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よいしょ、と彼女は言いながら机の上にあるものをばたばたと片付けていく。薄目も開けられる状況じゃないな、と思って、音だけですべてを感じ取る。それが更に感覚を鋭敏とさせていくような気がする。
まだ、……まだ彼女が純粋だという可能性はある。
私が寝てしまったことを理由に、一度小休止を入れるのかもしれないし、もしかしたら今日の勉強は終了にして、私をこれから起こすのかもしれない。時間帯は真夜中で、眠るにはちょうどいい時間帯のはずだ。だから、彼女がこれから変な行動をとる、ということはないと思いたい、……が。
「寝たよね。寝たっていうことでいいんだよね」
彼女は確認するようにそう繰り返す。私がそれに対して返事をすることができればよかったけれど、ここでそれをしてしまえばすべて水の泡になってしまうような気がする。
「……よしっ、じゃあお姉ちゃんは寝た、ということで!」
寝ている人に対して、そんな大きな声を出しちゃいけないよ……、そんなツッコミを私は心の中で入れてみる。
……いや、待って。今、私のことをお姉ちゃんって──。
「──それじゃあ、今日も始めていこうかな」
──そんなことを考えている間に、する、する、と布がずれるような音が耳に届いていく。
私の体には触れられていない。だから、何がその音を立てているのかはわからない。誰がその音を立てているのか、というのは明白だけれど、なぜ彼女がそのような音を立てているのかはわからない。
ぴとっ、と足、というかふくらはぎの部分に何かが触れる感覚。
不意に触れられたことに、ぴくり、と背中を弾ませそうになるけれど、なんとかそれをこらえて、何が行われようとしているのか、と本当にばれない程度の薄目で、触れられた個所に視線を向けてみる。
……蜜柑が、いる。
蜜柑が、私の脚に触れている。さすさす、と私の肌の感触を味わうように手のひらで触れている。でも、これくらいならただの女子の関わりにありがちなくらいの、他愛のないものであるはずだ。
でも、そうではなかった。
そうでなかったのは、彼女が先ほどの服を脱いで、裸で目の前にいるからだった。
「はー、本当に柚子の太ももは触りがいがあるなぁ」
さす、さす、といった具合で、彼女は同じような場所を触り続けている。特にくすぐったさとかは感じないから、ただ、ああ、触れられているなぁ、ということくらいしか思わないけれど、それがだんだんと、さわ、さわ、というような羽根で触れるようなものに変わっていく。位置もふくらはぎから膝、そして履いているズボンの内側へと、手が、彼女の華奢な手が入り込んでいく。
(ほ、本当に? 本当に……?)
夢の中での彼女も確かに私の体で遊んでいた。太もも、胸、そして……、あそこ。その夢を現実にするかのように、彼女の手は私のズボンの中へと入りこんでいく。
彼女の触る感覚は悪戯するような手つきから、だんだんと揉むような感触へと変わっていく。確かに、もに、もに、といったような擬音が聞こえそうな感じで、彼女はズボンの中から私の太ももを味わうように触れている。
(ちょ、ちょっとくすぐったいかも……)
ふふ、と声が漏れてしまいそうになるけれど、声が漏れたら彼女に起きていることがバレてしまう。だから、くすぐるような感覚をこらえながら、彼女の次の行動を待ってみる。
(……というか、今起きたら言い訳できないんじゃ)
思惑が私の中に生まれるけれど、ただここで起きてしまえば彼女がどうなってしまうのか、私には想像することができない。女同士で、実の姉妹でそんなことをやっている、と彼女が私に言われたら、これからの彼女はどうなってしまうだろうか。
だから、私にできることとしては、これから起きることの静観。そして、翌日から対処できることには対処して、何とか回避をする、というくらいだろう。
「服の上からだとやっぱり触りづらい……」
蜜柑はそう呟いて、私のズボンに手をかけていく。というか、そんなに独り言をつぶやいて私が起きないか、不安にはならないのだろうか。
私だったら不安になる。というか、そもそも私はそんなことをしないし……。
とか、そんなことを思っている間に、私の脚は天井へとむけられていく。ズボンを脱がすためにそうしているようで、これから彼女に覗かれてしまう私の下半身を思うと、少しだけ恥ずかしくなる。
……いや、恥ずかしくなんてない。だって、女同士だし、姉妹だし。強がるように心の中で呟くけれど、結局これもすべて自分の自己満足だ。
ズボンを脱がし終わると、彼女は私の体をベッドに広げていく。まだ下着は脱がされていないようだったけれど、それでも蜜柑は続けて太ももの感触を味わっているようだった。
もしかして、これだけなのだろうか。
蜜柑が裸になっていることに関しては、もうどうしようもないものとカウントすることにしても、それでも彼女の行動は、私の太ももの柔らかさを堪能するだけにしか終わっていない。もしそれだけで終わるというのならば、これ以上のことをされている私の夢は、私の無意識的な欲望が反映されていることに──。
「──よし、本番行っちゃいますか」
──と思っていたら、私の気持ちを裏切るように、彼女の手は、太ももから私のあそこに向けてずれていく。ずれていく、もしくはなぞるといったように。
手ではなく、指先で太ももを、そしてあそこまでをなぞられる。フェザータッチ、というやつなのだろうか、よくわからないけれど、そうして舐められるように指先がなぞっていくくすぐったさで、私は、ふっ、と声を漏らすことをこらえきれなかった。
あっ、と思ってしまう。やってしまった、と。
けれど、私の漏れた声に蜜柑は気にしないまま、私のあそこに指を近づけて、つん、つん、と遊ぶように突いてくる。
「気持ちいいのかなぁ?」
正直、くすぐったいな、という気持ちくらいしか思わないよ……。そんな言葉を彼女に聞かせたいような気もするし、心の中でだけで終わらせるべきかもしれない、と思ってしまう。
そして、蜜柑はまたしても私の脚を持ち上げていく。持ち上げていく、というよりかは、開く、といったほうが正しいのかもしれない。一瞬、下着を脱がそうとしているのかな、とか想像したけれど、そうではないようで、開脚したその先にある、私のあそこをじっくりと観察したいようだった。
それから、彼女は指先で、私のあそこを撫でるようにする。指先で入り口の部分をなぞっていく。縦に開かれているそれを道筋とするように、細かく、執拗になぞっていく。
ほんのりとその場所が温かく感じる。くすぐったさ以上の何かをそこに見いだしてしまう。
「感じてるのかなぁ?」
感じてる、と聞こえてくる蜜柑の言葉を咀嚼するけれど、正直わからない。自分で触ったのも数回でしかないし、そこまで性知識があるわけではない。だから、それが感じている、というものなのか、理解することができないままでいる。
そうして、えいっ、という声が聞こえてくる。聞こえた拍子に、私のあそこが世界にさらされる感覚を覚えた。覆っていた布は、下着は股関節の部分にずらされたみたいで、すうっ、と風が私のそれを撫でるような感触を覚える。
「やっほー、昨日ぶりだねっ」
蜜柑は楽しそうに声を出している。そして、そのセリフから、やはり私が抱いていた疑心については間違っていなかったのだ、という確信を抱いて、これからどうしよう、ということを考える。
何がどうして、柚子にそうさせているのかはわからないけれど、女同士なのはともかくとして、姉妹でこんなことをするのなんて許されない。確か、どこかの物語で見たことがある。近親相姦、というやつになるのではないだろうか──。
「それじゃあ、──はむっ」
「──んんっ」
──唐突に来る刺激。私が倫理観について自分で考えている間に、何かが私のそれに、しかもとても鋭敏になるそれに触れる。
それは温かく優しい感触。だけど、刺激が強すぎるのか、声を出さないように我慢をしていても、それでも声を漏らしてしまう。
「はむっ、はむっ、ちゅるるる」
「ん、んはっ、あぁ……」
──声を、我慢することができない。
それは愛撫されている。私の大事なそれが、彼女の口によって愛撫されている。
それは唇で甘噛みをするような柔らかい刺激で。そうかと思えば、つねられているのではないか、と錯覚する吸われ方で、愛撫されている。
下半身が熱くなる。初めて感じるよくわからない衝撃に、声を我慢することができなくなる。無意識に手で口を押さえたくなってしまう。けれど、そんなあからさまに起きていることを示すような行為をとれるはずもない。
「ぢゅるるるるるる──」
「んっ──」
吸われている、吸われている。私が刺激したことのない部分が、蜜柑の、妹の蜜柑の口によって吸われている。
(あ、頭がまっしろになる……、なに、これ……)
声を出してはいけない。そんな気持ちで気を付けているはずなのに、それでもこらえきることができない刺激に、私は声を出さずにはいられない。
「ぷはっ、今日のお姉ちゃん、めっちゃ感じててえっちだ……」
「……」
何も声を返すことができないまま、私はただ目をつむる。瞑り続けている。
「それじゃあ、特大サービスぅ」
彼女はそう言いながら、私の股の間にまた顔を押し込んで──。
「──ふううう」
「──ひゅっ」
──くすぐったさとそれが冷える心地に、息が漏れてしまう。
声を出してはいけない。それを意識しているだけなのに、変な反応をしてしまう。
「ふふっ、やっぱり気持ちいいんだね。それじゃあ──」
──れろっ、と私の肉豆を弾かれる。
れろ、れろ、れろれろれろ。
「んっ、んん。ふっ、んんんっ」
こらえきれない私の声に、それでも彼女は私が起きている、ということには気づかない。
寝ているときも、私はこんな声を出しているのだろうか。わからない。だとすれば、そっちのほうがいいかもしれない。だって、そうであれば、私がこうして声を出すことも許されるから──。
「ぢゅるるるる、はむぅ、はふっ」
「あっ、あっ、んん、んんっ!」
──もういいか、という諦めた気持ちで、だんだんと声を我慢することをやめてしまう。
どうせ、私が寝ている間にもてあそばれていても、同様の声を出しているのだろう。そうであるのならば、彼女が私が起きていることに気づくことなんてないのだから。
「よーし、それじゃぁそろそろ──」
蜜柑はそう言って、私のあそこから口を離す。名残惜しいと感じてしまう、寂しくなった感触に、一瞬声が漏れてしまう。でも、蜜柑が吐いた次の言葉に、私は心臓を凍らせる感覚を覚えた。
「もういいよ、お姉ちゃん」
……えっ、と返答しそうになる衝動をこらえて、私は彼女の言葉に耳を傾ける。
「実は、今日のコーヒーは普通のコーヒーなんだよね」
「……えっ」
彼女の言葉に、私は声を出さないという禁忌を破ってしまった。