アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO! 作:形のない者
昼下がりの青空。歴史村の展示ホールを後にした悪魔は、ちょうど玄関前の広場で加賀見まさらと粟根こころ、江利あいみと伊勢崎隼人とすれ違う。
「……悪魔」
「えっ? あ、ほんとだ!」
「悪魔……!? マジで!? あ、あの! この前はありがとうございます! みんなから話を聞きました。今度は世界を救ってもらっちゃったみたいで! おかげでまたこうして、伊勢崎くんとデデデ、デートできてます……! ほんとにありがとうございます……!!」
「ど、どうも……ご無沙汰してます。あいみたち魔法少女をまた助けてくれたみたいで……ありがとうございましたっ!」
江利あいみと伊勢崎隼人は頭を下げる。加賀見まさらと粟根こころも感謝の意を告げようとするが、悪魔はそれを手で制して先に進む。
「先週は散々だったな。そのぶん神浜フェス、楽しめよ」
†
みかづき荘は、歴史村を後にする。時刻はおやつ時の三時頃。白昼が夕陽になる空のもと、ふと環いろは達は見覚えのある姿を発見する。それは七瀬ゆきかとミザリー立会人のウワサだった。
「ハァ、ハァ、ハァ……買い物したことで貯めた十枚のくじ引き券が……今はもう残り一枚……九枚ともポケットティッシュだった……ここで一山当て無ければ、ジ・エンド……!」
「と言いつつ、特に命の危険があるわけではないのですが。お一人で逆境ゲーム楽しんで寂しくはないんです? 外れてもお金を無駄にするだけじゃないですか。それより他の魔法少女と交流しましょうよ。いつまでも逃げてばかりじゃ状況は変わりませんよ」
七瀬ゆきかはくじを引く。もし当たりなら、みかづき荘に声をかける。そしてマギウスの翼の黒羽根としてお詫びをかけたことを謝罪する。もしハズレを引いたら、まだそのときではない。心の準備ができてないということで、すごすごと退散する。決戦にも参加する資格がないとして諦める。
かくして七瀬ゆきかは、運命のクジを引いた。
「────ぐわぁあああああ! ハズレだぁああああああ!! ……ま、まぁでもハズレが出たのなら仕方ないですよねっ。今日はちょっと調子が悪いということで退散をば……」
「あの……ゆきかちゃん、だよね?」
しかし運命とは、望まずとも訪れるものである。
七瀬ゆきかは、環いろはの顔を視認した途端、目を見張って硬直する。
「────た、たた、環いろはさん!?」
「えっと……はい。こんにちは。道場以来だね? もしかして決戦のこと……知ってて来てくれたの?」
「あ……その、あのっ、わ、私……、────」
俯く七瀬ゆきか。そこで環いろはが意を決して問いかける。
「あの、前から気になってたんだけど────ミネルヴァで戦ってたこと、まだ気にしてたりするのかな……?」
「────っ!」
「私たちは、もう気にしてないよ。ホントのこと。というか、洗脳されていたんだから仕方がないよ。今は自由でいられてよかった」
「……環いろはさん……」
そこへ七海やちよが声をかける。
「あら、七瀬さんじゃない。ちょっと話があるの。今夜の作戦会議で顔、貸してくれる?」
「ひゃ、ひゃい! もちろんですっ!! じ、尋問でも拷問でも受け入れますので────!!」
「……あなたねぇ。そんなことしないわよ。というか、
その発言に、七海やちよ以外のみかづき荘が目を点にする。対する七海やちよは、尋問するのは当然のことだと言いたげに堂々と胸を張って、周囲の驚きを無視する。
実はミネルヴァでの戦いの後、七海やちよは七瀬邸に突撃し、マギウスの本拠地や実態について聞き出していた。しかし黒羽根は、空間連結ゲートを通ってマギウスのアジトに移動するため、本拠地の居場所は分からないという。ならばゲートの居場所まで案内しろと言ったが、マギウスの翼の証であるペンダントのウワサがなければゲートを発見できないという事がわかった。そしてマギウスの翼の隠蔽工作は巧妙で、黒羽根を追いかけてゲート移動に相乗りしようとしても、うまく逃げられてしまう。そういう経緯でマギウスに関する調査は手詰まりとなった。それ以来、七海やちよと七瀬ゆきかのあいだに接触はなかったという次第である。
「その上あれから結構経ってるし、マギウスの内情も変わってきているでしょう。要は七瀬ゆきかから得られる情報は古いの。そんなもの求める価値もないわ。だから安心して。取って食ったりしないんだから」
「……はい……」
「まぁ、あなた個人の問題として、自分のしたことが許せないというなら……ぜひ今回の決戦には協力してちょうだい。あなたの魔法なら死ぬことはないでしょう。そもそもキリサキ事件で共に戦い、道場で一緒に鍛えた仲なんだから、そろそろ折り合い、付けてもいいんじゃない?」
そう言って七海やちよは祭りに戻る。先走る深月フェリシアと、七海やちよの後に続くみかづき荘。そこで環いろはが去り際に声をかける。
「えっと……じゃあ、また後でね? 私たちは、いつでも迎える準備はできてるから」
「…………あ、ありがとうございます……そして、み、みなさん! ミネルヴァの時は、ごめんなさい……!」
「うん。ありがとう!」
環いろはの声に続き、由比鶴乃や鼓星かずみ、黒江やイーピンたちがそれぞれ声をかける。涙目の七瀬ゆきかは我慢ならず背を向けて俯く。その横に佇むミザリー立会人のウワサは、そっと呟いた。
「良かったですね、七瀬ゆきかサマ。これで肩の荷が降りたのではありませんか?」
七瀬ゆきかは何も言えず、両目の下を袖で拭う。そして頷き、歩きだした。
†
栄区から南凪区にかけて続く大通り。そこは祭りのあいだ歩行者天国となっており、様々な露店で賑わい、神輿が担がれて太鼓の列が行進する。
「わー! ねぇエッダ姉ちゃ! ミィこれ欲しい!」
「ほう。バナナチョコスイカバーのホイップ盛り……五百円。なかなかのお祭り値段だな。いいだろう。買ってやる」
「なぁ姉ちゃん……コスプレ祭りやってるわけじゃねぇんだからさぁ……その黒騎士みたいな恥ずかしい格好、マジでやめてくんない……? いや、太陽を浴びると吸血鬼みたいに死んじゃうのは分かってんだけどさ。ほかに何かあんだろ……」
八雲みかげと和泉姉弟の会話。そこに悪魔が通りかかる。
「よぉ」
「あ、クマ吉だ!」
「なんの用だ」
「よぉ悪魔! 先週はマジでやばかったな? 世界を救うなんてマジでスゴい奴だ。みんなを助けてくれてありがとな!」
「あぁ。……ところで、みたまの姿が見えないが」
八雲みたま。その名前を聞くと、八雲みかげは心配そうに俯く。
「姉ちゃは……聖杯戦争が終わってから、ミィたちを避けてるみたいで……」
「…………」
「そうなんだ。姉ちゃんがなんか知ってるみたいなんだけど、話してくれなくてさ……」
悪魔は知っている。八雲みたまはフランスで目撃した。聖杯戦争のマスターとしてサーヴァントを従えており、悪魔抹殺のため動いていた。それは本心からの行動ではない。調整屋としてマギウスに深入りしすぎた。マギウスからの依頼を断れば、調整屋としての中立を破っていることを暴露される。そうなれば八雲みたまは完全にマギウスに所属することを余儀なくされる。一時の復讐感情でマギウスに就いたことがアダとなった。因果応報と言える。
「……十七夜」
「十七夜ではない。エッダだ。それと、何も言うなよ」
「みたまはフランスで、マギウスの幹部クラスの扱いを受けてサーヴァントを召喚し、マスターとしてオレを殺しに来た。その負い目で会わせる顔がないんだろう。マギウスの世界征服に加担したわけだからな」
怒れるエッダは奥歯を噛み締める。八雲みかげと和泉壮月は固まっていた。
「八雲みたまは東西問題に報復心を抱いている。調整屋は中立であるべきという信条を破り、一時期マギウスに協力していた。今は手を切ろうとしているが、その前科をばらされたくなれば協力を続けろと脅されているんだろう。なに、今度の決戦でマギウスを倒せば、八雲みたまは解放される。そのためにも、みかげ、壮月。お前らにも決戦に参加してほしい」
「────わかった。でもミィは最初からそのつもりだったよ」
「オレも……参加していいのか? いや、そりゃ出来ることがあるならやるけどよ……魔法少女じゃないオレなんかが参加して、邪魔にならないか……?」
「スタンド使いとして参加すれば、そう遅れを取ることもないだろう。死ぬ気の炎も使いようだ。それに前線だけが戦いじゃない。……それとエッダ。これはいま明かさなければ、あとで泥沼になる話題だった。みかげもバカじゃない。みたまの不穏な行動は見抜いている」
そんなことはエッダも承知している。悪魔は去り際に忠告する。
「みかげ。お前の姉は、今回の聖杯戦争で、“自分が妹を殺した”と、己を責めている。みかげを殺したのは誰がマスターかも分からないサーヴァントだが、マギウスに加担していた以上、大勢の命を奪った責任は同じものだ。故に、それについて一声かけてやれ」
「……うん。ありがとう、クマ吉! ──ちなみにミィは、白い髭を生やしたおじいちゃんに殺されたよ! 棺桶から銃弾を撃ってきてね? 自分をアラフィフって言ってた! 壮月くんのパンチでぎっくり腰になったんだけど、それはウソで、すぐに探偵みたいな人が空手みたいな技で壮月くんを殺すと、私は銃弾で撃たれて死んだの」
そこでエッダが補足する。
「ジェームズ・モリアーティとシャーロック・ホームズだ。どちらも支配されていることを屈辱に感じていた。その方向性は悪徳と正義で相反していたが、奴らのタッグは極めて凶悪だったぞ。私の不死身を攻略されるところだった。玄奘三蔵が助けてくれなければ、あのまま死んでいただろう」
「犯罪界のナポレオンと世界一の名探偵か……まさか大東区方面にいたとはな。──ほう? マギウスのアジトにつながるゲートを探していたのか。そいつらも叛逆の機会を企てていたと……だが、どちらも玄奘三蔵に倒された」
「あぁ。だがそれが最善だったと思う。もし教授が支配から解かれていたら最悪だった。いくらホームズがいても、戦局はさらに混沌としていただろう。ホームズは生かしておきたかったが、あいにくそんな余裕はなくてな」
「そうか。まぁ結果オーライだ。じゃ、祭り、楽しめよ」
†
南凪区の広場。広大な平面の敷地に潮風が吹く。その中心に即席のライブ会場が設けられており、お笑い芸人やバンドなど、様々な催しが行われている。そして次のライブは、刀剣アイドルの史乃沙優希が歌う、《国宝ハイエンド》────
「急げ急げ!」
「ほらかえで! 置いてくわよ!」
「えーん。まってよー、ふたりとも~!」
史乃沙優希のファンである十咎ももこと水波レナは、ライブをもっと近くで見るため走る。秋野かえでは正直そこまで興味はないが、ほかにやることもないので人混みの中をかきわけ、必死についていく。
そこで秋野かえでの顔面が、だれかの背中にぶつかった。
「きゃっ! ご、ごめんなさい……!」
「……かえでか。気を付けろ」
「え……悪魔さん!?」
まさか悪魔もアイドルに興味があるのか。そんな疑問を直感した悪魔は、ちがうと返す。
「探している奴がいるんだが、なかなか見つからなくてな」
「へぇ~。誰を探してるんですか?」
「アリナ・グレイだ。御園かりんでもいい。どうせ二人で固まっているだろうからな」
「…………。えっと、かりんちゃんなら、私、連絡先を知ってますけど……」
「そうなのか? なら頼めるか」
秋野かえでは、なぜ悪魔がアリナ・グレイに会いたがるのか疑問に思いつつ、御園かりんにメッセージを送る。すると、ちょうどスマホに触っていたのか、すぐに返信が来た。
「あ、結構近くにいるみたいですよ! 神浜公園で休憩してるみたいです!」
「そうか。ありがとう。行ってくる」
悪魔は霧の炎の構築で姿を隠すと、両手から死炎噴射で飛行する。
†
数区画を飛び、神浜公園の上空に到着。自販機手前に御園かりんを発見。アリナ・グレイは近くのベンチで疲弊している。どうやら人混みの中を歩き続けて疲れたようだ。アリナの眼前に降り立った悪魔は、呆れた声で問いかける。
「
「ハ? いきなり人様の頭上から現れてその言い草は生意気なんデスケド」
悪魔は電灯の柱に背中を預けて腕を組む。そこに御園かりんが帰ってきた。右手にはりんごジュース、左手にもりんごジュース。
「アリナ先輩、買ってきたのー」
「遅いんデスケド。じゃあアリナはりんごジュースじゃない方が欲しいワケ」
「どうせそんなことを言うだろうと思って、どっちもりんごジュースを買ってきたなの~。かりんはアリナ先輩の扱いをわかって来たようなの~!」
ふとアリナの眉間が怒りの筋を作る。自分の意地悪を対策されたことが、非常に気に食わなかったようだ。
「じゃあどっちも欲しいんデスケド!?」
「えぇ!? そ、それは予想外だったの~!!」
御園かりんは「先輩は横暴な生き物なの~!」と涙目になりながら、財布の口を開いて三本目のりんごジュースを買いに戻る。ショックのあまり悪魔の存在には気付いておらず、とぼとぼと足取りが重い。
そこで悪魔は直感する。御園かりんは聖杯戦争に関して、序盤でサーヴァントに瞬殺されたせいか、未だに悪い夢と思っている。もちろん秋野かえでから、それは夢ではなく現実である、と知らされている。だが、あまりの非現実的な出来事に対して、どうも実感が湧きにくいようだ。
悪魔は、アリナ・グレイに視線を戻す。
「なぁアリナ。そのりんごジュース、一本くれよ。それで仲直りだ」
「……ワッツ? 仲直り? そもそもデビルボーイとはケンカしてないんデスケド」
「…………」
その時、
「オイ」
急に悪魔の声色が鋭くなり、アリナ・グレイの両眼を真っ直ぐと睨み据える。
「────」
アリナ・グレイは警戒心をマックスまで引き上げる。只事ではない雰囲気を察知したのもそうだが、眼前から向けられている威圧感は、明らかに憤怒・瞋恚────否、それよりも明確な
悪魔は歩く。歩いて止まる。互いに至近距離。アリナ・グレイはベンチに座って腰掛けに片腕を掛けている。右手にはりんごジュースを二本も手に持ちストローをダブルで口に咥えている。紙パックの中身を搾り取るように音を立てて吸い上げ、両脚を尊大に組み直す中────悪魔は腰を曲げて手を挙げる。それが攻撃の合図ではないと見切ったアリナ・グレイは動揺しない。悪魔の左手は緑色の髪の横を通過し、ベンチの腰掛けに置かれた。両者の額と額が激突するような領域まで接近する。睨む者。睨み返す者。どちらも殺気を隠さず、周囲の空気がピリつくほどの敵意をぶつけ合う。
「オレは、こう見えて怒っているんだ。閉心術を使って感情を隠さないと、周りを萎縮させてしまうレベルで気が立っている」
「…………」
アリナ・グレイは無意識に股を閉じる。膝同士をくっつけることで、両脚が逆V字の形を取る。
「あぁ。確かに元凶は里見灯花と柊ねむだ。で、それがどうした? マギウスという組織に所属する以上、その責任は構成員の全てにある。自分の案じゃないからって、まさか自分だけは例外と思うなよ。クズ野郎」
「……で、何が言いたいワケ? 大勢の人間を殺したことについて、あなたに謝ればイイノ? それともドゲザ?」
「減らず口を。さっき用件は伝えたぜ。それで手打ちにしてやるって言ってんだ。もとよりお前を諭せるなんて思っちゃいない。アリナ・グレイの精神性について、オレはまったく
「……どうやって?」
「────アリナ先輩、ただいま戻ってきた……なのぉおおおお!?」
御園かりんが戻ってくる。彼女は、アリナ・グレイに壁ドンしている悪魔を見るなり、(ややややっぱりふたりの関係はそういう!?)と、あらぬ誤解をして、(そそそうだ! 邪魔しちゃダメなの!)と、雑木林の物陰に隠れる。そして物陰から顔をそっと出して、まじまじと二人の様子を見つめる。悪魔の顔がアリナ・グレイに近付く。耳元で何かを囁いているようだ。御園かりんはポケットに入っていたメモ帳を取り出し、素早い鉛筆さばきでスケッチを開始する。
二人の少年少女。昼下がりの公園のベンチ。少年の壁ドン。勝気な少女の表情が構図的に隠れる。
御園かりんは、そんな一枚絵を模写することに集中するあまり、幸か不幸か、悪魔の囁きが聞こえなかった。
「まずお前を殺してソウルジェムを奪う。もし激しい戦闘でお前のソウルジェムが壊れても関係ない。御園かりんを犯してお前のソウルジェムだけを復活させる。いずれにせよ御園かりんは、お前の死体を警察に届けることになる」
「……、…………」
「できないと思うか? なら……………………試すか」
悪魔は全てのリングに死ぬ気の炎を灯す。さらに全身の細胞から黒い炎が立ちのぼっていた。夜の炎だ。そして腰の匣兵器にリングの炎を押し付けて開匣────しようとした刹那。
「そんなに飲みたいなら飲めば? アリナ、二つもジュース要らないんデスケド」
アリナ・グレイは、一本のりんごジュースを差し出した。悪魔の全身とリングから死ぬ気の炎が消える。悪魔はりんごジュースを受け取ると、黙ってストローを咥えて吸い込む。だが既にほとんど飲み干してあったものなので、中身はカラに近い。それでも
「これで
「……ハァ。アリナが言うのもなんだけど、ホントにこんなのでいいワケ?」
「全然よくない。納得も満足もしてない。オレの怒りのおさめどころは、
悪魔は数歩後退して距離を取る。それから物陰に隠れている御園かりんに向かって呼びかけた。
「かりん。出てこい。お前が思っているような展開じゃない」
「……えぇ~? ほんとなのなのぉ~?」
御園かりんは口元に手を当ててニヤついている。赤らむほっぺ。釣り上がる両目の端。いかにもデバガメの目つきである。
(ウザイな……)「お前いま相当にウザイぞ。こう見えて気が立ってんだ。八つ当たりされたくなかったらその顔やめろ。……で、今“仕返し”って言葉が聞こえたろ? ちょっとケンカしてな。だがもう仲直りだ。安心しろ」
「……そうなの? それなら安心したの! ────でも正直びっくりしたの! まさかあの先輩が、他人にジュースを譲るなんて! しかも飲みかけ! ……あ、いや、別に先輩は飲みかけとか気にしない人だったの。そもそも男女という区別もさほど意識してなさそうなの」
「ちょっとフールガール。それどういう意味なワケ? というか、そもそもデビルボーイと折り合いつけることになったのはフールガールのせいなんだから、あとできっちりアリナに借りを返してほしいワケ」
「……なるほど。アリナの中ではそうなるのか。なら、かりんにとっては理不尽だろうが……アリナにはひとつ貸しができたと思っておいた方がいい」
「なんでなの!? なんか、かりん……完全にトバッチリしか受けてない気がするのぉ!」
それもこれも
そう口にした悪魔は、神浜フェスが催される広場に歩いて戻っていった。
†