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しばらく呆然としていた。
別に禁欲をしていたわけではないけれど、こうして自分の手ではないものでイカされることに、頭がぼうっとしてしまっていた。
強烈な多幸感。
何も疑えない愛の形。
それが蜜柑と結ばれていることに気持ちがずっと楽になる。これまでの少しの諍いも、今となってはこの時のための餌というか、糧のように感じた。
「はあ、はあ……」
「……ふう」
互いに息を吐く時間。私が絶頂に浸っている間、蜜柑はそれでも絶頂のリズムに合わせてクリトリスを吸い上げてくれていた。本当ならそんなことをしてくれる義理なんてどこにもないはずなのに。
「……どうだった?」
「……?」
息を整えてから、蜜柑の目を見つめながら聞いてみる。
私の紡いだ言葉の意図が組めないのか、蜜柑は少し呆けながら首を傾げる。そのきょとんとした姿であったり、さっきの吸い上げであったり、ところどころで可愛い部分が見えて仕方がない。
それでも今は目の前にある可愛さの衝動を抑えて、あくまで挑発するような目で蜜柑の見つめる。
「──わたしが犯されたかどうか」
「……っ」
私のあそこを舐めて、そして吸い出し、飲んだ。
そんな行動に対して感想を求める。私が嘘をついたことに、きちんと嘘だという確証を得られたか。……私が蜜柑だけにしか身体を許していないことを、ちゃんと味わって理解したか。
「どうだった?」
「……きっと」
お姉ちゃんは、大丈夫だと思う。
ぼそりと蜜柑はそう呟いてくれた。
「そっか」
蜜柑の返事に、私は満面の笑みを浮かべた。。信じてくれたことによる安心感。ふう、と息を吐きながら私は地べたに座り込む。目の前にはベッドに腰掛けている蜜柑の脚があって、それに戸惑う蜜柑の視線が私を射抜いた。
「ど、どうしたの?」
少しドギマギとしながら聞いてくる蜜柑に「んー?」と声を返しながら、その脚に、太ももの方へと手を伸ばす。「んっ」とくすぐったそうに声を上げる蜜柑に、私はさらにその感触を味わうように、さわ、さわ、と太ももを撫でていった。
「──私も、確かめなきゃね」
そう言いながら、私は蜜柑の中心へと手を伸ばしていた。
◇
「え、えっ?!」
お姉ちゃんの言葉に動揺しながら、それでも伸びてくる手に従って、そのまま腰を浮かす。
すぐに下着を脱がされると思っていたけれど、お姉ちゃんは特に脱がさないままにして、布の上から割れ目をなぞっていく。片手では太ももをさすりながらやってくるものだから、くすぐったさで声が出てしまう。
「私はちゃんと証拠も見せたし、確認もさせたでしょ? ……だから、蜜柑のも確認させてね」
じゃなきゃ私、蜜柑のこと、信じられないかも……。
そう言うお姉ちゃんの表情は困り眉を浮かべているけれど、少しだけ口角は緩んでいる。きっとこれは揶揄いのひとつであることはわかっていたけれど、確かにそうだ、と思い立って、私はスマートフォンを取り出した。
「ちゃんと、証拠ある。あるから……」
チャットでは送り付けられなかった大きなビデオファイル。ネタバラシでお姉ちゃんを不安にさせないよう、入ってからずっと撮って、それから一人二役で演じた私の寝取られ音声。
……こういう状況でお姉ちゃんに見せることには抵抗がある。なんというか、単純に恥ずかしい気持ち。だって、タチの女を声色まで変えて演じていた、なんて恥ずかしいにも程がある。
けれど、もともとは聞かせるために撮ったものでしかない。だから、諦めに近い気持ちで、私はそのファイルを開いた。
……本当はもっとカット編集とかしたかった。そういう時間があればよかったけれど、撮ってからはすぐにああいう事態になってしまったのだから仕方がない。
「……これ」
黒歴史を見せる恥ずかしさ、それでも柚子に携帯を見せながら、そのファイルをタップする。
まずはラブホテルに入るシーンから。挙動不審に周囲を確認する画角。ネタバラシの前提として、私一人だけしかホテルに入っていないことを示す映像。
「ほ、ほら、誰もいないでしょ」
「うんうん、そうだねぇ」
さす、さす、とお姉ちゃんは私の太ももに触れ続ける。割れ目をなぞろうとする指は動いてくれなくて、くすぐったさで震えることでしか、その存在を感じられない。
「それで、このあとは何が撮られているのかな」
すい、とお姉ちゃんは少しだけ映像を進めていく。そこからは部屋に入室して、画角を壁に向けたもの。ごそごそ、と私がいろいろと準備をしている音声が聞こえてくる。
『あ、あー。……あー!』
「……」
「……」
……やばい、恥ずい。
声を変える前のテストが、そのままカットされずに残っている。
「……これで、私を不安にさせたかったんだ?」
「……ええと、その。……う、うん」
「……そっかそっか──」
「──ひぎゅっ」
──一瞬、強くクリトリスをつままれる。
「すごいね蜜柑ちゃん。こんなに大人っぽい声出せるんだね。嘘だと知らなかったら、本当にそのまま信じてたかも──」
「──んぐ、んん、んぁっ!」
ぐい、ぐい、とクリをつままれては引っ張られる。それはお姉ちゃんが声を低くするたび、継続的に布ごしに刺激される。
「もし私がそれを信じて不安になったらどうするつもりだったのー?」
「あっ、そ、それは──、ぬぎゅっ」
「それはー?」
クリだけを重点的に刺激され続ける。私が答えを返そうとしても、その指先が止まることはなさそうだった。
「お、お姉ちゃっ、んっ、にっ、そのま、まっ、同じプレイを、するっ、つ、つもりでし、あっ──」
「ふーん、そうなん、だぁ──」
──さわ、さわ。
ぐい、ぐい──。
「あれ、だんだんと濡れてきてるね? ……気持ちいいんだ?」
「はい、はいっ! 気持ちいい、気持ちいいですっ」
「うん、正直に言えてえらいねぇ……」
太ももから手が離れる。心細いと感じる一瞬の本能、それに応えるようにお姉ちゃんの手は私の頭へと運ばれていく。
──ああ、撫でてくれてる。
「いい子だね、いい子だねぇ」
下から私を見上げながら、そのまま撫でて、クリをいじってくれている。
──嬉しい、嬉しい。褒めてくれた、嬉しい。
幸せな気分に包まれながら、度々電流のようにやってくる衝撃に声が漏れる。その間にも動画が進んでいき──。
『蜜柑ちゃん、すごいね。こんなに糸引いちゃってさ……』
そして、私が手マンをされているように演じた場面に移っていく。
『や、やめてくださ……』
『……やめないよ? だって、こんなにもぱくぱくしてるのに』
『あ、あっ、そ、そこっ』
ぴちゃ、ぴちゃ、と私が自分を慰めているだけの音声が流れる。
「……私にも、こうしたかったんだよね」
「……」
恥ずかしかったけれど、それでもこくり、と頷いてしまう。
クリだけを刺激されていても、深くイくことは難しい。もう私はお姉ちゃんがそのまま愛してくれることにだけ期待をしていて、静かにそれを待つことしかできない。
そうしてクリトリスから指が離れていく。断続的な刺激が終わって、そのまま下着を横にずらされる。自分の秘部がそのまま晒される冷たさ、それでも近くにお姉ちゃんの手があることには嬉しさがあった。
「ほんとだ、すっごいばくばくしてる」
「う、うぅ」
自分で考えた場面を、そのままお姉ちゃんが繰り返される恥ずかしさ。
「……いじってほしい?」
「……はいっ」
「わかった」
──にゅるり、と、ゆっくり指が入ってくる。
──久しぶりの、お姉ちゃんの指──。
「──んんんっ──」
『──わあ、蜜柑ちゃんやばいね? 三本も指が入って──』
お姉ちゃんの指の余韻に浸る間もなく再生される、私の声。
「……三本も入ったの?」
「……は、入ってない」
「本当かなぁ──」
「──んぁぁっ!?」
──ずにゅり、とさらにあそこが広げられていく。
「あれー? 三本目、入っちゃったよ? ……やっぱり、嘘だったのかなぁ」
「ち、違うっ! ほ、ほんっっ、本当に、二本でしか触ってない、ぃいっ!」
だって、お姉ちゃんに聞かせるためだけに撮ったやつなのに、いちいち自分で実践なんかしない。
「ふーん? ……あ、それじゃあさ」
私の中を指で広げながら、お姉ちゃんは私の目を見る。
「この時、どういう風にやっていたのか、お姉ちゃんに教えて?」
自分でどうやってたのか、どんな気持ちでいじっていたのか。気持ちよかったのか何を考えてたのか。
「ぜんぶ、ぜんぶ教えて?」
「う、うぅ……、ぜ、ぜんぶ……?」
「うん、ぜんぶ。じゃないと、お姉ちゃん、不安で──」
──にゅり、にゅり。
入れられている指がそれぞれ動いて、波のように膣ひだをなぞる。
「わ、わかりましたっ、わかりまし、たっ」
声が震える。焦らされることもなく、その指は絶え間なく続く。
「さ、最初はぁ、おまんこの穴を、ぺた、ぺたって触ってましたっ、濡れてなかったから、ゆっくり触って、お姉ちゃんに聞かせたときのっ、ことを、かんがえて……っ」
「うんうん、それでー?」
「それで、濡れました、濡れちゃいまっ、……した。それからは、いつもみたいに、手のひらでクリを触りながら、あそこに、指、いれた、入れました……、ぁはぁっ」
「いつもは一人でどうやってるの? ……あと最近は、どうしてたの?」
「え、えっと、それは──」
ぐにゅりっ、ぐにゅりっ。
「んんぁあっ!!」
「ほらほら、こたえて?」
「ま、待ってよぉ!」
ずっと、ひだを指の腹でなぞられ続ける。
波のように動く指の感触。それは穏やかな刺激であるはずなのに、不規則に動く波のせいで集中して言葉を話せない。
「い、いつもはぁ、ま、まって、指、指止めてっ」
「止めないよー? だって──」
──ぬちゅぬちゅぬちゅ。
私の携帯から聞こえてくる、オナニーの音。
激しさを伝えるために、わざと音を立てた、恥ずかしいだけの音。
「ほら、ずっと止まってないし。私も、……止めないから──」
「──ぁあぅ……」
──ぐにゅい、ぐにゅい。
ただ指を広げていただけの動作が、三本の指で引っ掻く動きに切り替わる。
尿道をなぞられるような感覚、そのまま催してしまいそうになるくすぐったさ。
「ねえ、はやくー!」
「うぁ、ぁあっ! い、いつもはぁ、指は入れないで、お肉をはさむぅ、っっ、ようにぃ、しててっ」
「それでそれで?」
「それで、上下に滑らせて、して、ま、すっ」
「最近はどうしてたのー?」
「さ、最近はっ……」
──ぐにゅうり、ぐにゅうり。
徐々に引っ掻く力が強くなる。
よりおしっこが溢れてしまいそうな衝動、それを我慢しながら声を紡ぐ。
「お、お姉ちゃんが、寝取られてっ、その音声を聞きながらっ、私が開発するのっ、をぉ、想像して、してましたぁっ!!」
「へー? ……一人でもしてたんだ?」
私とはしてくれなかったのに。
私がわざと声を出しても、来てくれなかったのに。
──ぐにゅううり、ぐにゅううり。
「だめ、だめだめっ! 出る、出ちゃうからっ──」
「──出しなさい」
──ぐにゅうり、ぐにゅうり。ぐに、ぐに、ぐにぐにぐにっ。
引っ掻くリズムが速くなる。中心にある中指が、そのまま尿道の筋をなぞる。
「──イくっ……」
「──いいよ、出してっ」
──ぷしゅっ。
命令みたいな強い声から、許してくれるような声に切り替わる。
とても、優しい声。
そして、促されるままに。
──ぷじゅ、じゅろろ、じょろろろっ
「──でる、出ます、出てますっ」
「いいよ、もっと、もっほ──」
──あそこの先が温かくなる。
また、お姉ちゃんが私のあそこに口を当ててくれている──。
「ごきゅ、ごきゅっ──」
「──うれ、うれしいっ、うれしいですっ」
嘘をついたのに、お姉ちゃんを振り回したのに。
そんな私を愛して、味わってくれている。
口の端からおしっこが垂れる。それでも逃さないように──。
「──じゅじゅるるるるる」
「えへ、えへへぇ」
こんな私を愛してくれている。
それが、その絶頂の中で感じ取れて。
私は、とても幸せだった。
まだまだ、まだまーだ続きます。
今までのフラストレーションをすべて発散するまで、彼女らの百合えっちは止まらないのです。