アクマレコード 魔法少女ヒットマンDIAVOLO! 作:形のない者
【つまり人助けだ! さすが姉ちゃのヒーロー! ミィもお供するよ!】八雲みかげ
悪魔、八雲みかげ、和泉壮月の三人は神浜市駅で下車。駅前広場に出ると噴水があり、和泉壮月とはそこで別れる。壮月の背中を目で追うと、その先には手を振る女の子がいた。遠目から見てもなんだかイイ感じである。それを目撃した八雲みかげは興奮していた。
「おー? あれはもしかしたら……東西を超える恋愛なのかも!」
あまり興味がない悪魔は先へ進む。
そして一応、壮月の身に危機が迫れば助太刀魔法で飛べるよう意識しておく。
「……ところで、みかげ。お前はどこまで付いてくるつもりだ?」
「えー? うーん……悪魔が本当に姉ちゃのヒーローになれるか見定めるまで!」
「どうやって見定めるんだ」
「それは今考え中!」
「お前……もしかしてヒマだから付いてきただけだろ……」
悪魔は溜め息をつく。なんとも余分な荷物を背負う羽目になったと言うように。
†
中央区のオフィス街・屋上。鮮やかな夕焼けを背景に摩天楼が聳え立つ近未来都市の景観を目にして、
「まずは……みんな。アタシの呼び掛けに応えてくれて礼を言う」
“中央区の代表者”兼“本作戦のリーダー”である
「アタシの事前調査では、魔女結界の上位版である魔女迷宮に、三体の魔女が寄り集まっている現場を確認した。これを倒すためには最低五名の魔法少女が必要だ。一人では厳しすぎる。そして魔女迷宮に侵入した途端、まず二体の魔女が連携して襲ってくる。それを倒しても最後の一体が迷宮の奥で待ち構えているはずだから、最後まで気が抜けない」
「つまり超絶怒涛の
小悪魔風の衣装に身を包んだ金髪橙眼のギャル・
「まァそんなところだ。メンバーはアタシ含めて九人。都ひなの、木崎衣美里、綾野梨花、
「……グリーフシードの配分はどうなるの?」
旅人を思わせる衣装を着た、淡い青髪と紫の瞳を持つ保澄雫が、淡白な物言いで問い掛ける。
「その場で全員のソウルジェムを浄化したあと、余ったグリーフシードはアタシの裁量で配る。なお魔女討伐作戦が失敗に終わったり、ハズレでグリーフシードが回収できなかった場合、アタシの手持ちからグリーフシードを配分する。────何か質問は?」
「ない。それでいい」
質問はないと応えたのは、保澄雫ではなく加賀見まさらだった。彼女は白髪で透き通るような青い目を持ち、純白のドレスと黒金色のコルセットがチャームポイントな世に隠れし美少女である。性格はクールの一語。
「では実際の動きを説明する。だが今からする説明はあくまで理想だ。作戦通りに行かない場合は“いのちだいじに”の精神で目標達成に努めてほしい。いいな? ────では、まず攻撃に優れるアタッカーに保澄雫と加賀見まさらを選抜する。目標は使い魔の殲滅と魔女へのダメージ。トドメまでは考えなくていい。それは別の奴が担当する」
「頑張る」
「了解」
「続いて防御に優れるディフェンダーに毬子あやかと粟根こころを選抜。目標はアタッカーとピンチヒッターの護衛だ」
「オッケー!」
「頑張ります!」
毬子あやか。保澄雫と仲が良い魔法少女。黒髪青眼でサーカスの芸人のような衣装を着ている。明るく爽やかな性格。
粟根こころ。加賀見まさらと仲が良い魔法少女。茶髪翠眼で黄色を基調とした衣装を着ている。明るく優しすぎる性格。
「そして補助に優れるサポーターはアタシと木崎衣美里だ。目標は全員の援護。攻守ともに撃ち漏らしを片付けたり、身を呈して庇ったりする」
「なんか大変そう! でもみゃーこ先輩と一緒なら、あーしはなんだってできちゃうぜ☆」
「続いて特定の役割に就かずチームのバランサーとして機能してほしいのは江利あいみだ。目標は不足分の補填。誰かが負傷して一時的に人員が欠けた場合は、すぐにそこに入って戦力バランスを整えてほしい。アタシの方から指示を出す回数も多くなるだろうから、可能な限りアタシの声が届く位置にいてくれ」
「りょ、了解です! なんでも器用にできる方なんて大口は叩けないけど、攻撃も防御も補助も任せてね!」
江利あいみ。同じ学校の加賀見まさら・粟根こころと仲が良い魔法少女。テンガロンハットを被り、武器はリボルバー式の二丁拳銃で、まさに西部劇のガンマンといった衣装を身にまとう橙髪橙眼の女の子。
「最後は大技に優れるピンチヒッターに綾野梨花と五十鈴れんを選抜する。目標は魔女への必殺攻撃。
「任せて、みゃこ先輩! れんちゃんと一緒なら怖くないし!」
「わ、わた、わ……う、うん……!」
綾野梨花。金髪桃眼で紅白を基調としたザ・魔法少女という衣装を身にまとう魔法少女。性格は純粋で積極的。
五十鈴れん。銀髪藍眼で蒼白を基調とした天使のような衣装を身にまとう魔法少女。性格は純粋で消極的。激しい人見知りと極度の緊張症のせいでまともに話すことができず、極めて臆病だが、自分の口が開くまで根気強く付き添ってくれた綾野梨花に対しては本当に有り難い友人だと日夜感謝の念を抱いている。
「────それでは本作戦を実行段階に移そう。全員、戦闘準備はいいな?」
「あ、ちょまってみゃーこ先輩! 作戦名は!? 作戦名は付けなくてもいいんすか!?」
「ハァ……言うと思ったよ……いいよ。適当に付けな……」
「えー! ここはリーダーがバシっと決めてくださいよ! ねぇ、みゃーこ先輩!」
「あー……じゃあ“団子三兄弟大作戦”で。はいレッツゴー!」
「うわダサッ!」
「的を射ていればいいだろ!」
都ひなのと木崎衣美里はいつもの調子で魔女迷宮のゲートに飛び込む。続いて保澄雫と毬子あやかが、加賀見まさらと粟根こころと江利あいみが、そして綾野梨花と五十鈴れんが手を繋いで、勇気を振り絞り飛び込む。
────その様子を眺めるは二つの影。
霧の炎で姿を隠していた悪魔と、その傍らで足をブラブラとさせて座り込む八雲みかげがいた。
「ねぇ悪魔。これから何するつもりなの?」
「様子を見る。必要があれば助太刀する。特に何もなければそれでよし。次の街へ行く」
「つまり人助けだ! さすが姉ちゃのヒーロー! ミィもお供するよ!」
「いや、お前は危険だからもう帰れ……みたまも心配しているぞ……?」
しかし八雲みかげは聞く耳を持たず、悪魔を追い掛けてゲートに飛び込んだ。
†