◇
私が絶頂してから、しばらく呆然とするだけの時間が続いた。
電流のように、それでいて甘くしびれる心地に頭が犯されてしまって、もうすべてこれでいいんじゃないか、と思ってしまう。
お姉ちゃんと結ばれたことは確認できた。そのうえで、一緒に関係を躱すように身体を交わらせている。これ以上にやることなんてあまり思いつかず、私は脱力した身体をなんとか支えながら、また柚子の隣で寝ころぶようにした。
ふう、ふう、と何度も呼吸を繰り返した後、私は一緒に裸になっている姉の顔を、身体を見つめていく。
姉の口の周りはてかてかと私の体液で艶を帯びている。彼女が私に対して奉仕してくれた、ということがなによりもうれしい感情が私を支配する。
せっかく結ばれたのだから、なにかをまだしなければいけない。それはそれとしてなにをやればいいのかなんてわからない。ぼうっとする頭では整理することなんてできないまま、私は彼女の顔を舐めるように、口づけをするためだけに顔を近づけていく。
ん? といお姉ちゃんは私が顔を近づけたことに疑問を覚えたようだけれど、私が舌を出した瞬間、とろけたような表情になって、彼女もベロを出した。
何度目のキスになるのかはわからない。わからないけれど、それはごく自然とした行動のように私たちの中に挟まって、また彼女の中で息をする。
きっと、互いに秘部をもてあそんだ方が直接的な快楽にはつながるのかもしれない。だが、私にとっての幸福は関係を結んだ証のように執り行われる接吻が一番の心地で、満たされる感覚がある。
柚子の舌が私の口の中に入ってくる。すべてを受け容れたことを示すようにした彼女に、私も答えてあげなければいけない。
私は彼女の舌を吸い取るようにして、よりお姉ちゃんの舌を味わうようにする。これが気持ちいいのかはわからないけれど、そうするだけで快楽が育まれる感覚がある。
「ん、んん」
互いに声を漏らしながら、今度は柚子が返すように私の舌を口で引っ張っていく。撫でられるような感触が舌全体をつつんでくすぐったい。なんとも言えない彼女の唾液の味にしびれながら、私は彼女の秘部に手を伸ばしていく。
互いに抱きしめるような体勢の中、私が手を下半身に伸ばしたことで、柚子は一瞬、びくっ、と体を弾ませた。まだ何も触れていないのに触れられたような反応を返していた。
「かわいい、かわいいよお姉ちゃん……」
期待するように私を見つめている彼女に対して、私はそう言葉を吐いた。その期待に応えるように、私は伸ばした手を、その指先をいつものように彼女の中に含ませていく。
彼女の小陰唇をなぞりながら、ぷるっ、とした感覚を指先に反芻する。クリトリスを撫でることを忘れないようにしながら、私は徐々に彼女の奥へと指先をいれていく。
「あっ」
お姉ちゃんが声を漏らした。淫靡としか感じない喘ぎ声を漏らして、その瞳には涙がにじんでいる。それだけの心地よさに期待をしていたのだろうか。私の指先に期待をしてくれていたのなら、それだけで私は嬉しくなってしまう。
……でも、それだけで終わらせてはいけない。
あくまで私たちは恋人なのだ。はっきりと言葉にしてはいないけれど、もう私たちは恋人のような関係性で相違はないのだ。
恋人であるのならば、それらは相互的でなければならない。私だけという状況、もしくはお姉ちゃんだけという状況はなるべく作りたくない。それが関係を長続きさせるために必要なことだと、私は思った。
「……お姉ちゃんの指もほしい」
柚子を試すような声音で、私は言った。私の指によってよがっている彼女の表情は、私が言ったことを理解するまで変わらないままだったけれど、数秒もしないうちに、うん、と小さくうなずいて、私の肩に寄せていた腕を私のほうへと近づけていく。
鏡のように、私を真似するように彼女の指先は私の秘部をなぞっていく。膣口から尿道、クリトリスを撫でるようにして、小陰唇をこするような動きを何度も繰り返す。
「あっ、そこっ」
クリトリスを指先で何度もこすられるたびに、強い刺激が私の背中をなぞっていく。それがとても心地よくて、彼女の中にある指先に力がこもった。
「あぁんっ」
彼女の中で撫でていた指先が、的確に彼女の気持ちのいい場所を押し込んで、柚子は声をあげた。やはりそんな様子が可愛くて、再びキスをするように彼女へと顔を近づける。お姉ちゃんは抵抗することなく、また私と一緒に呼吸をするために唇を私へと合わせた。
「ちゅ、んん、んは、ちゅ、ちゅうう」
互いに口の中だけじゃなく、唇を味わうだけのキス。くすぐったさは特になく、それだけに満たされる感覚に指先の力も強くこもる。
「お、お姉ちゃんも、指、入れて?」
「んんっ、う、うん」
わかった、と柚子は返事をして、私の言葉の通りに私の中へと指を入れてくれる。
膣肉がかき分けられる瞬間、んふっ、と息が漏れる。私はそれを誤魔化すようにお姉ちゃんへとまた唇をあてがっていく。
ちゅ、ちゅ、とお互いに小鳥がついばむような接吻を何度も繰り返しながら、私は彼女の心地のいい場所を撫でていく。柚子も合わせるように、私の圧されて好きなところを指先で圧してくる。
ぐい、ぐい、と圧されるたび、直接的に彼女の手のひらがクリトリスに触れていく。。リズミカルにこすれていく肉豆の刺激。
「そ、そろそろいく、かも」
中も外も心地のいい刺激にまみれている。その快楽に浸りながら、私は蕩けた声で柚子にそう言った。
「わ、わたしも、もうすぐ……」
柚子も涙をにじませた目で私を見つめながら、うん、うんと頷いてそう言う。
どこまでも可愛い私のお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんが私の中に入っている。すべてが私のものであると証明してくれるように。
「──それじゃあ、一緒にいこっ? 一緒に数を数えて、ねっ?」
「うん、うんっ」
言葉を選ぶ余裕がなさそうな柚子は何度もうなずいて返す。たまに私から視線を逸らすように俯くけれど、すぐに快楽によって顔は上がって、そのたびにキスを繰り返していく。
「ごぉー……」
私は数を数えながら、彼女の中にある指で膣肉をこするようにした。彼女が私にしているように、手のひらでクリトリスをなぶりながら。
「よん……」
柚子は感じている心地のよさを私の中にある指先で示すようにした。ピンポイントで引っ掻くように圧してくる指に、私は息を漏らしてしまう。
「さぁん……」
彼女に入れている指先が震えている。……違う、彼女の膣肉が震えている。私の数えた数字に従うように。
「まだだからね。に、にぃ……」
こくこく、と柚子は頷いた。私はそれに意地悪をするみたいに、彼女の膣肉で遊んでは圧したり、こすっては圧したりを繰り返す。
「……いーち」
タイミングを合わせるように、私の中にある柚子の指先が震える。力をこめるようにして。長く感じる彼女の指先はもっと私の奥深くへと侵入して──。
「──ぜろっ、ぜろぉ……」
「──あっ」
──すべてが弾けていく。
ぐにゅう、と彼女の中にあった私の指先は、絶頂を迎えたことにより、更に指先で圧力をかけるように固まっていく。それに柚子の膣が全体的に痙攣するように震えた。
ぷしゃー、ぷしゃっ。
手のひらで水が弾けた音がした。手相をなぞるように噴きだしている感覚を味わっている。……でも、私も同じだった。
「ん、……くぅっ」
声にならない声で彼女の指先にすべてを委ねている。お姉ちゃんの指先も私と同じように膣をえぐっていて、一点を責めるみたいにしてくる彼女の指先に、出したくはないのに何か液体のようなものが噴き出す心地を覚える。
そうして、互いの中で指先を浸らせながら、また再びキスをする。
ほんとうにしあわせ。
満たされることはないと思っていた幸福に、私はただ震えることしかできなかった。
◇
「……旅行中に何があったの?」
居間で私とお姉ちゃんが一緒にテレビを見ていると、がちゃりと後方からドアが開く音がした。その音に振り返ってみると、私と姉の密着具合に疑問を持ったらしい母が、少し訝しい雰囲気でそう聞いてくる。
「えっ、あっ、その」と柚子は顔を背けながら、気まずそうな表情を浮かべる。確かに姉妹であんなことをした、なんて言えるわけもないから、お姉ちゃんがそんな風になるのも理解はできる。だから、代わりに「勉強とかいろいろ教えてもらったんだぁ」と私は間延びした声で返した。
「そうなの? ……まあ、でも仲直りをしたみたいでよかったわぁ」
私の言葉に安堵したみたいに母はそう言った。それに続くように母の背後から、ただいま、と疲れた声音を吐き出しながら父も帰ってくる。一瞬、戸惑うような表情で私たちを見つめていたけれど、母の言葉を咀嚼して理解したらしく「よかったじゃないか」と声をかけてくれる。私はそれに頷いた。
「そうだ、あんたたちのためのお土産買っておいたから! 一緒に食べなさいな」
私はそれに頷いて、手早く母からそれらしきお土産をもらっていく。
「お姉ちゃん、私の部屋で一緒に食べよ?」
「あらっ、ここで食べないの?」
「お姉ちゃんと一緒に勉強するから、そのおともに! ……ねっ?」
私はそう言いながら、視線を柚子に向ける。彼女は困ったような表情を浮かべながらも「そ、そうだね」と返して、一緒に座っていたソファーから立ち上がった。
「じゃあ、
繰り返す私の言葉に、お姉ちゃんは静かにうなずいた。
というわけで第一章みたいな部分終了です。次からは本格的に開発を始めていきたい所存でございます。