花粉と風邪と喘息で死んでました。
きっとこれからも転職で頻度はこのままだとは思いますが、それでもよろしくお願いいたします。
◇
「ふわぁぁ……」
温かい空気。空気というか熱気。
そうしてお姉ちゃんが沸かしてくれたお風呂の温度、湿度共に高いようで、風呂場前に入るだけでも熱が肌に絡まってきた。
暑いというのは苦手な感じもするけれど、それでも冬が近づいている中で感じる温もりというのは存外心地がいいものだと感じるかもしれない。
……まあ、それでも暑いものは暑いなぁ、と感じながら、私はシャワーのお湯を浴びていた。
……お姉ちゃんの手によって。
「湯加減はどうかな?」
「うん……、すっごくちょうどいいですぅ……」
私の脱力した声にお姉ちゃんは笑い声を返しながら、そのままシャワーを私にあてがってくる。
別にお風呂に入るくらい一人でできるし、と強がりたい気持ちもあるけれど、それはそれ、これはこれ、という感じ。今はなんとなく、お姉ちゃんと恋人気分を味わえるこの時間を大事にしていたい感じ。
性的な目的ではないことがわかる手使いで、お姉ちゃんは私の肌に触れていく。
先ほどまではぬるぬるしていたり、もしくはてかてかしていた部分。正直少しばかり痒いと感じていた部分をなぞってくれる。
正直、めっちゃ心地がいいです……。
──そうしてプレイを終えた私たち。
お姉ちゃんはお風呂を沸かしに行ってくれて、それから十数分くらい一人で裸のままで過ごしていた。
どうしても愛液だとかおしっこだとか、それ以外にもいろいろなものが身体に付着している状態で服を着る気にはなれなかったから、裸のままでいるしかなかったのだ。
お姉ちゃんの部屋は裸で過ごしている私のためにヒーターが効いていたから寒くはなかったのだけれど、それでも身体にまとわりついてしまった液体のいろいろな感触はちょっと気持ち悪かった。
一応、お姉ちゃんに余っていたタオルを分けてもらって、それで何度も拭うようにはしてみたけれど、妙に粘り気のあるものについてはタオルは吸い取ってくれなくて、結局は生乾きみたいな感触を嫌に覚えながら、お風呂の時間を待つことしかできなかった。
……まあ? それもすべては愛の結晶ですよ?
そんな自分に対する変な言い訳なんかも思い浮かんだけれど、それでも汚いものはちょっと汚い。お姉ちゃんの体液を浴びる分には嬉しい限りだけれど、今日のプレイに関してはほぼほぼ自分のものだから、こう思うのもしょうがない。
というわけで、そんなこんなで姉妹水入らずというか、そんな感じでシャワーに入っている。
なんというか、恋人同士でのお風呂っていうのをふつふつと感じる多幸感。
「痒いところとかないかな?」
「背中が、ちょっと痒いかも……」
「背中ね、わかったぁ」
互いに呼吸を合わせるみたいに会話をするこの雰囲気。
ほんと、夏前だったら想像することも難しかったかもしれない。
あの時はどうしてもお姉ちゃんと関わることが空気的に難しかった。……まあそれもこれも自分のせいである、ということはよくわかってはいるんだけれど、それでもこうして一緒にえっちをしたり、お風呂に入ったり、勉強をしたり、ご飯を食べたり、そんな時間を過ごせることがすごく幸せ。
「あ、私が終わったらお姉ちゃんの背中も流してあげるからね」
「うんうん、それじゃあお願いしちゃおっかな!」
そんな和気あいあいとした空気感。
とても充実した時間を私たちは過ごそうとしていた──。
◆
──そんな矢先、というか私がお姉ちゃんの背中を流し終わって、私が湯船に浸かったタイミングでのことだった。
がちゃっ、と風呂場の入り口からドアが開いたらしい音が聞こえてくる。
その音にお姉ちゃんは途端に焦ったような表情を浮かべて、そちらの方へと視線を向けた。
人影。曇りガラスでそこに誰がいるのかはわからないけれど、なんとなくドアの開け方でお母さんだな、とそう思った。
「あら、お風呂入ってたのねぇ」
そしてそれは間違っていないようで、パートから帰ってきた母の、疲れたらしい間延びの声が響いてくる。
「あ、あ、そうなのっ!」
それに、お姉ちゃんはすごく慌てたように声を出す。
……慌てる? なぜに?
「……別にそんな慌てなくても、姉妹同士というか、恋人同士でお風呂なんて珍しいことでもないんじゃない?」
焦っているお姉ちゃんの雰囲気に合わせて、一応私は小声で耳を打つようにする。
「えっ、いや、それは、そうだけど……」
しどろもどろと、どこかハッキリしないような雰囲気。
「……」
……なんだろう。今、なんかすっごくもやっとした感じがする。
「──ねえ、いつくらいにお風呂あがりそう? 私もさっさと入って休憩したいのよねぇ」
「えっ、あ、そ、そうなんだっ」
間延びしている落ち着いた母の声に不釣り合いな、慌て続けているお姉ちゃんの声。
……え? いや、マジでそんなに慌てる必要なんてなくない?
このまま私が声を出してもいいような気もするけれど、そうするには少しタイミングが遅くなってしまったかもしれない。言いだせるタイミングで言い出せなくなったことで、今更声を出しても逆になんか変な感じだと勘繰られるかもしれない。
……別に、いいんだけども。
いつかはお母さんとかお父さんにも、正直に
……でも、流石に今じゃないよなあ。
そういった話をするのであれば、きちんと家族会議の中で。そしてお姉ちゃんからも合意を得たうえでのタイミングで。
うん、流石に今声を出すのは違うかも? ……最初から声を出しておけばこうはならなかったけど、とお姉ちゃんを少し訝しむ気持ちで見つめる。
「え、えーと、そう、そうだなぁ……。私も今入ったばっかだからなー、ちょっとわかんないかもっ!」
慌てた声を平然と直すように、お姉ちゃんはそう声を返す。
……なんだろう、少し、というかすっごくむしゃくしゃする気持ちが大きくなっていく。
「どれくらいー? 三十分とか? まさか一時間とかはないわよねー?」
「さ、流石にそこまでは──はんぐぃっ!?」
──そうして、手が伸びてしまう。
シャワーを浴びているお姉ちゃんの胸元、そこを少しだけ痛くなるくらいにつねるようにして。
(なんで、もっと堂々としないんだろう)
そんなやきもきした気持ち。
むしゃくしゃした気持ちを消化するために、私はお姉ちゃんへと手を伸ばしてしまった。
ま さ か の 逆 転 ! ?
次回でレズエステ編は終了! お楽しみに!!