※この作品はR-18です。

妹によるお姉ちゃん開発日記   作:ひざぎ

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ま、まだ溜め期間だから……。次回からもっとえっちになるから……。本当だから……。


第十二話

 

 正直、呆気ないな、と私は思ってしまった。

 

 いや、こうなってしまうことが悪いと考えているのではない。あまりにも手ごたえがないことに、少しばかりの不安? というか、なんとも言えない気持ちはあるにはあるけれど、結局こうなってくれたことには安堵が尽くせない。

 

 

 

 結局、蜜柑が代わりに、と出した条件はこうだった。

 

「せっかくリアルのことにお互い集中するわけだし、お姉ちゃんはしばらく”そういうこと“は禁止ね!」

 

 すごく端的な、それでいてわかりやすいほどの禁止。

 

 私は彼女のお願いについて「え、そんなことでいいの?」と返してしまったけれど、蜜柑はそれに元気よく、うん、と頷いていた。

 

「だって、お姉ちゃんに迷惑かけちゃってるなぁ、って最近はよく思ってたし、これを皮切りに一回はタイミングを置こうかなって!」

 

「……うん! そうだね!」

 

 私は蜜柑の言葉に押されるように、もしくは絆されるようにそう返事をする。

 

 なんだかんだ、蜜柑は悪い子ではない。私のことも考えてくれるほどにいい子だし、いい妹だと思う。

 

 だから、私は彼女の出した条件に同意した。というか、私から提案したことで、その提案内容に含まれる部分でもある条件に、特に拒否する要素はなかったと思う。

 

「あ、そういえば」

 

 私が一人で納得するように頷き続けていると、思い出したように蜜柑は小声で私に耳打ちしてくる。

 

「……一人でするとき、結構声が聞こえてくるから、もしやってもわかっちゃうからね?」

 

「なっ!?」

 

 そんな蜜柑の発言に、猛烈に恥ずかしさがやってきたけれど、私の反応をくすぐるように「それじゃあ頑張ってね!」と彼女は自室の方へと戻っていった。

 

 いい子ではあるけれど、小悪魔のような悪戯っぽい雰囲気が蜜柑にはある。

 

 

 

 そんな場面を思い返しながら、私は一人になった自室の方で、ふう、と大きく息を吐いた。

 

 蜜柑に対して、姉妹での性行為がいけないものだ、と直接口に出すことはできなかったけれど、それでも思いついた言い訳を並べれば、蜜柑はそれを受け入れてくれた。

 

 正直、私の言葉に怒って不貞腐れるか、それとも私の弁をかいくぐるように言葉を立てて、結局私が諦めてしまう、というようなケースも想定していた。だからこそ、このように切り替えることのできるタイミングがやってきて、心底ほっとしている自分がいる。

 

「……よし」

 

 私はそう言葉を吐きながら、参考書が開きっぱなしになっている勉強机に向き合ってみる。

 

 今日の蜜柑との話では、しばらくの間、という風に期限が定められてしまったけれど、きっとこのまま性行為が間に挟まらなければ、蜜柑にも彼氏、もしくは彼女ができるかもしれないし、姉妹でそういったことをする、という考えも徐々に消えていくかもしれない。

 

 ……少し寂しいような気もする、けれど、そんな気持ちを抱いてしまう自分は馬鹿だ。えっちなことがなくても、蜜柑は私をお姉ちゃんと呼んでくれるはずだから、そんなこと気にしなくてもいいのに。

 

 

 

『私もちょっとリアルのこと頑張りたいしさ!』

 

 

 

 蜜柑も蜜柑でこの先のことを考えているのか、そんな発言だって聞くことができた。だから、大丈夫。大丈夫なはずである。

 

 もう、ああはならない。煩悩に負けるような、そんなことにはもうならない。

 

 あまつさえ、自分で手を伸ばすような、そんなことには……。

 

「……集中しなきゃ」

 

 言い聞かせるように私は声に出して、向き合い始めた勉強の内容を頭に落とし込む。

 

 次第に没頭するようにのめりこんでいき、その日の私は久しぶりにきちんと学習へと励むことができた。

 

 

 

 

 翌日になっても、別に何か異変が起こるようなことはなかった。

 

 いつもの朝、いつもの登校風景、いつもの学校、いつもの日常。特に変わり映えもすることがなく、本当に今まで通りでしかない日常の数々。

 

 私もそんな環境にいられることに安堵をしてしまう。なんでこんなにも安心感が私を包んでいるのか、と考えれば、すぐ脳裏に蜜柑のことが浮かぶけれど、それでも蜜柑もリアルを頑張る、というのだから気にしなくていいはずだ。

 

 その日は、本当に特に何もないまま、そうして一日が過ぎていった。

 

 

 

 

「今日お姉ちゃんどうだった?」と、部活から帰ってくると蜜柑は部屋着で私を出迎えて、そうしてそんな言葉をかけてくる。

 

 ここ最近であれば、この後は私の部屋、もしくは蜜柑の部屋でそういうことを行ってしまうけれど、だが、昨日の約束があるからこそ、そんな雰囲気にもつれる様子は特にない。

 

「うん! 今日は顧問からも調子いいね、って誉められちゃった!」

 

「よかったじゃん! この調子だね!」

 

 うん! と返事をして、蜜柑も喜んでくれる様子に私はちょっと感慨深い気持ちになる。

 

 今までを考えれば、本当に極端な距離感でしかなかったからこそ、今の蜜柑との距離がちょうどいいような、そんな感慨を覚えてしまうのだ。

 

「じゃ、明日も頑張って!」

 

 蜜柑の言葉に押されて、私はその日も勉強に集中することにした。

 

 

 

 

 だが。

 

 

 

 

 勉強に行き詰まったわけではわけではないけれど、ふと息抜きをしたくなるタイミングが訪れた。

 

 今までの自分であったのならば、疲れるまで勉強することはできたのだけれど、だが今日に関しては少し勉強を進めたところで、なんとなく疲れのようなものを感じてしまって、結局ペンを動かすことができず、椅子の背もたれに思いっきりよりかかって背を伸ばすことしかできない。

 

「……」

 

 きっと、ここ最近になって勉強の習慣が崩れたからこそ、今になって勉強に対するスタミナを失くしてしまったのだろう、と私は思った。

 

 そういう時に息抜きをしないと、勉強についても手がつかないままだし、このまま向き合っていても仕方がない。私はそうしてベッドに横になることを考えた、けれど。

 

「……」

 

 ベッドに横になると、自然と手を伸ばしてしまいそうになる。

 

 蜜柑と体を重ねた日まではありえなかった、今となっては習慣となってしまったこと。ほぼ毎日彼女に弄られ、もしくは自分でも慰めてしまっていたからこそ、癖として指先があそこに触れようとしてしまう。

 

 お腹が、きゅう、と切ない感覚。

 

「……あと三ページは頑張ろう」

 

 自分に言い聞かせる言葉を紡いで、その言葉の通りに参考書に向き合う。

 

 なんとか、その日に関してはそれで一日を終わらせることができた。

 

 

 

 

 ただ、その翌日から、なんとも言えない悶々とした気持ちが私の中にわだかまっていた。

 

 言葉にしようもない、不満にも近い気持ち。何に対してムカついているのかはわからないけれど、何かが足りなくてしょうがない。具体性のないもやもやとした感情。

 

 原因については、自分自身でわかるような気もしたけれど、それでもそれを具体的な言葉にしたくない気持ちがあって、結局何も考えないようにする。

 

 いつもの朝、いつもの登校風景、いつもの学校、いつもの日常。

 

 私が待ち望んでいたいつもの日常がそこにあるはずなのだけれど、何かが足りない。

 

 お腹の、へそのところをもやもやと包んでいる何かがある。身体的な感覚でそれがあるわけじゃないけれど、何かがあるのだ。

 

「……」

 

 考えない。考えない。何も考えない。

 

 集中、集中、集中。

 

 煩悩を振り払うための言葉を心に並べて、その日も私は学校に集中した。

 

 

 

 

 けれど、どうしようもない悶々はいつまでも拭えないままでいた。

 

 というか、蜜柑とのあの行為、そして自分を慰める行為をしないようにと、意識をすれば意識をするほど、かえってそれをしたい、という欲望が自分の中で大きくなるような感覚がある。

 

 考えないように、色々なことに没頭したい自分がいるけれど、どうしたって脳裏にちらついてしまう官能的な行為が、私の体を束縛する。

 

 大丈夫? と部活をしているときには友達からそう声をかけられた。

 

 大丈夫だよ、となんとなくそんな返事をしたけれど、大丈夫ではなかったし、それはそれとして事情は何一つ話せないことにどうしてももやもやは大きくなっていく。

 

 ……いや、まだ二日目。まだ二日目だぞ、自分。

 

 まだこのリアル頑張る期間が始まって、まだ二日目でしかないのに、どうして煩悩が私の体を染めていくのか。そして、そんなことしか考えられない自分が情けなくって、そうして息が詰まってしまう。

 

「……ごめん、ちょっと体調が悪いみたいだから帰るね」

 

 顧問がその日はいなかったのをいいことに、私は友達にそう言い残して、静かに体育館を後にした。

 

 

 

 

 そして──。

 

 

 

 

『──んっ、あっ、あぁっ』

 

 どこか沈んだような気分をぶら下げて、そうして帰宅する家のドアをくぐれば、二階の方から聞こえてくる声。

 

 悲鳴にも似ていて、それでも快楽が入り混じったような声に、私は苦しさのようなものを抱いてしまう。

 

「えっ……」

 

 私は、衝撃が隠せないままにそんな声を出してしまうけれど、二階にいるその声の主には届いていないようで、ただひたすらにあえいだ声がこちらに届いてくる。

 

 足音を立てないように気を付けながら、私は階段をのぼっていく。靴下をすべらせて、二階で、……その、そういうことをしているであろう蜜柑に気づかれないように、ゆっくりと足を進ませていく。

 

 そして、彼女の部屋の前。 

 

 半開きになっていたドアから、私は覗いてしまった。

 

「──お姉ちゃん、お姉ちゃんっ……」

 

 いくっ、と私が覗いたタイミングで彼女はそう声を漏らして、横になっていた身体の腰を浮かせていく。

 

 びくん、びくん、と大きく何度も弾ませながら、次第に大きくため息をつくように呼吸を整える蜜柑の姿。そうしたかと思えば、繰り返すように再び指を秘部に入れて、くちゅくちゅ、とわざとらしく音を立てていく。また、あからさまなくらいに聞こえてくる喘ぎ声が耳に届く。

 

 

 

 ──そんなの、ずるいじゃんか。

 

 

 

 私の中に走った、そんな心の声。

 

 煩悩が、欲求が確かに具体的な形になった、そんな声が響いていた。




ちなみに柚子が入っている部活動はバレー部です。
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