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もどかしい気持ちはいつまでも解放されないまま、私は蜜柑と一緒にシャワー室から出て行った。シャワー室の前には洗面台があり、その近くにはドライヤーがあったので、互いに体をふき終わった後に濡れてしまった髪を乾かした。
「お姉ちゃんがもっと我慢強ければなー」と蜜柑はくすくすと笑う。
「だって、あんなにいきなり……、──ってひゃぁっ」
私が反抗するみたいに言葉を紡げば、それにもまた反抗をするみたいに彼女は私の首筋を甘噛みしてくる。
「ほら、すぐに声が出ちゃうんだから」
「だ、だからいきなりなんだもんっ」
子供みたいな口調で返す私。けれど、そのやりとりに蜜柑は笑っていたし、私も少しだけ笑ってしまう。これくらいのふれあいであれば、まだ姉妹にはある関わりかもしれないと、心の片隅で想ったから。
それから私たちは身体を拭き終わって、ベッドの方へと戻っていく。バスローブがすぐ横にかけてあったけれど「どうせすぐやるから!」という蜜柑の言葉で、私は裸のままでベッドの上に座った。
……そして、蜜柑は普通にバスローブを着て、こちらの方に戻ってくる。あっ、ずるい、と私が声を出すと「まあまあ」となだめるように言ってくる。何か含みのある口調に、私は押し黙るしかなかった。
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「というわけで」
蜜柑はこほん、と息を吐いた後、ようやく段取りをつけるように話しだす。私はそれに頷いて彼女の言葉を待っていた。
蜜柑は私の方には視線を移さず、家から持ってきていた黒い鞄を手に取り、中をごそごそと漁るようにする。「よし、あったあった」とにこやかな口調で言って、それから私の方へと向き直った。
「じゃじゃーん! これはなんでしょー?」
そう言いながら、私に向けてきたものは──。
「──アイマスク?」
「ぴんぽーん、正解です!」
彼女はテンションを高くしながら、それを私に渡してくる。何に使うのかわからない私は、首を傾げながらそれを受け取った。……まあ、受け取ったからには着ける必要があるんだろうが。
「なんでアイマスク?」と私が彼女に聞くと、蜜柑は、うふふ、と笑いながら疑問に答えてくれる。
「ほら、目の情報がないと、より身体の感覚が敏感になるでしょ? さっきも見えないところでくすぐったらあんなに声を出したし、めっちゃ気持ちよくなれるんじゃないかなって」
「……なるほど」
あまり先ほどのことは恥ずかしいために思い出したくはないけれど、それでも根拠のある言葉に私は納得して頷いた。
それじゃあ着けてね、と蜜柑に言われるままアイマスクを着用する。もともと暗がりにあるような室内の中、アイマスクを着けるとより一層暗闇が目の前にあるような感覚──。
「──ふぁっ」
──座っている私の背中を、指が滑る感覚。
「つまりはこういうことです」
「わ、わかったからっ」
恥ずかしさで顔を隠したいけれど、既にもう目は隠れている。というか、目隠しをするだけで、一気にマニアックな感じが出てしまうのはどうしてだろう。
「それじゃー横になって、リラックスしてね」
蜜柑はそう言いながら、私の肩をゆっくりと押すようにしてくる。その流れに従うまま倒れて、そして「もうちょっと上」、「すこし左くらい」という指示を聞きながら言うとおりにする。
「よし、これで完璧。あとは恥ずかしいかもしれないけど、大の字になる感じで腕とか広げてみてー」
「……何するの?」
「いや、私がお姉ちゃんの体をくまなく触れるように、って感じ。できればやってくれるとありがたいなーって」
「……そっか」
目隠しをしていても、何か視線が肌に触れるような感覚がする。それは気のせいかもしれないけれど、視覚という情報がないだけで、身体全体が覗かれていることに、恥ずかしい以上の気持ちがある。
でも、彼女の言葉に従い続ける。もうすぐやってくる快楽というものに、頭は支配されていたから。
両腕を広げ、足も広げる。きっと、下腹部のあそこは蜜柑にはよく見えるだろう。今までだって見せたこと、というか見られる機会は多かったけれど、それでも自らそこを広げるようなことはしたことがないから、猛烈に足を閉じたい感覚に駆られる。
その度に強くなる鼓動の感触。どく、どく、というリズムは大会前の緊張感よりも強くて、いけないことをしている、ということがそれをさらに加速させているような気がする。
そして──。
「──かちゃりっ」と蜜柑は言った。
そして、その言葉の通りに、腕の方で何か冷たいものに絡む感覚、というか、何かを嵌められた感触がある。更に立て続けにかちゃり、という音が鳴って、困惑して「えっ」と声を漏らしてしまう。
腕の違和感を確かめるために動かそうとするけれど、かちゃかちゃ、という音と謎の抵抗によって腕は動かすことはできない。
「ど、どういうこと? なにしてるの?」
「んー? 別に、ベッドと腕を手錠で固定しただけだよ?」
「て、手錠……?」
なぜいきなりそんなものが出てくるのかわからなくて困惑を続ける私に、蜜柑は、答えをちらつかせるように、ふふ、と笑う。
「だってお姉ちゃん、さっきだって自分で触って感じようとしていたでしょ? そんな自分勝手なわがままさんには、手が動かないように配慮が必要かなって」
「……そ、そんな」
……そんなことはしない、と返したかったけれど、正直そんな自信はどこにもない。だから、それ以上言葉を続けることはしなかった。
「大丈夫大丈夫! まあ、一種のSMプレイ? みたいなもんだと思ってればそれでいいから!」
「……うん」
私はとりあえず彼女の言葉に頷いてみる。
でも、手が動かせない、というだけでどうしても不自由な感覚は強く感じてしまう。ゆっくりと力を入れて腕を動かしてみるけれど、それは頑丈のようで、がちゃがちゃとしか音を立てなかった。そんな様子を蜜柑は楽しそうに笑う。
「それじゃあ、ご褒美、始めるよ……」
蜜柑はひとしきり笑った後、私の耳元でささやくようにそう言ってくる。その辺りで、下腹部を窮屈に感じるもどかしさは最大限大きくなっていた。
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「それじゃあ、マッサージから始めますねー」
蜜柑は、どこかのエステの施術者のようにそんなことを言った。
「ま、マッサージ?」
「そ、……しかも、えっちなマッサージです」
「……えっちな……」
そんな会話をしながらも、少し遠くの方から物音は聞こえてくる。どうやら持ってきた鞄を漁っているような、そんな物音。
私は蜜柑の言葉にあった、えっちなマッサージ、という単語に惹かれる部分はあったけれど、正直それ以上に、一回絶頂に達してしまいたい、という気持ちがあった。それを口にすることは恥ずかしかったし、蜜柑の言う通り、もったいない、という気持ちもあったから、結局彼女の言葉を待つしかないのだけれど。
よし、これだこれだ、という蜜柑の声が聞こえる。私は未だにベッドの上で、仰向けの大の字になって寝ている。ソファーの方から聞こえてくる彼女の声、私の秘部を覗いているような視線を勝手に錯覚する。
「──ひゃっ」
そして、冷たい感触。胸の方に。
「まずはローションを塗っていきまーす」
そう言いながら、私の胸に冷たいものが垂れる感触。乳首の付近にそれぞれ垂らしながら……。
「まだ触ってないのに、そんな声出ちゃうんだ」
「め、目隠しのせい」
「そうだねぇ、目隠しのせいだねぇ」
「──わ、ぁっ」
そんなやりとりをしながらも、人肌のものが身体に触れる感触。もう慣れているように触れてくるそれは、確実に蜜柑の手のひらのものだろう。
「ほーら、お姉ちゃん。想像してみて。今ね、えっちなローションを、お姉ちゃんのお胸にかけて、それを妹の私に触られてるの」
見なくても伝わる触覚、でも彼女が言葉にするだけで暗い景色の中にあっても、よりそれが視覚的に想像できてしまう。
「まずはー、乳首をこねるように手のひらで……」
「……んっ、あ、……んん」
マッサージをするときのような圧力、というかマッサージなんだろうけれど。
それでも素直に言葉を漏らす私に、蜜柑は実況のように言葉を続けていく。
「乳首にローションが馴染んだらぁ、コリコリしてる先っぽをつまんでぇ」
くりっ、くりっ。
「ひゃっ、あ、んんっ」
捻るような感触。
「もちろんおっぱい全体になじませるように、もみ、もみしてぇ」
言葉の通りに、もまれていく。彼女の手のひらの圧力。そして、先ほどの言葉の動作を繰り返すように、乳首になじませ、つまんでいく。その作業を何回も繰り返して、どこか性的な気分というよりも、本当にマッサージを受けているような心地よさに切り替わっていく。
そして──。
「はい、お胸は終わりっ」と蜜柑は言う。
えっ、と私は彼女の言葉に声を漏らす。
なんとなく、いつもの流れであれば、そこから胸を舐めたり、口で吸ったりをするものだったから、また呆気ないほどにそれが終わることに、困惑することしかできなかった。
私の声に反応して「次は……」と言葉を吐く。私と違って躊躇うことはなく、「お姉ちゃんのおまんこを今からマッサージします」と秘部の名前を口にした。
もどかしい気持ち、もどかしい気持ち。もっと胸も触って欲しいし、何か物足りない。これで私の秘部を触ってくれることには期待をしてしまうけれど、それでもいつもよりも刺激が強くない感覚に、物足りなさははっきりと感じてしまう。
でも、それは言葉には出せない。ご褒美をもらう、という立場だとしても、公然と姉妹でそういったことをするというのを肯定できないからこそ、口はつぐむしかない。
おいしょ、と蜜柑の声が聞こえた後、私の脚が掴まれる感覚。ふぁっ、と声を漏らすも、そのまま足を持ち上げるようにする彼女の動作が腕から、すべてから伝わってくる。
「今ねー、お姉ちゃんのおまんこが目の前にあります」
「……」
「すごいね。愛液がすごく垂れてる。人ってここまで垂らしちゃうんだ。……本当にすごいよ、もうお尻まで垂れていきそ──」
「わ、わかってるから、言わなくていいから」
私の言葉に、可愛いね、と彼女は笑いながら返してくれる。そうしたかと思えば──。
「──ふーっ」
「ひやぁっ」と声を漏らしてしまう。秘部をくすぐるだけの彼女の吐息。私の、その、……クリトリスを撫でるような吐息に声が出る。
「お姉ちゃんは敏感さんだねぇ」と蜜柑はくすくすと笑いながら、何度も、ふーっ、と息を吐くことを繰り返す。そのたびに「ひゃっ」「ふわっ」「ひぃっ」と声を漏らしてしまうけれど、それでもくすぐったさの域を超えることはない。
「ふーっ」
「──んはぁっ、……いい、もう、いいから……」
──こんな間接的ではなく、直接肌に触れてほしい。
そこまで言葉にすることはできないけれど、そんな気持ちを込めて懇願するように声を出す。
んふふ、と楽しそうな蜜柑の声。
「それじゃあ、こっちにもローションを塗っていくからねー」
期待に応えるように、そうして──。
「──はうぁ……」
冷たいものが、いきなり秘部にかかる感触。ねっとりとしたその感触は私の秘部を覆うように垂れていき、そして──。
「──ぁあ……」
──膣内に、冷たいものが入る感覚。
直接、ローションの出口を私にあてがっているみたいで、膣口をくすぐるように動くそれが、性的な快楽を感じさせて仕方がない。
「さっきみたいにローションを馴染ませていくよ」
彼女はそう言いながら、その言葉の通りに馴染ませようとする。
指を私の中に入れて、奥へ、奥へと送り込むように。
特に中を引っ掻くような、いつものことはしてくれなくて、あくまで馴染むことを意識したような指使い。
でも。
「──あっ、あっあっ、はっ」
久しぶりに中が自分以外の何かを取り込んでいる、正しい異物のような感触。それも、蜜柑の指だとわかるように温かく、気持ちがいい。
「気持ちいい? 気持ちいいなら、気持ちいいって言って?」
「う、うん、あっ、気持ちいい、気持ちいいよ、それ、もっと……」
もっとしてほしい、と言葉にしようとしたタイミングで──。
「はい、とりあえず中は終了」
「えっ、なんで、なんでっ」
「慌てない慌てないっ。こういうのにはしっかりとした下準備が必要なの」
そう言いながら、馴染ませるように奥へと進む指は止まって、静かに私の中から出て行ってしまう。
穴を埋められることだけに期待しているのに、それでも蜜柑はそれをしてくれない。
「……うーん、これじゃあやりづらいなぁ」
私の頭が快楽を探すことに夢中になっている間、蜜柑は確かにそんなことを言う。何がやりづらいのか、わからない、けれど──。
「もっと、もっとして、ねっ、蜜柑、蜜柑ちゃん……」
持ち上げられている腰を動かしながら、最大限彼女に媚びるように浮かせていく。でも、もともと上げられている足はそれ以上に動きようもないし、結局そんなことをしても意味がなかった。
「んもー。お姉ちゃんは早漏さんだなぁ。……あっ、そうだ──」
思いついたように蜜柑は声を上げ──。
「──じゅるるるる」
「──あっ、それっ! それ、すき、すきぃ!」
私の秘部を、クリトリスを吸い上げる音、感触。目に見えないからから、よりそれは鋭敏になって、音がわざとらしく立つたびに腰がさらに浮ついてしまう。
「気持ちいいよ、それ、本当に、すき、もっと、あっ、いい、もっと、もっと──」
「──じゅうううう」
「──ぁぁぁぁああっ!」
より、吸引する力を強くして、舌で転がしながら。
ちろ、ちろ、と目には見えないものの、それでもくすぐられるようにクリトリスが撫でられていく。自分とは思えないほどに素直な欲求がそのまま口から出ていることにも気づかないまま、そうして叫びに近い声で喘いでしまう。
「──すご、すごい、すごいよっ、ねえ、して、もっとして、い、い、いっ──」
もうすぐでいく、いける。いくことができる。一週間、十日、ずっと待っていた快楽がすぐそこにある。
──が。
「よーし、これでクリちゃんも大きくなったからいったん終了です」
──私を絶望に突き落とすような、そんな言葉。
目の前の快楽にしがみついていたいだけなのに、それでもそれさえ許してくれない、蜜柑の言葉。
そして、言葉の通りに終わることを示すように、持ち上げられていた腰は、ゆっくりと降ろされていく。
「ね、ねぇっ! なんでやめるの! どうして、どうして?! お願い、お願い! ご褒美、ご褒美なんでしょ! お願いっ、お願いだからっ!」
情けなく懇願する私の声。半ば泣きそうになっていた。そんな自分の情けない姿は真っ暗な世界にしかなくて、自分の今までも振舞いを忘れるほどに、みじめなおねだり。
「うん。大丈夫。ご褒美はこの後だからね」
「やだ、やだやだっ! 今、今がいいの!」
手を動かす。がちゃがちゃと五月蠅い音が耳元に聞こえる。手は動かない。欲しい刺激を自分で与えることもできない。
足を閉じたり開いたりして、秘部に何とか刺激を与えようとするけれど、それでも足りない。
そして、──がちゃりっ、と音が聞こえる。
音共に、足が動かせなくなる。またがちゃ、と音が聞こえて、両足がいつの間にか閉じられなくなっていることに、どうしようもない感情が付きまとう。
「だめだってー。せっかくのご褒美なのに、もったいないでしょー?」
あやすような言葉遣い。でも。
「だって、だって蜜柑、さっきから焦らしてばっかじゃん! 焦らして楽しいっ? 楽しいのっ? 私、本当に我慢したんだよ? 本当に、頑張った、頑張ったの! だから、お願い、お願いだから──」
もう、余裕はなくなって──。
「おまんこ、気持ちよくしてほしいのぉっ!!」
今まで躊躇っていたのに、容易くそんな言葉が、表現できてしまう。
私が今まで使わなかった言葉遣い、下品な言い方に、もしかしたら蜜柑は嬉しくなって、触ってくれるかもしれない。弄ってくれるかもしれない。少しだけ、内心に期待を含めながら、そういうけれど……。
「だーめっ! あと十分待って!」
そんな私のすべてを滑稽な様子に移すかのように、彼女は笑いながらそう言った……。
……彼女の笑い声。私はもう触ってもらえないんだ、そう思って、もう言葉を吐く気力を失う。
……ご褒美なんて嘘なんだ。そんな気持ちになって、いつまでこのままなんだろうという不安。遠くからテレビの音がする。蜜柑はテレビを見始めたようだ。
……お泊まりって蜜柑は言っていた。だから、明日まで、ずっとこのまま? 嘘だ、やだ、そんなの。
……そして──。
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熱い、ほのかに熱い。
からい、ほのかにからい。
かゆい、……すごく、かゆい。
「さて、もうそろそろだ」
淡々と、蜜柑はそう呟いた。
そして、聞こえていたテレビの音が消える。テレビの音が消えて、私の息を吐く音だけが強くなる。熱い、かゆい。乳首と、おまんこがかゆい。かきたい、ひっかきたい。クリトリスが大きくなっているような気がする。腫れているみたいな、熱さ、痒い。
「ね、ねぇ、蜜柑、お願い、お願いだから──」
「うんうん、そうだね。そろそろ“本当に”馴染んだみたいだから──」
ふふ、と彼女は笑いながら続ける──。
「本当のご褒美、あげるね」
さて、蜜柑が使ったローションの詳細とは……