に巴マミは、オレが知る中で最強の魔法少女だと言える。魔法少女の戦い方は魔力に依存する。ならばその魔力について熟知しており極めている者が、ほかの誰よりも先々を行き、先手を取れるのは道理だ。それは天乃鈴音も同様と言える。両者とも下積み時代が長いからな。────とまぁ、友人だから過大評価していると思うかもしれないが、それでも贔屓目なしに────
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