それくらいに怒っている柚子ちゃんをお楽しみください。
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乱暴である自覚はあった。握っている力が強いこともよくわかっていた。
それでも、色々と治まらないものがあった。
「い、痛い」
そう小声で呟く蜜柑、それを知らないふりして無理やり連れ込んでいく。
一度来たことある場所だ。だから、入り方もよく知っている。強烈に刻まれた記憶から、適当に一室を選んで、エレベーターへと引っ張る。
「……うるさい」
辛うじて出た言葉はそんながさつで、ひどい言葉だった。
『──ゆずちゃんは、本当にひどい子なんだね』
「……っ、うるさい、うるさいっ!」
ぎゅっと握りしめている力が更に強くなる。
階数を選ぶ際に見えた蜜柑の表情は、どこか困惑しているような、それとも怯えているのだろうか、苦笑が交じっているような顔。
そんな彼女の顔の、あごへと手を触れる。
蜜柑の顔が、本当によく見える。
「お、おね……、ゆ、柚子……」
「……」
すべてを上書きしてやりたい気持ちで、その唇へと近づいていこうとする。
するけれど、タイミングが悪かった。エレベーターは目的の階に辿り着いて、その鈴を鳴らしていく。
ちっ、と舌打ちをして、それからまた手を繋ぐ。繋ぐというか、掴むというか。別にどっちでもいい。
点滅していない部屋へと入って、そこからこれまた乱暴にドアを閉めていく。わっ、と声を出す蜜柑の様子を気にしないようにして、そのままドアに彼女を押し付けた。
「く、苦し──」
「──っ」
「────」
「────」
押し付けて、そのまま蜜柑の唇を奪っていく。
すごく力が入っていることは自分でもよくわかっている。こんなことをしたいわけじゃない、と理性が抑えようとしているけれど、今は感情しか働かない。
押し付けざま、勢いよく彼女の口の中へと舌を這わせる。んっ、と唇を固くしている蜜柑のそれをほぐすように、私は胸へと手を伸ばして、それを撫ぜるようにする。
「──んっ」
──ほら、開いた。口が開いた。
単純すぎる。少し弱い部分を触っただけで、こんなに簡単に口を開けるんだ。へぇ。
開いた口に舌を入れて、彼女の上あごを撫でていく。ここがくすぐったいんでしょ、それが気持ちいいんでしょ。この前もそうだったもんね、知ってるよ私。
私がされたこと、蜜柑がしたこと、それをひとつひとつ思い出しながら、丁寧にそれを再現する。そこには誰かが入る余地もないことを考えながら、誰かもよくわからない邪魔者のことを考えながら──。
──私の方が、蜜柑のことをよく知っている。
ふざけるな。誰かは知らないけれど、私の方が蜜柑のことをよく知っているの。得意げにメッセージなんか送ってきてどういうつもりなのかは知らないけれど、蜜柑は私のものだ、私のものなんです。
「──んはっ」
「──ふっ」
ほら、見てみてよ。私が口づけするだけで、蜜柑はこんなに蕩けた表情をするんだよ? それが誰かさんにできるって言うの?
「お、お姉ちゃん、さ、流石にドアの近くは──、ぁ──」
「──うるさい、ん──」
うるさいことを言う口は私がふさいであげる。ふさいであげるだけじゃかわいそうだから、舌でくすぐってご褒美をあげてやる。
だって、蜜柑が悪いんだよ。蜜柑も悪いし、その誰かさんも悪い。
散々私の気持ちをおかしくさせて、その責任は誰がとるって言うの。自分で押さえつければいいの?
そんなの、耐えられないよ。
「────」
「────っ」
そうして、そのまま舌を彼女の中に存在させ続けようとすると、蜜柑が拒絶するみたいに私の肩を押そうとしてくる。
けれど、知らない。知るわけがない。
「────ほ、ほへぇひゃ」
「────うるはいっ」
拒絶しようとする蜜柑は、なんて悪い子なんだろう。
悪い子にはおしおきをしなきゃいけない。
痛いだろう、痛いかもしれないけれど。
「──うっ」
蜜柑の、上唇を噛んだ。
最初は甘噛みのつもりだった。
でも、抑えられなかったのだから仕方ない。強く噛んでやる。
「いひゃ、いひゃいっ、いひゃいよっ!」
知らないってば。
蜜柑も、前はそうしたじゃん。私が声をあげても気に留めないでさ。
だから、そのお返しだと思ってほしい。痛いと思っても我慢してほしい。だって、今は私の方が苦しいんだから。
だって、頭の中に嫌な想像ばかりが頭をよぎる。
──こうしてキスをされたのだろうか。こうして胸を触られたのだろうか。糸を引いていたあの手は、そのまま彼女のあそこを犯したのだろうか。そのまま蜜柑も気持ちよくなってしまったのだろうか。
そんな下劣な想像。……私以外の誰かに、気持ちよくなってしまった蜜柑の姿。
それを想像するだけで、後ろ暗いものが心にこびり続けていく。
だから、仕方がない。蜜柑をこうしていたぶるようにするのも、仕方がない。
「──ぶはっ」
「──は、はぁっ、はぁっ、な、なにするの──、ひゃっ!」
ドアに押さえつけているだけじゃ、蜜柑の身体を犯せない。
だから、仕方がない、彼女の手を引いて、そのまま奥のベッドへと転がしていく。
抵抗はない。さっきまでは拒絶したそうに肩へと手を置いてきたのに、今は私のしたいことをすべて理解しているように、蜜柑は私の手のままだ。
「──私、諦めようと思ってたんだよ」
「……え?」
困惑する蜜柑をよそに、私は言葉を続ける。
「今日会う人が、男の人だったら諦めようと思ってたの」
「は、はぁ? な、なにが──」
「──でも、今日は女の人と会ったんだよね?」
その言葉に、蜜柑は押し黙る。
「かなこさん、だっけ? 出かける前、そう言ってたよね。かなこ、なんて男の人は想像できないから、きっと今日あったのは女の人だよね」
「……そ、それが?」
「……許せないの」
今日会った人が男だったら、色々と言い訳が出来た。自分に対する言い訳が出来た。
これまでの関係性の正しさについて、その禁忌について。女の子同士はもういい。けれど、家族として、姉妹でやっていく関係性としてはおかしいから。
だから、男の人だったら納得できた。どれだけ嫌な気持ちになったとしても、それでも納得できた。やっぱり、私とのことはただの性的な関心で、一時のものだったのだと。ちゃんと蜜柑は男の人を好きになれる人で、それなら仕方がない、と。
そう諦めることができたはずだった。どれだけ嫌な気持ちがあっても、男の人なら仕方がないか、ってそう思えた。それが普通だと思ったし、蜜柑の姉ならそう思うべきだったから。
でも、それを蜜柑が壊した。
今日一日で、すべて壊した。
は、はい? と困惑し続けている蜜柑をよそに、私はその服を脱がしていく。妙に腰を浮かせて脱がせられる蜜柑は、なんとなく乗り気であるような雰囲気さえ感じない。
それも許せない。やっぱり、気持ちよくなりたいだけなのかって。恋愛的な意味で私のことなんか好きじゃないのかなって。今までの喧嘩の意味もなかったのかなって。
「──あの喧嘩、私は、正直嬉しかったんだと思う」
「へ? ──」
「私は、嬉しかったんだよ」
今になって自覚したけれど、蜜柑が私のことを思ってくれていることがわかって、だから嬉しかった。
私も真剣に蜜柑のことを考えてたつもりだ。だから、曖昧にしか答えは返せなかったけれど、それでもあの喧嘩は嬉しかった。
それから会話がなくなって、寂しくなって。その原因はあの喧嘩だったけれど、蜜柑が私のことを思ってくれている証拠だと、今は強く思う。
それを、蜜柑は壊した。
だから、許せない。
戸惑い続ける彼女をよそに、裸へと剥かれていく彼女。妙に着こなしていた冬服から肌色に染まる蜜柑の姿は可愛くて、それでいて憎らしい。
「今日は、ここを触られたんでしょ」
「ぁっ──」
いつもなら前戯で唇から、胸へと段階を踏んで愛撫していくのに、今日はその余裕がない。閉じている彼女の足から手を伸ばして、そのまま秘部へと触れていく。
「あはっ、やっぱりそうだ。もう濡れているし、私が待っている間、ずっとここを触られていたんでしょ?」
「ち、ちがっ──」
「──違わない」
とろとろとしている蜜柑の中に、中指だけを滑らせて、その中の感触がいつものものと変わらないかを確かめる。
何度も蜜柑の中に指を入れた。指を入れているから、その中の感触は、ひだの波はよく覚えている。
だから、よくわかる。
すごく、ほぐれていて、柔らかい。
あの画像が示すように、きっと本当にぐちょぐちょに、糸を引いて──。
「──っ」
「──っいたぁ!」
苛立ちを思い出して、空いている手で彼女の尻を叩いてやる。仰向けに寝ているから、正しくは腰だけれど別にどうでもいい。なんなら中を引っ掻いてやろうかとも思ったけれど、それはやりすぎだという気持ちもあって、なんとか抑えた。
それでも──。
「──なにこれ」
叩いた拍子に、手に生ぬるい液体がかかる。ぷしゅっ、と水音を晒して、それが感触と同時にやってくる。それに手を一度抜いて、彼女に指先を見せつけるようにする。
「本当に、すっごいねぇ?」
糸を二重にして、垂れる愛液。
手のひらは光沢に塗れていて、私の目には電照が反射して見えていた。
「やっぱり、お仕置きしなきゃ」
私は、それから蜜柑の胸の方へと近づくことにした。
蜜柑(な、なんかやばい感じ?)とただならぬ柚子の様子に、そろそろやらかしていることを自覚しつつあるみたいです。今までに見たことのない姉の様子にドギマギしながら、お仕置きされる蜜柑ちゃんをお楽しみに!